(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における弾性波装置21の断面模式図である。弾性波装置21は、圧電基板22と、圧電基板22の上面22U上に配置されたインタデジタルトランスデューサ(IDT)電極23と、圧電基板22の上面22U上に配置された配線電極24と、圧電基板22の上面22U上に配置された側壁25と、側壁25の上面25U上に設けられた天板電極27と、側壁25と天板電極27とを覆う絶縁体28と、絶縁体28の上面28U上に配置された樹脂層33と、樹脂層33の上面33U上に設けられたインダクタ電極29と、樹脂層33の上面33Uとインダクタ電極29とを覆う絶縁体30と、絶縁体30の上面30U上に配置された端子電極31と、絶縁体28、30と樹脂層33を貫通する接続電極32とを備える。配線電極24はIDT電極23に接続されている。側壁25はIDT電極23の周囲を囲む。天板電極27はIDT電極23上の空間26を覆う。接続電極32は配線電極24とインダクタ電極29と端子電極31とを電気的に接続する。樹脂層33は絶縁体28とインダクタ電極29との間に設けられている。樹脂層33は絶縁体28よりもフィラーの密度が小さい。
【0015】
圧電基板22はタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体単結晶からなる基板である。
【0016】
圧電基板22の上面22Uにチタンよりなる密着層を形成し、密着層にアルミニウムを主成分とする金属膜をスパッタリングにより形成する。その金属層をフォトリソグラフ法によりドライエッチングでパターニングすることによりIDT電極23および配線電極24が形成される。IDT電極23は互いに対向する櫛形電極を有し、圧電基板22の上面22Uに弾性波を励振する。配線電極24はIDT電極23から引き出された配線であって、弾性波装置21の回路を構成する。
【0017】
図1(b)は弾性波装置21の要部平面図であり、インダクタ電極29の平面図である。インダクタ電極29は、樹脂層33の上面33U上に設けられた渦巻状に延びる金属等の導電材料よりなる導体帯よりなる。その導体帯は端部29Sから端部29Tまで延びている。端部29Tは渦巻形状の外周側に位置し、端部29Sは渦巻形状の中心側に位置する。端部29Tは配線電極24に接続され、端部29Sは端子電極31に接続されている。実施の形態1においては、インダクタ電極29は渦巻形状であるが、メアンダ形状等、他の形状であってもよい。
【0018】
側壁25は感光性のポリイミド系樹脂をフォトリソグラフによりパターニングして形成され、IDT電極23が励振する空間26を側面から封止する。
【0019】
樹脂製の接着層を介して銅箔等の導体箔を側壁25の上面25Uに接着し、導体箔の上面から金属メッキすることにより天板電極27を形成する。天板電極27はIDT電極23が励振する空間26を上面から封止する。このように、天板電極27と側壁25はIDT電極23を覆う。
【0020】
絶縁体28は、側壁25と天板電極27とを覆うように熱硬化性のエポキシ系樹脂を塗布し硬化した後にその上面を研削して形状を整えて得られる。この研削により同時に、接続電極32の断面を絶縁体28の上面28Uから露出させて、インダクタ電極29と接続電極32との接続を可能にしている。絶縁体28は、エポキシ系樹脂等の絶縁樹脂28Cと、絶縁樹脂に分散する20重量%以上のフィラー28Dとを含有する。この材料によって、IDT電極23が励振する空間26を保持するための機械的強度と、水分の空間26内への浸入を抑制できる。絶縁体28に含有させるフィラーとしては、シリカ、マイカ、アルミナなどの粒を用いることができる。
【0021】
樹脂層33を形成するために、まず、絶縁体28の上面28U上にフィラーを含有しない感光性のエポキシ系樹脂等の絶縁樹脂をスピンコートにより塗布する。塗布した絶縁樹脂を、接続電極32が貫通する箇所を除いて、すなわち接続電極32を露出させるようにフォトリソグラフにより感光・硬化させて樹脂層33を形成する。樹脂層33は絶縁体28の上面28Uの凹凸をカバーし、インダクタ電極29が形成される樹脂層33の上面33Uは平坦である。樹脂層33の平坦な上面33U上に形成されるインダクタ電極29の下面を平滑にすることができ、インダクタ電極29の高周波における表皮電流の抵抗を低減することができる。これにより電気エネルギーの損失を低減することができるので、インダクタ電極29のインダクタとしての特性を良好にすることができる。したがって、樹脂層33は、少なくともインダクタ電極29が形成される下地に設ければよいので、絶縁体28の上面28Uの凹凸を平坦にする程度の厚みを有するように薄くすることができる。樹脂層33はフィラーを含有しないので、インダクタ電極29の高周波における電気特性を向上させる。一般にフィラーの比誘電率は樹脂の比誘電率よりも高いので、フィラーを含有させると樹脂の比誘電率が上昇して高周波における誘電損失を増加させる。樹脂層33はフィラーを含有しないので、インダクタ電極29の周囲の絶縁体の比誘電率を低くすることができるため、誘電損失を低減することができ、インダクタ電極29の電気特性を向上することができる。
【0022】
インダクタ電極29は、樹脂層33の上面33U上にフォトリソグラフにより形成された銅などの金属からなる電極であり、インダクタンスを形成するインダクタとして機能する。
【0023】
絶縁体30は樹脂層33の上面33Uとインダクタ電極29とを上から覆い、フィラーを含まない感光性のエポキシ系樹脂よりなる。その樹脂を樹脂層33の上面33Uとインダクタ電極29上にスピンコートにより塗布した後、フォトリソグラフにより接続電極32が貫通する箇所を除いて感光・硬化させることで絶縁体30を形成する。絶縁体30は、樹脂30Cと、樹脂30Cに分散するフィラー30Dとを含有しても良い。フィラー30Dは絶縁体30の機械的強度を確保する。特に、弾性波装置21をトランスファーモールドのように高い圧力で樹脂モールドして使用する場合には、モールド圧により絶縁体30が変形しインダクタ電極29の特性が変化するのを防止するために、絶縁体30の機械的強度を高める必要があり、その場合には20重量%以上のフィラー30Dを絶縁体30に含有させると良い。しかし、絶縁体30におけるインダクタ電極29の近傍には、実質的にフィラー30Dを含有しない、またはフィラー30Dの密度が絶縁体30より低い樹脂層34を設けるとよい。樹脂層34はインダクタ電極29を覆う。このように、樹脂層34は実質的にフィラー30Dを含有しない、または絶縁体30よりフィラー30Dの密度の低い樹脂層とすることによって、インダクタ電極29の表面にフィラー30Dの粒が押し付けられて跡ができるのを抑制することができる。これにより、インダクタ電極29の表面の平滑性を確保することができるので、インダクタ電極29の高周波における電気特性を良好に維持することができる。また、樹脂層34にフィラー30Dを含有させないことによって、インダクタ電極29の周囲の絶縁体の比誘電率を低くすることができる。したがって、誘電損失を低減することができ、インダクタ電極29の電気特性を向上することができる。樹脂層34がフィラー30Dを含有するがフィラー30Dの密度を低くする場合には、樹脂層34のフィラー30Dの密度を絶縁体28と絶縁体30の少なくとも一方のフィラー28D、30Dの密度よりも低くする。樹脂層34に低密度のフィラー30Dを含有させる場合には、樹脂層34に含有させるフィラーの平均粒径は、インダクタ電極29の最小配線間隔の1/3とする。これにより、インダクタ電極29に対するフィラーの影響を少なくすることができ、インダクタの特性を良好に保つことができる。
【0024】
端子電極31は、絶縁体30の表面に形成された金属製の電極であり、弾性波装置21の入出力端子およびグランド端子として機能する。
【0025】
接続電極32は、絶縁体28、30と樹脂層33を貫通する金属製の電極であり、銅などのめっきにより形成し、配線電極24とインダクタ電極29と端子電極31とを電気的に接続する。接続電極32における絶縁体28を貫通する部分は、天板電極27をめっきにより形成する際に同時に形成することにより、製造工程を簡略化できる。
【0026】
以上のように、実施の形態1における弾性波装置21では、絶縁体28とインダクタ電極29との間に、実質的にフィラーを含有しない樹脂層33が設けられている。これにより、絶縁体28の上面28Uの凹凸を、フィラーを含有しない樹脂層33で埋めて平滑にすることができ、インダクタ電極29を平滑性の高い上面33U上に形成することができる。したがって、インダクタ電極29の表面を平滑にすることができ、その高周波特性を良好に確保することができるとともにそのばらつきを低減することができる。
【0027】
図8に示す従来の弾性波装置1では、絶縁体8の上面が研削により粗面化しているので、絶縁体8の上面に形成されたインダクタ電極9は、その研削面の影響を受けてQ値が低下するとともにそのインダクタンスがばらつく場合がある。
【0028】
なお、絶縁体28はフィラー28Dを含有するので、上面28Uにはフィラー28Dの粒子が突出する。粒子間の隙間を、フィラーを含有しない樹脂層33で埋めた場合に、樹脂層33は絶縁体28と接触する部分において絶縁体28のフィラー28Dの一部を共有する。したがって、樹脂層33は、絶縁体28のフィラーの平均密度よりも小さい密度でフィラーを含有する絶縁体とみなすこともできる。すなわち、絶縁体28とインダクタ電極29との間に、絶縁体28よりもフィラーの密度の小さい樹脂層33を設けたことにより、インダクタ電極29を平滑性の高い樹脂層33の上面33U上に形成することができる。これにより、インダクタ電極29の表面を平滑にすることができるので、インダクタとしての高周波特性を良好に確保することができる。ここで、樹脂層33の厚みを、絶縁体28のフィラー28Dの粒の平均粒径よりも大きくすることにより、絶縁体28から突出したフィラー28Dを樹脂層33により確実に覆うことができ、インダクタの高周波特性を良好にすることができる。
【0029】
また、実施の形態1における弾性波装置21では、絶縁体30におけるインダクタ電極29の近傍にインダクタ電極29に接してインダクタ電極29を覆うように樹脂層34を設けてもよい。樹脂層34は、実質的にフィラーを含有しない、または絶縁体28または絶縁体30のフィラー28D、30Dの密度よりも小さい密度のフィラーを含有する。これにより、インダクタ電極29の表面の平滑性を維持することができ、その高周波特性を良好に確保することができるとともにそのばらつきを低減することができる。
【0030】
また、実施の形態1における弾性波装置21では、樹脂層33はフィラーを含有しない感光性エポキシ樹脂よりなる。樹脂層33は低い密度でフィラーを含有してもインダクタ電極29の表面を平滑化することができる。また、樹脂層33に含有されたフィラーの最大粒径を小さくすることでもインダクタ電極29の表面を平滑化することができる。しかし、インダクタ電極29の表面を平滑化する観点からは、樹脂層33はフィラーを含有しないことが好ましい。
【0031】
また、実施の形態1における弾性波装置21においては、絶縁体28はフィラー28Dを含有する樹脂よりなる。絶縁体28は樹脂以外の絶縁体よりなっていても良い。絶縁体28の上面28U上にインダクタ電極29を直接形成すると、インダクタ電極29の表面の平滑性が絶縁体28の表面粗さによって影響を受ける。実施の形態1における弾性波装置21においては、絶縁体28とインダクタ電極29との間に、フィラーを含有しない樹脂からなる樹脂層33を設けることによってインダクタ電極29との表面の平滑性を確保することができ、インダクタ電極29の高周波特性を良好に保つことができる。
【0032】
また、絶縁体28、30の両方にフィラー28D、30Dを含有させた樹脂を用いた場合には、絶縁体28、30間の面の全体にフィラーの密度の小さいまたはフィラーを実質的に含有しない樹脂層33または樹脂層34を設けることにより、絶縁体28、30間の密着力を確保することができる。
【0033】
また、実施の形態1における弾性波装置21は、内部にIDT電極23が励振するための空間26を有する弾性表面波フィルタであるが、内部に空間26を有さない弾性境界波フィルタであっても同様の効果を有する。しかし、内部にIDT電極23が励振するための空間26を有する弾性波装置21では、空間26の形状を保持するための機械的強度および空間26への水分の浸入を抑制することが必要なので、絶縁体28を構成する樹脂28Cにフィラー28Dを含有させる必要性が高い。この場合に、絶縁体28の上面28U上にインダクタ電極29を直接形成すると、インダクタ電極29との表面の平滑性が損なわれてしまう。したがって、フィラーを含有しない樹脂層33を絶縁体28の上面28Uとインダクタ電極29との間に設けることで、インダクタ電極29の高周波特性を確保することができる。
【0034】
また、実施の形態1における弾性波装置21においては、絶縁体28および樹脂層33は、液状の樹脂を塗布および硬化することによって形成するが、シート状の未硬化樹脂をラミネートして形成してもよい。この場合、絶縁体28となるシート状樹脂と、樹脂層33となるシート状樹脂を貼り合わせた構成のシート状の樹脂を用いて一括してラミネートして絶縁体28と樹脂層33とを形成しても良い。さらに、フィラーを含有する単一の樹脂シートを用いて、インダクタ電極29に接する面のフィラーの密度を低くすることにより、絶縁体28と樹脂層33を構成しても良い。
【0035】
図2(a)と
図2(b)は、実施の形態1における弾性波装置21のインダクタ電極29のインダクタンスの変化率を示す。天板電極27の上面27Uからインダクタ電極29の下面29Lまで距離D1だけ離れており、端子電極31の下面31Lからインダクタ電極29の上面29Uまでの距離D2だけ離れている弾性波装置21のサンプルを準備する。そのサンプルにトランスファーモールドのモールド圧力に相当する70barの圧力を加える。
図2(a)と
図2(b)は、その圧力を加える前のインダクタ電極29のインダクタンスに対する、圧力を加えた後のインダクタンスの変化率を示す。
【0036】
図2(a)は、距離D2を一定とし、距離D1を10μmから120μmまで変化させたときのインダクタ電極29のインダクタンスの変化率を示す。距離D1を15μm以上にすることによりインダクタ電極29のインダクタンスの変化率を10%以下に抑制することができる。距離D1を50μm以上にすることによりインダクタ電極29のインダクタンスの変動を1%以下に抑制することができる。
【0037】
図2(b)は、距離D1を一定とし、距離D2を5μmから90μmまで変化させたときのインダクタ電極29のインダクタンスの変化率を示す。距離D2を10μm以上にすることによりインダクタ電極29のインダクタンスの変動を10%以下に抑制することができる。さらに距離D2を30μm以上にすることによりインダクタ電極29のインダクタンスの変動を1%以下に抑制することができる。
【0038】
弾性波装置21に内蔵するインダクタ電極29であるインダクタを、デュプレクサのグランド回路に接続するインダクタとして使用する場合、インダクタンスの変化率を10%以下にする必要がある。このような用途では、天板電極27の上面27Uからインダクタ電極29の下面29Lまでの距離D1を15μm以上にするとともに、端子電極31の下面31Lからインダクタ電極29の上面29Uまでの距離D2を10μm以上にする。これにより、弾性波装置21をトランスファーモールドのように高い圧力で樹脂モールドして使用する場合であってもインダクタ電極29のインダクタンスの変動を抑えることができ、必要とする特性を得ることができる。
【0039】
また、距離D1を50μm以上にするとともに、距離D2を30μm以上にすることにより、インダクタンスの変動を1%以下に抑制することができ、より精度の高いインダクタンス特性が得られる。
【0040】
(実施の形態2)
図3(a)は本発明の実施の形態2における弾性波装置111の断面模式図である。弾性波装置111は、圧電基板112と、圧電基板112の上面112U上に配置された複数のインタデジタルトランスデューサ(IDT)電極113と、圧電基板112の上面112U上に配置された配線電極114と、圧電基板112の上面112U上に配置された側壁115と、側壁115の上面115U上に設けられた接着層117と、接着層117の上面117U上に設けられた天板電極118と、圧電基板112の上面112U上に設けられた絶縁体119と、絶縁体119の上面119U上に配置されたインダクタ電極120と、絶縁体119の上面119U上に設けられた絶縁体121と、絶縁体121の上面121U上に配置された端子電極122と、絶縁体119を貫通する接続電極123と、絶縁体121を貫通する接続電極124と、絶縁体119を貫通する接続電極125とを備える。配線電極114はIDT電極113に接続されている。側壁115はIDT電極113の周囲を囲む。接着層117はIDT電極113の上に形成された励振空間116を覆う。天板電極118は金属製である。絶縁体119は側壁115と接着層117と天板電極118とを覆う。絶縁体121は絶縁体119とインダクタ電極120とを覆う。接続電極123は配線電極114とインダクタ電極120とを電気的に接続する。接続電極124はインダクタ電極120と端子電極122とを電気的に接続する。接続電極125はインダクタ電極120と天板電極118とを電気的に接続する。側壁115と接着層117と絶縁体119、121とは、励振空間116を封止する絶縁体126を構成する。
【0041】
図3(b)は弾性波装置111の要部平面図であり、インダクタ電極120の平面図である。インダクタ電極120は、絶縁体119の上面119U上に設けられた渦巻状に延びる金属等の導電材料よりなる導体帯よりなる。その導体帯は端部127から端部128まで延びている。端部127は渦巻形状の外周側に位置し、端部128は渦巻形状の中心側に位置する。
【0042】
インダクタ電極120の端部127は接続電極123を介して配線電極114に接続されている。インダクタ電極120の端部128は接続電極124を介して端子電極122に接続され、かつ接続電極125を介して天板電極118に接続されている。
【0043】
圧電基板112はタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体単結晶からなる基板である。
【0044】
圧電基板112の上面112Uにチタンの密着層を介してアルミニウムを主成分とする金属膜をスパッタリングにより形成し、その金属膜をフォトリソグラフ法によりドライエッチングしてパターニングすることによりIDT電極113および配線電極114を形成することができる。IDT電極113は、互いに対向する櫛形電極を有し、圧電基板112の上面112Uに弾性波を励振するように配置されている。配線電極114は、IDT電極113から引き出されて、弾性波装置111の回路を構成する。
【0045】
側壁115は、感光性のポリイミド系樹脂を用いてフォトリソグラフにより形成され、IDT電極113が励振する励振空間116を側面から封止する。
【0046】
接着層117は、天板電極118を側壁115の上面115Uに接着し、IDT電極113が励振する励振空間116を上方から封止する。
【0047】
天板電極118は、側壁115の上面115U上に接着層117を介して銅箔を接着し、その銅箔に電気銅メッキすることによって形成する。天板電極118は、励振空間116を上方から封止する接着層117の機械強度を補強する。
【0048】
接続電極123は、天板電極118を電気銅メッキすることにより形成する際に同時に配線電極114の上に電気銅メッキすることによって形成した柱状の電極であり、配線電極114とインダクタ電極120とを電気的に接続する。
【0049】
接続電極125は、天板電極118の上面118U上に電気銅メッキにより形成した柱状の電極であり、天板電極118とインダクタ電極120とを電気的に接続する。
【0050】
圧電基板112の上面112U上に形成した側壁115と天板電極118と接続電極123とを覆うように、シート状の熱硬化性のエポキシ系樹脂を軟化させてラミネートした後に、ラミネートしたエポキシ系樹脂を硬化する。その後に硬化したエポキシ系樹脂の上面を研削して形状を整えて、絶縁体119が得られる。この研削により同時に、接続電極123の上端面と接続電極125の上端面とを絶縁体119の上面119Uから露出させて、インダクタ電極120と接続電極123、125との接続を可能にする。絶縁体119は、IDT電極113が励振する励振空間116を保持するための機械的強度と、水分の励振空間116内への浸入を抑制するために、エポキシ系樹脂等の樹脂119Cと、樹脂119Cに分散するシリカ、マイカ、アルミナなどの絶縁体粒子であるフィラー119Dよりなる。絶縁体119は、液状のエポキシ系樹脂を塗布して硬化させ、上面を研削して形成することも可能である。
【0051】
インダクタ電極120は、絶縁体119の上面119U上にフォトリソグラフにより形成された銅などの金属からなる電極であり、インダクタンスを形成するインダクタとして機能する。
【0052】
絶縁体121は、絶縁体119とインダクタ電極120とを上から覆う感光性のエポキシ系樹脂よりなり、フィラーを含まない。液状の感光性のエポキシ系樹脂をスピンコートにより塗布した後、フォトリソグラフにより接続電極124が貫通する箇所を除いて感光・硬化させて絶縁体121を形成する。
【0053】
接続電極124は、絶縁体121を貫通する金属製の柱状の電極であり、銅などのめっきにより形成し、インダクタ電極120と端子電極122とを電気的に接続する。
【0054】
端子電極122は、絶縁体121の上面121Uに形成された金属製の電極であり、弾性波装置111の入出力端子およびグランド端子として機能する。
【0055】
一般に弾性波装置111において、圧電基板112上のIDT電極113の配置により配線電極114に接続される接続電極123の位置は制限され、接続電極123は圧電基板112の上面112U上の外周部に配置されることが多い。端子電極122は、その面積を大きくすることにより、端子電極122に接続される接続電極124の位置の制約を低減することができる。
【0056】
実施の形態2における弾性波装置111では、インダクタ電極120の端部127が接続電極123を介して配線電極114に接続され、インダクタ電極120の端部128が接続電極124を介して端子電極122に接続される。これにより、インダクタ電極120を接続するための配線経路を最短化することができる。この構造により、追加の引き回し配線を必要とせず、小型でかつ抵抗損の低い弾性波装置111が得られる。
【0057】
以上のように、実施の形態2における弾性波装置111は、圧電基板112と、圧電基板112上に設けられたIDT電極113と、圧電基板112上に設けられてIDT電極113に接続された配線電極114と、圧電基板112上においてIDT電極113と配線電極114とを封止する絶縁体119、121と、絶縁体126の中に設けられたインダクタ電極120と、絶縁体126の上に設けられた端子電極122とを備える。インダクタ電極120の端部127は接続電極123を介して配線電極114に接続される。インダクタ電極120の端部128は接続電極124を介して端子電極122に接続される。
【0058】
この構成により、インダクタ電極120を接続するための配線経路を最短化することができ、小型の弾性波装置111を実現できる。また、インダクタ電極120に接続するための追加の引き回し配線を必要としないので抵抗損を低くすることができ、インダクタ電極120の良好なインダクタンス特性を得ることができる。
【0059】
特に、インダクタ電極120の端部128を端子電極122の直下に配置することにより、インダクタ電極120の端部128と端子電極122を接続する接続電極124の配線長を最小化することができ、接続電極124に起因する抵抗損を最小化することができる。
【0060】
また、インダクタ電極120の端部127を配線電極114の直上に配置することにより、インダクタ電極120の端部127と圧電基板112上の配線電極114を接続する接続電極123の配線長を最小化することができ、接続電極123に起因する抵抗損を最小化することができる。
【0061】
また、実施の形態2における弾性波装置111は、圧電基板112と、圧電基板112上に設けられたIDT電極113と、圧電基板112上に設けられてかつIDT電極113に接続された配線電極114と、圧電基板112上においてIDT電極113と配線電極114とを封止する絶縁体126と、絶縁体126の中に設けられたインダクタ電極120と、絶縁体126の上に設けられた端子電極122と、絶縁体126の中に設けられてかつ配線電極114とインダクタ電極120とを接続する接続電極123と、インダクタ電極120と端子電極122とを接続する接続電極124とを備える。上から見てインダクタ電極120は、端子電極122の直下において、端子電極122の外縁の範囲内に収まる。
【0062】
この構成により、インダクタ電極120は端子電極122によってカバーされるので、外力によるインダクタ電極120の変形を抑制することができ、インダクタ特性の変化を抑制することができる。弾性波装置111に外力が加わった場合に、IDT電極113が励振するための励振空間116を覆う絶縁体126が励振空間116に向けて変形すると、絶縁体126の内部のインダクタ電極120が変形することによりインダクタ特性に変化が生じる。
【0063】
特に、弾性波装置111を他の電子部品と共に実装基板811に実装した後に、トランスファーモールドにより樹脂モールドする場合には、トランスファーモールドするための条件が温度170〜180℃、圧力50〜100気圧という非常に厳しい環境に弾性波装置111がさらされる。その環境下で絶縁体126が大きく変形し、絶縁体126の中に設けられたインダクタ電極120の形状も同様に変形してインダクタの特性が大きく変化する。また、絶縁体126に樹脂材料を使用した場合には、この変形の程度が特に大きい。
【0064】
図3(a)に示すように、インダクタ電極120を励振空間116の真上に設ける場合は、樹脂のモールド圧の影響による絶縁体126の変形量がより大きくなる。したがって、励振空間116の真上を回避してインダクタ電極120を設ける必要があり、インダクタ電極120の配置できる領域が制約される。
【0065】
弾性波装置111は外部の実装基板811に実装されるように構成されている。実装基板811は実装電極812を有する。端子電極122は実装電極812にハンダ等の導電性接着剤813で固着されるように構成されている。したがって、実装基板811と導電性接着剤813によって補強されることにより外力による端子電極122の変形が極めて小さく、実装後にトランスファーモールドする場合であってもモールド圧力の影響は小さい。
【0066】
実施の形態2における弾性波装置111では、インダクタ電極120の直上においてインダクタ電極120をカバーするように端子電極122を設ける。この構成によって、実装後に樹脂モールドした場合であっても、インダクタ電極120への外力による影響を小さくすることができ、インダクタの特性変化を著しく減少させることができるので、弾性波装置111の電気特性を安定化することができる。
【0067】
またこれにより、圧電基板112内で、インダクタ電極120を形成する領域の制約が少なくなり、インダクタ電極120を形成する層数を増やすことなく、より大きなインダクタンスが得られる。したがって、インダクタを内蔵しても厚みの増加が少ない小型で薄い弾性波装置111を得ることができる。
【0068】
さらに、実施の形態2における弾性波装置111では、絶縁体126の中に励振空間116の上方を覆う天板電極118が設けられ、天板電極118とインダクタ電極120の端部128とを接続する接続電極125が設けられる。これにより、外力の影響によるインダクタ電極120の電気特性への影響を少なくすることができる。すなわち、励振空間116の上方を覆う天板電極118によりインダクタ電極120の下方の部分の機械的強度を確保することができる。同時に、天板電極118とインダクタ電極120の端部128とを接続する接続電極125により、インダクタ電極120の位置を機械的に補強する。これによって、弾性波装置111を樹脂モールドする場合のように、弾性波装置111に大きな外力が加わっても、インダクタ電極120の変形をさらに少なくすることができ、インダクタ電極120の電気的特性の変動を抑制することができる。
【0069】
また、実施の形態2における弾性波装置111では、側壁115と接着層117は励振空間116を覆う蓋体170を構成し、絶縁体119、121は蓋体170を圧電基板112の上面112U上において封止する封止体171を構成する。絶縁体126は、蓋体170と封止体171とから構成される。接続電極123を蓋体170の外部に設けたことにより、接続電極123を形成する際に、蓋体170を貫通して接続電極123を形成する必要が無いので、簡略な製造工程で弾性波装置111を製造することができる。また、この構造により、インダクタ電極120の端部127と接続電極123とを接続する配線の引き回しを短くすることができるので、不要な電磁相互作用を低減するとともに小型の弾性波装置111を実現できる。
【0070】
また、上記構成により、インダクタ電極120を接続するための配線経路を最小化することができ、引き回しのための追加の配線を必要としないので、抵抗損を低くできる。したがって、占有面積が圧電基板112と同程度の小型の弾性波装置111において、インダクタ電極120の良好なインダクタンス特性を得ることができる。
【0071】
なお、実施の形態2においては、インダクタ電極120は渦巻形状であるが、メアンダ形状等、他の形状であってもよい。励振空間116の真上に配置されたインダクタ電極120の直上においてインダクタ電極120をカバーするように、実装基板811とハンダ付けされる端子電極122を設けておくことにより、外力に対して特性変化の少ない弾性波装置111を実現できる。
【0072】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3における弾性波装置191の回路図である。
図5は弾性波装置191の断面模式図である。
図4と
図5等の実施の形態3における図面において、
図3(a)に示す実施の形態2における弾性波装置111と同じ構成部品は同じ参照番号を付す。
【0073】
図4に示すように、弾性波装置191は送信フィルタ129と受信フィルタ130とを備えたデュプレクサである。送信フィルタ129の入出力端子は、不平衡の送信側信号端135Aと、送信側グランド端135Bと、アンテナ端135Cである。受信フィルタ130の入出力端子は、平衡の受信側信号端135Dと、受信側グランド端135Eと、アンテナ端135Cである。受信フィルタ130では、2個の縦結合共振子型弾性波フィルタ131と1個の一端子対弾性波共振器132とが信号線路に直列に接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ131の接地線路は天板電極118を経由して受信側グランド端135Eに接続される。送信フィルタ129は、一端子対弾性波共振器である直列腕共振器133と、一端子対弾性波共振器である並列腕共振器134とを有する。送信フィルタ129は、信号線路に直列に接続された5個の直列腕共振器133と、信号線路と接地線路との間に接続した3個の並列腕共振器134とから構成した梯子型回路からなる。送信側信号端135Aに最も近い直列腕共振器133と送信側信号端135Aとの間にインダクタ136Aが直列に接続される。3個の並列腕共振器134の接地側と送信側グランド端135Bとの間にインダクタ136Bが接続される。そして、送信側グランド端135Bは天板電極118に接続されている。
【0074】
図5に示すように、弾性波装置191は、圧電基板112と、圧電基板112の上面112U上に配置された複数のIDT電極113と、圧電基板112の上面112U上に配置された配線電極114B、114Eと、圧電基板112の上面112U上に配置された側壁115と、側壁115の上面115U上に設けられた接着層117と、接着層117の上面117U上に設けられた天板電極118と、圧電基板112の上面112U上に設けられた絶縁体119と、絶縁体119の上面119U上に配置されたインダクタ電極120Bと、絶縁体119の上面119U上に設けられた絶縁体121と、絶縁体121の上面121U上に配置された端子電極122B、122C、122Eとを備える。配線電極114B、114EはIDT電極113に接続されている。側壁115はIDT電極113の周囲を囲む。接着層117は、IDT電極113の上に形成された励振空間116を覆う。天板電極118は金属製である。絶縁体119は側壁115と接着層117と天板電極118とを覆う。絶縁体121は絶縁体119とインダクタ電極120Bを覆う。接続電極123Bは絶縁体119を貫通し配線電極114Bとインダクタ電極120Bの端部127Bとを電気的に接続する。接続電極124Bは絶縁体121を貫通し、インダクタ電極120Bの端部128Bと端子電極122Bとを電気的に接続する。接続電極125Bは絶縁体119を貫通し、インダクタ電極120Bの端部128Bと天板電極118とを電気的に接続する。接続電極123Eは絶縁体119を貫通し、配線電極114Eと天板電極118とを接続する。接続電極124Eは絶縁体121を貫通し、天板電極118と端子電極122Eとを接続する。側壁115と接着層117と絶縁体119、121とは、励振空間116を封止する絶縁体126を構成している。
【0075】
図6は弾性波装置191の圧電基板112の平面図である。弾性波装置191では、圧電基板112の上面112U上に送信フィルタ129と受信フィルタ130とが設けられている。受信フィルタ130は、直列に接続された2個の縦結合共振子型弾性波フィルタ131と1個の一端子対弾性波共振器132とを備える。送信フィルタ129は、信号線路に直列に接続された5個の一端子対弾性波共振器である直列腕共振器133と、信号線路と接地線路との間に接続された3個の一端子対弾性波共振器である並列腕共振器134とを有する梯子型回路からなる。配線電極114Aは送信フィルタ129の入力側配線であり、接続電極123Aが接続される。配線電極114Bは送信フィルタ129のグランド配線であり、接続電極123Bが接続される。配線電極114Cは送信フィルタ129と受信フィルタ130の共通配線であり、接続電極123Cが接続される。配線電極114Dは受信フィルタ130の出力側配線であり、接続電極123Dが接続される。配線電極114Eは受信フィルタ130の接地側配線であり、接続電極123Eに接続される。
【0076】
図7(a)は弾性波装置191の要部平面図である。絶縁体119の上面119U上にインダクタ電極120A、120Bが設けられている。インダクタ電極120Aは、絶縁体119の上面119U上に設けられた渦巻形状に延びる金属等の導電材料よりなる導体帯よりなる。その導体帯は端部127Aから端部128Aまで延びている。端部127Aは渦巻形状の外周側に位置し、端部128Aは渦巻形状の中心側に位置する。インダクタ電極120Bは、絶縁体119の上面119U上に設けられた渦巻状に延びる金属等の導電材料よりなる導体帯よりなる。その導体帯は端部127Bから端部128Bまで延びている。端部127Bは渦巻形状の外周側に位置し、端部128Bは渦巻形状の中心側に位置する。インダクタ電極120A、120Bはインダクタンスを形成するインダクタとして機能する。具体的には、インダクタ電極120Aは、
図4に示すインダクタ136Aである。インダクタ電極120Aの端部127Aの下面には接続電極123Aが接続される。インダクタ電極120Aの端部128Aの上面には接続電極124Aが接続される。インダクタ電極120Bは、
図4に示すインダクタ136Bである。インダクタ電極120Bの端部127Bの下面には接続電極123Bが接続される。インダクタ電極120Bの端部128Bの上面には接続電極124Bが接続される。インダクタ電極120Bの端部128Bの下面には接続電極125Bが接続される。
【0077】
図7(b)は弾性波装置191の要部平面図である。絶縁体121の上面121U上には端子電極122A、122B、122C、122D、122Eが設けられている。端子電極122Aは
図4に示す送信側信号端135Aである。端子電極122Bは
図4に示す送信側グランド端135Bである。端子電極122Cは
図4に示すアンテナ端135Cである。端子電極122Dは
図4に示す受信側信号端135Dである。端子電極122Eは
図4に示す受信側グランド端135Eである。端子電極122Aの下面には接続電極124Aが接続され、インダクタ電極120Aと接続電極123Aを経由して、送信フィルタ129の入力側配線である配線電極114Aに接続される。端子電極122Bの下面には接続電極124Bが接続され、端子電極122Bはインダクタ電極120Bと接続電極123Bを経由して、送信フィルタ129のグランド配線である配線電極114Bに接続される。また、端子電極122Bは、接続電極124Bとインダクタ電極120Bの端部128Bと接続電極125Bを経由して天板電極118にも接続される。端子電極122Cの下面は接続電極124Cが接続され、端子電極122Cは接続電極123Cを経由して、送信フィルタ129と受信フィルタ130の共通配線である配線電極114Cに接続される。端子電極122Dの下面は接続電極124Dが接続され、端子電極122Dは接続電極123Dを経由して、受信フィルタ130の出力側配線である配線電極114Dに接続される。端子電極122Eの下面は接続電極124Eが接続され、天板電極118と接続電極123Eを経由して、受信フィルタ130の接地側配線である配線電極114Eに接続される。
【0078】
以上のように、実施の形態3における弾性波装置191では、圧電基板112の上面112U上において梯子型弾性波フィルタが構成されている。インダクタ電極120Bが、梯子型弾性波フィルタの並列腕共振器134と送信側グランド端135Bとの間に接続されている。これにより、小型の弾性波装置191において、並列腕共振器134にインダクタ136Bが接続された梯子型フィルタ回路を実現できる。
【0079】
この梯子型弾性波フィルタにおいて、並列腕共振器134と送信側グランド端135Bとの間に接続したインダクタ136Bのインダクタンスが変動すると低域側の減衰極が移動し、フィルタ特性に大きな影響を及ぼす。特に、インダクタ電極120A、120Bは、直列腕共振器133や並列腕共振器134のIDT電極113の真上に位置している。したがって、絶縁体119、121が外力を受けた場合に励振空間116に向けて変形するので、インダクタ電極120A、120Bに大きく影響する。そこで、
図5と
図7(a)と
図7(b)に示すように、IDT電極113の真上に位置するインダクタ電極120Bは、送信側グランド端135Bの端子電極122Bの直下にあり、上から見て端子電極122Bの外縁内に収まる。
【0080】
図5に示すように、弾性波装置191は、外部の実装基板911に実装されるように構成されている。実装基板911は実装電極912B、912C、912Eを有する。端子電極122Bは、実装電極912Bにハンダ等の導電性接着剤913Bで固着されるように構成されている。端子電極122Bは実装基板911と導電性接着剤913Bによって補強されることにより外部応力による変形は小さい。そのため、外力によるインダクタ電極120Bの変形を抑制することができ、インダクタンスを安定化することができ、梯子型弾性波フィルタのフィルタ特性を安定化することができる。同様に、端子電極122C、122Eは、実装電極912C、912Eにハンダ等の導電性接着剤913C、913Eでそれぞれ固着されるように構成されている。端子電極122C、122Eは実装基板911と導電性接着剤913C、913Eによって補強されることにより外部応力による変形は小さい。そのため、弾性波装置191の変形を抑制することができ、その特性を安定化することができる。
【0081】
また、弾性波装置191は、圧電基板112の上において梯子型フィルタ回路を構成し、インダクタ電極120Aが、梯子型フィルタ回路の直列腕共振器133と送信側信号端135Aとの間に接続されている。これにより、小型の弾性波装置191において、直列腕共振器133に直列にインダクタ136Aを接続した梯子型フィルタ回路を実現することができる。
【0082】
また、実施の形態3における弾性波装置191は、受信フィルタ130と、梯子型回路を含む送信フィルタ129とを備える。受信フィルタ130のグランド側の配線電極114Eは、天板電極118を経由して受信側グランド端135Eの端子電極122Eに接続される。送信フィルタ129の並列腕共振器134のグランド側の配線電極114Bは、接続電極123Bを介してインダクタ電極120Bの端部127Bに接続される。インダクタ電極120Bの端部128Bは、接続電極124Bを介して送信側グランド端135Bの端子電極122Bに接続される。接続電極125Bは天板電極118とインダクタ電極120Bの端部128Bとを接続する。
【0083】
このように、天板電極118を受信側の共通グランド電極として使用するとともに、天板電極118と送信側のグランド端135Bとを接続電極125Bにより接続する。これにより、送信側と受信側のグランドを強化することができ、送信フィルタ129と受信フィルタ130のアイソレーションを向上することができ、特性の良好なデュプレクサを得ることができる。
【0084】
実施の形態1〜3において、「上面」「下面」「真上」「真下」等の方向を示唆する用語は圧電基板やIDT電極等の弾性波装置の構成部品の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。