特許第5785238号(P5785238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785238
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】導電性微粒子
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20150907BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20150907BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20150907BHJP
   B32B 15/02 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   H01B5/00 C
   H01B1/00 C
   B22F1/02 A
   B32B15/02
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-225537(P2013-225537)
(22)【出願日】2013年10月30日
(62)【分割の表示】特願2009-18661(P2009-18661)の分割
【原出願日】2009年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-63743(P2014-63743A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2008-17880(P2008-17880)
(32)【優先日】2008年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐原 敬
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弾一
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−251584(JP,A)
【文献】 特開2003−225586(JP,A)
【文献】 特開2003−313671(JP,A)
【文献】 特開2002−166228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00、 5/00、13/00
C23C 18/31、18/36
B22F 1/02
B32B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材微粒子と、前記基材微粒子の表面に形成された厚さ0.08〜1μmの下地金属層と、前記下地金属層の表面に形成された厚さ0.005〜0.6μmの導電層とを有する導電性微粒子であって、
シースフロー電気抵抗方式粒度分布計を用いて粒子径分布を測定した場合、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が0.87%以下である
ことを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
下地金属層は、ニッケル又は銅を含有することを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項3】
導電層は、金又はパラジウムを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の導電性微粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子が2個以上結合した連結粒子が少なく信頼性の高い導電接続ができる導電性微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性微粒子は、バインダー樹脂や粘接着剤等と混合、混練することにより、例えば、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、異方性導電シート等の異方性導電材料として広く用いられている。
【0003】
これらの異方性導電材料は、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器において、回路基板同士を電気的に接続したり、半導体素子等の小型部品を回路基板に電気的に接続したりするために、相対向する回路基板や電極端子の間に挟み込んで使用されている。
【0004】
従来、異方性導電材料に対して好適な導電性微粒子は、粒子径の均一な樹脂微粒子やガラスビーズ等の微粒子を基材微粒子として用い、基材微粒子の表面にニッケル等の金属によるメッキ層を形成させた導電性微粒子が報告されていた。
【0005】
このような導電性微粒子を製造する方法は、例えば、基材微粒子を特許文献1に示されるようなパラジウム触媒液で処理し、基材微粒子の表面にパラジウム触媒を付着させ、更にこの基材微粒子を無電解メッキ液に分散させることにより金属メッキ層を形成させる方法が挙げられる。
【0006】
近年、電子部品の小型化が進んでいるため、隣接する電極間の距離が短くなる傾向にある。このため、平均粒子径の小さい導電性微粒子が求められている。
しかしながら、従来の方法で平均粒子径の小さい導電性微粒子を作製すると、作製段階で導電性微粒子が凝集してしまうため、得られる導電性微粒子を隣接する電極間の距離が近接する電子部品の接続に用いた場合に、隣接する電極間で短絡が発生してしまうという問題があった。
【0007】
これに対して、特許文献2には、微粒子が凝集した凝集粒子の混入を排除することを目的として、微粒子の平均粒子径の1.7〜3倍の孔径を有するメッシュを用いて分級工程を行う導電性微粒子の製造方法が開示されている。
しかしながら、このような方法では、凝集粒子を排除することはできるものの、微粒子が2個結合した連結粒子を排除することができず、得られる導電性微粒子中に連結粒子が多数存在した。特に、連結粒子が多数存在する導電性微粒子が異方性導電材料に用いられた場合、連結粒子に起因する隣接する電極間の短絡が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−313671号公報
【特許文献2】特開2002−166228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、粒子が2個以上結合した連結粒子が少なく信頼性の高い導電接続ができる導電性微粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材微粒子と、前記基材微粒子の表面に形成された下地金属層と、前記下地金属層の表面に形成された導電層とを有する導電性微粒子であって、シースフロー電気抵抗方式粒度分布計を用いて粒子径分布を測定した場合、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が0.87%以下である導電性微粒子である。
以下に、本発明を詳述する。
【0011】
本発明者らは、シースフロー電気抵抗方式粒度分布計を用いて測定した場合に、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%以下である導電性微粒子は、凝集粒子だけでなく、粒子が2個以上結合した連結粒子の数も極めて少ないことから、このような導電性微粒子を用いることで、信頼性の極めて高い導電接続ができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明の導電性微粒子は、基材微粒子と、前記基材微粒子の表面に形成された下地金属層と、前記下地金属層の表面に形成された導電層とを有する。
【0013】
上記基材微粒子は特に限定されず、適度な弾性率、弾性変形性及び復元性を有する基材微粒子であれば、無機材料であっても有機材料であってもよく、樹脂微粒子、無機微粒子、有機無機ハイブリッド微粒子、金属微粒子等が挙げられる。適度な弾性率、弾性変形性及び復元性が制御しやすいため、上記基材微粒子は樹脂微粒子であることが好ましい。
【0014】
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィンや、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂や、ジビニルベンゼン重合樹脂や、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジビニルベンゼン−メタクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン共重合樹脂等が挙げられる。また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂として、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
上記無機微粒子は特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ等の微粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド微粒子は特に限定されず、例えば、オルガノシロキサン骨格の中にアクリルポリマーを含有するハイブリッド微粒子が挙げられる。
【0016】
上記基材微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は20μmである。上記基材微粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、例えば、無電解メッキをする際に凝集しやすく、単粒子としにくくなることがある。上記基材微粒子の平均粒子径が20μmを超えると、異方性導電材料として基板電極間で用いられる範囲を超えてしまうことがある。上記基材微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は10μmであり、更に好ましい下限は2μm、更に好ましい上限は5μmである。
なお、上記基材微粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ50個の基材微粒子の粒子径を測定し、それを算術平均することにより求めることができる。
【0017】
本発明の導電性微粒子は、基材微粒子の表面に下地金属層を有する。
上記下地金属層を構成する金属は、具体的には、ニッケル、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属が好ましい。なかでも、上記下地金属層の形成が容易であることから、上記下地金属層を構成する金属は、ニッケル、銀、銅であることが好ましい。更に、上記下地金属層は、ニッケル又は銅を含有することが好ましく、ニッケル層又は銅層であることがより好ましい。
【0018】
上記下地金属層の厚さの好ましい下限は0.005μm、好ましい上限は1μmである。上記下地金属層の厚さが0.005μm未満であると、導電層を形成する効果が得られないことがある。上記下地金属層の厚さが1μmを超えると、導電層を形成する際に凝集が生じやすく、凝集した導電性微粒子は隣接する電極間の短絡を引き起こすことがある。更に、得られる導電性微粒子の柔軟性が損なわれることがある。
【0019】
本発明の導電性微粒子は、上記下地金属層の表面に導電層を有する。上記導電層は、電極に接触し、電極間を導通させる役割を有する。
上記導電層を構成する金属は、例えば、金、パラジウム、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム、珪素等の金属や、ITO、ハンダ等の金属化合物が挙げられる。なかでも、導電性に優れることから、上記導電層は、金、銀又はパラジウムを含有することが好ましく、金層、銀層又はパラジウム層であることがより好ましい。なかでも、上記導電層は、金又はパラジウムを含有することが更により好ましく、金層又はパラジウム層であることが特に好ましい。
上記導電層は、単層構造であってもよく、複数の層を有する積層構造であってもよい。積層構造の場合には、最外層を構成する金属は、金又はパラジウムであることが好ましい。
【0020】
上記導電層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.005μm、好ましい上限は0.6μmである。上記導電層の厚みが0.005μm未満であると、導電層としての充分な効果が得られないことがある。上記導電層の厚みが0.6μmを超えると、得られる導電性微粒子の比重が高くなったり、導電性微粒子の硬さが充分変形できる硬度ではなくなったりすることがある。
【0021】
本発明の導電性微粒子として、具体的には、例えば、基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成されたニッケル層と上記ニッケル層の表面に形成された金層とを有する導電性微粒子や、基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成されたニッケル層と上記ニッケル層の表面に形成されたパラジウム層とを有する導電性微粒子や、基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成された銅層と上記銅層の表面に形成されたパラジウム層とを有する導電性微粒子や、基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成されたニッケル層と上記ニッケル層の表面に形成された銀層とを有する導電性微粒子や、基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成された銅層と上記銅層の表面に形成された金層とを有する導電性微粒子等が挙げられる。
【0022】
本発明の導電性微粒子は、シースフロー電気抵抗方式粒度分布計を用いて粒度分布を測定した場合、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%以下である。
平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率を8%以下とすることで、凝集粒子だけでなく、粒子が2個以上結合した連結粒子の数も極めて少なくなり、例えば、本発明の導電性微粒子を異方性導電材料に用いた場合に、短絡の発生を防止することができる。特に、隣接する電極間の距離が短い電子部品の接続に用いる場合、本発明の効果が充分に発揮される。
なお、上記比率とは、上記シースフロー電気抵抗方式粒度分布計を用いて粒度分布を測定したすべての導電性微粒子の個数に対して、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の個数の割合を百分率で表した数値である。
【0023】
上記平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%を超えると、連結粒子が多くなり、隣接する電極間の距離が短い電子部品の接続に用いる場合に短絡が発生し、信頼性の高い導電接続ができない。上記比率の好ましい上限は2.5%であり、より好ましい上限は1%であり、更に好ましい上限は0.6%であり、特に好ましい上限は0.2%である。
なお、上記シースフロー電気抵抗方式粒度分布計とは、測定対象である粒子が、電極を配置したオリフィスを通過する際の電気抵抗に基づいて粒度分布を測定する装置である。上記シースフロー電気抵抗方式粒度分布計で粒度分布を測定した場合、連結粒子がない場合は、平均粒子径付近に単一のピークが得られる。連結粒子が存在する場合は、平均粒子径付近のピークとは別のピークが得られ、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が高くなる。従って、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が高い場合、連結粒子が多いと判断することができる。上記シースフロー電気抵抗方式粒度分布計として、例えば、シースフロー型粒度分布計(シスメックス社製「SD−2000」)等が挙げられる。なお、測定対象となる導電性微粒子の個数は特に限定されないが、10000個以上であることが好ましく、具体的には、例えば、30000個であることがより好ましい。
【0024】
本発明の導電性微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は20μmである。上記導電性微粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、例えば、無電解メッキをする際に凝集しやすく、単粒子としにくくなることがある。上記導電性微粒子の平均粒子径が20μmを超えると、異方性導電材料として基板電極間で用いられる範囲を超えてしまうことがある。上記導電性微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は10μmであり、更に好ましい下限は2μm、更に好ましい上限は5μmである。
なお、上記導電性微粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ50個の導電性微粒子の粒子径を測定し、それを算術平均することにより求めることができる。
【0025】
本発明の導電性微粒子の製造方法は、上述した平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%以下である導電性微粒子が得られる方法であれば、特に限定されない。例えば、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を予備分散させる工程1と、前記予備分散された基材微粒子の下地金属層の表面に導電層を形成させる工程2とを有する導電性微粒子の製造方法であって、前記工程1において、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を有する導電性微粒子の製造方法が挙げられる。このような導電性微粒子の製造方法もまた本発明の1つである。
【0026】
上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子は、従来公知の方法で製造することができる。上記基材微粒子の表面に下地金属層を形成する方法は特に限定されず、例えば、無電解メッキ、電気メッキ、スパッタリング等の方法が挙げられる。上記基材微粒子が樹脂微粒子である場合、上記下地金属層は、無電解メッキで形成することが好ましい。
【0027】
上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子を予備分散させる工程1では、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を有する。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子が分散している分散液をろ過することで、凝集している基材微粒子を分散させたり、凝集している基材微粒子を除去したりすることができる。
【0028】
上記分散液とは、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、溶媒とを含有する溶液を意味する。上記溶媒は特に限定されないが、純水、メタノールやエタノール等のアルコール、純水とアルコールとの混合物等を挙げることができる。上記溶媒は、純水であることが好ましい。
【0029】
上記分散液における上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子の含有量は特に限定されないが、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子の含有量の好ましい下限は3重量%、好ましい上限は50重量%である。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子の含有量が3〜50重量%の範囲内であることで、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子の凝集を抑制することができたり、導電性微粒子の生産効率を高めたりすることができる。
【0030】
上記工程1は、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を有する。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する方法として、上記分散液をステンレスメッシュ篩、ナイロン篩等でろ過する方法が挙げられる。上記ろ過を行う際の篩の孔径は特に限定されず、表面に下地金属層が形成された基材微粒子の平均粒子径に応じて、適宜設定することができる。例えば、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子の平均粒子径が2〜5μmの場合では、篩の孔径は平均粒子径より大きく、かつ、篩の孔径が20μm以下であることが好ましい。
【0031】
更に、上記工程1は、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を有することが好ましい。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を有することで、凝集している基材微粒子を分散させることができる。
本発明では、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を行った後、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を行ってもよく、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を行った後、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を行ってもよい。
【0032】
例えば、上記工程1として、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を行い、次いで、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を行うことが好ましい。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する方法として、上記分散液に超音波洗浄機等で超音波を照射する方法が挙げられる。上記超音波は、超音波領域に振動数を有していれば特に限定されず、適宜設定することができる。
上記工程1は、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を有することで、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率を低下させることができる。
【0033】
更に、上記工程1は、表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する工程を有することが好ましい。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する工程を有することで、凝集している基材微粒子を分散させることができる。
本発明では、表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する工程と、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程と、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程の順序は特に限定されない。
【0034】
例えば、上記工程1として、表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する工程を行い、次いで、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液に超音波を照射する工程を行い、次いで、表面に下地金属層が形成された基材微粒子を分散させた分散液をろ過する工程を行うことがより好ましい。上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する方法は、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤と、溶媒とを混合し分散液を調製する方法、上記表面に下地金属層が形成された基材微粒子が分散している分散液に分散剤を添加し分散液を調製する方法等が挙げられる。
上記工程1は、表面に下地金属層が形成された基材微粒子と、分散剤とを含有する分散液を調製する工程を有することで、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率をより低下させることができる。
【0035】
上記分散剤は、例えば、ポリカルボン酸塩型界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等を用いることができる。なかでも、上記分散剤は分散性に優れることから、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
【0036】
本発明の導電性微粒子の製造方法は、次いで、上記予備分散された基材微粒子の下地金属層の表面に導電層を形成させる工程2を有する。上記予備分散された基材微粒子の下地金属層の表面に導電層を形成させる方法は、特に限定されず、無電解メッキ、置換メッキ、電気メッキ、スパッタリング等が挙げられる。なかでも、上記工程2において、超音波を照射しながら無電解メッキすることにより、上記予備分散された基材微粒子の下地金属層の表面に導電層を形成させる工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率をより低下させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、粒子が2個以上結合した連結粒子が少なく信頼性の高い導電接続ができる導電性微粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0039】
(比較例5)
(1)ニッケルメッキ層形成工程
スチレン樹脂微粒子(平均粒子径4μm)を、イオン吸着剤10重量%溶液に5分間浸漬した。その後、スチレン樹脂微粒子を硫酸パラジウム0.01重量%水溶液に5分間浸漬し、更にジメチルアミンボランを加えてパラジウムイオンを還元し、ろ過、洗浄することにより、パラジウムを担持したスチレン樹脂微粒子を得た。
次いで、コハク酸ナトリウム5gとイオン交換水500mlとを含有する溶液を調製し、得られた溶液とパラジウムを担持したスチレン樹脂微粒子10gとを混合して懸濁液とし、更に硫酸で懸濁液のpHを5に調整した。
【0040】
次に、硫酸ニッケル20重量%と、次亜リン酸ナトリウム20重量%と、水酸化ナトリウム8重量%とを含有する前期メッキ溶液を調製した。得られた懸濁液を80℃に加熱し、前期メッキ溶液を連続的に滴下し、20分間攪拌することで、メッキ反応させた。メッキ反応中に、微粒子の著しい凝集が無いこと、及び、水素が発生しなくなることを確認し、前期メッキ反応を終了させた。
【0041】
更に、硫酸ニッケル10重量%と、次亜リン酸ナトリウム5重量%と、水酸化ナトリウム5重量%とを含有する後期メッキ溶液を調製した。前期メッキ反応終了後の溶液に、後期メッキ溶液を連続的に滴下し、1時間攪拌することでメッキ反応させ、ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子を得た。
【0042】
(2)予備分散工程
ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子を純水200mLに分散させた後、ステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させ、純水中にニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子を予備分散させた。次いで、ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥させ、予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0043】
(3)金メッキ層形成工程
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを、シアン化金カリウム5.9gを含有する置換金メッキ液2000mLに添加した。次いで、置換金メッキ液を300rpmで攪拌し、70℃で30分間置換金メッキ反応させた。反応終了後に得られた微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥し、厚みが80nmのニッケルメッキ層及び厚みが30nmの金メッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は4.2μmであった。なお、上記導電性微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「S−3000N」)にて2000倍で観察し、無作為に選んだ50個の導電性微粒子の粒子径を測定し、算術平均することにより求めた。
【0044】
(比較例6)
(2)予備分散工程において、ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子を純水200mLに分散させた後、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を10分間照射し、更にステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させたこと以外は、比較例5と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は4.2μmであった。
【0045】
(比較例7)
(1)ニッケルメッキ層形成工程において、スチレン樹脂微粒子(平均粒子径3μm)を使用した以外は、比較例6と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0046】
(実施例4)
(2)予備分散工程において、ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子をアルキルベンゼンスルホン酸塩(花王社製「ペレックスOT−P」)1重量%水溶液200mLに分散させた後、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を10分間照射し、更にステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させたこと以外は、比較例7と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0047】
(比較例8)
(1)ニッケルメッキ層形成工程において、スチレン樹脂微粒子(平均粒子径2.5μm)を使用した以外は、比較例6と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0048】
(実施例6)
(2)予備分散工程において、ニッケル層が形成されたスチレン樹脂微粒子をアルキルベンゼンスルホン酸塩(花王社製「ペレックスOT−P」)1重量%水溶液200mLに分散させた後、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を10分間照射し、更にステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させたこと以外は、比較例8と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0049】
(実施例7)
(2)予備分散工程において、アルキルベンゼンスルホン酸塩に代えて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル(花王社製「エマール20C」)を用いた以外は実施例6と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0050】
(実施例8)
(2)予備分散工程において、アルキルベンゼンスルホン酸塩に代えて、ポリカルボン酸塩型界面活性剤(花王社製「ポイズ520」)を用いた以外は実施例6と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0051】
(実施例9)
(3)金メッキ層形成工程において、置換金メッキ液を300rpmで攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら、70℃で30分間置換金メッキ反応を行ったこと以外は実施例4と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0052】
(実施例10)
(3)金メッキ層形成工程において、置換金メッキ液を300rpmで攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら、70℃で30分間置換金メッキ反応を行った以外は実施例7と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0053】
(実施例11)
(1)ニッケルメッキ層形成工程及び(2)予備分散工程
比較例7と同様にして予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0054】
(3)パラジウムメッキ層形成工程
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、微粒子懸濁液を調製した。この懸濁液に、4g/Lの硫酸パラジウム(無水物)と、2.4g/Lのエチレンジアミンと、3.5g/Lの次亜リン酸ナトリウムとを含有する、pH10に調整された無電解メッキ液を徐々に添加し、50℃で攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら無電解パラジウムメッキを行った。反応終了後に得られた微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥し、厚みが80nmのニッケルメッキ層及び厚みが30nmのパラジウムメッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0055】
(実施例12)
(1)ニッケルメッキ層形成工程及び(2)予備分散工程
実施例4と同様にして予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0056】
(3)パラジウムメッキ層形成工程
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、微粒子懸濁液を調製した。この懸濁液に、4g/Lの硫酸パラジウム(無水物)と、2.4g/Lのエチレンジアミンと、3.5g/Lの次亜リン酸ナトリウムとを含有する、pH10に調整された無電解メッキ液を徐々に添加し、50℃で攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら無電解パラジウムメッキを行った。反応終了後に得られた微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥し、厚みが80nmのニッケルメッキ層及び厚みが30nmのパラジウムメッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0057】
(実施例13)
(1)ニッケルメッキ層形成工程及び(2)予備分散工程
比較例7と同様にして予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0058】
(3)銀メッキ層形成工程
銀塩として硝酸銀4.25gを純水1180mLに室温で溶解した溶液に、還元剤としてベンズイミダゾール15gを加えて溶解し、当初生成した沈殿が完全に溶解したのを確認した後、錯化剤としてコハク酸イミド25g、クエン酸1水和物3.5gを溶解し、その後、結晶調整剤としてグリオキシル酸10gを投入し完全溶解させ無電解銀メッキ液を調製した。
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを、無電解銀メッキ液に投入し、この溶液を攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら、加熱して温度を70℃に保った。その後、ブフナー漏斗でろ過して微粒子を分離し、分離した微粒子に純水約1000mLを振り掛け洗浄した。その後、アルコール置換を行い、真空乾燥し、厚みが80nmのニッケルメッキ層及び厚みが30nmの銀メッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0059】
(実施例14)
(1)ニッケルメッキ層形成工程及び(2)予備分散工程
実施例4と同様にして予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0060】
(3)銀メッキ層形成工程
銀塩として硝酸銀4.25gを純水1180mLに室温で溶解した溶液に、還元剤としてベンズイミダゾール15gを加えて溶解し、当初生成した沈殿が完全に溶解したのを確認した後、錯化剤としてコハク酸イミド25g、クエン酸1水和物3.5gを溶解し、その後、結晶調整剤としてグリオキシル酸10gを投入し完全溶解させ無電解銀メッキ液を調製した。
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを、無電解銀メッキ液に投入し、この溶液を攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら、加熱して温度を70℃に保った。その後、ブフナー漏斗でろ過して微粒子を分離し、分離した微粒子に純水約1000mLを振り掛け洗浄した。その後、アルコール置換を行い、真空乾燥し、厚みが80nmのニッケルメッキ層及び厚みが30nmの銀メッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0061】
(実施例15)
(1)銅メッキ層形成工程
スチレン樹脂微粒子(平均粒子径3μm)を、イオン吸着剤10重量%溶液に5分間浸漬した。その後、スチレン樹脂微粒子を硫酸パラジウム0.01重量%水溶液に5分間浸漬し、更にジメチルアミンボランを加えてパラジウムイオンを還元し、ろ過、洗浄することにより、パラジウムを担持したスチレン樹脂微粒子を得た。
得られたパラジウムを担持したスチレン樹脂微粒子に蒸留水500mLを加え、微粒子懸濁液を調製した。この懸濁液に、40g/Lの硫酸銅(5水和物)と、100g/Lのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、50g/Lのグルコン酸ナトリウムと、25g/Lのホルムアルデヒドとを含有する、pH10.5に調整された無電解メッキ液を徐々に添加し、50℃で攪拌しながら無電解銅メッキを行い、銅層が形成されたスチレン樹脂微粒子を得た。
【0062】
(2)予備分散工程
銅層が形成されたスチレン樹脂微粒子を純水200mLに分散させた後、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を10分間照射し、ステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させ、純水中に銅層が形成されたスチレン樹脂微粒子を予備分散させた。次いで、銅層が形成されたスチレン樹脂微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥させ、予備分散したスチレン樹脂微粒子を得た。
【0063】
(3)パラジウムメッキ層形成工程
予備分散したスチレン樹脂微粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、微粒子懸濁液を調整した。この懸濁液に、4g/Lの硫酸パラジウム(無水物)と、2.4g/Lのエチレンジアミンと、3.5g/Lの次亜リン酸ナトリウムとを含有する、pH10に調整された無電解メッキ液を徐々に添加し、50℃で攪拌し、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を照射しながら無電解パラジウムメッキを行った。反応終了後に得られた微粒子をろ過、水洗し、アルコールに分散させた後、真空乾燥し、厚みが80nmの銅メッキ層及び厚みが30nmのパラジウムメッキ層を有する導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0064】
(実施例16)
(2)予備分散工程において、銅層が形成されたスチレン樹脂微粒子をアルキルベンゼンスルホン酸塩(花王社製「ペレックスOT−P」)1重量%水溶液200mLに分散させた後、超音波洗浄機(アズワン社製「UT−206H」)で、40kHz、200Wの超音波を10分間照射し、更にステンレスメッシュ篩(孔径16μm)を通過させたこと以外は、実施例15と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0065】
(比較例1)
(2)予備分散工程を行わなかった以外は、比較例5と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は4.2μmであった。
【0066】
(比較例2)
(2)予備分散工程を行わなかった以外は、比較例7と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は3.2μmであった。
【0067】
(比較例3)
(2)予備分散工程を行わなかった以外は、比較例8と同様に導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の平均粒子径は2.7μmであった。
【0068】
(比較例4)
(2)予備分散工程を行わなかった以外は、比較例5と同様に導電性微粒子を得た。その後、得られた導電性微粒子を、ステンレスメッシュ篩(孔径16μm)に通過させた。得られた導電性微粒子の平均粒子径は4.2μmであった。
【0069】
<評価>
実施例、及び、比較例で得られた導電性微粒子について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0070】
(粒子径分布測定)
実施例、及び、比較例で得られた導電性微粒子を、粒子濃度が400×10個/mL〜800×10個/mLとなるようにパーティクルシース液(シスメックス社製)に添加して検体とした。シースフロー型粒度分布計(シスメックス社製「SD−2000」、ピークカウントモード)を用いて検体の粒子径分布(導電性微粒子のカウント数30000個)を測定し、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率を算出した。
【0071】
(凝集性評価)
実施例、及び、比較例で得られた導電性微粒子を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「S−3000N」)にて2000倍で観察し、任意の導電性微粒子10万個中において、導電性微粒子が5個以上凝集している凝集粒子の個数を確認した。
【0072】
(導通性評価)
実施例、及び、比較例で得られた導電性微粒子を用いて、以下の方法により異方性導電フィルムを作製した。
【0073】
樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部を、遊星式攪拌機を用いて充分に混合した後、離型フィルム上に乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、トルエンを揮発させて接着性フィルムを得た。
次いで、樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部に、得られた導電性微粒子を添加し、遊星式攪拌機を用いて充分に混合した後、離型フィルム上に乾燥後の厚さが7μmとなるように塗布し、トルエンを揮発させて導電性微粒子を含有する接着性フィルムを得た。なお、導電性微粒子の配合量は、フィルム中の含有量が5万個/cmとなるようにした。
得られた接着性フィルムと導電性微粒子を含有する接着性フィルムとを常温でラミネートすることにより、2層構造を有する厚さ17μmの異方性導電フィルムを得た。
【0074】
得られた異方性導電フィルムを3cm×4cmの大きさに切断した。これを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有したアルミニウム電極(幅50μm、長さ1mm、高さ0.2μm、配線ピッチ(隣接する電極間の距離)=20、15又は10μm)を有するガラス基板のほぼ中央に貼り付けた後、同じアルミニウム電極を有するガラス基板を、電極同士が重なるように位置合わせをして貼り合わせた。なお、各ガラス基板は合計10本のアルミニウム電極を有していた。
このガラス基板の接合部を、40MPa、130℃の圧着条件で熱圧着した後、電極間のリーク電流の有無を確認した。電極間にリーク電流がある場合を「○」、リーク電流がない場合を「×」とした。また、電極間にリーク電流がある場合には、何カ所でリークを起こしているかを確認した。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例で得られた導電性微粒子は、平均粒子径が単一ピークとして検出され、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%未満となっていることがわかる。
これに対して、比較例で得られた導電性微粒子は、平均粒子径を示すピーク以外にもピークが検出され、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が高くなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、粒子が2個以上結合した連結粒子が少なく信頼性の高い導電接続ができる導電性微粒子を提供することができる。