特許第5784906号(P5784906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784906
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】放物面状の流れ表面を有する噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20150907BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
   B05B3/10 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-514919(P2010-514919)
(86)(22)【出願日】2008年5月28日
(65)【公表番号】特表2010-535608(P2010-535608A)
(43)【公表日】2010年11月25日
(86)【国際出願番号】US2008064953
(87)【国際公開番号】WO2009005915
(87)【国際公開日】20090108
【審査請求日】2011年5月30日
(31)【優先権主張番号】11/773,156
(32)【優先日】2007年7月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513156401
【氏名又は名称】フィニッシング ブランズ ホールディングス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】セイツ,デイビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】セドズ,ロジャー ティー.
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−174170(JP,A)
【文献】 特開昭57−042361(JP,A)
【文献】 特開昭63−229163(JP,A)
【文献】 特開平09−047692(JP,A)
【文献】 特開昭57−045358(JP,A)
【文献】 米国特許第8602326(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/04
B05B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルカップの中心軸線に対して変化する角度によって定義される放物面状の流れ表面を有したベルカップであって、前記角度は前記中心軸線に沿って下流側へ次第に変化し、前記放物面状の流れ表面は、該ベルカップの前記中心軸線に対する角度が変化する階段状の複数の面より成り、前記階段状の複数の面の各々は、ベルカップの中心開口部と外側の縁部との間の距離の10%よりも小さくなっているベルカップと、
該ベルカップの前記放物面状の流れ表面と外縁との間に設けられたフリップ縁部とを具備し、
該フリップ縁部、前記中心軸線に対する角度が、前記階段状の複数の面による前記放物面状の流れ表面における接線の、前記中心軸線に対する角度よりも小さく、かつ、前記放物面状の流れ表面とは不連続な角度を有しており、該フリップ縁部の角度および前記流れ表面の角度は前記中心軸線を含む平面内で同中心軸線に対して定義され、前記放物面状の流れ表面が、該ベルカップの中心開口部から外側の縁部までの経路の少なくとも90%の部分となっている噴霧塗装装置。
【請求項2】
前記放物面状の流れ表面が、該ベルカップの前記中心開口部から前記フリップ縁部まで延在している請求項1に記載の噴霧塗装装置。
【請求項3】
前記ベルカップを有する回転霧化器を具備する請求項1に記載の噴霧塗装装置。
【請求項4】
前記ベルカップ内に配設されたスプラッシュプレートを更に具備し、前記放物面状の流れ表面は、該スプラッシュプレートの背面に対面し、かつ、下流方向へ該スプラッシュプレートの前面を超えて延びている請求項1に記載の噴霧塗装装置。
【請求項5】
前記スプラッシュプレートおよび前記放物面状の流れ表面は、下流方向に収斂する環状の流れ通路を画成する請求項4に記載の噴霧塗装装置。
【請求項6】
前記スプラッシュプレートの背面および前記放物面状の流れ表面は、該スプラッシュプレートと、該放物面状の流れ表面との間の空間に平坦面を具備していない請求項4に記載の噴霧塗装装置。
【請求項7】
前記放物面状の流れ表面が、前記ベルカップの中心軸線を中心とした回転放物面によって定義される環状の表面を具備する請求項1に記載の噴霧塗装装置。
【請求項8】
前面放物面状の流れ表面は、前記ベルカップの中心開口部と前記フリップ縁部との間の円錐状の表面部分を含んでいない請求項1に記載の噴霧塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放物面状の流れ表面を有する噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本項目では、以下に説明しまた特許請求の範囲に記載される本発明の種々の特徴に関連した技術の種々の特徴を紹介することを意図している。以下の説明は、本発明の種々の特徴のより良い理解を助ける背景事情を提供するのに役立つであろう。したがって、以下の説明はこうした観点から理解されるべきであり、従来技術を認めたものではない。
【0003】
しばしば噴霧ガンと称される噴霧装置は、種々の広範な作業生産物に噴霧塗装するために用いられる。更に、種々の異なる噴霧塗装装置がある。手操作される噴霧塗装装置もあれば、自動操作される噴霧塗装置作もある。噴霧塗装装置の一例として回転霧化器がある。回転霧化器は、回転ディスクまたはベルを用いて、遠心力により塗料のような塗材を霧化する。霧化された塗料粒子に静電荷を印加して、少量のシェーピングエアによって粒子を塗装対象物へ向けて前方に放出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転霧化器は、通常、流体をベル表面の方に方向付けるためのスプラッシュプレートを有しており、流体はベルの縁部へ流れる際にベルの表面で脱水される。脱水が不十分であると、噴霧塗装の色が変化することもある。更に、流体物質および/または粒子物質が、スプラッシュプレートとベルカップとの間に堆積し、噴霧塗装が不均一となり、また噴霧装置の清掃も困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特許請求の範囲に記載された特徴に相応する特定の特徴を以下に記載する。これらの特徴は、本発明の特定の形態の単なる概要であって、本発明の範囲を限定する趣旨ではない。実際上、以下に記載していない種々の特徴を包含するものである。
【0006】
本発明は、ベルカップの中心軸線に対して変化する角度によって定義される放物面状の流れ表面を有したベルカップであって、前記角度は前記中心軸線に沿って下流側へ次第に変化し、前記放物面状の流れ表面は、該ベルカップの前記中心軸線に対する角度が変化する階段状の複数の面より成り、前記階段状の複数の面の各々は、ベルカップの中心開口部と外側の縁部との間の距離の10%よりも小さくなっているベルカップと、該ベルカップの前記放物面状の流れ表面と外縁との間に設けられたフリップ縁部とを具備し、
該フリップ縁部、前記中心軸線に対する角度が、前記階段状の複数の面による前記放物面状の流れ表面における接線の、前記中心軸線に対する角度よりも小さく、かつ、前記放物面状の流れ表面とは不連続な角度を有しており、該フリップ縁部の角度および前記流れ表面の角度は前記中心軸線を含む平面内で同中心軸線に対して定義され、前記放物面状の流れ表面が、該ベルカップの中心開口部から外側の縁部までの経路の少なくとも90%の部分となっている噴霧塗装装置を要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】放物面状の流れ表面を備えた噴霧塗装装置を有した噴霧塗装システムの実施形態を示すブロック図である。
図2】噴霧塗装プロセスの1つの実施形態のフローチャートである。
図3】放物面状の流れ表面を備えた噴霧塗装装置の実施形態の斜視図である。
図4図3の噴霧塗装の実施形態の正面図である。
図5図3の噴霧塗装の実施形態の側面図である。
図6図4の矢視線6−6に沿う噴霧塗装の実施形態の断面図である。
図7図6において円7−7で示す噴霧塗装の実施形態の一部を拡大して示す部分断面図である。
図8図7において円8−8で示す噴霧塗装の実施形態の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図9】噴霧塗装装置で使用する放物面状の流れ表面を有したベルカップの実施形態の断面図である。
図10】噴霧塗装装置で使用するスプラッシュプレートの断面図である。
図11】種々の噴霧塗装装置で使用するベルカップの実施形態の断面図である。
図12】種々の噴霧塗装装置で使用するベルカップの実施形態の断面図である。
図13】種々の噴霧塗装装置で使用するベルカップの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の他の特徴、形態、利点は、添付図面を参照する以下の詳細な説明からより良く理解されよう。
【0009】
以下、本発明の1または複数の実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔に説明する目的から、実際に実施される全ての特徴が記載されるわけではない。こうした実際の実施に際しては、他の開発や設計プロジェクトと同様に、開発の特定目的を達成するために、実施ごとに変化するであろうシステムに関連した制限や事業に関連した制限の順守のような、実施に際しての固有の多くの決定がなされなければならない。更に、こうした開発作業は複雑で時間を要するが、本願の利益を享受する当業者には、日常の決まりきった設計、制作、製造となろう。
【0010】
特定の実施形態において、回転霧化塗装装置は、噴霧を形成するために下流へ流れる流体のための流れ経路内に、略放物面状の流れ表面のような湾曲した流れ表面を備えたベルカップを有している。言い換えれば、流れ表面に対する接する角度が、例えば、完全に連続的に、小さなステップで或いは複合的な曲線状に流れ経路沿いに次第に変化する。例えば、略放物面または放物曲面を近似する複数の曲面のような湾曲した流れ表面は、特に、流体の流れ、噴霧特性、カラーマッチングおよび清掃に関連する機能、方法および結果において、円錐状の流れ表面とは異なっている。例えば、略放物面状の流れ表面は、塗装流体の脱水のための付加的表面を提供し、例えば、一層高い湿潤固相を含有する性能を付与することによって、従来のベルカップと比較してカラーマッチングを改善する。更に、塗装流体は、略放物面状の流れ表面に沿って加速し、従来のベルカップの場合よりも、ベルカップを離れるときの速度が高くなる。更に、ベルカップに隣接させて配置されたスプラッシュプレートは、ある実施形態では、流体が、スプラッシュプレートと略放物面状の流れ表面との間の環状領域を通過する際に加速されるように構成されている。この加速によって、流体および/または粒子物質を捉える低圧の空隙を実質的に低減または除去し、従来のベルカップと比較して、塗装流体を均一に塗布し、そして、ベルカップを効果的に清掃可能となる。
【0011】
図1は、一例として示す塗装システム10のブロック図である。該塗装システムは、噴霧塗装装置12を含んでいる。該噴霧塗装装置は、塗装対象物14を望ましく塗装するための湾曲した流れ表面(例えば、略放物面状の流れ表面)を有している。上述し、また以下に詳細に後述するように、噴霧塗装装置12の湾曲した流れ表面は、従来の円錐状の流れ表面よりも著しい利点がある。例えば、湾曲した流れ表面の摩擦は、流体の脱水を高め、流体が下流へ流れるにつれ該流体を加速し、そして、流体が下流へ流れるにつれて該流体に作用する力を増加させる。湾曲形状は、従来の円錐形状と比較して、表面積が高くなり脱水量が増加する。更に、湾曲表面をシート状に流れる流体は、表面の中心部から外方へ薄くなる。従来の円錐形状と比較して湾曲した形状のために、流体の流れの角度が次第に変化するので流体の流れが加速する。従来の円錐形状と比較して湾曲した形状のために、流体の流れの角度が次第に変化するので次第に増加する力が作用する。湾曲した流れ表面の縁部を離れるときの流体シートの厚さは、従来の円錐形のベルカップの場合と比較してくなるかもしれないが、ベルカップに沿って流れ同ベルカップから離れる流体の流れには一層大きな力が作用し、かつ/または、一層強く加速されるので、従来の円錐形のベルカップと比較して、カラーマッチングおよび霧化が改善され、詰まりが低減され(例えば、システムが一層綺麗になる)る。
【0012】
噴霧塗装装置12は、流体供給源16、空気供給源18および制御システム20のような、種々の供給システムおよび制御システムに結合することができよう。制御システム20は、流体供給源16および空気供給源18の制御を容易にし、かつ、噴霧塗装装置12による塗装対象物14上への許容できる品質の噴霧塗装を確実にする。例えば、制御システム20は、自動化システム22、位置決めシステム24、流体供給コントローラー26、空気供給コントローラー28、コンピュータシステム30およびユーザインターフェース32を含むことができよう。制御システム20は、また、噴霧塗装装置12に対して塗装対象物14の移動を容易にする位置決めシステム34に結合することができよう。こうして、噴霧塗装システム10は、塗装流体の流量、空気流量および噴霧パターンのコンピュータ制御と同期させることができよう。更に、位置決めシステム34は、制御システム20によって制御されるロボットアームを含み、塗装装置12が、塗装対象物14の全表面を均一かつ効果的にカバーするようにできよう。1つの実施形態では、塗装対象物14は、噴霧塗装装置12からの帯電した塗装粒子を引き付けるために接地することができよう。
【0013】
図1の噴霧塗装システム10は、種々の用途、流体、塗装対象物および種々のタイプおよび形態の噴霧塗装装置12に応用することができよう。例えば、ユーザは、異なる材料や製品タイプのような、種々の異なる塗装対象物38から所望の塗装対象物36を選択することができよう。ユーザーは、複数の異なる塗装流体42から所望の流体40を選択することができよう。複数の異なる塗装流体は、金属や木材のような種々の材料のために、異なるタイプの塗料、色、テクスチャーおよび特性を有することができよう。更に詳細に後述するように、噴霧塗装装置12は、種々の異なる構成要素や、ユーザーによって選択された塗装対象物14および流体供給源16に適合した噴霧形成機構を具備することができよう。例えば、噴霧塗装装置12は、空気式霧化器、回転霧化器、静電霧化器その他の適当な噴霧形成機構のような構成要素を含むことができよう。
【0014】
噴霧塗装システム10は、図2に一例として示すような、塗装対象物14へ所望の噴霧塗料を塗布するための噴霧塗装プロセス100を利用することができよう。プロセス100は、所望の流体を塗布する塗装対象物14を同定する段階(ブロック102)から開始する。プロセス100は、次いで、塗装対象物13の噴霧表面に塗布するための所望流体40を選択する段階へ進む(ブロック104)。噴霧塗装装置12は、同定された塗装対象物14および選択された流体のために設定される(ブロック106)。噴霧塗装装置12が作動すると、選択された流体40の噴霧が形成される(ブロック108)。次いで、噴霧塗装装置12は、塗装対象物14の所望の表面に霧化された噴霧塗料を塗布する(ブロック110)。次いで、前記所望表面上に塗布された塗料を硬化/乾燥させる(ブロック112)。判断ブロック114において、上記選択された流体によって更に塗装することが望まれる場合には、プロセス100はブロック108、110、112を実行し、選択された流体40にて更に他の塗装を行う。判断ブロック114において、上記選択された流体にて更に塗布することが望まれない場合には、プロセス100は判断ブロック116へ進み、新規の流体にて塗装することが必要であるか否かが判断される。判断ブロック116において、新規の流体による塗装が望まれている場合には、プロセス100は、噴霧塗装用に新規に選択された流体を用いてブロック104、106、108、110、112、114を実行する。判断ブロック116において、新規の流体による塗装を望んでいない場合には、プロセス100はブロック118にて終了する。
【0015】
図3は、システム10およびプロセス100を利用する噴霧塗装装置200の例示的実施形態の斜視図である。噴霧塗装装置200は、回転霧化器202と静電荷発生源204とを含んでいる。回転霧化器202の前部にはベルカップ206が配設されている。該ベルカップは霧化縁部208と流れ表面210とを有している。上述しまた詳細に後述するように、流れ表面210は、略円錐状の流れ表面または完全な流れ表面とは異なる略放物面状の流れ表面のような湾曲した流れ表面を有利に含んでいる。ベルカップ206内にはスプラッシュプレート212が配設されている。静電荷発生源204は、高電圧リング214、高圧電極216および電源に接続するためのコネクター218を含んでいる。噴霧塗装装置200の頚部220の遠位端に、空気および流体の入口管路および高電圧ケーブル入口が設けられている。図4、5は、各々図3の噴霧塗装装置200の1つの実施形態の正面図および側面図である。
【0016】
図6は、図4の矢視線6−6に沿う噴霧塗装装置200の1つの実施形態の断面図である。回転霧化器202は、霧化器支軸222と回転軸224とを含んでいる。支軸222内で回転軸224はエアタービンによって回転する。ベルカップ206は、回転軸224の近位端に結合されており、回転軸224が回転することによって、ベルカップ206もまた回転することとなる。回転するベルカップ206に流体が流入すると、該流体は、(例えば、湾曲した、放物面状の、或いは、連続的に変化する)流れ表面210に沿って流動し、霧化縁部208から放たれるときに、霧化され流体粒子となる。
【0017】
回転軸224内には、所望の塗装流体40のような流体をベルカップ206へ供給するための流体管路226が配設されている。図示する流体管路226は、回転軸224には結合されておらず、噴霧塗装装置200に対して回転しない。1または複数の流体供給源から延在する1または複数の流体通路228を流体管路226内に配設することができる。システム全体をパージすることなく、ベルカップ206を清掃することが望ましい例もあろう。従って、流体通路226は塗装流体40用と溶剤用の独立した通路を含むことができる。更に、ベルカップ206に隣接させて溶剤ノズル230を配設して、ベルカップ206の外表面へ向けて洗浄用溶剤を放出、噴霧するようにできる。エアタービンに空気が供給されている間に塗装流体を選択的に流通可能とする流体弁232が塗装流体通路228に配設されている。つまり、弁232は、回転軸224が回転しベルカップ206が作動中に開弁する。
【0018】
タービンを介して空気が1または複数の空気通路234に供給される。また、空気通路234を介してシェーピングエア噴口236に空気を供給される。シェーピングエア噴口236は、流体の粒子がベルカップ206の霧化縁部208を離れるときに、塗装対象物14へ向けて流体粒子を方向付けるように形成されている。更に、高圧電極216は、ベルカップ206の周囲に強力な静電界を形成する。この静電界によって、霧化された流体粒子が帯電し、該流体粒子が接地されている塗装対象物14に付着する。高圧電極216は高電圧リング214を介して電圧が印加される。コネクター218は、高電圧リング214を高電圧ケーブルに結合する。該高電圧ケーブルは、開口部240において頚部220から突出させてコネクター218に結合させることができる。
【0019】
図7は、図6において破線7−7で示す噴霧塗装装置200の1つの実施形態の一部を拡大して示す断面図である。流体管路端部分242が、流体管路226の近位端に連結されている。1または複数の流体入口244が、流体管路226内の1または複数の流体通路228に接続されている。流体は、流体出口246において流体管路端部分242から流出して、スプラッシュプレート248の背面248に衝突する。スプラッシュプレート212の背面248によって、流体は半径方向外側へ流れ表面210の方へ方向付けられる。ベルカップ206が回転すると、流体は流れ表面210に沿って霧化縁部208へ向けて流動する。更に後述するように、スプラッシュプレート212の背面と(例えば、湾曲した、放物面状の、或いは、連続的に変化する)流れ表面210との間の流れ経路は、縁部208へ向けて流動する流体流れを収斂させるようにし、それによって低圧領域や詰まり等の可能性を低減するようにしてもよい。こうして、収斂する流れによって、噴霧塗装装置200は確実に清浄に保たれ、小片の堆積による清掃または補修による停止時間が低減される。
【0020】
霧化縁部208は、図8に示すように、セレーション250を含んでいる。ベルカップ206が回転すると、矢印252にて略示するように、流体は流れ表面210に沿って流動する。流体がセレーション250のテーパー状の端部に到達すると、そこにはセレーション250の間に独立した流体通路256が形成されている。セレーション250は、テーパー状の端部254から離反する方向に幅および高さが増加する。つまり、流体通路256の幅は縮小する。セレーション250によって、流体は、概ね流体通路256に沿った方向にベルカップ206の縁部208から放たれる。複数の畝部や溝部のような他の構成でもい。更に、上述したように、流れ表面210の湾曲形状(例えば、略放物面状)によって流体の流れは加速され、前記流体通路内で流体に作用する縁部208方向に作用する力が増加する。その結果、流体の流れに作用する加速度および力が増加し、セレーション250の効果が改善され、更に、霧化やカラーマッチング等が改善される。
【0021】
図9を参照すると、ベルカップ206の回転速度が不十分であると、流体は、望ましい流量よりも高い流量でベルカップ206に流入する。従って、複数の孔260を有した空所258が設けられている。前記複数の孔は、通路262を介してベルカップ206の外部に通じている。流体出口246からの余分な流体は、流体管路226へ逆流することなく空所258へ流れ、ベルカップ206から流出する。
【0022】
図9に示した例示的実施形態では、ベルカップ206の流れ表面210は、中心開口部263から霧化縁部208へ形成されている。図示する流れ表面210は、略放物面状の湾曲形状を有している。すなわち、流れ表面210は中心軸線264を中心とした回転放物面によって定義される。然しながら、ベルカップ206の流れ表面210として種々の他の湾曲した表面を用いることもできよう。流れ表面210は、少なくとも部分的に、実質的または全体的に湾曲しているが、実質的に或いは全体的に円錐形状とはなっていない。例えば、流れ表面210は、中心開口部263と縁部208との間の経路中の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の部分または100%全てを湾曲させることができよう。例えば、放物面状に湾曲させた形態は、単純な連続曲面、複合曲面、ステップ状に変化する一連の曲面(例えば、段階的な曲面)等とすることができる。各ステップは、例えば、開口部263と縁部208との間の距離の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%またはそれ以上の割合よりも小さくすることができよう。
【0023】
ある実施形態では、中心軸線264に対する流れ表面210の角度は、ベルカップ206の中心部から霧化縁部208へ次第に小さくなるようにできよう。この角度の低下を中心軸線264に対する角度α、βにて示す。直線266は、スプラッシュプレート212近傍における流れ表面210に対する接線を示し、直線268は、霧化縁部208近傍における流れ表面210に対する接線を示している。流れ表面210の湾曲形態(例えば、放物面状)によって、従来の(円錐状の)ベルカップと比較して、所与のベルカップ直径に対して、表面積が一層大きくなる。この改善された表面積によって、一層高い湿潤固相を含有する性能が与えられ、水性塗料のカラーマッチングのための付加的脱水表面が提供される。更に、放物面状の流れ表面210によって、流体が霧化縁部208へ向けて流動する際に、該流体に作用する力が増大する。この力が増大することによって、流体は、従来のベルカップよりも一層高速で霧化縁部208から放たれる。更に、ベルカップの霧化縁部208に或いは同霧化縁部の近傍にセレーション250を設けた場合には、前記増大した力によって、流体を一層高速でセレーション250を流通させることが可能となる。また、湾曲した流れ表面210によって、霧化縁部208における塗料流体のシート厚はくなる。従って、放物面状の曲面は、必要な脱水および流体速度に対する望ましいシート厚のバランスによって決定されよう。放物面状の流れ表面210は、各段が先行する段に対して傾斜しているような階段状に製造することができよう。すなわち、流れ表面210は、中心軸線264に対する角度が変化する多数の階段状の表面によって形成することができよう。
【0024】
更に、スプラッシュプレート212およびベルカップ206は、背面248と流れ表面210との間に収斂する環状通路269が形成されるようになっている。流体流れの収斂は、噴霧塗装装置の種々の実施形態によって、一定割合の収斂、或いは、増大する割合の収斂とすることができよう。図示するように、中心軸線264の近傍において、背面248と流れ表面210との間の距離270は、中心軸線264から遠位における、背面248と流れ表面210との間の距離272よりも大きくなっている。この収斂によって、前記環状通路を流通する流体の流れが加速される。加速度は一定または増大する加速度とすることができよう。更に、図示する実施形態では、流れ表面210と背面248の何れも平坦面を含んでおらず、流体および/または粒子が捉えられる低圧キャビティが形成されない。その結果、塗装流体は、略均一の速度で適用され、ベルカップ206は従来のベルカップよりも一層効果的に清掃されよう。スプラッシュプレート212は、更に複数の小孔274を含むことができ、該小孔内を流体を流通させることができる。小孔274を通じて少量の流体を流通させて、スプラッシュプレート212の前面を濡らすことによって、塗装流体の小片がスプラッシュプレート212上で乾燥することがなく、また塗装を汚染することもなくなる。
【0025】
図10にスプラッシュプレート212の詳細を示す。スプラッシュプレート212は、2つの部分、つまり、ディスク部278と挿入部280を含んでいる。部分278、280は、連結部282によって体外に保持しあっている。連結部282は、例えば、ピンやネジを含むことができよう。挿入部280は、ベルカップ206の中心開口部263内に挿入されている。固定リング284によって、スプラッシュプレート212がベルカップ206に固定される。
【0026】
図11にベルカップの類似の実施形態を示す。ベルカップ286において、略放物面状の流れ表面210は、フリップ縁部288まで延在しており、該フリップ縁部は霧化縁部208まで延在している。流れ表面210は接合領域289によってフリップ縁部288に結合されている。フリップ縁部288に接する直線290と、中心軸線264とによって角度γが定義される。図11に示すように、角度γは、角度βよりも著しく小さくなっている。更に、角度β、γの差は、角度α、βの差よりも大きくなっている。これは、接合領域289における曲率が、流れ表面210における曲率よりも大きくなっているためである。フリップ縁部288は、中心軸線264に対して一定の角度を有するように、或いは、流れ表面210と同様に、次第に角度が小さくなるように形成することができよう。流体が接合領域289に到達すると、流体は、曲率が大きくなっているために流れ表面210と比較して一層大きな割合で加速される。こうして、ベルカップ286のようにフリップ縁部288を設けることによって、流体は、図9のベルカップ206のようにフリップ縁部を備えない場合よりも一層高速で霧化縁部208から放たれる。
【0027】
図12、13に、ベルカップおよびスプラッシュプレートの代替実施形態を示す。図12は、ベルカップ292およびスプラッシュプレート294の断面図である。ベルカップ292は、略放物面状の流れ表面296を有している。スプラッシュプレート294の背面298は、中心点300から縁部302へ略凹状に形成されている。図9に示した実施形態と同様にスプラッシュプレート294およびベルカップ292は、背面294と流れ表面296とが、流れ経路内でスプラッシュプレート294の中心点300から離反する方向に収斂するように形成される。更に、スプラッシュプレート294の外縁部302と流れ表面296との間の距離304は、図9に示した距離272よりも大きくなっており、流体の一層大きな流量を可能としている。
【0028】
本願では、本発明の特定の特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正および変更を想到するであろう。従って、こうした修正および変更は全て特許請求の範囲に包含されると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0029】
10 塗装システム
12 噴霧塗装装置
14 塗装対象物
200 噴霧塗装装置
202 回転霧化器
206 ベルカップ
208 霧化縁部
210 流れ表面
212 スプラッシュプレート
248 背面
264 中心軸線
288 フリップ縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13