【文献】
STACEY,M.A. et al, The Allergen Der p1 Induces NF−kB Activation through Interference with IkBα Function in Asthmatic Bronchial Epithelial Cells. , Biochem Biophys Res Commun, 1997, Vol.236, No.2, p.522−526
【文献】
BARNES,P.J. et al, NF−κB: a pivotal role in asthma and a new target for therapy. , Trends Pharmacol Sci, 1997, Vol.18, No.2, p.46−50
【文献】
無江季次, シグナル伝達,転写因子 ぜん息とシグナル伝達,転写因子 , ぜん息, 2000, Vol.13, No.4, p.15−24
【文献】
PAPI,A. et al, Rhinovirus Infection Induces Expression of Its Own Receptor Intercellular Adhesion Molecule 1(ICAM−1) via Increased NF−κB−mediated Transcription. , J Biol Chem, 1999, Vol.274, No.14, p.9707−9720
【文献】
山谷睦雄, 呼吸器ウイルス感染症の病態と治療 , 呼吸, 1998, Vol.17, No.10, p.1124−1130
【文献】
相良博典, 治療学, 1998, vol.32, no.1, p.53−69.稲垣直樹他, アレルギー科, 2001, vol.11, no.1, p.1−8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グルココルチコイドが、デキサメタゾン(dexamethasone)、コルチゾン(cortisone)、ハイドロコルチゾン(hydrocortisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、フルオコルトロン(fluocortolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ブデノザイド(budenoside)、フルニゾナイド(flunisonide)、フルチカゾン(fluticasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、並びに治療許容されるこれらの塩及び誘導体からなる群から選択された請求項1記載の薬剤。
タブレット、コーティングされたタブレット、カプセル、顆粒、液状の飲み薬、リポソーム、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、マイクロタブレット、ペレット、粉薬、更にはカプセル若しくは小袋に充填された顆粒、カプセル若しくは小袋に充填されたマイクロタブレット、カプセル若しくは小袋に充填されたペレット、カプセル若しくは小袋に充填されたナノ粒子又はカプセル若しくは小袋に充填された粉薬である請求項5に記載の薬剤。
【背景技術】
【0002】
フマル酸ジアルキルエステル並びにフマル酸モノアルキルエステル、並びにこれらの塩は、長期間に亘る乾癬治療に有効的に使用されている。その使用例として、例えば、特許文献1(ドイツ特許第25 30 372号)、特許文献2(ドイツ特許第26 21 214
号)又は特許文献3(欧州特許第0 312 697号)等の明細書に記載されている。
【0003】
更に、多発性関節炎又は多発性硬化症等の自己免疫疾病治療薬(特許文献4:ドイツ特願第197 21 099.6号及び特許文献5:ドイツ特願第198 53 487.6号)としてだけではなく、移植薬(特許文献6:ドイツ特願第198 53 487.6号及び特許文献7:ドイツ特願第198 39 566.3号)にフマル酸モノー並びにジエステルを用いることも述べられている。又、ミトコンドリア病治療並びにNF−カッパB介在疾患の治療用として及び/又は、NF−カッパB阻害剤として、フマル酸モノー並びにジアルキルエステルの使用することは、特許文献8(ドイツ特願第101 01 307.8号)及び特許文献9(ドイツ特願第100 00 577.2号)から知られる。これらの刊行物は、いずれもフマル酸モノー並びにジエステル、所望によりある種の塩について述べている。
【0004】
又、これらの症状を治療するために、フマル酸モノー並びにジミドを使用することは、特許文献10(ドイツ特願101 33 004.9号)から知られている。これらのアミド類は、アミノ酸と好ましくは特定のペプチド類を用いて形成される。更に、フマル酸オリゴマー並びに前記の疾患の治療への該オリゴマーの使用は特許文献11(ドイツ特願102 17 314.1号)から知られている。
【0005】
発作性の著しい呼吸困難は、先進国の人口のほぼ4〜5%が煩っており、更に増加傾向にある喘息(気管支喘息)により理解される。この呼吸困難は、過反応性気管支系による気道での不定で可逆的な閉塞によるものであり、この閉塞は外因性及び/又は内因性の刺激により誘発される。これらは、化学的又は肉体的な誘発因子、伝染病、身体努力及び/又は心的な因子を含む。長期間の疾病後、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺拡張不全又は肺性心疾患又は呼吸性心不全等の後遺症が通常が起きる。
【0006】
その原因により、異なる喘息間、即ち、アレルギー、感染、鎮痛薬、労働条件又は身体的努力により起きる喘息、混合型喘息又は心臓性喘息、鼻喘息及び尿毒症性喘息間で差別化される。特に、心臓喘息は左心室不全の場合の小循環でのつまりの増大による呼吸困難を起こしうる。
【0007】
引き金となる刺激を単に回避すると依然認められている手段に加えて、例えば、最近、ベーター−2交感神経興奮剤、コルチコステロイド、副交感神経遮断薬、テオフィリン、抗炎症薬、抗アレルギー薬が、喘息の薬物療法及び/又は緩和の為に投与されている。
【0008】
分子レベルにおいて、喘息は肺のリンパ球のTh2の活性増大により特徴付けられるものであり、その結果、ある種のTh2サイトカインの放出が増加し、最終的にはIgEイソタイプスイッチング、粘液産生、好酸球補充並びに活性化等の喘息で知られている特徴を起こす。更に、Th2サイトカインは、JAK−STATとして知られている情報伝達経路を通して更なるTh2細胞に分化を起こし、自己促進サークルが生ずるものと思われる。間葉細胞、特に気管支平滑筋細胞の増殖促進が観察される。
【0009】
所謂JAK−STAT情報伝達経路(
JAnus
Kinase
Signal
Ttransducer and
Activator of
Transcription)は、例えば、サイトカイン等の情報蛋白により細胞及び/又は核内部へ伝達される情報を伝達するための経路である。情報伝達は、細胞質に存在するSTATタンパク質を通じて行われ、最初は不活性である。7種のSTATタンパク質が人体で知られている。細胞表面上への受容体リガンドの結合の結果、これらのSTATタンパク質は、例えばジェナスキナーゼ(Janus kinase)によるリン酸化により急速に活性化される。リン酸化により、STAT蛋白のホモ又はヘテロ二量化が生じ、この二量体は急速に核内に移行し、標的プロモーターと結合し、このプロモーターの転写速度を急激に高める。
【0010】
心臓が、代謝に必要とされる血液拍出量の送り込み及び/又は静脈還流の受けとりを、急性又は慢性的に、ストレス時にできない(ストレス性不全)及び/又は安静時にできない(安静時不全)ことは、心不全として理解されている。この不全は、純左心室又は右心室不全を起こすだけではなく両心室に影響を及ぼし得る。
【0011】
心不全の臨床像は、原因論の観点から様々な要因、特に心筋及び心内膜の炎症性及び変性変化、冠状動脈循環障害、心筋梗塞症、傷害等によると考えられる。引き続いて、心不全は、末梢循環の変更、呼吸疾患、特には心臓性喘息、腎不全、電解質代謝疾患並びに水腫、骨格筋の機能的能力の低下疾患を起こす。
【0012】
徴候に関して、急性心不全、エネルギー的心不全、エネルギー的力学的心不全(energetic−dynamic cardiac insufficiency)・活力低下心不全(所謂、ヘグリン症候群II(HEGGLIN syndrome II))、刺激運動心不全(excitomotoric cardiac insufficiency)、心臓不整脈、低酸素性、潜在性、原発性、代償性、相対性又はストレス性の不全の結果としての心不全および/又は左心室不全間で差別化されている。
【0013】
現在のところ、収縮促進物質が心不全の薬物療法に使用されており、ゴリコシド(特には、ジゴキシン並びにジジゴキシン)が今日でもなお慢性型の治療において使用されている。しかしながら、ここ数年、欠陥拡張剤(ニトロー化合物、ジヒドラジン、アルファブロッカー、カルシウム拮抗薬、特にACE阻害薬)が、重要性を増している。ACE阻害薬は、長期治療に最も重要である。更に、利尿薬が使用されている。急性型は、カテコールアミン(アムリノンも可能であるが)で治療されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1つの態様は、喘息並びに慢性閉塞性肺疾患一般の治療のための薬剤の製造でのフマル酸誘導体の使用に関する。この喘息が、アレルギー、感染、鎮痛剤、労働条件、又は肉体的努力によって引き起こされたもの、特には心臓性喘息である場合が好ましい。
【0022】
また、本発明の別の態様は、心不全、心筋梗塞、狭心症の治療又は予防のための薬剤の製造でのフマル酸誘導体の使用に関する。対象となる心不全は、その形態/病因に拘わらずいずれのタイプのものであってもよい。本発明の薬剤で治療される心不全の例としては、急性心不全、エネルギー的心不全、エネルギー的力学的心不全及び活力低下心不全、所謂HEGGLIN症候群II、運動促進性の心不全、心不整脈、低酸素性、潜在性、原発性、代償性、代償不全、相対性、又はストレス性の不全の結果としての心不全、及び/又は左心室不全、最も最適には左心室不全である。前記の組成物は、これらの疾患及び/又は第1、第2,更なる梗塞を含む心筋梗塞の予防剤としても有効である。
【0023】
これらの用途は、フマル酸誘導体が、PDGF(血小板由来増殖因子)誘発のSTAT1活性を阻害するという発見に基づく。上記のように、喘息において、STAT活性はサイトカインパターンをシフトさせ、最終的にはTh2細胞活性の促進を伴う悪循環と粘液質の分泌、IgE産生、好酸球の補充を生ずると予測されていた(A.B.Pernis、P.B.Rothman、“JAK−STAT signalling in asthma”:The J.of Clin. Investigation, Vol. 10, No. 1, May 2002)。
【0024】
その文献に記載のフマル酸誘導体の類についてのTh1からTh2へのサイトカインのシフト(既出の特許明細書参照)は、むしろこの悪循環が強化されることを予期させるものである。従って、これらは喘息の治療に適しているとはいえないこととなる。ところが驚くことに、フマル酸誘導体は、気道の平滑筋細胞の増殖を阻止できるということが判明した。これはPDGF−誘発性転写因子STAT1の阻止を介して行われるものと思われる。フマル酸誘導体が、PDGF−誘発STAT1活性並びにBSM(気管支平滑筋細胞)中へのPDGF−刺激チミジンの取り込みを阻止できることを明確に示すことができた。これらにとらわれることないが、この増殖阻止効果は、喘息治療におけるフマル酸誘導体の両効果によるものであるといえる。
【0025】
本発明で使用するフマル酸誘導体は、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル類のそれぞれ)、モノアルキルフマレート(フマル酸モノアルキルエステル類のそれぞれ)、生理的に許容できるカチオン、特にはLi
+、Na
+、K
+、NH
4+、Mg
2+、Ca
2+、Fe
2+、Mn
2+、Zn
2+等のアルカリ又はアルカリ土類金属カチオン類又は遷移金属カチオン類のモノアルキルエステルフマル酸塩(フマル酸モノアルキルエステルの塩類のそれぞれ)、フマル酸モノアミド類、フマル酸ジアミド類並びにこれらの塩類、これらの化合物の炭素環式及びオキサ炭素環式オリゴマー類、並びに前記の混合物からなる群から選択された1又は数種のものであってよい。
【0026】
好ましい態様として、フマル酸誘導体は、所望により置換基を有するフマル酸ジアルキルエステル類、フリーの酸の形態のフマル酸モノアルキルエステル類並びにこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0027】
特にはこの場合には、特許文献5(ドイツ特許出願198 53 487.6号)に記載されているような式(I)のフマル酸ジアルキルエステルを使用することが好ましい。
【0028】
【化1】
式中、、R
1及びR
2は同一でも又独立して異なっていても良く、C
1〜24のアルキル基、又はC
5〜20のアリール基を表わし、これらの基は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、水酸基、C
1〜4のアルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基で任意に置換されていてもよい。特には、ジアルキルフマーレートは、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート及び/又はメチルエチルフマレートである。
一般に、アルキル基は、本発明では飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、環状の1〜24の炭素原子を有する炭化水素基であり、これらは、1又は2以上の置換基で任意に置換されていてもよいと理解されなくてはならない。前記のアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、2−エチルへキシル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ビニル基、アリル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、又は2,3−ジメトキシプロピル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0029】
本発明において、アリール基とは、5〜20の炭素原子を有し、任意に置換されたアリール基、アルキル置換アリール基、又はアルアルキル基であり、好ましくは6〜10の炭素原子を有するアルキル置換アリール基又はアルアルキル基であると理解されなくてはならない。これらの基の例としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基があり、特には、フェニル基とベンジル基が好ましい。
【0030】
これらの基の置換基は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、水酸基、C
1〜4のアルコキシ基、C
1〜4のアルキル基、ニトロ基とシアノ基からなる群から選択することが好ましい。
【0031】
特許文献4(ドイツ特許出願197 21 099.6号)に記載されているような式(II)のフマル酸モノアルキルエステルを有効的に使用することができる。
【0032】
【化2】
式中、R
1は、上記と同様であり、Aは、水素、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオン又は生理的に許容できる遷移金属カチオン類であり、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Fe
2+とMn
2+から選択されることが好ましく、nは1又は2であり、Aの価数に対応する。
【0033】
式(I)及び(II)の化合物例としては、フマル酸ジメチルエステル、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸メチルエチルエステル、メチル水素フマレート、エチル水素フマレート、カルシウムメチルフマレート、カルシウムエチルフマレート、マグネシウムメチルフマレート、マグネシウムエチルフマレート、亜鉛メチルフマレート、亜鉛エチルフマレート、鉄メチルフマレート、鉄エチルフマレートがある。これらは、個々に或いは混合して使用できる。
【0034】
本発明で使用されるフマル酸モノアミド類は、特許文献10(ドイツ特許出願101 33 004.9号)に記載のものが好ましい。これらは、一般式(III)に対応する。
【0035】
【化3】
式中、R
aは、OR
3又はアミド結合を介して結合されたD−又はL−アミノ酸基−NH−CHR
4−COOHを示し、R
3は、水素、直鎖状又は分岐状で、所望により置換基を有するC
1〜24のアルキル基、フェニル基又はC
6〜10のアリール基又はアルアルキル基であり、R
4は天然又は合成アミノ酸の側鎖、R
bはアミド結合を介して結合されたD−又はL−アミノ酸基−NH−CHR
5−COOH(R
5は天然または合成アミノ酸の側鎖)又はアミド結合を介して結合された2〜100のアミノ酸を有するペプチド基(アミノ酸は同一でも異なっていてもよい)を示す。
【0036】
天然又は合成アミノ酸の側鎖は、代表的にはAla、Val、Leu、Ile、Trp、Phe、Met、Tyr、Thr、Cys、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、シトルリン、Hcy、Hse、Hyp、Hyl、Orn、Sar、Me−Glyの側鎖よりなる群から選択される側鎖である。Gly、Ala、Val、Ile、Leu、及びMe−Glyの側鎖が好ましい。R
aがL−アミノ酸基−NH−CHR
4−COOH、R
bがL−アミノ酸基−NH−CHR
5−COOHである場合には、R
4、R
5は同一であっても異なるものであってもよい。R
4、R
5は同一であることがより好ましい。R
a、R
bがそれぞれグリシンであることが最も好ましい。
【0037】
又、R
aが−OR
3、R
bがL−アミノ酸基−NH−CHR
5−COOHまたはペプチドであってもよく、R
5は上記に示したとおりである。この場合には、フマル酸誘導体はモノアルキルモノアミドフマレートである。
【0038】
ペプチド基は、アミド結合を介して結合されており、同一でも異なっていてもよいアミノ酸を2〜100、好ましくは2〜30,最も好ましくは2〜15有する。ペプチド基R
bは、ペプチドホルモン、成長因子、サイトカイン、神経伝達物質、ニューロペプチド、抗体フラグメント、血液凝固因子、シクロスポリン、並びにこれらの誘導体、フラグメントからなる群から選択されたペプチド基であることが最も好ましい。R
aがメトキシ基又はエトキシ基であって、R
bがGly、Ala、Val、Ile、Leu、Me−Glyであることが好ましい。
【0039】
上記に定義したフマル酸アミド類は個々に、混合して、更には上記で定義したフマル酸モノアルキル又はジアルキルエステルとの混合で使用してもよい。
【0040】
更に、特許文献11(ドイツ特許出願102 17 314.1号)に記載されているような炭素環及びオキサ炭素環フマル酸オリゴマーも使用できる。これらは上記の出願で定義されているようなフマル酸及び/又はそのエステル及び/又はアミドから誘導されたユニットを2〜10個、好ましくは2〜6個、もっとも好ましくは2〜3個含有する。
【0041】
これらのフマル酸オリゴマーは、好ましくは(炭素環オリゴマーの)CとCの二重結合の(オレフィン性)重合及び/又は(オキサ炭素環オリゴマーの)ユニットのCとCの二重結合とカルボニル酸素の(オレフィン性)重合により得られる。好ましくは、フマル酸から誘導されたユニットは、フマル酸、及び上記で定義されたジアルキルフマレート、モノアルキルフマレート、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、モノアルキルモノアミドフマレート、そしてこれらの塩並びに混合物から成る群から選択されたモノマーから誘導されたものである。更に好ましくは、1個又は2個のモノマーから誘導されたユニットだけを含み、最も好ましくは、オリゴマーは、同一のモノマーのユニットだけを含有する。
【0042】
炭素環オリゴマーはフマル酸から誘導されたユニットから構成されており、ユニットは共有性C−C結合によりフマル酸骨格の2位と3位の炭素に連結されて炭素環オリゴマーが生成されている。オリゴマー骨格は、偶数の炭素原子を有し、他のモノマー及び/又はヘテロ原子を含まない。この骨格は、各炭素原子において、フマル酸モノマーユニットを構成するカルボン酸又はカルボン酸アミド基の1つで置換されている。
【0043】
本発明のオキサ炭素環オリゴマーは、フマル酸モノマーのユニットより構成されており、ユニット同士はエーテル架橋により1位と3位の炭素で連結されている。同時に、エチレン製不飽和はC
2とC
3の位置からC
1とC
2の位置に移動する。よって、本発明のオキサ炭素環オリゴマーの場合、その環はポリオキシプロペンユニットを含む。
【0044】
明細書中で用いる語「オリゴマー」とは、少なくとも2個以上のフマル酸モノマーのユニットを意味する。炭素環フマル酸オリゴマーは、通常、フマル酸から誘導されたユニットを、通常2〜10個、好ましくは2〜6個、最も好ましくは2〜3個含む。好ましくは、環の置換基としてのカルボン酸及び/又はカルボン酸アミド基の全てが互いにトランス位にある。
【0045】
好ましい態様において、以下の式(IVa)に対応する炭素環フマル酸オリゴマーが使用される。
【0046】
【化4】
式中、残基R
c、R
dは同一又は異なる基であり、アミン基(−NR
1R
2)、アミノ酸基−NH−C(COOH)−R
5、2〜100個のアミノ酸を有するペプチド基、アルコキシ基(−OR
1)及び水酸基から選択され、R
1、R
2、R
5は上記の定義のとおりであり、nは2〜10(10を含む)の整数、好ましくは2〜6(6を含む)の整数である。
【0047】
R
c、R
dは、各々が独立してアルコキシ又は水酸基であることが好ましく、R
c、R
dが同時に水酸基でないことが最も好ましい。従って、モノマーは好ましくは1個又は数個のモノアルキルフマレートである。他の態様において、残基R
c、R
dはともにアルコキシ基−OR
1であってもよく、より好ましくは同一である。この場合、モノマーはジアルキルフマレートである。
【0048】
特に好ましくは、r−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタン又はr−1,t−2,c−3,t−4,c‐5,t−6−ヘキサ(アルコキシカルボニル)シクロへキサン、好ましくはr−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタン及び/又はr−1,t−2,c−3,t−4,c‐5,t−6−ヘキサ(メトキシカルボニル)シクロへキサンがこの態様において使用される。
【0049】
他に、式(IVb)のオキサ炭素環オリゴマーが用いられ、式中、R
c、R
dは上記のように定義され、nは2〜10(10を含む)、より好ましくは2〜6(6を含む)の整数である。
【0051】
本発明で使用するフマル酸誘導体は、例えば特許文献4(ドイツ特許出願197 21 099.6号)、特許文献10(ドイツ特許出願101 33 004.9号)又は特許文献11(ドイツ特許出願102 17 314.1号)に記載されているような公知の方法で製造することができる。これらの刊行物の内容は参照によりここに含まれる。
【0052】
薬剤調製物は、経口、直腸、経皮、皮膚、眼科学的、経鼻、経肺又は非経口での投与に好適な剤形で得られる。好ましくは、この薬剤調製物は、経口投与に好適であるようにされる。それは、タブレット、コーティングが施されたタブレット、カプセル、顆粒、液状の飲み薬、リポソーム、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、マイクロタブレット、ペレット、粉薬の剤形、更にはカプセルまたは小袋に充填された顆粒、カプセルまたは小袋に充填されたマイクロタブレット、カプセルまたは小袋に充填されたペレット、カプセルまたは小袋に充填されたナノ粒子、カプセルまたは小袋に充填された粉薬で存在する。好ましくは、この薬剤はカプセルまたは小袋に充填されていてもよいナノ粒子、ペレット又はマイクロタブレットの剤形である。
【0053】
好ましくは、固形状の経口投与剤形は、いずれも腸溶性のコーティングが施されていてもよい。そのようなコーティングは、例えばタブレット、マイクロタブレット、ペレットなどの表面に施されるが、それらを含むカプセル表面に施されても良い。
【0054】
本発明による経口薬剤形は、基本的には従来からの圧縮法又は直接圧縮法により、並びに溶融法により、又はスプレー乾燥法によって固体分散物として、調製されてもよい。所望であるなら、腸溶性のコーティングを、公知の処方により、腸溶性のコーティングを従来のコーティングパン内でタブレットコア表面に分けてに滴下する又はスプレーする、又は流動床装置内で施すこともできる。引き続き、乾燥を完了し、フィルムコートを同一の装置内で施してもよい。
【0055】
本発明による薬剤調製物の製造用フマル酸誘導体は、この薬剤調製物が、1投与単位当り、1〜500mg、好ましくは10〜300mg、最も好ましくは10〜200mgのフマル酸相当の1又はそれ以上のフマル酸誘導体を含み得る量で使用される。
【0056】
注射による非経口投与の場合(静脈注射、筋肉注射、皮下注射、腹腔注射)、薬剤はこれに好適な剤形とされる。注射に好適な通常の液体キャリアのいずれをも使用できる。
【0057】
好ましい態様において、本発明で製造する薬剤は、以下を、個々に、混合で含むことができる。10〜500mgのジアルキルフマレート、特にはジメチルフマレート及び/又はジエチルフマレート、10〜500mgのカルシウムアルキルフマレート、特にはカルシウムメチルフマレート及び/カルシウムエチルフマレート、0〜250mgの亜鉛アルキルフマレート、特には亜鉛メチルフマレート及び/又は亜鉛エチルフマレート、0〜250mgのモノアルキルフマレート、特にはモノメチルフマレート及び/又はモノエチルフマレート、0〜250mgのマグネシウムアルキルフマレート、特にはマグネシウムメチルフマレート及び/又はマグネシウムエチルフマレート、であり、これらの合計量は、1−500mg、好ましくは10〜300mg、最適には10〜200mg量のフマル酸に相当することである。
【0058】
特に優先的に使用される本発明の薬剤調製物は、10〜300mg量のジメチルフマレートのみを含有する。
【0059】
特に好ましい態様において、薬剤調製物はマイクロタブレット又はぺレットの剤形である。これらは、5000μm以下、好ましくは300〜2500μm、特にはマイクロペレットについては300〜1000μm、マイクロタブレットについては1000〜2500μm、のサイズ及び/又は平均直径を、好ましくは有する。本発明での好ましい剤形であるマイクロタブレット剤形のフマル酸誘導体の投与により、通常の単一ユニット投与タブレットによる投与では排除できない胃腸炎症及び/又は副作用を更に低減できる。恐らく、この効果は、マイクロタブレット、好ましくは腸溶性のコーティングを施したマイクロタブレットが、胃で既に分散され、ボーラスのようにして腸に入って、全投与量は同じである活性物質が局所的により少量の投与量で放出されることによる。このため、腸の上皮細胞の局部的な炎症は回避され、これにより、従来のタブレットと比べて、より優れた胃腸耐性がマイクロタブレットで得られることになる。
【0060】
製造例
好ましい薬剤調製物の種々の製造例を以下に記載し、本発明による用途を説明する。実施例は単に説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0061】
実施例 1
腸溶性のコーティングを有し、78mgのフマル酸に相当する100.0mgのモノメチルフマレートカルシウム塩を含有するフィルムタブレットの製造:
必要な予防措置(呼吸マスク、手袋、保護服等)を講じて、モノメチルフマル
酸Ca塩:10kgを破砕し、激しく混合して、800シーブにより均一化する。以下の組成の賦形剤混合物を調製する。デンプン誘導体(STA−RX1500
登録商標):21kg、微結晶セルロース(Avicel PH 101
登録商標):2kg、ポリビニルピロリドン(PVP、Kollidon
登録商標25):0.6kg、Primogel
登録商標:4kg、コロイドケイ酸(Aerosil
登録商標):0.3kg。
【0062】
活性成分を粉末混合物全体に加え、混合し、シーブ200により均一にし、通常の方法でポリビニルピロリドン(PVP、Kollidon
登録商標25)の2%水溶液により処理してバインダー顆粒とし、乾燥状態にある外部相と混合する。後者は、滑石粉80%、ケイ酸10%およびステアリン酸マグネシウム10%を含有するいわゆるFST複合体2kgからなる。
【0063】
この後、通常の方法により、混合物を重さ400mg、直径10.0mmの凸状タブレットに圧縮する。これらの標準的な圧縮方法の代わりに、直接圧縮または溶融およびスプレー乾燥方法による固体分散のような他の方法を用いてタブレットを作製してもよい。
腸溶性コーティング:
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、Pharmacoat HP
登録商標50):2.250kgの溶液を、純水:2.50リットル、アセトンPh. Helv. VII:13リットルおよびエタノール(94重量%):13リットルからなる混合溶剤中で溶解し、ひまし油(Ph. Eur. II):0.240kgをこの溶液に加える。通常の方法で被覆皿において、この溶液を小分けしてタブレットコアに注ぐか、スプレーする。
【0064】
相応の乾燥後、フィルムコーティングを形成する。前記コーティングは、2−プロパノールPh. Helv. VII:8.2kg、グリセリントリアセテート(Triacetin
登録商標):0.06kgおよび純水0.2kgの混合溶剤中のEudragit
登録商標E12.5%:4.8kg、滑石粉Ph. Eur. II:0.34kg、酸化チタン(VI)Cronus RN 56
登録商標:0.52kg、着色ラッカーZLT−2 blue(Siegle):0.21kgおよびポリエチレングリコール6000Ph. Helv. VII:0.12kgの溶液からなる。被覆皿または流動床における均一分配後、通常の方法でこの混合物を乾燥し平滑にする。
【0065】
実施例2
モノエチルフマル酸Ca塩86.5mgおよびジメチルフマレート110.0mg(フマル酸合計150mgに相当)を含有する腸溶性コティング処理されたカプセルの製造:
必要な予防措置(呼吸マスク、手袋、保護服等)を講じて、モノエチルフマレートCa塩:8.65kgおよびジメチルフマレート:11kgを、デンプン:15kg、乳糖Ph. Helv. VII:6kg、微結晶セルロース(Avicel
登録商標):2kg、ポリビニルピロリドン(Kollidon
登録商標25):1kgおよびPrimogel
登録商標:4kgからなる混合物と激しく混合して、シーブ800により均一化する。
【0066】
ポリビニルピロリドン(Kollidon
登録商標25)の2%水溶液と共に、粉末混合物全体を通常の方法で処理して、バインダー顆粒とし、乾燥状態にある外部相と混合する。前記外部相は、コロイドケイ酸(Aerosil
登録商標):0.35kg、ステアリン酸マグネシウム:0.5kgおよび滑石粉Ph. Helv. VII:1.5kgからなる。均一な混合物の500.0mgずつを適切なカプセルに充填し、ヒドロキシプロピルエチルセルロースステアレートおよび軟化剤としてひまし油からなる腸溶性(耐胃酸性)コーティングを公知の方法により施した。
【0067】
実施例3
モノエチルフマル酸Ca塩87.0mg、ジメチルフマレート120mg、モノエチルフマル酸Mg塩5.0mgおよびモノエチルフマル酸Zn塩3.0mg(フマル酸計164mgに相当)を含有するカプセル内包腸溶性マイクロタブレット(「強力(forte)」タブレット)の製造:
必要な予防措置(呼吸マスク、手袋、保護服等)を講じて、モノエチルフマレートCa塩:8.7kg、ジメチルフマレート:12kg、モノエチルフマレートMg塩:0.5kgおよびモノエチルフマレートZn塩:0.3kgを破砕し、激しく混合して、シーブ800により均一にする。以下の組成による賦形剤混合物を調製する。デンプン誘導体(STA−RX 1500):18kg、微結晶セルロース(Avicel PH 101):0.3kg、PVP(Kollidon 120):0.75kg、Primogel:4kg、コロイダルケイ酸(Aerosil):0.25kg。粉末混合物全体を活性成分混合物に加え、200シーブにより均一にして、通常の方法でポリビニルピロリドン(Kollidon K25)の2%水溶液により処理してバインダー顆粒を得た後、ステアリン酸マグネシウム:0.5kgおよび滑石粉:1.5kgからなる外部相と乾燥状態で混合する。次に、通常の方法により、粉末混合物を総重量10.0mg、直径2.0mmの凸状マイクロタブレットにプレス成形する。
【0068】
腸溶性(耐胃酸性)コーティングは、流動床装置において適用される。胃酸に対する抵抗性を得るために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、Phrmacoat HP 50):2.250kgの溶液の一部を、アセトン:13リットル、2%のケトンで変性させたエタノール94重量%:13.50リットルおよび純水:2.5リットルの混合溶剤に溶解させる。ひまし油:0.240kgを軟化剤として最終溶液に加え、通常の方法で小分けしてタブレットコアに適用する。
【0069】
フィルムコート:完全に乾燥した後、以下の組成の懸濁液を同じ装置内でフィルムコーティングとして適用する。2−プロパノール:8.17kg、純水:0.2kgおよびグリセリントリアセテート(Triacetin)0.6kgの混合溶剤中、滑石粉:0.340kg、酸化チタン(VI)Cronus RN 56:0.4kg、着色ラッカーL red lacquer 86837:0.324kg、Eudragit E12.5%:4.8kgおよびポリエチレングリコール6000 pH 11 XI:0.12kg。
【0070】
耐胃酸性マイクロタブレットの成分を分析し、相当する正味重量で硬ゼラチンカプセ
ルに充填し封止する。
【0071】
実施例4
フマル酸96mgに相当するジメチルフマレート120.0mgを含有するカプセル中の腸溶性マイクロタブレットの製造:
必要な予防対策(呼吸マスク、手袋、保護衣など)をして、ジメチルフマレート:12kgを粉砕し、シーブ800により均一化する。次いで次の組成の賦形剤混合物を調製する:デンプン誘導体(STA−RX
登録商標1500):17.5kg、微結晶セルロース(Avicel
登録商標PH101):0.30kg、PVP(Kollidon
登録商標120):0.75kg、Primogel
登録商標:4kg、コロイド状ケイ酸(Aerosil
登録商標):0.25kg。活性成分を全粉末混合物に添加し、混合し、シーブ200により均一化し、ポリビニルピロリドン(Kollidon
登録商標K25)の2%水溶液を用い常法により加工してバインダー顆粒体を得、次いで乾燥状態で他の相と混合する。この他の相はステアリン酸マグネシウム:0.5kgおよび滑石粉:1.50kgからなる。
【0072】
次にこの粉末混合物を常法によりプレス成形して総重量10.0mgおよび径2.0mmの凸型タブレットにする。
【0073】
耐胃酸性を得る一例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロールフタレート(HPMCP,Pharmacoat
登録商標 HP50):2.25kgの溶液を次の溶剤混合物に小分けして溶解する:アセトン:13リットル、エタノール(94重量%、2%ケトンで変性):13.5リットル、純水:1.50リットル。軟化剤としてヒマシ油(0.24kg)を最終溶液に添加し、常法によりタブレットコアに小分けして適用する。
【0074】
乾燥終了後、同じ装置の中でフィルム被覆として、下記組成の懸濁液をフィルムコーティングとして適用する。2−プロパノール:8.17kg、純水:0.2kg、グリセリントリアセテート(トリアセチン):0.6kgより成る組成の混合溶剤中の滑石粉:0.34kg、酸化チタン(VI) Cronus RN 56:0.4kg、着色ラッカー L red lacquer86837:0.324kg、EudragitE 12.5%:4.8kg、ポリエチレングリコール 6000 pH 11 XI:0.12kg。
【0075】
この後、耐胃酸性マイクロタブレットの成分を分析し、硬質ゼラチンカプセルにタブレットを相当正味重量充填し、封止する。
【0076】
実施例5
フマル酸96mgに相当するジグリシンフマール酸ジアミド120.0mgを含有するカプセル中の腸溶性マイクロタブレットの製造:
ジグリシンフマール酸:12kgを粉砕し、上記と同様に均一化する。次いで次のような組成の賦形剤混合物を作る:微結晶セルロース(Avicel
登録商標PH200) :23.2kg、Croscarmelose ナトリウム(AC−Di−SOL−SD−711):3kg、滑石粉:2.5kg、無水シリカ(Aerosil
登録商標200):0.1kg、ステアリン酸マグネシウム:1.00kg。次に活性成分混合物に全粉末混合物を添加し、均一に混合する。次いで、直接圧縮法により、この粉末混合物を総重量10.0mgおよび径2.0mmの凸型錠剤にプレス成形する。
【0077】
この後、Eudragit
登録商標 L:0.94kgを含むイソプロパノールの溶液を作る。この溶液はジブチルフタレート:0.07kgを含有している。この溶液をタブレットコアにスプレーする。この後、Eudragit
登録商標 LD−55:17.32kgとマイクロ滑石粉:2.8kg、Macrogol 6000:2kgおよびジメチコン(Dimeticon):0.07kgの混合物を水中に分散させた分散液を調製し、タブレットコアにスプレーする。
【0078】
次いで、腸溶性ミクロタブレットの成分を分析し、相当正味重量で硬質ゼラチンカプセルに充填し、封止する。
【0079】
実施例6
r−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタン60.0mgと、r−1,t−2,c−3,t−4,c−5,t−6−へキサ(メトキシカルボニル)シクロヘキサン30.0mgとを含有する、カプセル化された腸溶性マイクロタブレットの調製:
6.0kgのr−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタンと、3.0kgのr−1,t−2,c−3,t−4,c−5,t−6−へキサ(メトキシカルボニル)シクロヘキサンとを破砕、充分に混合、シーブ800により均一にする。次に、下記の組成の賦形剤混合物を調製する。澱粉誘導体(STA−RX1500
登録商標):18.00kg、微結晶セルロース(Avicel PH101):0.30kg、PVP(Kollidon 120):0.75kg、プリモゲル(Primogel):4.00kg、コロイドケイ酸(Aerosil):0.25kg。活性成分を上記粉体混合物全体に加え、混合し、シーブ200により均一にし、通常の方法によりポリビニルピロリドン(Kollidon K25)の2%水溶液で処理してバインダー顆粒とし、次に、乾燥状態で、外部相と混合する。外部相はステアリン酸マグネシウム0.50kgと滑石粉1.5kgより成る。その後、その混合物を通常の方法で全体重量10.0mg、及び直径2.0mmの凸状のマイクロタブレットにプレス成形する。
【0080】
腸溶性(耐胃酸性)コーティングが、従来からのコーティングパンにおいてタブレットコア上に注ぐ。耐胃酸とする為に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、Pharmacoat HP50):2.250kgの溶液を、アセトン:13.00リットル、2%のケトンで変成した94重量%エタノール:13.50リットル、純水2.50リットルからなる混合溶媒に分割して溶解する。軟化剤として、ひまし油0.240kgを得られた溶液に加え、通常の方法で分割してタブレットコアに塗布する。
【0081】
フィルムコート:乾燥終了後、同一の装置内で、以下の組成の懸濁液をフィルムコートとして被覆する。滑石粉:0.340kg、酸化チタン(VI)Cronus RN56:0.400kg、カラーラッカーL red lacquer 86837:0.324kg、Eudragit E 12.5%:4.800kg、及びポリエチレングリコール 6000 pH 11 XI:0.120kgと、2−プロパノール:8.170kg、純水:0.200kg、グリセリントリアセテート(Triacetin):0.600kgの混合溶媒に懸濁させた懸濁液。
【0082】
次いで、腸溶性マイクロタブレット中の活性成分を分析し、該腸溶性マイクロタブレットを硬質ゼラチンカプセル内に相当の正味重量で充填、封止する。
【0083】
実施例7
r−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタン60.0mgと、r−1,t−2,c−3,t−4,c−5,t−6−へキサ(メトキシカルボニル)シクロヘキサン30.0mgとを含有する、非経口投与用懸濁液の調製:
成 分: mg/ml
r−1,t−2,c−3,t−4−テトラキス(メトキシカルボニル)シクロブタン: 60.0
r−1,t−2,c−3,t−4,c−5,t−6−へキサ(メトキシカルボニル)シクロヘキサン: 30.0
メチルセルロース: 0.25
クエン酸ナトリウム2水和物: 30.00
ベンジルアルコール: 9.00
メチルp−ヒドロキシ安息香酸: 1.80
プロピルp−ヒドロキシ安息香酸: 1.20
注射目的の水: q.s.a.d.1.00
標準的な処方により、上記の成分を処理して、非経口懸濁液にする。
【0084】
適用例
実施例A
ラットモデルを使用してのDMFによる心不全治療に関しての生体内データ:
この試験では、ジメチルフマレートの効果を、ラットの虚血・再灌流のモデルで調べた。この目的のために、健康な雄ラットを各群が17匹である3群に分けた。試験において、心臓を露出したまま動脈閉塞により虚血を45分間起こし、次いで120分間灌流させた。最後に、再閉塞により心筋梗塞を誘発させ、リスク域を、フタロシアニンブルーで染色することにより決定した。
【0085】
試験物のiv投与を、最初の閉塞の開始時に行った。対照群には0.02%のDMSO(0.5ml/体重kg)を投与し、DMF群には0.02%のDMSO(0.5ml/体重kg)中10mgのジメチルフマレートを投与した。第2群において、動物は、虚血コンディショニングとされた(各5分間の閉塞と灌流を2回)。
【0086】
結果を
図1に示した。明らかに、この実験において、リスク域は3群とも類似しているが、ジメチルフマレート(DMF)群と虚血プレコンディショニング(IPC)群は、統計的に有意な程度に梗塞のサイズが制限された。従って、このデータは、使用されたジメチルフマレートが有意に梗塞のサイズを低減し、心不全を防ぐことを実証するものである。
【0087】
実施例B
PDGF誘発チミジンの取り込み阻止:
喘息の治療を成功させるには3つの異なる経路がある。即ち、(1)アレルギー性反応での炎症性メディエータの少量放出、(2)Tリンパ球侵入の阻止、そして(3)間葉細胞の増殖阻止。喘息に対しての好ましいい治療であるとされているグルココルチコイドが、間葉細胞の増殖を阻止することは実証されている。そこで、本試験は、喘息治療に可能であるとされる他の活性物質について調べるために使用できる。
【0088】
BSM(気管支平滑筋)細胞は、10
―5Mジメチルフマレートの有無で、0、1、5、10、20ng/mlのPDGの存在下、RPMI、0.3%アルブミン及び0.1%DMSO中、37℃で培養した。
【0089】
所定の時間経過後に、
3H―チミジンの5μCiが培養媒体に添加され、更に24時間培養し続けた。取り込みは、浮遊物の遠心分離、洗浄、細胞の溶解で終了された。
3H―チミジンの取り込みは、液体シンチレーション装置において、対照と比較しての溶解物中の放射能で決定された。結果を、対照を100%としてパーセント値で
図2に示す。PDGFの添加により、
3H―チミジンの取り込みが明らかに増大し、細胞増殖するが、この増殖はジメチルフマレートの添加により有意に減少されている。
【0090】
実施例C
気管支平滑筋細胞は、それらが60−70%の細胞密集度になるまで96ウエルプレート(96 well plate)中で成長させた。細胞は、その後、0.3%のアルブミン含有のRPMIの無血清培地で48時間飢餓させた。10ng/mlPDGFでの細胞増殖刺激前1時間、細胞は(a)10
―5MのDMF、(b)10
―8Mのデキサメタゾン(dexa)、又は(c)10
―5MのDMFと10
―8Mのdexaで処理した。対照として、無処理の細胞(緩衝液のみ)を使用した。細胞を、36時間処理し、
3H―チミジンの4μCiを更なる8時間添加した。細胞を溶解し、DNAに取り込まれた
3H―チミジンをフィルタメンブランに結合し、取り込まれたcpmを液体シンチレーション装置で測定した。結果は、対照(100%)に対しての比率で
図3に示されており、PDGF誘発増殖が比較される。
【0091】
治療上適切な投与量であるdexa(10
―8M)単独での処理では、細胞増殖は約117±11%に低減化した。これに匹敵する低減が10
―5MのDMF(116±4%)に認められた。上記の濃度でのDMFとdexaとの組合せ投与では、ほぼベースラインレベル(95±11%)の相乗的な細胞増殖低減化が生じた。これらの結果は、DMFが単独でも、或いは通常のデキサメタゾン又はグルココルチコイドとの組合せ使用で喘息治療に有効であることを示すものである。
【0092】
特に好ましい態様での喘息、慢性閉塞性肺疾患治療において、そのような治療はグルココルチコイドとの組合せで行われる。同一の投与ユニッ内で、又は分離した投与ユニット内で投与してもよい。更に、投与は、平行して或いは順次的に行ってもよい。好ましくは、グルココルチコイドは、デキサメタゾン(dexamethasone)、コルチゾン(cortisone)、ハイドロコルチゾン(hydrocortisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、フルオコルトロン(fluocortolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ブデノザイド(budenoside)、フルニゾナイド(flunisonide)、フルチカゾン(fluticasone)並びに治療上使用可能なこれらの塩及び誘導体より成る群から選択される。
【0093】
実施例D
塩分感受性のダール(Dahl)ラットに異なる投与量のDMFを毎日投与し、高塩分の食事を与えた。このような処置8週間後、左心室拡張末期径を心エコー図解析により試験群、対照群について測定した。測定された群は、対照群(0mgのDMF;n=9);群1(2×5 mgのDMF/kg/d;n=9);及び群2(2×15 mgのDMF/kg/d;n=11)。
【0094】
心エコー図解析において、DMFは、その投与量に応じて、8週間の高塩分の食事による左心室の拡張を制止した。即ち、DMF群では、左心室の内径はベースラインと同一の範囲で維持された(
図4)。これに対して、対照群の動物は、左心室拡張である肥大した左心室を示した。重要なことではあるが、左心室の拡張は代償性肥大から代償不全心不全への移行である。結果として、DMFは心不全への移行を遅らせ、心筋梗塞を阻止する。