特許第5784850号(P5784850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5784850
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】カゴ台車搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 35/08 20060101AFI20150907BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B65G35/08 A
   B65G1/00 501C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-29896(P2015-29896)
(22)【出願日】2015年2月18日
【審査請求日】2015年2月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514154813
【氏名又は名称】フィブイントラロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】藤丸 見浄
(72)【発明者】
【氏名】前田 憲一
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536106(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/060528(WO,A1)
【文献】 特開2001−207670(JP,A)
【文献】 特開2001−206219(JP,A)
【文献】 特開2010−269877(JP,A)
【文献】 特開2013−237534(JP,A)
【文献】 特開2014−159241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 35/06−35/08
B65G 1/00
B61B 13/12
B62B 1/00− 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪付のパネルと、その周囲を直立して包囲する前面パネル、後面パネル、及び対向する右側面パネル、左側面パネルとからなる略直方体形状のカゴ台車が複数搬送され、先頭のカゴ台車の搬送が停止された後に続くカゴ台車が順次前詰めされるカゴ台車前詰め装置であって、カゴ台車を搬送する駆動ユニットが床面上に設けられており、前記駆動ユニットは、カゴ台車の搬送経路の右側及び左側にそれぞれ設けられたカゴ台車右側面接触駆動部及びカゴ台車左側面接触駆動部を有し、前記カゴ台車右側面接触駆動部及び前記カゴ台車左側面接触駆動部はそれぞれ、鉛直方向に駆動軸を持つ駆動タイヤを有し、前記カゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤと前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤは、互いにその走行面を向けてカゴ台車の進行方向と直角の直線上で対をなして存在し、前記対をなす一方のカゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤは、その走行面をカゴ台車右側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら右回転し、同時に前記対をなす他方の前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤは、その走行面をカゴ台車左側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら左回転し、それによりこれらの駆動タイヤの対が押し付けているカゴ台車を搬送経路の進行方向に搬送させることを特徴とするカゴ台車前詰め装置。
【請求項2】
前記カゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤと前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤの対は、少なくとも2つ設けられ、それらの対は、搬送経路の進行方向にカゴ台車の側面の進行方向長さ以下の駆動軸の間隔距離で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカゴ台車前詰め装置。
【請求項3】
カゴ台車の搬送経路の最初の駆動タイヤの対を結ぶ直線より進行方向において1メートル以内手前の直線上にカゴ台車の先端が到達することを感知する光電センサーが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカゴ台車前詰め装置。
【請求項4】
送され各カゴ台車が順次所定の前後間隔で所定の予定位置に停止される場合に、停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ車の先端が到達することを感知する光電センサーが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置。
【請求項5】
先頭のカゴ台車の停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ台車の先端が到達することを感知する第一光電センサーが設けられ、先頭のカゴ台車に続く次のカゴ台車の停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ台車の先端が到達することを感知する第二光電センサーが設けられ、前記次のカゴ台車が停止予定位置に停車した場合にその右側面及び左側面にそれぞれ接触する駆動タイヤの対が2つ存在しており、第一光電センサーが感知せず、第二光電センサーが感知するとき、前記2つの駆動タイヤの対のスイッチがオンになり、次いで第一光電センサーが感知が感知するとき、前記2つの駆動タイヤの対のスイッチがオフになることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置。
【請求項6】
一つの搬送経路を持つ請求項1〜のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置を複数連結したカゴ台車前詰め装置であって、一つのカゴ台車前詰め装置のカゴ台車右側面接触駆動部と他のカゴ台車前詰め装置のカゴ台車左側面接触駆動部を隣接させる態様でカゴ台車前詰め装置を連結し、複数の同一進行方向の搬送経路を形成したことを特徴とするカゴ台車前詰め装置。
【請求項7】
隣接させる一つのカゴ台車前詰め装置のカゴ台車右側面接触駆動部と他のカゴ台車前詰め装置のカゴ台車左側面接触駆動部のそれぞれの駆動タイヤが上方から見て互いに重ならず、進行方向において駆動タイヤの二つ分の直径より小さい幅でかつ一つ分の直径より大きい幅で千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項に記載のカゴ台車前詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下にピットを掘る必要がなく床面と搬送面が連続している、簡単な構造のカゴ台車搬送装置に関する。特に、本発明のカゴ台車搬送装置は、搬送が停止されたカゴ台車の後に続いてカゴ台車を順次詰めて配置することができる、カゴ台車の前詰め装置として好適に使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小さな荷物等を多数入れて運搬するためのカゴ台車が多く使用されている。かかるカゴ台車は、荷物の取り出しや積み込みの作業等を行うために人間が手で押して作業位置に移動されている。しかし、多数のカゴ台車を頻繁に移動させるのは、人間の労力の負担が大きく、作業効率の点で問題があった。
【0003】
かかる問題を考慮して、人間の労力によらずにカゴ台車を移動させるコンベヤシステムが数多く提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3は、いずれも駆動チェーンを持つコンベヤに台車を乗せて搬送するシステムであり、搬送ラインから台車を容易に退避させることができるものを提案する。特許文献1〜3のシステムは、複数のエリアを持たせるためにチェーンコンベヤを分割しており、チェーンコンベヤ間の隙間にスペーサを設けて台車の乗り移りをスムーズに行うようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3のシステムは、チェーンコンベヤを使用してカゴ台車を搬送するため、コンベヤ搬送面と床面(搬入路)を連続させるためにピットを床下に掘る必要があり、レイアウトの自由度が低く、既設の施設には容易に導入できない問題があった。また、荷物を満載した台車をコンベヤ上に載せて搬送するため、大きな駆動源が必要となり、設備コストが大きくなる問題があった。さらに、チェーンコンベヤ間の隙間に設けたスペーサは、組付け誤差により搬送面とスペーサの間に一定の段差が生じやすく、しかも台車の車輪がきちんと整列されていない場合には、車輪が段差をうまく乗り越えられず台車が詰まる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5107471号
【特許文献2】特許第5107472号
【特許文献3】特許第5173046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、床下にピットを掘る必要がなく床面と搬送面が連続しており、既設の施設にも容易に導入可能であり、かつカゴ台車を小さな動力でスムーズに搬送することができる、簡単な構造で設備コストが安価なカゴ台車搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、従来のようにカゴ台車をチェーンコンベヤ上に載せて搬送するのではなく、カゴ台車の右側面及び左側面の下方にそれぞれ駆動タイヤをばね力で押し付けて接触回転しながら搬送する方法により、比較的小さな動力でカゴ台車を容易に前送りすることができることを見出した。また、かかる方法は、駆動ユニットを搬送面下に設けないため、床下にピットを掘る必要がなく、簡単に床面と搬送面を連続させることができることを見出した。
【0008】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(7)の構成を有するものである。
(1)車輪付のパネルと、その周囲を直立して包囲する前面パネル、後面パネル、及び対向する右側面パネル、左側面パネルとからなる略直方体形状のカゴ台車が複数搬送され、先頭のカゴ台車の搬送が停止された後に続くカゴ台車が順次前詰めされるカゴ台車前詰め装置であって、カゴ台車を搬送する駆動ユニットが床面上に設けられており、前記駆動ユニットは、カゴ台車の搬送経路の右側及び左側にそれぞれ設けられたカゴ台車右側面接触駆動部及びカゴ台車左側面接触駆動部を有し、前記カゴ台車右側面接触駆動部及び前記カゴ台車左側面接触駆動部はそれぞれ、鉛直方向に駆動軸を持つ駆動タイヤを有し、前記カゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤと前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤは、互いにその走行面を向けてカゴ台車の進行方向と直角の直線上で対をなして存在し、前記対をなす一方のカゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤは、その走行面をカゴ台車右側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら右回転し、同時に前記対をなす他方の前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤは、その走行面をカゴ台車左側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら左回転し、それによりこれらの駆動タイヤの対が押し付けているカゴ台車を搬送経路の進行方向に搬送させることを特徴とするカゴ台車前詰め装置。
(2)前記カゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤと前記カゴ台車左側面接触駆動部の駆動タイヤの対は、少なくとも2つ設けられ、それらの対は、搬送経路の進行方向にカゴ台車の側面の進行方向長さ以下の駆動軸の間隔距離で設けられていることを特徴とする(1)に記載のカゴ台車前詰め装置。
(3)カゴ台車の搬送経路の最初の駆動タイヤの対を結ぶ直線より進行方向において1メートル以内手前の直線上にカゴ台車の先端が到達することを感知する光電センサーが設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載のカゴ台車前詰め装置。
(4)送され各カゴ台車が順次所定の前後間隔で所定の予定位置に停止される場合に、停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ車の先端が到達することを感知する光電センサーが設けられていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置。
先頭のカゴ台車の停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ台車の先端が到達することを感知する第一光電センサーが設けられ、先頭のカゴ台車に続く次のカゴ台車の停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前にカゴ台車の先端が到達することを感知する第二光電センサーが設けられ、前記次のカゴ台車が停止予定位置に停車した場合にその右側面及び左側面にそれぞれ接触する駆動タイヤの対が2つ存在しており、第一光電センサーが感知せず、第二光電センサーが感知するとき、前記2つの駆動タイヤの対のスイッチがオンになり、次いで第一光電センサーが感知が感知するとき、前記2つの駆動タイヤの対のスイッチがオフになることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置。
)一つの搬送経路を持つ(1)〜()のいずれかに記載のカゴ台車前詰め装置を複数連結したカゴ台車前詰め装置であって、一つのカゴ台車前詰め装置のカゴ台車右側面接触駆動部と他のカゴ台車前詰め装置のカゴ台車左側面接触駆動部を隣接させる態様でカゴ台車前詰め装置を連結し、複数の同一進行方向の搬送経路を形成したことを特徴とするカゴ台車前詰め装置。
)隣接させる一つのカゴ台車前詰め装置のカゴ台車右側面接触駆動部と他のカゴ台車前詰め装置のカゴ台車左側面接触駆動部のそれぞれの駆動タイヤが上方から見て互いに重ならず、進行方向において駆動タイヤの二つ分の直径より小さい幅でかつ一つ分の直径より大きい幅で千鳥状に配置されていることを特徴とする()に記載のカゴ台車前詰め装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の装置は、カゴ台車を搬送する駆動ユニットの駆動部をカゴ台車の搬送経路の右側及び左側に設け、カゴ台車の搬送経路の下側に設けていないため、床下にピットを掘らずに床面と搬送面を連続させることができ、新設の施設に限らず、既設の施設でも容易に導入可能である。また、本発明の装置は、カゴ台車の搬送手段としてカゴ台車の重量をそのまま受けて搬送するチェーンコンベヤ方式ではなく、カゴ台車の右側面及び左側面に駆動タイヤを接触させて前送りさせる方式であるので、駆動源の動力が比較的小さく済み、運転コストが低い。さらに、本発明の装置は、チェーンコンベヤ方式のような段差が搬送面に存在しないため、段差による移動の困難性やスペーサの設置の必要性が全くない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のカゴ台車搬送装置で使用するカゴ台車の一例の概略図である。
図2図2は、本発明のカゴ台車搬送装置においてカゴ台車の右側面と駆動タイヤの走行面が接触している状態を後方から見た一部分の概略図である。
図3図3は、本発明のカゴ台車搬送装置の一例の平面概略図である。
図4図4は、本発明のカゴ台車搬送装置の一例の別の平面概略図である。
図5図5は、本発明のカゴ台車搬送装置の一例の別の平面概略図である。
図6図6は、本発明のカゴ台車搬送装置を複数設けたカゴ台車搬送装置の一例の平面概略図である。
図7図7は、本発明のカゴ台車搬送装置の制御フローの一例を示す。
図8図8は、本発明のカゴ台車搬送装置の制御フローの一例を示す。
図9図9は、本発明のカゴ台車搬送装置の制御フローの一例を示す。
図10図10は、本発明のカゴ台車搬送装置の制御フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のカゴ台車搬送装置について添付図面を参照しながら以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明のカゴ台車搬送装置に使用されるカゴ台車としては、車輪付の床パネル上に荷物を順に高く積み重ね、人間の手で押して移動させることができる、略直方体形状のものを好適に使用することができる。例えば、図1に示すように、車輪付の床パネル2と、その周囲を直立して包囲する前面パネル3、後面パネル4、及び二つの対向する右側面パネル5、左側面パネル(図示せず)とからなるカゴ台車1を挙げることができ、製品によってはロールボックス、イージーコンテナー、またはパイプカーゴとも称される。本発明で使用するカゴ台車は、前面、後面、側面の幅が60cm〜2m、高さが1〜3mの大きさを有するタイプのものが好ましい。また、本発明で使用するカゴ台車は、その両側面の下方部分に側面の進行方向長さにわたって駆動タイヤの押圧接触可能部分(駆動力伝達可能部分)が存在することが好ましい。なお、図1は、後述する本発明のカゴ台車搬送装置のカゴ台車右側面接触駆動部の駆動タイヤがカゴ台車の右側面の下方に接触している部分も概略的に示している。
【0013】
次に、上述のカゴ台車を搬送する駆動ユニットを床面上に設けたカゴ台車搬送装置を図3に基づいて説明する。図3は、本発明のカゴ台車搬送装置の一例の平面概略図である。図中、1はカゴ台車であり、矢印はカゴ台車1の進行方向である。6はカゴ台車右側面接触駆動部、7はカゴ台車左側面接触駆動部であり、両方でカゴ台車を搬送する駆動ユニットを構成する。カゴ台車右側面接触駆動部6及びカゴ台車左側面接触駆動部7は、カゴ台車1の搬送経路の右側及び左側にそれぞれ設置され、カゴ台車の右側面及び左側面のそれぞれに進行方向に移動させる力を伝達する駆動タイヤ8を持つ。
【0014】
駆動タイヤ8は、図2に示すように鉛直方向に駆動軸を持ち、電気モーターなどの駆動源9によって回転される。駆動タイヤ8は、図2に示すように同一駆動軸で複数個重ねて使用してもよい。図1及び図2では、カゴ台車右側面接触駆動部6の駆動タイヤ8の走行面が、ばね押圧手段10のばね力によってカゴ台車1の右側面5の下方の押圧接触可能部分(駆動力伝達可能部分)に対して接触するように押し付けられる態様のみが示されているが、反対側のカゴ台車左側面接触駆動部7の駆動タイヤ8の走行面も同時に同様にカゴ台車1の左側面の下方の押圧接触可能部分(駆動力伝達可能部分)に対してばね押圧手段のばね力によって接触するように押し付けられる。このとき、カゴ台車は、右側面と左側面の両側を駆動タイヤ8によって挟まれて押し付けられている状態にあり、この状態でカゴ台車右側面接触駆動部6の駆動タイヤ8が右回転し、同時にカゴ台車左側面接触部7の駆動タイヤ8が左回転することにより、両駆動タイヤが押し付けているカゴ台車を搬送経路の進行方向に前送りさせることができる。このように、本発明の方法は、チェーンコンベヤ方式のようにカゴ台車の重量をそのまま受けて搬送するのではなく、カゴ台車の両側面をそれぞれ同時に押し付けて駆動力を伝達しているので、比較的小さい動力でカゴ台車を前送りさせることができる。
【0015】
カゴ台車右側面接触駆動部6の駆動タイヤ8とカゴ台車左側面駆動部7の駆動タイヤ8は、図3に示すように、互いにその走行面を向けてカゴ台車の進行方向と直角の直線上で対をなして存在する。駆動タイヤの対の数は、搬送経路の距離に依存するが、少なくとも2つ、さらには少なくとも3つ、さらには少なくとも4つであることが好ましい。また、駆動タイヤの対が複数設けられる場合は、駆動タイヤの対は、搬送経路の進行方向にカゴ台車の側面の進行方向長さ以下の駆動軸の間隔距離で設けられることが好ましい。これによりカゴ台車の側面を駆動タイヤの少なくとも1対が安定して押し挟んで駆動力を伝達することができ、カゴ台車の進行方向への前送りをスムーズに行なうことができる。
【0016】
本発明のカゴ台車搬送装置は、図3に示すように、本発明の装置に進入して来る(具体的には11間の直線光を遮る)カゴ台車を感知する光電センサー11を設けることが好ましい。かかる光電センサー11は、カゴ台車の搬送経路の最初の駆動タイヤ対のそれぞれの駆動軸を結ぶ直線(具体的には12同士を結ぶ直線)より進行方向において好ましくは1メートル以内手前、より好ましくは10cm〜100cm手前の直線(具体的には11同士を結ぶ直線)上にカゴ台車の先端が到達することを感知するように構成される。このように進入して来るカゴ台車を予め感知することにより、その後に続く駆動タイヤの回転の始動・停止を適切に制御することができる。
【0017】
本発明のカゴ台車搬送装置は、図5図3に示すように、複数のカゴ台車が搬送され、各カゴ台車が順次所定の前後間隔で所定の予定位置に停止される場合に、各停止予定位置の先端より進行方向において50cm以内手前、より好ましくは10cm〜50cm手前にカゴ台車の先端が到達することを感知する光電センサー12を設けることが好ましい。かかる光電センサー12は、搬送するカゴ台車の先端と平行に配置され、具体的には図3に示すように12間の直線光を遮るカゴ台車を感知するように構成される。上述の光電センサー12がカゴ台車を感知することでカゴ台車の位置情報を取得する。光電センサー12の位置は可変であり、カゴ台車の停止間隔により決定される。また、光電センサー12は、駆動タイヤの始動・停止スイッチとしての働きを持つ。光電センサー12により駆動タイヤの回転の始動停止を適切に制御することで、カゴ台車間の衝突を回避しながら複数のカゴ台車をスムーズに移動することができる。
【0018】
本発明のカゴ台車搬送装置は、図6に示すように、一つの搬送経路を持つ上述したカゴ台車搬送装置を複数連結することができ、この場合、一つのカゴ台車搬送装置のカゴ台車右側面接触駆動部と他のカゴ台車搬送装置のカゴ台車左側面接触駆動部を隣接させる態様でカゴ台車搬送装置を連結し、複数の同一進行方向の搬送経路を形成することが好ましい。例えば、図6のカゴ台車搬送装置では、三つの同一進行方向の搬送経路が形成されている。これにより多数のカゴ台車の荷物の取り出しや積み込みの作業を行なうことができる。
【0019】
上述のように一つの搬送経路を持つカゴ台車搬送装置を複数連結する場合、カゴ台車右側面接触駆動部とカゴ台車左側面接触駆動部の連結は、カゴ台車右側面接触駆動部とカゴ台車左側面接触駆動部をそれぞれ独立した形で隣接して連結してもよいが、スペース効率を上げるため、図6の中央の二つの駆動部連結部に示すように、隣接させるカゴ台車右側面接触駆動部とカゴ台車左側面接触駆動部のそれぞれの駆動タイヤが上方から見て互いに重ならず、進行方向において駆動タイヤの二つ分の直径より小さい幅でかつ一つ分の直径より大きい幅で千鳥状に配置されていることが好ましい。
【0020】
次に、本発明のカゴ台車搬送装置の制御方法の一例について図5図7図10を使用して例示する。なお、カゴ台車搬送装置は図5に示すものを使用し、図中のPH1〜PH5は前述した光電センサー、Motor1〜Motor4は前述した駆動タイヤの対を示す。また、図7図10の制御フローのSTART,ENDはそれぞれ開始、終了を意味し、PH1〜PH5のON,OFFはそれぞれPH1〜PH5の感知あり、感知なしを意味し、Motor1〜Motor4のON,OFFはそれぞれMotor1〜Motor4のスイッチオン、スイッチオフを意味し、N,Yはそれぞれ「NO(いいえ)」、「YES(はい)」を意味する。
【0021】
図7は、カゴ台車がカゴ台車搬送装置に進入してPH1の感知後からPH2の感知後までの制御フローを示し、図8は、PH2の感知後からPH3の感知後までの制御フローを示し、図9は、PH3の感知後からPH4の感知後までの制御フローを示し、図10は、PH4の感知後からカゴ台車搬送装置が終了するまでの制御フローを示す。図7図10に示す制御フローは一例にすぎず、目的に応じて他の制御フローも採用可能である。
【0022】
本発明のカゴ台車搬送装置は、いかなるカゴ台車搬送装置にも使用することができるが、図3図5に示すように、カゴ台車が続けて進入し、先頭のカゴ台車の搬送が停止された後に順次前詰めして配置される、カゴ台車の前詰め装置として好適である。
【0023】
本発明の装置の一例を図面に基づいて上で説明したが、カゴ台車の両側面のそれぞれの下方に駆動タイヤを接触押圧しながら駆動力を伝達してカゴ台車を前送りすることができる限り、本発明の装置の一部の構成要素の従来技術による置換、追加、及び/又は削除は本発明の技術的範囲の範疇に属する。例えば、駆動タイヤをばね力で押し付けて駆動力を伝達する手段や光電センサーは、従来公知の同様の機能を有するものに変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のカゴ台車搬送装置は、チェーンコンベヤ式のように床下にピットを掘らずに床面と搬送面の連続を容易に達成でき、しかも低コストの簡単な構造を持つので、荷物の配送、仕分けを行なう業界において極めて有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 カゴ台車
2 車輪付の床パネル
3 前面パネル
4 後面パネル
5 右側面パネル
6 カゴ台車右側面接触駆動部
7 カゴ台車左側面接触駆動部
8 駆動タイヤ
9 駆動源
10 ばね押圧手段
11 光電センサー
12 光電センサー
【要約】      (修正有)
【課題】床下にピットを掘る必要がなく床面と搬送面が連続し、かつカゴ台車を小さな動力でスムーズに搬送できる、カゴ台車搬送装置を提供する。
【解決手段】カゴ台車1を挟んで搬送する駆動ユニットを床面上に設け、前記駆動ユニットは、カゴ台車右側面接触駆動部6及びカゴ台車左側面接触駆動部7を有し、前記カゴ台車右側面接触駆動部6及び前記カゴ台車左側面接触駆動部7はそれぞれ、鉛直方向に駆動軸を持つ駆動タイヤ8を互いにその走行面を向け合って対をなして配置し、前記カゴ台車右側面接触駆動部6の前記駆動タイヤ8は、その走行面を前記カゴ台車1の右側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら右回転し、同時に前記カゴ台車左側面接触駆動部7の前記駆動タイヤ8は、その走行面を前記カゴ台車1の左側面の下方にばね力で押し付けられて接触しながら左回転し、それにより前記カゴ台車1を搬送経路の進行方向に搬送する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10