(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785169
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】ぜん動式注入ポンプ用のばね付勢式自由流れ防止機構を含む注入セットを有するカセット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20150907BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20150907BHJP
A61J 15/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
A61M5/168 506
A61M5/142
A61J15/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-526756(P2012-526756)
(86)(22)【出願日】2010年7月8日
(65)【公表番号】特表2013-502980(P2013-502980A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】US2010041323
(87)【国際公開番号】WO2011025589
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】61/238,386
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(74)【代理人】
【識別番号】100152191
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 正人
(72)【発明者】
【氏名】ハリハレサン, セララーザン
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ, ジェームズ アレン
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト, デイビッド ウッドルフ
【審査官】
姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−141418(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0095649(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3133453(JP,U)
【文献】
特表平11−506355(JP,A)
【文献】
国際公開第96/027402(WO,A1)
【文献】
特開2004−166901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61J 15/00
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ装置(20)内に配置されるカセット(30)であって、
ロック部材(34a)とばね(34b)とを有する流れ制限器(34)を含む筺体(32)であって、前記流れ制限器(34)は、前記筐体(32)に取り付けられるペグ(34c)を更に有する、筐体(32)と、
前記筺体(32)の入口(42)に取り付けられる第1端部(40)と、出口(52)に取り付けられる第2端部(50)とを有する可撓性チューブ(36)であって、前記可撓性チューブは、前記流れ制限器(34)及びストッパ(38)に隣接して配置され、前記ストッパは、前記チューブ(36)の前記流れ制限器(34)とは反対側に配置され、前記ロック部材(34a)は、前記チューブを通る流体の流れを制限する第1の静止位置から、流れが前記チューブを流れることを可能にする第2の作動位置まで回転するように構成され配置され、前記ロック部材(34a)及び前記ばね(34b)は、前記ペグ(34c)と共有する共通回転軸線を中心として回転するように配置される、前記可撓性チューブと、
を備える、カセット。
【請求項2】
前記流れ制限器が静止位置にあるとき、前記流れ制限器(34)及び前記ストッパ(38)が前記チューブ(36)を閉塞する、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記流れ制限器が前記作動位置にあるとき、前記流れ制限器(34)及び前記ストッパ(38)は、流体が前記チューブ(36)を流れることを可能にする、請求項1に記載のカセット。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか一項に記載のカセット(30)と、
作動部材(22)を含むポンプ装置(20)と
を備え、
前記カセット(30)は、前記ポンプ装置(20)に取り外し可能に取り付けられ、前記カセット(30)の流れ制限器(34)は、前記カセット(30)が前記ポンプ装置(20)内に配置されるとき、前記ポンプ装置(20)の前記作動部材(22)と位置が合うように構成され配置される、
流れ制御システム。
【請求項5】
前記流れ制限器(34)及び前記作動部材(22)の位置が合うと、前記流れ制限器(34)が作動する、請求項4に記載の流れ制御システム。
【請求項6】
前記流れ制限器(34)が作動することには、前記流れ制限器(34)が回転することが含まれる、請求項4に記載の流れ制御システム。
【請求項7】
前記作動部材が突起部である、請求項4に記載の流れ制御システム。
【請求項8】
1)流れ制限器(34)とストッパ(38)とを有する筺体(32)であって、前記流れ制限器(34)は、ロック部材(34a)、ばね(34b)、前記筺体(32)に取り付けられるペグ(34c)を含む、筐体と、2)前記筐体(32)の入口(42)に取り付けられる第1端部(40)と、出口(52)に取り付けられる第2端部(50)とを含む、可撓性チューブ(36)であって、前記流れ制限器(34)及び前記ストッパ(38)に隣接し、前記ストッパ(38)は前記チューブ(36)の前記流れ制限器(34)とは反対側に配置される、可撓性チューブとを含むカセット(30)を準備するステップと、
前記ストッパ(38)に近い位置に前記流れ制限器(34)の閉塞部分(44)を配置させることによって前記チューブ(36)内の流体の流れを妨げるステップと、
前記ストッパ(38)から離れた位置に前記流れ制限器(34)の前記閉塞部分(44)を配置させることによって流体が前記チューブ(36)を通過するようにするステップと
を含み、
前記閉塞部分(44)の配置は、前記流れ制限器(34)の前記ばね(34b)との共通軸線を中心とする前記ロック部材(34a)の回転によって得られ、前記共通軸線は前記ペグ(34c)と共有される、チューブ内の流体の流れを制御する方法。
【請求項9】
前記カセット(30)がポンプ装置(20)内に配置されるとき、前記流れ制限器(34)の作動部分が前記ポンプ装置(20)の作動部材(22)に接触することによって前記流れ制限器(34)を作動させるステップを更に含む、請求項8に記載のチューブ内の流体の流れを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、健康及び栄養摂取に関するものである。本開示は、特に、流れ制御装置及びその流れ制御装置を用いる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]食物や他の形態の栄養素を口から摂取できない患者などの哺乳類に栄養組成物を供給することは、多くの場合、非常に重要である。例えば、患者が食物を口から摂取することができない間、あるいは摂取することを拒んでいる間、口の下方の位置で食物を直接消化管に入れる栄養チューブを有する経腸ボトルや容器が、生命を維持するために、用いられることが多い。ボトルや容器、栄養チューブや他の人工供給システム及び経路は、急性疾患の治療中に一時的に用いられ得る。慢性疾患に対しては、そのようなシステム及び経路は、患者の残りの生涯に続く治療計画の一部として用いられ得る。使用期間に関係なく、これらの装置は、患者に対する唯一の栄養供給手段となることが多い。
【0003】
[0003]医療分野では、医療用流体を投与するために、経腸栄養システムの一部として経腸栄養チューブセットとともに、経腸栄養ポンプを用いることも周知である。経腸栄養チューブセットは、通常、中央に置かれる短いチューブ部分に接続されるいくつかの長いチューブ部分を含んでおり、この短いチューブ部分は、ポンプ装置に組み込まれることが可能である。経腸栄養チューブセットに関する一般的な懸念は、その経腸栄養チューブセットが経腸投与ポンプに接続される前に、流体が栄養供給源から経腸栄養チューブセットを通って流れ始める可能性があることである。その結果、栄養流体が、経腸栄養チューブセットからこぼれる可能性あるいは所望の時間前に患者に投与される可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、流れ制御装置及びその流れ制御装置を用いる方法に関するものである。包括的な実施形態では、本開示は、ロック部材とばねを含む流れ制限器を有する筺体と、この筺体に取り付けられ、流れ制限器に隣接して配置されるチューブとを備えるカセットを提供する。この流れ制限器は、チューブを閉塞するように働き、カセット内に流れ制限機構を形成するように働く。
【0005】
[0005]一実施形態では、チューブは、入口に取り付けられる第1の端部と、出口に取り付けられる第2の端部とを含む。チューブの任意の適当な部分は、可撓性とすることができる。これに関して、カセットは、栄養組成物及びその栄養組成物を摂取する人間に接続されるチューブを含む経腸栄養チューブセットの一部とすることができる。カセットは、経腸栄養チューブセットがポンプ装置内に取り付けられていない場合、流体が経腸栄養チューブセット内を自由に流れることを防ぐように設計される。
【0006】
[0006]一実施形態では、流れ制限器は、筺体に取り付けられるペグと組み合わされるロック部材及びばねを含む。流れ制限器のロック部材は、ポンプ装置に挿入されると、チューブを閉塞する第1の位置から流体がチューブを通って流れることを可能とする第2の位置まで回転するように構成され配置される。その結果、経腸栄養チューブセットを手動でプライミング(priming)するために流れ制限機構は非係合状態にされることができ(例えば、流体が流れることができ)るし、経腸栄養チューブセットがポンプ装置内に取り付けられる場合に流れ制限機構は非係合状態にされることができる。
【0007】
[0007]一実施形態では、カセットは、筺体に取り付けられるストッパであって、チューブに隣接して配置されるとともにチューブの流れ制限器とは反対側に配置されるストッパを更に含む。流れ制限器及びストッパは、流れ制限器が静止位置にある場合にはチューブを閉塞するように、且つ、流れ制限器が作動位置にある場合には流体がチューブ中を流れることを可能とするように、連動して作用する。
【0008】
[0008]他の実施形態では、本開示は、突起部を有するポンプ装置と、そのポンプ装置に取り外し可能に取り付けられるカセットとを含む流れ制御システムを提供する。その突起部は、作動部材とすることができる。カセットは、そのカセットがポンプ装置に挿入されるとき、突起部又は一実施形態では作動部材と位置が合うように構成され配置される流れ制限器を有する筺体を含む。可撓性チューブは、筺体に取り付けられ、流れ制限器に隣接して配置される。流れ制限器及び突起部又は作動部材の位置が合うと、流れ制限器が作動する。一実施形態では、流れ制限器が作動することには、流れ制限器が回転することが含まれる。流れ制限器は、ロック部材及びばねを含んでもよい。更に、流れ制限器は、筺体に取り付けられるペグを含んでもよい。流れ制限器のロック部材は、閉塞部分及び作動部分を含んでもよい。
【0009】
[0009]一実施形態では、可撓性チューブは、入口に取り付けられる第1の端部と、出口に取り付けられる第2の端部とを含むことができる。チューブの任意の適当な部分は、可撓性とすることができる。
【0010】
[0010]さらに別の実施形態では、本開示は、チューブ内の流体の流れを制御する方法を提供する。この方法は、1)流れ制限器とストッパを有する筺体、及び2)筺体に取り付けられ、流れ制限器に隣接して配置されるチューブを備えるカセットを準備するステップを含む。ストッパに隣接する位置に流れ制限器の閉塞部分を配置させることによって、流体の流れがチューブを通じて制限される。更に、この方法は、ストッパから離れた位置に流れ制限器の閉塞部分を配置させることによって、流体がチューブを通過するようにするステップを含む。
【0011】
[0011]一実施形態では、カセットがポンプ装置の内部に配置される場合、流れ制限器の閉塞部分はストッパから離れた位置に配置される。例えば、流れ制限器を回転させるために流れ制限器の作動部分をポンプ装置の作動部材に接触させてもよい。流れ制限器が回転されると、閉塞部分もストッパから離れた場所まで回転される。これは、流体が可撓性チューブを流れることを可能にする。
【0012】
[0012]本開示の利点は、改良された流れ制御装置を提供することである。
【0013】
[0013]本開示の別の利点は、流れ制限機構を有する、改良された経腸供給カセットを提供することである。
【0014】
[0014]本開示の別の利点は、カセットがポンプ装置に取り付けられていないとき、流体が経腸供給カセットを通って流れることを防ぐ改良された方法を提供することである。
【0015】
[0015]本開示の別の利点は、経腸供給の間、流れを制御する改良された方法を提供することである。
【0016】
[0016]付加的な特徴及び利点は、本明細書中に記載され、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態において、流れ制限機構を有するカセットとポンプ装置を示す。
【
図2】
図1のポンプ装置及びカセットについて、カセットをポンプ装置に挿入した状態を示す。
【
図3】本開示の一実施形態において、流れ制限機構を有するカセットを示す。
【
図4】本開示の一実施形態において、流れ制限機構を有するカセットの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0021]本開示は、流れ制御装置及びその流れ制御装置を用いる方法に関するものである。包括的な実施形態では、本開示は、流れ制限器を有する筺体と、その筺体に取り付けられ、その流れ制限器に隣接して配置されるチューブとを含むカセットを提供する。流れ制限器は、筺体に取り付けられるペグ及び/又はばねと組み合わされるロック部材を含むものとすることができる。この構造では、流れ制限器のロック部材は、流体がチューブを流れることが制限される第1の位置から流体がチューブを流れることを可能とする第2の位置まで回転するように構成され配置される。カセットが使用されていないとき、ロック部材が第1の位置に配置されていると、流体がチューブを流れることが制限される。カセットは、人間又は患者が栄養組成物を必要とするときに栄養組成物を投与する経腸投与装置又はシステムの一部とすることができる。
【0019】
[0022]流れ制限機構を含むカセットは、このカセットの筺体に組み込まれた機構によって流れ制限機構及び栄養チューブセットをポンプ装置内に的確に取り付ける方法をユーザに提供し、また、栄養組成物を人間又は患者にうまく供給するための別の内蔵機能を提供することができる。流れ制限機構は、例えば、以下の場合、
1)栄養流体を用いて栄養チューブセットをプライミングする前とプライミングした後、
2)栄養チューブセットをポンプ装置に取り付けている最中とポンプ装置から取り外している最中、及び
3)栄養チューブセットがポンプ装置から取り外された後、
経腸栄養チューブセット内の栄養組成物が漏れる/流れることを防ぐ。
【0020】
[0023]本明細書で使用される用語「栄養組成物」としては、完全栄養組成物、部分的栄養組成物又は不完全栄養組成物、及び病気や疾患に特有の栄養組成物が挙げられるが、これらに限定されない。完全栄養組成物(すなわち、必須の多量栄養素及び微量栄養素の全てを含む栄養組成物)は、患者のための単独の栄養供給源として用いることができる。患者は、自身の栄養所要量の100%をそのような完全栄養組成物から摂取することができる。部分的栄養組成物又は不完全栄養組成物は、必須の多量栄養素及び微量栄養素の全てを含んでおらず、患者のための単独の栄養供給源として用いることができない。部分的栄養組成物又は不完全栄養組成物は、栄養補助剤として用いることができる。
【0021】
[0024]
図1及び
図2に示される実施形態では、本開示は、作動部材22を有するポンプ装置20を含む流れ制御システム10を提供する。更に、流れ制御システム10は、ポンプ装置20に取り外し可能に取り付けられるカセット30を含む。カセット30のこの設計は、チューブの経路を決めたりチューブを誘導したりする必要なく、又は経腸栄養チューブセット(図示しない)からチューブを回転部(例えば、ぜん動ポンプの一部)に張り渡す必要なく、経腸栄養チューブセットをポンプ装置20内に装着する一助となり得る。
【0022】
[0025]ポンプ装置20は、経腸栄養ポンプとすることができる。ポンプ装置の非限定例は米国特許第6,659,976号に記載されており、その例は参照によって本明細書に組み込まれる。ポンプ装置20は、ポンプ装置20を操作するためのコントロールパッド24とモニタ/情報スクリーン21を含んでもよい。
【0023】
[0026]カセット30は、
図1、
図3及び
図4に示される形状のような適切な形状を有すればどのようなものでもよく、ポンプ装置20内に配置されるように設計される。別のカセットの形態の非限定例は、米国特許第D504,506号、D505,199号、D455,489号、D501,924号、及びD507,647号に記載されており、これらの例は参照によって本明細書に組み込まれる。カセット30は、適切な剛性材料、半剛性材料、又は可撓性材料であればどのようなものからでも作製され得る。また、カセット30は、カセット30がポンプ装置20に一方向にのみ挿入され得るように「適合され/ポカヨケされ」てもよい。
【0024】
[0027]
図1及び
図2に示されるように、カセット30は、カセット30がポンプ装置20に挿入されるとき、ポンプ装置20の作動部材22と位置が合うように構成され配置される流れ制限器34を有する筺体32を含む。更に、筺体32は、可撓性チューブ36の流れ制限器34とは反対側で可撓性チューブ36に隣接する位置にある又は隣接して配置されるストッパ38を含む。可撓性チューブ36は、筺体32に取り付けられ、流れ制限器34に隣接して配置される。可撓性チューブ36は、シリコンなどの適切な材料であればどのようなものでも作製され得る。可撓性チューブ36の任意の適当な部分を可撓性とすることができ、一方、その他の部分が剛性又は半剛性となることは理解されるべきである。
【0025】
[0028]可撓性チューブ36は、入口42に取り付けられる第1の端部40と、出口52に取り付けられる第2の端部50とを含むことができる。その結果、流体は、可撓性チューブ36を第1の端部40から第2の端部50の方向へ流れることができる。入口42は、栄養組成物源に接続されるチューブに取り付けられてもよい。出口52は、その栄養組成物を摂取する人間に接続されるチューブに取り付けられてもよい。
【0026】
[0029]
図4に示されているように、一実施形態では、流れ制限器34は、ロック部材34a、ばね34b、及び、筺体32に取り付けられるペグ34cを含む。ロック部材34aは、閉塞部分44及び作動部分46を含む。上述したように、流れ制限器34は、ポンプ装置20の作動部材22と位置が合うように構成され配置される。具体的には、流れ制限器34の作動部分46は、流れ制限器34を回転するために作動部材22に接触するように構成され配置される。実質的に長方形状で示されているが、作動部材22は、流れ制限器34に接触し流れ制限器34を回転するのに十分であればどのような形状又は寸法を有してもよい。例えば、作動部材22は、四角形、長方形、三角形、楕円形、放物線形などの形状を有してもよい。同様に、流れ制限器34の作動部分46は、作動部材22に接触され作動部材22によって回転されるのに十分であればどのような形状又は寸法を有してもよいことも理解されるであろう。例えば、作動部分46は、四角形、長方形、三角形、楕円形、放物線形などの形状を有してもよい。更に、可撓性チューブ36をストッパ38に押し付けることによって可撓性チューブ36を閉塞するのに十分であれば、流れ制限器34の閉塞部分44がどのような形状又は寸法を有してもよいことも当業者は理解するであろう。例えば、閉塞部分44は、四角形、長方形、三角形、楕円形、放物線形などの形状を有してもよい。
【0027】
[0030]作動中、カセット30がポンプ装置20に挿入される場合、作動部材22はロック部材34aの作動部分46に接触することになる。ポンプ装置20に挿入され続けると、作動部材22は流れ制限器34を作動させることになる。一実施形態では、作動部材22は、ロック部材34aを反時計回りに回転させるためにロック部材34aの作動部材46をポンプ装置20から離れる方向へ押すことによって流れ制限器34を作動させる。ロック部材34a及びばね34bは、ペグ34cと共有する共通回転軸線を中心にして回転する。ロック部材34aが必ずしも反時計回りに回転する必要がないことは当業者なら理解するであろう。逆に、別の実施形態では、ロック部材34aは時計回りに回転することができる。
【0028】
[0031]流れ制限器34が回転によって作動される一実施形態では、カセット30がポンプ装置20に挿入される時に、流れ制限器34は
図1及び
図3に示されるような第1の位置すなわち静止位置から第2の位置すなわち作動位置(図示しない)まで回転する。第1の位置すなわち静止位置では、流れ制限器34はストッパ38のすぐ近くに配置される。「ストッパ38のすぐ近くに配置される」ことによって、流れ制限器34の少なくとも一部がストッパ38の十分近くに配置され、流体が可撓性チューブ36を流れるのを防ぐことは理解されよう。従って、流れ制限器34が第1の位置すなわち静止位置にあり、ばね34bが対応する付勢位置にあると、ロック部材34aの閉塞部分44は可撓性チューブ36を閉塞するように及び流体が可撓性チューブ36の中を流れるのを防ぐように可撓性チューブ36をストッパ38に押し付けることができる。カセット30は、カセット30をポンプ装置20に挿入する前及びカセット30をポンプ装置20から取り外した後、第1の位置すなわち静止位置にあってもよい。
【0029】
[0032]前述したように、カセット30がポンプ装置20に挿入される時に、作動部材22はロック部材34aの作動部分46に接触する。ポンプ装置20に挿入され続けると、作動部材22はロック部材34aの作動部分46に作用し続けることになり、ロック部材34aは第2の、作動位置(図示しない)まで回転する。これによって、流れ制限器34がストッパ38から離れて配置されるようにばね34bに張力がかかり、ロック部材34aの閉塞部分44はストッパ38から離れる。「ストッパ38から離れて配置される」ことによって、流れ制限器34がストッパ38から十分遠くに離れて配置され、流体が可撓性チューブ36の中を流れ得ることは理解されよう。従って、流れ制限器34が作動位置にあると、ロック部材34aの閉塞部分44が可撓性チューブ36をストッパ38に押し付けて閉塞させることはなく、それ故に、流体が可撓性チューブ36を流れることが可能になる。
【0030】
[0033]カセット30がポンプ装置20に完全に挿入されると、作動部材22はロック部材34aの作動部分46に接触したままとなり、カセット30がポンプ装置20内にある間、流体が可撓性チューブ36を流れることが可能になる。カセット30がポンプ装置20から取り外されると、作動部材22はロック部材34aの作動部分46との接触を失い、ばね34bの張力が緩和する。ばね34bの張力が緩和すると、ばね34b及びロック部材34aは第1の位置すなわち静止位置に戻ることが可能となる。一実施形態では、ロック部材34a及びばね34bは、ロック部材34aの作動部分46がストッパ38と接触するまで緩んで時計回りに回転する。このストッパ38は、ロック部材34aが時計回りに更に回転することを防ぐ。従って、カセット30がポンプ装置20から取り外されると、流れ制限器34は可撓性チューブ36を閉塞する第1の緩和した位置まで動く。
【0031】
[0034]その結果、流れ制限器34は、カセット30がポンプ装置20に挿入されるとポンプ装置20によってロック状態を解除されて非作動状態にされ得るし、カセット30がポンプ装置20から取り外されると再度作動状態にされ得る。既存の経腸栄養チューブセット内の自由流れを防止する従来の装置とは異なり、カセット30は扉を閉めることによって、圧力によって、あるいはローラクランプによって非作動状態にされることはない。その代わり、ポンプ装置20内の機構によって流れ制限器34を物理的に回転させることでカセット30は非作動状態にされることになる。
【0032】
[0035]つまり、ばね34bの付勢によってカセット30の流れ制限機構は作動状態にされることができるし、ロック部材34aを回転させてばね34bに張力を与えることによってカセット30の流れ制限機構は非作動状態にされることができる。ロック部材34aはばね34bの付勢と連動して働いて流路を封じることになり、その結果、可撓性チューブ36内の流れを防ぐ。この流れ制限機構は、ポンピング中に静圧が損失することを防ぐ。カセット30がポンプ装置20の内部にあると、ポンプ装置20内のポンプローラ(例えば、ぜん動ポンプ)によってその流れを防ぐ/制御することができる。
【0033】
[0036]本明細書に記載された現在の好適な実施形態の様々な変更及び修正が当業者に明らかとなることは理解されるべきである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その意図された利点を損なうことなく、そのような変更及び修正をなすことができる。そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。