【実施例】
【0040】
(評価方法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
(1)ポリイミド樹脂の分子量
表1の条件にて重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0041】
【表1】
【0042】
(2)ポリイミド樹脂の有機溶剤への溶解性試験
樹脂0.7gに対し、ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)9.3g(固形分濃度5%)をサンプル管に入れ、溶解の有無を確認した。室温にて完全に溶解したものを○、完全溶解に加温(80℃)が必要なものを△、加温(80℃)しても溶け残りがあるもの、又は不溶なものを×とした。
【0043】
(3)製膜性の評価
ポリイミド樹脂をDMAcに固形分として7wt%となるよう溶解し、0.7mm厚のガラス板上に最終膜厚として20μmとなるよう50mm×50mmのエリアに塗布した。室温にて溶解しないものについては80℃に加温して溶解し、加温状態のままガラス板上に塗布した。その後、23℃55%RHにて放置し、フィルム表面の白化現象を観察した。3分以上白化が認められない場合を○、1分以上3分未満で白化が認められる場合を△、1分未満で白化が認められる場合を×とした。
【0044】
(4)光学フィルムの線熱膨張係数
100〜200℃の線膨張係数の測定は、セイコー電子(株)社製TMA120Cを用いて(サンプルサイズ 幅3mm、長さ10mm)、荷重3gで10℃/minで10〜260℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて2回目の昇温時の100℃および200℃における熱膨張率から平均値として計算した。
【0045】
(5)光学フィルムのガラス転移温度
窒素雰囲気下、セイコー電子(株)社製TMA120Cを用いて(フィルムサンプルサイズ 幅3mm、長さ10mm)、荷重5gでの引張荷重法により、昇温速度10℃/分でフィルムサンプルを昇温し、得られた熱膨張曲線の変曲点をガラス転移温度とした。
【0046】
(6)光学フィルムの全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981記載の方法により測定した。
【0047】
(7)アミド基含有テトラカルボン酸の融点
セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220CによりJIS K−7121に記載の方法にて測定した。
【0048】
(合成参考例1)
<アミド基含有テトラカルボン酸二無水物(TATFMB)の合成(下記式(3))>
【0049】
【化6】
【0050】
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、トリメリット酸無水物クロライド67.4gを入れ、酢酸エチル190gとn−ヘキサン190gからなる混合溶媒を加えて溶解させ、溶液Aを調製した。更に別の容器に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMB)25.6gを酢酸エチル72gとn−ヘキサン72gからなる混合溶媒を加えて溶解させ、脱酸剤としてプロピレンオキサイド9.2gを加えて溶液Bを調製した。
【0051】
エタノールアイスバス中で−20℃程度に冷却下で、溶液Aに攪拌下溶液Bを滴下して3時間攪拌し、その後室温で12時間攪拌した。析出物を濾別し、酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)でよく洗浄した。その後、濾別し、60℃で12時間、さらに120℃で12時間真空乾燥して収率70%で白色の生成物を得た。FT−IRにて3380cm
−1(アミド基NH伸縮振動)、3105cm
−1(芳香族C−H伸縮振動)、1857cm
−1、1781cm
−1(酸無水物基C=O伸縮振動)、1677cm
−1(アミド基C=O伸縮振動)のピーク、また、
1H−NMRで、δ11.06ppm(s、NH、2H)、δ8.65ppm(s、フタルイミド上、3位C
aromH、2H)、δ8.37ppm(フタルイミド上、5および6位C
aromH、4H)、δ7.46ppm(d、中央ビフェニル上、6および6’位C
aromH、2H)、δ8.13ppm(d、中央ビフェニル上、5および5’位C
aromH、2H)、δ8.27ppm(s、中央ビフェニル上、3および3’位C
aromH、2H)のピークを確認することができたことから、目的物であるTATFMBが得られたことを確認した。この化合物の融点をDSCで測定したところ、274℃であった。
【0052】
(実施例1)
<ポリイミド樹脂の合成>
50mlのスクリュー管にDMFを13.2gならびにジアミン成分としてTFMBを0.714g入れ、窒素雰囲気下、スターラーにて撹拌して溶解させた。その後、上記合成参考例で合成したTATFMBを1.12gならびにPMDAを0.097g加えて溶解させた。重合触媒として酢酸を1.467g添加し、室温にて5時間重合を行った。重合終了後、DMFを2.44g追加し、イミド化触媒としてピリジン0.352gと無水酢酸0.545gを追加して、100℃12時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、IPA40gへ重合溶液を滴下し、目的とする生成物を沈澱させた。その後、桐山ロートにより、吸引ろ過し、40gのIPAにて洗浄した。この洗浄を2回繰り返し、桐山ロートにより、吸引ろ過し100℃に設定した真空オーブンで一晩乾燥させることで、目的生成物を得た。
【0053】
<光学フィルムの作製>
得られたポリイミド樹脂をDMAcに溶解し、ポリイミド樹脂が7重量%含有されているポリイミド樹脂溶液を作製し、ガラス板上に均一な膜厚を持ったポリイミド樹脂溶液膜として塗布した。その後60℃で10分間乾燥させ、さらに150℃で60分間乾燥させた。その後ガラス板からフィルムを剥がし、厚さ20μmの光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの評価結果は表2に記載した。
【0054】
(実施例2)
<ポリイミド樹脂の合成>
実施例1において、TFMBを0.750g、TATFMBを1.096g、PMDAを0.153gとした以外は全て同様の操作を行い、目的生成物を得た。(PMDA:30モル%)
<光学フィルムの作製>
実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。また、得られた光学フィルムの評価結果を表2に記載した。
【0055】
(実施例3)
<ポリイミド樹脂の合成>
実施例1において、TFMBを0.792g、TATFMBを0.992g、PMDAを0.216gとした以外は全て同様の操作を行い、目的生成物を得た。(PMDA:40モル%)
<光学フィルムの作製>
実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。また、得られた光学フィルムの評価結果を表2に記載した。
【0056】
(実施例4)
<ポリイミド樹脂の合成>
実施例1において、TFMBを0.679g、TATFMBを1.275g、PMDAを0.046gとした以外は全て同様の操作を行い、目的生成物を得た。(PMDA:10モル%)
<光学フィルムの作製>
実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。また、得られた光学フィルムの評価結果を表2に記載した。
【0057】
(比較例1)
<ポリイミド樹脂の合成>
50mlのスクリュー管にDMFを13.2gならびにジアミン成分としてTFMBを0.648g入れ、窒素雰囲気下、スターラーにて撹拌して溶解させた。その後、上記合成参考例で合成したTATFMBを1.352g加えて溶解させた。重合触媒として酢酸を1.467g添加し、室温にて5時間重合を行った。重合終了後、DMFを2.44g追加し、イミド化触媒としてピリジン0.352gと無水酢酸0.545gを追加して、100℃12時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イソプロピルアルコール(以下、IPAと略)40gへ重合溶液を滴下し、目的とする生成物を沈澱させた。その後、桐山ロートにより、吸引ろ過し、40gのIPAにて洗浄した。この洗浄を2回繰り返し、桐山ロートにより、吸引ろ過し100℃に設定した真空オーブンで一晩乾燥させることで、目的生成物を得た。
【0058】
<光学フィルムの作製>
実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。また、得られた光学フィルムの評価結果を表2に記載した。
【0059】
(比較例2)
実施例1において、TFMBを0.839g、TATFMBを0.875g、PMDAを0.286gとした以外は全て同様の操作を行ったところ、イミド化触媒としてピリジン0.352gと無水酢酸0.545gを追加して、100℃にて撹拌中にゲル化した。評価結果を表2に記載した。
【0060】
(比較例3)
50mlのスクリュー管にDMFを13.2gならびにジアミン成分としてTFMBを0.701g加えて、窒素雰囲気下、スターラーにて撹拌して溶解させた。その後、上記合成参考例で合成したアミド基含有テトラカルボン酸二無水物(式(3))を1.17gならび3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)に加えて溶解させた。重合触媒として酢酸を1.467g添加し、室温にて5時間重合を行った。重合終了後、DMFを2.44g追加し、イミド化触媒としてピリジン0.352gと無水酢酸0.545gを追加して、100℃12時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、IPA40gへ重合溶液を滴下し、目的とする生成物を沈澱させた。その後、桐山ロートにより、吸引ろ過し、40gのIPAにて洗浄した。この洗浄を2回繰り返し、桐山ロートにより、吸引ろ過し100℃に設定した真空オーブンで一晩乾燥させることで、目的生成物を得た。
【0061】
<光学フィルムの作製>
実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。また、得られた光学フィルムの評価結果を表2に記載した。
【0062】
【表2】