特許第5784909号(P5784909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5784909スプライシング異常からもたらされる疾患を処置する為のスライスする機構を阻害する化学分子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784909
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】スプライシング異常からもたらされる疾患を処置する為のスライスする機構を阻害する化学分子
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/65 20060101AFI20150907BHJP
   C07C 233/69 20060101ALI20150907BHJP
   C07C 233/75 20060101ALI20150907BHJP
   C07C 233/78 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 213/36 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 213/74 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 233/54 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 233/68 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 249/06 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4409 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   C07C233/65CSP
   C07C233/69
   C07C233/75
   C07C233/78
   C07D213/36
   C07D213/74
   C07D213/75
   C07D233/54
   C07D233/68
   C07D249/06 502
   C07D401/12
   C07D401/14
   A61K31/444
   A61K31/4406
   A61K31/4439
   A61K31/4409
   A61K31/4402
   A61K31/166
   A61K31/4192
   A61K31/4164
   A61K31/4725
   A61K31/167
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P25/00
   A61P25/24
   A61P35/02
   A61P35/04
   A61P3/10
   A61P27/02
   A61P19/10
   A61P17/00
   A61P31/18
   A61P21/00
【請求項の数】25
【全頁数】111
(21)【出願番号】特願2010-541800(P2010-541800)
(86)(22)【出願日】2009年1月12日
(65)【公表番号】特表2011-509280(P2011-509280A)
(43)【公表日】2011年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2009050280
(87)【国際公開番号】WO2009087238
(87)【国際公開日】20090716
【審査請求日】2012年1月11日
(31)【優先権主張番号】0850144
(32)【優先日】2008年1月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(73)【特許権者】
【識別番号】510189307
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ モンペリエ 2 サイエンス エ テクニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】タツィ,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】グリエルソン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マウトー−ベッツァー,フロランス
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ピエール
【審査官】 江間 正起
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04510139(US,A)
【文献】 特開昭62−158252(JP,A)
【文献】 特開平11−147874(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0072915(US,A1)
【文献】 特表2006−509046(JP,A)
【文献】 特表2002−520328(JP,A)
【文献】 Kentaro Okumura et al.,Journal of Medicinal Chemistry,1968年,Vol.11,p.788-792
【文献】 Kentaro Okumura et al.,Journal of Medicinal Chemistry,1968年,Vol.11, No.2,p.348-352
【文献】 Arkaitz Correa et al.,The Journal of Organic Chemistry,2006年,Vol.71,p.3501-3505
【文献】 Alan R. Katritxky et al.,Tetrahedron,1986年,Vol.42, No.14,p.4027-4034
【文献】 Yoshihisa Yamada et al.,Bulletin of the Chemical Society of Japan,1974年,Vol.47, No.2,p.339-342
【文献】 S. C. Pakrashi et al.,The Journal of Organic Chemistry,1972年,Vol.37, No.20,p.3143-3147
【文献】 F. Gatta et al.,Farmaco Edizione Scientifica,1970年,Vol.25, No.11,p.830-841
【文献】 Yong-Tae Park et al.,The Journal of Organic Chemistry,2001年 3月 7日,66,p.2197-2206
【文献】 Maria C. S. Lourenco et al.,Arkivoc,2007年,p.181-191
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 233/65
A61K 31/166
A61K 31/167
A61K 31/4164−31/4188
A61K 31/4192
A61K 31/4402
A61K 31/4406
A61K 31/4409
A61K 31/4439
A61K 31/444
A61K 31/4725
A61P 3/10
A61P 17/00−17/18
A61P 19/10
A61P 21/00−21/06
A61P 25/00−25/36
A61P 27/02−27/14
A61P 31/18
A61P 35/02
A61P 35/04
A61P 43/00
C07C 233/69
C07C 233/75
C07C 233/78
C07D 213/36−213/42
C07D 213/74
C07D 213/75
C07D 233/54−233/95
C07D 249/06
C07D 401/12
C07D 401/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(Ia)、(IIIa)、(IV)及び(IX)の一つを有する化合物、該化合物の医薬的に許容できる塩、それらの異性体、及び/又はそれらの混合物、
【化1】
ここで、
は、CR10基を表し、R10は、水素原子である;
R1は、NR11R12基を表し、R11及びR12は、互に独立に、C1〜C3アルキル基を表す、又は、
R1は、OR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基又はトリフルオロメチル基を表す;
は、窒素原子又はCR13基を表し、R13は、水素原子である;
R2は、NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基を表し、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、及び、1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていない場合、該アルキル基は1つの−OH基又は、置換された又は置換されていない、
【化2】
の基により置換されている
R3は、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は、
【化3】
ここで、
は、窒素原子又はCR10基を表し、R10は水素原子である;
R1は、水素原子又はOR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基を表し、がCH基を表す場合にR1がOR12基を表す
は、窒素原子又はCR13基を表し、R13は水素原子である;
R2は、NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基を表し、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、及び、1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていない場合、該アルキル基は1つの−OH基又は、置換された又は置換されていない、
【化4】
の基により置換されている
R3は、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は、
【化5】
ここで、
R7は、NR11R12基を表し、R11及びR12は互に独立にC1〜C3アルキル基であり、又は、R7は、OR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基又はトリフルオロメチル基である;
は、CR16基を表し、R16は水素原子である;
R4は、水素原子、C1〜C3アルキル基、又はC(=O)NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられており、R4は、R5又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;
R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は、
【化6】
基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R6は、
水素原子、
C(=O)NR14R15基、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は
【化7】
の基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、
を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に又はR4が水素原子又はC1〜C3アルキル基と異なる場合に、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は
【化8】
ここで、
は、窒素原子又はCR10基を表し、R10はOR11基であり、R11はC1〜C3アルキル基を表す;
R1は、水素原子を表す;
は、CR11基を表し、R11は、
水素原子、
【化9】
基、ここでR4は、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は
【化10】
基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;R6は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は
【化11】
基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、該アルキル基は1つのOH基により置換されている、を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;又は
【化12】
の基を含む群のうちから選ばれ、ここでR17は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C3アルキル基を表し、該アルキル基は1つの−OH基により置換されていてもよい;
R8及びR8’は、
水素原子
【化13】
基、ここで
R4は、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;
R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は
【化14】
基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R6は、水素原子又はC(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;又は
C(=O)NR18R19基、ここでR18は水素原子を表し且つR19は(CH−OHを表す、を表し、
R8は、YがCH基と異なる場合およびR8’が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;且つ
R8’は、YがCH基と異なる場合およびR8が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R21及びR22は、水素原子を表す。
【請求項2】
式(IV)を有する、請求項1の化合物。
【請求項3】
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-2-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノ-プロピル)-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-N-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
N-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチル)-2-(4-ジメチルアミノフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-3-メチル-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
3-{1-[4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[3-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
[4-(5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチル-フェニル]-(4-メトキシ-フェニル)-アミン;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
[3-(4-ジエチルアミノメチル-[1,2,3]トリアゾール-1-イル)-フェニル]-(4-ジメチルアミノ)-フェニルアミン;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
3-{1-[3-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;
3-{1-[3-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;及び
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド
を含む群のうちから選ばれるものである化合物。
【請求項4】
式(IIIa)を有する、請求項1の化合物。
【請求項5】
N-(4-ピリジル)-2-[6-(N'-(4-ピリジルベンズアミド)-フェニルアミノ)-1-ヒドロキシブチルアミノ]-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4イル-ニコチンアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(5-ヒドロキシ-ペンチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(6-アミノ-ヘキシルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド ; 及び
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド
を含む群のうちから選ばれるものである、請求項4の化合物。
【請求項6】
式(Ia)を有する、請求項1の化合物。
【請求項7】
N-(4-メトキシ-フェニル)-2-[6-(N'-(4-メトキシ-フェニルニコチンアミド)-ピリジン-2-イルアミノ)-ヘキシルアミノ]-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-2-[6-(N'-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルニコチンアミド)-ピリジン-2-イルアミノ)-ヘキシルアミノ]-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド ;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(6-アミノ-ヘキシルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド; 及び
2-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド
を含む群のうちから選ばれるものである、請求項6の化合物。
【請求項8】
式(IX)を有する、請求項1の化合物。
【請求項9】
2-(1-(4-((E)-2-(4-メトキシフェニル)ビニル)-フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-2-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
4-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(4-ヒドロキシ-ブチル)-3-(2-(4-メトキシフェニル)-ビニル)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノール-プロピル)-3-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノール-プロピル)-3-メチル-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド
を含む群のうちから選ばれるものである、請求項8の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
細胞内のプレメッセンジャーRNAをスプライシングするプロセスに関連する疾患を、対象において処置する為の剤であって、請求項1〜9のいずれか1項の少なくとも1つの化合物を含み、該疾患が、スプライシングプロセスの変化からもたらされる遺伝子疾患であり、該疾患がFrasier症候群、17番染色体に関係した前頭側頭型認知症、Leigh症候群、非定型嚢胞性線維症、経病理、生存運動ニューロン遺伝子に影響する筋萎縮症、セロトニンスプライシングの調節不全に関係したうつ、及び全体のスプライシングプロセスが影響される転移性ガンを含む群のうちから選ばれるものである、前記剤。
【請求項12】
該疾患がガンであり、該ガンが、乳ガン、大腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、前立腺ガン及び子宮ガンを含む群において選ばれるものである、請求項11の剤。
【請求項13】
細胞内のプレメッセンジャーRNAをスプライシングするプロセスに関連する疾患を、対象において処置する為の剤であって、請求項1〜9のいずれか1項の少なくとも1つの化合物を含み、該疾患が老化とともに現れ、該疾患がアテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性II型糖尿病、白内障、骨粗しょう症及び皮膚の老化を含む群のうちから選ばれるものである、前記剤。
【請求項14】
細胞内のプレメッセンジャーRNAをスプライシングするプロセスに関連する疾患を、対象において処置する為の剤であって、請求項1〜9のいずれか1項の少なくとも1つの化合物を含み、該疾患が、ウィルス由来の疾患である、前記剤。
【請求項15】
対象において、遺伝子変異に関連した疾患を処置する為の剤であって、請求項1〜9のいずれか1項の少なくとも1つの化合物を含み、該疾患が、エキソンスキッピングにより処置されうる疾患である、前記剤。
【請求項16】
R11及びR12が、互に独立に、メチル基表す、請求項1の式Ia及びIVの化合物。
【請求項17】
R1がOR12基を表す場合に、XがCH基を表す、請求項1の式Iaの化合物。
【請求項18】
R1がOCH基を表す場合に、XがCH基を表す、請求項1の式Ia及びIIIaの化合物。
【請求項19】
R4が、水素原子又はメチル基又はC(=O)NR14R15基を表す、請求項1の式IVの化合物。
【請求項20】
R6がC(=O)NR14R15基を表す、請求項1の式IV及びIXの化合物。
【請求項21】
医薬的に許容できる担体を含む、請求項10の医薬組成物。
【請求項22】
前記神経病理が、Tauタンパク質の変異に関係したアルツハイマー病である、請求項11の剤。
【請求項23】
前記転移性ガンが、乳ガン、大腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、前立腺ガン、子宮ガン及び或るリンパ腫を含む上皮ガンにおけるものである、請求項11の剤。
【請求項24】
該疾患がAIDSである、請求項14の剤。
【請求項25】
該疾患がデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である、請求項15の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2008年1月10日に提出された仏国特許出願第08/50144号の優先権を主張し、当該出願は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、スプライシングプロセスにおける変化からもたらされる疾患の処置の為に有用な組成物の調製の為の新規インドール誘導体化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
或るインドール誘導体化合物、例えばエリプチシン誘導体及びアザ−エリプチシン誘導体など、はすでに、遺伝子発現、特にはDNA複製における機能不全を修正する為のインターカレートする分子として知られている。それらは特にガン、白血病又はAIDSなどの疾患を処置することについて記載されている(仏国特許第2,627,493号明細書、仏国特許第2,645,861号明細書、仏国特許第2,436,786号明細書を特に参照されたい)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AIDSについての現在の治療に関して、HIVに感染した患者におけるウィルス量を減らすことを目的とした種々のアプローチは、ウィルス逆転写酵素の酵素活性又はウィルスタンパク質成熟に関与するプロテアーゼの酵素活性を阻害することを意図した分子を利用する。逆転写酵素阻害剤に関して、これらは、天然には、ヌクレオシド系(NRTI)、非ヌクレオシド系(NNRTI)又はヌクレオチド系でありうる。これらの化合物を使用する目的は、レトロウィルスゲノムのDNAコピーが生産されることを防ぎ及び、結果として、宿主細胞のゲノム中へ当該DNAコピーが組み込まれることを防ぐことである。プロテアーゼ阻害剤(PI)は、ウィルスタンパク質の適切な成熟を妨げ、そして、変化した感染能力を有する不完全な粒子の生成を引き起こす。ウィルスが細胞に進入することを防ぐ能力の故に用いられる、他の種類の抗レトロウィルス化合物がある。これらの進入阻害剤は、ウィルス糖タンパク質gp41又はgp120とCD4細胞の膜との融合を妨げるペプチド又はHIV細胞コレセプターCCR5及びCXCR4を標的とする分子でありうる。HIVインテグラーゼに似ている細胞タンパク質の不在もまた、この酵素活性を阻害する新規抗HIV分子を開発する為に利用されている。多くのインテグラーゼ阻害剤が臨床試験段階にあるが、市場で入手可能な分子はまだない。
【0005】
ガンに関して、90%超が上皮細胞の悪性形質転換に由来しそして、多くの場合、ガン患者の死亡は原発性腫瘍に起因しないがそれに由来する転移に起因する。転移をもたらすこの悪性進行及びそれらの続く浸潤は最初は、細胞接着の喪失及び運動性の増加を伴い、すなわち浸潤性細胞が当初の部位から逃げることを許し、及び、標的組織にコロニー形成することを許す。非常に多くの場合、腫瘍進行機構は、癌原遺伝子活性を有するアイソフォームの形成をもたらす異常スライシングに関係があるとみえる。現在、抗浸潤性機能を有する分子は存在しない。これは、転移と戦う真に強力な手段の欠如を強調する。市場におけるこの種の分子の現在の不在は、それらに、最上位の経済的潜在能力を授ける。
【0006】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子における変異からもたらされる重度の疾患である。このタンパク質の不在は、骨格筋及び心筋の分解をもたらす。いくつかの治療戦略が現在構想されており、いわゆるエキソンスキッピングを含み、この原理は、ジストロフィンから該変異を運ぶ内部エキソンを切り取り、すなわちより短いが機能的なジストロフィンの生成を許すことである。
【0007】
ラミノパチー(laminopathies)は、不満足な生活の質をもたらし、高価なケアを要求し、そして、多くの場合、早すぎる死をもたらしうる疾患である(すなわち、横紋筋組織のラミノパチーおよび早すぎる老化により特徴付けられるラミノパチー)。ラミノパチーは、ラミン(細胞核内に配置されるユビキタスなタンパク質)及びそれらの分子パートナーにおける機能的な変化により引き起こされる。プロジェリアまたは早期老化症候群の多くの症状は、エキソン11内に、すなわち特にラミンAをコードする遺伝子の一部内に生じるde novo点変異(c.1824C>T、“G608G”)を繰り返すことにより引き起こされる。この変異は、スプライシング機構を変化することそして切り取られたラミンA前駆体(“プロジェリン”、ラミンΔ50、p.V607_Q656del)(残る野生型タンパク質に対してドミナント・ネガティブ効果を発揮する)の生成をもたらすことが示された。
【0008】
これらのすべての病理において、スプライシングプロセスが重要や役割を果たす。この細胞内スプライシングプロセスは、メッセンジャーRNA前駆体中のイントロンを排除して、細胞の翻訳機構により用いられうる成熟メッセンジャーRNAを生成することからなる(SHARP, Cell, vol.77,p.805−815,1994)。オルタナティブスプライシングの場合、同じ前駆体が、別の機能を有するタンパク質をコードするメッセンジャーRANの源でありうる(BLACK,Annu.Rev.Biochem.vol.72,p.291−336,2003)。すなわち、5’及び3’スプライシング部位の正確な選択が、多様性を作り且つ組織の種類に従う遺伝子発現の制御または生物の発達の間の遺伝子発現の制御をもたらしうる機構である。この選択に関与する因子は、SRと呼ばれるタンパク質のファミリー(1または2のRNA認識モチーフ(RRM)及びRSドメインと呼ばれるアルギニン残基及びセリン残基に富むドメインの存在により特徴付けられる)を含む(MANLEY & TACKE,Genes Dev.,vol.10,p.1569−1579,1996)。mRNA前駆体の短いエキソンまたはイントロン配列(ESE(エキソンスプライシングエンハンサー)またはISE(イントロンスプライシングエンハンサー)と呼ばれる)に結合することにより、SRタンパク質は、最適以下の(sub-optimal)スプライシング部位を用量依存的様式で活性化することができ、そして、エキソンの包含(inclusion)を可能とすることができる(GRAVELEY,RNA,vol.6,p.1197−1211,2000)。オルタナティブスプライシングにおけるSRタンパク質の活性は、対応する遺伝子の不活性化が致死的である限り特異的である(WANG et al.,Mol.Cell,vol.7,p.331−342,2001)。
【0009】
ヒトゲノムのシークエンシング及びEST(発現配列タグ)バンクの分析は、遺伝子の65%が、選択的にスプライシングされた変異体の形で発現されることを明らかにした(EWING & GREEN, Nat. Genet., vol. 25, p. 232-234, 2000; JOHNSON et al., Science, vol. 302, p. 2141-2144, 2003)。すなわち、この機構は、スプライシンを制御することに関与する因子に影響することができる修正の好ましい標的であり、及び、この制御にとって必要な配列に影響する変異の好ましい標的である。現在、遺伝子疾患の原因である点変異のおおよそ50%が異常スプライシングを誘発すると推定される。これらの変異は、スプライシング部位の不活性化することまたは生成することによるだけでなく、特定の遺伝子内のスプライシングエンハンサーまたはスプライシングサイレンサーなどの制御エレメントを修正することまたは生成することによっても、スプライシングに干渉しうる(CARTEGNI et al., Nat. Rev. Genet., vol. 3, p. 285-298, 2002; TAZI et al., TIBS, vol. 40, p. 469-478, 2005)。
【0010】
これらのスプライシング欠陥を訂正する為に現在開発された戦略は、種々の種類の分子の使用による(TAZI et al., 上で引用された, 2005)。
【0011】
異常スプライシングを訂正しまたは排除する為の新規分子の開発をねらいとした一つの戦略は例えば、この種類のスプライシングに干渉するタンパク質の過剰発現による(NISSIM-RAFINIA et al., Hum. Mol. Genet., vol. 9, p. 1771-1778, 2000; HOFINANN et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol. 97, p. 9618-9623, 2000)。
【0012】
他の戦略は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用(SAZANI et al., Nat. Biotechnol., vol. 20, p. 1228-1233, 2002; SAZANI & KOLE, Prog. Mol. Subcell. Biol., vol. 31, p. 217-239, 2003)またはPNAの使用(CARTEGNI et al., Nat. Struct. Biol., vol. 10, p. 120-125, 2003)にもとづき、それぞれ、スプライシングイベントの阻害または活性化を可能とする。
【0013】
さらに他の戦略は、関心のあるmRNA前駆体のスプライシング効率に影響する化合物の同定に基づく(ANDREASSI et al., Hum. Mol. Genet., vol. 10, p. 2841-2849, 2001)。
【0014】
最後に、変異エキソンを置き換える為のトランススプライシングの使用に基づく戦略が記載されている(LIU et al., Nat. Biotechnol., vol. 20, p. 47-52, 2002)。
【0015】
異常スプライシングを訂正しまたは排除するための上記引用された開発された戦略の不利点の一つは、それらの生産コストである。実際に、アンチセンスオリゴヌクレオチドの安定性を改善する為に修飾されなけばならないアンチセンスオリゴヌクレオチドを生産するコスト及びPNA分子のコストは高い。
【0016】
上記引用された開発された戦略の他の不利点は、それらが、例えばトランススプライシングの使用に基づく戦略の為の、発現ベクターの使用を要求することである。
【0017】
本出願人により提出された国際特許出願第05023255号、仏国特許出願第0310460号及び仏国特許出願第0400973号の優先権の主張下にある、は細胞内において前駆メッセンジャーRNAスプライシングプロセスに関係した疾患を処置する為のインドール誘導体の使用を開示した。
【0018】
すなわち、最近、転移性ガンを処置することにおいておよびAIDSを処置することにおいて、或るインドール誘導体が特に有効であると分かることが示された(BAKKOUR et al., PLoS Pathogens, vol. 3, p. 1530-1539, 2007)。
【0019】
しかしながら、該記載された化合物は、DNA塩基の間にインターカレートする不利点を有しそしてすなわち細胞毒性をもたらしうる、4つの環を有する平らな構造を有する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらのインドール誘導体がDNA塩基の間にインターカレートするリスクを最小化する為に、本発明者らは、スプライシングプロセスに関係した疾患を処置することにおいて特に有効であるが、驚くべき方式で、先行技術のインドール誘導体よりも明らかに少ない細胞毒性を有する新規化合物を開発した。加えて、これらの化合物は或るスプライシングイベントを選択的に抑制することができる。
【0021】
すなわち、本発明の第一の目的は、以下の式(Ia)、(IIIa)、(IV)及び(IX)の一つの化合物、該化合物の医薬的に許容できる塩、それらの異性体、及び/又はそれらの混合物に関する。

ここで、
は、CR10基を表し、R10は、水素原子である;
R1は、NR11R12基を表し、R11及びR12は、互に独立に、C1〜C3アルキル基を表す、又は、
R1は、OR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基又はトリフルオロメチル基を表す;
は、窒素原子又はCR13基を表し、R13は、水素原子である;
R2は、NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基を表し、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、及び、1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていない場合、該アルキル基は1つの−OH基又は、置換された又は置換されていない、

の基により置換されている
R3は、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は、

ここで、
は、窒素原子又はCR10基を表し、R10は水素原子である;
R1は、水素原子又はOR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基を表し、がCH基を表す場合にR1がOR12基を表す
は、窒素原子又はCR13基を表し、R13は水素原子である;
R2は、NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基を表し、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、及び、1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていない場合、該アルキル基は1つの−OH基又は、置換された又は置換されていない、

の基により置換されている
R3は、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は、

ここで、
R7は、NR11R12基を表し、R11及びR12は互に独立にC1〜C3アルキル基であり、又は、R7は、OR12基を表し、R12はC1〜C3アルキル基又はトリフルオロメチル基である;
は、CR16基を表し、R16は水素原子である;
R4は、水素原子、C1〜C3アルキル基、又はC(=O)NR14R15基を表し、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられており、R4は、R5又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;
R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は、

基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R6は、
水素原子、
C(=O)NR14R15基、R14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は

の基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、
を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に又はR4が水素原子又はC1〜C3アルキル基と異なる場合に、水素原子を表す;
R21は、水素原子を表す;
又は

ここで、
は、窒素原子又はCR10基を表し、R10はOR11基であり、R11はC1〜C3アルキル基を表す;
R1は、水素原子を表す;
は、CR11基を表し、R11は、
水素原子、

基、ここでR4は、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は

基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;R6は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は

基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、該アルキル基は1つのOH基により置換されている、を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;又は

の基を含む群のうちから選ばれ、ここでR17は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C3アルキル基を表し、該アルキル基は1つの−OH基により置換されていてもよい;
R8及びR8’は、
水素原子

基、ここで
R4は、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表す;
R5は、水素原子、C(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、又は

基、ここでR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよく、該アルキル基は1つのOH基により置換されていてもよい、を表し、R5は、R4又はR6が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R6は、水素原子又はC(=O)NR14R15基、ここでR14は水素原子であり且つR15は直鎖状若しくは分枝状のC1〜C10アルキル基であり、ここで1つの炭素原子が窒素原子により置き換えられていてもよい、を表し、且つ、R6は、R5が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;又は
C(=O)NR18R19基、ここでR18は水素原子を表し且つR19は(CH−OHを表す、を表し、
R8は、YがCH基と異なる場合およびR8’が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;且つ
R8’は、YがCH基と異なる場合およびR8が水素原子と異なる場合に、水素原子を表す;
R21及びR22は、水素原子を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】未処置細胞(Clt)について得られた又は化合物IDC16、C48、C49、C55又はC56により処置された細胞について得られた種々のアイソフォーム(Nef2, Rev1, Rev2, Nef3, Nef4, Nef5, Tat1 及びTat2)を示す、得られたポリアクリルアミドゲルを示す図である。
図2】化合物MB260、FMB008及びFMMB22.3が、陰性対照(CTL)と比較して、細胞遊走を強力に阻害することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「ハロゲン原子」は、F、Cl、Br及びIから構成される群を意味し、好ましくは該ハロゲン原子は塩素原子である。
【0024】
実施例において開示された全ての化合物は、本発明の範囲内である。
【0025】
好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(I)を有する。
【0026】
該好ましい実施態様の特定の実施態様に従い、本発明の化合物は以下のとおりの式(Ia)を有する。
【0027】
好ましくは、該化合物は、以下から構成される群のうちから選ばれる:
N-(4-メトキシ-フェニル)-2-[6-(N'-(4-メトキシ-フェニルニコチンアミド)-ピリジン-2-イルアミノ)-ヘキシルアミノ]-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-2-[6-(N'-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルニコチンアミド)-ピリジン-2-イルアミノ)-ヘキシルアミノ]-ニコチンアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[3-(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;及び
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[4(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
2-ブロモ-N-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ベンズアミド;
2-クロロ-N-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド ;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-クロロ-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-ブロモ-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(6-アミノ-ヘキシルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド;及び
2-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド。
【0028】
特に好ましい様式において、該化合物は、
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド ;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ベンズアミド、
のうちから選ばれる。
【0029】
該好ましい実施態様の他の特定の実施態様に従い、本発明の化合物は以下のとおりの式(Ib)を有する:
【0030】
好ましくは、該化合物は以下から構成される群のうちから選ばれる:
4-ベンゾイルアミノ-N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-{3-[3-(4-ジエチルアミノメチル-[1,2,3]トリアゾール-1-イル)-フェニルアミノ]-フェニル}-4-メトキシ-ベンズアミド;
N-(3-{4-[4-(3-ヒドロキシ-プロピル)-[1,2,3]トリアゾール-1-イル]-フェニルアミノ}-フェニル)-4-メトキシ-ベンズアミド;及び
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド。
【0031】
特に好ましい様式において、該化合物はN-(3-メチル-ブチル)-3-[3-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド 又はN-(3-{4-[4-(3-ヒドロキシ-プロピル)-[1,2,3]トリアゾール-1-イル]-フェニルアミノ}-フェニル)-4-メトキシ-ベンズアミドである。
【0032】
第二の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(II)を有し、好ましくは以下のとおりの式(IIa)を有する。
【0033】
好ましくは、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる:
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ベンズアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ニコチンアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-3イル-ニコチンアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ニコチンアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ニコチンアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ニコチンアミド;
2-ブロモ-N-ピリジン-3-イル-ベンズアミド ;
2-ブロモ-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド ;
2-クロロ-N-(4-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド ;
2-クロロ-N-ピリジン-3-イル-ニコチンアミド ;及び
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-3-イル-ベンズアミド。
【0034】
特に好ましい様式において、該化合物は、2-ブロモ-N-(4-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド又は2-クロロ-N-(4-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミドである。
【0035】
第三の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(III)を有し、好ましくは以下のとおりの式(IIIa)を有する。
【0036】
好ましくは、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(4-ピリジル)-2-[6-(N'-(4-ピリジルベンズアミド)-フェニルアミノ)-1-ヒドロキシブチルアミノ]-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4イル-ニコチンアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{3-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
2-クロロ-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-ブロモ-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-ブロモ-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-クロロ-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(5-ヒドロキシ-ペンチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(6-アミノ-ヘキシルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;
2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(3-ジエチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ベンズアミド;
2-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド ;及び
2-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-N-ピリジン-4-イル-ニコチンアミド。
【0037】
特に好ましい様式において、該化合物は以下のうちから選ばれる;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
2-ブロモ-N-(3-メトキシ-フェニル)-ベンズアミド;
2-(6-アミノ-ヘキシルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド;及び
2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-N-(3-メトキシ-フェニル)-ニコチンアミド。
【0038】
第四の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(IV)を有する。
【0039】
好ましくは、該化合物は以下を含む群のうちから選ばれる;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-2-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノ-プロピル)-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(4-N-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
2-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-ベンズアミド;
N-(4-ジエチルアミノ-1-メチル-ブチル)-2-(4-ジメチルアミノフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-3-メチル-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
3-{1-[4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[3-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
[4-(5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチル-フェニル]-(4-メトキシ-フェニル)-アミン;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
[3-(4-ジエチルアミノメチル-[1,2,3]トリアゾール-1-イル)-フェニル]-(4-ジメチルアミノ)-フェニルアミン;
N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
3-{1-[3-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;及び
3-{1-[3-(4-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール。
【0040】
特に好ましい様式において、該化合物は、N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-ベンズアミド;[4-(5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチル-フェニル]-(4-メトキシ-フェニル)-アミン;及び4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミドのうちから選ばれる。
【0041】
第五の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(V)を有する。
【0042】
好ましくは、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(ピリジン-3-イルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{3-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[3-(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[4(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
4-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-4-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-{3-[3-(3-ジエチルアミノ-プロピルカルバモイル)-フェニルアミノ]-フェニル}-ニコチンアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-(ピリドイル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-{3-[3-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-フェニルアミノ]-フェニル}-ニコチンアミド;
N-{3-[3-(4-ジエチルアミノメチル-[1,2,3]トリアゾール-1-イル)-フェニルアミノ]-フェニル}-ニコチンアミド;
N-{3-[4-(3-ジエチルアミノ-プロピルカルバモイル)-フェニルアミノ]-フェニル}-ニコチンアミド;
N-(3-ジメチルアミノ プロピル)-2-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;及び
N-(3-ジメチルアミノ プロピル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)ベンズアミド。
【0043】
特に好ましい様式において、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(4-トリフルオロメトキシフェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(ピリジン-3-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;及び
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド。
【0044】
第六の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(VI)を有する。
【0045】
好ましくは、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-2-(ピリジン-4-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-3-(4-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-(ピリジン-4-イルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-(ピリジン-4-イルアミノ)-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-{1-[4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-メチルアミン;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-3-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-2-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-3-メチル-ベンズアミド;
3-{1-[4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-フェニル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{4-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{4-[3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-(3-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
4-(3-メトキシ-フェニルアミノ)-N-(3-メチル-ブチル)-ベンズアミド;
[3-(4-ジエチルアミノメチル-[1,2,3]トリアゾール-1-イル)-フェニル]-(3-メトキシ)-フェニルアミン;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{4-[(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{4-[(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;及び
N-{4-[3-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-フェニルアミノ]-フェニル}-ニコチンアミド。
【0046】
特に好ましい様式において、該化合物は、以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-3-メチル-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[(4-メトキシベンズアミド)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-3-メチル-ベンズアミド;及び
N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-(4-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-フェニルアミノ]-ベンズアミド。
【0047】
第七の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(VII)を有する。
【0048】
好ましくは、該化合物は以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(4-ヒドロキシ-ブチル)-3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-ベンズアミド;
2-(1-{4-[(E)-2-(4-メトキシ-フェニル)-ビニル]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-2-オール;
N-(4-ヒドロキシ-ブチル)-3-[2-(4-メトキシ-フェニル)-ビニル]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;及び
3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-2-イルビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール。
【0049】
特に好ましい様式において、該化合物は、N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミドである。
【0050】
第八の好ましい実施態様に従い、本発明の化合物は式(IX)を有する。
【0051】
好ましくは、該化合物は以下を含む群のうちから選ばれる:
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{4-[4-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
4-メチル-N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
(N-ジエチルアミノ)-3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-メチルアミン;
3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-メチル-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-((E)-2-ピリジン-4-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノール-プロピル)-3-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノール-プロピル)-3-メチル-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-4-[3-((E)-(4-メトキシ-スチリル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-[3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
3-(1-{3-[4-((E)-2-ピリジン-4-イルビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール;
N-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-4-[3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;
N-(3-メチル-ブチル)-3-メチル-4-[3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-フェニルアミノ]-ベンズアミド;及び
3-(1-{3-[3-((E)-2-ピリジン-2-イルビニル)-フェニルアミノ]-フェニル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-プロパン-1-オール。
【0052】
本発明の第二の目的は、上記で記載されたとおりの少なくとも一つの化合物と、任意的に、医薬的に許容できる担体(support)とを含む医薬組成物から構成される。
【0053】
医薬的に許容できる担体の例として、該組成物はエマルション、ミクロエマルション、水中油型エマルション、無水脂質及び油中水型エマルション又は他の種類のエマルションを含みうる。
【0054】
本発明の化合物はさらに、1又はそれより多い添加物、例えば希釈剤、賦形剤、安定剤及び保存料など、をさらに含みうる。そのような添加物は、当技術分野の当業者によく知られており、そして、特には、“Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Ed.” (various editors, 1989-1998, Marcel Dekker)及び“Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems” (ANSEL et al., 1994, WILLIAMS & WILKINS)に記載されている。
【0055】
第三の目的は、対象において、少なくとも一つのスプライシング異常からもたらされる疾患を処置する為の薬剤の調製において、上記で記載された少なくとも一つの化合物を使用する方法から構成される。
【0056】
本出願において用いられるときに、語「対象」は、哺乳類、例えばげっ歯類、ネコ、イヌ、霊長類又はヒトなど、をいい、好ましくは該対象はヒトである。
【0057】
好ましくは、本発明の化合物は、構成的(constitutive)であるか又は、より特には、ESE(エキソンスプライシングエンハンサー)、ISE(イントロンスプライシングエンハンサー)、ESS(エキソンスプライイングサイレンサー)及びISS(イントロンスプライシングサイレンサー)として知られる調節配列に依存する、プレメッセンジャーRNAスプライシングプロセスを阻害する能力を有する。
【0058】
特に好ましい様式において、スプライシングプロセスは、構成的であるか及び/又はESE調節配列に依存的である。
【0059】
該スプライシングプロセスに関係した疾患は、スプライシングプロセスの変化からもたらされる遺伝子疾患を含み、最も特にはFrasier症候群、17番染色体に関係した前頭側頭型認知症(パーキンソンの形)、Leigh症候群(脳症のタイプ)、非定型嚢胞性線維症、最も特にはTauタンパク質の変異に関係したアルツハイマー病を含むいくつかの神経病理、SMN(生存運動ニューロン)遺伝子に影響する筋萎縮症、セロトニンスプライシングの調節不全に関係したうつ、及び(最も特には、乳ガン、大腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、前立腺ガン、子宮ガン及び或るリンパ腫を含む上皮ガンにおける)全体のスプライシングプロセスが影響されるいくつかの転移性ガンを含む。
【0060】
特定の実施態様において、本発明の少なくとも一つの化合物の使用方法は、対象において、ガン、最も好ましくは転移性ガンを処置する為の薬剤を調製する為であり、該ガンは、乳ガン、大腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、前立腺ガン、子宮ガンを含む群から選ばれる。
【0061】
最近の結果に照らして、多くのスプライシングプロセス異常は加齢ともに現れるとみえる。
【0062】
加えて、すなわち、該異常が、加齢に伴う病理の出現において役割を果たすことが非常にありそうである。加齢とともに現れ且つ該スプライシングプロセスに関係しそうである疾患の例は、アテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性II型糖尿病、白内障、骨粗しょう症及び皮膚の老化を含む。
【0063】
該スプライシングプロセスに関係した疾患は、スプライシングの為のESE配列が同定されたウィルス由来の疾患も含む。そのようなウィルス由来の疾患の例はAIDSである。
【0064】
他の特定の実施態様において、本発明の少なくとも一つの化合物の使用方法は、対象において、スプライシングの為のESE配列が同定されたウィルス由来の疾患、好ましくはAIDSを処置する為の薬剤を調製する為である。
【0065】
遺伝子変異に関係し、且つエキソンスキッピングにより処置されうる他の病理もまた、本発明の化合物により処置されうる。そのような病理の例として、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を言及することができる。
【0066】
さらに他の特定の実施態様において、本発明の少なくとも一つの化合物の使用方法は、対象において、エキソンスキッピングにより処置されうる遺伝子変異に関連した疾患、好ましくはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を処置する為の薬剤を製造する為である。
【0067】
優先的には、スプライシング異常に関係した疾患は、AIDS、ガン、ミトコンドリア欠陥により特徴付けられるLeigh症候群、早老症候群(プロジェリア)及びデュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む群のうちから選ばれる。
【0068】
本発明の第四の目的は、スプライシング異常からもたらされる遺伝子疾患について対象を処置する為の治療的方法であって、上記で記載されたとおりの医薬組成物の治療的に有効な量の投与を含む上記方法に関する。
【0069】
「治療的に有効な量」は、関心のあるプレmRNAのスプライシングの阻害を誘発する量を意味する。当技術分野の当業者は、彼らの一般的な知識に基づき及び実施例に記載された方法に基づき、該治療的に有効な量を決定することができるであろう。
【0070】
該化合物は、任意の投与様式により、例えば筋肉内、静脈内又は経口の経路などにより、投与されうる。
【0071】
本発明に従う一つの実施態様において、該組成物はさらに、該組成物が、調製されるべき固体又は液体の形で用意されるように及び静脈内経路により投与されるように、本発明の化合物を処方することを可能とする賦形剤を含む。
【0072】
本発明の化合物は好ましくは、80〜100mg/mの濃度で、静脈内経路により投与されるであろう。該濃度は、当技術分野の当業者により、処置されるべき臓器又は組織、該疾患の進行の状態及び用いられる標的化する様式(targeting mode)に従い、選択されるであろう。
【0073】
以下の実施例は、説明として与えられ、そして、この発明の範囲をいかなる様式においても限定しない。
【実施例1】
【0074】
IDC16誘導体化合物の開発
【0075】
本発明者らは、化合物IDC16(BAKKOUR et al., 上記で引用された、2007)が、SF2/ASF複合体と機能的に相互作用することそしてすなわちHIV複製の間のオルタナティブスプライシングをブロックすることに寄与し、Tatタンパク質の産生の停止をもたらすことを示した。
【0076】
従って、化合物IDC16が属する多環式インドールのファミリーは、DNA挿入剤の特性を示すと知られている。すなわち、そのような化合物は、望ましくない副作用の点で、リスクを提示する。
【0077】
すなわち、本発明者らは、HIVスプライシングを阻害する活性の点でIDCに匹敵する活性を示すが、一方でDNA挿入剤の特性を示さない新規分子を開発しようとした。
【0078】
彼らの当初の仮説では、本発明者らは、化合物IDC16の2つの末端での2つの極性ヘテロ環が、その活性に関連付けられていること、そして、2つの中央部分の環は重要でないことを考えた。
【0079】
この仮説に基づき、本発明者らは、以下のとおりに考えた。
・インドリンの窒素及びIDC16のD環の窒素が、水素結合の受容体として作用しうること;
・N−メチル化4−ピリジノンモチーフが、該アナログにおいて保存されうること;
・平らな四環系幾何学(geometry)は最適ではなくそしてB環及びC環を他のモチーフにより置き換えてDNA挿入特性を制限することが賢明でありうること。
【実施例2】
【0080】
本発明の化合物を合成する為の方法
【0081】
[A1.]本研究において用いられた化合物のリストが以下の表1において与えられる。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に記載された化合物の合成は以下に記載されている。
【0084】
スチルベン(オレフィン)化合物の合成
【0085】
【0086】
4−クロロピリジン 1が、SCHMID & WOLKOFF (Canadian Journal of Chemistry, vol. 50, p. 1181-1187, 1972)において記載されたとおりに、4−クロロピリジン塩酸塩の10%NaOHによる中和により得られる。4−クロロピリジン 1(15mmol)が、THF(250ml)中で、−78℃(窒素雰囲気)で、1.2当量のリチウムジイソプロピルアミド(1当量のTHFを含むヘキサン中の1.5M溶液、ALDRICH)と反応させられる(THRASHER et al., Heterocycles, vol. 67, p. 543-547, 2006)。
【0087】
得られたアニオンと、過剰の無水DMF又は過剰のメチルフォルメートとの反応が、4−クロロピリジン−3−カルボキサルデヒド 2の形成を許し、無色固体の形で分離される(60〜70%)。
【0088】
MARSAIS et al. (J. Het. Chem., vol. 25, p. 81-87, 1988)において記載された手順に従い、無色の固体(>80%)として4−ヒドロキシピリジン−3−カルボキサルデヒド(carboxaldehyde)を得る為に、化合物2が、6時間、数滴の3%Hを有する3NのHClの水性溶液中で加熱される。
【0089】
DI MARCO (Eur. J. Inorg. Chem., p. 1284-1293, 2006)に記載された手順に従い、ピリジンアルデヒド 4が、過剰のヨウ化メチルと、2時間、DMF中で、100℃で、無色固体の形で分離された化合物6を得る為に、反応させられる。
【0090】
化合物2、4及び6についてのNMR及びマススペクトルデータは、該文献中に見られた値に対応する。
【0091】
最後に、化合物6は、IDC16のスチルベンアナログ、特には化合物8a−jの合成の為の骨格として従事する。この反応は、化合物6を、WITTIG反応の古典的条件下(例えばGOPALSAMY et al., J. Med. Chem., vol. 47, p. 1893-1899, 2004、を参照されたい)において、市販で得られた又は要求される臭化物誘導体とトリフェニルホスフィンとを反応することにより調製された、要求されるホスホニウム塩との接触に置くことを含む。化合物8a−jの全てについて、E二重結合幾何学の存在が、400MHz 1H NMRスペクトルの値から推測される。
【0092】
アミド化合物の合成
【0093】
上記のとおり、4−クロロピリジン 1は、4−クロロピリジンハイドロクロリドの、10%NaOHによる中和により、SCHMID & WOLKOFF (Canadian Journal of Chemistry, vol. 50, p. 1181-1187, 1972)において記載されたとおりに得られる。4−クロロピリジン 1(15mmol)は、THF(250ml)中で、−78℃(窒素雰囲気)で、1.2当量のリチウムジイソプロピルアミド(1当量のTHFを有するヘキサン中の1.5M溶液、ALDRICH)と反応させられる(THRASHER et al., Heterocycles, vol. 67, p. 543-547, 2006)。
【0094】
得られたアニオンとドライCO(dry CO)との反応は、4−クロロピリジン−3−カルボン酸 3(4−クロロニコチン酸)の形成を許し、60〜80%の収率を有する無色固体として分離される(GUILLIER et al., J. Org. Chem., vol. 60, p. 292-296, 1995、を参照されたい)。
【0095】
化合物3は、水中で加熱されて(ROSS, J. Chem. Soc. (C), p. 1816-1821, 1966、を参照されたい)、無色固体として4−ヒドロキシピリジン−3−カルボン酸 5を得る。
【0096】
酸5は、過剰のヨウ化メチルの存在下において、DMF中で1000℃で2時間反応させられる。化合物7が、次に、無色固体として分離される。
【0097】
化合物3、5及び7についてのNMR及びマススペクトルデータは、該文献中に見られる値に対応する。
【0098】
最後に、化合物7が、IDC16のアミドアナログ、特には化合物9a−jの合成の為の骨格として従事する。この反応は、化合物7を、ペプチド結合を形成する為の古典的条件下で、要求される芳香族アミン及びヘテロ芳香族アミンとの接触に置くことを含む。典型的には、N−メチルモルホリンを含むDMF中における溶液中の化合物7が、イソブチルクロロホルメートと反応させられ(0℃又は室温、1時間)、そして化合物9a−jが次に、60〜90%の収率で、無色固体として分離される。これらの化合物は最終的には、マススペクトロメトリー及び1H NMR(400MHz)により特徴づけされる。
【0099】
IDC16アナログ13a−j及び14a−jの調製
【0100】
【0101】
4−クロロピリジン−3−カルボン酸 3が、古典的なペプチドカップリング条件下で、イソブチルクロロホルメート(1.3当量)及びN−メチルモルホリン(1.3当量)と、DMF中で室温で反応させられ、そして活性エステル中間体が次に、一晩中ずっと攪拌された無水ヒドラジンの溶液(1当量; THF中の1.0M溶液; ALDRICH)により処理される(Intl. J. Pepetide & Protein Res., vol. 11, p. 297, 1978)。ヒドラジド10を有する混合物が次に濾過されて固形物を除去し、そして100℃で2〜4時間加熱されて、環を形成しそして化合物11を得る。
【0102】
化合物11は、過剰のヨウ化メチルの存在下において、DMF中で1000℃で2時間反応させられる。化合物12が、次に、無色固体として分離される。
【0103】
化合物12は、当技術分野の当業者によく知られた技術に従い(特に、STARKOV, Tet. Letters, vol. 48, p. 1155-1157, 2007、を参照されたい)、アルキル化されて、化合物13a−j及び14a−jを得る。
【0104】
IDC16アナログ19a−j及び20a−jの調製
【0105】
【0106】
4−ヒドロキシ−1−メチル−6−オキソー1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート 15が、WALLACE et al.(J. Med. Chem., vol. 49, p. 441-444, 2006)において記載されたプロトコールに従い調製され、次に、カリウムトリメチルシラノレートと、THF中で4〜5時間20℃で反応させられ(MOTORINA et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 23, p. 8-17, 2001)、そして減圧濃縮(vacuum concentration)後に得られた該酸の対応するカリウム塩16がDMF中に再懸濁され、そして、イソブチルクロロホルメート及びN−メチルモルホリン(2当量)と室温で反応させられ、そして次に、MeOH中のヒドロキシルアミンが該混合物に添加される(REDDY, Tet. Letters, vol. 41, p. 6285-6288, 2000)。ヒドロキサム酸中間体誘導体17は次に、イソプロピルエチルアミンを含むCHCl中に再懸濁され、そして塩化メシル(1当量)により処理され、そして室温で24時間攪拌される。閉環を有する所望の産物18が、該反応が進むことを許すことにより生成され、そして次に該溶媒が真空乾燥(vacuumdrying)により除去される。
【0107】
化合物18が当技術分野の当業者に良く知られた技術に従い(特に、STARKOV, Tet. Letters, vol. 48, p. 1155-1157, 2007、を参照されたい)、再度、化合物19a−j及び20a−jを得る為にアルキル化される。
【0108】
アザベンズイミダゾールの調製
【0109】
【0110】
式22の多数の化合物はすでに良く知られている(約1,500の化合物がSciFinderにおいて同定されている)。該化合物は、3,4−ジアミノピリジン(daminopyridine)から簡単に得られうる。
【実施例3】
【0111】
本発明に従う化合物によるex vivoのHIV−1 mRNAスプライシングの選択的阻害
【0112】
実施例2において記載された化合物の効率が、pΔPSPプラスミド(JACQUENET et al., J. Biol. Chem., vol. 276, p. 40464-40475, 2001)を用いて試験された。該プラスミドは、ヌクレオチド1511−4550の欠失を有するプロウィルスのHIV−1ゲノムを有する。このpΔPSPプラスミドは、全てのHIV−1スプライシング部位を有し、そして、これらの種々の部位の相対的な使用は野生型ウィルスのそれと似ているとみえる。
【0113】
HeLa細胞が、ウシ胎仔血清を補われたRPMI1640培地(GIBCO)中で、直径3cmのプレート(NUNC)上で、70〜80%のコンフルエンスへと培養された。これらの細胞は、次に、JACQUENET et al. (2001)において記載されたとおりのpΔPSPプラスミドをトランスフェクトされた。
【0114】
pΔPSPをトランスフェクトされた該HeLa細胞は次に、種々の濃度(1.5μM又は3μM)の実施例2において記載された化合物又は陽性対照としてのIDC16により処理された。陰性対照として、pΔPSPをトランスフェクトされたが続く処置をされていない細胞が含められた(Clt)。
【0115】
全部の細胞RNAが次に、RNeasyキット(QIAGEN)により、製造者の指示に従いながら、抽出された。4μgの全RNAが次に、OMNISCRIPT REVERSE TRANSCRIPTASE キット(QIAGEN)を用いて、製造者の指示に従いながら、逆転写を受けた。得られた混合物は次に、96ウェルプレート中に分配され、そして、BSSセンスプライマー(5'-GGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGG-3'; 配列ID NO: 1)、SJ4.7Aアンチセンスプライマー(5'-TTGGGAGGTGGGTTGCTTTGATAGAG-3'; 配列ID NO:2)及び内部対照としてのGAPDHを増幅する為のプライマーを用いた増幅に付された。BSS及びSJ4.7Aプライマーは、ウィルスタンパク質Nef、Rev、及びTatをコードする種々のスプライスからもたらされるいくつかのアイソフォームを増幅することを可能とする(JACQUENET et al., cited above, 2001)。該PCR産物は次に、GAPDHによる標準化後に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された(SORET et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol. 102, p. 8764-8769, 2005)。
【0116】
図1は、処理されていない細胞(Clt)について得られた又は化合物IDC16、C48、C49、C55又はC56により処理された細胞について得られた種々のアイソフォーム(Nef2, Rev1, Rev2, Nef3, Nef4, Nef5, Tat1及びTat2)を示す、得られたポリアクリルアミドゲルの詳細を示す。
【0117】
該結果は、化合物C48、C49、C55及びC56により処理された細胞についてのHIV−1スプライシング産物のレベルにおける用量依存的減少、化合物IDC16の存在下において得られたそれに匹敵する減少、を示す。
【0118】
結果として、該結果はすなわち、化合物C48、C49、C55及びC56が、化合物IDC16に匹敵する効率でHIV−1スプライシングを阻害することを示す。
【実施例4】
【0119】
感染した末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIV−1産生の阻害
【0120】
最初の決定は、細胞生存率及び細胞周期の進行の点での最小の副作用を示す化合物濃度の決定である。
【0121】
このフレームワーク内で、健康なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)が、FICOLL勾配上の遠心により単離される。該細胞は次に、1%不活性化ヒトAB血清を補われたRPMI培地により2.5×10細胞/mlの密度へ培養され、次に追加の時間、37℃、5%COでインキュベートされる。該末梢血単核細胞は次に、回収され、そして10%ウシ胎仔血清を補われたRPMI培地中で2日間培養される。
【0122】
該末梢血単核細胞(PBMC)の一部が次に、トリチウム化チミジン及びフィトヘマグルチニンA(PHA)の存在下において且つ実施例2に記載された化合物の存在下若しくは不在下において72時間培養される。実施例2の化合物の存在下における細胞増殖は最後に、該処理された細胞の細胞DNAにおけるトリチウム化チミジンの取り込みを決定することにより測定される。
【0123】
活性化された(PHA及びIL−2により2日間刺激された)末梢血単核細胞(PBMC)の他の一部が、HIV株NL4.3又はAda−M R5により感染される。該細胞は次に、実施例2に記載された化合物の存在下において14日間培養される。ウィルス複製が最後に、ELISA方法によりタンパク質P24を定量することにより決定される。並行して、細胞生存率が、トリパンブルーの排除により、未処理細胞のそれと比較して測定される。
【実施例5】
【0124】
感染したマクロファージにおけるHIV−1生産の阻害
【0125】
実施例2に記載された分子の、他の細胞タイプへのHIV−1複製効果を一般化する為に、我々は、5μMの濃度で種々の薬剤により処理され且つ1ラウンド感染を受けた細胞におけるウィルス周期の種々のステップを試験した。
【0126】
そのような経験の為に、マクロファージが、Ada−M R5 HIV株により感染され、そして種々の濃度の実施例2に記載された化合物により18時間処理されうる。培養培地は次に除去され、そして該細胞は多量のPBSにより洗浄される。該細胞は次に、通常の条件下で培養される。次に、培養培地及び細胞が、4、7及び14日で集められる。最後に、ウィルス複製が、ELISA方法による培養物上清及び細胞溶解物の両方におけるp24抗原のレベルを決定することにより間接的に測定される。並行して、実施例2の化合物の存在下におけるマクロファージの細胞生存率が前のとおりに測定される。
【0127】
この目的の為に、我々は、HOS−CD4−CCR5細胞を、AD8株のR5エンベロープをコードするプラスミドとエンベロープ遺伝子において変異した全体HIV−1ゲノムを有し且つnefに連結したルシフェラーゼマーカー遺伝子を宿す他のプラスミドとを293T細胞に共トランスフェクトすることにより得られた欠陥ビリオンにさらした(Connor RI, Chen BK, Choe S, Landau NR. (1995) Vpr is required for efficient replication of human immunodeficiency virus type-1 in mononuclear phagocytes. Virology 206:935-944.)。これらのビリオンにより感染した細胞中のルシフェラーゼ活性の量は、組み込まれたプロウィルスの数及びnef/lucをコードする多重に(multiply)スプライスされた種の発現の両方を反映する。感染後2日で、HOS−CD4−CCR5感染細胞中のルシフェラーゼ活性が測定された。注目すべきは、該阻害効果は、この1ラウンド感染アッセイにおいて、数回の感染ラウンドが実施された他のアッセイにおいてよりも小さくありえた。実施例2の試験された化合物のうち、12は、30%から最大で52%のルシフェラーゼ阻害効果を示し、この化合物は表IIに掲げられている。
【0128】
【表2】
【0129】
該結果は、アジドチミジン(AZT、3'-アジド-3'-デオキシチミジン、ジドブジン)、これはHIV治療の為の承認された最初のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)である、と比較して、我々の化合物は、AZTよりも10倍効率的であることを確立した。実際に、50μMのAZTの濃度が、同じ条件下でルシフェラーゼの32%抑制を達成する為に要求される。
【実施例6】
【0130】
細胞遺伝子のスプライシングの阻害の不在
【0131】
内在性遺伝子のスプライシングに対する実施例2の化合物の効果を同定する為に、オルタナティブスプライシング後に得られ且つ種々のアポトーシス遺伝子をカバーする96のアイソフォームが選択された。
【0132】
末梢血単核細胞が、実施例3において記載されたとおりに、実施例2の化合物及び陽性対照としてのIDC16により処理された又は処理されない。それぞれの培養条件についての全RNAの調製そして続くそれぞれのRNA試料についてのcDNAの調製が、次に、実施例3に記載されたとおりに実施される。
【0133】
該得られた混合物は次に、96ウェルプレートに分配され、そしてそれぞれのウェルについて、それぞれのアイソフォームに特異的なセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの対を用いた増幅に付される。
【0134】
実施例2の化合物により処置された細胞についてのそれぞれのアイソフォームの発現のレベルが、次に、IDC16により処理された細胞について得られたレベル及び未処理細胞について得られたレベルと比較される。
【実施例7】
【0135】
転移性乳ガンを処置する為に有効な化合物の同定
【0136】
オルタナティブスプライシングにより、RONガン原遺伝子は、異なる特性を有する2つのタンパク質アイソフォームを生成する:1)RONは、組織解離、細胞移動性及び細胞外マトリックスの浸潤に関与するチロシンキナーゼ受容体である、2)該RON受容体の切り取られたアイソフォームは、エキソン11配列の排除に起因して構成的に活性である。この切り取られたアイソフォームは、高い転移性能力を有する乳ガン細胞において強力に発現され、そして、その発現は、上皮間葉移行を活性化するのに十分である。
【0137】
転移性乳ガンを処置することにおける上記で記載された化合物の有効性を試験する為に、該切り取られたRONアイソフォームを優先的に発現する細胞が、実施例2において記載された化合物の種々の濃度により処理された。次に、該化合物の有効性が、該切り取られたRONアイソフォームの発現水準を低めるものに対応する有効な化合物により、該処理された細胞又は該未処理細胞における該切り取られたRONアイソフォームの発現水準を決定することにより測定される。
【0138】
他のプロトコールが、転移性ガンを処置することにおける上記で記載された化合物の有効性を試験する為に利用可能である。これらのプロトコールの一つは、細胞遊走を試験する創傷治癒アッセイプロトコールに対応する。
【0139】
in vivoでの創傷治癒の間の細胞遊走を模倣する為に、我々は、in vitroでの方向性細胞遊走を研究する為の創傷治癒アッセイを用いた(Rodriquer et al., Methods Mol Biol, 2005)。種乳ガン細胞(MDA-MB231 Luc D3H2LN)の細胞単層が、「創傷」が形成される前に、48時間、5μMの示された分子により処理され、次に像が、該創傷を閉じる為の細胞遊走の間の開始で及び規則的な間隔でキャプチャーされた。像は、対照の未処理細胞と又は細胞遊走に対して効果を有さない化合物と比較された。創傷は、非常に転移性の細胞についてたった12〜24時間で治癒することができ、又はより転移性でない細胞について最大で72時間かかりうる。位相差光学顕微鏡(倍率10×)を用いた、全体の創傷の閉鎖までの、0、2、4、6、8、10、12、18及び24時間での同じ視野の像。
【0140】
図2は、化合物MB260、FMB008及びFMMB22.3が、陰性対照(CTL)と比較して、細胞遊走を強力に阻害することを示す。
【実施例8】
【0141】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを処置する為に有効な化合物の同定
【0142】
遺伝子治療の為の標的として、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、多くの障害物を提示するが、オルタナティブスプライシングによる修正についての比類なき可能性も提示する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、ジストロフィン遺伝子における変異からもたらされ、その発現の不在を又は切り取られたタンパク質の発現をもたらす。より特には、該ジストロフィン遺伝子内の変異の大部分は、スペクトリン様セントラルロッドドメインをコードする領域、これは大部分は必須でない、に起こる(図1を参照されたい)。エキソン51は、DMD患者におけるスペクトリン様セントラルロッドドメインをコードする最も多く変異したエキソンの一つである。エキソン51のスキッピングは、短くなったがインフレームの(in-frame)転写物を生成することができ、部分的に機能的なジストロフィンタンパク質の翻訳を許す。
【0143】
本発明の化合物を試験する為に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの動物モデル、すなわちmdxマウス、が用いられうる。より具体的には、mdxマウスは、ジストロフィン発現を完全に失わせることに関与する、ジストロフィン遺伝子のエキソン23中にストップコドン変異を有する。すなわち、mdxマウスは、実施例2に記載された化合物の種々の濃度により処理されることができ、そして次に、筋芽細胞試料が、これら化合物をこれら細胞内においてエキソン23スキッピングを誘発するこれら化合物の能力について試験する為に、これらマウスから採られる。目下、我々は、エキソン51及び隣接するイントロンがルシフェラーゼcDNAの中央部分に挿入されたルシフェラーゼリポーターを発現する安定的細胞株を用いて、このアイデアを試験した。ルシフェラーゼの半分と半分の間にエキソン51が構成的に含まれるので、ルシフェラーゼ活性は、これらの安定的細胞株において検出されなかった。対照的に、エキソン51のスキッピングを促進する為に設計されたU7アンチセンスを宿すAAVベクターの存在下において、ルシフェラーゼ活性は復活させられた。我々は、AAVベクターの効率を増強することができる分子をスクリーニングする為に、この系を用いた。実施例2の化合物が、この系において試験され(5μm)、そして、最も効率的な分子についての結果が、表III中に開示される。
【0144】
【表3】
【0145】
試験された実施例2の化合物のうち、7つが、AAVベクター単独と比較して、ルシフェラーゼ活性の2倍の増加を示した。それ故に、これらの分子は、DMD処置の為の強力な治療剤である。
【実施例9】
【0146】
早期老化症候群(プロジェリア)を処置する為に有効な化合物の同定
【0147】
プロジェリアは、生理学的加齢の間に通常は発症されるいくつかの病理、例えばアテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性II型糖尿病、白内障、骨粗しょう症及び皮膚の老化など、の早期の出現により特徴付けられる、稀であり(4〜8百万の出生のうち約1の有病率)且つ非常に重度の発生上の疾患である。この病理の分析は、それが、LMNA遺伝子の異常スプライシングに関連付けられたLMNA遺伝子の異常発現からもたらされることを示した。驚くべきことに、LMNA遺伝子のこの同じ異常スプライシングが、該変異を有さない健康な老人の対象において発見された。
【0148】
スプライシングに対して作用する或る化合物が、正常LMNA遺伝子スプライシング部位の使用を増加することができ、一方で異常スプライシング部位の使用を減少することが示されることができた。プロジェリアを処置することにおける実施例2に記載された化合物の有効性を試験する為に、LMNA遺伝子の異常スプライシングを引き起こすLMNA遺伝子の変異を有する細胞が、該化合物の種々の濃度により処理され又は処理されなかった。該化合物の有効性は次に、該異常アイソフォームの発現水準を低めるものに対応する有効な化合物により処理された該細胞又は処理されていない該細胞における該異常アイソフォームの発現水準を決定することにより測定される。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]