(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785246
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】枝管取付用ソケット及び枝管接続方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/08 20060101AFI20150907BHJP
F16L 41/06 20060101ALI20150907BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
F16L41/08
F16L41/06
B29C65/48
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268322(P2013-268322)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-124804(P2015-124804A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513234640
【氏名又は名称】株式会社横島エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横島 康弘
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−238656(JP,A)
【文献】
特開2003−336784(JP,A)
【文献】
特開平03−244894(JP,A)
【文献】
特開平09−068297(JP,A)
【文献】
実開平05−094597(JP,U)
【文献】
特許第2737105(JP,B2)
【文献】
特開2007−071349(JP,A)
【文献】
特許第2974131(JP,B2)
【文献】
特開平10−196872(JP,A)
【文献】
特開平08−135872(JP,A)
【文献】
特開2006−205719(JP,A)
【文献】
特許第2678754(JP,B2)
【文献】
特開2004−324739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L41/00−41/18
F16L 1/00
B29C65/48−65/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設本管と本管ライニング材からなる本管更生材に枝管を取付ける際使用されるつば付きの枝管取付用ソケットであって、
前記枝管と同一の肉厚と内外径を有する管体からなる枝管ソケット本体部と、
前記枝管ソケット本体部の1管端に前記枝管ソケット本体部と一体に形成される円環状の枝管ソケットのつば部と、からなり、
前記枝管ソケットのつば部の前記枝管ソケット本体部に繋がらない1面が本管ライニング材の外周に密着する曲面を有し、つば部の体積が本管ライニング材の枝管と通じる穿孔部の穿孔板体積より大きく、かつ、つば部が本管ライニング材の外周を覆う面積が前記穿孔板の面積より大きく、
前記既設本管が除去された部分の本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットのつば部の1面を結合部とし、前記結合部に、主剤と硬化材を混合した2液型接着剤で、熱硬化性樹脂を塗布、含浸させた樹脂吸着材を接着すると共に、前記つば部を外側から押圧することにより、前記つば部が前記本管ライニング材に結合されることを特徴とする枝管取付用ソケット。
【請求項2】
既設本管と本管ライニング材からなる管更生材に枝管を取付ける際使用される半割管型の枝管取付用ソケットであって、
前記枝管と同一の肉厚と内外径を有する管体からなる枝管ソケット本体部と、
前記枝管ソケット本体部の1管端に前記枝管ソケット本体部と一体に形成される半割管と、
前記半割管の円周方向両端部のボルト締結用のフランジと、からなり、
前記本管ライニング材は、内周部の半割管を含む所定の長さ相当区間に熱硬化性樹脂が塗布されて肉厚が部分的に厚くされると共に、前記半割管は、所定の半割管長と既設本管と同じ内外径を有する半円弧状で、枝管ソケット本体部が取付けられていない半割管とにより、枝管設置部周辺の既設本管を所定長さ分、円周方向に亘って除去し露出させた本管ライニングの外周部を囲むようボルト締めされることを特徴とする枝管取付用ソケット。
【請求項3】
既設本管と本管ライニング材からなる管更生材につば付きの枝管ソケットを適用して枝管を接続する枝管接続方法であって、
前記管更生材の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部形成段階と、
前記管更生材の前記穿孔部周囲で前記枝管ソケットのつば部に相応する既設本管を除去する段階と、
既設本管が除去された部分の前記管更生材の本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットのつば部の1面を結合して結合部とする段階と、
前記結合させたつば部を前記管更生材の外周方向に装着されたベルト状の締付具で固定する段階と、
前記枝管ソケット本体部の1端と枝管本体を継ぎ手で結合する段階と、を含み、
前記結合部に、主剤と硬化材を混合した2液型接着剤で、熱硬化性樹脂を塗布、含浸させた樹脂吸着材を接着すると共に、前記締付具で前記つば部を外側から押圧することにより、前記つば部が前記本管ライニング材に結合されることを特徴とする枝管接続方法。
【請求項4】
前記枝管ソケットのつば部の他面の本管ライニング材の外周表面への押圧は、樹脂製半円リングのボルト締め、ステンレス製ワイヤロープ、金属製または樹脂製のベルトでの締め付けによることを特徴とする請求項3に記載の枝管接続方法。
【請求項5】
既設本管と本管ライニング材からなる管更生材に半割管型の枝管ソケットを適用して枝管を接続する枝管接続方法であって、
枝管設置部周辺の既設本管を所定長さ分、円周方向に亘って除去して本管ライニング材を露出させる段階と、
既設本管除去部に相当する1対の半割型枠管を本管ライニング材の円周方向に設置する段階と、
本管ライニング材の内周部に半割型枠管を含む所定の長さ相当区間に熱硬化性樹脂が塗布され、本管ライニング材の肉厚を部分的に厚くする段階と、
前記熱硬化性樹脂を加熱し硬化させた後、1対の半割型枠管を本管ライニング材から取り外す段階と、
前記本管ライニング材の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部を形成する段階と、
前記穿孔部に半割管型の枝管取付用ソケットを取り付け、半割管型の枝管取付用ソケットのフランジ部を締結する段階と、を含み、
前記半割管は、所定の半割管長と既設本管と同じ内外径を有する半円弧状で、枝管ソケット本体部が取付けられていない半割管とにより本管ライニングの外周部を囲むようボルト締めされることを特徴とする枝管接続方法。
【請求項6】
前記本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットの内周面の間にパッキンが挿入されていることを特徴とする請求項5に記載の枝管接続方法。
【請求項7】
既設本管に本管ライニング材を取付けるとともに、既設枝管と枝管ライニング材からなる枝管更生材を既設本管に接続する枝管接続方法であって、
前記既設本管の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部形成段階と、
樹脂未含浸の管状ライナー材の1端を前記穿孔部に通した後、先端を花弁状に切開いて枝管ライニング材のつば部とし、つば部の内外面に樹脂吸着材を貼り付けると共に、つば部の1面を既設本管内周壁に押付ける段階と、
前記ライナー材先端の花弁状に切開かれたつば部に熱硬化性樹脂を吸着させて硬化させる段階と、
前記ライナー材のつば部を除く部分に熱硬化性樹脂を含浸させた後、管内に圧力バッグを挿入し圧力バッグ内に温水を供給して枝管ライニング材を硬化させる段階と、
前記既設本管の所定の箇所から既設本管内に本管ライニング材をつば部の他面に重なるように挿入する段階と、
地上から枝管を通して樹脂注入ホースが挿入され、前記樹脂注入ホースにより本管ライニング材の外周部に熱硬化性樹脂が注入されると共に、前記既設本管と本管ライニング材で枝管のつば部を挟み込み本管ライニング材を加圧することにより枝管のつば部を押圧する段階と、
管内に圧力バッグを挿入し圧力バッグ内に温水を供給して本管ライニング材を加圧し本管ライニング材を硬化させる段階と、
前記本管ライニング材が硬化された後、枝管接続部の本管ライニング材に流体通過用の孔を穿孔する段階と、含み、
前記つば部の体積が本管ライニング材の枝管と通じる穿孔部の穿孔板体積より大きく、かつ、つば部の1面と本管ライニング材の接触面積が前記穿孔板の面積より大きいことを特徴とする枝管接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枝管取付用ソケット及び枝管接続方法に係り、より詳しくは、樹脂製ライニング材で修復された本管に枝管を接続する際に適用する枝管取付用ソケット及び枝管接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、老朽化した農業用水管、水道管、工業用水管、ガス管などの圧力パイプラインを修復するライニング工法に関するものである。
これまで老朽化した管を管ライニング工法により更正する方法が実施されており、枝管接続部は、管内に人が入れない場合は、接続先の本管を部分開削して接続部を開口させていた。管内に人が入れる場合は、管内に人が入り穿孔しする方法が採られていた。
しかし、本管にライニングを施した後に枝管接続部を開口すると、ライニング材と既設枝管の水密性が確保されていないため接続部で漏水が発生することがあった。
【0003】
更に、枝管接続部を開口することにより、本管ライニングに欠損部が発生したと同様の状態となり、その部分の強度が低下する問題があった。
この強度低下は、本管径に対して枝管径が大きいほど激しく、地震により枝管接続部に大きい引張力が作用した場合は、枝管接続部の穿孔部が破断することもあった。
この問題解決のためには、本管ライニング材と確実に接着または一体結合し、かつ穿孔部の確実な補強が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−034055号公報
【特許文献2】特開平06−234160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本管ライニング材に枝管を接続する際に、本管ライニング材と枝管を確実に接着または結合し、かつ穿孔部の確実な補強ができる枝管取付用ソケット及び枝管接続方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による枝管取付用ソケット(その1)は、既設本管と本管ライニング材からなる本管更生材に枝管を取付ける際使用されるつば付きの枝管取付用ソケットであって、前記枝管と
同一の肉厚と内外径を有する管体からなる枝管ソケット本体部と、前記枝管ソケット本体部の1管端に前記枝管ソケット本体部と一体に形成される円環状の枝管ソケットのつば部と、からなり、前記枝管ソケットのつば部の前記枝管ソケット本体部に繋がらない1面が本管ライニング材の外周に密着する曲面を有し、つば部の体積が本管ライニング材の枝管と通じる穿孔部の穿孔板体積より大きく、かつ、つば部が本管ライニング材の外周を覆う面積が前記穿孔板の面積より大きく、
前記既設本管が除去された部分の本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットのつば部の1面を結合部とし、前記結合部に、主剤と硬化材を混合した2液型接着剤で、熱硬化性樹脂を塗布、含浸させた樹脂吸着材を接着すると共に、前記つば部を外側から押圧することにより、前記つば部が前記本管ライニング材に結合されることを特徴とする。
【0007】
本発明による枝管取付用ソケット(その2)は、既設本管と本管ライニング材からなる管更生材に枝管を取付ける際使用される半割管型の枝管取付用ソケットであって、前記枝管と
同一の肉厚と内外径を有する管体からなる枝管ソケット本体部と、前記枝管ソケット本体部の1管端に前記枝管ソケット本体部と一体に形成される半割管と、前記半割管の円周方向両端部のボルト締結用のフランジと、からなり、
前記本管ライニング材は、内周部の半割管を含む所定の長さ相当区間に熱硬化性樹脂が塗布されて肉厚が部分的に厚くされると共に、前記半割管は、所定の半割管長と既設本管と同じ内外径を有する半円弧状で、枝管ソケット本体部が取付けられていない半割管とにより、
枝管設置部周辺の既設本管を所定長さ分、円周方向に亘って除去し露出させた本管ライニングの外周部を囲むようボルト締めされることを特徴とする。
【0008】
本発明による第一の枝管接続方法は、既設本管と本管ライニング材からなる管更生材につば付きの枝管ソケットを適用して枝管を接続する枝管接続方法であって、前記管更生材の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部形成段階と、前記管更生材の前記穿孔部周囲で前記枝管ソケットのつば部に相応する既設本管を除去する段階と、既設本管が除去された部分の前記管更生材の本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットのつば部の1面を結合して結合部とする段階と、前記結合させたつば部を前記管更生材の外周方向に装着されたベルト状の締付具で固定する段階と、前記枝管ソケット本体部の1端と枝管本体を継ぎ手で結合する段階と、を含み、
前記結合部に、主剤と硬化材を混合した2液型接着剤で、熱硬化性樹脂を塗布、含浸させた樹脂吸着材を接着すると共に、前記締付具で前記つば部を外側から押圧することにより、前記つば部が前記本管ライニング材に結合されることを特徴とする。
【0009】
前記枝管ソケットのつば部の他面の本管ライニング材の外周表面への押圧は、樹脂製半円リングのボルト締め、ステンレス製ワイヤロープ、金属製または樹脂製のベルトでの締め付けによることを特徴とする。
【0010】
本発明による第二の枝管接続方法は、既設本管と本管ライニング材からなる管更生材に半割管型の枝管ソケットを適用して枝管を接続する枝管接続方法であって、枝管設置部周辺の既設本管を所定長さ分
、円周方向
に亘って除去して本管ライニング材を露出させる段階と、既設本管除去部に相当する1対の半割型枠管を本管ライニング材の円周方向に設置する段階と、本管ライニング材の内周部に半割型枠管
を含む所定の長さ相当区間に
熱硬化性樹脂が塗布され、本管ライニング材の肉厚を部分的に厚くする段階と、前記熱硬化性樹脂を加熱し硬化
させた後、1対の半割型枠管を本管ライニング材から取り外す段階と、前記本管ライニング材の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部を形成する段階と、前記穿孔部に半割管型の枝管取付用ソケットを取り付け、半割管型の枝管取付用ソケットのフランジ部を締結する段階と、を含
み、前記半割管は、所定の半割管長と既設本管と同じ内外径を有する半円弧状で、枝管ソケット本体部が取付けられていない半割管とにより本管ライニングの外周部を囲むようボルト締めされることを特徴とする。
【0011】
前記本管ライニング材の外周表面と前記枝管ソケットの内周面の間にパッキンが挿入されていることを特徴とする。
【0012】
本発明による第三の枝管接続方法は、既設本管に本管ライニング材を取付けるとともに、既設枝管と枝管ライニング材からなる枝管更生材を既設本管に接続する枝管接続方法であって、前記既設本管の枝管接続部に枝管接続用の孔を穿孔する穿孔部形成段階と、樹脂未含浸の管状ライナー材の1端を前記穿孔部に通した後、先端を花弁状に切開いて枝管ライニング材のつば部とし、
つば部の内外面に樹脂吸着材を貼り付けると共に、このつば部の1面を既設本管内周壁に押付ける段階と
、前記ライナー材先端の花弁状に切開かれたつば部に熱硬化性樹脂を吸着させて硬化させる段階と、前記ライナー材のつば部を除く部分に熱硬化性樹脂を含浸させた後、管内に圧力バッグを挿入し圧力バッグ内に温水を供給して枝管ライニング材を硬化させる段階と、前記既設本管の所定の箇所から既設本管内に本管ライニング材をつば部の他面に重なるように挿入する段階と、
地上から枝管を通して樹脂注入ホースが挿入され、前記樹脂注入ホースにより本管ライニング材の外周部に熱硬化性樹脂が注入されると共に、前記既設本管と本管ライニング材で枝管のつば部を挟み込み本管ライニング材を加圧することにより枝管のつば部を押圧する段階と、管内に圧力バッグを挿入し圧力バッグ内に温水を供給して本管ライニング材を加圧し本管ライニング材を硬化させる段階と、前記本管ライニング材が硬化された後、枝管接続部の本管ライニング材に流体通過用の孔を穿孔する段階と、を含み、前記つば部の体積が本管ライニング材の枝管と通じる穿孔部の穿孔板体積より大きく、かつ、つば部の1面と本管ライニング材の接触面積が前記穿孔板の面積より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、枝管接続とともに本管ライニング材の穿孔部の補強がなされるため、枝管接続部の水密性とともに強度が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1によるつば付き枝管ソケットの製造法を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1による本管ライニング材に枝管ソケットを適用して枝管を接続する状況を示す本管更生材の長手方向断面図である。
【
図3】本発明の実施例1による本管ライニング材に枝管ソケットを適用して枝管を接続する状況を示す本管更生材の断面図である。
【
図4】本発明の実施例2による本管ライニング材の肉厚増加後の硬化状況を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2による本管ライニング材の肉厚増加部硬化後に半割型枠管を取り外した状況を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2による半割管型の枝管ソケットを適用して枝管を接続する状況を示す本管長手方向断面図である。
【
図8】穿孔板とつば付き枝管ソケットのつば部の関係を示す図である。
【
図9】本発明の実施例3によるつば付き枝管ライニング材の硬化状況を示す図である。
【
図10】本発明の実施例3による本管ライニング材の反転挿入状況を示す図である。
【
図11】本発明の実施例3による本管ライニング材の硬化状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、本管更生材1用の枝管ソケット5及び枝管接続方法に関するもので、枝管接続方法としては、枝管ソケット5を成形して、成形済の枝管ソケット5を使用する方法(実施例1,2)と、枝管用樹脂未含浸の管状ライナー材の1端を穿孔部10に通した後、先端を花弁状に切開いて枝管ライニング材3の枝管ソケットつば部7とし、ライナー材の枝管ソケットのつば部7を除く部分には熱硬化性樹脂を含浸させた後、硬化させて枝管ライニング材3とする方法(実施例3)がある。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例1によるつば付き枝管ソケット5の製造法を示す図、
図2は、本発明の実施例1による本管ライニング材3に枝管ソケット5を適用して枝管4を接続する状況を示す本管更生材1の長手方向断面図、
図3は、本発明の実施例1による本管ライニング材3に枝管ソケット5を適用して枝管4を接続する状況を示す本管更生材1の断面図である。
図4は、本発明の実施例2による本管ライニング材3の肉厚増加後の硬化状況を示す図、
図5は、本発明の実施例2による本管ライニング材3の肉厚増加部硬化後に半割型枠管を取り外した状況を示す図、
図6は、本発明の実施例2による半割管型の枝管ソケットを適用して枝管4を接続する状況を示す本管更生材長手方向の断面図、
図7は、つば付き枝管ソケット5の断面図、
図8は、穿孔板とつば付き枝管ソケット5のつば部の関係を示す図である。
図9は、本発明の実施例3によるつば付き枝管ライニング材22の硬化状況を示す図、
図10は、本発明の実施例3による本管ライニング材3の反転挿入状況を示す図、
図11は、 本発明の実施例3による本管ライニング材3の硬化状況を示す図である。
【0022】
先ず、枝管ソケット5の構成と製造法について説明する。
図1に示す通り、枝管ソケット5は、本管更生材1に取付ける枝管4と同一の肉厚と内外径を有する管体からなる枝管ソケット本体6と、枝管ソケット本体6の1管端に枝管ソケット本体6と一体に形成される円環状の枝管ソケットのつば部7とからなり、円環状のつば部7の1面は本管ライニング材3の外周に密着する曲面を有する。
つば部7の体積は本管ライニング材3の枝管4と通じる穿孔部10の穿孔板20の体積より大きく、かつ、つば部7が本管ライニング材3の外周を覆う面積が穿孔板20の面積より大きいことを特徴とする。
ここで、穿孔板20は、本管更生材1に枝管4を取付けるための穿孔部10から切出された穿孔部10に相当する部分を言い、穿孔板20の体積は、穿孔部10の内径から算出した穿孔板20の面積と本管ライニング材3の肉厚から算定する。
【0023】
枝管4と本管更生材1の接合部において枝管4の端部にフランジ状に張り出したつば部7を設け本管更生材1と接続する方法は、従来より下水道、農業用水路、工業用水路、水道などの分野で周知の技術であった。
しかし、つば部の適正サイズについての知見はなく、過小なつば部による強度不足や、過大なつば部を設けることによる作業上の難点やコスト上昇などの問題があった。
そこで、本発明では、つば部7のサイズを明確な根拠に基づいて必要で十分なものにし、満足な効果を得られるようにしたものである。
【0024】
上記つば部7のサイズ決定に当たり、つば部7の体積と穿孔板20の体積の関係を設けた理由は以下の通りである。
既設本管2と本管ライニング材3からなる本管更生材1の殆どは、一定長さの老朽化した既設本管2に対して継手のない一体構造の樹脂製ライニング材が内張された構造となっている。
そして、枝管4を接続する場合には接続箇所に穿孔する必要があるが、穿孔により接続箇所の樹脂製ライニング材が強度低下を生じる問題があった。
そこで、穿孔部10周辺のライニング材の肉厚を増やすとともに、つば部7が本管ライニング材3の外周を覆う面積を穿孔板20の面積より大きくして強固に接合することで穿孔部10の強度を回復させることとした。
【0025】
上記対策の効果は強度回復実験によっても確認することができた。
強度回復実験を各種条件で行った結果、穿孔部10周辺のライニング材の体積が穿孔により失われた部分である穿孔板20と同じ体積以上となるように穿孔部10周辺の肉厚を増やし、かつ、つば部7が本管ライニング材3の外周を覆う面積を穿孔板20の面積より大きくして、つば部7と本管ライニング材3を接着剤で強固に接合することで、強度が穿孔前の状態に回復することが判明した。
なお、接続部の補強法としては、枝管4の接続部の本管ライニング材3外周に半割型枠管15を設置し、半割型枠管15の内部の本管ライニング材3の肉厚を増やすなどして補強した後、半割型枠管15を取り外し、その場所に半割管18を取り付ける方法や、半割型枠管15を取り外した後本管ライニング材3を増厚する方法もある。
【0026】
枝管ソケットの製造法は、
図1に示す通りである。
先ず、枝管ソケット5の内径と同寸法の外径を有する管状の外周部と、既設本管2の内径及び本管ライニング材3の外径と同寸法の外径を有し、本管ライニング材3の外周に密着する曲面を有する枝管ソケット下型枠8の上に、枝管ソケット本体6相当部は枝管ソケット本体6と同じ肉厚、つば部7相当部は既設本管2と同じ肉厚の樹脂未吸着の不織布またはグラスファイバーを巻付け配置する。
そして、樹脂未吸着の不織布またはグラスファイバーに不飽和ポリエステル、ビニールエステル、エポキシ等の液状熱硬化性樹脂を吸着させる。
次に、枝管ソケット本体6の不織布またはグラスファイバーの外周部及びつば部7の不織布またはグラスファイバーの上に枝管ソケット上型枠9を重ね、
不織布またはグラスファイバーに吸着させた熱硬化性樹脂を硬化させる。
【0027】
つば部7の体積は、円環状つば部の表面積とつば部の肉厚から算定する。
穿孔板20は、本管更生材1に枝管4を取付けるための穿孔部10から切出された穿孔部10に相当する部分を言い、穿孔板20の面積は、穿孔部10の内径から算出し、穿孔板20の体積は、穿孔板20の面積と本管ライニング材3の肉厚から算定する。
【0028】
次に、本発明の実施例1による本管ライニング材3に枝管ソケット5を適用して枝管4を接続する枝管接続方法について説明する。
本管ライニング材3は、不織布またはグラスファイバー等樹脂未含浸状態のライナー材を管状に加工し、内外面を樹脂フィルムで覆って気密状態とした後、液状の熱硬化性樹脂を含浸させて製造される。
【0029】
実施例1では、
図2、3に示す通り、既設本管2と本管ライニング材3からなる本管更生材1の枝管接続部10に枝管接続用の孔11を穿孔して穿孔部10とする。
次に、管更生材の穿孔部10周囲で枝管ソケット5のつば部7に相応する既設本管2を除去する。
既設本管2が除去された部分の本管更生材1の本管ライニング材3の外周表面と枝管ソケット5のつば部7の1面を結合して結合部とし、結合させたつば部7を本管更生材1の外周方向に装着されたベルト状の締付具12で固定し、枝管ソケット本体6の1端と枝管4本体とを継手13で結合する。
【0030】
つば部7の内面または外面全体または一部に、主剤と硬化材を混合した2液型接着剤等で熱硬化性樹脂を塗布した樹脂吸着材が接着され、枝管ソケット5のつば部7の他面を押圧することで接合を強固なものとすることが出来る。
上記押圧は、樹脂製半円リングのボルト締め、ステンレス製ワイヤロープ、金属製または樹脂製のベルトでの締付けでもよい。
また、本管ライニング材3の外周表面と枝管ソケット5のつば部7の1面の間にはパッキンを挿入してもよい。
【0031】
本発明の実施例2は、既設本管2と本管ライニング材3からなる本管更生材1に半割管18型の枝管ソケット5を適用して枝管4を接続する枝管接続方法である。
図4、5に示す通り、枝管接続部10周辺の既設本管2を所定長さ分円周方向亘って除去して本管ライニング材3を露出させる。
次に、既設本管2の除去部に相当する1対の半割型枠管15を本管ライニング材3の円周方向に設置し、本管ライニング材3の内周部に半割型枠管15の両管端から所定の長さ相当区間に本管ライニング材3の肉厚を部分的に厚くする熱硬化性樹脂を塗布する。具体的には、本管ライニング材3の肉厚の0.2乃至1.5倍の熱硬化性樹脂を塗布することが望ましい。
塗布された熱硬化性樹脂は、本管ライニング材3の内部に挿入した温水シャワーホース16からのシャワーで硬化させた後、1対の半割型枠管15を本管ライニング材3から取り外す。
本管ライニング材3を取り外した後、本管ライニング材3の枝管接続部10に枝管接続用の孔11を穿孔して穿孔部10を形成し、穿孔部10に半割管型18の枝管ソケット5を取り付け、半割管18型の枝管ソケット5のフランジ19を締結する。
【0032】
枝管ソケット5の半割管18の体積と穿孔板20の体積との関係については、枝管ソケット5の半割管18の体積から本管ライニング材3の枝管4と通じる穿孔部10の穿孔板20の体積を減じた値が穿孔板20の体積より大きく、かつ、半割管18が本管ライニング材3の外周を覆う面積から穿孔板20の面積を減じた値が穿孔板20の面積より大きくなるようにする。
半割管18は、所定の半割管18の長さと既設本管2と同じ内外径を有する半円弧状で、枝管ソケット本体6が取付けられていない半割管18とにより本管ライニング材3の外周部を囲むようボルト締めされる。
【0033】
次に、本発明の実施例3による管状ライナー材の1端につば部7を形成して枝管4を接続する枝管接続方法について説明する。
図9乃至11に示す通り、この方法は、枝管用樹脂未含浸の管状ライナー材の1端を穿孔部10に通した後、先端を花弁状に切開いて枝管ライニング材22のつば部7とし、ライナー材のつば部7を除く部分には熱硬化性樹脂を含浸させた後、硬化させて枝管ライニング材22とする方法であり、既設本管2に本管ライニング材3を取付けるとともに、既設枝管4と枝管ライニング材22からなる枝管更生材25を既設本管2に接続するものである。
【0034】
先ず、既設本管2の枝管接続部10に枝管接続用の孔11を穿孔して穿孔部10を形成する。
樹脂未含浸の管状ライナー材の1端を穿孔部10に通した後、先端を花弁状に切開いて枝管ライニング材22のつば部7とし、このつば部7の1面を既設本管2の内周壁に押付け、ライナー材先端の花弁状に切開かれたつば部7に熱硬化性樹脂を吸着させて硬化させる。
そして、ライナー材のつば部7を除く部分に熱硬化性樹脂を含浸させた後、管内に圧力バッグ23を挿入し圧力バッグ23の内部に温水を供給して枝管ライニング材22を硬化させる。
【0035】
次に、既設本管2の所定の箇所から既設本管2内部に本管ライニング材3をつば部7の他面に重なるように挿入する。
既設本管2につば部7を押し付けた状態で枝管4をライニングした後、既設本管2に本管ライニング材3を挿入し、地上から枝管4を通し本管ライニング材3の外周部に熱硬化性樹脂を注入する。
そして、既設本管2と本管ライニング材3で枝管4のつば部7を挟み込み本管ライニング材3を加圧することにより枝管4のつば部7を押圧する。
本管ライニング材3の管内には圧力バッグ23を挿入し圧力バッグ23内部に温水を供給して本管ライニング材3を加圧し本管ライニング材3を硬化させ、その後、枝管接続部10の本管ライニング材3に流体通過用の孔11を穿孔する。
つば部7の体積と本管ライニング材3の枝管4と通じる穿孔部10の穿孔板20の体積、及び、つば部7の1面と本管ライニング材3の接触面積と穿孔板20の面積の関係については先の枝管ソケット5の場合と同様である。
【符号の説明】
【0036】
1 本管更生材
2 既設本管
3 本管ライニング材
4 枝管、既設枝管
5 枝管ソケット
6 枝管ソケット本体
7 つば部
8 枝管ソケット下型枠
9 枝管ソケット上型枠
10 穿孔部、枝管接続部
11 孔
12 締付具
13 継手
14 パッキン
15 半割型枠管
16 温水シャワーホース
17 増厚部
18 半割管
19 フランジ
20 穿孔板
21 ドーナツ状樹脂吸着材
22 枝管ライニング材
23 圧力バッグ
24 樹脂注入ホース
25 枝管更生材