(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、1つの実施形態にかかる太陽電池架台10(
図2参照)を具備する太陽電池装置1が、敷地に複数並列された態様を平面視(上空から見下ろした視点)した図である。
図2は、
図1に示した太陽電池装置1のうちの1つに注目し、一部を破断して示した図である。
図3は、
図2にIII−IIIで示した線に沿った断面図である。
以下、
図1〜
図3及び適宜示す図を参照しつつ、太陽電池パネル架台10及び太陽電池装置1について説明する。
【0016】
太陽電池装置1は、太陽電池パネル2、及びこれを所定の位置に所定の姿勢で保持する太陽電池パネル架台10を備えている。
【0017】
太陽電池パネル2は、ガラス板表面に多数の太陽電池素子が配列された全体として板状の部材である。この太陽電池パネル2を敷地に沿って複数並列させ、太陽光をここに照射させて電力を得る。
ここで、太陽電池パネルの種類は特に限定されることはなく、公知の太陽電池パネルを用いることができる。
【0018】
太陽電池パネル架台10は、
図2及び
図3からわかるように、基礎11、横材としての桁12、垂木13、桁固定金具14、支柱15、及び垂木取付金具20を備える。
太陽電池パネル架台10は、簡単には次のような構造を有している。すなわち、基礎11の上に横材としての桁12、12が配置され、該桁12の上に垂木13、13、…を配置し、桁12、12と垂木13、13、…とで格子状が形成される。そして垂木13、13、…の上に複数の太陽電池パネル2、2、…が配列される。このとき、
図3からわかるように、垂木13の長手方向一方側が低く、他方側が高くされることにより、垂木13及び太陽電池パネル2が水平面に対してθの角度に傾けられている。
この角度θは、太陽光の照射角度や向き、隣接する太陽電池装置1、1との関係等から決められ、通常は10°〜35°である。
以下、太陽電池パネル架台10の構成についてさらに詳しく説明する。
【0019】
基礎11は、敷地に太陽電池パネル架台10を設置する際の基礎となる部材であり、ブロック状の鉄筋コンクリートにより形成されている。基礎11の下部は地面に埋設され、その上部を地表から突出させるように配置する。基礎11は
図2からわかるように、垂木13の長手方向、すなわち、太陽電池パネル2の傾き方向には2か所、これに直交する方向(桁12の長手方向)には所定の間隔を有して複数配列されている。なお、基礎となる部材は本形態に限定されることなく、例えば鋼製の金具を用いるなど、別の部材とすることも可能である
【0020】
次に、太陽電池パネル架台10のうち、上記した太陽電池パネル2の傾斜方向で低い側に配置される基礎11(
図2、
図3にAで示した側)周辺に具備される各部材を説明する。
図4は
図3のうち、当該低い側となる部位に注目して示した図である。
図5は、
図4にVで示した部分を拡大した図である。
【0021】
図3〜
図5からわかるように、基礎11の上面には桁固定金具14が備えられている。桁固定金具14は
図5に現れる断面において基礎11の面に沿って配置される基礎固定片14aを有し、該基礎固定片14aから所定の間隔を有して立設する2つの立設片14b、14cを備えている。桁固定金具14の基礎固定片14aが基礎11にボルト等の固定部材により固定される。また、桁12が立設片14b、14cの間に差し込まれるように配置され、ボルトやネジにより両者が固定される。
【0022】
桁12は、太陽電池パネルの面に沿って配置される横材として機能する長尺の部材であり、
図4、
図5に現れる断面を有して
図4、
図5の紙面奥/手前方向に延在するように配置されている(
図2参照)。桁12は上記したように桁固定金具14の立設片14b、14cの間に差し込まれてボルトやネジにより固定される。
図2からわかるように、長尺である桁12は隣り合う基礎11、11、…のそれぞれに備えられる桁固定金具14、14、…間を渡されるように設置されている。
【0023】
桁12の上面のうち、垂木13が配置される部分には、垂木取付金具20が設けられている。垂木取付金具20は、桁12と垂木13とを連結する部材で、傾斜調整手段を備えている。
【0024】
垂木取付金具20は、
図5からよくわかるように、軸部材21及び回動部材22を備えている。
軸部材21は、円筒軸21a及び桁取付片21b、21cを具備している。このうち円筒軸21aは中空円筒状の部位である。円筒軸21aの外周面には円筒状の肉厚方向に段差21e、21fが設けられている。
桁取付片21b、21cは、円筒軸21aの下部から桁12の上面に沿って延在する平板状の部材である。
図5からわかるように桁取付片21b、21cの端部は桁12と係合するように形成されている。さらに、桁取付片21b、21cが不図示のネジ等の固定部材により桁12に固定されて、軸部材21が桁12に取り付けられる。
【0025】
回動部材22は、回動片22a及び垂木取付片22b、22cを具備している。
回動片22aは、
図5からわかるように、円筒軸21aの外周をその内側に囲んで内包するように配置される円筒状の部材で、円筒状の一部が切り欠かれている形状を有している。
図5からわかるように、回動片22aの切り欠かれた端部は円筒軸21a側に折り曲げられ、内側に向けた突起22b、22cが形成されている。
垂木取付片22b、22cは、回動片22aの上部から垂木13の下面に沿って延在する平板状の部材である。垂木取付片22b、22cが不図示のねじ等の固定部材により垂木13に固定され、回動部材22が垂木13に取り付けられる。
【0026】
軸部材21と回動部材22とは、軸部材21の円筒軸21aの外周面を囲むように、回動部材22の回動片22aが配置される。これにより軸部材21と回動部材22とは互いに回動可能に連結される。
ここで、軸部材21と回動部材22との回動の範囲は、
図5からわかるように、円筒軸21aに設けられた段差21e、21fが回動片22aに具備された突起22b、22cに引っ掛かることにより制限され、過剰な回動を禁止している。
軸部材21と回動部材22との位置の固定は、
図5からわかるように、回動片22aを貫通して円筒軸21aに螺合するネジ等の固定部材23、24により行うことができる。
【0027】
すなわち、垂木取付金具20によれば、軸部材21側に桁12が固定され、回動部材22側に垂木13が固定されるとともに、軸部材21と回動部材22とは回動可能に連結されている。ここで、軸部材21は桁12に固定されて回動しないので、回動部材22が回動可能である。これにより、回動部材22に固定される垂木13、及び垂木13に取り付けられる太陽電池パネル2の水平面に対する傾斜角度(
図3のθ)を
図5にCで示した矢印のように調整することができる。
【0028】
本実施形態では、軸部材21側に桁12が固定され、回動部材22側に垂木13が固定される態様について説明したが、逆となる形態であってもよい。すなわち、軸部材が垂木側に固定され、回動部材が桁側に配置される態様でも機能する。
【0029】
次に、太陽電池パネル架台10のうち、上記した太陽電池パネル2の傾斜方向で高い側に配置される基礎11(
図2、
図3にBで示した側)周辺に具備される各部材を説明する。
図6に
図3のうち、傾斜方向で高い側に配置される基礎11周辺の部分に注目して拡大した図を示した。また、
図7には、
図6に矢印VIIで示した方向から見た図を表した。
図6、
図7からわかるように、傾斜方向で高い側にも桁固定金具14、桁12、及び垂木取付金具20が備えられている。これらの部材は、傾斜方向で低い側に具備される上記した桁固定金具14、桁12、及び垂木取付金具20と共通するので、ここでは説明を省略する。傾斜方向で高い側に配置される基礎11側には、桁固定金具14と桁12との間にさらに支柱15が設けられている。
【0030】
支柱15は、
図7からよくわかるように、第一支柱16、第一支柱固定金具17、第二支柱18、及び第二支柱固定金具19を有している。
第一支柱16は長尺の部材である。また、第一支柱固定金具17は、
図6からわかるように、断面略コ字状を有する部材である。第一支柱16は、その下端が桁固定金具14に支点16bを中心に回動可能に取り付けられている。また第一支柱16は
図7からわかるように、鉛直方向からφの角度で傾けられて配置されている。そして第一支柱16の上端となる部位の桁12に第一支柱固定金具17が取り付けられる。第一支柱16の上端は、第一固定金具17のコ字状の内側に挿入され、支点16aを中心に回動可能に固定される。
第二支柱18も長尺の部材である。また、第二支柱固定金具19も、第一支柱固定金具17と同様に、断面略コ字状を有する部材である。第二支柱18は、その下端が桁固定金具14に支点18bを中心に回動可能に取り付けられている。また第二支柱18は
図7からわかるように、上記第一支柱16と鉛直方向の線に関して線対称となるように角度φ傾けられて配置されている。そして第二支柱18の上端となる部位の桁12に第二支柱固定金具19が取り付けられる。第二支柱18の上端は、第二固定金具19のコ字状の内側に挿入され、支点18aを中心に回動可能に固定される。
φの角度が決まり、適切な桁12の適切な高さ位置及び垂木13の傾斜角度(
図2のθ)が得られたときには、視点16a、16b、18a、18bを中心とした第一支柱16、及び第二支柱18の回動は禁止され適切に荷重を保持する。
【0031】
このように、支柱15により支柱15が備えられた側を高くして、太陽電池装置1に傾斜を持たせることができる。そして、第一支柱16、及び第二支柱18の回動は禁止され適切に荷重を保持するときには、
図7からわかるように、第一支柱16、第二支柱18及び桁12により略三角形を形成しており、強度の高い構造とすることができる。具体的には鉛直方向の強度のみでなく、水平方向(
図7の紙面左右方向)の保持強度を向上させることができる。
【0032】
また、太陽電池パネルの高さ位置や傾斜角度(
図2のθ)を設定するに際しては、第一支柱16及び第二支柱18の傾き(φ)を変更するのみでよい。また、φの取り得る範囲も広いので、太陽電池パネルの高さ位置や傾斜角度θの調整範囲も広くすることができる。さらには、例えば入子式に伸縮可能な支柱を用いる場合等に比べて構造が簡易であり、構造的な強度も大きくすることが可能となる。
【0033】
図2、
図3に戻って垂木13について説明する。垂木13は、傾斜方向で低い側に配置される桁12と、傾斜方向で高い側に配置される桁12と、を渡すように配置され、これが桁12の長手方向に複数並列される。桁12への垂木13の取り付けはこれまで説明したように、傾斜角度を変えることができる垂木取付金具20を介して行われる。そして、垂木13の上面に太陽電池パネル2、2、…が敷設される。
【0034】
本実施形態では、第一支柱16、及び第二支柱18の上端部位置に合わせて第一支柱固定金具17、及び第二支柱固定金具19を桁12に取り付ける態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、桁12にその長手方向に溝12a、溝12bを設け、第一支柱固定金具17、第二支柱固定金具19が当該溝によりスライドするように構成してもよい。これによれば、さらに円滑な角度調整が可能となる。ここでは、溝12aの形状は、ボルト30aとワッシャー31aとの形状に応じて形成され、長手方向に延びるように形成されている。また、溝12aの長手方向の一端側は、ボルト30aとワッシャー31aとを挿入可能なように、開放されている。また、溝12bも溝12aと同様に形成されている。すなわち、溝12bには、ボルト30bとワッシャー31bとの形状に応じて形成され、長手方向に延びるように形成され、一端側が開放されている。なお、溝12aについては、その一端を開放しなくとも、溝12a、ボルト30a、ワッシャー31aの形状や大きさを変更することによって溝12aにボルト30a、ワッシャー31aを挿入することが可能なように様々な形態を採用することも可能であり、これは溝12b、ボルト30b、ワッシャー31bについても同様である。
【0035】
また、本実施形態では、第一支柱16、第二支柱18は、第一支柱固定金具17、及び第二支柱固定金具19を介して桁12に取り付けたが、これに限定されることはなく、第一支柱16、第二支柱18の上端を直接桁12に取り付けても良い。
【0036】
さらに、本実施形態では、傾斜方向で高くなる側にのみ支柱を設けたがこれに限らず、低くなる側にも同様の支柱を設けても良い。ただし低い側の支柱の方が傾き(φ)が大きくなる。
【0037】
以上、現時点において実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う太陽電池パネル架台、及び太陽電池装置も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。