(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部ダクトが上部に接続されると共に、下部に下部ダクトが接続され、少なくとも該下部ダクト上方まで粒状蓄熱材が収容されて、該粒状蓄熱材を介して該上部ダクトと該下部ダクトの間に交互に燃焼用空気と排ガスが流通される鉛直ダクトと、
該鉛直ダクト上に設けられ、上記粒状蓄熱材を当該鉛直ダクト内部に供給するための供給ホッパーと、
該供給ホッパーと上記鉛直ダクトとの間に開閉自在に設けられ、閉じられて上記粒状蓄熱材を該供給ホッパー内に保持すると共に、開放されて該供給ホッパーから当該鉛直ダクト内部に上記粒状蓄熱材を投下するための上部ゲートと、
上記鉛直ダクト下端に開閉自在に設けられ、閉じられて上記粒状蓄熱材を該鉛直ダクト内に保持すると共に、開放されて該鉛直ダクト内部から該粒状蓄熱材を排出する下部ゲートとを備え、
前記上部ダクト及び前記下部ダクトの少なくともいずれか一方には、前記鉛直ダクト側から反対側へ向かって順次迫り上がる斜面を有し、その上に前記粒状蓄熱材がその安息角で堆積される傾斜堆積部が設けられることを特徴とするダクト式蓄熱装置。
前記鉛直ダクトの内面には、該鉛直ダクト内方へ突出されて、前記粒状蓄熱材を保持する保持部材が設けられることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載のダクト式蓄熱装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるダクト式蓄熱装置の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るダクト式蓄熱装置の側断面図、
図2は、
図1中、X−X線矢視断面図、
図3は、
図1中、Y−Y線矢視断面図、
図4は、
図1のダクト式蓄熱装置による蓄熱材排出段階を示す側断面図、
図5は、
図1のダクト式蓄熱装置による蓄熱材投下段階を示す側断面図、
図6は、
図1のダクト式蓄熱装置による蓄熱材交換作業の完了状態を示す側断面図である。
【0017】
本実施形態に係るダクト式蓄熱装置1は、上下鉛直方向に立設された真っ直ぐな鉛直ダクト2を備える。鉛直ダクト2は、上端2aが上方に開放され、下端2bが下方に開放された中空筒体状に形成される。鉛直ダクト2の内径は、上端2aから下端2bまで同一寸法で形成される。
【0018】
鉛直ダクト2の上部には、上部ダクト3が接続される。鉛直ダクト2の下部には、下部ダクト4が接続される。下部ダクト4には、給気バルブ7を有する燃焼用空気供給管8と排気バルブ9を有する排ガス排出管10が接続される。
下部ダクト4には、給気バルブ7を有する燃焼用空気供給管8と排気バルブ9を有する排ガス排出管10が接続される。燃焼用空気供給管8は、燃焼用空気Aを供給する空気供給ブロアー(図示せず)に接続され、排ガス排出管10は、排ガスBを排出する煙道(図示せず)に接続される。
【0019】
リジェネレイティブバーナは、燃焼動作と排気動作を交互に行う一対のバーナユニットで構成される。各図は、一方のバーナユニットの主要部を示している。上部ダクト3は、例えば工業用炉の炉内に向けて開口していて、燃焼動作時には、燃焼用空気供給管8から供給される燃焼用空気A(図中、実線矢印で示す)に燃料が混合されて、炉内に向けて火炎を生成する。排気動作時には、炉内の排ガスB(図中、点線矢印で示す)が排ガス排出管10に向けて吸引される。
【0020】
図1に示すように、燃焼用空気供給管8から炉内へ供給される燃焼用空気Aは、下部ダクト4から鉛直ダクト2を経て、上部ダクト3へ流通される。排ガス排出管10から排出される排ガスBは、燃焼用空気Aの流れとは逆に、上部ダクト3から鉛直ダクト2を経て、下部ダクト4へ流通される。すなわち、燃焼用空気A及び排ガスBの流通経路は、燃焼用空気A及び排ガスBを互いに反対向きで、燃焼用空気Aを下部ダクト4から上部ダクト3へ、排ガスBを上部ダクト3から下部ダクト4へ流通させるようにする。また、燃焼用空気供給管8及び排ガス排出管10を、下部ダクト4に代えて、上部ダクト3に接続するようにして、下部ダクト4を炉内側に接続するようにしてもよい。いずれにしても、上部ダクト3と下部ダクト4の間に設けられる鉛直ダクト2には、交互に燃焼用空気Aと排ガスBが流通される。
【0021】
鉛直ダクト2の内部には、上部ダクト3上方まで、セラミックス製などの粒状蓄熱材、本実施形態では球状形態の球状蓄熱材11が収容される。
【0022】
これにより、上部ダクト3や下部ダクト4から流れ込んで鉛直ダクト2内部を流れる燃焼用空気A及び排ガスBが球状蓄熱材11を介して流通され、当該球状蓄熱材11に接触される。球状蓄熱材11は、排ガスBが流通するとき、排ガスBから排熱を回収し、燃焼用空気Aが流通するとき、回収した排熱で燃焼用空気Aを加熱する。
【0023】
下部ダクト4には、鉛直ダクト2との接続箇所に、鉛直ダクト2内方に面して傾斜堆積部20が設けられる。本実施形態にあっては、上部ダクト3にも同様に、鉛直ダクト2との接続箇所に、鉛直ダクト2内方に面して傾斜堆積部20が設けられる。傾斜堆積部20は、板材21を上下方向に多段に配設して構成される。各板材21は、鉛直ダクト2に面する端縁21aから反対側の端縁21bに向かって順次迫り上がる斜面21cを形成するように、各ダクト3,4内に斜めに取り付けられる。
【0024】
傾斜堆積部20に到達してくる球状蓄熱材11は、球状であるため、最初は板材21の上に滞留しないが、球状蓄熱材11が鉛直ダクト2内に充満するに従い、次第に板材21上に滞留し始め、最終的には球状蓄熱材11は、これら板材21の上に、その安息角で堆積される。そして、傾斜堆積部20は、燃焼用空気Aや排ガスBを流通させつつ、球状蓄熱材11が鉛直ダクト2内部から上部ダクト3や下部ダクト4にこぼれ出ないように保持する。
【0025】
一番下の板材21と各ダクト3,4の底面との隙間は、球状蓄熱材11が鉛直ダクト2側からこぼれ出ないように、球状蓄熱材11の外形寸法よりも狭く設定される。
【0026】
傾斜堆積部20の各板材21は、鉛直ダクト2に面する端縁21aが鉛直ダクト2の内面2cとほぼ面一となるように設置され、これにより、後述するように、球状蓄熱材11を鉛直ダクト2内部から排出するとき、球状蓄熱材11が板材21の斜面21cに沿ってスムーズに落下して、傾斜堆積部20の周辺に残存しないようになっている。
【0027】
例えば、球状蓄熱材11が鉛直ダクト2からこぼれ出ないように、上部及び下部ダクト3,4に金属製の網状の仕切り部材を設置するなどした場合、高温の排ガスBや加熱された燃焼用空気Aに晒されて網目が熱変形して開き、球状蓄熱材11を閉じ込めることができなくて、こぼれ出てしまうような不具合が発生し得る。
【0028】
強度を考慮して、金属製の網状の仕切り部材に比して部材寸法の大きな棒材で縦格子状にしたり、材料自体もセラミックなどの高性能耐熱材を採用することが考えられるが、部材寸法を大きくすると、通気性が阻害されて圧損が大きくなってしまうと共に、材料費の面でコストアップになってしまうという欠点がある。
【0029】
本実施形態の傾斜堆積部20は、球状蓄熱材11をその安息角で安定的に堆積させることができ、これにより球状蓄熱材11を閉じ込める強度部材を不要とすることができると共に、蓄熱部構造としての信頼性を向上することができる。板材21は、低コストな耐火レンガなどの汎用品で形成される。本実施形態では、傾斜堆積部20は、上部ダクト3及び下部ダクト4の双方に設けられているが、いずれか一方であっても良いことはもちろんである。
【0030】
鉛直ダクト2と下部ダクト4及び/または上部ダクト3との接続箇所には、球状蓄熱材11の安息角を超えない傾斜角度で面取りして、充填案内部22が形成される。当該接続箇所に下向きの出隅部が存在すると、鉛直ダクト2内には、当該出隅部を回り込むようにして球状蓄熱材11が収容されることとなり、そのために空所ができてしまって、熱の授受に関わるスペースに無駄が生じてしまう。
【0031】
本実施形態では、球状蓄熱材11の安息角を超えない傾斜角度で充填案内部22を形成していて、これにより、空所が生じないように球状蓄熱材11を接続箇所に密実に充填することができ、連なるダクト2,3,4の内部空間を無駄なく利用して、高効率な熱の授受作用を確保することができる。
【0032】
鉛直ダクト2の上端2a上には、球状蓄熱材11を鉛直ダクト2内部に供給するための供給ホッパー12が設けられる。供給ホッパー12はよく知られているように、下端部が供給方向に向かって傾斜する傾斜面で形成される。
【0033】
供給ホッパー12の下端12aの開口は、鉛直ダクト2の開口とほぼ同一寸法で形成される。供給ホッパー12には、鉛直ダクト2内部に供給する前に予め、球状蓄熱材供給経路13から球状蓄熱材11が送り込まれ、貯留される。一回の貯留量は、球状蓄熱材11の交換総量に設定される。
【0034】
供給ホッパー12の下端12aと鉛直ダクト2の上端2aとの間には、開閉自在に上部ゲート14が設けられる。上部ゲート14は、閉じられることにより、供給ホッパー12を鉛直ダクト2内部から遮断し、球状蓄熱材11を供給ホッパー12内に保持する。同時に、上部ゲート14は、鉛直ダクト2内部を気密に保持する。他方、上部ゲート14は、開放されることにより、供給ホッパー12と鉛直ダクト2内部とを連通し、供給ホッパー12から鉛直ダクト2内部に球状蓄熱材11を投下する。
【0035】
本実施形態では、上部ゲート14は、左右一対の上部ゲート板14aが互いに接離するように、水平方向にスライド駆動され、接近することで閉じられ、離隔することで開放される。各上部ゲート板14aは好ましくは、鉛直ダクト2の上端2aが全開される位置まで離隔駆動される。駆動機構としては例えば、油圧シリンダなどを用いればよい。
【0036】
鉛直ダクト2の下端2bには、開閉自在に下部ゲート15が設けられる。下部ゲート15は、閉じられることにより、鉛直ダクト2内部を外部から遮断し、球状蓄熱材11を鉛直ダクト2内部に保持する。同時に、下部ゲート15は、鉛直ダクト2内部を気密に保持する。他方、下部ゲート15は、開放されることにより、鉛直ダクト2内部と外部とを連通し、鉛直ダクト2内部から球状蓄熱材11を排出する。
【0037】
本実施形態では、下部ゲート15も上部ゲート14と同様に、下部ゲート板15aが水平方向にスライド駆動されることで開閉されるようになっている。これら上部ゲート14及び下部ゲート15は、観音開きで開閉駆動されるように構成してもよい。観音開きとすれば、スライド式に比べて、球状蓄熱材11の排出を瞬時に迅速に行うことができる。
【0038】
他方、スライド駆動であれば、設置に必要な上下寸法を小さくすることができ、ダクト式蓄熱装置1をコンパクト化することができる。他方、鉛直ダクト2の上下にスペースの余裕がある場合には、観音開きとすることで、球状蓄熱材11の供給・排出を瞬時に迅速に行うことができる。
【0039】
本実施形態では、下部ゲート15の下方は空所とされているが、下部ゲート15直下に、球状蓄熱材11の排出を案内する排出シュートを設けるようにしても良い。
【0040】
下部ダクト4は、下部ゲート15が設けられる鉛直ダクト2の下端2bよりも上方に接続され,これにより鉛直ダクト2の下端2b周辺に底部領域Cが形成される。下部ダクト4よりも下方となる鉛直ダクト2の下端2b周辺の底部領域Cは、一旦排ガスB等が入り込むと圧力が安定するので、その後は、この底部領域Cへの排ガスB等の流通が妨げられる。
【0041】
すなわち、底部領域Cには排ガスB等が回り込まず、球状蓄熱材11同士の間の空気層も相俟って、断熱性が発現される。このため、下部ゲート15周辺が高温に加熱されることを防止できる。従って、下部ゲート15に施工される耐熱材を削減でき、下部ゲート15の軽量化・低コスト化を達成できる。
【0042】
また、鉛直ダクト2の内面2cには断熱材を施工せず、
図1〜
図3に示すように、当該内面2cから鉛直ダクト2内方へ突出させて、球状蓄熱材11を保持してその流動性を抑制する保持部材が設けられる。図示例にあっては保持部材は、鉛直ダクト2内方に向かって下向き傾斜の傾斜面を有する傾斜板材16で構成され、鉛直ダクト2の上下方向に多段に設けられる。傾斜板材16は
図2及び
図3に示すように、上部ダクト3位置及び下部ダクト4位置では、これらダクト3,4に干渉しないようにコ字状に形成される一方、ダクト3,4以外の取り付け位置では、鉛直ダクト2の内面に沿うリング状に形成される。
【0043】
傾斜板材16によって球状蓄熱材11を保持することにより、球状蓄熱材11が流動して排ガスB等が鉛直ダクト2内部の内面2c付近に回り込むことを防止することができて、鉛直ダクト2の周面に沿って確実に断熱性を発現させることができ、これによって鉛直ダクト2に対する断熱材の施工作業及び施工費用が不要となって、軽量化・低コスト化を図ることができる。傾斜板材16であるので、球状蓄熱材11をスムーズに排出することができる。
【0044】
また、下向き傾斜の傾斜板材16であることにより、その下方の影となる部分に球状蓄熱材11が十分に充填されなくても、当該傾斜板材16下には空気層が形成されるので、必要な断熱性を得ることができる。保持部材は、リング状の傾斜板材16に代えて、鉛直ダクト2内方に向かって水平に突出する、リング状の水平板材で形成してもよい。
【0045】
ダクト式蓄熱装置1の設置床17の上には、鉛直ダクト2下に位置させて、下部ゲート15から排出される球状蓄熱材11を回収する回収容器18が配置される。回収容器18は、上向き開口部18aを有する。回収容器18は、球状蓄熱材11を受容できるものであれば、コンテナ形態など、どのような形態の容器であってもよい。本実施形態では、移動の利便性を向上するために、回収容器18には、設置床17上で走行自在な車輪18bが設けられている。
【0046】
ダクト式蓄熱装置1には、上部ゲート14、下部ゲート15、給気バルブ7及び排気バルブ8に接続されてこれらを制御するコントローラ19が備えられる。
【0047】
給気バルブ7は、リジェネレイティブバーナの燃焼動作時に開かれ(開動作は、図中、白抜き表記で示す)、燃焼用空気供給管8からの燃焼用空気Aが、鉛直ダクト2から上部ダクト3へ送り込まれる。上部ダクト3へ送り込まれた燃焼用空気Aは、その後燃料と混合され、これにより炉内に向けて火炎が生成される。このとき、排気バルブ9は閉じられている(閉動作は、図中、黒ベタ表記で示す)。他方、リジェネレイティブバーナの排気動作時には、給気バルブ7は閉じられると共に、排気バルブ9が開かれ、これにより、炉内からの排ガスBが上部ダクト3を介して鉛直ダクト2内部に流通し、その後、排ガス排出管10へと排出される。
【0048】
コントローラ19は、リジェネレイティブバーナの対になっているバーナユニットの一方のバーナユニットに関し、排気バルブ9が閉じられ給気バルブ7が開かれて燃焼用空気Aが鉛直ダクト2を流通している状態にある燃焼動作時(他方のバーナユニットは排気動作状態)に、給気バルブ7が閉じられてその操作信号が給気バルブ7から入力されると、球状蓄熱材11の交換操作を可能とする。あるいは、燃焼動作時に、コントローラ19に給気バルブ7の閉じ信号を入力すると、この入力操作をトリガーとして、球状蓄熱材11の交換操作を実施可能とする。
【0049】
給気バルブ7が閉じられ、鉛直ダクト2内の気流が一旦停止されたことに応じて、コントローラ19から下部ゲート15に開放信号が送出される。その後、コントローラ19に備えられるタイマなどによるカウントで所定時間が経過する等によって球状蓄熱材11の全量が回収容器18に落下したことを確認すると、下部ゲート15に閉じ信号が送出される。その後、下部ゲート15の開閉を検知するセンサ等により下部ゲート15が閉じられたことを確認すると、コントローラ19から上部ゲート14に開放信号が送出される。
【0050】
その後、コントローラ19のタイマなどによるカウントによって所定時間が経過する等によって球状蓄熱材11の全量が供給ホッパー12から鉛直ダクト2内に投下されたことを確認すると、コントローラ19から上部ゲート14に閉じ信号が送出されるようになっている。最後に、上部ゲート14の開閉を検知するセンサ等により上部ゲート14が閉じられたことを確認すると、コントローラ19から排気バルブ9に開き信号が送出されて当該一方のバーナユニットは排気動作に移行し、これにより、対になっている他方のバーナユニットで燃焼動作が開始される。
【0051】
バルブ7,9やゲート14,15の動作制御は、コントローラ19のタイマ等によるカウントアップによることなく、作業者が目視で状況を確認しつつ、コントローラ19を操作してゲート14,15やバルブ7,9を開閉操作するようにしてもよい。その場合においても、コントローラ19は、排気バルブ9が閉じられていることを条件に、給気バルブ7が閉じられることに応じて、交換操作の制御を許容する。従って、コントローラ19は、排気バルブ9が開かれている排気動作時には、交換操作の制御を禁止するようになっている。
【0052】
次に、本実施形態に係るダクト式蓄熱装置1の作用について説明する。
図1及び
図4〜
図6には、図の順に従って、球状蓄熱材11の交換操作の手順が示されている。
図1は、リジェネレイティブバーナの通常運転時における一方のバーナユニットの燃焼運転状態が示されている。
【0053】
燃焼動作時には、給気バルブ7が開かれると共に、排気バルブ9が閉じられ、燃焼用空気Aは、燃焼用空気供給管8から鉛直ダクト2を経て、上部ダクト3へ流通される。球状蓄熱材11の交換操作は、この燃焼動作時に行われる。
【0054】
図4に示すように、まず、鉛直ダクト2下方の設備床17上に、上向き開口部18aを下部ゲート15に向けて、回収容器18が配置される。また、供給ホッパー12には、交換総量の球状蓄熱材11が貯留される。次に、給気バルブ7が閉じられる。これにより、燃焼用空気Aの流通が停止される。このとき、燃料の供給も停止する。
【0055】
その後、コントローラ19により、下部ゲート15が開放される。これにより、鉛直ダクト2内部の球状蓄熱材11が瞬時にかつ一気に、下部ゲート15から回収容器18内に排出される。次いで、コントローラ19により、下部ゲート15が閉じられる。
【0056】
次いで、
図5に示すように、コントローラ19により、上部ゲート14が開放される。これにより、供給ホッパー12内の球状蓄熱材11が瞬時にかつ一気に、上部ゲート14から鉛直ダクト2内に投下される。
【0057】
その後、
図6に示すように、コントローラ19により、上部ゲート14が閉じられる。その後、排気バルブ9が開かれる。これにより、当該一方のバーナユニットでは排ガスBの流通が開始されて排気運転状態に移行し、これと同時に、他方のバーナユニットでは燃焼運転か開始される。回収容器18は、下部ゲート15が閉じられた後、適宜タイミングで、洗浄設備等へ搬送される。洗浄等で再生された球状蓄熱材11は、球状蓄熱材供給経路13から供給ホッパー12へ供給され、再利用される。
【0058】
以上説明した本実施形態に係るダクト式蓄熱装置1にあっては、上下方向にストレートな形態の鉛直ダクト2に球状蓄熱材11を収容するようにしたので、球状蓄熱材11を交換する際の排出作業も、再度充填するための投下作業も、目詰まりが生じることなく、瞬時にかつ一気に行うことができ、球状蓄熱材11全量の交換作業をきわめて短時間で迅速に完了することができる。
【0059】
従って、球状蓄熱材11を対象としたリジェネレイティブバーナのメンテナンスを簡素化できる。また、球状蓄熱材11の全量を一気に交換することができるので、交換されない球状蓄熱材11がいつまでも残存してしまうなどの不都合がなく、設備の管理を向上することができる。
【0060】
本実施形態では、供給ホッパー12の下端12aの開口を、鉛直ダクト2の開口とほぼ同一寸法で形成していること、並びに、傾斜堆積部20を、上部及び下部ダクト3,4と鉛直ダクト2との接続箇所に、鉛直ダクト2内方に面して設けているので、これら供給ホッパー12や傾斜堆積部20周辺に球状蓄熱材11が残存することなく、よりスムーズにかつ適切に交換作業を完了することできる。
【0061】
殊に、排出作業では、下部ゲート15を開けば球状蓄熱材11をそのまま全量排出でき、掻き出すなどの煩雑な作業をなくすことができる。また、鉛直ダクト2であるので、構造がきわめて簡易であり、球状蓄熱材11が投下されたり排出されても、これによる損傷発生を防止することができる。
【0062】
鉛直ダクト2下に回収容器18を配置し、回収容器18で球状蓄熱材11を回収するようにしたので、排出された球状蓄熱材11を容易に別の場所へ移動することができる。
【0063】
下部ゲート15直上に、断熱性のある底部領域Cを形成したことにより、下部ゲート板15aの薄肉化や耐熱材の施工量の削減を確保することができ、これにより、下部ゲート15の開閉動作時間を短縮できて、交換作業時間をさらに短くすることができる。
【0064】
球状蓄熱材11の交換作業は、下部ゲート15及び上部ゲート14の開閉操作だけでよく、簡易に短時間で作業を完了することができて、リジェネレイティブバーナの運転停止期間を短縮することができる。
【0065】
上部ダクト3及び下部ダクト4に、鉛直ダクト2側から反対側へ向かって順次迫り上がる斜面21cを有し、その上に球状蓄熱材11がその安息角で堆積される傾斜堆積部20を設けたので、ダクト2,3,4同士を開放状態で接続して、燃焼用空気A及び排ガスBを円滑に流通させることができると同時に、球状蓄熱材11を閉じ込める形態の耐熱性を有する強度部材を不要とすることができ、構造面から信頼性を向上することができる。
【0066】
傾斜堆積部20を有する上部ダクト3及び下部ダクト4と鉛直ダクト2との接続箇所に、球状蓄熱材11を当該接続箇所に充填するために、球状蓄熱材11の安息角を越えない傾斜角度で、充填案内部22を形成したので、空所が生じないように球状蓄熱材11を接続箇所に密実に充填することができ、連なるダクト2,3,4の内部空間を無駄なく利用して、高効率な熱の授受作用を確保することができる。
【0067】
鉛直ダクト2の内面2cに、当該鉛直ダクト2内方へ突出させて、球状蓄熱材11を保持する傾斜板材16を設けたので、球状蓄熱材11が流動して排ガスB等が鉛直ダクト2の内面2c付近に回り込むことを防止することができて、鉛直ダクト2の周面に沿って確実に断熱性を発現させることができ、これによって鉛直ダクト2に対する断熱材の施工作業及び施工費用が不要となって、軽量化・低コスト化を図ることができる。
【0068】
下部ダクト4に、給気バルブ7を有する燃焼用空気供給管8と排気バルブ9を有する排ガス排出管10を接続し、排気バルブ9が閉じられ給気バルブ7が開かれて燃焼用空気Aが鉛直ダクト2に流通している状態で、給気バルブ7を閉じたことに応じて、下部ゲート15の開閉動作に引き続き上部ゲート14の開閉動作を行うように構成したので、高温排ガスBの流通時は交換作業を禁止する一方で、燃焼用空気Aの流通期間中、交換作業時のみ燃焼用空気Aの供給を停止するようにして、この供給停止、すなわち給気バルブ7の閉じ操作によって炉内温度の変動を極力抑えつつ、リジェネレイティブバーナの運転期間中であっても、球状蓄熱材11の交換作業を行うことができる。
【0069】
また、低温な燃焼用空気Aの流通時に交換作業をするので、球状蓄熱材11の温度を下げて排出することができ、作業の安全性を高めることができる。
【0070】
そして、一方のバーナユニットにおいて、球状蓄熱材11の交換作業を終えて上部ゲート14を閉じたら排気運転に切り換えるようにしたので、これに応じて他方のバーナユニットを排気運転から直ちに燃焼運転に切り換えることができ、球状蓄熱材11の交換作業を組み入れながら、リジェネレイティブバーナの連続運転を確保することができて、これにより炉を連続的に操業することができる。
【0071】
また、交換直後の低温の球状蓄熱材11は、まず排気運転時に排ガスBで加熱されて蓄熱・昇温することから始まるので、その後の燃焼運転時に燃焼用空気Aが流通されるときには、十分な高温状態に達していて、当該燃焼用空気Aを適切に加熱することができ、炉内に生成される火炎温度を高く維持することができる。
【0072】
また、リジェネレイティブバーナを複数運転する場合、間引き運転によりいずれかのリジェネレイティブバーナは運転停止している。この運転停止期間中に交換作業を行っても良いことはもちろんである。
【0073】
底部領域Cは、断熱性を有するので、この底部領域Cを形成する鉛直ダクト2部分は、耐火材などを用いることなく、鉄製シェルで形成してもよい。このようにすれば、鉛直ダクト2の製作費を低減することができる。
【0074】
なお、粒状蓄熱体について、球体形状の球状蓄熱材11を例示して説明したが、粒状とは、球状に限らず、楕円上や円筒状、破砕した形状など、転がり性を呈する形態であれば、どのような形態であってもよい。球状についても、真球である必要はなく、歪みや凹凸のある球状でよい。