特許第5785099号(P5785099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785099
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】ロックボックス
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
   E05B47/00 J
   E05B47/00 U
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-546710(P2011-546710)
(86)(22)【出願日】2010年1月27日
(65)【公表番号】特表2012-516400(P2012-516400A)
(43)【公表日】2012年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2010000501
(87)【国際公開番号】WO2010086161
(87)【国際公開日】20100805
【審査請求日】2013年1月28日
(31)【優先権主張番号】102009006352.8
(32)【優先日】2009年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511183652
【氏名又は名称】ゲー シュヴェパー ベシュラーク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】G. Schwepper Beschlag GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェンク,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,ウルリヒ
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 実公平3−18606(JP,Y2)
【文献】 特開昭64−52977(JP,A)
【文献】 特開平6−101375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機械式ロックのためのロックボックスであって、
−筐体(1)、
を備え、前記筐体(1)が
−前記ロックを作動させるための第1の把手との連結を有する第1の半従動子(2)であって、ロック解除リンク仕掛(20)のための作動素子(4)を有する第1の半従動子(2)、
−前記ロックの作動のための第2の把手と連結している第2の半従動子(5)、
−作動後に前記半従動子(2,5)を静止位置(a)移動するための復帰素子(9,10)、
−前記静止位置(a)においては前記第1の半従動子(2)と前記第2の半従動子(5)の相対的な運動を可能にし、稼働位置(b)においては前記2つの半従動子(2,5)を相互に連結させる、結合素子(6)、
−始動されると前記結合素子(6)を前記稼働位置(b)移動するモーター(7)、及び
制御信号が受け取られた後に前記モーター(7)に作用する制御デバイス(8)、並びに
−前記モーターを駆動するためのエネルギー源、
を有する、
ロックボックスにおいて、
記結合素子(6)は、前記筐体(1)上の軸(15)に軸支されている軸旋回可能な関節式アーム(11)と関節式素子(14)を有し前記関節式アーム(11)と前記関節式素子(14)は互いに独立して軸旋回可能であるように、かつ前記関節式素子(14)の上方への旋回により前記関節式アーム(11)が上方に押し上げられるように支持され、
前記ロックボックスの設置状態において、下に向いて開いたリセス(12,13)を備えた2つの前記半従動子(2,5)の下方に、前記関節式アーム(11)が位置されるものであって、
前記モーター(7)の作動により、前記関節式素子(14)を介して前記関節式アーム(11)を上方に押し上げ、該関節式アーム(11)が前記2つの半従動子(2,5)の両方に設けられた前記リセス(12,13)と嵌合して前記半従動子(2,5)を前記稼働位置(b)移動して、前記第2の把手を作動させたときに前記ロックが前記第2の半従動子(5)によって解除されるようにしたことを特徴とするロックボックス。
【請求項2】
前記関節式アーム(11)の自由端に、稼働位置(b)にあるときには前記2つの半従動子(2,5)に配された前記リセス(12,13)と嵌合する、軸旋回ヘッド(16)が備えられることを特徴とする請求項1記載のロックボックス。
【請求項3】
前記軸旋回ヘッド(16)が前記半従動子(2,5)の方向にオフセットされることを特徴とする請求項記載のロックボックス。
【請求項4】
前記関節式素子(14)の自由端に、誘導素子(18)内で移動する誘導ピン(17)が備えられることを特徴とする請求項1または2記載のロックボックス。
【請求項5】
前記誘導素子(18)が誘導ゲートまたはスロット付穴であることを特徴とする請求項記載のロックボックス。
【請求項6】
前記関節式アーム(11)が前記関節式素子(14)に載り、前記関節式素子(14)とともに前記静止位置(a)から前記稼働位置(b)に移動することを特徴とする請求項または記載のロックボックス。
【請求項7】
作動されると前記関節式素子(14)に作用し、よって前記関節式素子(14)を前記静止位置(a)から前記稼働位置(b)に移す、スピンドル(19)が前記モーター(7)に備えられることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のロックボックス。
【請求項8】
ある定められた時間後に、前記モーター(7)が前記スピンドル(19)を前記スピンドル(19)の静止位置に移すことを特徴とする請求項記載のロックボックス。
【請求項9】
キーパッド、磁気ストライプカード、ICカードまたはトランスポンダーによって前記モーター(7)を始動させ得ることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のロックボックス。
【請求項10】
前記第1の半従動子(2)のための前記復帰素子(9)が前記ロック解除リンク仕掛(20)に配されたバネ素子であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のロックボックス。
【請求項11】
前記第2の半従動子(5)のための前記復帰素子(10)が、バネケーシング(21)内に配され、前記筐体(1)に支持された、コイルバネであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のロックボックス。
【請求項12】
ドアフレームに作用する1つないしいくつかのラッチが備えられ、前記ラッチは前記ロック解除リンク仕掛(20)によって動かされることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のロックボックス。
【請求項13】
ロックにおいて、請求項1から12のいずれかに記載のロックボックスを備えることを特徴とするロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ロック作動のための第1の把手とフォームクローズ連結を有する第1の半従動子であって、ロック解除リンク仕掛のための作動素子を有する第1の半従動子、ロック作動のための第2の把手とフォームクローズ連結を有する第2の半従動子、作動実施後にいずれの半従動子も静止位置につけるための復帰素子、非作動時には第1の半従動子と第2の半従動子の互いに対する運動を可能にし、稼働位置にあるときには2つの半従動子の相互連結を可能にする結合素子、作動時に結合素子を作動位置につけるモーター、及び該当制御信号が受け取られた後にモーターに作用する制御デバイス、並びにエネルギー源、を有する筐体を含む、電子式ロックのためのロックボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
ロックボックスは主として、例えば、工業または商業の企業の本社ビル、ホテル、巡航客船等の、ロックシステムに用いられるが、これらには限定されない、ロック及び施錠の目的のための電子機械式デバイスである。ロックボックスはコードによるかまたは電子的なアクセス認証を用いて、すなわち機械鍵を用いずに、ロックの解除を可能にする。特に、アクセス認証の再プログラミングを、また認可及び取消しも、容易に行うことができる。アクセス認証を紛失してもロックを交換する必要はないであろう。
【0003】
一般に、このタイプの電子機械式ロックは、内部からは、備えられた把手を用いていつでも開けることができる−これはパニック機能として知られる−が、外部からはアクセスコードでしか開けることができないように構成される。そのような異なるアクセス機能を達成するために広く用いられている設計原理は、把手がそれを介して施錠機構に作用する従動子を分割することである。ドアの内側に作用する半従動子は強制的にロックを解除する、すなわち、この半従動子はフォームクローズ態様でロック解除リンク仕掛と常時連結されている。他方で、表側の半従動子は連結されておらず、これは表側の把手がはたらかないことを意味する。外側からは、例えば、磁気ストリップカード、パンチカードまたはトランスポンダーを用いるか、あるいはキーパッドを用いて入力されたコードによって、アクセス認証が提供されたときに限り、ロック機構を作動させることができる。アクセス認証が提供されると、あらかじめ定められた時間にわたり表側半従動子が内側半従動子に連結されて、ドアを開くことが可能になるように、内部モーターが始動される。この時間が過ぎると、2つの半従動子及び表側把手は再び作動が停止される。
【0004】
このような性質の電子機械式ロックは、例えば特許文献1から、既知である。特許文献1に説明される結合システムには分割従動子が備えられ、表側半従動子と内側半従動子は、内側半従動子に配された結合レバーが外側半従動子に設けられたリセスに嵌合して2つの半従動子を機能的に結合させていない限り、相互に自由に運動可能である。結合動作は、バネを介して作動素子を動かし、アクセス認証によって始動される、モーターにより行われる。内側からは、内側従動子によってドアを常時開けることができるが、表側からの作動には初めにアクセス認証手段によってモーターを始動させる必要がある。
【0005】
そのような電子機械式ロックの、ロックが互いに対して運動可能なロック機構の2つの半従動子を備え、モーター駆動ネジ付きピンを用いて半従動子のそれぞれのリセスに入り込む結合素子が備えられている、別の形態が特許文献2に開示されている。結合素子はネジ付きピンによって双方向に運動させることができるキャリッジ上に配される。
【0006】
従来技術の解決策の欠点は、結合機構が比較的複雑で、故障し易く、大きなエネルギーを必要とすることであり、後者は、結合動作中にバネ素子によって生じる抵抗力にモーターが打ち勝たなければならないという事実による。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1662076A2号明細書
【特許文献2】欧州特許第1522659A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、単純な結合機構が装備されていて、機構は、結合されていないときに、作動従動子または一方の半従動子と結合されておらず、結合状態にあるときにロックを動作させるに必要な時間にわたり2つの半従動子を確実に連結させる、電子機械式ロックのためのロックボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、初めに上述した種類の、筐体に支持された軸旋回可能な関節式アームを備える結合素子が装備され、アームが、作動位置にあるときには、第2の把手を作動させたときに第2の半従動子によってロックが解除されるように、2つの半従動子のいずれにも配されたリセスと嵌合する、ロックボックスを提供することによって達成される。
【0010】
以下の説明において、第1のまたは内側の半従動子は、ドアの保全される必要のない側で、通常は(ホテルの)ドアの内側で、効果を発揮し、いかなる場合にもそれによってロックを解除することができる、半従動子を指す。第2のまたは表側半従動子は、そちらの側からは認証された人しかドアを開けることができなくなっている、一般には(ホテルの)ドアの表側のような、ドアの保全される必要がある側で、効果を発揮する半従動子を表す。
【0011】
本発明にしたがえば、ロックボックスは一般に保全される必要があるドアの表側に配される二部筐体を備える。ロック機構は通常、ドアの側面に配置され、通常のラッチ手段によりドアフレームと嵌合する。筐体内部には、ロックをそれによって動作させることができる第1の把手、例えばノブまたはドア把手とフォームクローズ態様で連結された第1の半従動子が配される。第1の半従動子には、それを用いてロックのラッチ機構を作動させることができる作動素子が備えられる。作動素子は、例えば、ロック解除リンク仕掛のためのコンタクト素子とすることができる。
【0012】
ロックの作動のための第2の把手にフォームクローズ態様で連結された第2の半従動子も筐体内に配される。結合していない状態において、第2の半従動子は再1の半従動子に対して自由に運動することができる。この状態において、第2の半従動子は無機能であり、外部ドア把手または表側のドアノブを作動させたときも自由に動く。
【0013】
いずれの半従動子にも、作動後に半従動子を静止位置におくための従来の復帰素子が備えられる。復帰素子は一般に、該当半従動子の構成に適するように適合された従来のバネ素子である。
【0014】
あるいはまたは便宜上、2つの半従動子の形状は互いにほぼ鏡映反転である。2つの半従動子の間には分離ディスクが通常配される。
【0015】
静止位置にあるときは第1及び第2の半従動子の互いに対する自由な運動を可能にし、稼働位置または作動位置にあるときは2つの半従動子を相互に連結させる、結合素子も筐体内部に配される。連結は同じく筐体内部に配されているモーターによって遂行され、モーターは始動されると結合素子を稼働位置に変位または移動させる。
【0016】
本発明のロックボックスの別の構成要素は、該当制御信号が受け取られた後にモーターに作用する制御デバイスである。制御信号は、例えば、数値コードの形態でキーパッドによるか、トランスポンダーチップによるか、磁気ストリップカードによるか、パンチカードによるかまたはICカードによって、入力することができる。しかし、コードワードを処理することができる音声認識システムも用いることができる。
【0017】
ロックボックスの作動を可能にするには、例えば内蔵電池の形態で備えることができる、電力源が必要である。
【0018】
本発明にしたがえば、結合素子は筐体に支持される軸旋回可能な関節式アームを有し、作動位置にあるときにアームは2つの半従動子に配されたリセスと嵌合し、よって第2の把手または表側の把手を作動させたときに、第2のまたは表側の半従動子によってロックを作動させることができる。結合素子の作動は制御デバイスによって始動されたモーターによって行われる。一般に作動はあらかじめ定められた時間の間しか有効ではないが、例えば、修理作業または構造的上の作業を行わなければならない場合には、継続的に作動させておくこともできる。この目的のため、制御デバイスは所望に応じてプログラムすることができる。
【0019】
本発明にしたがって提供されるロックボックスにより、アクセス認証−例えばICカードまたは磁気ストライプカード−を、認証期間をその間だけロック作動が可能である想定期間に限定できるように、プログラムすることが可能になる。
【0020】
本発明のロックボックスのモーター、結合素子及び2つの半従動子は、便宜上、モーターが結合素子を上方に移動させ、半従動子に設けられたリセスに入れて2つの半従動子を相互に連結させるような態様で、一方が他方の下に配置されると便宜がよい。ロックが作動可能にされ、半従動子がホームポジションまたは静止位置に復帰した後、結合素子は再び静止位置をとる。これを達成するためには、復帰バネまたは何か他のタイプの復帰機構が備えられると、傾斜及びローリングがおこり得る船舶にロックボックスが用いられる場合には特に、便宜がよい。別の用途では、結合素子の静止位置への復帰を可能にするために重力を用いることができる。
【0021】
結合素子には、筐体の軸旋回点によって結合態様で支持された、関節式アームを有する軸旋回可能な関節式素子が備えられることが好ましい。関節式素子は、関節式アームが関節式素子の突起上に載り、よって関節素子とともにモーターによって動かされ得るように構成することができる。しかし、共通の軸旋回点によって関節式アームは独立に運動することができ、これは関節式アームが嵌合した後に軸旋回ヘッドが2つの半従動子のリセス内部に配置されて、半従動子の方向転換運動がおこるときに軸旋回ヘッドの連行を可能にする場合に必要である。
【0022】
結合素子の2つの半従動子との嵌合作用を向上させるため、関節式アームの自由端にある軸旋回ヘッドは2つの半従動子の方向にオフセットされていると便宜がよい。原理的に、軸旋回ヘッドは2つの半従動子に設けられたリセスと同時に嵌合するに十分に長いピンである。このピンは、半従動子のリセス内でのピンの運動開始を可能にし、したがって半従動子を把手を用いて作動させたときの関節式アームの移動を容易にする、丸ピンであることが好ましい。
【0023】
自由端、すなわち軸旋回点とは逆の側の端において、誘導素子内で移動する誘導ピンが関節式素子に備えられることが好ましい。そのような誘導素子は、例えば軸旋回点を囲む円弧の一部を描くゲートまたはスロット付穴とすることができる。軸旋回点までの距離は誘導ピンと軸旋回点との間隔に対応する。
【0024】
結合素子を作動させる目的のため、始動されたときに関節式素子に作用し、関節式素子を静止位置から稼働位置に移動させるスピンドルがモーターに備えられると便宜がよい。これを達成するため、スピンドルは、関節式素子の下側に作用する大きな接触面をなすに役立つ拡大ヘッドを有することができる。関節式素子の下側は関節式アームとは逆の側の面である。
【0025】
半従動子には従来の復帰素子、例えばバネ素子が備えられる。第1の半従動子のための復帰素子はロック解除リンク仕掛に取り付けられたコイルバネの形態のバネ素子であると便宜がよい。第2の半従動子のための復帰素子としてコイルバネが推奨され、バネはバネケーシング内に配置されて、ロックボックスの筐体に支持される。第2の半従動子にはこの第2の復帰素子に適するコンタクト素子が備えられる。
【0026】
または、本発明にしたがうロックボックスには、本質的に既知であり、アクセス認証のそれぞれの読取及び/または認識のために用いられる、従来の電子コンポーネント及び機械コンポーネントが備えられる。
【0027】
本発明は好ましい実施形態を示す添付図面を用いてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】内側から見た、ロック解除状態の本発明のロックボックスを示す。
図2】(a)は静止位置にある結合素子を示し、(b)は稼働位置にある結合素子を示す。
図3】ロック解除中で結合素子が嵌合している、図1と同様の、本発明にしたがうロックボックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、内側(ドア側)から見た、本発明のロックボックスの上面図である。一般に二部構造(筐体及びカバー)を有し、ロックが配置される高さでドア扉にネジ留めされた、筐体1の内部に、中央に把手3のためのスピンドルが配された第1のまたは内側の半従動子2がある。クロスバーの形態の関節式素子4が半従動子2のディスク形表面に沿って延び、把手3にしたがってスピンドルを作動させると、ロック解除リンク仕掛を押し下げるようにはたらく。
【0030】
第1の半従動子2は第2のまたは表側の半従動子5の大部分を隠し、第2の半従動子は、ロックをそれによって作動させることができる、同じ軸旋回点に支持されたスピンドルまたは把手6に取り付けられる。
【0031】
関節式素子14及び関節式アーム11を備える結合素子6(図2を見よ)が2つの半従動子2,5の下方に配され、半従動子のリセス12,13に嵌合する。結合素子6は、それを中心にして素子が回転可能である軸旋回点15を介して筐体1に支持される。誘導素子18が、誘導ピン17とともに軸旋回点15を中心とする結合素子の回転を可能にし、したがって、結合素子6の下側に配されたモーター7の動作状態に依存して、半従動子2,5と結合するかまたは半従動子2,5から切り離される。
【0032】
モーター7には、定められた長さだけモーターから延び出すかまたはモーターに引き込まれ得る、スピンドル19が備えられる。スピンドル19は、関節式素子14の下側に作用し、よって関節式素子を変位させ、関節式素子はスロット付き穴18内を半従動子2,5に向けて誘導される。
【0033】
さらに、本発明のロックボックスには、モーター7の近くに配置されると便宜がよい、回路基板8も備えられ、回路基板は、読取/受信ユニットからの信号を処理し、次いでモーターを適切に制御するに適するように構成される。さらに、モーター及び回路基板の制御並びにモーター及び回路基板への電力供給のためのフィーダ配線が、ロックボックスが主線に接続されていない場合の、電力供給のための電池とともに備えられる。
【0034】
ロック解除リンク仕掛20は、本質的に既知の態様で、ドア扉に配置された1つまたはいくつかのラッチに作用し、ラッチはドア扉をドア枠にロックするためにはたらく。ロック解除リンク仕掛20に配された復帰バネ9が、ロック作動後に、内側半従動子2を静止位置に復帰させる。バネケーシング21に適切に支持されたバネ10により、ロック作動後またはドア把手が自由回転モードで作動された後の、表側半従動子5の静止位置への復帰が可能になる。
【0035】
図2は、静止位置(a)にあるかまたは稼働位置(b)にある、図1による結合素子を示す。図2(a)は静止位置(a)にある結合素子を示す。結合素子6は、関節式パーツ14及び関節式アーム11の、2つのパーツからなる。いずれのパーツも、軸旋回点15によって支持され、軸旋回点15によって筐体1に確実に保持される。自由端において関節式パーツ14には、軸旋回点15を囲む円弧の一部に沿って延びるスロット付穴18内を進み、誘導される、誘導ピン17も備えられる。
【0036】
関節式アーム11には半従動子の方向にオフセットされた軸旋回ヘッドが自由端に備えられる。アーム11は、関節式パーツ14の突起に載り、軸旋回点15の周りを関節式パーツ14に対して移動できるように構成される。結合素子6の上方に配された半従動子2,5はリセス12,13の形態で示される。示される図において半従動子205は結合されていない状態にある。
【0037】
図2(b)は上方に移動された結合素子6と嵌合または結合した状態にある半従動子を示し、結合素子は関節式アーム11及び軸旋回ヘッド16によって半従動子2,5のリセス12,13に嵌合している。図2おいて、関節式パーツ14の下に、結合素子6に作用するスピンドル19によってモーター7から送り出されたスピンドルヘッド22を見ることができる。
【0038】
図3は、作動状態にある、すなわち、バネ19が半従動子2,5に向けて動かされ、スピンドルが関節式素子6を稼働位置(b)につけ、関節式アーム11が半従動子2,5のリセス12,13に嵌合し、半従動子2,5の復帰運動により関節式アーム11が変位している、図1によるロックボックスを示す。ロックは解除され、半従動子2,5が静止位置に復帰した後、関節式アーム11が解放され、図示されていない復帰バネによって、関節式パーツ14とともに静止位置(a)に再びつけられる。
【0039】
リセス12,13及び軸旋回ヘッド16が、半従動子2,5の復帰運動を妨害しないような大きさにつくられ、そのように互いに整合されなければならないことは当然である。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 第1/内側半従動子
3 把手
4 作動素子
5 第2/表側半従動子
6 結合素子
7 モーター
8 回路基板
9 復帰バネ
10 バネ
11 関節式アーム
12,13 リセス
14 関節式素子
15 軸旋回点
17 誘導ピン
18 スロット付穴
19 スピンドル
20 ロック解除リンク仕掛仕掛
21 バネケーシング
22 スピンドルヘッド
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3