(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
風、流れる川、そして潮流などの流れる流体のエネルギーは、二酸化炭素のような汚染排出物を生じることなく、例えば、電力を生み出すことができるエネルギー源である。現在、風または他の流体の流れから、効率的かつ経済的に、電気エネルギーを発生させることができる装置が必要とされている。現存する商業用および工業用の装置でさえ、純粋な経済的および商業的な基準で正当化することを非常に困難とする過度の償却期間を抱えている。
【0003】
風力タービンには、主たる2種類として、風が回転軸線に沿って吹き、回転するブレードにより形成された「翼車」を通過する水平軸風力タービン(HAWT)と、風が回転の軸に対して垂直となる垂直軸風力タービン(VAWT)とがある。
【0004】
HAWTは、一端において回転ハブに取り付けられた複数の長いブレードを備えるプロペラ構造である。HAWTが回転すると、各々のブレードに作用する見かけ上の風向は、最高の性能を引き出すために捩じられたブレードに沿って変化する。現在、ブレードの長手方向外側の3分の1の範囲だけで大部分の動力を発生させていることは、受け入れられているようである。より大きなサイズのHAWTは、設計上および設置上の大きな問題を有するとともに、騒音が大きいという問題もある。
【0005】
VAWTは、米国特許第1,835,018号に、ジョルジュ・ジャン・マリー・ダリアス(Georges jean Marie Darrieus)によって最初に記載されたダリアスデザインにより例証される。このタービンは、風向きに対して垂直に延びる軸線周りに回転する回転軸を備えている。このタービンは、回転軸に機械的に接続された複数のブレードを備えている。これらのブレードは、回転軸と同心の円に接する軸線の方向に沿って延びる流線型部分を有している。タービンを横切って吹く風は、横向きの推力を発生して、回転軸に回転力を生じさせる。
【0006】
オランダのロッチェムにある有限会社タービー(Turby B.V)とXC02クワイエットレボリューション(XC02/Quiet Revolution)による最近の設計のVAWT(英国特許出願第2404227号)は、長手軸線周りに回転する3枚のブレードを有し、ブレードの上端および下端は互いに水平方向にオフセットしており、各々のブレードが螺旋形状である。垂直軸風力タービンの他の設計は、特開2008-025518号公報、国際公開第2006/039727号、国際公開第2002/095221号、独国特許第2444803号、独国特許第2451751号、米国特許出願公開第2003/0209911号および国際公開第2006/095369号に開示される。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、流体の流れからエネルギーを得るタービン、より詳細には、風力タービンを提供する。このタービンは、
回転軸線と、該回転軸線の周りに回転方向に向けた回転のために配置され、前記回転軸線と実質的に平行な方向を長手方向として延びる複数のローターブレードと、を有するローターと、
使用時において、いくつかの前記ローターブレードを、流入する流体の流れから遮蔽するよう配置されたシールド部材で、これらローターブレードへの前記流体の入射が回転方向への前記ローターの回転とは反対に作用するものであるシールド部材と、を有し、
前記ローターブレードは前記ローターの円周方向に分散するとともに前記回転軸線から離間して配置されて、前記タービンの使用時に前記流体の流れが通過する実質的に円筒状の空間を前記ローターの内部に画定し、
前記シールド部材は径方向内側面と径方向外側面とにより画定され、前記径方向内側面は前記ローターの円周の一部を実質的に辿っており、
前記シールド部材の前記径方向外側面は前記径方向内側面に連なる第1の部分を備え、前記径方向内側面に連なる領域において、前記第1の部分は、前記ローターの径方向に対して、反回転方向に、0度以上90度以下の角度を成す第1の方向に延び、
前記シールド部材の前記径方向外側面は前記第1の部分に連なる第2の部分を備え、前記第1の方向と、少なくとも前記第2の部分の表面の一部を辿る第2の方向とが成す角度が、反回転方向に、0度超であることを特徴とする。
【0009】
上記のように定義された構成を有するタービンが、従来品と比較して、優れた出力と効率とを有することが見出された。特に、従来品の多くは、タービンを通過するファンネル気流によるヴェンチュリー効果に依存している。本発明の設計は、少なくとも好適な本実施の形態において、装置に入って通り抜ける流体を加速するシールド部材の領域の中に、高圧の領域をつくる。タービンの中央が開いていることにより、流体がローターに入った際と、流体がこのローターから出る際との二度にわたって、各々のローターブレードは流体と相互に作用することができる。これによって、タービンが、流体からのエネルギーを最大限に引き出すことができる。
【0010】
シールド部材の径方向内側面は、ローターの円周の一部を辿る。しかしながら、シールド部材の径方向内側面が、径方向内側面の全ての範囲に沿ってローターの円周を辿ることは可能ではあるが、必要ではない。したがって、径方向内側面は、例えば、その風下側において、ローターの周方向から分岐することができる。
【0011】
第1の方向とローターの径方向との間の角度は、0度超、望ましくは15度超、好ましくは30度超、より好ましくは45度超、さらにより好ましくは60度超とすることができる。第1の方向とローターの径方向との間の角度は、90度未満、好ましくは85度未満、より好ましくは80度未満とすることができる。第1の方向とローターの径方向との間の角度の好適な範囲は、60度と80度の間である。
【0012】
第1の方向と第2の方向との間の角度は、40度超、好ましくは60度超とすることができる。第1の方向と第2の方向との間の角度は、100度未満とすることができる。第1の方向と第2の方向との間の角度の好適な範囲は、60度と100度の間である。第2の部分は、第1の方向の逆方向に対して、反回転方向に、180度超の(最大の)角度を作る第2の方向に延びると考えることができる。
【0013】
シールド部材の径方向外側面は、第2の部分に連なる第3の部分を備えることができる。第3の部分の少なくとも一部は、第2の方向に対して、回転方向に、0度超の角度を作る第3の方向に延びることができる。このように、第3の部分の少なくとも一部は、第2の方向の逆方向に対して、反回転方向に、180度未満の角度を作る第3の方向に延びることができる。第2の方向と第3の方向との間の角度は、90度未満、好ましくは60度未満とすることができる。第2の方向と第3の方向との間の角度は、30度超とすることができる。第2の方向と第3の方向との間の角度の好適な範囲は、30度と60度の間である。第3の部分が特に短い特定の実施形態では、第2の部分と第3の部分との間の角度は90度超とすることができる。シールド部材の径方向外側面が湾曲する場合には、湾曲面の関連する部分の正接を参照することで、第1の方向および/または第2の方向および/または第3の方向を決定することができる。このように、本発明によれば、関連する方向の必要条件を満たす少なくとも1つの正接をそれぞれ有する湾曲面が選択される。
【0014】
第3の部分は、ローターの半径の半分超、且つ、ローターの半径の3倍未満の長さを有することができる。好ましくは、第3の部分はローターの半径の70%超の長さを有し、より好ましくは、第3の部分はローターの半径超の長さを有する。好ましくは、第3の部分は、ローターの半径の2倍未満の長さを有する。第3の部分は、ローターの半径未満の長さを有することができる。第3の部分(尾部)の適当な長さの決定においては、タービンの出力と、装置全体の安定性および製造性との間のトレードオフが存在する。
【0015】
ローターブレードは、横断面が円弧形でもよい。ここでの円弧形とは、単に、ローターブレードが何らか湾曲していることを意味しているに過ぎず、ローターブレードが円の弧で形成されていることは、可能であるが、これを意味するものではない。後端面が凹状である、湾曲したブレードの設計は、流体の流れを「捕える」のに効果的である。同様に、ローターブレードの凸状の先端面は、タービンの中に流体の流れを導くことができる。
【0016】
ブレードは、ローターの径方向に対して傾けることができる。したがって、ブレードの円弧状横断面の両端の間の弦線は、ローターの外向きの径方向に対して、反回転方向に、0度超、且つ、45度未満の角度を成すことができる。「弦線」という用語の使用は、ブレードが円の弧によって形成されることを意味することを目的としない。但し、ブレードが円の弧によって形成されることは可能である。ローターの径方向に対する弦線の角度は、5度超、好ましくは10度超とすることができる。ローターの径方向に対する弦線の角度は、40度未満、望ましくは35度未満、好ましくは30度未満、より好ましくは25度未満、さらにより好ましくは20度未満とすることができる。ローターブレードの全てが、サイズ、位置または向きにおいて同一である必要はないが、このようにすればタービンの設計および製造が簡素化される。本発明の特定の実施例では、ローターブレードは、螺旋形の外形を有することができる。したがって、ブレードの長手方向は、タービンの回転軸線と平行な方向だけでなく、回転軸線の接線方向についても延びて、螺旋を画定することができる。
【0017】
概して、タービンは、5枚超で19枚未満のローターブレードを備えることができる。望ましく、タービンは、7枚以上のローターブレードを備えることができる。望ましく、タービンは17枚未満のローターブレード、好ましくは15枚未満のローターブレード、また、より好ましくは13枚未満のローターブレード、さらにより好ましくは11枚未満のローターブレード、最も好ましくは9枚未満のローターブレードを備えることができる。フルサイズ製品のプロトタイプにおける現在の好適なタービンデザインは、8枚のローターブレードを備えている。
【0018】
ローターの径方向におけるローターブレードの範囲は、ローターの半径の10%超、且つ、ローターの半径の50%未満とすることができる。望ましくは、ローターの径方向におけるローターブレードの範囲は、ローターの半径の15%超、好ましくは20%超、より好ましくは25%超とすることができる。望ましくは、ローターの径方向におけるローターブレードの範囲は、ローターの半径の45%未満、好ましくは40%未満とすることができる。
【0019】
タービンは、実質的円筒状空間の内部に、流れ案内部材を備えることができる。流れ案内部材は、実質的円筒状空間の外周の一部を実質的に辿る径方向外側面を備えることができる。流れ案内部材は、径方向外側面を実質的に反転させた径方向内側面を備えることができる。
【0020】
タービンは、シールド部材と境を接するローターの半径が、タービンローターへの流体の流れの入射方向に対して、度以上45度以下の角度(風角度)を作るように構成されることができる。風角度は、0度超、好ましくは5度超、より好ましくは10度超とすることができる。風角度は、45度未満、好ましくは35度未満、より好ましくは25度未満とすることができる。風角度の好適な範囲は、10度と25度の間である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
流体の流れを回転運動に変換する装置100は、風力タービンの形で、
図1に示される。推進ブレード(推進羽根)は回転の軸線に沿って延び、この回転の軸線は地面から垂直に突出している。このように、この装置は、垂直軸風力タービンである。流体の流れの方向と
図1の装置の回転の軸線とは、互いに垂直である。この装置は、風の運動エネルギーを回転軸のトルクに変換する、1つの回転要素を有する単純な配置の形とすることができる。
【0023】
図1に示されるように、装置100は、周囲に複数のブレード104が接続された回転軸102で構成されるローターを備えている。ブレード104は、ディスク101によって回転軸102に接続されている。ディスク101は、回転軸102と同心にして、これに接続されている。ブレード104の横断面は、凸状の先端面と凹状の後端面とを備える円弧形である。各ブレード104は、回転軸102から半径方向に等距離に配置されており、また、各ブレード104は周方向に互いに等間隔で離間して配置される。ブレード104の長手方向軸線は、実質的に回転軸102と平行に延びている。ブレード104は全て同一形状で、直線状である。ブレードは、回転軸線に沿って延びつつ、この回転軸線周りに捩れる、螺旋形であってもよい。また、ブレードは、回転軸線に沿って延びつつ、この回転軸線の方へ延びる形状であってもよい。
【0024】
流体の流れから電力を発生させるために、回転軸102を、発電機または他の発電装置に接続することができる。あるいは、回転軸102を、動力または動力と発電の組み合わせとして用いることもできる。
【0025】
ブレード104の横断面形状は、
図2aに示される。ブレード104は、両端またはエッジ105に向けて先細りになる、湾曲した(円弧状の)輪郭を有する。端から端までの間で、上側(先端側)面すなわちキャンバー106は、下側(後端側)すなわちキャンバー108よりも長くなっている。このように、各々のブレード104は、翼形状の横断面を有している。本実施の形態においては、ブレード104は、弦107に垂直な方向について対称形である。弦107または軸線は、ブレード104の両端105の間に延び、または両端105の間に画定される直線である。ブレード104は、各々のブレードの弦または弦の軸線107が、装置100の回転軸線を通過するように配置することもできるが(
図1の線113)、このような配置は好ましくない。
【0026】
図2(b)には、ブレードの断面形状の変形例が示され、前述したのと同様の特徴部分には同一の符号が付されている。各々のブレード104の両端を尖らせる代わりに、両端120は面取りされている。
【0027】
図1の実施例では、ブレードの向きは、矢印112によって示される時計回り方向に装置を回転させる向きとされている。このようなブレードの向きでは、全てのブレード104が、装置100を所望の方向に駆動するわけではない。
図1の実施例において、「x」の印が付されたブレードは、抵抗力を生じるとともに、ディスクを逆方向(反時計回り方向)に駆動する方向の力を発生する。非常に一般的な条件においては、「a」の印が付されたブレードは、「b」の印が付されたブレードのように、装置を時計回り方向に駆動する方向の力を発生する。抵抗力を生じるとともに装置を反時計回り方向に駆動する方向の力を発生するブレード「x」は、145°と255°との間の角度範囲θ
xに位置する。装置を時計回り方法に駆動するブレード「a」は、245°と35°との間の角度範囲θ
aに位置する。装置を時計回り方法に駆動するブレード「b」は、35°と145°との間の角度範囲θ
bに位置する。このように、250°の範囲に亘るブレードが、時計回り方向に装置を駆動する。
【0028】
現在主張する本願発明の範囲外にある図3(
図1と同様の特徴部分には同一の符号を付してある。)に示す
装置では、流体の流れを案内して、所望の方向(この場合では時計回り方向)の推進力を発生する、装置148のブレード104の割合を増加させるために、ガイドまたはフィン150が用いられている。ガードまたはシールド152は、反対向きの、望ましくない方向(この場合では反時計回り方向)のトルクを発生する装置のブレード104の割合を減らすために用いられている。ブレード上への流体の流れの迎え角を改善または最適化するために、概して、ガイドは、回転するブレードの瞬間的または線形の移動方向に対して垂直に設置されるか、または、ブレードが接続されるディスクの円周または縁に対して垂直に設置される。シールドは、流体の流れの方向に対応した方向を向いて所望の方向とは逆向きの方向の力を発生する一部のブレードに、流体の少なくとも一部が流れることを妨げるように設けられる。本実施の形態に示されるようなガイドまたはフィンの利用は、
図5と
図6の実施形態で明らかにされるように、好ましくない。
【0029】
シールド152(
図3にV
1およびV
2として別々に示される)は、回転軸102の両側に固定される。これらのシールド152の内側縁154は、回転軸からの両端で外側に湾曲している。この形状は、流体が流れるヴェンチュリー流路を形成する。シールドV
1およびV
2の外側縁156は、装置の外周と平行に、内側に湾曲する。シールド152の外側縁156と装置の外周との間の空間は、ブレード104が通ることができる大きさである。シールドV
1およびV
2の風上側の側面158は、ヴェンチュリー流路に気流を導くために、それらの内側縁152と外側縁156との間で傾斜している。シールドV
1およびV
2の風下側の側面160は、ヴェンチュリー流路から風下側のブレードに向けて外側に気流を導くために、それらの内側縁152と外側縁156との間で傾斜している。ヴェンチュリー流路は、風上側のブレードを抜けた風を、風下側のブレードに向けて流す。本実施の形態に示されるようなヴェンチュリー流路の利用は、
図5と
図6の実施形態で明らかにされるように、好ましくない。
【0030】
ガイドg
1は、タービンの風上側に設置されている。これらのガイドg
1は、タービンの風上側にあるブレードに、流体の流れを導く。これにより、風上側にあるブレードからの力を最大にする理想的な迎え角が得られる。ガイドg
1は、長手方向軸線が回転軸と平行に延びる、薄い平板部材または細長いフィンである。ガイドg
1は、タービンの外周に沿って互いに離間して配置される。
図3の実施例では、6つのガイドが設けられている。すなわち、ガイドの数は、風上側で、シールドV
1およびV
2の間に収まることができるブレードの数に対応している。
【0031】
ガイドg
2は、タービンの風下側の、シールドV
1およびV
2と風下側のブレードとの間に設置されている。ガイドg
2は、タービンの風下側だけでなく、ブレードにも流体の流れを導く。これにより、風下側にあるブレードからの力を最大にする理想的な迎え角が得られる。ガイドg
2も、長手方向軸線が回転軸と平行に延びる、薄い平板部材または細長いフィンである。ガイドg
2は、タービンの周囲で、円周方向に互いに離間して配置される。
図3の実施例では、6つのガイドが設けられている。すなわち、ガイドの数は、風下側で、シールドV
1およびV
2の間に収まることができるブレードの数に対応している。
【0032】
シールドV
3は、望ましくない反時計回り方向に装置を押す、負の方向の力を防ぐ。シールドV
3は、タービンを反時計回り方向に駆動するブレード104の外側に固定される。シールドV
3の内側面162は、タービンの外周まわりに湾曲する。チャンネル166は、風上側において内側面162から外側に広がっている。チャンネル166は、時計回りの回転を生じるブレード104に気流を導く。風下側の内側面と外側面の間の部分168は、空気をブレード104から流出させるように傾斜している。
【0033】
この実施の形態は、風上側においてタービンの90°超にわたり駆動力を与え、また、風下側においてタービンの90°超にわたり駆動力を与え、合計でタービンの180°超にわたり駆動力を与える。露出した四半領域169(
図3)(シールドV
1の外側縁から、径方向外側に延在する領域)では、ブレード(
図2aおよび2b)の平坦側、下側またはキャンバー108に作用する流体圧により、推進力が与えられる。
【0034】
この実施例では、装置148は、風見鶏のように、羽根を有する回転可能な取付け台に設置される。その結果、装置148は、「頭部を風に向けた状態」、つまりガイドg
1が風上側で、ガイドg
2が風下側となる状態に保たれる。
【0035】
シールドV
1は、任意に設けられる。シールドV
1が設けられない場合、流体の流れが四半領域169のブレードを押して、更にタービン100を周辺で駆動するので、装置の性能は高められる。
【0036】
図4は、本発明
の実施の形態に従う風力タービンの幾何学的配列を、平面図で概略的に例示する。タービンのローターは、その円周に等間隔に分配される8枚のブレード104を備えている。前述の実施の形態と同様に、ローターブレード104は、風が通過することができる空間をローターの内部に形成するように、上部ディスクと下部ディスクとの間で略垂直に延びている。
図4では、風向は、矢印Wにより図式的に示される。
【0037】
一部のローターは、シールドV3によって風から保護されている。シールドV3のローターに対向する(径方向内側の)面は、ローターが問題なく回転するのに充分な隙間を空けてローターの円周を辿っている。シールドV3の径方向外側面は、線r1、n、pおよびqによって画定されている。線r1は、ローターを画定する円の半径であり、ローターの回転方向(
図4において反時計回り)についてのシールドV3の最大範囲を画する。
【0038】
本実施の形態では、半径r1の概念上の風向Wに対する角度Wr1(「風角度」)は、ローターの逆回転方向(
図4において時計回り)に15度である。シールドV3の風上の面は、線nによって画定されている。本実施の形態では、線nの風向Wに対する角度Wnは、ローターの回転方向に90度である。シールドV3の外側の面は、線pによって更に画定されている。本実施の形態では、線pの風向Wに対する角度Wpは、ローターの回転方向に30度である。したがって、
図4に示される実施の形態では、線nによって画定されるシールドV3の面と線pによって画定されるシールドの面とが成す角度npは、ローターの逆回転方向に60度である。風向とシールドV3の風上側の表面nとが成す角度Wnが増加すると、シールドV3の前端面は、ローターブレード104へ空気を導くのに、風に対して、より能率的な面となる。しかしながら、通常、線nと線pとの交差点の近くで生成され、ローターの周りよりむしろローターを通過させるように空気を促す高圧領域が、シールドにとって望ましいことが見出された。
【0039】
シールドV3は、線qの方向に、ローターから離れるように延びる、尾部V5を備えている。本実施の形態では、線qはローターの半径に平行であるので、尾部V5は一定の幅を有する。尾部V5は、シールドV3の周りの風の流れに対する抵抗を増やして、シールドV3により生成される高圧領域を増加させる。本実施の形態では、線pにより画定されるシールドV3の外側の面と線qにより画定される尾部V5の外側の面とが成す角度pqは、回転方向に45度である。ローターの内部に、内部シールドV2により、ローターを通る流線形の風の通路が形成される。内部シールドV2は、ローター周りのシールドV3、V5の範囲を画定する2つの半径の間の弧により画定されている。内部シールドV2の径方向外側の弧は、ローターが問題なく回転するのに充分な隙間を空けて、ブレード104の径方向内側端によって画定される円を辿っている。内部シールドV2の半径方向内側の面は、外側の面を画定している弧の両端間の弦線に沿って外側の面の輪郭を反転させたものである。
【0040】
本実施の形態では、ローターブレード104は、円弧形で、径方向の最も内側の点と径方向の最も外側の点との間で湾曲する。径方向の最も内側の点と径方向の最も外側の点とを結ぶ直線は、
図4に線mとして例示される。ローターを画定する円の半径とローターブレードの両端を結ぶ線とが成す角度r1mは、この実施形態では、ローターの逆回転方向に約35度である。この角度は、ローターの半径方向に対して、ローターブレードを後方つまり逆回転方向(回転方向とは反対方向)に傾けることによって、それが風を捕えるためにシールドV3から十分に出る前に、ローターブレードの先端面がローターの中に空気を案内する、という点で重要である。これが、タービンの出力をかなり強化する。
【0041】
例示した実施の形態では、ローターの直径は1.6mである。これは試作品のサイズであり、完全なサイズのローターの直径は、約20mである。試作品では、シールドV3の厚みは、例えば、尾部V5の遠位の先端で測定して21cmであり、また、尾部の長さは約2mである。
【0042】
図5は、本発明
の他の実施の形態に従う風力タービンの幾何学的配列を、平面図で概略的に例示する。本実施の形態では、シールドV3の外側の面は、
図4の実施の形態より湾曲し、また、より角張っていない輪郭を有する。しかしながら、本発明に従う、シールドの幾何学的配列は、同様である。
【0043】
図5の実施の形態では、タービンのローターは、円周方向に等間隔に分配される8枚のブレードを備えている。前述の実施の形態と同様に、ローターブレード104は、風が通過することができる空間をローターの内部に形成するように、上部ディスクと下部ディスクとの間で略垂直に延びている。
【0044】
図5の実施の形態では、シールドV3のローターに面した(径方向内側の)面は、ローターが問題なく回転するのに充分な隙間を空けてローターの円周を辿っている。シールドV3の径方向外側の面は、線r1、n、pおよびqによって画定されている。線r1は、ローターを画定する円の半径であり、ローターの回転方向(
図5において反時計回り)についてのシールドV3の最大範囲を画する。シールドV3の径方向外側を向く面は、半径r1から、最初ローターの逆回転方向(
図5において時計回り)に湾曲し、その後、方向を変えてローターの回転方向(
図5において反時計回り)に湾曲する、なめらかな湾曲面を形成している。
【0045】
本実施の形態では、半径r1の概念上の風向Wに対する角度Wr1(「風角度」)、ローターの逆回転方向(
図4において時計回り)に15度である。シールドV3の風上の面は、湾曲面のローターの半径r1に交わる部分における接線(シールドV3の先端の、いかなる小規模な平滑化も無視する)である、線nによって画定されている。本実施の形態では、線nの風向Wに対する角度Wnは、ローターの回転方向に95度である。
【0046】
シールドV3の外面は、ローターの逆回転方向すなわち湾曲が変化する方向への、シールドの湾曲した外面の最大角範囲を示す線pによって、さらに画定されている。本実施の形態では、線nと線pとが成す角度npは、ローターの逆回転方向に80度である。したがって、本実施の形態の線pの風向きWに対する角度Wpは、ローターの回転方向に15度である。
【0047】
前述の実施の形態のように、ローター周辺というよりむしろローターを通過させるように空気を流すシールドの構成は、線nと線pとの交差点の近くで、一般に、高圧領域を発生させるように選択されるのが望ましいことが見出された。
【0048】
シールドV3は、線qの方向に、ローターから離れるように延びる、尾部V5を備えている。線qは、湾曲が方向を変えた後の、ローターの回転方向(
図5において反時計回り)への、シールドの湾曲した外面の最大角範囲を示す。本実施の形態では、線pによって画定されるシールドV3の外面と、線qによって画定される尾部V5の外面とが成す角度pqは、回転方向に55度である。
【0049】
図4の実施の形態に記載されるのと同様に、ローターの内部に、内部シールドV2により、ローターを通る流線形の風の通路が形成される。
【0050】
図5の実施の形態では、ローターブレード104は、円弧形で、径方向の最も内側の点と径方向の最も外側の点との間で湾曲する。この実施の形態のローターブレード104は、凸状の先端面と凹状の後端面とを有する。径方向の最も内側の点と径方向の最も外側の点とを結ぶ直線は、
図5に線mとして例示される。ローターを画定する円の半径とローターブレードの両端を結ぶ線とが成す角度r1mは、この実施形態に示される場合では、ローターの逆回転方向に15度である。
【0051】
図5の実施の形態では、ローターの直径は1.6mである。これは試作品のサイズであり、完全なサイズのローターの直径は、約20mである。試作品では、尾部の長さは約0.6mである。
【0052】
要約すると、装置100の原理は、固定された軸線の周りに回転するように配置されるブレード104の使用にあり、このブレード104の主軸または長軸は回転軸線に平行である。回転軸線の方向は重要ではない。しかしながら、効率を最大にするためには、回転軸線の方向を、空気の通常の流れに対して垂直にすべきである。それにより、空気は装置100全体に流れる。気流は、回転の中心を横切る装置の直径を横切るように導かれ、または案内される。それにより、気流は、反対側にある他のブレード104を横切る。その後、空気は、自由大気に流出する。ブレード104を横切る空気の動作は、ブレード104の主軸に対して垂直で、適切な構造(例えば、ディスクまたはホイール)によって回転軸102に伝達される力を作る。そして、力はこの回転軸102の回転として出力される。
【0053】
本発明の実施の形態では、空気は、シールド部材の物理的な構造によって、更には、シールド部材と空気を有するローターとの相互作用により形成される高低の圧力領域によって、案内される。
【0054】
ローターの内部または内側は遮蔽され、または、入ってくる気流を直径または中心を横切るように案内し、最適な角度でブレードを横切るように排出するような風道を有している。各々のブレードは、ローターが1回転する間に、2つの方向から流れを受けるので、対称形のブレードの横断面は、両方向の流れを受けた際に、各々のブレードが軸に力を印加することを意味する。ブレードへの流体の流れの制御により、各々のブレードへの最適な迎え角を与える。
【0055】
要約すると、流体の流れからエネルギーを得る風力タービンは、回転軸線と、回転軸線の周りに回転のために配置された複数のローターブレード104とを有するローターを備える。ローターブレードは、回転軸線と実質的に平行な方向に向けて長手方向に延びる。シールド部材V3は、ローターブレードへの風の入射が回転方向へのローターの回転とは反対に作用するように流入する風から、いくつかのローターブレードを遮蔽するように配置される。ローターブレード104は、ローターの周方向に分散するとともに、回転軸から離間して配置されて、風が通過する実質的に円筒状の空間をローターの内部に画定する。シールド部材V3は、径方向内側面と径方向外側面とにより画定される。径方向内側面は、ローターの円周の一部を実質的に辿っている。シールド部材V3の径方向外側面は、径方向内側面に連なる第1の部分を備えている。径方向内側面に連なる領域において、第1の部分は、ローターの径方向に対して、反回転方向に、0度以上90度以下の角度を作る第1の方向nに延びる。シールド部材V3の径方向外側面は、第1の部分に連なる満たす第2の部分を備える。少なくとも第2の部分の一部は、第1の方向nに対して、反回転方向に、0度超の角度を作る第2の方向pに延びる。このタービンは、従来の類似の設計と比較して、出力および効率が改善された。
【0056】
本発明の実施の形態は、図示された例に特に関連して記載されている。しかしながら、本発明の範囲内で、記載された実施例に変形や変更を成すことができることはいうまでもない。上記の例は、主に流体の流れが風である場合に関して記載されているが、本願明細書に記載された装置は、川や潮流における水の流れのような他の流れる流体にも用いることができる。
図1と
図3の装置は、その外周の周りに24枚のブレードを有するように記載されているが、異なる枚数のブレードを用いることができる。