特許第5784875号(P5784875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784875
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】ノズルプレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20150907BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B41J2/14 501
   B41J2/14 613
   B41J2/16 401
   B41J2/16 507
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2009-267757(P2009-267757)
(22)【出願日】2009年11月25日
(65)【公開番号】特開2010-125853(P2010-125853A)
(43)【公開日】2010年6月10日
【審査請求日】2012年10月9日
(31)【優先権主張番号】10-2008-0118810
(32)【優先日】2008年11月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】姜 城 圭
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−038270(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/011403(WO,A1)
【文献】 特開2004−268359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ部と、
前記ボディ部の表面から先端部が突出して形成されるノズルと、を備え、
前記ノズルの先端部の壁は、前記ノズルの吐出口から遠ざかるほど厚く形成され、
前記ノズルの先端部の下部は、前記ノズルの吐出口側に行くほど減少する断面積を有し、前記ノズルの先端部の上部は、一定の端面積を有しつつ前記先端部の下部から前記ノズルの吐出口側に延びることを特徴とするノズルプレート。
【請求項2】
前記ノズルの先端部の下部の内壁面は、前記ボディ部の表面に対して所定角度に傾斜して形成されており、
前記ノズルの先端部の外壁面は、前記ボディ部の表面に対して前記ノズルの先端部の下部の内壁面より小さい角度に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記ボディ部は、<100>結晶方向のシリコンからなることを特徴とする請求項2に記載のノズルプレート。
【請求項4】
前記ノズルの先端部の下部の内壁面は、(100)結晶面に対して54.7°傾斜した4つの(111)結晶面で構成されることを特徴とする請求項3に記載のノズルプレート。
【請求項5】
前記ノズルの先端部の内壁面は、円形または多角形の断面形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノズルプレート。
【請求項6】
前記ノズルの先端部の外壁面は、円形または多角形の断面形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のノズルプレート。
【請求項7】
前記ボディ部の両側に沿って形成された突出部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のノズルプレート。
【請求項8】
ノズルの下部を形成するための第1エッチングマスクを基板の下面に形成する工程と、
前記第1エッチングマスクを利用して、前記基板の下面を異方性エッチングすることにより、前記ノズルの下部を形成する工程と、
前記基板の上面にアイランドパターンを有する第2エッチングマスクを形成する工程と、
前記第2エッチングマスクを利用して、前記基板の上面を異方性ウェットエッチングすることにより、前記基板の上面にアイランドを形成する工程と、
前記ノズルの上部を形成するための第3エッチングマスクを前記基板上に形成する工程と、
前記第3エッチングマスクを利用して、前記アイランドの上面を異方性エッチングすることにより、前記ノズルの上部を形成する工程と、を含み、
前記ノズルの壁は、前記ノズルの吐出口から遠ざかるほど厚く形成されることを特徴とするノズルプレートの製造方法。
【請求項9】
前記ノズルの上部は、異方性ドライエッチングによって、前記ノズルの長手方向に沿って一定の断面積を有する空間を画定するように形成されることを特徴とする請求項8に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項10】
前記ノズルの下部は、異方性ウェットエッチングによって、前記ノズルの上部側に行くほど断面積が減少する空間を画定するように形成されることを特徴とする請求項9に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項11】
前記ノズルの下部の内壁面は、前記基板の下面に対して所定角度に傾斜して形成され、
前記ノズルの外壁面は、前記基板の下面に対して前記ノズルの下部の内壁面より小さい角度に傾斜して形成されることを特徴とする請求項10に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項12】
前記基板は、<100>結晶方向のシリコン基板であることを特徴とする請求項11に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項13】
前記ノズルの下部の内壁面は、(100)結晶面に対して54.7°傾斜した4つの(111)結晶面で構成されることを特徴とする請求項12に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項14】
前記ノズルの下部は、異方性ドライエッチングによって、前記ノズルの長手方向に沿って一定の断面積を有する空間を画定するように形成されることを特徴とする請求項9に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項15】
前記ノズルの下部は、前記ノズルの上部より大きな断面積を有する空間を画定することを特徴とする請求項14に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項16】
前記ノズルの外壁面は、前記基板の下面に対して所定角度に傾斜して形成されることを特徴とする請求項14または15に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項17】
前記第2エッチングマスクは、突出部パターンを含み、
前記突出部パターンによって、前記基板の両側に沿って突出部を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突出型ノズルを備えるノズルプレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェットプリンティング技術は、ノズルプレートに形成されたノズルを通じてインクの微小な液滴を印刷媒体上の所望の位置に吐出させることによって、所定画像を印刷する技術を称す。最近では、このようなインクジェットプリンティング技術が画像の印刷以外にも、印刷電子工学、バイオテクノロジー、またはバイオサイエンスのように、多様な分野に応用されている。このようなインクジェットプリンティング技術は、一回の工程でパターンが形成できるため、フォトリソグラフィ工程に比べて、コストを大きく低減させうるという長所がある。そして、インクジェットプリンティング技術は、電子回路の製作において、ガラス基板以外に、フレキシブル基板に対しても使われうるので、フレキシブルディスプレイ装置分野にも好適に適用されうる。
【0003】
インクジェットプリンティング技術としては、熱源を利用してバブルを発生させ、このバブルが膨張力によって液滴を吐出させる熱駆動方式のプリンティング技術と、圧電体の変形を利用して液滴を吐出させる圧電方式のプリンティング技術とがある。一方、最近では、静電気力を利用して液滴を吐出させる電子流体力学方式のプリンティング技術が開発されているが、このような電子流体力学方式のプリンティング技術は、既存の熱駆動方式や圧電方式に比べて、吐出される液滴の体積を大きく減らせるという長所がある。
【0004】
インクジェットプリンティング技術が前記印刷電子工学、バイオテクノロジー、またはバイオサイエンスのような分野に適用されるためには、ノズルから吐出される液滴の体積が小さく、また、吐出された液滴が所望の位置に正確に到達せねばならない。このように、吐出液滴の体積を減らすためには、ノズルプレートに形成されたノズルの直径が小さくなければならない。そして、突出したノズル構造を有するノズルプレートでは、前記ノズル構造が脆弱にならないように強固なノズル壁が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2007−0043591号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第2007−0060924号明細書
【特許文献3】特開2003−311972号公報
【特許文献4】特開平5−229128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、突出型ノズルを備えるノズルプレート及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明の一側面によるノズルプレートは、ボディ部と、前記ボディ部の表面から先端部が突出して形成されるノズルと、を備え、前記ノズルの先端部の壁は、前記ノズルの吐出口から遠ざかるほど厚く形成され、前記ノズルの先端部の下部は、前記ノズルの吐出口側に行くほど減少する断面積を有し、前記ノズルの先端部の上部は、一定の端面積を有しつつ前記先端部の下部から前記ノズルの吐出口側に延びる。
【0009】
前記ノズルの先端部の下部の内壁面は、前記ボディ部の表面に対して所定角度に傾斜して形成されており、前記ノズルの先端部の外壁面は、前記ボディ部の表面に対して前記ノズルの先端部の下部の内壁面より小さい角度に傾斜して形成されうる。
【0010】
前記ボディ部は、<100>結晶方向のシリコンからなりうる。この場合、前記ノズルの先端部の下部の内壁面は、(100)結晶面に対して54.7°傾斜した4つの(111)結晶面で構成されうる。
【0012】
前記ノズルの先端部の内壁面は、円形または多角形の断面形状を有しうる。そして、前記ノズルの先端部の外壁面も、円形または多角形の断面形状を有しうる。
【0013】
前記ノズルプレートは、前記ボディ部の両側に沿って形成された突出部をさらに備える。
【0014】
また、前記課題を達成するために、本発明の他の側面によるノズルプレートの製造方法は、ノズルの下部を形成するための第1エッチングマスクを基板の下面に形成する工程と、前記第1エッチングマスクを利用して、前記基板の下面を異方性エッチングすることにより、前記ノズルの下部を形成する工程と、前記基板の上面にアイランドパターンを有する第2エッチングマスクを形成する工程と、前記第2エッチングマスクを利用して、前記基板の上面を異方性ウェットエッチングすることにより、前記基板の上面にアイランドを形成する工程と、前記ノズルの上部を形成するための第3エッチングマスクを前記基板上に形成する工程と、前記第3エッチングマスクを利用して、前記アイランドの上面を異方性エッチングすることにより、前記ノズルの上部を形成する工程と、を含み、前記ノズルの壁は、前記ノズルの吐出口から遠ざかるほど厚く形成される。
【0015】
前記ノズルの上部は、異方性ドライエッチングによって、前記ノズルの長手方向に沿って一定の断面積を有する空間を画定するように形成されうる。
【0016】
前記ノズルの下部は、異方性ウェットエッチングによって、前記ノズルの上部側に行くほど断面積が減少する空間を画定するように形成されうる。ここで、前記ノズルの下部の内壁面は、前記基板の下面に対して所定角度に傾斜して形成され、前記ノズルの外壁面は、前記基板の下面に対して前記ノズルの下部の内壁面より小さい角度に傾斜して形成されうる。
【0017】
前記ノズルの下部は、異方性ドライエッチングによって、前記ノズルの長手方向に沿って一定の断面積を有する空間を画定するように形成されうる。この場合、前記ノズルの下部は、前記ノズルの上部より大きな断面積を有する空間を画定しうる。ここで、前記ノズルの外壁面は、前記基板の下面に対して所定角度に傾斜して形成されうる。
【0018】
前記第2エッチングマスクは、突出部パターンを含み、前記突出部パターンによって前記基板の両側に沿って突出部を形成する工程がさらに含まれうる。
【発明の効果】
【0019】
本実施形態によれば、ノズル壁を吐出口から遠ざかるほど厚く形成することによって、強固なノズル構造を有するノズルプレートを具現しうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態によるノズルプレートの一部を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示されたノズルプレートの平面図である。
図3図2のIII-III’線に沿った断面図である。
図4A図1に示されたノズルプレートにおけるノズル上部の断面を示す図である。
図4B図1に示されたノズルプレートにおけるノズル下部の断面を示す図である。
図5】本発明の他の実施形態によるノズルプレートの断面を示す図である。
図6A図1に示されたノズルプレートの製造方法を説明するための図である。
図6B図6Aに示される基板の底面図である。
図7A図6Aに後続する図である。
図7B図7Aに示される基板の底面図である。
図8図7Aに後続する図である。
図9A図8に後続する図である。
図9B図9Aに示される基板の平面図である。
図10A図9Aに後続する図である。
図10B図10Aに示される基板の平面図である。
図11図10Aに後続する図である。
図12図11に後続する図である。
図13図12に後続する図である。
図14A図13に後続する図である。
図14B図14Aに示される基板の平面図である。
図15図5に示されたノズルプレートの製造方法を説明するための図である。
図16図15に後続する図である。
図17図16に後続する図である。
図18図17に後続する図である。
図19図18に後続する図である。
図20図19に後続する図である。
図21図20に後続する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図面において、同じ参照符号は、同じ構成要素を表し、各構成要素のサイズや厚さは、説明の明瞭性のために誇張している。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態によるノズルプレートの一部を概略的に示す斜視図である。そして、図2は、図1に示されたノズルプレートの平面図であり、図3は、図2のIII-III’に沿った断面図である。図4A及び図4Bは、図1に示されたノズルプレートにおけるノズル上部の断面及びノズル下部の断面をそれぞれ示した図である。
【0023】
図1図4Bを参照すれば、本実施形態によるノズルプレート500は、ボディ部510と、ボディ部510から突出して形成される複数のノズル520と、を備える。ここで、ノズル壁521の厚さNは、ノズル520の吐出口526から遠ざかるほど次第に厚く形成される。そして、ノズル520を保護するために、ボディ部510の両側に沿って突出部530がさらに形成されうる。
【0024】
ノズル下部520bは、ノズル520の吐出口526側に行くほど断面積が次第に減少する空間524bを画定する形状を有しうる。ノズル下部520bの内壁面523bは、図4Bに示されたように、矩形の断面形状を有しうる。しかし、これに限定されず、ノズル下部520bの内壁面523bは、円形または多様な多角形の断面形状を有しうる。ノズル下部520bの内壁面523bは、ボディ部510の表面に対して所定角度θ傾斜して形成されうる。例えば、ボディ部510が<100>結晶方向のシリコンからなる場合には、ノズル下部520bの内壁面523bは、(100)結晶面に対して、約54.7°傾斜した4つの(111)結晶面で構成されうる。ノズル上部520aは、ノズル下部520bからノズル520の吐出口526側に延びうる。ここで、ノズル上部520aは、一定の断面積を有する空間524aを画定しうる。ノズル上部520aの内壁面523aは、図4Aに示されたように、円形の断面形状を有しうる。しかし、これに限定されず、ノズル上部520aの内壁面523aは、多様な多角形の断面形状を有することもある。
【0025】
ノズル520の外壁面522は、ボディ部510の表面に対して所定角度θ傾斜して形成されうる。ノズル520の外壁面522は、図4A及び図4Bに示されたように、八角形の断面形状を有しうる。しかし、これに限定されず、ノズル520の外壁面522は、円形または多様な多角形の断面形状を有しうる。ノズル外壁面522の傾斜角θは、ノズル下部520bの内壁面523bの傾斜角θより小さくありうる。これにより、ノズル壁521は、ノズル520の吐出口526から遠ざかるほど次第に厚く形成されうる。このように、ノズル壁521がノズル520の吐出口526から遠ざかるほど厚く形成されれば、さらに強固なノズル構造が得られるので、信頼できるノズルプレート500が得られる。一方、図面には示されていないが、ノズル520の内壁面523a,523bを含むノズルプレート500の全面には、図14Aに示されたように、所定の酸化物層206、例えば、シリコン酸化物層が形成されることもある。
【0026】
図5は、本発明の他の実施形態によるノズルプレートの断面を示す図面である。
【0027】
図5を参照すれば、本実施形態によるノズルプレート600は、ボディ部610と、ボディ部610から突出して形成される複数のノズル620と、を備える。ここで、ノズル壁621の厚さは、ノズル620の吐出口626から遠ざかるほど次第に厚く形成される。そして、ノズル620を保護するために、ボディ部610の両側に沿って突出部630がさらに形成されうる。ノズル下部620bは、ノズル620の吐出口626側に沿って一定の断面積を有する空間624bを画定しうる。ノズル下部620bの内壁面623bは、円形または多角形の断面形状を有しうる。ノズル上部620aは、一定の断面積を有する空間624aを画定しうる。ここで、ノズル上部620aは、ノズル下部620bよりも小さい断面積を有する空間を画定しうる。このようなノズル上部620aの内壁面623aは、円形または多角形の断面形状を有しうる。
【0028】
ノズル620の外壁面622は、ボディ部610の表面に対して所定角度に傾斜して形成されうる。これにより、ノズル壁621は、ノズル620の吐出口626から遠ざかるほど厚く形成されうる。このようなノズル620の外壁面622は、円形または多角形の断面形状を有しうる。
【0029】
以下では、本発明のさらに他の実施形態によるノズルプレートの製造方法を説明する。図6A図14Bは、図1に示されたノズルプレートの製造方法を説明するための図である。
【0030】
図6A及び図6Bは、基板501の下面に第1エッチングマスク201が形成された様子を示した断面図及び底面図である。図6A及び図6Bを参照すれば、まず、基板501を準備する。基板501としては、シリコン基板、例えば、<100>結晶方向のシリコン基板が使われうる。しかし、これに限定されるものではない。次いで、基板501の下面にノズル下部領域を露出させる貫通孔201aが形成された第1エッチングマスク201を形成する。このような第1エッチングマスク201は、基板501の下面に所定の酸化物層、例えば、シリコン酸化物層を形成した後、これをパターニングすることによって形成されうる。
【0031】
図7A及び図7Bは、基板501の下面をエッチングすることによって、ノズル下部520bが形成された様子を示した断面図及び底面図である。図7A及び図7Bを参照すれば、第1エッチングマスク201を利用して、基板501の下面を異方性ウェットエッチングすることによって、ノズル下部520bを形成する。この時に使われるエッチング液としては、TMAH(Trimethylammonium hydroxide)溶液またはKOH溶液が使われうる。しかし、これらに限定されるものではない。このような異方性ウェットエッチングによって、ノズル下部520bは、基板501の上部側に行くほど断面積が次第に減少する空間を画定するように形成されうる。これにより、ノズル下部520bの内壁面523bは、基板501の表面に対して所定角度に傾斜して形成されうる。このようなノズル下部520bの内壁面523bは、円形または多角形の断面形状を有しうる。例えば、基板501として<100>結晶方向のシリコン基板が使われる場合、ノズル下部520bの内壁面523bは、(100)結晶面に対して約54.7°傾斜した4つの(111)結晶面で構成されうる。次いで、図8に示されたように、所望の上部ノズル520a(図14A)の長さに対応するように、基板501を所望の厚さに加工する。
【0032】
図9A及び図9Bは、ノズル下部520bが形成された基板501の上面に、第2エッチングマスク203が形成された様子を示した断面図及び平面図である。図9A及び図9Bを参照すれば、基板501の上面に、ノズル520(図14A)に対応するアイランドパターン(island pattern)203aを有する第2エッチングマスク203を形成する。ここで、第2エッチングマスク203には、後述する突出部530(図14A)に対応する突出部パターン203bがさらに形成されうる。第2エッチングマスク203は、ノズル下部520bが形成された基板501の全面に所定の酸化物層、例えば、シリコン酸化物層を形成した後、基板501の上面に形成された酸化物層をパターニングすることによって形成されうる。この過程で、ノズル下部520bが形成された基板501の下面に酸化物層202が形成される。
【0033】
図10A及び図10Bは、基板501の上面をエッチングすることによって、ノズル520の外壁面522を形成した様子を示した断面図及び平面図である。図10A及び図10Bを参照すれば、第2エッチングマスク203を利用して、基板501の上面を所定深さに異方性ウェットエッチングすれば、基板501の上面に、アイランドパターン203aによって突出したアイランドが形成され、このアイランドの周囲にトレンチ220が形成される。そして、突出部パターン203bによって、基板501の両側に沿って突出部530が形成されうる。この時に使われるエッチング液としては、TMAH溶液またはKOH溶液が使われうる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0034】
このような異方性ウェットエッチングによって、ノズル520の外壁面522が基板501の下面またはトレンチ220の底面に対して所定角度だけ傾斜して形成されうる。ここで、ノズル520の外壁面522は、基板501の下面に対して、ノズル下部520bの内壁面523bより小さな角度に傾斜して形成されうる。これにより、ノズル壁521がノズル520の吐出口から遠ざかるほど次第に厚く形成されうる。例えば、基板501として<100>結晶方向のシリコン基板が使われる場合、ノズル520の外壁面522は、(100)結晶面に対して約43〜45°傾斜して形成されうる。図10Bには、基板501として(100)結晶方向のシリコン基板が使われる場合、ノズル520の外壁面522が8個の結晶面で構成される場合が例示的に示されている。しかし、本実施形態は、これに限定されず、ノズル520の外壁面522は、円形または多様な多角形の断面形状を有しうる。次いで、基板上に形成された酸化物層202及び第2エッチングマスク203を除去する。
【0035】
図11は、基板501の全面に酸化物層を形成した様子を示した断面図である。図11を参照すれば、基板501の全面に所定の酸化物層204,205、例えば、シリコン酸化物層を形成する。図12は、基板501上に、ノズル上部520aの形成のための第3エッチングマスク207が形成された状態を示した断面図である。図12を参照すれば、基板501の上面に形成された酸化物層205上に、ノズル上部領域を露出させる貫通孔が形成された第3エッチングマスク207を形成する。
【0036】
このような第3エッチングマスク207は、基板501の上面に形成された酸化物層205上にフォトレジストを塗布し、これをパターニングすることによって形成されうる。ここで、前記フォトレジストの塗布は、例えば、スプレーコーターによって行われうる。しかし、これに限定されるものではない。
【0037】
図13は、ノズル上部520aを形成した様子を示した断面図である。図13を参照すれば、第3エッチングマスク207を利用して、アイランド上の酸化物層205及び基板501を異方性ドライエッチングすれば、ノズル上部520aが形成される。ここで、前記異方性ドライエッチングとしては、例えば、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma−Reactive Ion Etching)が使われうる。しかし、これに限定されるものではない。このような異方性ドライエッチングによって、一定の断面積を有する空間を画定するノズル上部520aが形成されうる。ここで、ノズル上部520aの内壁面523aは、円形または多角形の断面形状を有するように形成されうる。次いで、第3エッチングマスク207及び酸化物層204,205を除去する。これにより、ノズル下部520bとノズル上部520aとが連結されることによってノズル520が形成される。
【0038】
図14A及び図14Bは、基板510の全面に酸化物層206を形成した様子を示した断面図及び平面図である。図14A及び図14Bを参照すれば、基板501が、例えば、シリコン基板である場合には、ノズル520の内壁面523a,523bを含む基板501の全面に所定の酸化物層206、例えば、シリコン酸化物層をさらに形成しうる。これにより、本実施形態によるノズルプレートが完成される。
【0039】
図15図21は、図5に示されたノズルプレートの製造方法を説明するための図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
図15は、基板601の下面にノズル下部620bを形成した様子を示した断面図である。図15を参照すれば、まず、基板601を準備した後、基板601の下面に、ノズル下部領域を露出させる貫通孔301aが形成された第1エッチングマスク301を形成する。基板601としては、例えば、シリコン基板が使われうる。そして、第1エッチングマスク301は、基板601の下面に所定の酸化物層、例えば、シリコン酸化物層を形成した後、これをパターニングすることによって形成されうる。次いで、第1エッチングマスク301を利用して、基板601の下面を異方性ドライエッチングすることによって、ノズル下部620bを形成する。ここで、前記異方性ドライエッチングとしては、例えば、ICP−RIEが使われうる。このような異方性ドライエッチングによって、一定の断面積を有する空間を画定するノズル下部620bが形成されうる。図16に示されたように、所望の上部ノズル620a(図21)の長さに対応するように、基板601を所望の厚さに加工する。
【0041】
図17は、ノズル下部620bが形成された基板601の上面に、第2エッチングマスク303が形成された様子を示した断面図である。図17を参照すれば、基板601の上面に、ノズル620(図21)に対応するアイランドパターン303aを有する第2エッチングマスク303を形成する。ここで、第2エッチングマスク303には、後述する突出部630(図21)に対応する突出部パターン303bがさらに形成されうる。第2エッチングマスク303は、ノズル下部620bが形成された基板601の全面に所定の酸化物層、例えば、シリコン酸化物層を形成した後、基板601の上面に形成された酸化物層をパターニングすることによって形成されうる。この過程で、ノズル下部620bが形成された基板601の下面に酸化物層302が形成される。
【0042】
図18は、基板601の上面をエッチングすることによって、ノズル620の外壁面622を形成した様子を示した断面図である。図18を参照すれば、第2エッチングマスク303を利用して、基板601の上面を所定深さに異方性ウェットエッチングすれば、基板601の上面にアイランドパターンによって突出したアイランドが形成され、このアイランドの周囲にトレンチ320が形成される。そして、突出部パターン303bによって、基板601の両側に沿って突出部630が形成されうる。この時に使われるエッチング液としては、TMAH溶液またはKOH溶液が使われうる。しかし、これらに限定されるものではない。このような異方性ウェットエッチングによって、ノズル620の外壁面622は、基板601の下面またはトレンチ320の底面に対して所定角度に傾斜して形成されうる。ノズル620の外壁面622は、円形または多様な多角形の断面形状を有しうる。次いで、基板601上に形成された酸化物層302及び第2エッチングマスク303を除去する。
【0043】
図19は、基板601上に、第3エッチングマスク307を形成した様子を示した断面図である。図19を参照すれば、まず、基板601の全面に所定の酸化物層304,305、例えば、シリコン酸化物層を形成する。次いで、基板601の上面に形成された酸化物層305上に、ノズル上部領域を露出させる貫通孔が形成された第3エッチングマスク307を形成する。このような第3エッチングマスク307は、基板601の上面に形成された酸化物層305上にフォトレジストを塗布し、これをパターニングすることによって形成されうる。ここで、前記フォトレジストの塗布は、例えば、スプレーコーターによって行われうる。しかし、これに限定されるものではない。
【0044】
図20は、ノズル上部620aを形成した様子を示した断面図である。図20を参照すれば、第3エッチングマスク307を利用して、アイランド上の酸化物層305及び基板601を異方性ドライエッチングすれば、ノズル上部620aが形成される。ここで、前記異方性ドライエッチングとしては、例えば、ICP−RIEが使われうる。しかし、これに限定されるものではない。このような異方性ドライエッチングによって、一定の断面積を有する空間を画定するノズル上部620aが形成されうる。ここで、ノズル上部620aは、ノズル下部620bより小さな断面積を有する空間を画定するように形成されうる。そして、このようなノズル上部620aの内壁面623aは、円形または多角形の断面形状を有するように形成されうる。次いで、第3エッチングマスク307及び酸化物層304,305を除去する。これにより、ノズル下部620bとノズル上部620aとが連結されることによって、ノズル620が形成される。
【0045】
図21は、基板610の全面に酸化物層306を形成した様子を示した断面図及び平面図である。図21で基板601が、例えば、シリコン基板である場合には、ノズル620の内壁面623a,623bを含む基板601の全面に所定の酸化物層306、例えば、シリコン酸化物層をさらに形成されうる。
【0046】
以上、本発明の実施形態が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、インクジェットプリンティングに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
500 ノズルプレート、
510 ボディ部、
520 ノズル、
530 突出部。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21