特許第5785132号(P5785132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785132
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】歩行型管理機用の取付装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/06 20060101AFI20150907BHJP
   E01H 1/12 20060101ALI20150907BHJP
   A01B 59/048 20060101ALI20150907BHJP
   A01B 35/04 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   E01H5/06 Z
   E01H1/12
   A01B59/048
   A01B35/04 E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-113740(P2012-113740)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-241728(P2013-241728A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝司
(72)【発明者】
【氏名】杉原 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松本 利幸
(72)【発明者】
【氏名】西川 宏
【審査官】 石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−299156(JP,A)
【文献】 特開2004−041030(JP,A)
【文献】 実公昭46−001326(JP,Y1)
【文献】 特開昭60−188540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/02−5/08
A01B 27/00
A01B 31/00
A01B 35/00−49/06
A01B 59/048
E01H 1/12
A01D 76/00−90/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄部の一端部に物を掬う掬い部を備える掬い具を機体後側上方に操縦ハンドルを備える歩行型管理機に取り付ける歩行型管理機用の取付装置において、
前記歩行型管理機の前部の固定部に取付固定する取付機構と、前記掬い具の前記柄部を支持する支持機構とを備え、
前記取付機構を前記固定部に取付固定してあり、且つ、前記支持機構で前記柄部を支持してある状態において、前記掬い部が機体前側に位置すると共に、前記柄部の他端部が機体上側又は機体後側上方に位置するように構成されている歩行型管理機用の取付装置。
【請求項2】
前記取付機構を前記固定部に取付固定してあり、且つ、前記支持機構で前記柄部を支持してある状態において、前記柄部の上下角度を変更自在な角度変更機構が備えられている請求項1に記載の歩行型管理機用の取付装置。
【請求項3】
前記支持機構は、前記柄部を挟持する一対の支持用挟持体と、前記一対の支持用挟持体を締め付けるボルト部材とで構成されている請求項1又は2に記載の歩行型管理機用の取付装置。
【請求項4】
前記取付機構は、前記固定部を挟持する一対の取付用挟持体と、前記一対の取付用挟持体を締め付けるボルト部材とで構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の歩行型管理機用の取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の柄部の一端部に物を掬う掬い部を備える掬い具を歩行型管理機に取り付ける歩行型管理機用の取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に市販されているスコップやシャベル等のような掬い具を用いて、除雪や排土等を手作業で行なう場合がある。
しかし、上記手作業は作業者にとって重労働であるため、除雪や排土等の労力を軽減したいという要請がある。
【0003】
上記要請に対して発明されたものの例として、特許文献1に記載の歩行型管理機がある。
特許文献1の歩行型管理機は、管理機本体の前方側に略機体上下向きの排土体本体を取り付けることで、管理機本体を自走させながら雪や土等を押し出すことができるようにし、それによって雪や土等の押し出し作業の労力を低減できるようにしたものである。この歩行型管理機によると、農閑期である冬期においても歩行型管理機で作業を行なうことができるので、歩行型管理機の稼動率及び作業範囲を拡大することができるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−41030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の歩行型管理機では雪や土等の押し出し作業の労力を低減できるが、除雪や排土等における他の作業の労力も低減できるようにしたいという要請がある。
本発明の目的は、除雪や排土等における押し出し作業の他の作業の労力も低減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、
棒状の柄部の一端部に物を掬う掬い部を備える掬い具を機体後側上方に操縦ハンドルを備える歩行型管理機に取り付ける歩行型管理機用の取付装置において、
前記歩行型管理機の前部の固定部に取付固定する取付機構と、前記掬い具の前記柄部を支持する支持機構とを備え、
前記取付機構を前記固定部に取付固定してあり、且つ、前記支持機構で前記柄部を支持してある状態において、前記掬い部が機体前側に位置すると共に、前記柄部の他端部が機体上側又は機体後側上方に位置するように構成されている。
【0007】
(作用及び発明の効果)
本発明の歩行型管理機用の取付装置(以下、単に取付装置と称する)によると、取付機構を歩行型管理機の固定部に取付固定し、且つ、支持機構で掬い具の柄部を支持することによって、掬い具を歩行型管理機に取り付けることができる。そして、上記のようにして掬い具を歩行型管理機に取り付けてある状態において、掬い具の掬い部が機体前側に位置すると共に、柄部の他端部が機体上側又は機体後側上方に位置する。
これによると、歩行型管理機、取付装置、及び、掬い具の全ての部分のうち、掬い具の掬い部が最も前側に位置する。また、機体後側上方に備えられている操縦ハンドルの近傍に柄部の他端部が位置するので、操縦ハンドルの後方に立つ作業者は、操縦ハンドル及び柄部の他端部の握り換えを容易に行なうことができるようになっている。
【0008】
上記の結果、操縦ハンドルを操作しながら歩行型管理機を自走前進させることによって、進行方向に位置する雪や土等に掬い部を楽に差し込むことができる。そして、その状態で操縦ハンドル又は柄部の他端部を下方操作すると、歩行型管理機の接地点をてこの原理の支点としながら掬い部を上方揺動させることができるので、掬い部で雪や土等を楽に掬い上げることができる。さらに、その状態で歩行型管理機を自走させることによって、掬い部で掬い上げた雪や土等を楽に運ぶことができる。
【0009】
従って、本発明の取付装置によって、除雪や排土等における掬い作業の労力を低減できる。そして、従来の歩行型管理機と同様に、農閑期である冬期においても歩行型管理機を用いて除雪作業を行なうことができるので、歩行型管理機の稼動率及び作業範囲を拡大することができる。また、上記のように柄部の他端部を下方操作して雪や土等を掬い上げる場合は、操縦ハンドルを下方操作して掬い上げる場合に比して、取付装置を介して歩行型管理機の固定部にかかる負荷を小さくすることができる。即ち、掬い部で掬い上げる雪や土等が重い場合には、柄部の他端部を操作して掬い上げを行なうようにすることで、歩行型管理機の固定部が本発明の取付装置によって破損する虞を抑制することができる。
【0010】
なお、本発明の取付装置で歩行型管理機に取り付ける掬い具は、一般的に市販されている除雪用又は排土用のシャベル(スコップ)等でよいので、既に前記シャベル(スコップ)等を所有している場合、そのままそれらを使用できるという利点もある。
【0011】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、
前記取付機構を前記固定部に取付固定してあり、且つ、前記支持機構で前記柄部を支持してある状態において、前記柄部の上下角度を変更自在な角度変更機構が備えられている。
【0012】
(作用及び発明の効果)
歩行型管理機を自走前進させながら雪や土等に掬い部を差し込む場合での、好適な柄部の上下角度は、掬い部の形状の違いや柄部に対する掬い部の上下角度の違いによって異なる。
一方、本発明の取付装置は、角度変更機構によって柄部の上下角度を変更することができるので、掬い部の形状や柄部に対する掬い部の上下角度が異なる種々の掬い具に対応することができる。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、
前記支持機構は、前記柄部を挟持する一対の支持用挟持体と、前記一対の支持用挟持体を締め付けるボルト部材とで構成されている。
【0014】
(作用及び発明の効果)
本発明の取付装置では、前記柄部を挟持してある状態の一対の支持用挟持体をボルト部材で締め付けることができる。従って、支持機構で掬い具の柄部を強固に支持できるので、歩行型管理機に取り付けてある状態の取付装置に掬い具を強固に支持することができる。
【0015】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、
前記取付機構は、前記固定部を挟持する一対の取付用挟持体と、前記一対の取付用挟持体を締め付けるボルト部材とで構成されている。
【0016】
(作用及び発明の効果)
本発明の取付装置では、歩行型管理機の固定部を挟持してある状態の一対の取付用挟持体をボルト部材で締め付けることができる。従って、取付機構を固定部に強固に取付固定できるので、取付装置を歩行型管理機に強固に取付固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】取付装置で歩行型管理機に掬い具を取り付けてある状態を示す左側面図である。
図2】取付装置で歩行型管理機に掬い具を取り付けてある状態を示す平面図である。
図3】取付装置で歩行型管理機に掬い具を取り付けてある状態での、取付装置の周囲を示す左側面図である。
図4】取付装置の背面断面図である。
図5】取付装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(歩行型管理機)
本実施形態での歩行型管理機1は、例として電動モータ6で車輪を駆動する電動式歩行型管理機とする。
【0019】
図1及び図2に示すように、歩行型管理機1は、機体上下方向に沿う姿勢の伝動ケース12を機体の前部に備えてある。そして、機体前後方向の前方から順番に、前記伝動ケース12、中央部フレーム13、ハンドルフレーム14、及び、後部フレーム15が配備されてあると共に、夫々がこの順番で連結されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、電動モータ6が、伝動ケース12の上部に備えられており、前記電動モータ6に電線(図示しない)を介して給電するバッテリ7が、中央部フレーム13の上部に備えられている。そして、左右の駆動軸(図示しない)が、伝動ケース12の下端部から機体幅方向に延出するように備えられており、伝動ケース12の内部に備えられている出力伝動機構(図示しない)を介して、電動モータ6の動力が前記左右の駆動軸に伝達されることによって、前記左右の駆動軸の先端部に備えられている左右の前輪4が機体横向き軸芯周りに回転駆動されるように構成されている。
なお、図1及び図2に示すように、左右一対の前輪4は、その上方を車輪用カバー5によって覆われており、電動モータ6は、その上方をモータカバー17によって覆われている。
【0021】
図1及び図2に示すように、後部フレーム15の後端部に、後アーム10が機体横向き軸芯X周りに前後揺動自在に軸支されており、後アーム10の遊端部に、後輪9が機体横向き軸芯周りに回転自在に軸支されている。
なお、後アーム10の前後揺動姿勢を保持するアーム姿勢保持機構(図示しない)が、後部フレーム15と後アーム10とに亘って備えられている。
【0022】
図1及び図2に示すように、左右一対の操縦ハンドル8が機体後側上方に備えられている。即ち、ハンドルフレーム14は側面視で後上がり姿勢に設定されており、その上端側の左右の側端部に、左右の操縦ハンドル8が機体横向き軸芯Y周りに上下揺動自在に軸支されている。
なお、左右の操縦ハンドル8の上下揺動姿勢を保持するハンドル姿勢保持機構8Aが、ハンドルフレーム14に対する操縦ハンドル8の軸支部分に備えられている。
【0023】
図1図2、及び、図5に示すように、丸パイプ材を平面視C字状に屈曲形成してなるフロントガード11の左右の先端部が、歩行型管理機1の前部に位置する伝動ケース12の上部にボルト固定されている。
また、フロントガード11は、側面視で機体前後方向に沿う前上がり姿勢となるように設定されている。
【0024】
(掬い具)
本実施形態での掬い具2は、例として一般的に市販されている除雪用又は排土用のシャベル(スコップ)とする。
つまり、図1及び図2に示すように、掬い具2は、直線状の棒状の柄部2Aの一端部に物を掬う掬い部2Bを備えると共に、柄部2Aの他端部に把持用の握り部2Cを備えて構成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、掬い部2Bの物を掬う側の面Sと柄部2Aとが略同平面上に位置するように、掬い部2Bの形状が構成されているが、掬い部2Bの形状は上記に限定されるものではない。例えば、掬い部2Bの形状は、物を掬う側の面Sが柄部2Aに対して傾斜するようなものであってもよい。
【0026】
(歩行型管理機用の取付装置)
図1及び図2に示すように、掬い具2を歩行型管理機1に取り付けることのできる歩行型管理機用の取付装置(以下、単に取付装置と称する)は、歩行型管理機1の前部の固定部Fに取付固定及び取り外し自在な取付機構31と、掬い具2の柄部2Aを支持及び支持解除自在な支持機構32と、取付機構31に対して支持機構32を連結支持する連結支持部33(図1に示す)と、を備えて構成されている。即ち、取付機構31を固定部Fに取付固定し、且つ、支持機構32で柄部2Aを支持することによって、取付装置で掬い具2を歩行型管理機1に取り付けることができるようになっている。
なお、本実施形態では、歩行型管理機1の前部の前記固定部Fは、フロントガード11の前部である。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、上記のようにして取付装置で掬い具2を歩行型管理機1に取り付けてある状態、即ち、取付機構31を固定部Fに固定してあり、且つ、支持機構32で柄部2Aを支持してある状態において、支持機構32が、取付機構31の上側に位置する共に、歩行型管理機1の上部の前側又は歩行型管理1の上部の直上の前側に位置するように、取付装置は構成されている。さらに、前記同状態において、柄部2Aを平面視で機体前後方向に沿う姿勢にすると共に側面視で前下がりの姿勢にすることができるように、取付装置は構成されている。
【0028】
つまり、図1及び図2に示すように、取付機構31を固定部Fに固定してあり、且つ、支持機構32で柄部2Aを支持してある状態において、柄部2Aの一端部(即ち、掬い部2B)を機体前側に位置させることができると共に、柄部2Aの他端部(即ち、握り部2C)を機体上側又は機体後側上方に位置させることができるように、取付装置は構成されている。これによると、歩行型管理機1、取付装置、及び、掬い具2の全ての部分のうち、掬い部2Bを最も前側に位置させることができると共に、柄部2Aの他端部(即ち、握り部2C)を操縦ハンドル8の近傍に位置させることができる。
【0029】
上記構成の取付装置の取付機構31、支持機構32、及び、連結支持部33の詳細な説明を、以下に記載する。
なお、以下の各構成の説明は、取付機構31を固定部Fに固定してあり、且つ、支持機構32で柄部2Aを支持してある状態において、上記のように柄部2Aを側面視で前下がりの姿勢にしてあることを前提とする。
【0030】
取付機構31について説明する。
図3乃至図5に示すように、取付機構31は、歩行型管理機1の固定部Fを上方側及び下方側から挟持する一対の取付用挟持体31Aと、一対の取付用挟持体31Aを締め付ける一対の取付用ボルト部材31Bとで構成されている。
【0031】
図4及び図5示すように、一対の取付用挟持体31Aは固定部Fより機体幅方向に幅広に形成されている。そして、上側及び下側の取付用挟持体31Aの両側端部に、一対の取付用孔31C及び一対の取付用めねじ部31Dが対向するように形成されている。
【0032】
上記構成によると、図3乃至図5示すように、固定部Fの両側方において、一対の取付用ボルト部材31Bを一対の取付用孔31Cに挿通させながら、対応する取付用めねじ部31Dに螺合させることによって、固定部Fを挟持した状態の一対の取付用挟持体31Aを締め付けることができる。
これによって取付機構31を固定部Fに強固に取付固定できるので、取付装置を歩行型管理機1に強固に取付固定できる。
【0033】
なお、取付用ボルト部材31Bは緩めることができるので、それによって取付機構31を前記固定部Fから取り外すことができる。従って、取付装置を歩行型管理機1から取り外すこともできる。
【0034】
支持機構32について説明する。
図3乃至図5に示すように、支持機構32は、柄部2Aを上方側及び下方側から挟持する一対の支持用挟持体32Aと、一対の支持用挟持体32Aを締め付ける一対の支持用ボルト部材32Bとで構成されている。
【0035】
図3乃至図5に示すように、上側及び下側の支持用挟持体32Aで柄部2Aを挟持してある状態において、柄部2Aを上方側及び下方側から嵌め入れることができる上側及び下側の湾曲面状の凹条部aが、平面視で機体前後方向に沿うように、且つ、上側及び下側の支持用挟持体32Aの前端部から後端部に亘って対向するように形成されている。
そして、上側及び下側の支持用挟持体32Aのうち、凹条部aを挟むように位置する両側方部bには、一対の支持用孔32C及び一対の支持用めねじ部32Dが対向するように形成されている。
【0036】
上記構成によると、図1乃至図5に示すように、柄部2Aを側面視で前下がりの姿勢にしてある状態において、柄部2Aを上側及び下側の凹条部aに嵌め入れてあることで、柄部2Aを平面視で機体前後方向に沿う姿勢にすることができる。そして、上側及び下側の凹条部aに嵌め入れられている状態の柄部2Aの両側方において、一対の支持用ボルト部材32Bを一対の支持用孔32Cに挿通させながら、対応する支持用めねじ部32Dに螺合させることによって、柄部2Aを挟持してある状態の一対の支持用挟持体32Aを締め付けることができる。
これによって支持機構32で柄部2Aを強固に支持できるので、歩行型管理機1に取付固定してある状態の取付装置に掬い具2を強固に支持できる。
【0037】
なお、本実施形態では一対の支持用ボルト部材32Bは、ノブ付ボルトであるので人力で緩めることができる。従って、支持機構32による掬い具2の支持を解除できる。
また、これによって一対の支持用挟持体32Aが挟持する柄部2Aの位置を変えることができるので、柄部2Aの一端部(即ち、掬い部2B)の位置と、柄部2Aの他端部(即ち、握り部2C)の位置とを、柄部2Aの長手方向に沿って相対的に調整することができる。
【0038】
連結支持部33について説明する。
図3乃至図5に示すように、連結支持部33は、取付機構31の上側の取付用挟持体31Aから上方側に向けて対面するように延設されている左右一対のブラケット部材33Aと、支持機構32の下側の支持用挟持体32Aの凹条部aから下方側に向けて延設されているアーム部材33Bとで構成されている。
そして、左右のブラケット部材33Aの間においてアーム部材33Bが、左右のブラケット部材33Aに亘って固定されている。これによって、取付機構31に対して支持機構32が連結支持部33で連結支持されている。
【0039】
また、図1図3乃至図5に示すように、柄部2Aの上下角度を変更自在な角度変更機構34が、連結支持部33の前記左右一対のブラケット部材33A及び前記アーム部材33Bに備えられている。
具体的には、角度変更機構34は、選択用ボルト部材34A及び軸芯用ボルト部材34Fと、左右一対のブラケット部材33Aに対向するように形成されている前側及び後側の変更用孔34B並びに前側及び後側の変更用めねじ部34Cと、前記後側の変更用孔34B及び前記後側の変更用めねじ部34Cに対向するようにアーム部材33Bに形成されている軸芯用孔34Dと、アーム部材33Bのうち前記軸芯用孔34Dより基端部側において、側面視で軸芯用孔34Dを中心とする円周上に並ぶように形成されている複数の選択用孔34Eとで構成されている。そして、前側及び後側の変更用孔34Bの間隔(即ち、前側及び後側の変更用めねじ部34Cの間隔)と、軸芯用孔34D及び各選択用孔34Eの間隔とは、同間隔に設定されている。
【0040】
上記構成によると、図3乃至図5に示すように、軸芯用ボルト部材34Fを、後側の変更用孔34B及び軸芯用孔34Dに挿通させながら後側の変更用めねじ部34Cに螺合させると共に、選択用ボルト部材34Aを、前側の変更用孔34B及び複数の選択用孔34Eの何れか一つに挿通させながら前側の変更用めねじ部34Cに螺合させることによって、上記のようにアーム部材33Bを左右のブラケット部材33Aに亘って固定することができる。
【0041】
そして、選択用ボルト部材34Aを挿通する選択用孔34Eを選びかえることで、機体横向き軸芯P(軸芯用ボルト部材34F)周りにおけるアーム部材33Bの角度を有段階に変更できる。即ち、前記機体横向き軸芯P周りに支持機構32を揺動させることができるので、支持機構32に支持されている柄部2Aの上下角度を変更でき、それによって、側面視における柄部2Aの姿勢を調整することができる。
【0042】
なお、柄部2Aの上下角度を変更することで調整可能な柄部2Aの側面視での姿勢は、前側及び後側の変更用孔34Bの間隔及び位置関係、前側及び後側の変更用めねじ部34Cの間隔及び位置関係、軸芯用孔34D及び選択用孔34Eの間隔、並びに、軸芯用孔34Dを中心とする前記円周上における選択用孔34Eの位置の設定によって決まる。
本発明の取付装置では、柄部2Aの側面視での姿勢を、少なくとも前下がり姿勢に調整できるように上記設定がなされている。
【0043】
例として本実施形態では、柄部2Aの上下角度を変更することで、柄部2Aの側面視での姿勢を、図1の一点鎖線で示すような機体前後方向寄りの前下がり姿勢F1や、図1の実線で示すような機体上下方向寄りの前下がり姿勢F2に調整できるように、上記設定がなされている。
【0044】
これによると、柄部2Aの側面視での姿勢が、上記で例示した機体前後方向寄りの前下がり姿勢F1となるように柄部2Aの上下角度を変更すると、操縦ハンドル8を操作しながら歩行型管理機1を自走前進させる場合に、雪又は土に掬い部2Bを差し込み易くなるので好適である。その状態で、操縦ハンドル8、又は、操縦ハンドル8の近傍に位置する柄部の他端部(即ち、握り部2C)を下方操作すると、歩行型管理機1の接地点(即ち、前輪4)をてこの原理の支点としながら掬い部2Bを上方揺動させることができるので、掬い部2Bで雪又は土を楽に掬い上げることができる。さらに、その状態で歩行型管理機1を自走させることによって、掬い上げた雪又は土を楽に運ぶことができる。
【0045】
〔別実施形態〕
〔1〕
本実施形態では、取付機構31を取付固定する固定部Fを歩行型管理機1のフロントガード11の前部としてあるが、固定部Fは歩行型管理機1の前部であれば上記に限定されるものではない。例えば、伝動ケース12の上部を固定部Fとしてもよい。
なお、取付装置の構成は、固定部Fの形状や位置などによって、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0046】
〔2〕
本実施形態では、選択用ボルト部材34Aが挿通される選択用孔34Eを選びかえることで、機体横向き軸芯P周りにおけるアーム部材33Bの角度を有段階に変更できるように、角度変更機構34が構成されている。
一方、アーム部材33Bのうち軸芯用孔34Dより基端部側において、側面視で軸芯用孔34Dを中心とする円周上に沿う長孔(図示しない)を、本実施形態の複数の選択用孔34Eの代わりに形成し、前記長孔における他方の選択用ボルト部材34Aを挿通する位置を選びかえることで、機体横向き軸芯P周りにおけるアーム部材33Bの角度を無段階に変更できるように、角度変更機構34が構成されていてもよい。
【0047】
〔3〕
本実施形態では、柄部2Aを側面視で前下がりの姿勢にしてある状態において、柄部2Aを上側及び下側の凹条部aに嵌め入れてあることで、柄部2Aを平面視で機体前後方向に沿う姿勢にすることができるように取付装置が構成されている。
即ち、前記同状態において、柄部2Aを平面視で、図2で示すような機体前後方向と略平行な姿勢、又は、機体前後方向に対して左右方向に傾斜する姿勢(図示しない)にできるように、取付装置が構成されていればよい。
【0048】
〔4〕
本実施形態では、掬い具2の柄部2Aを上方側及び下方側から挟持してある状態の一対の支持用挟持体32Aを一対のボルト部材32Bで締め付けることで、柄部2Aを支持するように支持機構32が構成されているが、一対の支持用挟持体32Aが柄部2Aを挟持する方向は上記に限定されるものではない。
例えば、掬い具2の柄部2Aを左方側及び右方側から挟持してある状態の一対の支持用挟持体32Aを一対の支持用ボルト部材32Bで締め付けることで、柄部2Aを支持するように支持機構32が構成されていてもよい。
このように構成する場合、一対の支持用挟持体32Aに対してアーム部材33Bを設ける位置は適宜変更すればよい。
【0049】
〔5〕
本実施形態では、掬い具2は、例として市販されている除雪用又は排土用のシャベル(スコップ)としてあるが、歩行型管理機専用に製造されたもの等でもよい。
即ち、掬い具2は、直線状の棒状の柄部2Aの一端部に掬い部2Bを備えるものであれば上記に限定されるものではない。
【0050】
〔6〕
本実施形態では、歩行型管理機1は、電動モータ6で車輪を駆動する電動式歩行型管理機としてあるが、エンジンで車輪を駆動するエンジン式歩行型管理機であってもよい。また、歩行型管理機1は、機体後側上方に操縦ハンドル8を備えてあるものであれば、本実施形態の構成に限定されるものではない。
なお、取付装置の構成は、歩行型管理機1の構成によって、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、棒状の柄部の一端部に物を掬う掬い部を備える掬い具を歩行型管理機に取り付ける歩行型管理機用の取付装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 歩行型管理機
2 掬い具
2A 柄部
2B 掬い部
2C 握り部(柄部の他端部)
8 操縦ハンドル
11 フロントガード
F 固定部
31 取付機構
31A 取付用挟持体
31B 取付用ボルト部材(ボルト部材)
32 支持機構
32A 支持用挟持体
32B 支持用ボルト部材(ボルト部材)
34 角度変更機構
図1
図2
図3
図4
図5