(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784890
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】有機電界発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20150907BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20150907BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20150907BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20150907BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20150907BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20150907BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20150907BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/00 338
G09F9/30 365
H05B33/10
H05B33/14 A
H01L29/78 612B
H01L29/78 627G
H01L29/78 612D
H01L21/20
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-207854(P2010-207854)
(22)【出願日】2010年9月16日
(65)【公開番号】特開2011-85925(P2011-85925A)
(43)【公開日】2011年4月28日
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0098137
(32)【優先日】2009年10月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】李 洪魯
(72)【発明者】
【氏名】李 相祚
【審査官】
小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−272193(JP,A)
【文献】
特開2009−218225(JP,A)
【文献】
特開2009−218223(JP,A)
【文献】
特開2001−102595(JP,A)
【文献】
特開2008−004912(JP,A)
【文献】
特開2008−033073(JP,A)
【文献】
特開2002−366057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 21/18−21/20
21/336
21/34−21/36
21/84
27/32
29/786
51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスキャンラインと、
前記スキャンラインと交差する複数のデータラインと、
前記スキャンラインとデータラインとが交差する領域に位置する複数の画素と、を含み、
前記複数の画素は、それぞれ有機電界発光ダイオード、ゲート電極が前記スキャンラインに接続されて一側電極が前記データラインに接続されるスイッチングトランジスタ、前記有機電界発光ダイオードと電源電圧供給ライン間に接続されてゲート電極が前記スイッチングトランジスタの他側電極に接続される駆動トランジスタ、及び前記駆動トランジスタのゲート電極と電源電圧供給ライン間に接続されるキャパシタを含み、
前記スキャンラインとデータラインに沿って配置されたすべての画素における前記駆動トランジスタの半導体層が異なる長手方向に延長して形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタは、それぞれソース/ドレイン領域及びチャンネル領域を有する半導体層、前記半導体層のソース/ドレイン領域に電気的に接続されるソース/ドレイン電極、前記半導体層のチャンネル領域に対応するように位置するゲート電極及び前記半導体層とゲート電極との間に位置するゲート絶縁膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタは、同一構造を有することを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記複数の画素は、隣接した駆動トランジスタの半導体層が延長する長手方向との間の角度差が一定であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記スイッチングトランジスタの半導体層及び前記駆動トランジスタの半導体層は、レーザによって結晶化された多結晶シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記スイッチングトランジスタの半導体層及び前記駆動トランジスタの半導体層は、前記スキャンラインまたはデータラインに平行に形成された結晶粒境界を有することを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記スキャンライン及びデータラインに沿って隣接した画素の駆動トランジスタの半導体層が互いに異なる長手方向に延長することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
データドライバからデータ信号を伝達するための複数のデータラインとスキャンドライバからスキャン信号を伝達するための複数のスキャンラインとが交差する領域に位置し、半導体層、ゲート絶縁膜、ソース/ドレイン電極及びゲート電極を備える複数の薄膜トランジスタによって有機電界発光ダイオードの発光を調節する複数の画素を含む有機電界発光表示装置において、
前記複数の画素のうち前記スキャンラインとデータラインに沿って配置されたすべての画素における前記有機電界発光ダイオードに電気的に接続された薄膜トランジスタの半導体層が異なる長手方向に延長して形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記複数の画素は、それぞれ有機電界発光ダイオード、前記データ信号を保存するためのキャパシタ、前記データ信号による駆動電流を前記有機電界発光ダイオードに印加するための駆動トランジスタ及び前記スキャン信号によって前記データ信号を前記駆動トランジスタのゲート端子に印加するためのスイッチングトランジスタを含み、
前記スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接した2つの画素の駆動トランジスタの半導体層は互いに異なる長手方向に延長することを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素は、隣接した画素の有機電界発光ダイオードに電気的に接続された薄膜トランジスタの半導体層が延長する長手方向との間の角度差が一定であることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記薄膜トランジスタの半導体層は、レーザによって結晶化された多結晶シリコンであることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記薄膜トランジスタの半導体層は、前記スキャンラインまたはデータラインに平行に形成された結晶粒境界を有することを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項13】
前記スキャンライン及びデータラインに沿って隣接した画素の有機電界発光ダイオードに電気的に接続された薄膜トランジスタの半導体層の延長する長手方向が互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項14】
複数のデータライン、複数のスキャンライン及び前記データラインとスキャンラインとが交差する領域に位置する複数の画素を含む有機電界発光表示装置の製造方法において、
基板を提供する工程と、
前記基板上に、第1半導体層、ゲート絶縁膜、第1ソース/ドレイン電極、第2ソース/ドレイン電極及び第1ゲート電極を含むスイッチングトランジスタと第2半導体層、ゲート絶縁膜、第3ソース/ドレイン電極、第4ソース/ドレイン電極及び第2ゲート電極を含む駆動トランジスタを形成する工程と、
前記スイッチングトランジスタの第1ゲート電極に接続される複数のスキャンライン及び前記スイッチングトランジスタの第1ソース/ドレイン電極または第2ソース/ドレイン電極に接続される複数のデータラインを形成する工程と、
前記スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタ上に保護膜を形成する工程と、
前記保護膜上に、前記駆動トランジスタの第3ソース/ドレイン電極または第4ソース/ドレイン電極に接続される下部電極、1つまたは複数の発光層を含む有機膜層及び上部電極を含む有機電界発光ダイオードを形成する工程と、を含み、
前記スキャンラインとデータラインに沿って配置されたすべての画素に位置する第2半導体層が異なる長手方向に延長するように形成することを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記スイッチングトランジスタの第1半導体層及び前記駆動トランジスタの第2半導体層は、レーザを用いて非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化して形成することを特徴とする請求項14に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記非晶質シリコンの結晶化に用いられるレーザは、前記スキャンラインまたはデータラインに平行する方向に照射されることを特徴とする請求項15に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記複数の画素は、隣接した2つの画素の第2半導体層の延長する長手方向との間の角度差が一定であるように形成することを特徴とする請求項14に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記保護膜上に、平坦化膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置及びその製造方法に関し、特に、本発明は発光有機物質を用いてイメージを実現する有機電界発光表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光表示装置は、平板表示装置の1つであって、液晶表示装置に比べて輝度特性及び視野角特性が優れるので、バックライト(Back Light)が必要でなく、超薄型に実現することができる利点がある。
【0003】
上記有機電界発光表示装置は、駆動方法によって受動駆動(Passive matrix)方式と能動駆動(Active matrix)方式に分類され、能動駆動方式は薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor ;TFT)を用いる回路を有する。そして、薄膜トランジスタに含まれる半導体層はレーザで結晶化されたポリシリコン膜を用いるが、結晶化の過程において縞の歪みなどのような不良が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開1997−260681号公報
【特許文献2】特開1997−321310号公報
【特許文献3】特開2003−197630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザを用いる結晶化法は、量産性や効率性を考慮し、エキシマレーザとして代表されるガスレーザ発振装置、またはヤグ(YAG)レーザとして代表される固体レーザ発振装置から出力されるビームスパット状のレーザビームを光学系により所定長さの線形レーザビームに加工して基板に照射するが、レーザの高い干渉性によって線形ビームの長軸及び短軸にスペックルが発生するため、基板に形成された多結晶シリコンの結晶均一性を減少させ、これによって、上記レーザビームが照射される方向に平行、または垂直に縞の歪みが発生する問題点があった。
【0006】
また、上記のような縞の歪みを最小化するために、基板上に線形のレーザビームが所定角度を有して照射されるようにして、スペックルが発生したレーザビームが基板に分散されて照射されるようにする方法があるが、基板とレーザビームとの間に所定の角度がある場合、上記基板とレーザビームとの間の角度により加工時間が増加し、画素間のオーバーラップ領域の制御が困難となって生産性が悪くなるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するためのものであって、生産性の低下なしに、レーザ照射装置の発振レーザの出力不均一による縞の歪みを最小化することができる有機電界発光表示装置及びその製造方法を提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、複数のスキャンラインと、上記スキャンラインと交差する複数のデータラインと、上記スキャンラインとデータラインとが交差する領域に位置する複数の画素とを含み、上記複数の画素はそれぞれ有機電界発光ダイオード、ゲート電極が上記スキャンラインに接続されて一側電極が上記データラインに接続されるスイッチングトランジスタ、上記有機電界発光ダイオードと電源電圧供給ライン間に接続されてゲート電極が上記スイッチングトランジスタの他側電極に接続される駆動トランジスタ及び上記駆動トランジスタのゲート電極と電源電圧供給ライン間に接続されるキャパシタを含み、上記スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接した2つの画素は上記駆動トランジスタの半導体層が互いに異なる長手方向に延長する有機電界発光表示装置によって達成することができる。
【0009】
本発明の上記目的は、データドライバによりデータ信号を伝達するための複数のデータラインとスキャンドライバによりスキャン信号を伝達するための複数のスキャンラインとが交差する領域に位置し、半導体層、ゲート絶縁膜、ソース/ドレイン電極及びゲート電極を備える複数の薄膜トランジスタによって有機電界発光ダイオードの発光が調節される複数の画素を含む有機電界発光表示装置において、上記複数の画素のうち上記スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接する2つの画素は上記有機電界発光ダイオードと電気的に接続された薄膜トランジスタの半導体層が互いに異なる長手方向に延長する有機電界発光表示装置によって達成することができる。
【0010】
本発明の上記目的は、複数のデータライン、複数のスキャンライン及び上記データラインとスキャンラインとが交差する領域に位置する複数の画素を含む有機電界発光表示装置の製造方法において、基板を提供する工程と、上記基板上に第1半導体層、ゲート絶縁膜、第1ソース/ドレイン電極、第2ソース/ドレイン電極及び第1ゲート電極を含むスイッチングトランジスタと第2半導体層、ゲート絶縁膜、第3ソース/ドレイン電極、第4ソース/ドレイン電極及び第2ゲート電極を含む駆動トランジスタを形成する工程と、上記スイッチングトランジスタの第1ゲート電極と接続される複数のスキャンライン及び上記スイッチングトランジスタの第1ソース/ドレイン電極または第2ソース/ドレイン電極と接続される複数のデータラインを形成する工程と、上記スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタ上に保護膜を形成する工程と、上記保護膜上に上記駆動トランジスタの第3ソース/ドレイン電極または第4ソース/ドレイン電極と接続される下部電極、1つまたは複数の発光層を含む有機膜層及び上部電極を含む有機電界発光ダイオードを形成する工程とを含み、上記スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接した2つの画素に位置する第2半導体層が互いに異なる長手方向に延長する有機電界発光表示装置の製造方法によって達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように本発明に係る有機電界発光表示装置及びその製造方法によれば、スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接した2つの画素に位置する駆動トランジスタの半導体層が互いに異なる長手方向に延長されるように形成して上記隣接した2つの画素の駆動トランジスタ間の特性分布を誘発させることで、レーザを用いる結晶化法により多結晶シリコンを形成する場合に、生産性の低下なしに発振レーザの出力不均一による縞の歪みを緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置を示す回路図である。
【
図2】
図1の「A」領域を示す本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるわけではなく、他の形態で具体化することができる。したがって、ここに(以下に)開示される実施形態は発明の開示を完全なものとすると共に、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。また、図面において、層及び領域の厚みは誇張されており、図示する形態が実際とは異なる場合がある。明細書の全体において同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置を示す回路図であり、
図2は
図1の「A」領域を示す本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置の平面図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置は所定映像をディスプレイするための画素部100、複数のデータラインD1〜Dmを介して上記画素部100にデータ信号を印加するためのデータドライバ110、及び複数のスキャンラインS1〜Snを介して上記画素部100にスキャン信号を印加するためのスキャンドライバ120を含む。
【0016】
上記画素部100は、上記スキャン信号及びデータ信号により所定映像をディスプレイするためのものであって、上記データラインD1〜DmとスキャンラインS1〜Snとが交差する領域に位置し、それぞれ有機電界発光ダイオードEL、ゲート電極241が上記スキャンラインS1〜Snに接続され、一側電極が上記データラインD1〜Dmに接続されて上記スキャン信号により上記データ信号を伝達するためのスイッチングトランジスタTRs、上記有機電界発光ダイオードELと電源電圧供給ラインELVDD間に接続されてゲート電極243が上記スイッチングトランジスタTRsの他側電極に接続され、上記スイッチングトランジスタTRsから伝達されるデータ信号により駆動電流を上記有機電界発光ダイオードELに印加するための駆動トランジスタTRd、及び上記駆動トランジスタTRdのゲート電極243と電源電圧供給ラインELVDD間に接続されて上記データ信号を保存するためのキャパシタCstを含む複数の画素からなる。
ここで、上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した2つの画素は、上記駆動トランジスタTRdの半導体層230が互いに異なる長手方向T1〜T4に延長するように形成され、上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRd間の特性分布を誘発させる。
【0017】
レーザを用いる結晶化方法により発生する縞の歪みは、レーザの高い干渉性のため線形ビームの長軸及び短軸に発生したスペックル(speckle)によってレーザの照射方向の垂直方向または平行方向に位置する駆動トランジスタTRdの半導体層230の電子移動度の差により発生するので、隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdが互いに異なる長手方向T1〜T4に延長するようにして特性分布を誘発させた場合、上記線形ビームのスペックルによる電子移動度の差による輝度偏差を低減させて、縞の歪みを緩和させる。
【0018】
ここで、上記縞の歪みはレーザの照射方向に垂直方向及び平行方向のうち、ある一方向またはすべての方向に発生することができるため、スキャンラインS1〜Sn及びデータラインD1〜Dmに沿って隣接したすべての画素の駆動トランジスタTRdは互いに異なる長手方向T1〜T4に延長するようにすることができる。
【0019】
また、上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した2つの画素に位置するスイッチングトランジスタTRsの半導体層220も互いに異なる長手方向に延長するように形成することができるが、隣接した2つの画素の半導体層220、230が互いに異なる長手方向に延長させるためには所定面積を必要とするが、これによって、画素回路は複雑になったり発光面積が減少したりするので、隣接した画素に位置し、上記データ信号による駆動電流を生成して上記有機電界発光ダイオードELに印加するための駆動トランジスタTRdの半導体層230だけが互いに異なる長手方向T1〜T4に延長するように形成することが好ましい。
【0020】
上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した画素の駆動トランジスタTRd間の電子移動度の差が増加するほど縞の歪みは減少し、下記式のように、隣接した2つの画素の半導体層230間の電子移動度の差は隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdの半導体層230の延長する長手方向T1〜T4との間の角度差θ1〜θ4に比例するので、隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdの半導体層230の延長する長手方向T1〜T4との間の角度差は最大値を有することが好ましい。
【0021】
ただし、上記隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdの半導体層230の延長する長手方向T1〜T4との間の角度差が変更される場合、輝度不均一が誘発されうるという点から上記隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdの半導体層230の延長する長手方向T1〜T4との間の角度差は同一であることが好ましい。
【0023】
(ここで、Mdは隣接した2つの画素の電子移動度の差、Wは駆動トランジスタの半導体層の幅、θ1及びθ2はデータラインに平行な線に基づいて隣接した2つの画素の駆動トランジスタの半導体層の長手方向の角である。)
【0024】
図3は、
図2の切断線I−I’による断面図である。
【0025】
図2及び
図3に示すように、本発明の実施例に係る有機電界発光表示装置の製造方法を説明する。まず、ガラスや合成樹脂、ステンレススチールなどのような材質に形成される基板210上に、非晶質シリコン層(図示せず)を積層し、エキシマレーザアニーリング(Excimer Laser Annealing:ELA)結晶化法及び順次側面固相(Sequential Lateral Solidification:SLS)結晶化法などのようなレーザを用いる結晶化方法により上記非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化した後、上記多結晶シリコンをパターニングしてスイッチングトランジスタTRsの第1半導体層220及び駆動トランジスタTRdの第2半導体層230を形成する。
【0026】
ここで、上記駆動トランジスタTRdの第2半導体層230は所定長手方向T1〜T4に延長し、上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した2つの画素は上記駆動トランジスタTRdの第2半導体層230が互いに異なる長手方向T1〜T4に延長するように形成して、上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに沿って隣接した2つの画素の駆動トランジスタTRdに特性分布を発生させる。
【0027】
また、上記スイッチングトランジスタTRsの第1半導体層220及び駆動トランジスタTRdの第2半導体層230の結晶化のために、基板210に照射されるレーザビーム(図示せず)は基板210とレーザビームとの間に所定角度が発生した場合、工程時間の増加などのような生産性低下を考慮して上記基板210の一側面に平行するように照射することが好ましく、通常のスキャンラインS1〜Sn及びデータラインD1〜Dmは、それぞれの基板210の一側面に平行するように形成されることを考慮して、上記スイッチングトランジスタTRsの第1半導体層220及び駆動トランジスタTRdの第2半導体層230の結晶化のために基板に照射されるレーザは上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに平行な方向で照射されて、上記スイッチングトランジスタTRsの第1半導体層220及び駆動トランジスタTRdの第2半導体層230が上記スキャンラインS1〜SnまたはデータラインD1〜Dmに平行な方向に結晶粒境界が位置する多結晶シリコンに形成させることが好ましい。
【0028】
本発明による実施例は、上記基板210直上に非晶質シリコン層が形成されるものとして説明したが、上記非晶質シリコン層の結晶化工程時に上記基板210上の不純物が拡散することを防止するために、上記基板210上にシリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化膜(SiO
2)、またはこれらの積層によりバッファ層(図示せず)を形成した後、上記非晶質シリコン層を積層し、上記非晶質シリコン層を結晶化することができる。
【0029】
続いて、上記第1半導体層220及び第2半導体層230を含む基板210上にゲート絶縁膜240を積層する。ここで、上記ゲート絶縁膜240はシリコン酸化膜(SiO
2)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはその積層構造を用いて形成することができる。
【0030】
続いて、上記ゲート絶縁膜240上部にアルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金の単一層やクロム(Cr)またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が多重に積層されたゲート電極用金属層(図示せず)を形成し、上記ゲート電極用金属層を乾式または湿式エッチングして上記第1半導体層220の所定領域に対応され、上記スキャンラインS1〜Snに接続される第1ゲート電極241、上記第2半導体層230の所定領域に対応される第2ゲート電極243及び上記キャパシタCstのキャパシタ下部電極245を形成する。ここで、上記所定領域は後工程で形成される上記第1半導体層220及び第2半導体層230のチャンネル領域224、234である。
【0031】
図2は、上記第1ゲート電極241とスキャンラインS1〜Snとが接触して上記第2ゲート電極243とキャパシタ下部電極245が接触することで示しているが、上記第1ゲート電極241、スキャンラインS1〜Sn、上記第2ゲート電極243及びキャパシタ下部電極245をそれぞれ形成し、コンタクトホールなどを介して上記第1ゲート電極241とスキャンラインS1〜Sn及び上記第2ゲート電極243とキャパシタ下部電極245をそれぞれ電気的に接続することができる。
【0032】
次に、上記第1ゲート電極241及び第2ゲート電極243をマスクとして用いて上記第1半導体220及び第2半導体層230の一部を導電型の不純物をドーピングすることで、上記第1半導体層220の第1ソース/ドレイン領域222及び上記第2半導体層230の第2ソース/ドレイン領域232を形成し、上記第1半導体層220の第1ソース/ドレイン領域222との間及び上記第2半導体層230の第2ソース/ドレイン領域232との間が上記第1半導体層のチャンネル領域224及び第2半導体層230のチャンネル領域234になるようにする。ここで、上記不純物ドーピング工程は、第1ゲート電極241及び第2ゲート電極243が形成される前に上記基板210上にフォトレジストを形成して進行することができ、上記第1半導体層のチャンネル領域224及び第2半導体層230のチャンネル領域234の一部を低濃度の不純物にドーピングして漏洩電流を防止することもできる。
【0033】
続いて、上記第1ゲート電極241及び第2ゲート電極243を含む基板210上に層間絶縁膜250を形成し、上記層間絶縁膜250及びゲート絶縁膜240をエッチングして上記第1ソース/ドレイン領域222の一部を露出させる第1コンタクトホール225、上記第2ソース/ドレイン領域232の一部を露出させる第2コンタクトホール235及び上記下部キャパシタ電極245の一部を露出させる第3コンタクトホール242を形成する。
【0034】
続いて、上記第1コンタクトホール225、第2コンタクトホール235及び第3コンタクトホール242を含む層間絶縁膜250上部にモリブデンタングステン(MoW)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)などの導電物質を積層した後、上記導電物質をパターニングして上記第1コンタクトホール225を介して第1ソース/ドレイン領域222に接続されて上記データラインD1〜Dmに電気的に接続される第1ソース/ドレイン電極251、上記第1コンタクトホール225及び第3コンタクトホール242を介して第1ソース/ドレイン領域222とキャパシタ下部電極245とを電気的に接続される第2ソース/ドレイン電極251、上記第2コンタクトホール235を介して第2ソース/ドレイン領域222に接続されて電源電圧供給ラインELVDDと電気的に接続される第3ソース/ドレイン電極253、上記第2コンタクトホール235を介して第2ソース/ドレイン領域222に接続されて後続工程を介して形成される下部電極280に電気的に接続される第4ソース/ドレイン電極254及びキャパシタ上部電極255を形成し、スイッチングトランジスタTRs、駆動トランジスタTRd及びキャパシタCstを完成する。
【0035】
本発明による実施例は、各画素が1つのスイッチングトランジスタTRs、駆動トランジスタTRd及びキャパシタCstを含むものとして説明したが、上記駆動トランジスタTRdの閾値電圧を補償するための補償回路を備えた場合、複数のスイッチングトランジスタTRsをさらに形成することができる。
【0036】
また、本発明による実施例は、上記スイッチングトランジスタTRsと駆動トランジスタTRdがすべて半導体層上部にゲート電極が位置するトップゲート(top gate)構造を有するものとして説明したが、上記スイッチングトランジスタTRsと駆動トランジスタTRdは互いに異なる構造、すなわち上記スイッチングトランジスタTRsまたは駆動トランジスタTRdは半導体層下部にゲート電極が位置するボトムゲート(bottom gate)構造とすることができる。
【0037】
次に、上記第1ないし第4ソース/ドレイン電極251、252、253、254を含む上記基板210上に、シリコン酸化物などの無機絶縁膜に形成される保護膜260及びアクリルなどの有機絶縁膜に形成される平坦化膜270を形成し、上記保護膜260及び平坦化膜270をエッチングし、上記第4ソース/ドレイン電極254の一部を露出させるビアホール272を形成する。ここで、本発明による実施例は、上記第1ないし第4ソース/ドレイン電極251、252、253、254を含む上記基板210上に保護膜260及び平坦化膜270をすべて形成するものとして説明したが、上記保護膜260及び平坦化膜270のうちいずれか1つだけを形成することができる。
【0038】
続いて、上記ビアホール272を含む平坦化膜270上に導電性物質を積層し、上記導電性物質をパターニングして上記ビアホール272を介して上記第4ソース/ドレイン電極254に電気的に接続される下部電極280を形成した後、上記下部電極280を含む上記基板210上に上記下部電極280の一部を露出させて発光領域を定義する画素定義膜290を形成する。ここで、上記画素定義膜290は、ポリイマイド(polyimide)、ベンゾサイクロブチン系樹脂(benzocyclobutens series resin)、フェノール系樹脂(phenol resin)またはアクリレート(acrylate)で形成することができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0039】
次に、図示していないが、上記画素定義膜290により定義された発光領域、すなわち上記画素定義膜290により露出された上記下部電極280の表面に1つまたは複数の発光層(図示せず)を含む有機膜(図示せず)及び上記有機膜上に位置する上部電極(図示せず)を形成してデータ信号及びスキャン信号に従って所定色を発光する有機電界発光ダイオードELを完成する。
【0040】
結果的に、本発明の実施例による有機電界発光表示装置及びその製造方法は、スキャンラインまたはデータラインに沿って隣接した2つの画素の駆動トランジスタが互いに異なる長手方向に延長する半導体層を有するようにして駆動トランジスタの特性分布を誘発することによって、発振レーザの出力不均一による縞の歪みを緩和することができる。
【符号の説明】
【0041】
100 画素部
210 基板
220 第1半導体層
230 第2半導体層
T1 第1半導体層の長手方向
T2 第2半導体層の長手方向