特許第5784989号(P5784989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784989
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】エンジンの排熱温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20150907BHJP
【FI】
   F01N13/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-122313(P2011-122313)
(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公開番号】特開2012-251432(P2012-251432A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2013年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】多田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】浅原 将人
(72)【発明者】
【氏名】上田 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 章
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−067634(JP,A)
【文献】 特開平09−280034(JP,A)
【文献】 特開2010−127268(JP,A)
【文献】 特開平08−189360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00−13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気流路に設けたマフラーの外部の所定箇所、又はマフラーよりも排気方向での下手側における排気流路を構成する排気管の外側の所定箇所に、
前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記マフラーの内部温度の上昇に基づいてマフラーの外部の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したこと、又は前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記マフラーの内部温度の上昇に起因する前記排気管内の排気温度の上昇に基づいて排気管の外側の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したことを検出する排気温度検出センサが、当該排気温度検出センサの温度検知部が前記マフラー又は前記排気管の外壁から離間した状態で設けてあり、
前記所定温度が、前記マフラーの内部で前記未燃ガスが燃焼した際の前記マフラーの内部又は前記排気管の内部の温度よりも低く設定され、
前記マフラーの外部又は前記排気管の外側の雰囲気温度に基づいて、前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記温度上昇を検出するエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項2】
前記排気管から流出する空気ではなくマフラーの外部の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したこと、又は前記排気管から流出する空気ではなく排気管の外側の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したことを検出する請求項1に記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項3】
前記排気温度検出センサは、エンジンにおける冷却用の送風経路内に配設されている請求項1又は2記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項4】
前記排気管の外側の前記所定箇所における雰囲気温度が所定温度に達したことを検出する排気温度検出センサは、前記排気管の屈曲箇所の近くで、かつ、その屈曲箇所における排気管の曲率中心から遠い側の管周壁の外側に設けてある請求項1から3の何れか一項記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項5】
前記排気温度検出センサは、前記排気管を支持する支持枠に取り付けてある請求項4記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項6】
前記排気温度検出センサとは別に、ラジエータにおける冷却水温度を検出する冷却水温度検出センサを備え、前記排気温度検出センサと前記冷却水温度検出センサとを共通の制御回路に接続して、何れか一方又は両方の検出センサによる検出温度がそれぞれの検出センサに設定された所定温度に達すると所要装置が作動するように構成してある請求項1〜5の何れか一項記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【請求項7】
機体に備えられているボンネットの内部に、機体前方から、冷却ファン、前記エンジン、前記排気温度検出センサがこの順で配置され、
前記冷却ファンの上端部が、前記エンジンの上面よりも高い位置に位置し、且つ、前記排気温度検出センサが、前記エンジンの上面よりも上方に配置されている請求項1〜5の何れか一項記載のエンジンの排熱温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される熱の温度検出を行うためのエンジンの排熱温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記エンジンから排出される熱の温度を検出するようにしたエンジンの排熱温度検出装置としては、従来より下記[1],[2]に示す構造を備えたものが知られている。
[1] エンジンの上部後方側に、マフラーを兼ねる排気浄化装置を設け、その排気浄化装置の内部に存在する排気ガスの温度を検出するように、排気温度センサの検出部を排気浄化装置の内部に挿入した構造のもの(特許文献1参照)。
[2] エンジンの排ガス排出経路の途中にマフラを設けるとともに、そのマフラーの出口に排気ガス出口温度検出用の温度センサを設けて、マフラーの出口における排気ガスの温度を検出するようにしたもの(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2011−47773号公報(段落〔0038〕、図1図4
【特許文献2】特開平6−249010号公報(段落〔0008〕、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された構造のものでは、マフラーを兼ねる排気浄化装置の内部における排気ガスの温度を検出し、前記特許文献2に示された構造のものでは、マフラーの出口での排気ガスの温度を検出するようにしている。
これらの構造のものでは、排気ガスの温度を排気温度検出センサで直接的に検出するものであるから、排気温度検出センサとして、高温の排気ガスに曝されながら温度検出を行うことが可能であるように耐熱性に優れた高温検出用のセンサを用いる必要があった。このため、排気温度検出センサ自体が高価なものとなり、エンジンの排気温度検出装置のコスト増を招く傾向があった。
【0005】
本発明の目的は、比較的低温域でのエンジン排熱の温度検出を行なえるようにして、温度検出センサとして安価なものを採用することが可能なエンジンの排熱温度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔解決手段1〕
本発明のエンジンの排熱温度検出装置における上記課題の解決手段は、エンジンの排気流路に設けたマフラーの外部の所定箇所、又はマフラーよりも排気方向での下手側における排気流路を構成する排気管の外側の所定箇所に、
前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記マフラーの内部温度の上昇に基づいてマフラーの外部の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したこと、又は前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記マフラーの内部温度の上昇に起因する前記排気管内の排気温度の上昇に基づいて排気管の外側の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したことを検出する排気温度検出センサが、当該排気温度検出センサの温度検知部が前記マフラー又は前記排気管の外壁から離間した状態で設けてあり、
前記所定温度が、前記マフラーの内部で前記未燃ガスが燃焼した際の前記マフラーの内部又は前記排気管の内部の温度よりも低く設定され、
前記マフラーの外部又は前記排気管の外側の雰囲気温度に基づいて、前記マフラーの内部での未燃ガスの燃焼による前記温度上昇を検出することを特徴とする。
【0007】
〔作用及び効果〕
上記の解決手段1にかかる発明の構成によれば、排気温度検出センサを、エンジンの排気流路に設けたマフラーの外部の所定箇所、又はマフラーよりも排気方向での下手側における排気流路を構成する排気管の外側の所定箇所に設けている。
このように、排気温度検出センサが、エンジンから排出される排気ガスに直に曝された状態となる箇所ではなく、マフラーの外部の前記所定箇所における雰囲気温度を検出し得る箇所、又は排気管の外側の前記所定箇所における雰囲気温度を検出し得る箇所に設けられたことによって、排気ガス温度に比べては低い温度域での温度検出に基づいてマフラーの内部温度の上昇、又は前記排気管内の排気温度の上昇を検知することが可能となる。
【0008】
そして、エンジンのミスファイアで未燃焼ガスがマフラー内に流れ込んだ場合などには、マフラー内の熱で未燃焼ガスが燃焼したり、マフラー内の触媒が異常反応して、マフラー内やマフラーよりも排気方向での下手側に高温の排気ガスが流れる虞があるが、本発明のものでは、マフラーの外部の所定箇所における雰囲気温度を検出し得る箇所、又は排気管の外側の所定箇所における雰囲気温度を検出し得る箇所に排気温度検出センサを設けたものであるから、このような場合にもエンジン排熱の異常な温度上昇を確実に検出することが可能となる。
【0009】
その結果、排気温度検出センサとして、高温の排気ガスを直接に検出するような耐熱性に優れたものに限らず、比較的低温域での温度検出を行うための安価な排気温度検出センサを採用することが可能となり、エンジンの排熱温度検出装置の低コスト化を図り得る利点がある。
〔解決手段2〕
また、本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第2の解決手段は、前記排気管から流出する空気ではなくマフラーの外部の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したこと、又は前記排気管から流出する空気ではなく排気管の外側の前記所定箇所における空気の温度である雰囲気温度が所定温度に達したことを検出することを特徴とする。
【0010】
〔解決手段
本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第の解決手段は、前記排気温度検出センサは、エンジンにおける冷却用の送風経路内に配設されていることを特徴とする。
【0011】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段にかかる発明の構成によれば、排気温度検出センサがエンジンの冷却風路内に配設されて、冷却用ファンからの送風などによる冷却作用を受ける箇所に存在することになるので、排気温度検出センサが配設された箇所の雰囲気温度は、エンジンの排熱温度の異常上昇がない限りは、エンジンにおける冷却用の送風経路内の温度と同程度に維持される。
したがって、排気ガスの所定以上の温度上昇を早期に検出し易いように、排気温度検出センサを、マフラーや排気管に近接させて配設しても、排気ガスの所定以上の温度上昇がない通常の使用状態では、エンジンにおける冷却用の送風経路での冷却機能を有効利用して、排気温度検出センサ周りの雰囲気温度を所定の状態に維持し易いという利点がある。
【0012】
〔解決手段
本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第の解決手段は、前記排気管の外側の前記所定箇所における雰囲気温度が所定温度に達したことを検出する排気温度検出センサは、前記排気管の屈曲箇所の近くで、かつ、その屈曲箇所における排気管の曲率中心から遠い側の管周壁の外側に設けてあることを特徴とする。
【0013】
〔作用及び効果〕
上記の解決手段にかかる発明の構成によれば、管路内を流動する高温の排気ガスとの接触度合いが強くなる排気管の屈曲箇所で、多くの排気ガスと接触してヒートスポットとなる傾向があるところの排気管の曲率中心から遠い側の管周壁に対して、その外側に排気温度検出センサが設けられることになるので、より一層、早期のうちに排気ガスの所定以上の温度上昇を検出し易くなる利点がある。
【0014】
〔解決手段
本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第の解決手段は、前記排気温度検出センサは、前記排気管を支持する支持枠に取り付けてあることを特徴とする。
【0015】
〔作用及び効果〕
上記の解決手段にかかる発明の構成によれば、排気温度検出センサの支持手段として、排気管を支持する支持枠を利用することができるので、排気温度検出センサの取付構造を簡素化して、エンジンの排熱温度検出装置の構造の簡素化を図り得る利点がある。
【0016】
〔解決手段
本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第の解決手段は、前記排気温度検出センサとは別に、ラジエータにおける冷却水温度を検出する冷却水温度検出センサを備え、前記排気温度検出センサと前記冷却水温度検出センサとを共通の制御回路に接続して、何れか一方又は両方の検出センサによる検出温度がそれぞれの検出センサに設定された所定温度に達すると所要装置が作動するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
〔作用及び効果〕
上記の解決手段にかかる発明の構成によれば、排気温度検出センサと冷却水温度検出センサとを備えて、何れか一方又は両方の検出センサによる検出温度がそれぞれの検出センサに設定された所定温度に達すると所要装置が作動するようにして、エンジンの排熱温度が所定以上に達したことをより確実に検出できる。
また、その排気温度検出センサと冷却水温度検出センサとを共通の制御回路に接続して、所要装置の作動回路を簡素化し、エンジンの排熱温度検出装置の構造の簡素化を図り得る利点がある。
〔解決手段7〕
また、本発明のエンジンの排熱温度検出装置における第7の解決手段は、機体に備えられているボンネットの内部に、機体前方から、冷却ファン、前記エンジン、前記排気温度検出センサがこの順で配置され、前記冷却ファンの上端部が、前記エンジンの上面よりも高い位置に位置し、且つ、前記排気温度検出センサが、前記エンジンの上面よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】乗用型草刈機の全体側面図である。
図2】乗用型草刈機の全体平面図である。
図3】原動部の左側面図である。
図4】原動部の平面図である。
図5】ボンネットを分離した状態での原動部を示す斜視図である。
図6】原動部の背面図である。
図7】マフラーと排気管部分の取付状態を示す背面図である。
図8】排気管部分と排気温度検出センサとの取付箇所の断面図である。
図9】排気管部分と排気温度検出センサとの取付箇所の分解斜視図である。
図10】制御回路を示すブロック図である。
図11】警報ブザー等の取付構造を示す斜視図である。
図12】別実施形態における排気温度検出センサの取付構造を示す斜視図である。
図13】別実施形態における排気温度検出センサの取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔乗用型草刈機の全体構成〕
図1に、本発明に係るエンジンの排熱温度検出装置を適用した作業車の一例としての乗用型草刈機の全体側面が、また、図2にその全体平面がそれぞれ示されている。
この乗用型草刈機は、左右一対の前輪11および後輪12によって支持された車体フレーム10を備える自走車体1の前後輪間に、バーブレード型のモーア4が昇降自在に吊り下げ支持された、いわゆるミッドマウント仕様に構成されている。
自走車体1の後部にはボンネット20内にエンジン21を収容した原動部2が、前記車体フレーム10の後側フレーム部10R上に配備されるとともに、自走車体1の前後中間部位には運転座席13が配備されている。
【0020】
運転座席13の後部には門形の転倒保護フレーム14が、側面視で略鉛直に立設固定されている。転倒保護フレーム14は、その上下中間部位で支点x1周りに後方に折り畳み可能に構成されており、樹木の幹回りの草刈り時に転倒保護フレーム14を折り畳むことで、転倒保護フレーム14が張出した枝に引っ掛かけることなく作業を行えるように構成されている。
前記車体フレーム10における前側フレーム部10Fには、運転座席13の足元に位置するステップ15が搭載装着されるとともに、運転座席13の左右にはフェンダ16、及びフェンダ16の下部側から後方に向けて燃料タンク24が配備されている。
前記燃料タンク24は、前記転倒保護フレーム14の機体横外側に配設してあり、転倒保護フレーム14に対向する機体内方側向きの面に、その転倒保護フレーム14が入り込み可能な凹部24aを備え、この凹部24aに入り込ませた状態で前記転倒保護フレーム14を配設している。この燃料タンク24の前記転倒保護フレーム14の横外側箇所に燃料補給用の補給口24bを一体に備えている。
【0021】
左右一対の前輪11はキャスタ式の遊転輪で構成されるとともに、左右一対の後輪12は左右独立して無段変速および正逆転操作可能な駆動輪に構成されており、左右の後輪12を等速で共に正転駆動あるいは逆転駆動することで前進あるいは後進での直進走行を行い、左右の後輪12に速度差を与えることで任意の方向に操向及び旋回することができるようになっている。
すなわち、エンジン21の動力を受けて駆動されるアキシャルプランジャ型の左右の静油圧式無段変速装置(図外)を備え、左右の静油圧式無段変速装置の出力で左右の後輪12が駆動されるように構成してあって、かつ、静油圧式無段変速装置の斜板角操作部と運転座席13の左右に前後揺動操作可能に配備された変速レバー17とがリンク連動されている。
したがって、変速レバー17を、その操作領域内で前後方向での中立位置に保持すると静油圧式無段変速装置が中立停止状態となり、変速レバー17を中立位置から前方に操作することで前進変速が、後方に操作することで後進変速が行えるようになっている。
【0022】
前記モーア4は、左右一対の前揺動リンク40aと、左右一対の後揺動リンク40bとを中間リンク40cで連結したリンク機構40によって車体フレーム10に吊り持ちされている。
このリンク機構40には、前記後揺動リンク40bを一体揺動自在に支持している支軸41に一体に設けた揺動アーム42が連設されている。この揺動アーム42を、車体フレーム10との間に付設されている油圧シリンダ43の伸縮作動に伴って揺動作動させることにより、前記リンク機構40を作動させてモーア4を昇降させ、ゲージ輪44が地面に接地した、もしくは略接地した下降作業状態と、ゲージ輪44を地面から離して車体フレーム10の腹下に格納した上昇非作業状態とに切り換え操作できるように構成してある。
尚、このモーア4は、バーブレード45で切断された刈芝を図2に示すように、自走車体1の右横方側に位置させてある排出口46から排出するサイドディスチャージ式のものに構成されている。
【0023】
〔原動部の構成〕
図3乃至図5に示されているように、原動部2では、ボンネット20内にラジエータ22を前側に配備した水冷式ガソリンエンジンであるところのエンジン21が、出力軸(図示せず)の軸芯P1を前後方向に向けた縦置き姿勢で配備されている。
エンジン21およびその前側のラジエータ22を覆うボンネット20は、後側フレーム部10Rから立設された後部枠18の上端に、横向きの支点x2周りで揺動開閉自在に配備されている。ボンネット20の前端側は、車体フレーム10に両側下部を固定してラジエータ22の上部を支持するように立設してある前部枠28に支持されている。
【0024】
ラジエータ22の背部には、エンジン21の出力軸からの動力で回転駆動される冷却用ファン23が配備され、ラジエータ22の前方側に備えられた除塵用の防塵網20Cを経て吸引導入した外気をラジエータ22に供給するよう構成されている。
【0025】
前記エンジン21は、後側フレーム部10Rに対して防振ゴム(図外)を介してゴムマウントされており、エンジン21側の振動が車体フレーム10側へ直接的には伝達されないように取り付けられている。
このエンジン21の機体前方側には、前側のトランスミッションケース19、及び前記冷却用ファン23に対して駆動力を伝達する出力軸(図示せず)を備え、前記トランスミッションケース19から、前方のモーア4、及び左右の後輪12の静油圧式無段変速装置への動力が出力されるように構成してある。
【0026】
図3乃至図5に示すように、エンジン21の右横側部には、機体前方側から前記防塵網20Cを経た後の外気を吸入するエアークリーナ25が配設され、そのエアークリーナ25で浄化された空気をエンジン21へ供給するためのインレットマニホールド26が付設されている。
エンジン21の左横側部にはエキゾーストマニホールド27が連設され、このエキゾーストマニホールド27の後端側に、エンジン21の機体後方側に回り込む状態でマフラー30がフランジ接続されている。
【0027】
このように、ボンネット20内で、エンジン21の左右両横側部のうち、右横側部には比較的容積の大きい部品であるエアークリーナ25が存在し、そのエアークリーナ25に対する吸気側の導入ホース25a及びインレットマニホールド26への接続ホース25bなど、多くのエンジン周辺機器が存在する。これに比べて左横側部には、エキゾーストマニホールド27が存在しているが、そのエキゾーストマニホールド27に接続されるマフラー30がエンジン21の機体後方側に回り込む状態に配置されていることで、前記エキゾーストマニホールド27以外は、あまり大きなエンジン周辺機器が存在しない状態に構成されている。
これによって、エンジン21の左横側部にラジエータ22側からの冷却用ファン23の風が流れやすいようにした送風経路Rが構成され、この送風経路Rをエンジン21の冷却風路として用いることができるように構成してある。
【0028】
車体フレーム10の後側フレーム部10Rから立設された後部枠18は、左右の後側フレーム部10Rの後端側に連結固定されて車体フレーム10としての機能をも備えたものであり、この後部枠18の側板部分18Aに両側下端部を固定して門形の支持枠29が立設されている。
このように前記後部枠18の側板部分18Aに固定したことによって車体フレーム10側から立設された門形の支持枠29には、その支持枠29から前方へ向けて突出させた前向きアーム29aが設けられ、この前向きアーム29aに支架させた状態で前記エアークリーナ25が、側面視で斜め後方下方に傾斜した傾斜姿勢で支持されている。
【0029】
〔排気流路の構成〕
エンジン21から排出される排気ガスの排気流路3は、エキゾーストマニホールド27と、そのエキゾーストマニホールド27の排気側に接続されたマフラー30と、そのマフラー30に接続される排気管31とによって構成されている。つまり、エキゾーストマニホールド27の内部における排気ガスの流路と、マフラー30の内部における排気ガスの流路と、そのマフラー30に接続される排気管31の内部における排気ガスの流路とによって排気流路3が構成されている。
【0030】
前記マフラー30は、本来の消音機能を有するとともに、内部に触媒を内蔵して排気処理を行うように構成された触媒一体型に構成されたものであり、エンジン21の後方側へ回り込んだ状態で、かつ、エンジン21のヘッドカバー21Aの上面よりも低く位置させて、長手方向を左右方向に沿わせて配設してある。
このマフラー30の排気方向での上流側(図6及び図7中で左端側)に前記エキゾーストマニホールド27が連結してあり、排気方向での下流側(図6及び図7中で右端側)に前記排気管31が連結されている。
前記排気管31は、マフラー30の排気方向での下流側の上部に設けられた排気口32に接続される上流側排気管部分33と、その上流側排気管部分33に対して接続される下流側排気管部分34とで構成されている。
【0031】
前記上流側排気管部分33は、図4乃至図8に示すように、背面視でL字状に屈曲されたエルボ管によって構成され、マフラー30の上部に形成されている排気口32に対して外嵌する上流側端部の上下向きの嵌合箇所にスリット33aを形成してある。
この上流側排気管部分33の上流側端部の嵌合箇所に前記スリット33aが形成されていることにより、上流側排気管部分33の上流側端部における嵌合箇所は、マフラー30の排気口32に外嵌する際に、前記スリット33a部分を少し押し広げられながら嵌合する。これによって、前記排気口32に弾性的に嵌合して上下方向位置を調整しながら取り付けられるように構成してある。そして、排気口32に外嵌させて嵌合位置が確定すると、金属製の締め付けバンド35で締め付け連結して接続するように構成されている。
【0032】
前記上流側排気管部分33の上部側で水平横方向に向けて配設された横向き管部分には、エンジン21側に対する固定用の支えステー36の上端側が溶接して連結されている。この支えステー36の下端側にはボルト孔36aが形成してあって、エンジン21側に固定された後述する取付金具5の第2部材50bに対して、支えステー36の下端側がボルト連結されるように構成してある。
【0033】
下流側排気管部分34は、図4及び図8に示すように、前記上流側排気管部分33の下流側端部よりも径が大きく、かつL字状に屈曲されたエルボ管によって構成され、その上流側端部が前記上流側排気管部分33の下流側端部に同芯状に外嵌している。
そして、この下流側排気管部分34の終端部に相当する下流側端部は、ボンネット20の後端面20Aに形成された排気孔20Bに臨む状態に設けられ、排気をボンネット20の外側へ排出するように構成されている。
【0034】
この下流側排気管部分34は、その外周側に溶接固定された左右一対の取付金具37を介して、前記車体フレーム10側から立設された支持枠29に固定の左右一対の取付ブラケット29bに対してボルト連結してある。
これによって、下流側排気管部分34と前記上流側排気管部分33との嵌合箇所には、それぞれの管径差に相当する隙間Sが形成され、この隙間Sは、エンジン21の振動等によって前記嵌合箇所に管径方向での相対移動が生じても、下流側排気管部分34と上流側排気管部分33との間での接触を免れるに足る間隔以上の寸法を有した隙間Sに設定されている。
【0035】
また、前記下流側排気管部分34には、その周方向、及び管長方向の複数箇所に、冷却風取り込み部38が形成されている。この冷却風取り込み部38は、下流側排気管部分34の周方向に部分的な切り込みを入れ、その切り込み部分よりも排気流れ方向の上手側部分の管周壁を管内方側へ凹入させることによって排気案内壁部38aを形成し、同時にその排気案内壁部38aの下流側端部と下流側排気管部分34の円弧状の周壁との間に開口38bを形成することによって構成されている。
つまり、この下流側排気管部分34の全体がエンジン21の冷却風路に相当する冷却用ファン23の送風経路Rに臨むように配設されていて、下流側排気管部分34に流れ込んだ排ガスに対して、複数箇所の冷却風取り込み部38から冷却用ファン23側からの送風が入り込み易く構成されている。また、前記下流側排気管部分34と前記上流側排気管部分33との嵌合箇所に形成されている前記隙間Sも、冷却風取り込み部38としての機能を備えている。
【0036】
上記の下流側排気管部分34、及び上流側排気管部分33の上部側における横向き管部分は、エンジン21のヘッドカバー21Aの上面よりも上方側に位置する状態に配置されるように、前記支持枠29に対して、あるいはエンジン21側の後述する取付金具5の第2部材50bに取り付けてあり、前記下流側排気管部分34の冷却風取り込み部38とともに、上流側排気管部分33の上部側における横向き管部分も冷却用ファン23の送風経路Rに臨むように配設されている。
そして、この下流側排気管部分34は、その終端部も冷却用ファン23の送風経路Rに臨むように配置され、その終端部がボンネット20の後端面20Aに開設された排気孔20Bに向けられていることにより、前記終端部の排気口34bにおける排気方向が図4に示すように前記送風経路Rでの送風方向に沿うように前記支持枠29に支持されている。
【0037】
前記排気孔20Bが形成されたボンネット20の後端面20Aには、前記排気孔20Bの周辺箇所を含めて全体的に多数の通気孔20Cが形成してあり、ボンネット20内部の熱気がスムースに排出できるように構成されている。
【0038】
前記エンジン21とマフラー30との取付箇所に設けられて、マフラー30及び上流側排気管部分33を支持するための取付金具5は、エンジン21に対してボルト連結される板金製の第1取付金具50と、その第1取付金具50に連結されてマフラー30を支持する板金製の第2取付金具51との組み合わせで構成されている。
【0039】
第1取付金具50は、図4図5、及び図7に示すように、L字状に屈曲された片面をエンジン21の横側面に接当させた状態で連結固定された第1部材50aと、そのL字状の第1部材50aから横方向に一体に延出された第2部材50bとを備えて構成されている。
この第1取付金具50の前記第1部材50aに対して前記マフラー30を支持する板金製の第2取付金具51がボルト連結され、前記第2部材50bに対して前記上流側排気管部分33の横向き管部分に溶接して連結された固定用の支えステー36の下端側がボルト連結されている。
【0040】
〔排熱温度検出装置〕
前記乗用型草刈機には、エンジン21から排出される排気ガスの温度や、エンジン21のウォータジャケット(図外)からラジエータ22に導かれる冷却水の温度を検出することによってエンジン排熱を検出するための排熱温度検出装置が設けられている。
この排熱温度検出装置は、前記排気流路3の途中に位置させた排気温度検出センサ6と、エンジン21からラジエータ22に冷却水を導く冷却水循環路7の途中に位置させた冷却水温度検出センサ70とを備えるとともに、これらの排気温度検出センサ6と冷却水温度検出センサ70とを、図10に示すように共通の制御回路8に接続してあって、何れか一方又は両方の検出センサ6,70による検出温度がそれぞれの検出センサ6,70に設定された所定温度に達すると警報用のブザー80(所要装置に相当する)が作動するように構成してある。
【0041】
上記排気温度検出センサ6は、図3乃至図9に示すように、マフラー30よりも排気方向での下手側における排気流路3を構成する排気管31の外側に配設してある。
つまり、この排気温度検出センサ6は、前記排気管31の下流側排気管部分34の屈曲箇所の近くで、かつ、その下流側排気管部分34の屈曲箇所における管周壁の曲率中心Oから遠い側での管周壁の外側に位置するように、前記下流側排気管部分34の管周壁の外側に溶接固定されている取付金具37のうち、排気方向の下手側に位置する取付金具37に連結され、この取付金具37、及びこの取付金具37を支持する取付ブラケット29bを介して支持枠29に装備されている。
【0042】
前記取付金具37は、図9に示すように、下流側排気管部分34の管周壁の外側に溶接固定された取付基部片37aと、その取付基部片37aから横外方へ延出された連結片37bとを備え、この連結片37bに対して前記排気温度検出センサ6の取付ブラケット63が連結されている。
前記取付ブラケット63は、排気温度検出センサ6の胴部60を挿通可能な支持孔63aを備えるとともに、前記連結片37bに対する連結用ボルト39aの挿通用の連結孔63bとを備え、排気温度検出センサ6の胴部60を支持孔63aに挿通した状態で、胴部60に形成されたネジ部60aにナット62を螺合させて固定し、前記連結片37bに形成されたボルト孔37cと前記取付ブラケット63に形成された連結孔63bに連結用ボルト39aを挿通し、ナット39bを螺合させて締め付け固定している。
【0043】
前記排気温度検出センサ6は、図7及び図8に示すように、取付ブラケット63及び取付金具37を介して支持枠29に固定した状態で、取付ブラケット63よりも排気方向の下手側に突出して位置する感温部61を先端側に備え、その反対側の端部に導電線64を接続してあり、中間部に前記取付ブラケット63に支持される胴部60を備えている。
前記排気温度検出センサ6は、一定温度以下においてのみ磁性を帯びるサーモフェライトを用いたマグネットとリードスイッチとを備えたリードスイッチ式の温度センサによって構成されている。この排気温度検出センサ6では、前記下流側排気管部分34の管周壁の外側における雰囲気温度が予め設定された所定温度(例えば90℃程度)に達していないときに接点を閉じて前記制御回路8の通電状態を保ち、前記雰囲気温度が前記所定温度以上に達すると、接点を開いて制御回路8の通電状態を断つように構成されている。
【0044】
上記のように支持枠29に支持された排気温度検出センサ6は、図4図7、及び図8に示すように、下流側排気管部分34の屈曲箇所における管周壁の曲率中心Oから遠い側での管周壁の外側に位置して、その感温部61が、下流側排気管部分34の管路内を流動する高温の排気ガスとの接触度合いが高くなるヒートスポットHの近くに位置するように配設されている。
つまり、上流側排気管部分33の中心軸線の延長方向に沿って下流側排気管部分34の内部を流動する排気ガスは、その上流側排気管部分33の中心軸線の延長方向と交差する下流側排気管部分34の屈曲箇所の管周壁に対して最も接触する度合いが高く、その箇所の付近がヒートスポットHとなるものであり、このヒートスポットHの付近における管周壁の外側箇所での雰囲気温度を検出し易い位置に排気温度検出センサ6が配設されている。
【0045】
前記排気温度検出センサ6は、前記ヒートスポットHに近い位置ではあるが、下流側排気管部分34の管周壁には接触せずに離れて位置し、かつ、排気温度検出センサ6が冷却用ファン23の送風経路R内に位置しているので、下流側排気管部分34の内部を流動する排気ガスは前記排気温度検出センサ6の前記所定温度よりも遙かに高い温度(例えば300℃程度)であっても、それが通常の運転状態で許容される範囲内の温度である場合には、排気温度検出センサ6が配設された前記管周壁の外側箇所での雰囲気温度は所定温度を超えない範囲に維持される。
そして、エンジン21の燃焼不良などの影響でマフラー30から排出される排気ガス温度が異常に高い温度になった場合(例えば600℃程度)には、排気温度検出センサ6が配設された前記管周壁の外側箇所での雰囲気温度も前記所定温度を超えるので、その異常な温度上昇を的確に、早期のうちに検出することができる。ただし、この異常な温度上昇を検出する場合でも、排気温度検出センサ6が配設されている周辺の雰囲気温度は前記所定温度を超えた程度のものであり、排気ガス温度に近い雰囲気温度に曝される状態とはならないので、検出すべき所定温度の低い排気温度検出センサ6を用いることのできるものである。
【0046】
図3及び図4に示すように、前記エンジン21のウォータジャケット(図外)からラジエータ22への冷却水循環路7の途中には、エンジン21からラジエータ22に導かれる冷却水の温度を検出する冷却水温度検出センサ70が設けられている。
この冷却水温度検出センサ70は、前記排気温度検出センサ6と同一仕様の構造、及び所定温度に設定されたもので構成してあり、その感温部(図外)が冷却水循環路7に挿入された状態で用いられるように配設してあり、冷却水循環路7内を流動する冷却水の温度を検出するように構成してある。
【0047】
前記排気温度検出センサ6と冷却水温度検出センサ70とは、図10に示すように、共通の制御回路8に接続してある。
この制御回路8では、電源81に対して警報ブザー80が接続される主回路8aと、電源81に対して前記排気温度検出センサ6と冷却水温度検出センサ70とが接続される操作回路8bとを備えており、何れか一方、又は両方の検出センサ6,70による検出温度がそれぞれの検出センサ6,70に設定された、ほぼ同程度の所定温度に達すると、その制御回路8での操作回路8bにおける通電が断たれ、て警報ブザー80が接続された主回路8aに通電されることで警報ブザー80が鳴動作動するように構成されている。
【0048】
すなわち、前記排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70は、何れも一定温度以下においてのみ磁性を帯びるサーモフェライトを用いたマグネットとリードスイッチとを備えたリードスイッチ式の温度センサによって構成されている。この排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70では、前記下流側排気管部分34の管周壁の外側における雰囲気温度が予め設定された所定温度(例えば90℃程度)に達していないとき、又は冷却水循環路7内を流動する冷却水の温度が予め設定された所定温度(例えば90℃程度)に達していないときに接点を閉じて前記制御回路8における操作回路8bでの通電状態を保ち、前記雰囲気温度、又は冷却水の温度が前記所定温度以上に達すると、接点を開いて制御回路8における操作回路8bでの通電状態を断つように構成されている。
【0049】
前記排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70のそれぞれには、開閉スイッチ82a付きのリレー82が接続されていて、前記排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70のそれぞれが通電状態であるとき(図10に示す状態)に、主回路8aに接続されている開閉スイッチ82aは、リレー82に励磁されて「開」状態に保たれている。この開閉スイッチ82aは「閉」側にバネ付勢されているものであるが、前記リレー82による励磁状態では、バネ付勢力に抗して「開」状態に維持される。
そして、前記排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70の何れか一方、又は両方での通電が断たれると、操作回路8bに接続されている排気温度検出センサ6又は冷却水温度検出センサ70に接続されているリレー82に対する操作回路8bでの通電が断たれ、リレー82による励磁が解除されるので、主回路8aに接続されている開閉スイッチ82aは、自身のバネ付勢力で「閉」状態に操作され、主回路8aの警報ブザー80が電源81によって鳴動作動されるように構成してある。
【0050】
図11に示すように、警報ブザー80は、前記運転座席13の後部に設けた門形の転倒保護フレーム14のうち、燃料タンク24の凹部24aに嵌り込んでいる左側の脚部14aの内側に取り付けた取付片83に対してリレーとともに固定してある。
このように、前記取付片83を介して転倒保護フレーム14の脚部14aに固定することによって、その取付片83と転倒保護フレーム14の脚部14aとの間に挟まれた位置で装着されている。
この取付片83の位置は、図1に示すように、前後方向で運転座席13に対して比較的近い位置であり、かつ、ボンネット20の外側に相当する位置であるため、運転座席13に搭座する運転者に聞こえやすい位置である。
【0051】
〔バランスウェイト〕
図3及び図5,6に示すように、自走車体1の後端部にはバランスウエイト55が装備されている。
このバランスウエイト55は、車体フレーム10の後部から後ろ向きに突設されたスタッドボルト56に前後向きの取付孔55aを差し込んで後方側からナット57を締め付け固定することにより、自走車体1に装備させるように構成されている。
このバランスウエイト55は、その上面側が中央部で高い山形に形成されており、ボンネット20の内部に入り込んだ刈草などが後部枠18の下側開口から落下した際に、そのバランスウエイト55の上面に堆積せず、左右両側へ流れ落ちるように傾斜した面55bに形成されている。
【0052】
前記後部枠18の後面18Bの下端縁は、前記バランスウエイト55の上面側の山形形状に沿って逆V字状に切り欠かれて切り欠き部18Cが形成されている。
したがって、バランスウエイト55の取付孔55aをスタッドボルト56に挿入する際に、前記切り欠き部18Cにバランスウエイト55の上面側の山形形状を合わせることで、簡単に取付孔55aの中心をスタッドボルト56の位置に合致するように案内するガイド部材としての機能をも果たすことができる。
【0053】
〔別実施形態の1〕
前述の実施形態では、排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70として、同一仕様のセンサを用いたが、これに限らず、別々の仕様のものを用いてもよい。また、設定される所定温度も同一である必要はなく、異なる所定温度に設定してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0054】
〔別実施形態の2〕
前述の実施形態では、排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70として、一定温度以下においてのみ磁性を帯びるサーモフェライトを用いたマグネットとリードスイッチとを備えたリードスイッチ式の温度センサによって構成されたものを示したが、排気温度検出センサ6としては、これに限らず、次のように構成してもよい。
すなわち、図12及び図13に示すように、排気温度検出センサ6としては、円柱状に形成された胴部60の内部にバイメタル(図示せず)を内装し、扁平な一端側に感温部61、及び取付板84への止め金具65を備え、扁平な他端側に導電線への接続端子66を備えたバイメタル式温度センサによって構成してもよい。
【0055】
この構造では、排気温度検出センサ6を取り付ける取付板84側には前記止め金具65に差し込まれる止めボルト85の挿通用孔84aが形成されるだけで、排気温度検出センサ6の感温部61を検温対象の排気管31側へ露出させるような貫通孔は設けられていない。
したがって、排気温度検出センサ6の感温部61は、取付板84の前記排気管31に面する側とは反対側の面に対向するように取り付けてあり、検温対象の排気管31との間を取付板84によって遮られた状態となっている。このため、排気温度検出センサ6の感温部61は、排気管31側から取付板84に伝えられた熱を、取付板84の温度上昇に基づいて間接的に検出することになる。
【0056】
このようなバイメタル式温度センサによって排気温度検出センサ6を構成した場合に、制御回路8では、前記リードスイッチ式の温度センサで排気温度検出センサ6を構成した場合と同様に図10に示すように設けて、予め設定された所定温度に達していないときに接点を閉じて前記制御回路8の通電状態を保ち、前記雰囲気温度が前記所定温度以上に達すると、接点を開いて制御回路8の通電状態を断つように構成してもよいし、これとは違って、予め設定された所定温度に達していないときに接点を開いて制御回路8の通電を断ち、雰囲気温度が前記所定温度以上に達すると、接点を閉じて制御回路8の通電状態とするように構成してもよい。
このように予め設定された所定温度に達していないときに接点を開いて制御回路8の通電を断ち、所定温度以上に達すると接点を閉じて制御回路8の通電状態とするように構成されたバイメタル式温度センサを用いる場合は、操作回路8bでの前記リレー82を用いる必要がなく、排気温度検出センサ6を主回路8aに直接接続して構成すればよい。
このようなバイメタルセンサを用いて排気温度検出センサ6を構成すると、雰囲気温度が前記所定温度以上に達した時点での排気温度検出センサ6の切換作動が応答性よく迅速に行われやすい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0057】
〔別実施形態の3〕
前述の実施形態では、排気温度検出センサ6及び冷却水温度検出センサ70として、一定温度以下においてのみ磁性を帯びるサーモフェライトを用いたマグネットとリードスイッチとを備えたリードスイッチ式の温度センサや、によって構成されたもの、あるいは、バイメタル式温度センサによって排気温度検出センサ6を構成したものを示したが、これに限らず、温度ヒューズを用いて排気温度検出センサ6や冷却水温度検出センサ70を構成してもよい。
このような温度ヒューズは、低融点可溶金属にリード線を溶接してあり、所定温度以上の熱を温度ヒューズ本体もしくはリード線を介して感知すると、可溶金属の溶融によって接点を開き通電を断つように構成されたものであり、図10に示したように制御回路8に配設して用いることができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0058】
〔別実施形態の4〕
前述の実施形態では、排気温度検出センサ6を排気流路3に設けるにあたり、排気流路3を構成する排気管31を、排気方向での上流側に設けられた上流側排気管部分33と、排気方向での下流側に設けられた下流側排気管部分34とで構成して、その下流側排気管部分34の外側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、前記排気温度検出センサ6を上流側排気管部分33の外側に設けるように構成したもの、あるいは、排気管31を上流側排気管部分33と下流側排気管部分34との区別なく一連の排気管31で構成して、その排気管31の外側における任意の適所に設けるようにしてもよい。
また、排気温度検出センサ6を排気流路3に設けるにあたり、排気管31の外側にではなく、マフラー30の外側に排気温度検出センサ6を設けて、マフラー30の周辺の所定箇所で雰囲気温度を検出するようにしてもよい。この場合、マフラー30内を流動する排気ガスの温度が所定以上の高温になったことを検知し易い外側箇所で、マフラー30内の排気ガスよりも低い温度での雰囲気温度を検出するように配設すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0059】
〔別実施形態の5〕
前述の実施形態では、所要装置として警報用のブザー80を例示したが、これに限らず例えば、ランプや音声で報知するようにしてもよく、また、モニターなどの表示装置を備える場合には、その表示装置に表示するようにしてもよい。
また、エンジン21の制御装置に連係させて、排気温度検出センサ6や冷却水温度検出センサ70による検出温度が所定値を越えると、エンジン21の作動を停止させる、あるいはアイドリング状態に操作するなどの制御を行うようにしてもよい。
さらに、モーア4を駆動するためのPTO軸などの外部動力取り出しを行えるように構成した構造を備えたものでは、そのPTO軸の駆動を断つPTOクラッチを切り操作するように構成するなどして、外部動力の取り出しを停止するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0060】
〔別実施形態の6〕
エンジン21としては、上記実施形態で示したような水冷式のガソリンエンジンに限らず、空冷式のものであってもよく、またディーゼルエンジンであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0061】
〔別実施形態の7〕
エンジン21の出力軸の方向を前後向きにした縦置き形式のものに限らず、出力軸の方向を横後向きにした横置き形式のものであってもよく、また、エンジン21が車体の前側に配置されるものであってもよい。そして、エンジン21が車体の前側に配置されて後方側から冷却風を送るような構造では、マフラー30をエンジン21の前側に配置して、排気温度検出センサ6はそのエンジン21の前側に配置されたマフラー30、または排気管31の外側で送風経路R内に位置するように配設するようにすればよい。
また、前述の実施形態では、インレットマニホールド26がエンジン21の右側に配設され、エキゾーストマニホールド27が左側に配設された構造において、排気管31の上流側を右側に、下流側を左側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、前述の実施形態で示した構造とは左右が対称となるように、つまり、インレットマニホールド26がエンジン21の左側に配設され、エキゾーストマニホールド27が右側に配設された構造において、排気管31の上流側を左側に、下流側を右側に配設した構造を採用してもよいが、何れの場合も排気温度検出センサ6は送風経路R内に位置するように配設すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のエンジンの排熱温度検出装置は、実施形態で示したように乗用型草刈機に限らず、例えば、トラクタやコンバイン、あるいは田植機などの移動農機、及び、建設機械や運搬車両など、エンジンを搭載する各種の作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
3 排気流路
6 排気温度検出センサ
8 制御回路
20 ボンネット
21 エンジン
22 ラジエータ
23 冷却用ファン(冷却ファン)
29 支持枠
30 マフラー
31 排気管
70 冷却水温度検出センサ
80 所要装置
O 曲率中心
R 送風経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13