【実施例】
【0194】
例1〜5
機械的撹拌機、還流冷却器、熱電対、添加用漏斗及び温度調節循環浴を装着した5Lの5つ口丸底ジャケット付きフラスコに、88%蟻酸溶液(表I参照)を添加した。この溶液を5℃に冷却してから、20分間にわたってAc
2O 318mLを添加した。この溶液に、セルロース125g、次いで酢酸55mL中H
2SO
4 9.35gの溶液を添加した。H
2SO
4の添加後、フラスコの温度を15℃に調整した。不均一混合物を同温度で70分間撹拌してから、分量のAc
2O(表I参照)をゆっくり添加した(添加3.2時間)。Ac
2Oの添加の間に、内部反応温度が37℃に達した。Ac
2Oの添加完了後、反応温度は58℃に上昇した。反応混合物は、セルロースの添加後6.8時間で均一混合物になった。均一溶液を得た後、反応温度を更に4時間58℃に保持した。反応混合物を酢酸500mLで希釈してから、高速で攪拌しながらH
2O 5L中にゆっくり注いだ。これによって、白色微粉が得られ、これを濾過によって単離し、乾燥させた。
【0195】
【表1】
【0196】
図4は、例1〜4の
1H NMRスペクトルを示す。ホルメート又はアセテート置換基を有する炭素のC6プロトンによる共鳴を6F及び6Aと表示してある。このデータは、蟻酸の当量数の増加につれて、ホルメートのDS及びC6ホルメート/アセテートの比が増加することを示している。蟻酸の濃度が一定に保たれ且つAc
2Oの量が減少する場合には(例5)、ホルメートのDS及びC6ホルメート/アセテートの比はほとんど変わらない。このデータは、蟻酸の濃度が、ホルメートのDS及びホルメートに関するC6における選択性を制御する特性の1つであることを示している。
【0197】
例6〜8
機械的撹拌機、還流冷却器及び添加用漏斗を装着した1Lの3つ口丸底フラスコに、88%蟻酸100mL(セルロースに基づき15モル当量)を添加した。この溶液を0℃に冷却してから、10分間にわたってAc
2O 65mLを添加した。周囲温度まで加温した後、この溶液にセルロース25g、次いで酢酸15mL中H
2SO
4 1.88gの溶液を添加した。不均一混合物を30分間撹拌してから、フラスコを30℃の水浴中に入れた。この不均一混合物に172mLのAc
2O(セルロースに基づき9モル当量,添加20分)を添加した。Ac
2Oの添加完了後、反応混合物を10分間攪拌してから、反応温度を50℃に上昇させた。反応混合物は、セルロースの添加後1.7時間で均一溶液になった。反応温度を50℃に保持し、種々の時間間隔でアリコートを除去した。各サンプルを、酢酸6.7mL中Mg(OAc)
2 0.43gで処理してから、サンプルを5重量%酢酸水溶液中に注いだ。これにより、白色固体が得られた。これを濾過によって単離し、充分に洗浄し、乾燥させた。この反応を更に2回繰り返し、反応温度はAc
2O添加後に58℃及び65℃に上昇させた。結果を表II、III及びIVに要約する。
【0198】
【表2】
【0199】
【表3】
【0200】
【表4】
【0201】
これらの例において、セルロースアセテートホルメートは、反応温度を除いては同一の条件下で製造した。セルロースの完全エステル化を示す均一反応混合物が得られたらすぐに、第1のサンプルを除去し、単離した。いずれの場合にも、セルロースアセテートホルメートが得られ(エントリ6−A、7−A、8−A)、重量平均分子量は約300,000〜約100,000の範囲であり、ホルメートDSは約0.9〜約1.05であった。
表2、3及び4中のデータは、トリエステル段階に達した後に反応を種々の温度に保持する場合の分子量、ホルメートDS及びアセテートDSの変化を示す。65℃(表II)においては、ホルメートDSは5.8時間では比較的未変化であったが、反応時間が長くなるにつれて低下し、それに対応してアセテートDSが増加した。これは、この温度においては長い反応時間ではエステル交換が起こり得ることを示している。重量平均分子量は、65℃においては調査した時間枠の間に302,000から6,200まで低下した。58℃においても、観察は極めて類似していた。50℃の反応温度においては、ホルメートDSは、約24時間後までほとんど変化しなかった。重量平均分子量もまた、はるかにゆっくりと低下し、24.8時間の反応時間後に最終的に42,000に達した。
【0202】
例9
機械的撹拌機、還流冷却器、熱電対、添加用漏斗及び温度調節循環浴を装着した5Lの5つ口丸底ジャケット付きフラスコに、88%蟻酸500mL(セルロースに基づき15モル当量)を添加した。この溶液を4℃に冷却してから、20分間にわたってPr
2O 430mLを添加した。この溶液を20℃に加温してから、水活性化セルロース125gを加えた。この不均一混合物に、プロピオン酸80.5mL中H
2SO
4 9.35gの溶液を添加した。H
2SO
4の添加後、フラスコの温度を30℃に調整してから、Pr
2O885mL(セルロースに基づき9モル当量,添加30分)を添加した。Pr
2Oの添加の間に達した最大内部反応温度は37℃であった。セルロースの添加後55分で、反応混合物は均一溶液になった。反応温度を50℃に上昇させ、均一溶液を同温度に更に5時間保持してから、プロピオン酸150mL中Mg(OAc)
2 2.5gを添加した。70〜100μのガラスフリット漏斗を通して濾過後、この透明な溶液を、高速攪拌しながら5重量%の酢酸水溶液5L中にゆっくりと注いだ。これにより、白色固体が得られ、これを濾過によって単離した。乾燥後、白色微粉215.2gが得られた。
【0203】
1H NMR及びGPCによるこの材料の特性決定から、生成物はホルメート及びプロピオネートのDSがそれぞれ1.05及び1.74で且つMwが120,295であるセルロースプロピオネートホルメートであることが明らかになった。炭素13NMRは、ホルメートの大部分がC6に位置することを示した。少量のホルメートがC2に位置したが、C3には検出されなかった。対応して、プロピオネートのほとんどはC2及びC3に結合され、C6には比較的少量のプロピオネートしか位置しなかった。
【0204】
例10
機械的撹拌機、還流冷却器、熱電対、添加用漏斗及び温度調節循環浴を装着した5Lの5つ口丸底ジャケット付きフラスコに、88%蟻酸500mL(セルロースに基づき15モル当量)を添加した。この溶液を4℃に冷却してから、20分間にわたってBu
2O 325mLを添加した。この溶液を20℃に加温してから、水活性化セルロース125gを加えた。この不均一混合物に、酪酸75mL中H
2SO
4 9.4gの溶液を添加した。
H
2SO
4の添加後、フラスコの温度を30℃に調整し、Bu
2O1060mL(セルロースに基づき8.4モル当量,添加25分)を添加した。Bu
2Oの添加の間に達した最大内部反応温度は49℃であった。セルロースの添加後60分で、反応混合物は均一溶液になった。反応温度を58℃に上昇させ、均一溶液を同温度に更に4.3時間保持してから、酪酸150mL中Mg(OAc)
2 2.5gを添加した。70〜100μのガラスフリット漏斗を通して濾過後、この透明な溶液を酢酸1Lで希釈し、高速攪拌しながら5LのH
2O中にゆっくりと注いだ。これにより、白色固体が得られ、これを濾過によって単離した。乾燥後、白色微粉211.6gが得られた。
【0205】
1H NMR及びGPCによるこの材料の特性決定から、生成物はホルメート及びブチレートDSがそれぞれ1.16及び1.75で且つ分子量が49,226であるセルロースブチレートホルメートであることが明らかになった。炭素13NMRは、ホルメートの大部分がC6に位置することを示した。少量のホルメートがC2に位置したが、C3には検出されなかった。対応して、ブチレートのほとんどはC2及びC3に結合され、C6には比較的少量のブチレートしか位置しなかった。
【0206】
例11
機械的撹拌機、還流冷却器、及び添加用漏斗を装着した1Lの3つ口丸底フラスコに、88%蟻酸100mL(セルロースに基づき15モル当量)を添加し、次いでAc
2O 65mLを添加した。この溶液に水活性化セルロース25gを添加し、次いで酪酸15mL中H
2SO
4 1.88gの溶液を添加した。この不均一混合物に334mLのBu
2O(セルロースに基づき13.3モル当量,添加45分)を添加した。Bu
2Oの添加完了後、反応混合物を35分間攪拌してから、反応温度を50℃に上昇させた。反応混合物は、セルロースへのBu
2Oの添加開始後9時間で均一溶液になった。この反応溶液にH
2Oを添加し、濾過し且つ乾燥することによって、セルロースエステルを単離した。
【0207】
プロトンNMRは、生成物がDS
F=0.98、DS
Ac=1.07及びDS
Bu=0.92のセルロースアセテートブチレートホルメートであることを示した。重量平均分子量は46,000であった。
【0208】
例12
セルロースアセテートホルメート(10g,DS
F=0.93,DS
Ac=2.0)を、60℃において酢酸120mL中に溶解させた。この溶液に、H
2O 13.3mLを添加した。サンプルを異なる時間間隔で除去し、サンプルをH
2O中に注ぐことによって単離した。白色固体を濾過によって単離し、洗浄し、乾燥してから、
1H NMRによる分析に供して、ホルメート及びアセテートDSを算出した。得られたデータを、
図3に要約する。
図3は、ホルメートDSの変化を時間の関数として示す。ホルメートの最初の加水分解は速いが、加水分解速度は経時的に減速する。これらの条件下で、ホルメートの完全な加水分解には約24時間を要した。
1H NMR分析もまた、アセテートDSが未変化であることを示した。
【0209】
例13
DS
Ac=1.80及びDS
F=0.68を有するセルロースアセテートホルメートを、例12の一般的手順に従って24時間加水分解させた。このセルロースアセテートの関連する物理的性質を、Eastman Chemical CompanyによってCA320Sとして商業的に製造されたランダム置換セルロースアセテートに比べて表Vに示す。
【0210】
【表5】
【0211】
表5のデータは、セルロースアセテートはいずれも、同じDS
Ac及び同様なMwを有することを示している。しかし、CAFから製造されたCAは、CA320Sのほぼ1/2のRDS
6を有する。CA320Sに関しては、3つのヒドロキシルのRDSが1:1:1に非常に近い。これは、ランダム置換CAには典型的である。CAFから製造されたCAの場合には、RDS
6は、2位及び3位に関して観察される値よりもはるかに小さい。
2種のセルロースアセテートに関する
13C NMRカルボニル共鳴の比較から、CAFから製造されたCAはランダム置換CAよりも2,3−ジアセテートモノマーを多く有することが示される。
【0212】
例14
例6〜8の一般的手順に従って、セルロースアセテートホルメートを製造し、次いで単離を行わずに、例12の一般的手順に従って24時間加水分解させた。Eastman Chemical CompanyからCA355として商業的に製造された非選択的置換セルロースアセテートに比較した、このセルロースアセテートの関連する物理的性質を表VIに示す。
【0213】
【表6】
【0214】
表VI中のデータは、セルロースアセテートはいずれも、ほぼ同じDS及びほぼ同様なMwを有することを示している。しかし、CAFから製造されたCAは、CA355よりも著しく低いRDS
6を有する。CA355に関しては、3つのヒドロキシルにおけるRDSが1:1:1に近い。CAFから製造されたCAに関しては、RDS
6は、2位及び3位に関して観察される値よりもはるかに小さい。これは、本発明の方法によって製造される位置選択的置換セルロースエステルには典型的である。2種のセルロースアセテートに関する
13C NMRカルボニル共鳴の比較から、CAFから製造されたCAはCA355よりも2,3−ジアセテートを多く有することが示される。
【0215】
例15
DS
Pr=1.74及びDS
F=1.05を有するセルロースプロピオネートホルメートを、例12の一般的手順に従って24時間加水分解させた。プロトンNMRは、CPが1.67のDSを有することを示した。このCPのMwは93,420であった。第1走査のDSCスペクトルから取ったTmは229℃であり、第2走査Tgは180℃であった。6位、3位及び2位におけるRDSは、それぞれ0.26、0.69及び0.71であった。これは、CPが高量の2,3−ジプロピオネート置換モノマーを含んでいたことを示している。
【0216】
例16
例6〜8の一般的方法に従って製造したDS
Ac=2.03を有する位置選択的置換セルロースアセテート2g及びプロピオン酸20mLを、100mLの3つ口丸底フラスコに添加した。均一な溶液が得られるまで、このCAを80℃において攪拌した。50℃に冷却後、プロピオン酸無水物2.12gを添加し、次いでプロピオン酸0.5mL中H
2SO
4 0.05gを添加した。反応混合物を50℃において4時間撹拌してから、この溶液を水中に注いだ。生成物を濾過によって単離し、H
2Oで洗浄し、乾燥させた。
【0217】
プロトンNMRは、生成物がDS
Ac=1.93及びDS
Pr=1.08を有することを示した。このCAPのMwは108,827であった。炭素−13 NMRから、プロピオネートのほとんどが6位に位置するのに対し、アセテートの大部分は2位及び3位に位置することが明らかになった。
【0218】
例17
CA(例6〜8及び例12の一般的方法に従って製造)7g(29.8mmol)及び酢酸115mLを、300mLの3つ口丸底フラスコに添加した。均一な溶液が得られるまで、この混合物を50℃において攪拌した。この溶液に、H
2O 20mL、次いでNHAcTEMPO 317.8mg(1.49mmol,0.05eq)及びNaBr 153.3mg(1.49mmol,0.05eq)をそれぞれ添加した。この溶液に、32%過酢酸31.3mL(148.9mmol,2.5eq,7.2分/mL)をポンプ輸送した。約4mLの過酢酸の添加後、溶液の粘度が増加するのが観察された。7mLの過酢酸の添加後、粘度は反応の出発時の値に戻った。過酢酸添加の開始から4時間、5.6時間、7.3時間及び8.6時間において反応からアリコートを除去した。各アリコートを冷EtOH中に注ぎ、得られた固体を濾過によって単離し、冷EtOHで充分に洗浄し、乾燥させた。
【0219】
表VIIは各サンプルの
特性を要約する。
【0220】
【表7】
【0221】
例17−Aは、過酢酸の添加開始後4時間で(過酸添加完了の15分後)採取した第1アリコートである。表からわかるように、例17−Aは酸価が97.5であり、見掛けDSが2.0に増加し、観察されたMwが426,173である。反応進行につれて、酸価及びDSは比較的一定のままであるが、例17−Dに関してはMwが低下し、43,061に達している。比較的一定のDSは、これらの条件下では、アシル置換基の加水分解がほとんど又は全く起こっていないことを示している。
【0222】
この例は、これらの反応条件下ではセルロースエステルの酸化が急速に起こり得るが、アシル置換基の加水分解がほとんど起こらないことを示している。見掛けMwの増加は、アルデヒドの存在によって起こる架橋のためと考えられる。Mwのその後の低下は、著しい鎖の開裂ではなく、アルデヒドの更なる酸化によると考えられる。
【0223】
例18〜19
例17の一般的手順に従って、セルロースアセテート(例6〜8及び12の一般的方法に従って製造)を酸化させた。反応温度及び過酢酸の添加速度のみが異なる2つの実験を行った。反応条件及び生成物の特性決定を表VIII及びIXに要約する。
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
表VIII及びIX中の結果の比較から、2組の反応条件は共にセルロースアセテートの著しい酸化をもたらしたことが示される。40℃においては、セルロースアセテートの酸化は、60℃において得られた値よりもわずかだけ低い酸価を生じた。40℃におけるセルロースアセテートの酸化は、はるかに高い分子量を有する酸化セルロースアセテートを生じた。いずれの場合にも、見掛けDSは2.0超のままであった。これは、セルロースアセテートの加水分解は、あったとしてもほとんど起こらなかったことを示している。
【0227】
例18−A(40℃において7.4時間)及び例19−A(60℃において2.9時間)の
1H NMRスペクトル:例18−Aに関する約9.5ppmにおける共鳴の存在はアルデヒドの共鳴に対応する。この共鳴は、19−Aに関する
1H NMRスペクトルには存在しない。アルコールの存在下におけるアルデヒドは、アセタールの形成によって架橋点として働き、表VIII中の例にして観察されたより高い分子量をもたらすことができる。19−Aに関する
1H NMRスペクトルにおけるアルデヒド共鳴の欠如は、アルデヒドが架橋できる前にアルデヒドがカルボキシに酸化されたことを示す。
【0228】
表VIII及びIX中のデータは、40〜60℃の反応温度範囲においては、反応時間を24時間未満に保持しながら110より上の酸価を得ることができることを示している。表VIII及びIXのこのデータはまた、400,000〜15,000の範囲の見掛け分子量を有する酸化セルロースアセテートを生成できることを示している。更にまた、表VIII及びIXのデータは、ポリマー中に存在するアルデヒドの量は、反応条件の選択によって制御できることを示している。
【0229】
例20〜23
セルロースアセテート(例6〜8及び12の一般的方法に従って製造)を、例17の一般的手順に従って50℃において酸化させた。
【0230】
【表10】
【0231】
図4は、例20〜23に関する
13C NMRのC6炭素共鳴を示す。C6置換(約63.5ppm)及び非置換(約59ppm)の炭素に対応する共鳴が示される。
図4から、NHAcTEMPOを用いた酸化(例23)では、C6非置換炭素の酸化によってC6非置換炭素ピークのほとんど完全な消失が起こったことがわかる。TEMPOを含む反応(例20〜22)では、セルロースアセテートの酸化は、ごく微量しか起こらなかった。
【0232】
例24〜39
Eastman Chemical CompanyからCA320Sとして市販されているセルロースアセテート(DS=1.79)を、種々の一次酸化体を用いて例17の一般的手順に従って酸化した。各エントリーに関して、反応温度は50℃であり、1.0当量の過酢酸を最終酸化体として用いた。これらの実験の結果を表XIに要約する。
【0233】
【表11】
【0234】
一次酸化体としてNaBrを用いたこのCAの酸化からは、86の酸価を有するアニオン性CAが生成された(例24)。NaBrをNaCl又はNaOClのような(例25及び例26)他の金属ハロゲン化物で置き換えるとまた、このCAの著しい酸化が引き起こされた。硫黄をベースとする塩又は酸は、酸価が低い酸化CAを生じた(例37〜39)。先行技術はH
2SO
4のような強酸は多糖類のTEMPOに基づく酸化における重要な成分であることを教示しているので、例37は特に意外である。例27〜32は、Mn塩がセルロースエステルのような多糖類の酸化における一次酸化体として有用であることを示している。即ち、ハロゲンを含まない酸化が可能である。特に興味深いのは、39.8の酸価を示したMn(OAc)
3を含む例28である。この場合には、塩はハロゲンを含まない。アセテートの酸化は、良好な一次酸化体の不存在下では低レベルの酸化しかもたらさない過酢酸を生じる。このため、酸価の観察された増加は、Mnによる。一次酸化体としてのMnに関連して、例29及び30は特に興味深い。KMnO
4は、多糖類の公知の酸化体であるが、高レベルのKMnO
4が必要であること及びこれが分子量をほとんど減少させずに非選択的酸化を引き起こすこともわかる。例29は、本発明の方法に従ってNHAcTEMPOを共に用いた場合に、KMnO
4が触媒として用いられて、酸化レベルが高く且つ良好な分子量を有するセルロースエステルを生成できることを示している。
これに比較して、NHAcTEMPOの不存在下(例30)では、得られる酸価及び分子量ははるかに低い。例33〜36は、Mg、Cu及びFeのような他の金属塩も、セルロースエステルの酸化において一次酸化体として使用できることを示している。
【0235】
この例は、NaBr以外の一次酸化体が本発明の方法によるセルロースエステルの酸化において有用であることを示している。特に顕著であるのは、ハロゲンを用いない酸化へのMn、Mg、Fe及びCuをベースとする金属塩の使用である。また、この例は、先行技術において提案されるH
2SO
4のような強酸の存在が、多糖類エステルの酸化に必要ないことを示している。この場合には、強酸の存在はセルロースエステルの酸化をほとんど引き起こさない。
【0236】
例40〜46
可変量のNaBrを用いて例17の一般的手順に従ってセルロースアセテート(例6〜8及び12の一般的方法に従って製造)を酸化した。各実験において、NHAcTEMPOの当量数は0.05eqであり、反応温度は50℃であった。これらの実験結果を表XIIに要約する。
【0237】
【表12】
【0238】
表XII中のデータは、多数の点を示している。第一に、約50℃の反応温度においては、酸化を得るのに一次酸化体は必要ない(例40〜42参照)。しかし、NaBrはごく少量であっても添加すると、全く用いなかった場合に比べて酸化レベルが増加した(例43及び44参照)。NaBrの量の増加につれて、酸価及び分子量はいずれも増加することが観察された。酸化セルロースエステルの酸価及び分子量は、一定の温度及びNHAcTEMPOの濃度を保持しながらNaBrの量を変えることによって制御できる。
【0239】
例47〜49
可変のNHAcTEMPOを用いて例17の一般的手順に従って、セルロースアセテート(例6〜8及び12の一般的方法に従って製造)を酸化した。各実験において、NaBrの当量数は0.025eqであり、反応温度は50℃であった。これらの実験結果を表XIIIに要約する。
【0240】
【表13】
【0241】
例47〜49に関する表XIII中のデータは、一定量のNaBr及び一定温度を保持しながらNHAcTEMPO当量数を増加させると、生成物の酸価及び分子量が増加することを示している。
【0242】
例50〜55
Eastman Chemical Co.からCAP504及びCAB553として市販されているセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートを、1.0eqのpPAA、0.005eqのNaBr及び0.075eqのNHAcTEMPOを用いて例17の一般的手順に従って50℃において酸化させた。CAP504の場合には、酢酸の代わりにプロピオン酸を用いた。CAB553の場合には、酢酸の代わりに酪酸を用いた。酸化セルロースエステルは、5%酢酸水溶液中で沈殿させることによって単離した。これらの実験の結果を表XIVに要約する。
【0243】
【表14】
【0244】
これらの実施例に関する表XIV中のデータは、CAP及びCABのようなセルロースエステルを本発明の方法に従って酸化できることを示している。
【0245】
例56
水活性化セルロース(10g)を、NHAcTEMPO(0.99g)及びNaBr(0.032g)を含む酢酸/H
2O(85/15,wt./wt.)の混合物400g中に、50℃において懸濁させた。攪拌しながら、32%過酢酸溶液25.9mLをこの混合物に3時間でゆっくり添加することによって酸化を開始させた。4.5時間の反応後に酸化セルロースを濾過によって単離し、洗浄し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。
【0246】
酸化セルロースを、触媒として硫酸を用いて無水酢酸によってアセチル化した。詳細には、酸化セルロース(10g)を水で活性化し、酢酸で脱水し、次いで13〜15℃において酢酸(100g)と無水酢酸(28g)との混合物中に懸濁させた。前記のセルロース、酢酸及び無水酢酸の低温混合物に激しく混合しながら、硫酸(0.75g)と酢酸(20g)との混合物を添加することによって、エステル化を開始させた。この反応混合物を20〜23℃に約20〜30分間保持し、次いで粘稠な溶液が得られるまで50℃において加熱した。未反応無水酢酸を、水/酢酸混合物の添加によって破壊した。触媒として用いた硫酸を酢酸ナトリウムで中和した後、アセチル化酸化セルロースを水からの沈澱によって回収した。乾燥後、酸化CAの酸価は10であることがわかった。可溶化(下記参照)による生成物の減量は観察されなかった。これは、カルボキシレートの分布が均一であることを示唆している。
【0247】
例57(比較例)
最初に、セルロース(Placetate F)を0〜10℃において10〜20分間、10%NaOH水溶液で活性化させた。次いで、NaOH溶液を、濾過及び蒸留水による洗浄によってセルロースから除去した。この活性化セルロースのpHを次に、0.5M NaOHを用いて10.8〜10.9に調整した。3口丸底フラスコ中において攪拌しながら活性化セルロース(10g)、TEMPO(0.1g)、NaBr(3.2g)及び蒸留水(400g)の混合物にNaOClの11.5%溶液(85ml)をゆっくり添加することによって、酸化を開始させた。反応温度は25℃であり、反応混合物のpHは0.5M NaOHによって10.8〜10.9に保持した。NaOCl溶液の添加の最後(120分)には、セルロースは溶解していた。酸化セルロースを、エタノールからの沈澱によって回収し、エタノールで洗浄し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。乾燥後、酸化セルロースの酸価は133と測定された。
【0248】
NaOClを25.5mLのみ用いる以外は、前記反応を繰り返した。接触時間の最後に、不溶性繊維を濾過によって反応混合物から除去した。可溶性セルロースフラクションを前述のようにして単離した。生成物の37重量%は可溶性部分であり且つ生成物の63%は濾過によって除去される不溶性繊維部分であることがわかった。不溶性セルロースフラクションは酸価が5.6であることがわかった。
【0249】
総合すると、このデータは、これらの条件下におけるセルロースの酸化が、繊維表面からのセルロースの酸化及び可溶化によって進行することを示している。即ち、この反応は不均一であり、カルボキシレートの分布はランダムでない。
【0250】
例58
Eastman Chemical Companyから入手できる市販セルロースエステル(CA320S、CA398−30、CAP504−0.2、CAB553−0.4)を、例17及び50に記載した方法に従って酸化させた。これらの酸化セルロースエステルの溶解度を種々の溶媒中で、溶媒1.8g中に酸化セルロース0.2gを約16時間混合することによって評価した。サンプルを調べ、以下の基準で等級分けした:1=不溶性;3=部分溶解性;5=ゲル化;7=可溶性であるが濁った溶液;9=可溶性で透明な溶液。結果を表XVに要約する。非酸化市販セルロースエステルの同一溶媒への溶解度を、各サンプルに関して丸括弧の内側に示す。
【0251】
【表15】
【0252】
これから、酸化セルロースエステルが、多くの被覆用途に典型的に用いられる種々の溶媒中に可溶であることがわかる。データから示されるように、溶解度は、置換基の型、DS及び酸価によって異なる。
【0253】
例59
例6〜8及び12の一般的方法に従って製造した位置特異的置換セルロースアセテート(DS=1.72)の2つのサンプルを、例17の一般的手順に従って酸化させた。比較のために、ほぼ同一のDS(1.79)を有するランダム置換セルロースアセテートの2つのサンプルも、例17の方法によって酸化させた。各実験において、NHAcTEMPOの当量数は0.075eqであり、NaBrの当量数は0.005であり、PAAの当量数は1.0であり、反応温度は50℃であり、反応時間は約8時間であった。2つの酸化位置選択的置換セルロースアセテートの酸価は109及び104であった。2つのランダム置換セルロースアセテートの酸価は79及び86であった。
【0254】
この例は、同一置換度においては、位置選択的置換セルロースエステルは、同等のランダム置換セルロースアセテートから得られたものよりも高い酸価を有する酸化セルロースアセテートを生成できることを示している。
【0255】
例60
セルロースアセテート(42.8mmol,DS=1.79)を氷酢酸100mL及び水20mL中に溶解させた。50℃に加温後、0.02eqのMn(NO
3)
2、0.02eqのCu(NO
3)
2、及び0.104eqのTEMPOをそれぞれ添加した。反応は、環境に開放して、50℃において攪拌した。TEMPO添加の約4時間後に、溶液の粘度は劇的に増加した。反応溶液の粘度を低下させるために、75%酢酸水溶液32mLを添加した。
【0256】
23時間の反応時間後、反応混合物をオムニ(Omni)ブレンダー中に注ぎ、H
2Oと氷との混合物を添加した。混合後、酸化CAが沈殿した。生成物を水で2回洗浄してから、エタノールで洗浄した。60℃で65時間真空乾燥することによって、白色固体を得た(収率84%)。乾燥後、生成物は、新しく形成されたアルデヒドと、セルロースエステル中にセルロースエステル中に存在する未反応ヒドロキシルとの間のアセタール形成による架橋のため、ほとんどの溶媒に溶解が極めて困難であった。それにもかかわらず、生成物の1H NMR(DMSO−d6)は、所望のアルデヒド基による共鳴(9〜10ppm)を示した。6ppm近くに中心を有する共鳴は、未反応ヒドロキシルとアルデヒド官能基との反応によって形成されたアセタールによると考えられる。
【0257】
前述のようにして製造した酸化セルロースアセテートの一部(8.6mmol)を氷酢酸20mL及びベンジルアミン13eq中に溶解させた。この溶液に10%Pd/Cを0.4g添加してから、この溶液を40℃に加熱した。次いで、この溶液をプラスの水素雰囲気でガスシールした。
【0258】
21時間後、反応混合物を濾過して、Pd/Cを除去した。次いで、溶液を水中に注ぎ、一晩中0℃に保持した。生成物を濾過によって単離し、洗浄し、60℃で16時間真空乾燥させた(収率=44%)。
【0259】
生成物の
1H NMRを用いて、アセテートの見掛けDS 2.14及びアミンの見掛けDS 0.60を算出した。定量的炭素13 NMRも、ベンジルアミンが成功裏に導入されたことを確認した。これは、芳香族炭素による共鳴(122〜140ppm参照)及びNHに結合したCH
2による共鳴(44〜50ppm参照)の存在によって示される。
【0260】
例61
例60に記載した方法に従って、セルロースアセテート(240g,1.03モル,DS=1.79)を酸化させた。反応の終わりに、酸化セルロースアセテートを、冷MeOH中における沈澱によって単離した。生成物を濾過によって単離し、MeOHで洗浄し、MeOH中に湿潤状態で貯蔵した。存在する固形分を測定し且つ分析サンプルを得るために、一部分を除去して、60℃において真空乾燥させた。生成物はMeOHを68.5重量%含むことがわかった。
【0261】
メタノール湿潤酸化セルロースアセテート(6.35g,8.6mmol)をベンジルアミン(25eq)及び氷酢酸(82mL)中に溶解させた。溶液を通してN
2を泡立てることによってMeOHを除去した。全てのMeOHが除去された後、10%Pd/C 0.4gを溶液に添加し、溶液をプラスのH
2雰囲気下に置いた。反応を25℃において16時間撹拌してから、水素をガス抜きした。液体を遠心分離し且つデカントすることによって、Pd/Cを除去した。酢酸の約70%が真空中で除去された後、冷水を加えて、セルロースアセテートベンジルアミンを沈殿させた。生成物を、濾過によって単離し、洗浄し、60℃において真空乾燥させた。この材料のプロトンNMRによる分析から、見掛けDSアセテートが1.73であること、見掛けDSアミンが0.26であることがわかった。GPCは、生成物が22,700の重量平均分子量を有することを示した。
例62
1.42のヒドロキシル分を有するセルロースアセテートブチレートエステルの製造及び酸化CABへの酸化
高ヒドロキシル分を有するランダム置換セルロースエステルを生成するためのセルロースエステルの加水分解:
機械的撹拌機、還流冷却器、温度調節用の再循還浴及び添加用漏斗を装着した12Lの5つ口ジャケット付き丸底フラスコに、ゆっくりと攪拌しながら氷酢酸2410.5g、酪酸2140.0g、脱イオン水1190.0g及びセルロースアセテートブチレート(CAB381−20,Eastman Chemical Company)1260.1gを添加した。CAB381−20の添加後、温度を70〜71℃に上昇させ、均一溶液が得られるまで混合物を攪拌させた。この混合物に、氷酢酸100g中硫酸19gを添加した。硫酸混合物の添加後、反応混合物を全反応時間の間、70℃に保持した。12時間の反応時間後、脱イオン水240gを添加した。24時間の反応時間後、更に400gの脱イオン水をゆっくりと添加した。36時間の反応時間後、酢酸1560.0g、酪酸72.0g、及び脱イオン水324.0g、及び酢酸マグネシウム四水和物152.8gからなる最終添加を行った。特性決定のために、得られたCABのごく一部を、反応溶液を脱イオン水に加え、濾過し、固体を水洗し、乾燥することによって単離した。残りのCAB反応混合物をフラスコから排出し、酸化反応に用いられるまで10℃で貯蔵した。プロトンNMRは、単離された生成物がDS
Bu=1.13、DS
Ac=0.44、及びDS
OH=1.42を有することを示した。重量平均分子量(GPC)は104,681であった。
【0262】
高ヒドロキシル分を有するランダム置換セルロースエステルの酸化:
前記で生成したCABについて、例17の一般的手順によって6つの酸化実験を行った。2種の異なる型の一次酸化体を3種の異なる濃度で用い、NHAcTEMPOは一定濃度とした(0.075eq)。これらの実験の結果を表XVIに示す。
【0263】
【表16】
【0264】
この例は、CABのようなセルロースエステルを酸性水性媒体中で加水分解して、ヒドロキシル分の高いランダム置換セルロースエステルを生成できることを示す。
異なる一次酸化体を用いたこのCABの酸化は、一定の範囲の酸価(11〜98)及び重量平均MW(約5000〜36000)を有する酸化CABを生成した。従って、適当な反応条件を選択することによって、広範囲の酸価CABを生成できる。
例63
1.81のヒドロキシル分を有するセルロースアセテートブチレートエステルの製造及び酸化CABへの酸化
ヒドキシル分の高いランダム置換セルロースエステルを生成するためのセルロースエステルの加水分解:
例62の手順を用いて、ヒドロキシル分の高いCAB381を生成した。この例は、反応温度を71℃に保持し且つ36時間目に添加する液体の組成が酢酸990g、酪酸48g及び脱イオン水560g及び酢酸マグネシウム四水和物51gとした点で異なる。特性決定のために、得られたCABのごく一部を、反応溶液を脱イオン水に添加し、濾過し、固体を水洗し且つ乾燥させることによって単離した。残りのCAB反応混合物を、フラスコから排出し、酸化反応に用いるまで10℃において貯蔵した。プロトンNMRから、単離生成物がDS
Bu=0.96、DS
Ac=0.22及びDS
OH=1.81を有することが示された。重量平均分子量(GPC)は66,097であった。
【0265】
ヒドロキシル分の高いランダム置換セルロースエステルの酸化:
NHAcTEMPO 0.075eq及び臭化ナトリウム0.75eqを用いて例17の一般的手順によって、前記で生成されたCABを酸化させた。得られた生成物は、酸価が104(mgKOH/g)及び重量平均分子量が4847であった。
【0266】
この例は、CABを酸性水性媒体中で加水分解して、ヒドロキシ分が高いランダム置換CABを生成できることを示している。NaBr 0.75eqを用いたこのCABの酸化により、高い酸価及び低い重量平均分子量を有する酸化CABが生成された。
【0267】
例64
酸化セルロースエステルの溶解度
いくつかの酸化セルロースエステルの溶解度を、被覆用途に一般に使用される溶剤中における溶解度を測定するために評価した。サンプルを固形分10重量%で製造し、可溶性(S)、若干のゲルを有するが可溶性(SG)、部分溶解性(PS)、又は不溶性(I)と表した。この例(表XVII)から、エステル置換基の組成及びポリマーの酸価はいずれも溶解度に影響を与えることがわかる。
【0268】
【表17】
【0269】
例65
酸化セルロース樹脂の水性溶液の製造
カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical,CMCAB)のような典型的な水性セルロースエステルは、溶剤、水及びアミンの組合せを用いて水中に可溶化することができる。一定固形分においてセルロースエステルの水溶液中の溶剤の割合が増加すると、溶液の粘度は低下する。ジメチルエタノールアミン(Aldrich)を用いて酸官能基を100%中和させて固形分10%で製造された酸化セルロースエステルアセテートブチレート(酸価=104)の水溶液は水に直接可溶であり、更に溶剤を添加しなくても粘度が低かった。この例においては、脱イオン水5.4gを酸化セルロースアセテートブチレート0.6g及びジメチルエタノールアミン0.099gと合し、一晩中回転して、透明な、非常に淡い黄色の溶液を低粘度で生成した。
【0270】
例66
酸化セルロースアセテートを含む錠剤からの薬物の溶解
酸化セルロースアセテート(3.7g,酸価=88)及びNFアスピリン1.5gを、SPEX液体窒素フリーザーミル中で75%の最大速度で6分間微粉砕した。この粉末に、カーボンブラック中に予め分散させたステアリン酸マグネシウム粉末(0.04g)(ステアリン酸マグネシウム1.0gに対してカーボンブラック0.13g)を加えて、均一な薄い灰色が得られるまで混合した。5000psiでタブレット成形機を用いて、錠剤(0.34〜0.37g)を個々にプレスした。同様に、セルロースジアセテート(CA−398−30)6.0gを、ステアリン酸Mg0.04g/カーボンブラックを添加したNF Gradeアスピリン1.5gと共に微粉砕した。錠剤(0.32〜0.37g)をまた、5000psiでプレスした。
【0271】
テフロン(登録商標)パドルを有するUSP#2目盛り付き装置を用いて、溶解試験を行った。緩衝剤溶液を、0.45ミクロンのナイロンフィルターを通して41℃において脱ガスし、更に5分間真空下に保持した。溶解容器に溶液を添加した後、溶液を37.3℃に30分間保持して、温度を一定にした。錠剤をUSP 1.2pH緩衝液900mL又はUSP H6.8緩衝液900mLに添加した。錠剤を、Varian 3つ又カプセルウェイトを用いて押し下げた。各実験の最初に、錠剤は1000mlの容器の底部に沈め、撹拌機を50rpmで作動させ、ポリプロピレンシリンジを用いて時間の関数としてサンプルを採取した。サンプルを0.45ミクロンのフィルターを通して濾過し、直ちに、Varian UV−Vis Spectrophotometer及び石英吸収セルを用いて溶液中のアスピリンの量に関して分析した。pH1.2及び6.8においてサリチル酸の量を測定するための波長はそれぞれ、278nm及び235nmであった。各実験セットは、定量分析の参照用の適当な標準を有していた。
【0272】
実験の最初の1時間の間に、酸化セルロースアセテート(CAOX)錠剤はpH1.2において亀裂を生じたが、pH6.8においては最初の形状を持ち続けた。3時間後、pH6.8緩衝溶液中のCAOX錠剤はほとんど完全に消失し、透明な溶液を残した。pH1.2では、CAOX錠剤は、緩衝液中で10分後の形状と同一の形状を持ち続けた。これら2つと異なり、CA−398−30の錠剤は、pH1.2又は6.8における実験過程によって形状を変化させなかった。
【0273】
図5は、これらの実験の結果を要約する。pH1.2において200分後には、無傷のCAOX錠剤から、アスピリン最大量のわずか23%しか放出されなかった。これに対して、pH6.8では、利用可能な最大アスピリンの84%が媒体中に放出された。CA398の錠剤の場合には、200分にはpH1.3及び6.8においてそれぞれ、利用可能なアスピリンの27%及び45%が放出された。これは、CAOXがpH1.2においては溶解度が低く、拡散による高水溶性アスピリンのかなりの放出を防ぐのに充分に疎水性でることを示している。pH6.8においては、CAOXは溶解して、マトリックスから薬物を放出した。これに対して、セルロースアセテートから製造された錠剤は、このpH6.8においても依然として無傷であり、拡散制御法によって薬物のわずか45%しか放出しなかった。
【0274】
この例は、本発明の酸化セルロースエステルを用いて圧縮成形によって錠剤を形成できることを示している。錠剤構造はpH感受性であるので、pH1.2(正常の胃のpH)において放出される薬物の量はより少なく、より高いpH(小腸の正常のpH勾配は4.5〜7.2)では高量の薬物が放出される。この型の製剤は、胃の過酷な環境ではなく、小腸において薬物活性物質の制御された放出を実現するのに特に有用である。
【0275】
例67
水難溶性の薬物との酸化セルロースアセテートブレンド
CA 400mgをpH4.8の0.1Nクエン酸塩緩衝液15gに添加することによって、酸化セルロースアセテート(酸価=88)の溶液を製造した。不均一な混合物をよく混合してから、CAが溶解して透明な溶液を生成するまで、pHを0.1N NaOHで慎重に調整した。CA水溶液のpHは約3.8であることがわかった。4種の独立したCA水溶液をこの方法によって製造した。同時に、リトナビル、アナストロゾール、タモキシフェン、又はレトロゾール40〜41mgを含む独立した溶液を、各薬物を無水エタノール5mL中に溶解させることによって製造した。これらの薬物はいずれも、水難溶性である。各薬物のエタノール溶液を次に、予め製造したCA水溶液にゆっくりと添加した。各薬物溶液の添加後、各溶液のpHを測定し、4.0〜4.3であることがわかった。
次いで、酸化CA:薬物溶液を凍結乾燥させ、各混合物の白色粉末を生成した。
【0276】
酸化CA:薬物混合物のそれぞれの溶液を、Millipore水(23.0〜26.5g/L)中で製造した。サンプルは全て、測定の前に0.45ミクロンのシリンジフィルターを通して濾過した。濾過後の各溶液のpHは、3.9〜4.1の範囲であった。酸化CA:薬物混合物のそれぞれの溶液をまた、50/50のエタノール/Millipore水中で製造した。酸化CA:薬物混合物は全て、エタノール/水混合物中に溶解し、透明な溶液を生成したので、各サンプルに関して測定できる薬物の最大量を測定できた。
サンプルを全て直ちに、UV−Vis Spectrophtometerを用いて、溶液中の薬物の量に関して分析した。結果を表XVIIIに要約する。表18は、酸化CA:薬物混合物を水中に再溶解させた場合に可能な最大量に基づく、可溶化された薬物の%を示す。可溶化された薬物の量(Sw)対薬物の固有溶解度(So)の比も示す。
【0277】
【表18】
【0278】
表XVIII中に要約された結果は、多数の有効な点を示す。この一組の条件に関して、水中に溶解された場合には医薬製剤中のニトナビル28%が可溶化され、これは酸化セルロースアセテートの不存在下で測定された場合のニトナビルの溶解度の24.6倍に相当する。アナストロゾールの場合には、可溶化された薬物の%は90%であり、Sw/Soは1.9であった。タモキシフェンに関しては、可溶化された薬物の%は89%であり、Sw/Soは1869であった。タモキシフェンの場合には、このデータは、酸化CAが薬物の可溶化において有効であると同時に、タモキシフェン溶解度の著しい増加を実現した。レトロゾールの場合には、効率(可溶化された薬物7%)及びSw/So(1.2)は比較的低かった。
【0279】
これらの塩基性薬物のそれぞれに関するpKaも、表XVIIIに示す。ニトナビル及びレトロゾールの場合には、製剤のpH及び水性薬物溶液のpHは、薬物のpHよりも高かったことに注目されたい。即ち、これらの塩基性薬物はほとんどイオン化されなかった。これらの薬物のいずれに関しても、可溶化薬物の%は比較的低かった。アナストロゾールの場合には、製剤のpH及び薬物水溶液のpHは、アナストロゾールのpKaにほぼ近い。タモキシフェンの場合には、製剤のpH及び薬物水溶液のpHは、他のキシフェンのpKaよりも約4.6単位低い。タモキシフェンに関して記載された、可溶化された薬物の%及びSw/Soは大きい。よく知られたHenderson−Hasselbalch式に基づき、この例の塩基性薬物に関して以下の関係を得ることができる:S
total=S
intrinsic(1+10
(pKa-pH))。従って、イオン化型及び非イオン型の薬物の濃度に厳密に基づき、製剤のpHと薬物のpKaがおよそ等しい場合には、総溶解度は固有溶解度の2倍に等しい。これは、アナストロゾールの場合に観察されることである(Sw/So=1.9)。薬物のpKaと製剤のpHとの間の各単位差のために、総薬物溶解度は1オーダー変化する。タモキシフェンの場合には、これは、可溶化された薬物の%及び大きいSw/So値の両方に反映される。リトナビルの場合には、pKaは、媒体pHよりも小さく、総溶解度へのイオン化種の寄与は小さいが、Sw/Soは比較的大きい。この観察は、特定の薬物:酸化セルロースアセテートの相互作用、例えば、水素結合もまた、総溶解度に寄与していることを示唆する。レトロゾールの場合には、pKaはまた、媒体pHよりも小さく、低いSw/So値は、薬物と酸化セルロースアセテートとの間の相互作用が小さいことを示している。
【0280】
この例は、適切に製剤化された場合に、本発明のセルロースエステルインターポリマーが水性媒体への薬物の溶解度を調整する働きをすることができることを示している。理論によって拘束するつもりはないが、セルロースエステルインターポリマーは、イオン化種濃度の変化及び薬物と酸化セルロースエステルインターポリマーとの特有の相互作用によって薬物溶解度を調整すると考えられる。
【0281】
例68
酸化セルロースアセテートで被覆されたカプセルからの薬物の溶解
ロックリングデザインを有するTopac Inc.ゼラチンカプセル(#3,0.30ml)に、USPグレードの純粋なアスピリン約0.17〜0.19gを充填した。次いで、このカプセルを、セルロースアセテート溶液(CA398−10NF 2g,DEP 0.22g,アセトン20g,木炭着色剤0.10g)又は酸化セルロースアセテート溶液(酸化セルロースアセテート(AN=88)2g,DEP 0.22g,アセトン18g,脱イオン水2,木炭着色剤0.10g)で3回浸漬被覆するか、或いは非被覆のままにしておいた。カプセルが均一に被覆されているか否かを確認するために、木炭粉末を着色剤として用いた。被覆されたカプセルを一晩空気乾燥させた。
【0282】
テフロン(登録商標)パドルを有するUSP#2目盛り付き装置を用いて、溶解試験を行った。緩衝液を、41℃において0.45μのナイロンフィルターを通して脱ガスし、更に5分間真空下に保持した。溶液を溶解容器に加えた後、溶液を37.3℃に30分間保持して、温度を一定にした。カプセルをUSPのpH1.2緩衝液900mL又はUSPのpH6.8緩衝液900mLに加えた。錠剤を、Varian 3つ又カプセルウェイトを用いて押し下げた。各実験の最初に、錠剤は1000mlの容器の底部に沈め、撹拌機を50rpmで作動させ、ポリプロピレンシリンジを用いて時間の関数としてサンプルを採取した。実験は21時間連続して行った。サンプルを0.45ミクロンのフィルターを通して濾過し、直ちに、Varian UV−Vis Spectrophotometer及び石英吸収セルを用いて溶液中のアスピリンの量に関して分析した。pH1.2及び6.8においてアスピリン酸の量を測定するための波長はそれぞれ、280nm及び298nmであった。各実験セットは、定量分析の参照用の適当な標準を有していた。
【0283】
CA398−10を被覆したカプセルは、実験の過程において物理的に変化しないようであった。
図6に示すように、実験の過程においてpH1.2及びpH6.8のいずれにおいて溶解したアスピリンも2%未満であった。pH1.2及びpH6.8で300分後に媒体中に放出されたのは、利用可能なアスピリンの0.1%未満であった。
【0284】
酸化セルロースアセテートが被覆されたカプセルの場合には、実験のpHによって異なる結果が得られた。pH1.2においては、酸化セルロースアセテート被覆カプセルは物理的に変化しないようであった。pH1.2において300分後に無傷の被覆カプセルから放出されたのは、アスピリン最大量の10%未満であった。pH6.8においては、酸化セルロースアセテート被覆カプセルは、pH6.8における非被覆カプセルと同様な挙動をした(
図6)。視覚的には、15分までに、酸化セルロースアセテート被膜が完全に消失し、ゼラチンカプセルが著しく溶解した。pH6.8において300分後に、最大利用可能アスピリンの65%が媒体中に放出され、この量はまさに非被覆カプセルの量である。
【0285】
この例は、pH1.2(胃のpH)における薬物の溶解を防ぐが、小腸の正常pH(4.5〜7.2)における急速な薬物放出を可能にする腸溶コーティングとして、酸化セルロースインターポリマーを使用できることを示している。セルロースエステルインターポリマーが被覆されたカプセルはpH感受性であるので、正常の胃pHで放出される薬物の量はより低いが、腸のpHでは高量の薬物が放出される。即ち、本発明のセルロースエステルインターポリマーは腸溶コーティングの役割を果たす。
例69
CA 400mgをpH4.8の0.1Nクエン酸塩緩衝液15gに添加することによって、酸化セルロースアセテート(酸価=88)の溶液を製造した。不均一混合物をよく混合してから、CAの溶解によって透明な溶液が得られるまで、0.1N NaOHでpHを慎重に調整した。CA水溶液のpHは約3.8であることがわかった。4種の独立したCA溶液をこの方法で製造した。同時に、リトナビル、アナストロゾール、タモキシフェン又はレトロゾールを40〜41mg含む独立した溶液を、各薬物を無水エタノール5mL中に溶解させることによって製造した。これらの薬物はいずれも水難溶性である。次いで、各薬物のエタノール溶液を、予め製造したCA水溶液にゆっくりと添加した。各薬物溶液の添加後、各溶液のpHを測定し、4.0〜4.3であることがわかった。次に、酸化CA:薬物溶液を凍結乾燥し、各混合物の白色粉末を得た。
【0286】
酸化CA:薬物混合物のそれぞれの溶液を、Millipore水中で製造した。予想薬物濃度が12〜125mg/Lとなるように充分な酸化CA:薬物混合物を添加した。
各溶液のpHは4.2〜5.7の範囲であった。リトナビルの場合には、サンプルを、測定前に0.45ミクロンのシリンジフィルターに通して濾過した。他のサンプル(目に見える固形分を含まない透明な溶液)については、濾過の必要はなかった。直ちにUV−Vis Spectrophotometerを用いて溶液中の薬物量に関してサンプルを分析した。
【0287】
図7は、この実験において得られた結果を要約する。
【0288】
例70
本発明の酸化セルロースエステルを含む水性被覆製剤を、以下のようにして製造した:
【0289】
【表19】
【0290】
*例63からの酸化CABサンプルを、Eastman EB溶剤8g/水77g中に分散させて固形分15%を生成した(DMEAでpH8に調整)
【表20】
【0291】
得られた製剤を、ASTM D4400−898を用いて垂れ抵抗性について試験した。ペイントは、酸化セルロースエステルを含まない対照に比較して著しく改善された垂れ抵抗性を示した。(CABは、Eastman Chemical Companyから入手できるセルロースアセテートブチレートを意味する。)
【0292】
本発明を、好ましい実施態様及び実施例に関して記載したが、当業者には明らかなように明白な変更及び修正が行えることは言うまでもない。このような変更及び修正は、添付した「特許請求の範囲」に定義される本発明の限界及び範囲内と見なすことができる。
以下に本発明
及びその関連態様を
記載する。
1.セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位がアルコール酸化状態にあるセルロースエステルインターポリマーであって、式:
【化12】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そして、Xはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(式中、R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBは前記セルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成する]
のアンヒドログルコース単位を有するセルロースエステルインターポリマー。
2.Xのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が0.05〜1.0であり且つC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が少なくとも0.6である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
3.Xのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が0.2〜1.0であり且つC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が1.7〜2.8である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
4.酸価が10より大きい態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
5.酸価が30より大きい態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
6.酸価が30より大きく且つ150未満である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
7.酸価が30より大きく且つ130未満である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
8.酸価が30より大きく且つ90未満である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
9.Xがホルミル、カルボキシ又はそれらの混合物である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
10.Xがカルボキシである態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
11.Xがホルミルである態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
12.Xがアミノメチル、R
6−NH−CH
2−又はそれらの混合物である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
13.R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が、独立して、水素、アセチル、プロピオニル、ブチリル又はそれらの混合物からなる群から選ばれる態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
14.重量平均分子量が少なくとも5,000g/モルである態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
15.重量平均分子量が10,000g/モル〜900,000g/モルの範囲である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
16.重合度が少なくとも10である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
17.重合度が少なくとも25である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
18.重合度が25〜50である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
19.重合度が少なくとも250である態様1に記載のセルロースエステルインターポリマー。
20.カルボキシ対ホルミルの比がそれぞれ5:1又はそれより大きい態様9に記載のセルロースエステルインターポリマー。
21.カルボキシ対ホルミルの比がそれぞれ1:5又はそれより小さい態様9に記載のセルロースエステルインターポリマー。
22.カルボキシ対ホルミルの比がそれぞれ5:1〜1:5である態様9に記載のセルロースエステルインターポリマー。
23.C6カルボキシ基を有する複数のアンヒドログルコース単位を含んでなり、且つセルロースエステルインターポリマーが少なくとも0.6のC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度及び10超の酸価を有するセルロースエステルインターポリマー。
24.C
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が1.7〜2.8である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
25.C
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が1.7〜2.8であり且つ酸価が30より大きく150未満である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
26.C
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が1.7〜2.8であり且つ酸価が30より大きく130未満である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
27.C
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの見掛け置換度が1.7〜2.8であり且つ酸価が30より大きく90未満である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
28.前記C
2〜C
12アシルがアセチル、プロピオニル、ブチリル又はそれらの混合物である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
29.セルロースエステルインターポリマー全体にC6カルボキシ基を有するアンヒドログルコース単位のランダム分布を有する態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
30.重量平均分子量が少なくとも5,000g/モルである態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
31.分子量範囲が10,000g/モル〜900,000g/モルである態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
32.重合度が少なくとも10である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
33.重合度が少なくとも25である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
34.重合度が25〜50である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
35.重合度が少なくとも250である態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
36.C6ホルミル基を有する複数のアンヒドログルコース単位を更に含む態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
37.C6アミノメチル基を有する複数のアンヒドログルコース単位を更に含む態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
38.C6置換アミノメチル基を有する複数のアンヒドログルコース単位を更に含み、且つ前記アミノメチル基がアルキル、アリール及びアルキレンアリールからなる群から選ばれた置換基で置換されている態様23に記載のセルロースエステルインターポリマー。
39.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ5:1又はそれより大きい態様36に記載のセルロースエステルインターポリマー。
40.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ1:5又はそれより小さい態様36に記載のセルロースエステルインターポリマー。
41.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ5:1〜1:5である態様36に記載のセルロースエステルインターポリマー。
42.重合度が少なくとも10であり、酸価が10より大きく、且つセルロースインターポリマー全体にC6カルボキシ基を有するアンヒドログルコース単位のランダム分布を有するセルロースインターポリマー。
43.酸価が30より大きい態様42に記載のセルロースインターポリマー。
44.酸価が30より大きく150未満である態様42に記載のセルロースインターポリマー。
45.重量平均分子量が少なくとも5,000g/モルである態様42に記載のセルロースインターポリマー。
46.C6ホルミル基を有する複数のアンヒドログルコース単位を更に含む態様42に記載のセルロースインターポリマー。
47.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ5:1又はそれより大きい態様46に記載のセルロースインターポリマー。
48.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ1:5又はそれより小さい態様46に記載のセルロースインターポリマー。
49.C6カルボキシ基対C6ホルミル基の比がそれぞれ5:1〜1:5である態様46に記載のセルロースインターポリマー。
50.態様46に記載のセルロースインターポリマーとC
2〜C
12アシル無水物又はその混合物との反応生成物。
51.式:
【化13】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、C
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ;Xはヒドロキシメチレンであり;アンヒドログルコース単位A及びBは前記セルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成し;C
2〜C
12アシル基のアンヒドグルコース単位当たりの置換度は1.5〜2.5である]
のアンヒドログルコース単位を含んでなるセルロースエステルインターポリマー。
52.アンヒドログルコース単位A及びBが、セルロースエステルインターポリマーの総アンヒドログルコース単位の70%超を構成する態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
53.アンヒドログルコース単位A及びBが、セルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の80%超を構成する態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
54.アンヒドログルコース単位A及びBが、セルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の90%超を構成する態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
55.C
2〜C
12アシル基の置換度が1.7〜2.3であり、且つ重量平均分子量が少なくとも5,000g/モルである態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
56.重合度が少なくとも10である態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
57.重合度が少なくとも25である態様51に記載のセルロースエステルインターポリマー。
58.ホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.5〜1.3であり、且つC
2〜C
12アシルの置換度が1.5〜2.5であるセルロースエステルインターポリマー。
59.ホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.7〜1.2であり、且つC
2〜C
12アシルの置換度が1.8〜2.3である態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
60.ホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.9〜1.1であり、且つC
2〜C
12アシルの置換度が1.9〜2.1である態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
61.セルロースエステルインターポリマーの総アンヒドログルコース単位の少なくとも70%が6−O−ホルメート−2,3−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位及び2,3,6−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位からなる群から選ばれる態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
62.セルロースエステルインターポリマーの総アンヒドログルコース単位の少なくとも80%が6−O−ホルメート−2,3−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位及び2,3,6−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位からなる群から選ばれる態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
63.セルロースエステルインターポリマーの総アンヒドログルコース単位の少なくとも90%が6−O−ホルメート−2,3−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位及び2,3,6−O−C
2〜C
12アシル置換アンヒドログルコース単位からなる群から選ばれる態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
64.重量平均分子量が少なくとも5,000g/モルである態様58に記載のセルロースエステルインターポリマー。
65.セルロースポリマーのアンヒドログルコース単位のC6ヒドロキシルをホルミル基又はカルボキシル基に転化させる方法であって、
アミノ置換環状ニトロキシル誘導体、一次酸化体及び最終酸化体を、pH4未満のセルロース混合物に添加して、反応混合物を形成し(ここでセルロース混合物はC
2〜C
12アルキル酸、水及びC6ヒドロキシル基を有するアンヒドログルコース単位を含むセルロースインターポリマーから構成される);そして
C6ヒドロキシルをホルミル基又はカルボキシ基に転化することによって酸化セルロースインターポリマーを生成するのに充分な反応時間を経過させる
ことを含んでなる方法。
66.前記C
2〜C
12アルキル酸が酢酸、プロピオン酸、酪酸又はそれらの混合物を含む態様65に記載の方法。
67.前記セルロース混合物のpHが1.5〜3である態様65に記載の方法。
68.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル誘導体である態様65に記載の方法。
69.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様68に記載の方法。
70.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−(C
1〜C
4アシルアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様68に記載の方法。
71.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様68に記載の方法。
72.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体の量がセルロースインターポリマー中のアンヒドログルコース単位モノマーのモル当たり0.0025〜0.1モル当量の範囲である態様65に記載の方法。
73.前記一次酸化体がNa、K、Mn、Mg、Fe若しくはCuの塩又はそれらの混合物を含む態様65に記載の方法。
74.前記一次酸化体がKCl、KBr、NaCl、NaBr、NaI、NaOCl、NaOBr、オキソン(oxone)、Mn(NO
3)
2、Mn(OAc)
3、KMnO
4、Mn
2O
3、MnO
2、Mg(NO
3)
2、FeCl
3、Cu(NO
3)
2又はそれらの混合物を含む態様65に記載の方法。
75.前記一次酸化体がMn(OAc)
3である態様65に記載の方法。
76.前記一次酸化体がMn(OAc)
3であり且つ前記最終酸化体が過酢酸である態様65に記載の方法。
77.前記一次酸化体がKMnO
4である態様65に記載の方法。
78.一次酸化体の量がセルロースインターポリマー中のアンヒドログルコース単位モノマーのモル当たり0.0001〜0.1モル当量の範囲である態様65に記載の方法。
79.前記最終酸化体がO
2、オゾン、NaOCl、NaOBr、H
2O
2又はCH
3CO
3Hを含む態様65に記載の方法。
80.前記最終酸化体がCH
3CO
3Hである態様65に記載の方法。
81.前記反応混合物の温度が40℃より高く60℃未満である態様65に記載の方法。
82.水が、反応混合物の総重量に基づき、1〜60重量%の範囲の量で存在する態様65に記載の方法。
83.前記酸化セルロースインターポリマーが10超の酸価を有する態様65に記載の方法。
84.前記酸化セルロースインターポリマーが30超の酸価を有する態様65に記載の方法。
85.前記酸化セルロースインターポリマーが30〜130の酸価を有する態様65に記載の方法。
86.酸化セルロースインターポリマーを単離する工程を更に含む態様65に記載の方法。
87.前記セルロースインターポリマーをC
2〜C
12アシル無水物又はその混合物と反応させることを更に含む態様65に記載の方法。
88.セルロースエステルポリマーのアンヒドログルコース単位のC6ヒドロキシルをホルミル基又はカルボキシル基に転化させる方法であって、
アミノ置換環状ニトロキシル誘導体、一次酸化体及び最終酸化体を、pH4未満のセルロースエステル混合物に添加して、反応混合物を形成し(ここでセルロースエステル混合物はC
2〜C
12アルキル酸、水及びC6ヒドロキシル基を有するアンヒドログルコース単位を含むセルロースエステルインターポリマーから構成される);そして
C6ヒドロキシルをホルミル基又はカルボキシ基に転化することによって、酸化セルロースエステルインターポリマーを生成するのに充分な反応時間を経過させる
ことを含んでなる方法。
89.前記セルロースエステルインターポリマーが少なくとも0.5のC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する態様88に記載の方法。
90.前記セルロースエステル混合物のpHが1.5〜3である態様88に記載の方法。
91.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル誘導体である態様88に記載の方法。
92.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様88に記載の方法。
93.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−(C
1〜C
4アシルアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様88に記載の方法。
94.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様88に記載の方法。
95.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体の量がセルロースエステルインターポリマー中のアンヒドログルコース単位モノマーのモル当たり0.0025〜0.1モル当量の範囲である態様88に記載の方法。
96.前記一次酸化体がNa、K、Mn、Mg、Fe若しくはCuの塩又はそれらの混合物を含んでなる態様88に記載の方法。
97.前記一次酸化体がKCl、KBr、NaCl、NaBr、NaI、NaOCl、NaOBr、オキソン、Mn(NO
3)
2、Mn(OAc)
3、KMnO
4、Mn
2O
3、MnO
2、Mg(NO
3)
2、FeCl
3、Cu(NO
3)
2又はそれらの混合物を含む態様88に記載の方法。
98.前記一次酸化体が三酢酸マンガンである態様88に記載の方法。
99.前記最終酸化体が過酢酸である態様98に記載の方法。
100.前記一次酸化体がKMnO
4である態様88に記載の方法。
101.一次酸化体の量が、セルロースエステルインターポリマー中のアンヒドログルコース単位モノマーのモル当たり、0.0001〜0.1モル当量の範囲である態様88に記載の方法。
102.前記最終酸化体がO
2、オゾン、NaOCl、NaOBr、H
2O
2又はCH
3CO
3Hを含んでなる態様88に記載の方法。
103.前記最終酸化体がCH
3CO
3Hである態様88に記載の方法。
104.最終酸化体の量が、セルロースエステルインターポリマー中のアンヒドログルコース単位モノマーのモル当たり、0.1〜10モル当量の範囲である態様88に記載の方法。
105.前記反応混合物の温度が40℃より高く60℃未満である態様88に記載の方法。
106.前記接触時間が10超の重合度を有する酸化セルロースエステルインターポリマーを生成することができる持続時間である態様88に記載の方法。
107.水が、反応混合物の総重量に基づき、1〜60重量%の量で存在する態様88に記載の方法。
108.前記酸化セルロースエステルインターポリマーが10超の酸価を有する態様88に記載の方法。
109.前記酸化セルロースエステルインターポリマーが30超の酸価を有する態様88に記載の方法。
110.酸化セルロースエステルインターポリマーを単離する工程を更に含む態様88に記載の方法。
111.安定型の蟻酸セルロースエステルインターポリマーの製造方法であって、
(1)第1の接触温度において蟻酸、水及びC
2〜C
12アシル無水物を混合して混合無水物混合物を形成し;
(2)第2の接触温度において前記混合無水物混合物とセルロース化合物とを接触させて反応混合物を形成し;
(3)前記反応混合物に酸触媒を添加し;
(4)ホルミル化時間を経過させる
ことを含んでなり、得られる蟻酸セルロースエステルインターポリマーが、0.5〜1.5のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する方法。
112.得られる蟻酸セルロースエステルインターポリマーが、0.7〜1.2のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する態様111に記載の方法。
113.得られる蟻酸セルロースエステルインターポリマーが、0.9〜1.1のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する態様111に記載の方法。
114.前記酸触媒が硫酸である態様111に記載の方法。
115.前記酸触媒を、セルロース化合物の重量に基づき、0.25〜15重量%の範囲の量で添加する態様111に記載の方法。
116.工程(1)で添加する蟻酸の量が、セルロース化合物のモルに基づき、4〜15モル当量である態様111に記載の方法。
117.前記第1の接触温度が−10℃〜15℃の範囲である態様111に記載の方法。
118.前記第2の接触温度が10〜70℃の範囲である態様111に記載の方法。
119.得られる蟻酸セルロースエステルインターポリマーを単離する工程を更に含む態様111に記載の方法。
120.安定型のセルロースエステルインターポリマーの製造方法であって、
(1)第1の接触温度において蟻酸、水及びC
2〜C
12アシル無水物を混合して混合無水物混合物を形成し;
(2)第2の接触温度において前記混合無水物混合物とセルロース化合物とを接触させて反応混合物を形成し;
(3)前記反応混合物に酸触媒を添加し;
(4)ホルミル化時間を経過させ;
(5)反応混合物にC
2〜C
12アシル無水物を添加し;
(6)反応混合物を第3接触温度に加熱し;
(7)アシル化時間を経過させる
ことを含んでなり、得られるセルロースエステルインターポリマーが1.5〜2.5のC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度及び0.5〜1.5のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する方法。
121.得られるセルロースエステルインターポリマーが1.8〜2.3のC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度及び0.7〜1.2のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する態様120に記載の方法。
122.得られるセルロースエステルインターポリマーが1.9〜2.1のC
2〜C
12アシルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度及び0.9〜1.1のホルメートのアンヒドログルコース単位当たりの置換度を有する態様120に記載の方法。
123.前記酸触媒が硫酸である態様120に記載の方法。
124.前記酸触媒を、セルロース化合物の重量に基づき、0.25〜15重量%の範囲の量で添加する態様120に記載の方法。
125.工程(1)で添加する蟻酸の量が、セルロース化合物のモルに基づき、4〜13モル当量である態様120に記載の方法。
126.前記第1接触温度が−10℃〜15℃の範囲である態様120に記載の方法。
127.前記第2接触温度が10〜70℃の範囲である態様120に記載の方法。
128.前記第3接触温度が40〜60℃の範囲である態様120に記載の方法。
129.前記C
2〜C
12アシル無水物が無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物又はそれらの混合物を含む態様120に記載の方法。
130.セルロースエステル上において置換された蟻酸エステル基を加水分解又はアルコール分解によって除去する工程を更に含む態様120に記載の方法。
131.セルロースエステルインターポリマーを単離する工程を更に含む態様120に記載の方法。
132.反応混合物に、アミノ置換環状ニトロキシル誘導体、一次酸化体及び最終酸化体を添加し(ここで反応混合物は4未満のpHを有する);そして、セルロースエステルインターポリマーのアンヒドログルコース単位のC6ヒドロキシルの転化を行うのに充分な反応時間を経過させる工程を更に含む態様120に記載の方法。
133.第一アルコールをホルミル、カルボキシレート又はそれらの混合物に転化する方法であって、
4−置換ピペリジンニトロキシル誘導体(この置換基は一次酸化体及び最終酸化体を水素結合させることができる)を混合物(前記混合物は4未満のpHを有し、且つ第一アルコール官能基を含む化合物から構成される)に添加して、反応混合物を形成し;
第一アルコール官能基の転化を行うのに充分な反応時間を経過させる
ことを含んでなる方法。
134.前記第一アルコールがα−1,4グリコシド結合を有する澱粉エステル及び他の多糖類エステル、α−1,3−グリコシド結合を有するプルランエステル及び他の多糖類エステル、β−1,4−グリコシド結合を有するセルロースエステル及び他の多糖類エステル、並びにキチン、キトサン、フルクタン、グラクトマンナン、グルコマンナン、キシログルカン及びアラビノキシランから選ばれたβ―グルカンエステルから選ばれた多糖類上の基である態様133に記載の方法。
135.前記一次酸化体がMn(III)塩である態様133に記載の方法。
136.前記Mn塩が三酢酸マンガンである態様135に記載の方法。
137.前記一次酸化体がCu、Mg、Fe、Na、Kの塩基又はそれらの混合物を更に含む態様133に記載の方法。
138.前記反応混合物が更に水を含む態様133に記載の方法。
139.前記反応混合物が更に水及びC
2〜C
12アルキル酸を含む態様133に記載の方法。
140.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル誘導体である態様133に記載の方法。
141.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アミノ2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様133に記載の方法。
142.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−(C
1〜C
4アシルアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様133に記載の方法。
143.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである態様133に記載の方法。
144.前記アミノ置換環状ニトロキシル誘導体が不活性樹脂上に固定されている態様133に記載の方法。
145.(i)組成物中の(i)及び(ii)の総重量に基づき0.1〜50重量%のセルロースエステルインターポリマー{前記セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位はアルコール酸化状態にあり、且つ前記セルロースエステルインターポリマーは式:
【化14】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そしてXはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(式中、R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBはセルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成する]
のアンヒドログルコース単位を含む};
(ii)前記組成物中の(i)及び(ii)の総重量に基づき0.1〜50重量%の(i)以外の樹脂;並びに
(iii)有機溶剤又は溶剤混合物[(i)及び(ii)の総重量は(i)、(ii)及び(iii)の総重量の5〜70重量%である]
を含んでなる被覆組成物。
146.(i)以外の前記樹脂がポリエステル、ポリエステル−アミド、セルロースエステル、アルキド樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ビニルポリマー、ポリイソシアネート、メラミン樹脂、シリコーン樹脂及びニトロセルロースからなる群から選ばれる態様145に記載の組成物。
147.レベリング、レオロジー及び流れ調整剤;艶消し剤;顔料湿潤及び分散剤;界面活性剤;紫外線吸収剤;紫外線安定剤;顔料;脱泡及び消泡剤;沈澱防止、垂れ防止及び粘度付与剤;皮張り防止剤;色別れ防止剤;殺真菌剤及び防かび剤;腐蝕防止剤;増粘剤;並びに融合助剤からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の被覆添加剤を、組成物の重量に基づき、0.1〜15重量%更に含む態様145に記載の組成物。
148.(i)組成物中の(i)及び(ii)の総重量に基づき0.1〜50重量%のセルロースエステルインターポリマー{前記セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位はアルコール酸化状態にあり、且つ前記セルロースエステルインターポリマーは式:
【化15】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そしてXはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBはセルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成し;前記インターポリマー上の全遊離カルボキシル基の少なくとも25%は塩基で中和されている]
のアンヒドログルコース単位を含んでなる};
(ii)少なくとも1種の相溶性水溶性又は水分散性樹脂;
(iii)水;並びに
(iv)少なくとも1種の有機溶剤[(i)及び(ii)の総重量は総組成物の5〜50重量%であり、前記有機溶剤は組成物の総重量の20重量%未満を構成する]
を含んでなる水性被覆組成物。
149.40〜90重量%の少なくとも1種の顔料及びそれに対応して10〜60重量%のセルロースエステルインターポリマーを含んでなる顔料分散体であって、前記セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位がアルコール酸化状態にあり、且つ前記セルロースエステルインターポリマーが式:
【化16】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そしてXはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBはセルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成する]
のアンヒドログルコース単位を含んでなる顔料分散体。
150.セルロースエステルインターポリマーを含む組成物が被覆されたか又はセルロースエステルインターポリマーを含む組成物と混合された治療薬を含んでなる経口医薬組成物であって、前記セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位がアルコール酸化状態にあり、且つ前記セルロースエステルインターポリマーが、式:
【化17】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そしてXはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBはセルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成する]
のアンヒドログルコース単位を含んでなる医薬組成物。
151.前記組成物がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを更に含む態様150に記載の医薬組成物。
152.少なくとも1種の溶解増強剤を更に含む態様150に記載の医薬組成物。
153.治療を必要とする哺乳動物を少なくとも1種の治療薬で治療する方法であって、セルロースエステルインターポリマーを含んでなる組成物が被覆されたか又はセルロースエステルインターポリマーを含んでなる組成物と混合された治療薬を含んでなる経口医薬組成物であって、前記セルロースエステルインターポリマーの各アンヒドログルコース単位のC2及びC3位がアルコール酸化状態にあり且つ前記セルロースエステルインターポリマーが、式:
【化18】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC
2〜C
12アシル基からなる群から選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5の少なくとも1つはC
2〜C
12アシル基であり;そしてXはホルミル、ヒドロキシメチレン、アミノメチル、R
6−NH−CH
2−(R
6は、アルキル、アリール又はアルキレン−アリールからなる群から選ばれる)若しくはカルボキシ又はそれらの混合物であるが、Xの少なくとも一部がカルボキシである場合には酸価は10より大きく;アンヒドログルコース単位A及びBはセルロースエステルインターポリマーのセルロース部分の総アンヒドログルコース単位の65%超を構成する]
のアンヒドログルコース単位を含んでなる医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる治療方法。
154.前記セルロースエステルインターポリマーが治療薬の通常の放出速度プロファイルを調整する態様153に記載の方法。
155.前記セルロースエステルインターポリマーが少なくとも1種の治療薬の溶解度を増大させ、それによって経口バイオアベイラビリティを増加させる態様153に記載の方法。
156.放出速度調整剤として使用するための、態様1、23、42及び51のいずれか1項に記載のセルロースエステルインターポリマー。
157.溶解増強剤として使用するための、態様1、23、42及び51のいずれか1項に記載のセルロースエステルインターポリマー。
158.態様145に記載の被覆組成物が被覆された製品。
159.態様148に記載の被覆組成物が被覆された製品。