特許第5785239号(P5785239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785239
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】電線コネクター
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/50 20060101AFI20150907BHJP
   H01R 4/26 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   H01R4/50 Z
   H01R4/26
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-235438(P2013-235438)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-95418(P2015-95418A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2014年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】312014867
【氏名又は名称】黒田 まさみ
(72)【発明者】
【氏名】黒田 哲正
(72)【発明者】
【氏名】黒田 まさみ
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−273709(JP,A)
【文献】 特開平9−63678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/50
H01R 4/26
H01R 31/08
H01R 43/00
H02G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が挿入されるための挿入孔を有する第一の筐体部と、この第一の筐体部の回転軸周りに回転可能に枢着された第二の筐体部と、この第二の筐体部に設けられた電線芯に接触する導電体と、この導電体の先端に電線の被覆体を剥離するため設けられた刃部とにより構成され、この回転軸から刃部までの距離を軸から第二の筐体部の端部の操作部までの距離より小さくし、その第一の筐体部の内部には電線押圧部を設け、この電線押圧部と導電体の接触部との間に電線保持空間を設け、この電線保持空間に電線を押圧保持し、電線と導電体の間に通電可能とする電線コネクター。
【請求項2】
請求項1の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられた導電体は挿入される電線と略同心円状の面に延在する接触部を有することを特徴とする電線コネクター。
【請求項3】
請求項1の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられた刃部は挿入される電線と略同心円状の面に延在する曲線刃部を有することを特徴とする電線コネクター。
【請求項4】
請求項3の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられた刃部は曲線刃部の一部に角刃部を有することを特徴とする電線コネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被覆電線同士や被覆電線と電気器具等を接続するための電線コネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線同士や電線と電気器具を接続するために、半田を使ったり、ネジを使ったり、アルミ等の端子器具を可締めたりする方法が使用されていた。しかし、これらの多くは、半田ゴテやペンチ等の道具を使用するものであった。このため、バネを用いて工具等を必要としない電線コネクターも使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−30786
【特許文献2】特開平5−266934
【特許文献3】特開2013−171624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術は、屋内配線に用いる電線コネクターであり、被覆を剥いだ電線端部を電線コネクターに差し込み接続するものであった。この電線コネクターは、単線の電線用であり、撚り線には使用できなかった。
【0005】
特許文献2の従来技術は、単線だけでなく撚り線にも用いられるものであったが、楔を押し込むため大きな力が必要であり、工具が必要であった。
上記、二つの従来技術では、電線の端部の被覆を予め剥かなくてはいけない為、被覆を剥く工具が必要であり、手間もかかるという共通の問題もあった。
【0006】
一方、特許文献3では、小型電子機器用に電線端部の被覆を剥かずに接続する方法が開示された。この方法では、被覆電線端部をそのままV字型開口溝に押し込んで、被覆を押しつぶして芯線と端子金具を接触させ導電するものであった。この方法では、電線端部をV字型開口溝に押し込むために大きい力が必要であり、工具や特別な工夫が必要であった。また、電線の芯線と端子金具との接触面積が微小であり、屋内配線のように大きい電力用には使用できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電線が挿入されるための挿入孔を有する第一の筐体部と、この第一の筐体部の回転軸周りに回転可能に枢着された第二の筐体部と、この第二の筐体部に設けられた導電体と、この導電体の先端に電線の被覆体を剥離するため設けられた刃部とにより構成され、この回転軸から刃部までの距離を軸から第二の筐体部の端部の操作部までの距離より小さくし、その第一の筐体部の内部には電線押圧部を設け、この電線押圧部と導電体の接触部との間に電線保持空間を設け、この電線保持空間に電線を押圧保持し、電線と導電体の間に通電可能とする電線コネクターである。
【発明の効果】
【0008】
上記の問題点を解決し、工具なしでも被覆電線をそのまま接続できる電線コネクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施例の電線コネクターの開いた状態を示す斜視図である。
図2図1のAA断面図である。
図3図1の導電版を示す斜視図である。
図4】第一の実施例の電線コネクターの閉じた状態を示す斜視図である。
図5図4のBB断面図である。
図6図4のCC断面図である。
図7図2のAA断面図で示す電線コネクターに電線を挿入した状態を示す断面図である。
図8図7で示す電線コネクターの閉じた状態を示す断面図である。
図9】第二の実施例の導電体と刃部が被覆電線の被覆を剥離させる状態を示す斜視図である。
図10】第二の実施例の導電体を示す斜視図である。
図11】第三の実施例の導電体を示す斜視図である。
図12】第四の実施例の電線コネクターを示す斜視図である。
図13】第五の実施例の電線コネクターを示す断面図である。
図14】第六の実施例の電線コネクターを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電線が挿入されるための挿入孔を有する第一の筐体部と、この第一の筐体部の回転軸周りに回転可能に枢着された第二の筐体部と、この第二の筐体部に設けられた導電体と、この導電体の先端に電線の被覆体を剥離するため設けられた刃部とにより構成され、この回転軸から刃部までの距離を軸から第二の筐体部の端部の操作部までの距離より小さくし、その第一の筐体部の内部には電線押圧部を設け、この電線押圧部と導電体の接触部との間に電線保持空間を設け、この電線保持空間に電線を押圧保持し、電線と導電体の間に通電可能とする電線コネクターである。
【0011】
上記の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられ導電体は挿入される電線と略同心円状の面に延在する接触部を有することを特徴とする電線コネクターである。
上記の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられ刃部は挿入される電線と略同心円状の面に延在する曲線刃部を有することを特徴とする電線コネクターである。
上記の電線コネクターにおいて、第二の筐体部に設けられ刃部は曲線刃部の一部に角刃部を有することを特徴とする電線コネクターである。
【実施例】
【0012】
図1図2は、この発明の第一の実施例の電線コネクター10の開いた状態を示す図である。電線コネクター10は、第一の筐体部20と、これに回転軸60を介して回転可能に取付けられた第二の筐体部30と、第二の筐体部に取り付けられた導電体40とから構成されている。第一の筐体部20は、箱部22と、電線80が挿入される挿入孔50とを備えている。
【0013】
第二の筐体部30は、軸部34から端部36まで延在する蓋部32と、軸部34から延在する導電体支持部38とを備えている。導電体支持部38には、導電体40の接触部42が回転軸60の略同心円上に来るよう導電体40が取り付けられている。第二の筐体部30は、軸部34において回転軸60を介して第一の筐体部20と回転可能に連結されている。
【0014】
導電体40は、図3のように、電線と同心円状の湾曲R1を持つ接触面42と、接触面42同士を連結する連結部44とを有している。また、導電体40は、回転軸60を中心とする同心円R2の湾曲を有している。導電体40の先端部には、刃部70が構成されている。刃部70は、直角または鋭角で形成されており、電線80と同心円状で電線芯82と略同一径の湾曲R1を有する曲線刃部72と角刃部74で構成されている。導電体40は、銅などの電気抵抗の少ない材料をプレス加工して形成されている。外周端をせん断加工すると、板の両面にダレの角とバリ側の角が形成されるが、バリ側の角を刃部とするとシャープなエッジが刃部として利用できる。
【0015】
多くの電線80を接続する電線コネクター10の場合は、電線80ごとに電線80の軸方向に刃部70に段差を設けると被覆体84を剥離させるのに必要な力を分散させることができる。
なお、第一の筐体部30を閉じる際、導電体40と刃部70が電線を奥方向に押そうとするが、ストッパー26に電線80の先端部が当たり、それ以上の移動を阻止することができる。
【0016】
図4図5図6は、第一の実施例の電線コネクターの閉じた状態を示す。第二の筐体部30は、第一の筐体部20の上部開口部を覆って閉じた筐体を構成し筐体内部を保護する。第二の筐体部30の端部36には、切欠き部を設けて第二の筐体30を開き易くしている。
【0017】
図7は、電線コネクター10の挿入孔50に電線80を挿入した状態で、図8は、その状態から第二の筐体部30を閉じた状態を示す断面図である。
図9により、導電体40と刃部70の作用を詳述する。第二の筐体部30が閉じる方向に回転すると、刃部70はD方向に回転する。このとき、刃部70は電線80の被覆体84を押圧しながら被覆体84を切断し、被覆体切断面84aを形成する。さらに、刃部70が回転すると被覆体84を剥離させ被覆体剥離片84bを分離させる。この様にして、被覆体が剥離された電線芯面88が形成され、この面に導電体40の接触部42が接触する。接触部42と電線芯82は同心円状R1に形成されているので、円周方向に十分広い接触面積が確保される。また、刃部70が電線80の軸方向にも十分長く被覆体84を剥離させるので、さらに十分な接触面積を得ることができる。
【0018】
図6に示したように、第二の筐体部30を閉じた状態で、導電体40と第一の筐体部20の電線押圧部24と電線ガイド壁29で囲まれた領域に電線保持空間130を構成している。この電線保持空間130に電線80は周囲を囲まれて確実に保持されるので、電線は単線であっても撚り線であっても利用可能である。
【0019】
第二の筐体部30を閉じるにあたっては、操作部37を指で押圧する。回転軸60から刃部70までの距離と、回転軸60から操作部37までの距離の比がレバー比として考えられ、操作部37への操作力がこのレバーに比例して増大し刃部70に掛かることになる。この実施例においては、指の操作力は約3kg、レバー比は約4であるので、刃部70に掛かる力は12kgとなり、被覆体84を剥離するのに十分な力が得られる。
【0020】
図10は、第二の実施例、図11は、第三の実施例の導電体40、刃部70を示し、角刃部74をより有効に使えるようにしたものである。
図12は、第二の筐体30の端部に係止部39を設け、第二の筐体部30が不用意に開かないようにしたものである。
なお、第二の筐体部30を閉じたとき、導電体40は回転軸60より奥に位置するよう構成されているので、第二の筐体部30は自然には開かない構造としている。
【0021】
図13は、第五の実施例、図14は第六の実施例を示し、異なったサイズ電線でも確実に対応できるよう弾性体120を設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明の電線コネクターは、被覆電線をそのまま電線コネクターに連結するものであるが、仕様によっては被覆電線の端部の被覆を剥がしたものでも利用可能であり、単線でも撚り線でも利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
10は電線コネクター
20は第一の筐体部
22は箱部
24は電線押圧部
26はストッパー部
28は戻り止め
29は電線ガイド壁
30は第二の筐体部
32は覆い部
34は軸部
36は端部
37は操作部
38は導電体支持部
39は係止部
40は導電版
42は接触部
44は連結部
50は挿入孔
60は回転軸
70は刃部
72は曲線刃部
74は角刃部
80は電線
82は電線芯
84は被覆体
84aは被覆体剥離片
84bは被覆体切断面
88は被覆体が剥離された電線芯面
120は弾力材
130は電線保持空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14