(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785104
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
B62D 21/18 20060101AFI20150907BHJP
B62D 25/16 20060101ALI20150907BHJP
B60R 13/10 20060101ALI20150907BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
B62D21/18 B
B62D25/16 D
B60R13/10
B62D49/00 B
B62D49/00 N
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-9266(P2012-9266)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-147151(P2013-147151A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】西野 顕史
(72)【発明者】
【氏名】増田 亮
(72)【発明者】
【氏名】正円 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】福西 悦治
(72)【発明者】
【氏名】西野 邦彦
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−070264(JP,A)
【文献】
特開平09−123878(JP,A)
【文献】
特開2004−275049(JP,A)
【文献】
実開昭61−128139(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60R 13/10
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前輪と後輪とによって支持されたミッションケースを含む、機体の前部から後部に亘って延びる機体フレームと、リフトアームを駆動するリフトシリンダを内装すると共に前記機体フレームの後部分の上部に連結されたシリンダケースと、前記シリンダケースの上方に距離を空けた状態で設けられた運転座席と、前記運転座席の前下方において機体フレームに支持されたステップユニットと、左右の一対の後輪フェンダと、前記左右の後輪フェンダの内側壁部に亘って連結するクロスフレームとを備え、
前記ステップユニットの上方と前記運転座席の下方とに亘って延びる空間が形成され、
前記クロスフレームが板状の連結板を含み、
前記連結板は、前記運転座席と前記シリンダケースとの間において、前記連結板の板厚方向が機体の前後方向となるように上下方向に沿った姿勢で、左側の前記内側壁部から右側の前記内側壁部まで延設されて、前記ステップユニットの上方と前記運転座席の下方とに亘って延びる前記空間と前記シリンダケースの後方の空間とを前後に仕切る縦隔壁として機能し、
前記連結板の後方を向いた面に、車両ナンバープレートを表示するための表示部が形成されているトラクタ。
【請求項2】
前記連結板の両端領域には前記前後方向に折り曲げられた連結面部が形成され、前記連結面部が前記内側壁部に前記連結板の上下方向の全幅で連結される請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
前記リフトアームは、前記シリンダケースのうち前記連結板よりも後側に位置する箇所に枢支されている請求項1または2に記載のトラクタ。
【請求項4】
前記運転座席のための受け台を支持する座席ブラケットが前記連結板に固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載のトラクタ。
【請求項5】
前記連結板の左右方向の全幅にわたって延びる水平板が前記連結板に連結されている請求項1から4のいずれか一項に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の前輪と後輪とによって支持されたミッションケースを含む機体フレームと、前記機体フレームに支持された運転座席と、左右の一対の後輪フェンダと、左右の後輪フェンダの内側壁部を連結するクロスフレームとを備えた
トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のよう
なトラクタなどは、公道を走行することがあるので、車両の後方から確認可能なような形態でナンバープレートやそれに類似する識別体を車両後部に備える必要性がある。このため、そのような識別体を取り付けるためにはステーや支持体を車体フレームに設けられる。例えば、特許文献1によるトラクタでは、運転席の後方を覆うキャビン後方カバー側に、ブラケット及びナンバー取付プレートを介してナンバープレートが取り付けられているが、その際、ブラケットは下方が開放したコ字状断面を有しており、ナットを介してキャビン後方カバーにボルト等を用いて取り付けられている。さらに、ブラケットの他方の端部側には側面視でL字形をなす取付部がブラケット内部側に固定されており、該取付部材にはナットが設けられている。一方ナンバー取付プレートの正面には固定部材支持板が固定されており、この固定部材支持板を介してナンバー取付プレートはブラケットに連結支持される。このように、ナンバープレートを取り付けるためのナンバー取付プレート自体の機体との連結のために多くの部材が用いられている。また、ナンバー取付プレート自体が固定部材支持板で固定された薄い板材であるので、その支持剛性が小さいという不都合がある。
【0003】
また、左右フレームの間に渡されたクロスビームを用いたナンバープレート取付構造として、特許文献2に記載されたものでは、後側のキャビンフレームの下部を支えるフレームの下端がリアアクスルケースに固設され、該左右のフレーム間に支持杆(クロスビーム)が横設され、該支持杆と後壁上部との間に、ナンバープレート取付部材が一側(本実施例では左側)に寄せて固定されており、このナンバープレート取付部材の後面にはナンバープレートが取り付けられる。さらに、このナンバープレート取付部材は板材を凹状に折り曲げて、上端と下端を固定して、後壁とナンバープレート取付部材の間に空間を形成し、この空間内にウォッシャータンクが収納されている。この構成では、ナンバープレートを取り付けるために、左右のフレーム間を接続する支持杆、この支持杆とキャビン後壁との間を接続するナンバープレート取付部材が必要となり、トラクタにキャビンが塔載されない場合、キャビン後壁に代わるべき支持部材が付加的に要求される。また、このナンバープレート取付部材を凹状に折り曲げ易いように薄い板材を使用しているため、その剛性が十分でないという問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09‐000007号公報(段落番号〔0017−0022〕、
図8、
図9)
【特許文献2】特開平09‐123878号公報(段落番号〔0004−0012〕、
図2、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、
トラクタにおける、後輪フェンダの支持構造及びナンバープレート取付構造における剛性の向上とそれらの構造の簡素化である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明による
トラクタでは、左右一対の前輪と後輪とによって支持されたミッションケースを含む
、機体の前部から後部に亘って延びる機体フレームと、
リフトアームを駆動するリフトシリンダを内装すると共に前記機体フレームの後部分の上部に連結されたシリンダケースと、前記シリンダケースの上方に距離を空けた状態で設けられた運転座席と、
前記運転座席の前下方において機体フレームに支持されたステップユニットと、左右の一対の後輪フェンダと、前記左右の後輪フェンダの内側壁部に亘って連結するクロスフレームとを備え、
前記ステップユニットの上方と前記運転座席の下方とに亘って延びる空間が形成され、前記クロスフレームが
板状の連結板を含み、
前記連結板は、前記運転座席と前記シリンダケースとの間において、前記連結板の板厚方向が機体の前後方向となる
ように上下方向に沿った姿勢で
、左側の前記内側壁部から右側の前記内側壁部まで延設され
て、前記ステップユニットの上方と前記運転座席の下方とに亘って延びる前記空間と前記シリンダケースの後方の空間とを前後に仕切る縦隔壁として機能し、前記連結板の後方を向いた面に
、車両ナンバープレートを表示するための表示部が形成され
ている。
【0007】
この構成によれば、車両ナンバープレートを表示するための表示部が形成される、広い上下幅を有する連結板を主要構成要素とするクロスフレームによって左右の後輪フェンダを連結することで、後輪フェンダの支持構造の剛性アップが実現する。さらに、例えば実際に表示部にナンバープレートを表示させてこの連結板をナンバープレート取付板とするとナンバープレート取付構造の剛性アップも実現される。しかも、クロスフレームは主要構成要素が幅広の板材であるということはクロスフレーム構造の簡素化に貢献する。また、この広い上下幅を有する縦姿勢の連結板は、後輪の後方から舞い上げられる泥などの異物の機体内部への侵入を防止するとともに、外から内部への視線を妨げることから外観向上にも役立つ。
【0008】
クロスフレームと左右の後輪フェンダとの連結構造を簡単化するため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記連結板の両端領域には前記前後方向に折り曲げられた連結面部が形成され、前記連結面部が前記内側壁部に前記連結板の上下方向の全幅で連結される。
また、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記リフトアームは、前記シリンダケースのうち前記連結板よりも後側に位置する箇所に枢支されている。
【0009】
この簡単な板形状である縦姿勢の連結板は、従来技術にはなかった、広い上下幅を有することになるので、種々の機器のための取付板として機能することができる。例えば、前記連結板の左右方向一方側にトレーラ用ソケットが設けられているとともに、前記連結板の左右方向中央部に前記表示部が配置されると、ナンバープレートやトレーラ用ソケットを、
トラクタの後方に位置する後方を向いた面に、使い勝手良く配置することが可能となる。また、工具箱などをこの連結板に取り付けることで、
トラクタの後方から取り出しやすい工具箱を提供することができる。
【0010】
さらに、この連結板が運転座席の高さレベルまで立ち上がっていることから、本発明の好適な実施形態として、前記連結板に前記運転座席のための受け台を支持する座席ブラケットを固定することで、この連結板を運転座席の支持体として機能させることができる。
【0011】
この上下幅の大きな連結板の剛性を簡単な構成で高めるためには、前記連結板に前記連結板の左右方向の全幅にわたって延びる水平板を連結させるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による
トラクタに装備されたクロスフレームの基本構成を図解する上方斜めからの斜視図である。
【
図2】本発明によるクロスフレームを装備し
たトラクタの側面図である。
【
図3】トラクタにおける運転操作領域の平面図である。
【
図6】運転座席を省いたトラクタ後半領域の平面図である。
【
図9】ステアリングポスト構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による
トラクタの具体的な実施の形態を説明する前に、
図1の模式図を用いて、特
にナンバープレート100が取り付けられるクロスフレーム6の基本構造を説明する。
例示されている
トラクタは、ミッションケース12を含む機体フレーム1に支持された運転座席30、左右の一対の後輪22を上方からカバーする左右一対の後輪フェンダ24と、この左右の後輪フェンダ24の内側壁部24aを連結するクロスフレーム6とを備えている。クロスフレーム6の主要構成要素は、実質的に板材から製作され、
トラクタの前後方向(
トラクタの走行方向)にその板厚方向を合わせて配置された連結板60である。この連結板60は、その両端部から
トラクタの前後方向に折り曲げられた連結面部61を有しており、この連結面部61を後輪フェンダ24の内側壁部24aに面合わせしてボルトなどの連結手段を用いて連結される。連結面部61は、連結板60と同じ上下幅を有するので、内側壁部24aに連結板60の上下方向の全幅で連結されることになる。この連結板60は縦姿勢で左右の後輪フェンダ24の内側壁部24aの間を延びており、その中央部にナンバープレート100が表示される表示部60aが形成されている。従って、連結板60の上下幅はナンバープレート100の上下幅(縦幅)と同じか、より広くなっている。連結板60はその上下幅が広く、運転座席30と機体フレーム1との間に形成される前後方向に延びた前後空間を前側と後側とに区分けして遮蔽する遮蔽縦壁として機能することができる。
【0014】
図1で例示された
トラクタでは、連結板60の左右方向中央に表示部60aが配置されていることから、表示部60aの両側領域に余白面が残るので、この余白面の一方、つまり連結板60の左右方向一方側にトレーラ用ソケット7が設けられている。
【0015】
クロスフレーム6の上端は運転座席30の後部下方に位置しているので、連結板60の前向き面の上端領域に、運転座席のための受け台31を支持する座席ブラケット32を固定すると好都合である。この座席ブラケット32にばねやダンパなどによる弾性機構を有する運転座席のための受け台31を取り付け、この運転座席のための受け台31に運転座席30の後部を支持させることができる。
【0016】
クロスフレーム6は、左右の後輪フェンダ24の内側壁部24aの間を渡るように縦姿勢で配置され、連結面部61を用いて左右の内側壁部24aと連結される連結板60だけで構成可能であるが、さらなる剛性のアップやその他の部材の取付場所の提供のため、連結板60の左右方向の全幅にわたって延びる水平板62を連結板60に連結させてもよい。水平板62と連結板60との連結位置は、
図1に示すように、連結板60の下端でもよ
いが、連結板60の上端あるいは下端と上端との中間領域であってもよい。
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る
トラクタは、
図2及び
図3で示すような、左右一対の前輪21と後輪22とによって支持された機体フレーム1と、この機体フレーム1に設けられた運転部23とを備えたトラクタである。機体フレーム1は、エンジン10、このエンジン10の後部に連結されているクラッチハウジング11、ミッションケース12、デフケース12aを含む一体構造体である。機体フレーム1には、エンジン10と連結されている前側フレーム1a、クラッチハウジング11とミッションケース12とを接続する主フレーム1bが含まれている。この主フレーム1bは左右の側壁とこの側壁を接続する天壁とからなるチャンネル状構造体である。各後輪22は後輪フェンダ24によりその上方が覆われている。左右の後輪フェンダ24の内側壁部24a同士は、デフケース12aの上方を機体横断方向に延びたクロスフレーム6によって連結されている。
【0018】
デフケース12aの上部にリフトシリンダを内装したシリンダケース80が連結される
とともに、リフトシリンダで駆動されるリフトアーム81が装備されており、デフケース12aの後部に装備されたトップアーム9を含む3点リンク式のリンク機構8がリフトアーム81によって揺動駆動される。前記デフケース12aの下方で機体横断方向中央には、トレーラや各種牽引型の作業装置を連結する牽引ヒッチが装備されている。この牽引ヒッチを構成するヒッチ本体の左右にブラケットが連設されている。このブラケットはリンク機構8を構成するロアーリンク83の基端を枢支連結するロアーリンク枢支軸を支持している。
【0019】
主フレーム1bとミッションケース12との上方空間には運転部23が形成されている。運転部23には、ステアリングポスト42とステアリングホイール40を含むステアリングユニット4、及び運転座席30が配置されている。
【0020】
ステップユニット5は、
図3と
図4とから明らかなように、主フレーム1b(機体フレーム1)の左右の側壁から、水平に延びるようにこの側壁にボルト連結されている。左右一対のステップユニット5は、実質的に鏡対称な形状であり、平面視でほぼ四角形であるが後輪フェンダ24との面当たりの箇所で後輪フェンダ24の形状に沿って湾曲状にカットされた形状となっている。
【0021】
ステアリングユニット4は、
図4と
図5に示すように、ステアリングホイール40によって左右の前輪21を操向操作する際に、ステアリングポスト内に収納されたステアリング軸(図示しない)を通じてパワーステアリングユニット43に伝達された操舵変位を、さらにピットマンアーム44とドラッグリンク45とを介して左右の前輪21に伝達する。
【0022】
パワーステアリングユニット43は、機体フレーム1である主フレーム1bの両側壁に連結された取り付けステー(固定ブラケット)13によって主フレーム1bの上方位置に支持されている。パワーステアリングユニット43は、機体横断方向に延びており、その外側端部に突き出した出力軸にピットマンアーム44の一端が前後揺動可能に連結されており、ピットマンアーム44の他端には、ドラッグリンク45が連結している。
【0023】
取り付けステー13には、さらに門型のセンターピラー14が取り付けられている。
図6から理解できるように、センターピラー14の下方で主フレーム1bの一方側には、ピットマンアーム44が配置されおり、他方側には、アクセルレバー38のリンク式操作変位伝達機構39が配置されている。さらに、センターピラー14は、運転部23の操作パネルの支持体としても機能するものであり、
図5から理解できるように、操作パネルのカバー16及び仕切り板15が固定されている。
【0024】
センターピラー14の左右の側部の、下側寄りの部分には、左右のウインカー91が左右のウインカー用ステー17を介して支持されている。ウインカー用ステー17は、板材からなり、センターピラー14の左右の側部に、機体横外側向きに延出するように固定されており、左右のウインカー91がウインカー用ステー17の前面の先端部に取り付けられている。なお、このウインカー用ステー17の上部は後方に折り曲げられたフットレスト部17aが形成されており、運転者は、運転座席30に座った状態でステップユニット5から足を機体前方に伸ばすことで、フットレスト部17aに足を載せることができる。
【0025】
一方のウインカー用ステー17のフットレスト部17aには、機体上方向きに延出する支持棒18が溶接固定されており、その先端部にバックミラー92が取り付けられている。
【0026】
図6、
図7、
図8に、左右の後輪フェンダ24の内側壁部24aを連結するクロスフレーム6が示されている。
ここでの、クロスフレーム6は、左右の後輪フェンダ24の内側壁部24a間の長さとほぼ同じ左右方向長さ(横長さ)と、シリンダケース80と運転座席30との間の長さとほぼ同じ上下方向長さ(縦長さ)を有する長方形の板材である連結板60と、この連結板60の左右両端から90°折り曲げ加工により機体前方に延びている連結面部61と、この連結板60と連結面部61ととからなるチャンネル形材の下端に連結した水平板62とからなる。
【0027】
図6から明らかなように、連結板60の後面の中央に形成された表示部60aにナンバープレート100が装着されている。また、
トラクタの後方からみて、表示部60aの左側にトレーラ用ソケット7が装着されている。さらに、
図8から明らかなように、連結板60の前面で、機体前後中心から等しく割り振りされた位置に座席ブラケット32が連結、ここでは溶接接合されている。この座席ブラケット32はアングル形材であり、その水平面に運転座席のための受け台31が取り付けられている。この運転座席のための受け台31には圧縮ばねが備えられており、運転座席30を弾性的に支持する。
【0028】
つまり、この実施形態では、クロスフレーム6は、後輪フェンダ24の固定ステー、ナンバープレート100の取付ステー、トレーラ用ソケット7の取付ステーとして機能する。もちろん、その他の機器、例えば、道具箱などをこのクロスフレーム6に装備することも可能である。
【0029】
図4で示されたステアリングポスト42は、模式的に単なる筒体として示されているだけであるが、
図9に好適なステアリングポスト42の具体的な構造が示されている。ステアリングポスト42は、筒体であり、その内部空間を、その先端をステアリングホイール40と連結しているステアリング軸41が通っている。ステアリングポスト42はパワーステアリングユニット43のハウジングに固定されている。ステアリング軸41はステアリングポスト42の上部側で軸受により枢支され、ステアリング軸41の下端はスプライン式の連結具41aによりパワーステアリングユニット43の入力軸と連結されている。連結具41aのステアリング軸41側の部分はステアリング軸41の径より大径のスリーブ体となっており、ステアリング軸41の下端と連結している。スリーブ体の内周面に形成されたスプライン溝にパワーステアリングユニット43の入力軸に形成されたスプラインが係入している。ステアリングポスト42に周方向のくぼみ42aが設けられており、このくぼみ42aにスリーブ体が接当することで、ステアリング軸41の上方への抜けが防止される。
【0030】
〔別実施形態〕
〔1〕
上述した実施形態では、クロスフレーム6は後輪フェンダ24の内側壁部24aに直接連結していたが、他の構成部材を介して、クロスフレーム6を間接的に内側壁部24aに連結してもよい。
〔2〕
上述した実施形態では、連結面部61は、連結板60から折り曲げ加工で作り出されていたが、ブラケットなどの別体品で構成してよく、その場合、連結板60と連結面部61とは溶接やボルトを用いて連結する。
〔3〕
上述した実施形態では、連結板60に形成された表示部60aにナンバープレート100を装着する構成を採用していたが、ナンバープレート100で表示される記号や数字等の識別記号を、表示部60aに直接書き込むような態様を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、左右一対の前輪と後輪とによって支持されたミッションケースを含む機体フレームと、左右の一対の後輪フェンダとを備えた
トラクタに適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:機体フレーム
1a:前側フレーム
10:エンジン
11:クラッチハウジング
12:ミッションケース
12a:デフケース
21:前輪
22:後輪
24:後輪フェンダ
24a:内側壁部
3:運転部
30:運転座席
31:運転座席のための受け台
32:座席ブラケット
4:ステアリングユニット
40:ステアリングホイール
41:ステアリング軸
41a:連結具
43:パワーステアリングユニット
5:ステップユニット
50:ステップ本体
51:上面部材
6:クロスフレーム
60:連結板
60a:表示部
61:連結面部
62:水平板
7:トレーラ用ソケット
80:シリンダケース
81:リフトアーム