(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる混合容器を概略的に示しており、
図1は半縦断全体側面図で、
図2は主要部を示す縦断面図で、
図3は分解状態の縦断面図でそれぞれ混合容器を示している。
【0024】
これらの図に示す混合容器は、収容物として第1液体と第2液体とを互いに隔離した状態で収容し、必要時にこれら液体同士を混合した状態で注出するための容器である。この混合容器は、
図3に示すように、容器体1と操作体2とからなる。
【0025】
容器体1は、第1液体が収容されるものであり、容器本体10と、この容器本体10の上端部に固定され、当該容器体1の口頸部を形成するとともに前記操作体2を支持する支持部材20とを含む。当例では、これらは何れも合成樹脂材料からなる成型品であるが、容器本体10については、ガラス製のものも適用可能である。
【0026】
前記容器本体10は、有底円筒状の形状を有している。詳しくは、上向きに開口する口頸部11と、その下側に位置し、前記口頸部よりも径の大きい収容部12と、これら口頸部11及び収容部12を繋ぐ肩部13とを有し、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。前記第1液体は、この容器本体10の収容部12に収容される。
【0027】
前記口頸部11のうち上下方向の中間より下側の位置には、当該口頸部11の外周面から外向きに突出し、当該外周面の全周に亘って連続する環状の突起部14が形成されている。この突起部14は、前記支持部材20を容器本体10に係止するためのものである。
【0028】
また、口頸部11の外周面のうち前記突起部14よりも上側の位置であってかつ周方向の複数の位置には、当該外周面から外向きに突出して上下方向に延びる複数のリブ15が形成されている。これらリブ15は、容器本体10に対する支持部材20の相対回転を規制するためのものであり、当例では、90°間隔で周方向に並ぶ合計4個のリブ15が口頸部11に形成されている。
【0029】
前記支持部材20は、上下方向に貫通する筒状をなす。詳しくは、円筒状の操作体支持部21と、その下側に位置し、前記操作体支持部21よりも径の大きい円筒状の装着部22と、これら操作体支持部21及び装着部22を互いに繋ぐ肩部23とを有し、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。
【0030】
前記装着部22は、支持部材20を容器本体10に固定するための部位である。この装着部22の外周面のうちその上端部近傍の位置には、前記操作体2を係止するための上下一対の環状の突起部26が形成されている。これら突起部26は、それぞれ装着部22の外周面から外向きに突出し、その全周に亘って連続する。
【0031】
前記装着部22の内周面には、その上端部に、当該内周面から内向きに突出して上下方向に延びる複数のリブ27が形成されている。当例では、15°間隔で周方向に並ぶ合計24個のリブ27が形成されている。また、当該内周面のうち下端部近傍の位置には、当該内周面から内向きに突出して周方向に断続的に並ぶ複数の突起部28が形成されている。これらリブ27及び突起部28は、当該支持部材20を容器本体10に固定するためのものである。すなわち、当該支持部材20は、
図2に示すように、前記口頸部11が装着部22の内側に挿入されるように容器本体10に被せられ、前記装着部22の突起部28が口頸部11の突起部14を乗り越えて互いに上下方向に係合するように嵌め合わされることで容器本体10に係止(固定)される。この状態では、装着部22の隣接するリブ27の間に容器本体10のリブ15が介在して周方向に互いに係合し、これにより容器本体10と支持部材20との相対回転が規制される。
【0032】
なお、前記支持部材20の内側には、前記操作体支持部21に続くように当該操作体支持部21の下端部から下向きに突出するスリーブ状のリブ31が形成されている。このリブ31は、容器本体10の前記口頸部11の内側に嵌入されることが可能な形状を有しており、この嵌入により口頸部11の内周面にリブ31が密接して当該支持部材20と容器本体10との間がシールされる(
図2参照)。
【0033】
前記操作体支持部21は、前記操作体2を支持する部位である。詳しくは、前記操作体2を回転可能に、かつその回転に伴い当該操作体2が容器体1に対して相対的に下方向に変位するように支持する部位であり、その外周面には雄ねじ25が形成されている。
【0034】
この操作体支持部21の内側には、当該操作体支持部21の内周面の下端部に繋がって上向きに延びる円筒部30が形成されている。この円筒部30は、操作体2の後記収容部材40を外側から支持するためのものである。この円筒部30の内周面には、当該内周面から内向き突出して周方向に連続する環状の突起部30aが形成されている。
【0035】
また、この支持部材20のうち前記肩部23の上面には、その周方向の複数の位置に、当該上面から上向きに突出する突起部32が形成されている。当例では、180°間隔で周方向に並ぶ合計2個の突起部32が形成されている。これらの突起部32は、前記操作体2が一定量だけ回転操作されたときに当該操作体2の逆方向への回転を規制するためのものである。当例では、各突起部32は、
図4に示すように、右回り(同図で右回り)に進むに伴い径方向の厚みが漸増する、平面視(
図3の矢印IV方向から見た状態)で略楔型の形成を有する。
【0036】
前記操作体2は、収容部材40と操作用部材50とを含む。
【0037】
前記収容部材40(本発明の収容部に相当する)は、第2液体が収容されるものである。この収容部材40は、上向きに開口する有底円筒状の形状を有する。この収容部材40は、その周壁部の下端部であって周方向の複数の位置に、第2液体を導出するための導出口42を備える。この収容部材40の内底面41は、収容された第2液体が残留することなく各導出口42から均等に導出されるように、その中心から径方向外側に向かって先下がり傾斜する円錐状に形成されている。
【0038】
また、この収容部材40の外周面であって前記導出口42の上下両側には、当該収容部材40と前記支持部材20(円筒部30)との間をシールするための突起部等が形成されている。詳しくは、前記導出口42の上下両側の位置には、当該外周面から外向きに突出して周方向に連続する上下一対の環状の突起部44と、これら突起部44よりもやや上側の位置で同様に前記外周面から外向きに突出して周方向に連続する環状の突起部46と、支持部材20の下端においてその外周面から外向きに突出して周方向に連続する鍔部47とが形成されている。つまり、この収容部材40は、支持部材20の前記円筒部30にその下側から圧入され、
図2に示すように、前記導出口42を含む一定の領域が当該円筒部30により径方向外側から支持された状態で操作用部材50に組み付けられる。この状態では、同図に示すように、前記導出口42の上下両側の突起部44が円筒部30の内周面に圧接するとともに、その上側の位置において、収容部材40側の前記突起部46と円筒部30側の突起部30aとが上下方向に係合した状態で互いに密接する。さらに収容部材40の前記鍔部47が円筒部30の下側からその下端部に密接する。従って、収容部材40の外周面のうち主に導出口42の上下両側の位置と円筒部30の内周面との間がシールされ、これにより円筒部30によって各導出口42が塞がれる。
【0039】
なお、収容部材40の外周面であって前記突起部46よりも上側の位置には、その周方向の複数の位置に、互いに平行に上下方向に延びる複数の溝部48が形成されている。これら溝部48は、容器本体10内で生成された混合液を後記ノズル65から注出するための隙間(本発明の隙間であって容器体と収容部との間に形成される隙間に相当する)を形成するためのものである。
【0040】
前記操作用部材50は、第1、第2液体を混合するために回転操作するものであり、混合液を注出するための機能も有する。
【0041】
この操作用部材50は、本体部51、開閉蓋52及びこれら本体部51及び開閉蓋52を連結するヒンジ53を含み、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。
【0042】
前記本体部51は、天井部54を有した下向きに開く略円筒状の形状を有する。詳しくは、円盤状の天井部54と、その周縁から真っ直ぐに垂下する円筒状の小径部55と、緩やかに拡径する肩部を介して前記小径部55の下側に繋がる円筒状の大径部56と、この大径部56の内側に位置し、前記肩部の位置から真っ直ぐに垂下する円筒状の装着部57と、この装着部57のさらに内側に位置し、前記小径部55に続くように当該小径部55の下端部から下向きに突出するスリーブ状のリブ58とを有する。
【0043】
操作用部材50は、前記本体部51の大径部56及び前記装着部57を介して前記容器体1(支持部材20)に係止される。具体的には、前記大径部56は、前記支持部材20の装着部22よりも僅かに大きい内径を有しており、その内周面の下端部には、内向きに突出して周方向に断続的に並ぶ複数の突起部56aが形成されている。また、前記装着部57は、前記支持部材20の操作体支持部21よりも僅かに大きい内径を有しており、その内周面には操作体支持部21の雄ねじ25に対応する雌ねじ57aが形成されている。つまり、操作用部材50は、
図2に示すように、本体部51の前記大径部56の内側に前記支持部材20が挿入され、当該大径部56の突起部56aが支持部材20(装着部22)の一対の突起部26の間に介在してこれら突起部26に対して上下方向に係合することで容器体1に係止されている。この状態では、同図に示すように、前記雄ねじ25と雌ねじ57aとの螺合が開始可能となるように、前記装着部57の内側に容器体1の上端部、すなわち支持部材20の操作体支持部21が挿入される。
【0044】
なお、前記雄ねじ25及び雌ねじ57aは、前記操作体2(操作用部材50)が一定方向の回転操作を受けることにより容器体1(支持部材20)に対して操作体2が相対的に下方向に変位するように形成されている。当例では、混合容器の上側から見て、容器体1に対して操作体2が右回りの回転操作を受けることで当該操作体2が容器体1に対して下方向に変位するように各ねじ25、57aが形成されている。
【0045】
前記本体部51の天井部54の中央部には、その内天面から下向きに突出する円環状のリブ60が形成されるとともに、このリブ60の外側であって周方向の複数の位置に、前記内天面から下向きに突出する複数のリブ62が形成されている。当例では、60°間隔で周方向に並ぶ合計6個のリブ62が天井部54に形成されている。これらリブ60、62は、前記収容部材40を保持するためのものである。すなわち、リブ60と各リブ62との間に収容部材40の上端部が圧入され、これらリブ0,62により収容部材40が径方向に挟み込まれることで、
図2に示すように、当該収容部材40が操作用部材50に保持される(組み付けられる)。なお、円環状の前記リブ60は、収容部材40の内側に嵌入されることが可能な形状を有しており、従って、上記のように収容部材40が操作用部材50に組み付けられると、当該収容部材40の上部開口が天井部54によって塞がれるとともに、前記リブ60が収容部材40の内周面に密接して収容部材40と天井部54との間がシールされる。
【0046】
本体部51の内側であって前記大径部56と装着部57との間には、
図5に示すように、周方向の複数の位置にリブ59が形成されている。当例では、180°間隔で周方向に並ぶ合計2個のリブ59が形成されている。これらリブ59は、操作体2(操作用部材50)が回転操作を受け、これにより容器体1(支持部材20)に対して操作体2が相対的に一定量だけ下方向に変位すると、当該操作体2の逆方向への回転を規制するように形成されている。具体的には、操作用部材50の前記装着部57の奥端部に前記支持部材20の操作体支持部21が突き当たる終端位置(
図8参照)まで操作体2が変位すると、リブ59が前記支持部材20の突起部32を周方向に乗り越えて当該突起部32とそれぞれ係合し、この係合により操作体2の逆方向への回転を規制するように形成されている。つまり、操作体2は、上記のように一定量だけ回転操作されると、その正転及び逆転の何れも不能なロック状態となる。なお、当実施形態では、これらリブ59及び突起部32等が本発明のロック機構に相当する。
【0047】
本体部51の前記スリーブ状のリブ58は、前記支持部材20(操作体支持部21)の内側に嵌入されることが可能な形状を有している。これにより上記のように操作体2(操作用部材50)がロック状態となる位置まで変位すると、本体部51の小径部55と支持部材20の操作体支持部21とが連続した状態になるとともに、前記リブ58が支持部材20の内周面に密接して当該小径部55と操作体支持部21との間がシールされる。
【0048】
なお、上記のように操作用部材50が前記容器体1(支持部材20)に係止された状態であって操作体2の操作前は、
図2に示すように、前記本体部51の大径部56の下端部と容器体1の容器本体10の肩部13との間には一定の隙間(本発明の隙間であって被操作部の下端と本体部の上端との間に形成される隙間に相当する)が形成される。この隙間は、前記回転操作に伴い操作体2(操作用部材50)が下方向に変位するに伴い減少し、操作体2が前記終端位置まで変位すると略消滅するように設定されている。つまり、当実施形態では、容器体1のうち支持部材20の操作体支持部21が本発明の「口頸部」に相当し、容器本体10の収容部12が本発明の「本体部」に相当する。
【0049】
本体部51の前記天井部54の上面には、当該上面から上向きに突出するように、ノズル65(本発明の「注出口」に相当する)が形成されている。このノズル65は、収容部材40を挟んで前記開閉蓋52が連結される位置(ヒンジ53の位置)とは反対側の位置であって、収容部材40と前記小径部55との間の隙間に通じる位置に形成されている。
【0050】
前記開閉蓋52は、操作用部材50の頂部、具体的には、天井部54と前記小径部55との境界部分に前記ヒンジ53を介して連結されている。この開閉蓋52は、軸状の栓部52aを備えており、
図2に示すように、この栓部52aが前記ノズル65に挿入されてノズル孔を塞ぐ閉止位置と、この閉止位置から天井部54の外側に展開して前記ノズル孔を開く開放位置とに亘って変位(回動)可能となっている。
【0051】
なお、この実施形態では、操作用部材50のうち主に小径部55から上側の部分が本発明の「キャップ部」に相当し、それ以外の部分が本発明の「被操作部」に相当する。
【0052】
次に、この混合容器の組み立て要領について
図4及び
図5を用いて説明する。
【0053】
この混合容器は、以下の手順(1)〜(3)により容易に組み立てることができる。
【0054】
(1)支持部材20への収容部材40の組み付け(
図6)
収容部材40を支持部材20の下側(装着部22側)からその内側、すなわち円筒部30に圧入する。これにより、
図6の上図に示すように、支持部材20に収容部材40を組み付ける(保持させる)。この際、鍔部47が円筒部30の下端部に突き当たる位置まで当該支持部材20を収容部材40に挿入する。
【0055】
このように収容部材40を支持部材20に組み付けた状態では、収容部材40の上端が支持部材20の外側に大きく突出した状態となる。また、収容部材40の突起部46が円筒部30の突起部30aを乗り越えた位置で両突起部46、30aが密接するとともに収容部材40の各突起部44が円筒部30の内周面に密接し、これにより収容部材40の各導出口42が円筒部30(支持部材20)により塞がれるとともに、支持部材20の内側が収容部材40によって塞がれる。
【0056】
(2)容器本体10への支持部材20の組み付け(
図6)
手順(1)で収容部材40が組み付けられた支持部材20を容器本体10に組み付ける。具体的には、支持部材20に保持されている収容部材40を容器本体10の口頸部11からその内側に挿入しながら、当該口頸部11を支持部材20の装着部22の内側に差し込み、支持部材20を容器本体10側に強く押し込む。このように支持部材20を押し込むと、支持部材20(装着部22)側の突起部28が容器本体10(口頸部11)側の突起部14を乗り越えて互いに係合し、これにより容器本体10に支持部材20が係止される。つまり、容器本体10と支持部材20とが合体した容器体1が構成される。この際、支持部材20の互いに隣接するリブ27の間に容器本体10側のリブ15が挿入されることで、容器本体10に対する支持部材20の相対回転が規制される。
【0057】
このように支持部材20等を容器本体10に組み付けた状態では、支持部材20のスリーブ状のリブ31が容器本体10の内周面に密接し、これにより支持部材20と容器本体10との間がシールされた状態で連続する。また、上記のように支持部材20の内側が収容部材40によって塞がれている結果、容器体1が収容部材40によって塞がれた状態となる。
【0058】
(3)操作用部材50の組み付け(
図7)
容器体1(支持部材20)に対して操作用部材50を組み付ける。具体的には、容器体1の支持部材20に操作用部材50を被せ、収容部材40の上端部を操作用部材50の天井部54に形成された前記リブ60、62の間に圧入しながら、操作用部材50を支持部材20側に強く押し込む。このよう操作用部材50を押し込むと、操作用部材50(大径部56)側の突起部56aが支持部材20(装着部22)側の一対の突起部26の間に嵌り込んで互いに係合し、これにより操作用部材50が支持部材20に係止される。また、雄ねじ25と雌ねじ57aとが螺合可能となるように支持部材20の操作体支持部21が操作用部材50の装着部57の内側に挿入される。
【0059】
このように操作用部材50が容器体1(支持部材20)に組み付けられることにより、収容部材40の上端が天井部54のリブ60,62の間に圧入されて当該収容部材40が操作用部材50に保持される、これにより操作体2が構成される。そして、この状態では、収容部材40の上部開口が天井部54により塞がれるとともに、収容部材40の内周面にリブ60が密接することで操作用部材50と収容部材40との間がシールされた状態となる。以上により、上記混合容器の組み立てが完了する。
【0060】
なお、上記の説明では言及していないが、容器体1への第1液体の収容、及び収容部材40への第2液体の収容は、その液体の性状等に応じて上記組立工程の適当な段階で行うことができる。例えば、容器体1への第1液体の収容は、容器本体10への支持部材20等の組み付け直前に行うことができる。また、収容部材40への第2液体の収容は、支持部材20等への操作用部材50の組み付け直前に行うことができる。
【0061】
このように混合容器に収容された第1、第2の液体は、上記の通り、収容部材40によって容器体1の開口が塞がれており、また、収容部材40のうちその上部開口が操作用部材50(天井部54)によって、導出口42が支持部材20(円筒部30)によってそれぞれ塞がれていることで、互いに隔離された状態で混合容器内に収容される。そして、上記の通り、操作用部材50の天井部54のうち収容部材40より外側の位置にノズル65が形成されているため、開閉蓋52が不意に開放位置に操作された場合でも、第1、第2の液体の何れも注出されることがない。つまり、液体混合前の誤注出が確実に防止される。
【0062】
次に、この混合容器の使用要領(第1液体と第2液体とを混合して、その混合液を注出する要領)について説明する。
【0063】
まず、容器体1(容器本体10)に収容された第1液体と操作体2(収容部材40)に収容された第2液体とを混合する。この混合は、容器体1の容器本体10と操作体2の操作用部材50とを把持し、容器体1に対して操作体2を相対的に回転操作することにより行う。このように操作体2を回転操作すると、その回転に伴い操作用部材50の装着部57(雌ねじ57a)に支持部材20の操作体支持部21(雄ねじ25)が螺入し、これにより容器体1に対して操作体2が下方向に相対的に変位する。そして、この操作体2の下方向への変位に伴い、
図8に示すように、収容部材40の下端部、すなわち導出口42の位置が前記円筒部30よりも下側にずれて当該導出口42が容器体1(容器本体10)の内部に開放される。この導出口42の開放により、第2液体が容器体1内の第1液体に混入し、両液体が混合されることとなる。なお、この場合、上記の通り、収容部材40の内底部が中心から径方向外側に向かって先下がり傾斜する円錐状に形成されている結果、第2液体は、収容部材40内に残留することなく各導出口42から均等に導出される。
【0064】
そして、操作体2(操作用部材50)を一定量だけ回転させ、これにより装着部57に対してその終端位置まで容器体1の先端(支持部材20の操作体支持部21)が螺入されると、操作用部材50の前記リブ59が支持部材20の前記突起部32を周方向に乗り越えて係合し、これにより操作体2が回転不能な状態にロックされる。そして、このロック状態では、同図に示すように、操作体支持部21の上端が装着部57の奥端部に当接するとともに当該操作体支持部21の内周面にスリーブ状のリブ58が密接し、これにより操作用部材50の小径部55と操作体支持部21とが連続した状態となる。また、収容部材40の下方向への変位によって円筒部30が溝部48の位置で当該収容部材40を径方向外側から支持することとなる結果、当該円筒部30と収容部材40との間に前記溝部48による隙間が形成され、当該隙間(溝部48)を介して円筒部30の上下両側が連通状態となる。つまり、ノズル65と容器本体10の内部とが連通状態となる。従って、前記開閉蓋52を開放位置に操作した上で混合容器全体を傾けることで、容器体1(容器本体10)内の混合液を注出することが可能となる。
【0065】
以上のような混合容器によれば、第1液体と第2液体との混合前に不意に開閉蓋52が開操作された場合でも、液体が注出されることを確実に防止することができる。
【0066】
しかも、この混合容器は、従来のように容器の部品を容器体1内に脱落させるのではなく、上記のように、操作体2の回転操作に伴い収容部材40を下方向に変位させることでその導出口42を容器体1内で開放させ、これにより第2液体を容器本体10内に導入して第1液体に混入させるので、従来の混合容器のように、容器の部品が混合液に混在することがない。従って、容器の部品が混合液に混在することによって使用者に違和感や抵抗感を与えるということがない。
【0067】
また、この混合容器によれば、上記のように収容部材40は、その下端外周に導出口42が形成され、その上側に溝部48が形成されている結果、操作体2の回転操作に伴い、まず導出口42が容器体1(容器本体10)の内部に開放され、その後、溝部48(隙間)を介してノズル65と容器本体10の内部とが連通状態となる。つまり、収容部材40の導出口42が容器本体10内に開口してからノズル65と容器本体10の内部とが連通するまでに時間差がある。そのため、ノズル65から液体注出が可能になる前に、収容部材40内の第2液体を確実に容器本体10内の第1液体に混合させることが可能となる。換言すれば、混合液体が生成される前にノズル65から第1液体や第2液体が単独で注出されることを確実に防止することができる、という利点もある。
【0068】
なお、この混合容器によれば、回転操作に伴う操作体2の変位によって混合容器の全長(上下方向の長さ)が変化するため、収容された液体が混合前か後かを外観から判断することができる。しかし、上記の混合容器によれば、液体混合前は、上記のように操作体2の前記大径部56と容器体1の容器本体10の肩部13(収容部12の上端部)との間に隙間が形成され、液体混合後は、この隙間が消滅するように混合容器が構成されているので、混合容器内の液体が混合前か後かの判断を外観からより速やかに判断することができるという利点がある。すなわち、混合容器の全体が上下方向に長い場合であって、操作体2の変位量が比較的小さい場合には、混合容器の全長の変化から液体が混合前か後かを外観的に判断することが難しい場合がある。しかし、実施形態の混合容器によれば、上記隙間の有無に基づき当該判断を容易に行うことができるため、液体が混合前か後かを外観から速やかにかつ正確に判断することができる。
【0069】
さらに、上記混合容器によれば、一旦操作体2を操作して液体同士を混合させると、上記の通り操作体2が回転不能な状態にロックされる。そのため、液体を混合させた後に操作体2が逆方向に操作され、これにより混合容器が使用前のもの、つまり液体を混合させる前の容器として誤って取り扱われることを防止することができるという利点もある。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる混合容器について説明する。
【0071】
図9〜
図11は、本発明の第2の実施形態にかかる混合容器を概略的に示しており、
図9は半縦断全体側面図で、
図10は主要部を示す縦断面図で、
図11は分解状態の縦断面図でそれぞれ混合容器を示している。なお、第2の実施形態の混合容器の構成の大部分は第1の実施形態と共通するため、以下の説明では、第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主に第1の実施形態との相違点について詳しく説明することにする。
【0072】
図9〜
図11に示すように、第2の実施形態の混合容器は、容器体1と操作体2とを含む点で第1の実施形態のものと構成が共通しているが、以下の点で、第1の実施形態のものと構成が相違している。
【0073】
第2の実施形態の容器体1は、単一の成型品からなる。この容器体1は、第1の実施形態の容器本体10と支持部材20とを一体化したに略等しい構造を有する。すなわち、容器体1は、上向きに開口する口頸部11と、その下側に位置し、前記口頸部よりも径の大きい収容部12と、これら口頸部11及び収容部12を繋ぐ肩部13とを有し、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。収容部12は、上側の小径部12aと、その下側に位置し、前記小径部12aよりも径の大きい大径部12bと、これら小径部12aと大径部12bとを繋ぐ肩部12cとを有している。そして、前記口頸部11の外周面に、操作体2(操作用部材50)を螺着するための雄ねじ25が形成されるとともに、収容部12のうち小径部12aの上端部に、操作体2を係止するための一対の突起部26が形成されている。また、口頸部11の外周面であってその下端部近傍の位置には、操作体2を回転不能にロックするための突起部32が形成されている(
図12参照)。
【0074】
操作体2は、収容部材40と操作用部材50とを含む点で第1の実施形態のものと共通するが、第2の実施形態では、別体のキャップ部材50a及び被操作部材50bにより操作用部材50が構成されており、この点で第1の実施形態と相違する。
【0075】
キャップ部材50a(本発明のキャップ部に相当する)は、第1実施形態の操作用部材50の主に小径部55から上側の部分と同等の構造を有している。すなわち、キャップ部材50aは、円盤状の天井部54及びその周縁から真っ直ぐに垂下する円筒状の周壁部72を有するキャップ本体70と、開閉蓋52と、これらキャップ本体70及び開閉蓋52を連結するヒンジ53とを含み、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。そして、天井部54に、リブ60、62及びノズル65が形成されている。
【0076】
なお、キャップ本体70は、その下端部の内周面に、当該内周面から内向きに突出して周方向に断続的に並ぶ複数の突起部72aを備える。また、キャップ本体70の内周面よりも内側であってノズル65の位置よりも外側の位置には、天井部54から下向きに突出するように延びるスリーブ状のリブ74が形成されている。これら突起部72a及リブ74は、キャップ本体70を被操作部材50bに組み付けるためのものである。
【0077】
一方、被操作部材50b(本発明の被操作部に相当する)は、第1実施形態の操作用部材50のうち小径部55から上側の部分を除いたものと略同等の構造を有している。この被操作部材50bは、円筒状の口頸部80と、緩やかに拡径する肩部を介して前記口頸部80の下側に繋がる円筒部81(第1実施形態の大径部56に相当する)と、この円筒部81の内側に位置し、前記肩部の位置から真っ直ぐに垂下する装着部57と、この装着部57のさらに内側に位置し、前記口頸部80に続くように当該口頸部80の下端部から下向きに突出するスリーブ状のリブ58とを有する。そして、円筒部81の内周面に突起部56a及びリブ59を備える。
【0078】
なお、口頸部80の外周面には、当該外周面から外向きに突出して全周に連続する突起部80aが形成されている。この突起部80aはキャップ部材50aを係止するためのものである。また、口頸部80の内周面には、その周方向の複数の位置に当該内周面から内向きに突出する係止用突部80bが形成されている。当例では、
図13に示すように、90°間隔で合計4つの係止用突部80bが形成されている。これら係止用突部80bは、収容部材40を当該被操作部材50bに組み付けるためのものである。すなわち、第2実施形態の収容部材40は、
図11に示すように、上端近傍の位置であって周方向の複数の位置に、その外周面から外向きに突出する係止部90を備える。当例では、係止用突部80bに対応して、90°間隔で合計4つの係止部90を備えている。これら係止部90には、収容部材40の周方向片側に開き、前記係止用突部80bが嵌合可能な嵌合用部92が形成されている。そして、係止部90と係止用突部80bとが互いに周方向にずれるように収容部材40が口頸部80に挿入され、この状態で、収容部材40と被操作部材50bとが相対的に回転させられることで、各係止部90の嵌合用凹部92にそれぞれ係止用突部80bが嵌入されて、被操作部材50bに収容部材40が係止されている。
【0079】
なお、第2の実施形態の収容部材40には、第1実施形態のような突起部46や溝部48は形成されていない。
【0080】
次に、この混合容器の組み立て要領について
図14及び1
図5を用いて説明する。
【0081】
この混合容器は、以下の手順(1)〜(3)により容易に組み立てることができる。
【0082】
(1)被操作部材50bへの収容部材40の組み付け(
図14)
まず、収容部材40を被操作部材50bの下側からその内側、すなわち口頸部80に挿入し、当該収容部材40を被操作部材50bに係止する。詳しくは、上述した通りである。
【0083】
このように被操作部材50bに収容部材40を組み付けた状態では、収容部材40の上端が被操作部材50bの外側に僅かに突出した状態で、当該被操作部材50bの中心に収容部材40が保持される。
【0084】
(2)容器体1への被操作部材50bの組み付け(
図14)
手順(1)で収容部材40が組み付けられた被操作部材50bを容器体1に組み付ける。具体的には、被操作部材50bに保持されている収容部材40を容器体1の口頸部11からその内側に差し込みながら、被操作部材50bを容器体1側に強く押し込む。このように操作用部材50を押し込むと、被操作部材50b(円筒部81)側の突起部56aが容器体1(小径部12a)側の一対の突起部26の間に嵌り込んで互いに係合し、これにより被操作部材50bが容器体1に係止される。また、口頸部11の雄ねじ25と装着部57の雌ねじ57aとが螺合可能となるように容器体1の口頸部11が操作用部材50の装着部57の内側に挿入される。さらに、収容部材40の外周面に形成された突起部44が口頸部11の内周面に密接し、これにより収容部材40の各導出口42が塞がれた状態になるとともに、容器体1が収容部材40によって塞がれた状態となる。つまり、容器体1が収容部材40によって塞がれた状態となる(
図15の下図参照)。
【0085】
(3)被操作部材50bへのキャップ部材50aの組み付け(
図15)
天井部54に形成された前記リブ60、62の間に収容部材40の上端を圧入しながら、キャップ部材50aを被操作部材50bに被せ強く押し込む。このようキャップ部材50aを押し込むと、キャップ部材50a(キャップ本体70)側の突起部72aが被操作部材50b(口頸部80)側の突起部80aを乗り越えて互いに係合し、これによりキャップ部材50aが被操作部材50bに係止される。つまり、キャップ部材50a、被操作部材50b及び収容部材40が合体した操作体2が構成される。
【0086】
このようにキャップ部材50aを被操作部材50bに組み付けた状態では、キャップ本体70のスリーブ状のリブ74が被操作部材50b(口頸部80)の内周面に密接し、これによりキャップ部材50aと被操作部材50bとの間がシールされる。また、収容部材40の上部開口が天井部54により塞がれるとともに、収容部材40の内周面にスリーブ状のリブ60が密接し、これによりキャップ部材50aと収容部材40との間がシールされる。以上により、上記混合容器の組み立てが完了する。
【0087】
なお、上記の説明では言及していないが、容器体1への第1液体の収容、及び収容部材40への第2液体の収容は、その液体の性状等に応じて上記組立工程の適当な段階で行うことができる。例えば、容器体1への第1液体の収容は、容器体1への被操作部材50b等の組み付け直前に行うことができる。また、収容部材40への第2液体の収容は、被操作部材50bへのキャップ部材50aの組み付け直前に行うことができる。
【0088】
このような第2実施形態の混合容器についても、当該混合容器に収容された第1、第2の液体は、上記の通り、収容部材40によって容器体1が塞がれており、また、収容部材40のうちその上部開口がキャップ部材50a(天井部54)に、導出口42が容器体1(口頸部11の内周面)によってそれぞれ塞がれることで、互いに隔離された状態で当該混合容器内に収容される。そして、上記の通り、この混合容器についても、キャップ部材50a(天井部54)のうち収容部材40より外側の位置にノズル65が形成されているため、開閉蓋52が不意に開放位置に操作された場合でも、第1、第2の液体の何れも注出されることがない。つまり、液体混合前の誤注出が確実に防止される。
【0089】
次に、この第2実施形態にかかる混合容器の使用要領(第1液体と第2液体とを混合して、その混合液を注出する要領)について説明する。
【0090】
この混合容器の使用要領は、第1の実施形態の混合容器と略同等である。すなわち、容器体1と操作体2の操作用部材50(主に被操作部材50b)を把持し、容器体1に対して操作体2を相対的に回転操作することにより行う。このように操作体2を回転操作すると、その回転に伴い被操作部材50bの装着部57(雌ねじ57a)に容器体1の口頸部11(雄ねじ25)が螺入し、これにより容器体1に対して操作体2が下方向に相対的に変位する。この操作体2の下方向への変位に伴い、
図16に示すように、収容部材40の下端部、すなわち導出口42の位置が口頸部11よりも下側に変位し、当該導出口42が容器体1の内部で開放される。この導出口42の開放により、収容部材40内の第2液体が容器体1内の第1液体に混入し、両液体が混合されることとなる。
【0091】
そして、操作体2(被操作部材50b)を一定量だけ回転させると、被操作部材50bの前記リブ59が口頸部11の前記突起部32を周方向に乗り越えて係合し、これにより被操作部材50bが回転不能な状態にロックされる。このロック状態では、同図に示すように、容器体1(口頸部11)の上端が装着部57の奥端部に当接するとともに当該容器体1の内周面にスリーブ状のリブ58が密接し、これにより容器体1の内部と操作用部材50との間がシールされた状態で、当該容器体1の内部とノズル65とが、前記収容部材40と口頸部11の内周面との間に形成された隙間を通じて互いに連通状態となる。従って、第1液体と第2液体を混合させた後、前記開閉蓋52を開放位置に操作した上で混合容器全体を傾ければ、混合液をノズル65から注出することが可能となる。
【0092】
このような第2の実施形態の混合容器についても第1の実施形態と同等の作用効果を享受することができる。すなわち、上記の通り、第1液体と第2液体との混合前に不意に開閉蓋52が開操作された場合でも、液体が注出されることを確実に防止することができる。
【0093】
また、操作体2の回転操作に伴い収容部材40を下方向に変位させることでその導出口42を容器体1内で開放し、これにより第2液体を容器本体10内に導入して第1液体に混入させるので、容器の部品が混合液に混在することがない。従って、容器の部品が混合液に混在することによって使用者に違和感や抵抗感を与えることがない。
【0094】
また、操作体2の回転操作に伴い、まず収容部材40の導出口42が容器体1の内部に開放され、その後、溝部48(隙間)を介してノズル65と容器体1の内部とが連通状態となるため、混合液体が生成される前にノズル65から第1液体や第2液体が単独で注出されることを確実に防止することができる、という利点もある。
【0095】
なお、この第2の実施形態の混合容器についても、上記のように操作体2(操作用部材50)が前記容器体1に係止された状態であってその回転操作前は、
図10に示すように、操作用部材50の円筒部81の下端部と容器体1の収容部12の肩部12c(大径部12bの上端)との間に一定の隙間が形成される。この隙間は、前記回転操作に伴い操作体2(操作用部材50)が下方向に変位するに伴い減少し、操作体2が終端位置まで変位すると略消滅するように設定されている。従って、この混合容器についても、第1の実施形態の混合容器と同様に、収容された液体が混合前か後かを外観から速やかにかつ正確に判断することができる。なお、当実施形態では、容器体1のうち収容部12の大径部12bが本発明の「本体部」に相当する。
【0096】
ところで、以上説明した第1、第2実施形態にかかる混合容器は、本発明にかかる混合容器の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、容器体1側の雄ねじ25に操作体2側の雌ねじ57aを螺合させ、容器体1に対して操作体2を相対的に回転させることにより、当該回転に伴い容器体1に対して操作体2(収容部材40)を相対的に下方向に変位させる構成であるが、例えば、容器体1側(支持部材20の操作体支持部21等の外周面)にカム突起(カム)を突設する一方、操作体2側(装着部57の内周面)にカム溝を形成し、これらカム突起とカム溝との組合せにより、操作体2の回転操作に伴い当該操作体2が容器体1に対して下方向に変位するように構成してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、操作体2の回転操作に伴い、まず収容部材40の導出口42が容器体1の内部に開放され、その後、溝部48(隙間)を介してノズル65と容器体1の内部とが連通状態となるように容器体1や操作体2が形成されているが、勿論、操作体2の回転操作に伴い、前記導出口42の容器体1内部への開口と、ノズル65と容器体1内部との連通とが略同時に達成されるように容器体1や操作体2が形成されていてもよい。
【0099】
また、容器体1及び収容部材40の具体的な大きさや形状も、収容される液体の種類、性状及び量に応じて、両液体を適切に混合させ得るように適宜変更可能である。