特許第5784889号(P5784889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784889
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】3次元プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-205982(P2010-205982)
(22)【出願日】2010年9月14日
(65)【公開番号】特開2011-67624(P2011-67624A)
(43)【公開日】2011年4月7日
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0089458
(32)【優先日】2009年9月22日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597096909
【氏名又は名称】三星メディソン株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウォン スン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン, ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソン レ
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512532(JP,A)
【文献】 特表2006−509533(JP,A)
【文献】 特開平02−055050(JP,A)
【文献】 特開2006−187592(JP,A)
【文献】 特開2003−175033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆方向に動力を発生させる駆動部と、
前記駆動部に連動して前記動力を伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部から前記動力の伝達を受け、複数の位置に可動して動作する探触部と、
前記探触部が前記複数の位置に可動して動作するように、前記探触部の可動位置を感知する位置感知部と、を備え、
前記動力伝達部は、
前記駆動部から前記動力の伝達を受ける動力伝達部材と、
前記動力伝達部材と前記探触部とを連結するワイヤ部材と、
前記動力伝達部材と連結された前記ワイヤ部材の可動を、前記正逆方向に対応する第1方向へガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と異なる方向に設けられて、前記ワイヤ部材の可動を、前記第1方向に対して垂直な第2方向へガイドする第2ガイド部材と、を含み、
前記探触部は、前記第2方向を軸とする第1位置と、前記第1方向を軸とする第2位置との間で可動し、
前記位置感知部は、
前記ワイヤ部材に備えられ、前記探触部の可動位置を感知する第1感知部材と、
前記第1感知部材に対向して、前記探触部の前記第1位置と前記第2位置とに対応する距離に離隔して配置され、前記第1感知部材に連動して前記探触部の前記第1位置と前記第2位置とを感知する複数の第2感知部材と、を含むことを特徴とする3次元プローブ。
【請求項2】
前記第1感知部材は磁性を有し、前記第2感知部材は前記磁性を感知するセンサであることを特徴とする請求項1に記載の3次元プローブ。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記動力を発生させる駆動モータと、
前記駆動モータに軸結合する駆動プーリと、
前記駆動プーリと離隔して配置される従動プーリと、
前記駆動プーリから前記従動プーリに動力を伝達するように、前記駆動プーリと前記従動プーリとに備えられるベルト部材と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元プローブ。
【請求項4】
前記ワイヤ部材は、
前記動力伝達部材に架けられ、その両端は前記探触部と連結されるワイヤと、
前記ワイヤに備えられるピンロッドと、
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の3次元プローブ。
【請求項5】
前記探触部が回転可能なように結合するベース部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の3次元プローブ。
【請求項6】
前記3次元プローブは、エンドキャビティプローブであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の3次元プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元プローブに関し、より詳細には超音波を用いて対象体内部の映像を生成する超音波診断装置に用いる3次元プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、対象体の体表から体内の所望の部位に向かって超音波信号を照射し、反射された超音波信号(超音波エコー信号)の情報を用いて軟部組織の断層像や血流に関する映像を無侵襲で得る装置である。この装置は、X線診断装置、CTスキャナ(Computerized Tomography Scanner)、MRI(Magnetic Resonance Image)、核医学診断装置などの他の映像診断装置と比較して、小型かつ低廉であること、リアルタイムで表示可能であること、X線などの被曝がなく安全性が高いこと、などの長所があるため、心臓、腹部、泌尿器及び産婦人科の診断に広く用いられている。
【0003】
超音波診断装置は、装置の主要構成要素を搭載するカート形態の本体と、超音波を送受信するプローブと、装置の操作に必要な命令を入力するための各種スイッチとキーなどを備えたコントロールパネルと、超音波診断の結果を映像として表示するためのディスプレイ装置とからなる。
【0004】
このうちプローブは、超音波信号と電気信号とを相互に変換するトランスデューサを備える。トランスデューサは、多数の超音波振動子の集合からなる超音波振動子集合体を備え、超音波振動子で被検体に超音波を送信した後、その被検体から戻ってくる反射信号を用いて超音波映像を形成する。
【0005】
最近は、画像処理技術の発達に伴い、3次元超音波映像を表示できる超音波診断装置が開発されている。この超音波診断装置のプローブは、設定された軌道に沿って移動しながら超音波を送受信するトランスデューサを用いて3次元領域の映像を形成する。
【0006】
前記のような従来のプローブでは、トランスデューサが移動する方向について、ある制限された範囲の軌道のみを移動することができるように形成されているため、このトランスデューサを備えるプローブは、その方向を変更しない限りある一方向の映像しか取得できない問題がある。従って、これを改善することが要請される。
【0007】
なお、前記の技術構成は、本発明の理解を促進するための背景技術であって、本発明の属する技術分野で広く知られている従来技術を意味するわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題を改善するために考案されたもので、プローブの方向を変更することなく、多方向の映像を取得できるように構造を改善した3次元プローブを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る3次元プローブは、正逆方向に動力を発生させる駆動部と、前記駆動部に連動して前記動力を伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部から前記動力の伝達を受けて複数の位置に可動するように動作するトランスデューサ部(以後、探触部と呼ぶ)と、前記探触部が前記複数の位置に可動して動作するように前記探触部の可動位置を感知する位置感知部とを含む。
【0010】
また、前記位置感知部は、前記動力伝達部に備えられて前記探触部の可動位置を感知する第1感知部材を備える。
【0011】
また、前記位置感知部は、さらに、前記第1感知部材に連動して前記探触部の前記可動位置を感知し、前記探触部の前記複数の位置に対応する距離に離隔して配置される複数の第2感知部材を備える。
【0012】
また、前記第1感知部材は磁性を有し、前記第2感知部材は前記磁性を感知するセンサであってもよい。
【0013】
また、前記駆動部は、前記動力を発生させる駆動モータと、前記駆動モータに軸結合する駆動プーリと、前記駆動プーリと離隔して配置される従動プーリと、前記駆動プーリから前記従動プーリに動力を伝達するように、前記駆動プーリと前記従動プーリとに備えられるベルト部材とを備える。
【0014】
また、前記動力伝達部は、前記駆動部から前記動力の伝達を受ける動力伝達部材と、前記動力伝達部と前記探触部とを連結するワイヤ部材と、前記動力伝達部材と連結された前記ワイヤ部材の可動を、前記正逆方向に対応する第1方向へガイドする第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材と異なる方向に設けられて、前記ワイヤ部材の可動を前記第1方向と異なる第2方向へガイドする第2ガイド部材とを備える。
【0015】
また、前記ワイヤ部材は、前記動力伝達部材に架けられ、その両端は前記探触部と連結されるワイヤと、前記ワイヤに備えられるピンロッドとを備える。
【0016】
また、前記第2方向は、前記第1方向に対して垂直方向であってもよい。
【0017】
また、本発明の3次元プローブは、前記探触部が回転可能なように結合するベース部をさらに備える。
【0018】
また、前記3次元プローブは、エンドキャビティプローブ(Endocavity probe:体空内に挿入するプローブ)であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の3次元プローブによれば、探触部が複数の位置に可動して動作することができる構造をとる一方、位置感知部を用いて探触部の可動位置を感知して探触部の動作を制御することにより、プローブの方向を変更することなしに1つの位置から複数方向の探査を行うことができる。
【0020】
また、ワイヤ部材の可動が第1方向への可動と第2方向への可動を含むようにワイヤ部材の可動方向をガイドする構造をとることによって、駆動部と動力伝達部が占有する空間を減らし、装置全体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る3次元プローブを示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る3次元プローブの内部を示した部分切断斜視図である。
図3図2の「A」部分を示した拡大図である。
図4図2の「B」部分を示した拡大図である。
図5図4の断面図である。
図6図2に示した3次元プローブの構成を示す構成図である。
図7図2の「A」部分の作動状態を示した図面である。
図8図2の「B」部分の作動状態を示した図面である。
図9図8の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る3次元プローブの一実施例を説明する。なお、図面に示した線の太さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して図示する場合もある。また、本文で用いられる用語は、本発明での機能を考慮して定義されたものであって、これはユーザ、運用者の意図または慣例によって変わることがある。従って、このような用語に関する定義は、本明細書全般に渡った内容に基づいて下されなければならない。
【0023】
図1は本発明の一実施例に係る3次元プローブを示した斜視図であり、図2は本発明の一実施例に係る3次元プローブの内部を示した部分切断斜視図である。
【0024】
また、図3図2の「A」部分を示した拡大図であり、図4図2の「B」部分を示した拡大図であり、図5図4の断面図である。
【0025】
まず、図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例に係る3次元プローブ100は、ハウジング部110と、駆動部120と、動力伝達部130と、探触部140と、位置感知部150とからなる。
【0026】
ハウジング部110は、本実施例に係る3次元プローブ100の外観を形成する。このハウジング部110は、下部ハウジング部112と、上部ハウジング部114と、カバー部116とを備える。
【0027】
下部ハウジング部112は、ハウジング部110の下部を形成する。この下部ハウジング部112は、内部に駆動部120及び位置感知部150を搭載する。
【0028】
上部ハウジング部114は、下部ハウジング部112の上部に備えられて、ハウジング部110の上部を形成する。この上部ハウジング部114は、内部に探触部140を搭載する。上部ハウジング部114の内部にはオイルが満たされており、探触部140は上部ハウジング部114の内部でオイルに浸った状態で備えられる。
【0029】
また、下部ハウジング部112と上部ハウジング部114との間には、隔壁部115が備えられる。隔壁部115は、下部ハウジング部112と上部ハウジング部114との間を遮断し、上部ハウジング部114に満たされているオイルが下部ハウジング部112の内部に漏れないようにする。
【0030】
カバー部116は、上部ハウジング部114の開放された片方向に備えられる。すなわち、カバー部116は、図2に示すように、上部ハウジング部114の上端に備えられる。このカバー部116は、対象体と直接接触する部分で、上部ハウジング部114と共に探触部140を搭載する。
【0031】
駆動部120は、正逆方向に動力を発生させる。この駆動部120は、下部ハウジング112の内部に備えられ、図2及び図3に示すように、駆動モータ122と、駆動プーリ124と、従動プーリ126と、ベルト部材128とを備える。
【0032】
駆動モータ122は、動力を発生させる。また、この駆動モータ122は、正方向または逆方向の回転力を発生させることができる。
【0033】
駆動プーリ124は、駆動モータ122に軸結合する。この駆動プーリ124は、駆動モータ122から動力の伝達を受け、駆動モータ122で発生する回転力により正方向または逆方向に回転する。
【0034】
従動プーリ126は、駆動プーリ124と離隔して配置される。従動プーリ126は、回転が可能なように設けられ、駆動プーリ124から従動プーリ126に動力を伝達するベルト部材128を介して駆動プーリ124から動力の伝達を受ける。
【0035】
動力伝達部130は、駆動部120に連動して動力を伝達する。この動力伝達部130は、下部ハウジング部112及び上部ハウジング部114の内部に備えられ、動力伝達部材132と、ワイヤ部材134と、第1ガイド部材136と、第2ガイド部材138とを備える。
【0036】
動力伝達部材132は、駆動部120から動力の伝達を受ける。本実施例によると、動力伝達部材132は、従動プーリ126と同一の軸に設けられ、従動プーリ126の回転に伴って回転することにより、駆動部120から動力の伝達を受ける。この動力伝達部材132は、従動プーリ126の回転に伴って正方向または逆方向に回転することができる。
【0037】
ワイヤ部材134は、図3図5に示すように、動力伝達部材132と探触部140とを連結する。このワイヤ部材134は、ワイヤ134aとピンロッド134bとを備える。
【0038】
ワイヤ134aは、動力伝達部材132と探触部140とを連結する。ワイヤ134aは、動力伝達部材132に架けられ、ワイヤ134aの両端部は探触部140と連結される。本実施例によると、ワイヤ134aは、隔壁部115に形成された通過ホール(符号省略)を介して隔壁部115を貫通する。このワイヤ134aは、動力伝達部材132の正方向または逆方向への回転により動力伝達部材132に引かれながら動き、探触部140を可動させる。
【0039】
ピンロッド134bは、ワイヤ134aに備えられる。ピンロッド134bは、ワイヤ134aの中間部分に備えられて、ワイヤ134aと共に可動する。また、このピンロッド134bは、隔壁部115に形成された通過ホールに挿入されるように配置され、ワイヤ134aと共に可動するときに、通過ホールから離脱しない十分な長さを有して備えられる。
【0040】
本実施例によると、通過ホールの内部には、オイルシール118が備えられ、ピンロッド134bと密着する。このピンロッド134bとオイルシール118との密着は、通過ホール部分の気密を維持させることによって、上部ハウジング部114に入っているオイルが通過ホールを介して漏れるのを防止する。
【0041】
第1ガイド部材136は、動力伝達部材132に架けられたワイヤ部材134の第1方向への可動をガイドする。この第1ガイド部材136は、動力伝達部材132と離隔して配置され、動力伝達部材132と同じ方向に回転することができるように設けられる。本実施例で、第1方向は、動力伝達部材132の回転方向の接線方向として例示されている。
【0042】
第2ガイド部材138は、第1ガイド部材136と異なる方向に設けられ、ワイヤ部材134の第2方向への可動をガイドする。この第2ガイド部材138は、第1ガイド部材136と離隔して配置され、第1ガイド部材136の回転方向に対して垂直方向に回転することができるように設けられる。本実施例で、第2方向は、第1方向に対し垂直方向として例示されている。
【0043】
動力伝達部材132の回転により引かれながら可動するワイヤ部材134は、前記のような第2ガイド部材138により可動方向が第2方向に変更されて可動することにより、探触部140を可動させることができる。
【0044】
探触部140は、設定された軌道に沿って可動する。この探触部140は、上部ハウジング部114の内部に備えられたベース部160に回転が可能なように結合し、設定された軌道(その回転方向)に沿って可動しながら超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信する動作を行うことによって3次元映像の形成を可能にする。
【0045】
また、探触部140は、圧電物質を振動させて電気信号と音響信号とを相互に変換させる圧電層(図示せず)と、圧電層で発生した超音波信号が対象体に最大限に伝達され得るように圧電層と対象体との間の音響インピーダンス差を減少させる整合層(図示せず)と、圧電層の前方(図4の上方)に伝播する超音波信号を特定地点に集束させるレンズ層(図示せず)と、超音波信号が圧電層の後方に伝播するのを遮断して映像の歪みを防止する吸音層(図示せず)とを備える。
【0046】
前記のような探触部140は、動力伝達部130から動力の伝達を受け、複数の位置に可動して動作する。本実施例によると、探触部140は、ベース部160と結合した回転軸を中心に回転することによって可動し、第2方向軸を中心とする第1位置(a)と、第1方向軸を中心とする第2位置(b)とに可動して動作することができる。
【0047】
本実施例で、探触部140は、設定された軌道に沿って、第1位置(a)の左右(図4の矢印方向)に可動しながら動作し、第2位置(b)の上下(図8の矢印方向)に可動しながら動作するものとして例示されている。この探触部140の可動を可能にするために、ワイヤ部材134は、探触部140が第1位置(a)から第2位置(b)に可動しながら動作することができるように、十分な長さを有するように備えられることが望ましい。
【0048】
位置感知部150は、探触部140が複数の位置に可動して動作するように、探触部140の可動位置を感知する。この位置感知部150は、第1感知部材151と、第2感知部材155、156とを備える。
【0049】
第1感知部材151は、動力伝達部130に備えられ、探触部140の可動位置を感知する。本実施例によると、第1感知部材151は、ワイヤ部材134のピンロッド134bに備えられ、ワイヤ部材134と共に可動する。
【0050】
第2感知部材155、156は、複数備えられ、第1感知部材151に連動して探触部140の可動位置を感知する。この複数の第2感知部材155、156は、探触部140の複数の位置に対応する距離に離隔して配置される。本実施例では、2つの第2感知部材155、156が備えられ、2つの感知部材155、156は、第1位置(a)と第2位置(b)との間の距離に対応する距離に離隔して配置されるものとして例示されている。この第2感知部材155、156は、第1感知部材151の位置を感知することによって、探触部140の可動位置を感知する。
【0051】
本実施例によると、第1感知部材151は、探触部140が第1位置(a)に位置するとき、2つの第2感知部材155、156のうち下部に位置した第2感知部材155と向かい合う位置に位置する(図3)。そして、第1感知部材151は、探触部140が図8に示すような第2位置(b)に位置するとき、2つの第2感知部材155、156のうち上部に位置した第2感知部材156と向かい合う位置に位置する(図7)。
【0052】
一例として、第1感知部材151は、磁性を有しており、第2感知部材155、156が、磁性を感知するセンサであってもよい。本実施例で、第2感知部材155、156は、向かい合う位置にある第1感知部材151の磁性を感知するホールセンサとして例示されているが、本発明はこれに限定される必要はない。例えば、本発明の位置感知部150は、発光部として備えられる第1感知部材151と、受光部として備えられる第2感知部材155、156とを備える光センサにする等、多様な変形実施が可能である。
【0053】
前記のような第1感知部材151と第2感知部材155、156とを備える位置感知部150は、第2感知部材155、156を介して第1感知部材151の位置を感知し、探触部140の可動位置を感知する。
【0054】
すなわち、位置感知部150は、下部に位置した第2感知部材155で第1感知部材151が感知されれば、探触部140の可動位置が第1位置(a)であることを感知し、上部に位置した第2感知部材156で第1感知部材151が感知されれば、探触部140の可動位置が図8に示すような第2位置(b)であることを感知する。
【0055】
図6図2に示した3次元プローブの構成を示す構成図で、図7図2の「A」部分の動作状態を示す図面であり、図8図2の「B」部分の動作状態を示す図面であり、図9図8の断面図である。
【0056】
以下、図3図9を参照して本実施例に係る3次元プローブ100の作用、効果について説明する。
【0057】
まず、図3図6を参照すると、本実施例に係る3次元プローブ100は、探触部140が設定された軌道に沿って、第1位置(a)の左右に可動しながら対象体に対する探査を行うことにより、対象体の3次元映像を取得できる。この探触部140の可動は、駆動部120と動力伝達部130とによりなされる。
【0058】
具体的には、駆動部120の駆動モータ122で発生した正方向または逆方向の動力は、ベルト部材128を介した駆動プーリ124と従動プーリ126との連結により、動力伝達部130の動力伝達部材132に伝達される。
【0059】
本実施例で、正方向の動力は、第1位置(a)に位置した探触部140を図4の第2位置(b)に向かって可動させる方向の動力、逆方向の動力は、図8の第2位置(b)に位置した探触部140を第1位置(a)に向かって可動させる方向の動力と定義される。
【0060】
駆動部120の正逆方向の動力の伝達を受けた動力伝達部材132は、この正方向または逆方向の動力をワイヤ部材134に伝達する。ワイヤ部材134は、動力伝達部材132により引かれながら可動するが、第1ガイド部材136により第1方向に可動し、第2ガイド部材138によりその可動方向が変更されて第2方向に可動する。
【0061】
このように可動するワイヤ部材134は、駆動部120の正方向または逆方向の動力を探触部140に伝達することによって、探触部140を設定された軌道に沿って、第1位置(a)の左右に可動するようにする。
【0062】
前記のような探触部140の位置は、位置感知部150により感知される。すなわち、第1感知部材151は、2つの第2感知部材155、156のうち下部に位置した第2感知部材155と向かい合う位置またはその周辺を移動するようになり、第2感知部材155は、この第1感知部材151の位置を感知して探触部140が第1位置(a)またはその周辺に位置していることを感知する。
【0063】
前記のように位置感知部150により得られた位置情報は、探触部140の位置を決定するのに用いられる。すなわち、位置感知部150により得られた探触部140の位置情報は、超音波診断装置の本体(図示せず)に備えられる制御部170に転送され、制御部170は、この探触部140の位置情報を通じて探触部140の位置を決定する。
【0064】
前記のように探触部140が第1位置(a)またはその周辺に位置しているという情報が位置感知部150により制御部170に転送されると、制御部170は、探触部140が第1位置(a)を中心に第2方向に探査を行うように制御する。
【0065】
これにより、探触部140は、設定された軌道に沿って、第1位置(a)中心に左右に可動しながら対象体に対する探査を行い、制御部170は、対象体に対する第2方向への探査により得られた映像を通じて対象体の3次元映像を生成する。
【0066】
一方、図6図9に示すように、探触部140を第1位置(a)から第2位置(b)に可動させると、探触部140は、設定された軌道に沿って、第2位置(b)の上下に可動しながら対象体に対する探査を行うことにより、対象体の3次元映像を取得することができる。
【0067】
前記のような探触部140の第2位置(b)への可動は、ユーザの操作により行われる。一例として、超音波診断装置のコントロールパネル180には、探触部140の位置を第1位置(a)に可動させるか第2位置(b)に可動させるかを選択するための選択キー182、184が備えられている。ユーザが選択キー182、184を操作して探触部140の位置を選択すると、制御部170は、ユーザの選択キー182、184の操作に応じて駆動部120の動作を制御し、探触部140が第1位置(a)または第2位置(b)に可動するようにする。
【0068】
第2位置(b)での探触部140の位置は、位置感知部150により感知される。すなわち、第1感知部材151は、2つの第2感知部材155、156のうち上部に位置した第2感知部材156と向かい合う位置またはその周辺を移動するようになり、第2感知部材156は、この第1感知部材151の位置を感知して探触部140が第2位置(b)またはその周辺に位置していることを感知する。
【0069】
前記のように位置感知部150により得られた探触部140の位置情報は、制御部170に転送され、制御部170は、この探触部140の位置情報を通じて探触部140の位置を決定する。
【0070】
前記のように探触部140が第2位置(b)またはその周辺に位置しているという情報が位置感知部150により制御部170に転送されると、制御部170は、探触部140が第2位置(b)を中心に第1方向に探査を行うように制御する。
【0071】
本実施例では、位置感知部150が2つの第2感知部材155、156を備え、探触部140の2つの位置への可動を感知するものとして例示しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。本発明の位置感知部150が3つ以上の第2感知部材155、156を備え、探触部140の3つ以上の位置(例えば、第1位置(a)、第2位置(b)、第2位置(b)の反対側の位置)への可動を感知することができるようにする等、多様な変形実施が可能である。
【0072】
本実施例で、3次元プローブ100は、エンドキャビティプローブとして例示されている。この3次元プローブ100は、人体の体腔に挿入された状態で探査を行う場合、第1位置(a)を基準とする探触部140の走査により、第2方向、すなわち挿入方向に対する探査を行うことができるのはもちろん、第2位置(b)を基準とする探触部140の走査により、第1方向、すなわち横方向(挿入方向と直交する方向)に対する探査も1つの位置で共に行うことができる。
【0073】
前記のような本実施例の3次元プローブ100は、探触部140が複数の位置に可動して動作することができる構造をとる一方、位置感知部150を用い探触部140の可動位置を感知して探触部140の位置を決定し、探触部140の動作を探触部140の可動位置に応じて区分して制御することにより、プローブの方向を変えることなしに1つの位置から複数方向の探査を行うことができる。
【0074】
また、本実施例の3次元プローブ100は、ワイヤ部材134の可動が第1方向への可動と第2方向への可動とを含むように、ワイヤ部材134の可動方向をガイドする構造をとることによって、駆動部120と動力伝達部130が占有する空間を減らし、プローブ全体を小型化できる長所がある。
【0075】
本発明を図面に示した実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術に属する分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び同等な他の実施例が考案可能であることを理解するであろう。また、ここでは3次元プローブを例に挙げて説明したが、これは例示的なものに過ぎず、3次元プローブではなく2次元プローブにも本発明は適用できる。従って、本発明の真正な技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって定める。
【符号の説明】
【0076】
100:3次元プローブ、110:ハウジング部、112:下部ハウジング部、114:上部ハウジング部、115:隔壁部、116:カバー部、118:オイルシール、120:駆動部、122:駆動モータ、124:駆動プーリ、126:従動プーリ、128:ベルト部材、130:動力伝達部、132:動力伝達部材、134:ワイヤ部材、134a:ワイヤ、134b:ピンロッド、136:第1ガイド部材、138:第2ガイド部材、140:探触部、150:位置感知部、151:第1感知部材、155、156:第2感知部材、160:ベース部、170:制御部、180:コントロールパネル、182、184:選択キー
図1
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図9