特許第5785257号(P5785257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5785257ホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物
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  • 特許5785257-ホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785257
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/08 20060101AFI20150907BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150907BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20150907BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20150907BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   C09D201/08ZAB
   C09D7/12
   C09D133/02
   B05D7/24 302P
   B05D5/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-516641(P2013-516641)
(86)(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公表番号】特表2013-534553(P2013-534553A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】US2011041021
(87)【国際公開番号】WO2011163102
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】12/822,843
(32)【優先日】2010年6月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アデライダ・カルボ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・シー・サリン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・イングラート
(72)【発明者】
【氏名】ルンハイ・ルー
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−083909(JP,A)
【文献】 特表2000−508000(JP,A)
【文献】 特開平06−184285(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00990729(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01935933(EP,A1)
【文献】 特表2009−539004(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02085365(EP,A1)
【文献】 特開平08−010691(JP,A)
【文献】 米国特許第07303766(US,B1)
【文献】 特開昭58−020751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/08
B05D 5/00
B05D 7/24
C09D 7/12
C09D 133/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性でホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物であって、
(i)(a)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーと、(b)独立した化合物としての少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物、または、前記ポリ酸コポリマーの主鎖中に組み込まれた少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物と、
(c)リン含有触媒とを含むバインダーと、
(ii)アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として2重量%未満の全アルカリ量を有し、メディアン径が250ミクロン以下、表面積が1〜3m/gのアルミノケイ酸カルシウム粉末とを含んで構成され、
前記ポリ酸コポリマーのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数が、前記ヒドロキシル基含有化合物のヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜1/3であることを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
前記コーティング組成物の乾燥重量中に、前記バインダーが20重量%〜50重量%、前記アルミノケイ酸カルシウム粉末が40重量%〜70重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシル基含有化合物がトリエタノールアミンである、および/または前記ポリ酸コポリマーがカルボキシル化アクリルコポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記アルミノケイ酸カルシウム粉末のメディアン径が100ミクロン以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
さらに、輝材、クレー、マイカ、砂、硫酸バリウム、シリカ、タルク、石膏、ウォラストナイト、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、中空ビーズ、およびこれらの混合物から選ばれる充填剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
さらに、輝材、マイカ、砂、硫酸バリウム、シリカ、タルク、石膏、ウォラストナイト、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、中空ビーズ、およびこれらの混合物から選ばれる充填剤およびカオリンクレーを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
非イオン界面活性剤の1つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記コーティング組成物は、ホルムアルデヒドを放出しないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記アルミノケイ酸カルシウム粉末のメディアン径が20ミクロン以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
さらに、分散剤、有機充填剤、無機充填剤、顔料、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、粘度調整剤、安定剤、消泡剤、流動調整剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上の成分を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井タイルなどのパネル、たとえば繊維パネルおよび吸音パネルにたわみ抵抗を付与するためのホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
吸音パネル(またはタイル)は、部屋、廊下、会議室などの室内空間での音の吸収および/または音響透過の減少によって音響効果を改善することが意図されて特に設計されたシステムである。多くの種類の吸音パネルが存在するが、一般的な吸音パネルは、たとえば米国特許第1,769,519号明細書に開示されているようにミネラルウール繊維、充填剤、着色剤、およびバインダーから構成される。これらの材料は、望ましい音響特性、ならびに色および外観などの他の性質を有する吸音パネルを得るために使用することができる。
【0003】
パネルを製造するために、繊維、充填剤、増量剤、バインダー、水、界面活性剤、およびその他の添加剤の選択された組み合わせを混合してスラリーを形成して、加工する。セルロース繊維は、典型的には、リサイクルされた新聞用紙の形態である。増量剤は、典型的には発泡パーライトである。充填剤としては、クレー、炭酸カルシウム、または硫酸カルシウムを挙げることができる。バインダーとしては、デンプン、ラテックス、および再構成された紙製品を挙げることができ、これらは互いに結合して、すべての構成要素の所望の構造マトリックスへの固定を促進する結合システムを形成する。
【0004】
デンプンなどの有機バインダーが、パネルに構造接着性を付与する主成分となることが多い。デンプンは、特に比較的安価であるという理由で、好ましい有機バインダーである。たとえば、新聞用紙、ミネラルウール、およびパーライトを含有するパネルは、デンプンを用いることで互いに経済的に結合させることができる。デンプンによって強度および耐久性の両方がパネル構造に付与されるが、水分によって生じる問題が起こりやすい。水分によって、パネルの軟化およびたわみが生じることがあり、これは天井においては目障りとなり、パネルの脆弱化につながることがある。
【0005】
パネル中の水分によって生じる問題に対処するために使用される方法の1つは、尿素−ホルムアルデヒド成分を有するまたは有さないメラミン−ホルムアルデヒド樹脂系コーティング組成物をパネルにバックコーティングすることである。このようなホルムアルデヒド樹脂系コーティング組成物が水分または湿気に曝露すると、下方にたわむ動きにより裏面に生じる圧縮力に抵抗するようになる。
【0006】
硬化したメラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、適切に硬化した場合には硬くて脆い架橋構造を有する。この硬い構造は、下方にたわむ動きによって裏面に生じる圧縮力に抵抗する機能を果たす。しかし、ホルムアルデヒド樹脂は、周知の環境刺激物の1つであるホルムアルデヒドを放出する傾向にある。
【0007】
ホルムアルデヒドの放出を減少させるため、遊離のホルムアルデヒドを捕捉するための尿素などのホルムアルデヒド反応性材料が加えられている。残念ながら、このような小分子捕捉剤は、ホルムアルデヒド樹脂の反応性基をエンドキャップし、架橋の発生を大きく妨害する。その結果、特徴的な高度に架橋したポリマー構造が全く形成されない。この結果得られるコーティングは脆弱であり、たわみに抵抗する機能を果たさなくなる。
【0008】
低揮発性有機化合物(VOC)放出源として分類される種々の市販の吸音パネル製品が存在するが、これらのパネル中には、ホルムアルデヒドの放出原因となる成分が存在するため、これらの製品は検出可能なレベルのホルムアルデヒドを放出する。製造プロセス中に熱に曝露される間に発生するホルムアルデヒドの放出は排気筒または熱酸化機中に排出することができるが、得られ製品は依然として残留ホルムアルデヒドを含有し、これは設置後に放出される。ホルムアルデヒド放出の減少、またはそのような放出の排除によって、学校、医療施設、または事務所用ビルなどの公共建築物などの吸音パネルが取り付けられる場所における屋内空気品質が改善される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、係る見地からホルムアルデヒドを放出せず、かつパネルへの水分の影響を抑えることができるコーティング組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、硬化性でホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物を提供する。このコーティング組成物は、(i)(a)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーと、(b)独立した化合物としての少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物、または、前記ポリ酸コポリマーの主鎖中に組み込まれた少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物と、(c)リン含有触媒とを含むバインダーと、(ii)アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として重量%未満の全アルカリ量を有し、メディアン径が250ミクロン以下、表面積が1〜3m/gのアルミノケイ酸カルシウム粉末とを含んで構成され、ポリ酸コポリマーのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数が、ヒドロキシル基含有化合物のヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜1/3である。
【0011】
本発明は、(a)バッキング側とその反対側を表面側とするパネルと(b)パネルのバッキング側に担持されたホルムアルデヒドフリーのコーティング層とを含むコーティングされたパネルであって、コーティング層が、(i)(a)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーと、(b)独立した化合物として、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物と、(c)リン含有触媒とを含むバインダーと、(ii)アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として重量%未満の全アルカリ量を有するアルミノケイ酸カルシウム粉末とを含んで構成され、ポリ酸コポリマーのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数ヒドロキシル基含有化合物のヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜1/3であるコーティング組成物から形成される
【0012】
本発明は、(1)バッキング側とその反対側を表面側とするパネルを用意するステップと、(2)前記バッキング側に、硬化性でホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物を塗布してコーティング層を形成するステップと、(3)前記コーティング層を硬化させてコーティングされたパネルとするステップ、を有してなるパネルをコーティングする方法であって、コーティング組成物が、(i)(a)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーと、(b)独立した化合物として、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物と、(c)リン含有触媒とを含むバインダーと、(ii)アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として2重量%未満の全アルカリ量を有するアルミノケイ酸カルシウム粉末とを含んで構成され、カルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数が、ヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜/3である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるバックコーティングを有するコーティングされたパネルの斜視図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、特定のバインダーとアルミノケイ酸カルシウム粉末とを含む硬化性ホルムアルデヒドフリーコーティング組成物に関する。このバインダーは、(a)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーと、(b)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物と、(c)リン含有触媒とを含んでなる。アルミノケイ酸カルシウム粉末は、アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として重量%未満の全アルカリ量を有してなる。このとき、前記バインダー中のポリ酸コポリマーにおけるカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数前記ヒドロキシル基含有化合物のヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜/3である。
【0015】
本発明は、強度およびたわみ抵抗の付与に役立ち、特にパネルにおいて有用であり、ホルムアルデヒドフリーである硬化性コーティング組成物の驚くべき予期せぬ発見に少なくとも一部は基づいている。本発明者らは、表面処理およびバックコーティングに使用されるある種のポリマーバインダーが、本質的にホルムアルデヒドを含有、遊離、放出、または発生することを発見した。さらに、表面処理およびバックコーティング中に含まれる湿潤状態の防腐剤または殺生物剤などの添加剤も、検出可能で定量化可能な量のホルムアルデヒドを遊離、放出、または発生しうる。したがって、ホルムアルデヒドが吸音パネル中に使用されるポリマーバインダーまたは殺生物剤の成分ではない場合でも、驚くべきことに、たとえばポリマーバインダーおよび/または殺生物剤の分解などの多数の理由で、パネルが依然としてホルムアルデヒドを遊離、放出、または発生しうることを本発明者らは発見した。好都合なことに、本発明は、強度を付与しおよびたわみを回避するのに十分な剛性が得られ、同時にホルムアルデヒドの放出が回避され、それによって屋内空気品質が改善されるコーティング層が得られる。
【0016】
本発明のコーティング組成物は、繊維パネルなどのパネル(たとえば天井タイルなどの吸音パネル)の表側または裏側のコーティングに使用すると好適である。本発明のコーティング組成物は、AURATONE(登録商標)天井タイル(USG Interiors,Inc.)などのウォーターフェルティング法によって製造された吸音パネル、およびACOUSTONE(登録商標)天井タイル(USG Interiors,Inc.)などの湿式パルプ成形またはキャストプロセスによって製造された吸音パネルなどの当技術分野において周知の吸音パネルおよび当技術分野において周知の方法によって製造された吸音パネルとともに使用することができる。たとえば、吸音パネルおよびその製造方法は、たとえば、米国特許第1,769,519号明細書、米国特許第3,246,063号明細書、米国特許第3,307,651号明細書、米国特許第4,911,788号明細書、米国特許第6,443,258号明細書、米国特許第6,919,132号明細書、および米国特許第7,364,015号明細書に記載されており、これらのそれぞれが参照により本明細書に援用される。
【0017】
本発明によるホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物に使用されるバインダーは、少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を含むポリ酸コポリマーを含んでいる。なんらかの特定の理論によって束縛しようと望むものではないが、本明細書に記載のバインダーは、アルミノケイ酸カルシウム粉末の結合剤として機能すると考えられる。好ましくは、ポリ酸コポリマーは、カルボキシル化アクリルポリマーであり、加熱および硬化時に、揮発することなく安定にヒドロキシル基含有化合物成物中のヒドロキシル基と反応可能である必要がある。ポリ酸は、少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩を有する分子量が1000未満の化合物、たとえばクエン酸、ブタントリカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸などであってよく、あるいは、重合単位としてカルボン酸官能性モノマーを含む付加ポリマーまたはオリゴマーであってもよい。他の好適なカルボン酸基含有モノマーとしては、たとえば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、2−メチルイタコン酸、α−メチレングルタル酸、モノアルキルマレエート、およびモノアルキルフマレート、ならびにこれらの塩が挙げられる。好適な無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アクリル酸、および無水メタクリル酸、ならびにこれらの塩が挙げられる。
【0018】
バインダーは、好ましくはカルボン酸基、より好ましくはメタクリル酸基および/またはアクリル酸基を含有する化合物を含んでいる。カルボン酸基を含有する化合物は、カルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーを好適な量で含むことができる。典型的には、この化合物は、ポリマーの重量を基準としてカルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーを1%以上、たとえば、%以上、または%以上、または10%以上、または20%以上、または30%以上含む。あるいは、またはこれに加えて、この化合物は、ポリマーの重量を基準として99%以下、たとえば、98%以下、または95%以下、または90%以下、または80%以上の、カルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーを含む。したがって、カルボン酸基を含有する化合物は、カルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーを、モノマーに関して前述した任意の2つの端点によって定められる範囲内の量で含むことができる。たとえばカルボン酸基を含有する化合物は、ポリマーの重量を基準として%〜99%、%〜98%、%〜95%、または10%〜90%の、カルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーを含むことができる。
【0019】
バインダーは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有化合物をさらに含む。ヒドロキシル基含有化合物は、バインダー中に独立した化合物として存在することができ、あるいはポリ酸コポリマー主鎖中に組み込まれてもよい。ヒドロキシル基含有化合物は、加熱および硬化の間にバインダー中のポリマーと実質的に反応可能となるのに十分な不揮発性であるあらゆる好適なポリオールであるヒドロキシル基含有化合物は望ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する分子量が1000未満の化合物、たとえば、エチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、スクロース、グルコース、レソルシノール、カテコール、ピロガロール、グリコール化尿素類、1,4−シクロヘキサンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびたとえば米国特許第4,076,917号明細書の教示によって調製できるもののようなビス−[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジパミドなどのβ−ヒドロキシアルキルアミド類などのある種の反応性ポリオール類がある。あるいは、ポリビニルアルコール、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ならびに(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのホモポリマーまたはコポリマーなどの少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する付加ポリマーであってもよい。好ましくはヒドロキシル基含有化合物は、ジイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびジエタノールアミンからなる群から選択されるヒドロキシル含有アミンである。
【0020】
ホルムアルデヒドフリーのバインダーをポリエステルとして形成するために、ポリ酸コポリマーをヒドロキシル基含有化合物とポリエステル化させる。前記カルボン酸基、無水物基、またはこれらの塩の当量数が、前記ヒドロキシル基の当量数に対する比で1/0.01〜/3(たとえば/0.05〜/2.5、または/0.1〜/2)である。
【0021】
本発明のバインダー、さらにリン含有触媒を含む。リン含有触媒は、好ましくはリン含有触媒、たとえば次亜リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜リン酸、リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ポリリン酸塩、アルカリ金属リン酸二水素塩、ポリリン酸、C1−22アルキルホスフィン酸、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
バインダーの具体例として、Dow Chemical Co.(Midland,MI)より入手可能なAquaset(商標)ポリマー、Dow Chemical Co.より入手可能なAquaset(商標)600ポリマーある。
【0023】
別の実施形態においては、リン含有触媒は、リン含有基を有するオリゴマーまたはポリマー、たとえば、次亜リン酸ナトリウムの存在下で形成されるアクリル酸および/またはマレイン酸オリゴマーまたはポリマーリン塩連鎖移動剤または停止剤の存在下でエチレン系不飽和モノマーから調製される本発明のコポリマー成分との付加ポリマーならびに、共重合したメタクリル酸ホスホエチル、ならびに同様のホスホン酸エステルおよび共重合したビニルスルホン酸モノマー、およびこれらの塩などの酸官能性モノマー残基を含有する付加ポリマーである。本発明の一実施形態においては、ヒドロキシル含有化合物およびリン含有化合物は、同じ付加ポリマー中に存在する。好ましくは、リン含有触媒は、オリゴマーまたはポリマーの重量を基準として重量%以上、たとえば、重量%以上、または10重量%以上の量で使用することができる。あるいは、またはこれに加えて、リン含有触媒は、オリゴマーまたはポリマーの重量を基準として40重量%以下、たとえば、35重量%以下、または30重量%以下、または25重量%以下、または20重量%以下の量で使用することができる。したがって、リン含有触媒は、リン含有触媒に関して前述した任意の2つの端点によって定められる範囲内の量で使用することができる。たとえば、リン含有触媒は、オリゴマーまたはポリマーの重量を基準として重量%〜40重量%、たとえば、重量%〜30重量%、重量%〜20重量%、または重量%〜10重量%の量で使用することができる。
【0024】
本発明による硬化性でホルムアルデヒドフリーのコーティング組成物は、バインダーに加えて、アルミノケイ酸カルシウム粉末を含んで構成される。本明細書において使用する用語「ガラス粉末」、「ガラス充填剤」は、本質的にアルミノケイ酸カルシウム粉末からなる粉末を意図している。アルミノケイ酸カルシウム粉末は、好ましくは非常に低い吸油性および吸水性有する化学的不活性のものである。理論によって束縛しようと望むものではないが、低い吸水性のアルミノケイ酸カルシウム粉末は、粘度を過度に増加させることなく、コーティング組成物中のアルミノケイ酸カルシウム粉末の充填量を多くすることができると考えられる。好適なアルミノケイ酸カルシウム粉末としては、ガラス繊維から製造された粉末が挙げられる。好ましくはアルミノケイ酸カルシウム粉末は、アルミノケイ酸カルシウム粉末の全重量を基準として重量%未満の全アルカリ量を有する(たとえば、Eガラス)。望ましくは、アルミノケイ酸カルシウム粉末が5:1以下、好ましくは:1以下、またはより好ましくは:1以下(たとえば、1.5:1以下)の平均アスペクト比を有して、短繊維を実質的含有しない、または全く含有しないものである
【0025】
アルミノケイ酸カルシウム粉末は、あらゆる好適なメディアン径、表面積を有することができるが、典型的にはメディアン径が250ミクロン以下、好ましくは100ミクロン以下、より好ましくは20ミクロン以下(たとえば、15ミクロン以下、または10ミクロン以下)であり、表面積が1/g〜/g、好ましくは1.2/g〜2.4/gである。理論によって束縛しようと望むものではないが、本出願人らは、微粉砕された粉末では、コーティング組成物中のバインダーとの相互作用を最大化するためのより広い表面積が得られ、硬化性コーティング組成物の機械的性質が強化および向上し、パネルに塗布した後のコーティング層の剛性および強度が増加し、それによってたわみ抵抗が向上すると考えている。
【0026】
本発明のコーティング組成物は場合により、分散剤、無機充填剤、顔料、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、粘度調整剤、安定剤、消泡剤、流動調整剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上の成分をさらに含むことができる。
【0027】
好適な分散剤としては、たとえば、ピロリン酸四カリウム(TKPP)(FMC Corp.)、Tamol(登録商標)731A(Rohm & Haas)などのポリカルボン酸ナトリウム、およびTriton(商標)CF−10アルキルアリールポリエーテル(Dow Chemicals)などの非イオン界面活性剤が挙げられる。好ましくは、本発明のコーティング組成物は、Triton(商標)CF−10アルキルアリールポリエーテル(Dow Chemicals)などの非イオン界面活性剤から選択される分散剤を含むものである
【0028】
好適な無機充填剤としては(前述のアルミノケイ酸カルシウム粉末に加えて)、たとえば、輝材、クレー(たとえば、カオリンクレー)、マイカ、砂、硫酸バリウム、シリカ、タルク、石膏、ウォラストナイト、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、中空ビーズ、ベントナイト塩、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明のコーティング組成物は無機充填剤を含有しない(たとえば、本発明のコーティング組成物はマイカを含有しない)。しかし、希望するなら、マイカなどの無機充填剤を単独、または本明細書に記載のアルミノケイ酸カルシウム粉末などの別の充填剤と組み合わせてコーティング組成物中に含めることができる。コーティング組成物のある実施形態において使用されるマイカは、250ミクロン以下、好ましくは100ミクロン以下、より好ましくは20ミクロン以下(たとえば、15ミクロン以下、または10ミクロン以下)の粒径を有することができる。
【0029】
好適な顔料としては、当業者に周知の従来の顔料が挙げられる。コーティング組成物のpHを悪化させ、それによってバインダーの硬化を阻害する顔料は、回避するように注意する必要がある。たわみ抵抗を向上させるバックコーティングして使用される場合には、好ましくは本明細書に記載のコーティング組成物は着色されない。
【0030】
好適な界面活性剤は、好ましくは非イオン界面活性剤である。好適な非イオン界面活性剤の非限定的な例としては、Igepal(登録商標)CO−630(Rhodia Canada,Inc.)などのエトキシル化ノニルフェノールが挙げられる。
【0031】
好適なpH調整剤および緩衝剤としては、硫酸およびリン酸、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの添加剤は、バインダーの硬化に好適なpH環境を提供することが意図される。好ましくは本明細書に記載のコーティング組成物は、硫酸またはリン酸のいずれかから選択されるpH調整剤を含むものである
【0032】
好適な粘度調整剤は、Natrosol(登録商標)(Hercules,Inc.)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ナトリウムベントナイト(Volclay)、Snowbrite Clay(Whittaker,Clark & Daniels)として販売されるエアフロートカオリンクレーなどのカオリンクレー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
好適な消泡剤としては、Hi−Mar DFC−19(Hi−Mar Specialties,Inc.)などの油系消泡剤が挙げられる。
【0034】
本発明のバインダーは、ホルムアルデヒドフリーである。本明細書において「ホルムアルデヒドフリー」は、バインダーが、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドを生成する化学物質を含んでおらず、通常の使用条件ではホルムアルデヒドを放出しないことを意味する。ホルムアルデヒドフリーのバインダーを含むコーティング組成物もホルムアルデヒドフリーであるか、または少なくとも実質的にホルムアルデヒドフリーである。用語「実質的にホルムアルデヒドフリー」は、偶発的な量またはバックグラウンド量のホルムアルデヒド(たとえば、100ppb未満)がコーティング組成物中に存在でき、本発明の範囲の範囲内となりうることを意味するとして定義される。
【0035】
コーティング組成物中に存在するホルムアルデヒドの量は、ASTM D5197に準拠して、加湿したMarkes Microchamber中で乾燥コーティングサンプルを115℃に加熱し、次に2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジを使用して制御された条件下で放出物を収集することによって測定することができる。曝露後、DNPHカートリッジをアセトニトリルで洗浄し、そのアセトニトリル洗液を5mlの体積まで希釈し、そのサンプルを液体クロマトグラフィーによって分析する。結果はμg/(コーティングサンプルのmg)の単位で報告され,対照サンプルと比較される。有意の一連の試験にわたって対照試料の実験誤差範囲内となるサンプルが実質的にホルムアルデヒドフリーである。
【0036】
本発明のコーティング組成物は、あらゆる好適な量のホルムアルデヒドフリーのバインダーを含んでなっている。好ましくは本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として10重量%以上、たとえば、15重量%以上、または20重量%以上、または30重量%以上のホルムアルデヒドフリーのバインダーを含む。あるいは、またはこれに加えて、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として60重量%以下、たとえば、55重量%以下、または50重量%以下のホルムアルデヒドフリーのバインダーを含む。したがって、本発明のコーティング組成物は、ホルムアルデヒドフリーのバインダーに関して前述した任意の2つの端点によって定められる範囲内の量のホルムアルデヒドフリーのバインダーを含むことができる。たとえば、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として10重量%〜60重量%、20重量%〜55重量%、または20重量%〜50重量%のホルムアルデヒドフリーのバインダーを含むことができる。さらに本発明のコーティング組成物は、あらゆる好適な量のアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むことができる。好ましくは本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として重量%以上、たとえば、10重量%以上、または20重量%以上、または30重量%以上のアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むものである。あるいは、またはこれに加えて、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として80重量%以下、たとえば、0重量%以下、または65重量%以下のアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むものである。したがって、本発明のコーティング組成物は、アルミノケイ酸カルシウム粉末に関して前述した任意の2つの端点によって定められる範囲内の量でアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むことができる。たとえば、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の乾燥成分の全重量を基準として30重量%〜80重量%、35重量%〜75重量%、または40重量%〜75重量%)のアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むことができる。
【0037】
本発明の硬化性コーティング組成物は、従来の混合技術を使用してバインダーと、アルミノケイ酸カルシウム粉末と、その他成分とを混合することによって調製することができる。典型的には、コーティング組成物中の粒子または固体を水性担体中に懸濁させ、バインダーを水性担体に加えて混合し、続いてその他成分を、乾燥重量%量の減少する順序で混合する。アルミノケイ酸カルシウム粉末は、粉末を十分にぬらすために、望ましくは最後に混合物に加えられる。
【0038】
本発明のコーティング組成物の固形分は、個々の用途により決められる。たとえば、使用される液体担体の選択および量に関する制限要因の1つは、必要な固体量で得られる粘度である。したがって、吹き付けは最も粘度に敏感であるが、他の方法ではあまり敏感ではない。コーティング組成物の固形分の有効範囲は、15%以上、たとえば、20重量%以上、または25重量%以上、または30重量%以上、または35重量%以上、または40重量%以上、または45重量%以上である。あるいは、またはこれに加えて、コーティング組成物の固形分は、90重量%以下、または85重量%以下、または80重量%以下、または75重量%以下である。したがって、コーティング組成物の固形分は、コーティング組成物の固形分に関して前述した任意の2つの端点によって定められる範囲内であってよい。たとえば、コーティング組成物の固形分は、15重量%〜90重量%、35重量%〜80重量%、または45重量%〜75重量%であってよい。
【0039】
本発明はさらに、本発明のコーティング組成物をコーティングしたパネル(たとえば吸音パネル)に関する。図1に概略的に示される本発明の一態様によるコーティングされたパネル10は、バッキング側30および表面側40を有するパネルコア20でなっている。パネルは、場合により、バッキング側30と連絡するバッキング層35、および/または表面側40と連絡する表面層45をさらに含む。バックコーティング層50は、バッキング側30または場合によるバッキング層35と連絡する。場合によりさらなる前面コーティング層60が、表面側40または場合による表面層45と連絡する。
【0040】
バックコーティング層50は、高湿度条件下での重力のたわみ力を抑制し、したがってこの層はパネルコア20のバッキング側30(または存在する場合にはバッキング層35)に塗布される。バッキング側30は、つり天井タイルシステム中のパネルの上のプレナムに向かう側であってよい。コーティングされたパネル10は、音を減衰させるための吸音パネルであってよい。パネルコア20の製造手順の実例の1つが米国特許第1,769,519号明細書に記載されている。一態様においては、パネルコア20はミネラルウール繊維およびデンプンを含み、ミネラルウール繊維は、スラグウール、ロックウール、および/またはバサルトウールなどの種々の繊維を含むことができる。本発明の別の一態様においては、米国特許第1,769,519号明細書、米国特許第3,246,063号明細書、および米国特許第3,307,651号明細書に開示されるように、デンプン成分は、ミネラルウール繊維のバインダーとして機能するデンプンゲルであってよい。本発明のさらなる一態様においては、パネルコア20はガラス繊維パネルを含むことができる。
【0041】
本発明のコーティングされたパネルのパネルコア20は、種々の他の添加剤および物質をも含むことができる。たとえば、パネルコア20は、硫酸カルシウム材料(スタッコ、石膏、および/または硬石膏など)、ホウ酸、およびヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)を含むことができる。吸音タイルを製造する場合は、スタッコおよびホウ酸の代わりにカオリンクレーおよびグアーガムを使用することができる。
【0042】
本発明のコーティングされたパネルのコアは、種々の技術を使用して製造することができる。一実施形態においては、パネルコア20は、米国特許第4,911,788号明細書および米国特許第6,919,132号明細書に記載されるようにウェットフェルティング法またはウォーターフェルティング法によって製造される。別の一実施形態においては、パネルコア20は、デンプンおよび種々の添加剤を水中で組み合わせて混合してスラリーを得ることによって製造される。このスラリーを加熱することでデンプンを加熱して、デンプンゲルを形成し、次にこれをミネラルウール繊維と混合する。連続プロセスにおいてゲル、添加剤、およびミネラルウール繊維のこの組み合わせ(「パルプ」と呼ばれる)をトレイ中に計量供給する。パルプが計量供給されるトレイの底部には、場合によりバッキング層35(たとえば、漂白紙、未漂白紙、またはクラフト紙で裏打ちされたアルミニウム箔(以降、クラフト/アルミニウム箔と呼ぶ))を入れることができ、これはトレイから材料を取り出しやすくなる機能を果たすが、最終製品の一部としても残存する。パルプの表面はパターン化することができ、パルプの入ったトレイは次に、たとえば対流トンネル乾燥機に通すことによって乾燥させることができる。次に、乾燥した製品、すなわちスラブは、仕上げラインに供給することができ、そこで適切な大きさに切断してパネルコア20を得ることができる。次にパネルコア20に本発明のコーティング組成物を塗布することによって、本発明のパネルにすることができる。コーティング組成物は、好ましくはコアを形成し乾燥させた後のパネルコア20に塗布される。さらに別の一実施形態においては、パネルコア20は、米国特許第7,364,015号明細書(参照により本明細書に援用される)に記載の方法により作製される。詳細に説明すると、パネルコア20は、モノリス層または多層複合材料であってよい硬化石膏の相互連結マトリックスを含む吸音層を含む。望ましくは、パネルコア20は、従来の石膏ボード製造ライン上で作製され、ここで、水、焼石膏、起泡剤、および場合によりセルロース繊維(たとえば紙繊維)、軽量骨材(たとえば、発泡ポリスチレン)、バインダー(たとえば、デンプン、ラテックス)、および/または強化材料(たとえば、トリメタリン酸ナトリウム)の混合物をコンベヤベルト上にキャストすることによって、吸音パネル前駆体のリボンが形成される。好ましい一実施形態においては、パネルコアは、スクリム層(たとえば、紙、ガラス繊維織物、またはガラス繊維不織布)および/または焼石膏を含み少なくとも35ポンド/立方フィートの密度を有する緻密化層前駆体が場合によりコーティングされた、バッキングシート(たとえば、紙、金属箔、またはこれらの組み合わせ)を含むものである。さらに別の一実施形態においては、パネルコア20は、ウェットフェルティング法により作製される。ウェットフェルティング法においては、ミネラルウール、発泡パーライト、デンプン、および少量の添加剤を含むパネル形成材料の水性スラリーが、長網フォーマーまたはシリンダーフォーマー(cylinder former)などの移動ワイヤースクリーン上に堆積される。長網フォーマーのワイヤースクリーン上で、重力および次に場合により真空吸引によって水性スラリーを脱水することによって、濡れたマットが形成される。この濡れたマットは、さらに脱水するためにプレスロール間で所望の厚さまでプレスされる。プレスされたマットはオーブン中で乾燥され、次に切断されて吸音パネルが製造される。次にパネルコア20に本発明のコーティング組成物を塗布することによって、本発明のパネルにすることができる。コーティング組成物は、好ましくはコアを形成し乾燥させた後のパネルコア20に塗布される。
【0043】
さらなる一実施形態においては、パネルコア20は、米国特許出願公開第2007/0277948A1号明細書(参照により本明細書に援用される)に記載されるような1種類以上のホルムアルデヒドフリー殺生物剤を防腐剤として含むことができる。好適なホルムアルデヒドフリー殺生物剤としては、Proxel(登録商標)GXLまたはProxel(登録商標)CRL(ARCH Chemicals)、Nalcon(登録商標)(Nalco)、Canguard(商標)BIT(Dow Chemical)、およびRocima(商標)BT 1S(Rohm & Haas)として入手可能な1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。別のイソチアゾリン−3−オン類としては、Acticide(登録商標)MBS(Acti−Chem)として入手可能な1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとのブレンドが挙げられる。さらなるイソチアゾリン−3−オンとしては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびこれらのブレンドが挙げられる。5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとのブレンドは、Kathon(商標)LX(Rohm & Haas)、Mergal(登録商標)K14(Troy Chemical)、およびAmerstat(登録商標)251(Drew Chemical)として入手可能である。別の好適なホルムアルデヒドフリー殺生物剤としては、Zinc Omadine(登録商標)(ARCH Chemicals)として入手可能な亜鉛−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオンが挙げられ、好ましくは乾燥状態および湿潤状態の両方で有効となる。亜鉛1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオンは酸化亜鉛とともに使用することもでき、Zinc Omadine(登録商標)エマルジョンとして入手可能である。別の好適なホルムアルデヒドフリー殺生物剤としては、Kathon(商標)893およびSkane(登録商標)M−8(Rohm & Haas)として入手可能な2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびMetasol(登録商標)TK−100(LanXess)として入手可能な2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0044】
前述したように、本発明によるコーティングされたパネルは、バッキング層35を場合により含むことができる。未漂白紙、漂白紙、クラフト/アルミニウム箔などの多数の材料をバッキング層35として使用することができる。製品の表面燃焼特性を改善するために、場合により難燃性バックコーティング組成物を漂白紙または未漂白紙のバッキングと組み合わせて使用することができる。難燃性バックコーティング組成物は、たとえば水、難燃剤、および殺生物剤などの種々の成分を含むことができる。バッキング層35は、たわみ抵抗および/または音響制御を改善するためにも使用することができる。さらに、1つのフィルコーティング(fill coating)または複数のフィルコーティングをバッキング層35に塗布することもできる。フィルコーティングは、たとえば水、充填剤、バインダー、ならびに消泡剤、殺生物剤、および分散剤などの種々の他の添加剤などの種々の成分を含むことができる。
【0045】
本発明のさらなる一実施形態は、コーティング組成物を塗布するステップを含むパネルのコーティング方法を含む。コーティング組成物は、パネル、好ましくは吸音パネルまたは吸音タイル基材の1つ以上の表面に、当業者に周知で利用可能な種々の技術を使用して塗布することができる。このような技術としては、たとえば、エアレススプレーシステム、空気補助スプレーシステムなどが挙げられる。コーティングは、ロールコーティング、フローコーティング、フラッドコーティング、吹き付け、カーテンコーティング、押出成形、ナイフコーティング、およびこれらの組み合わせなどの方法によって塗布することができる。このコーティングにおける塗布量の有効範囲は、乾燥基準で、g/ft200g/ftg/ft20g/ft、および4.0g/ft10g/ftである。一実施形態においては、本発明のコーティング組成物は、パネルのバッキング側30に塗布される。別の一実施形態においては、本発明のコーティング組成物は、パネルのバッキング層35に塗布される。
【0046】
本発明の硬化性コーティング組成物をパネルに塗布した後、加熱することで乾燥および硬化が行われる。得られた製品を乾燥させることで、コーティング組成物またはそのいずれかの成分の担体として使用されるすべての水が除去され、ポリマーバインダーが、構造的に剛性の網目に変化することで表面処理が得られる。本明細書において「硬化」は、たとえば共有結合化学反応、イオン相互作用、またはクラスター形成、パネルへの接着性の改善、相転移または転相、水素結合などを介した、ポリマーの性質を変化させるのに十分な化学的または形態的変化を意味する。
【0047】
加熱の時間および温度は、加熱された基体の乾燥速度、加工または取り扱いの容易さ、ならびに特性発現に影響を与える。100℃〜400℃(たとえば、175℃〜370℃、または200℃〜215℃)で秒〜15分の熱処理を行うことができる。吸音パネルの場合、175℃〜280℃における処理が好ましい。一般に、表面温度が200℃でコーティング層は完全硬化している
【0048】
乾燥および硬化の作用は、希望するなら2つ以上の異なるステップで行うことができる。たとえば、硬化性コーティング組成物は、実質的に乾燥するがコーティング組成物が実質的に硬化することのない温度および時間で最初に加熱し、次に硬化させるためにより高い温度および/またはより長い時間で2回目の加熱が行われる。このような手順は「Bステージング」(B−staging)と呼ばれ、本発明によりコーティングされたパネルを得るために使用することができる。
【0049】
本発明のコーティングされたパネルは、永久変形に対する抵抗性(たわみ抵抗)が増加している。望ましくは、本発明のコーティングされたパネルは、ASTM C367−09に準拠して測定されるたわみ抵抗が、前記コーティングされたパネルの2フィートの長さ当たり0.4インチ未満、好ましくは前記コーティングされたパネルの2フィートの長さ当たり0.3インチ未満、より好ましくは前記コーティングされたパネルの2フィートの長さ当たり0.2インチ未満である。
【0050】
本発明のコーティングされたパネルは、望ましくは実質的にホルムアルデヒドフリーであり、これはCalifornia Collaborative for High Performance Schools Special Environmental RequirementsのSection 01350に適合するレベルのホルムアルデヒドを遊離または放出することを意味する。実質的にホルムアルデヒドフリーと見なすためには、コーティングされたパネルは、16.5μg/m以下のホルムアルデヒドの計算濃度が得られるべきである。
【0051】
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、当然ながら、本発明は、これらの実施例により限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
この実施例では、本発明のコーティング組成物を用いて作製しコーティングした吸音パネルのたわみ抵抗特性を示す。
【0053】
この実施例においては、一連のコーティングされた吸音パネルを作製し、たわみ抵抗に関する試験を行った。最初のパネルは、従来のメラミンホルムアルデヒドバインダーを使用して作製し、対照〔組成物1A〕として使用した。本発明に係るパネルとして、Aquaset(登録商標)600ポリマーバインダー(Dow Construction Polymers)とアルミノケイ酸カルシウム粉末を含むホルムアルデヒドフリーバインダー組成物を使用して作製した〔組成物1B〜1E〕。ここで、アルミノケイ酸カルシウム粉末として、LA−7(商標)(Vitro Minerals)ガラス粉末(メディアン径;7.27ミクロン、表面積;2.1m/g)〔組成物1B〕、LA100(商標)(Vitro Minerals)ガラス粉末〔組成物1C〕、LA300(商標)(Vitro Minerals)ガラス粉末(メディアン径;10.46ミクロン、表面積;1.2m/g)〔組成物1D〕、LA400(商標)(Vitro Minerals)ガラス粉末(メディアン径;7.04ミクロン、表面積;2.1m/g)〔組成物1E〕の4種の異なるものを使用した。これらのコーティング組成物のそれぞれの組成を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
吸音パネル(コーティングおよび他の仕上げ段階が行われていない下地の2310 Auratone(登録商標)ベースマット)の裏側に、最初に12gのコーティング組成物を塗布し(18g/ft)、次に6gのコーティング組成物を塗布する(18g/ft)ことからなる2段階塗布方法を使用して、各組成物を塗布した。得られたコーティングを260℃で10分間硬化させた。本発明のすべてのコーティング組成物〔1B〜1E〕は、メラミンホルムアルデヒド対照試料〔組成物1A〕と同等以上のたわみ抵抗特性を有した。40℃/湿度95%で12時間に続いて21℃/湿度50%で12時間の3サイクルの後にASTM C367−09に準拠して各パネルのたわみ抵抗特性を測定した。たわみ抵抗は、パネルの全移動量(TM)、および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した。表2にこれらの性質をまとめている。
【0056】
【表2】
【0057】
これらのデータは、ホルムアルデヒドフリーのバインダーとともにアルミノケイ酸カルシウム粉末を含む本発明によるコーティング組成物によって、従来のメラミンホルムアルデヒドによるコーティング組成物と同等以上のたわみ抵抗特性が得られることを示している。
【0058】
[実施例2]
この実施例では、本発明の一実施形態によるコーティング組成物のたわみ性能に対する硬化温度の影響を示す。
【0059】
4つの7.6cm×61cmのウェットフェルティングを行った試験ストリップ(コーティングおよび他の仕上げ段階が行われていない下地の2310 Auratone(登録商標)ベースマット)にコーティング組成物を塗布することによって、4つの試験ストリップを作製した。コーティング組成物は、203.7gのAquaset(商標)ポリマーバインダー(Dow Construction Polymers)、158.1gのLA−7(商標)ガラス粉末(Vitro Minerals)、1.38gのTriton CF−10界面活性剤(Dow Chemical)、5.50gのSnowbrite(商標)クレー(Unimin)、および71.30gの水でなっている
【0060】
コーティング組成物の塗布は、Devilbiss JGA−510スプレーガンを使用して7.6cm×61cmのウェットフェルティングが行われた試験ストリップに、未乾燥基準で130g/mの塗布量で行った。得られた試験ストリップをオーブン中約135℃で20〜30分乾燥させた。
【0061】
40℃/湿度95%で12時間に続いて21℃/湿度50%で12時間の3サイクルの後にASTM C367−09に準拠して各ストリップのたわみ抵抗特性を測定した。第1の組の6つのストリップは、135℃で20〜30分の初期乾燥の後に熱処理した。2つのストリップは、さらに加熱することなくたわみ試験を行い、2つのストリップは177℃で10分間熱処理し、2つのストリップは177℃で20分間熱処理した。第2の組の6つのストリップは、204℃でそれぞれ0分間、10分間、および20分間熱処理した。たわみ抵抗は、ストリップの全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した。ストリップの全移動量(TM)の結果を表3に示し、平坦面に対する位置(PRFP)を表4に示している。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
表3および表4に記載の結果から明らかなように、204℃で10分間硬化させた試験ストリップは、177℃で10分間硬化させた試験ストリップの33%および43%の全移動量および平坦面に対する位置を示した。204℃で20分間硬化させた試験ストリップは、177℃で20分間硬化させた試験ストリップの約57%および66%の全移動量および平坦面に対する位置を示した。
【0065】
[実施例3]
この実施例では、本発明の一実施形態によるコーティング組成物のたわみ性能に対するガラス充填剤の粒径の影響を示す。
【0066】
4つのコーティング組成物〔組成物3A〜3D〕を調製した。組成物3A〜3Dは、1.50重量%の非イオンアルキルアリールポリエーテル界面活性剤(Triton(商標)CF−10、Dow)、0.40重量%のヒドロキシエチルセルロース(Cellosize(商標)QP−4400H、Dow Chemical)、1.20重量%のベントナイトクレー(Vollclay(商標)、American Colloid Company)、6.00重量%のエアフロートカオリンクレー(Snowbrite(商標)クレー、Unimin)、および40.0重量%(固形分基準で)のAquaset(商標)600ポリマーバインダー(Dow Construction Polymers)、および50.90重量%のガラス充填剤を配合して固形分とし、残部を水として45%固形分のコーティング組成物とした。ここで、ガラス充填剤として、LA−7(Vitro Minerals)(メディアン径;10.5μm)〔組成物3A〕、Ameriflake ACFT1−300(ISORCA)(メディアン径;72.1μm)〔組成物3B〕、Grainger 325メッシュ(Glass Resources,Inc.)(メディアン径;77.7μm)〔組成物3C〕、およびTriVitro(商標)VG200(メディアン径;31.4μm)〔組成物3D〕の4種の異なるものを用いた
【0067】
コーティング組成物の試験パネルへの塗布は、Devilbiss JGA−510スプレーガンを使用して、7.6cm×61cmのウェットフェルティングが行われた試験ストリップに、表5に記載の未乾燥基準の塗布量で行った。次にコーティングされた試験ストリップをオーブン中約135℃で乾燥させ、次に177℃で20分間硬化させた。
【0068】
40℃/湿度95%で12時間に続いて21℃/湿度50%で12時間の3サイクルの後にASTM C473−95に準拠して各パネルのたわみ抵抗特性を測定した。たわみ抵抗は、パネルの全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した。実際のコーティング組成物の塗布量、パネルの全移動量、および最終的な平坦面に対する位置を表5に示している。
【0069】
【表5】
【0070】
表5に示す結果から明らかなように、粒径が10.5μmのガラス充填剤を含有する組成物3Aは、それぞれ72.1μm、77.7μm、および粒径が31.4μmのガラス充填剤を含有する組成物3B、3C、または3Dよりもパネルの少ない全移動量および小さい平坦面に対する位置(ストリップがより平坦であることを示す)を示した。
【0071】
[実施例4]
この実施例では、本発明の一実施形態によるコーティング組成物の樹脂充填量の関数としてのたわみ抵抗を示す。
【0072】
7つのコーティング組成物〔組成物4A〜4G〕を調製した。組成物4A〜4Gは、1.50重量%の非イオンアルキルアリールポリエーテル界面活性剤(Triton(商標)CF−10、Dow)、0.40重量%のヒドロキシエチルセルロース(Cellosize(商標)QP−4400H、Dow Chemical)、1.20重量%のベントナイトクレー(Vollclay(商標)、American Colloid Company)、6.00重量%のエアフロートカオリンクレー(Snowbrite(商標)クレー、Unimin)、樹脂(Aquaset(商標)600ポリマーバインダー、Dow Construction Polymers)、およびガラス充填剤(LA−7、Vitro Minerals)を配合して固形分とし、残部を水として45%固形分のコーティング組成物とした。上記固形分中の樹脂(Aquaset 600ポリマーバインダー)およびガラス充填剤(LA−7、Vitro Minerals)の配合量(固形分中の重量%)表6に示している。
【0073】
【表6】
【0074】
コーティング組成物の塗布は、Devilbiss JGA−510スプレーガンを使用して、2つの7.6cm×61cmのウェットフェルティングが行われた試験ストリップに、表7に記載の未乾燥基準の塗布量で行った。次にコーティングされた試験ストリップをオーブン中約135℃で乾燥させ、次に177℃で20分間硬化させた。
【0075】
40℃/湿度95%で12時間に続いて21℃/湿度50%で12時間の3サイクルの後にASTM C473−95に準拠して各ストリップのたわみ抵抗特性を測定した。たわみ抵抗は、ストリップの全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した。実際のコーティング組成物の塗布量、ストリップの全移動量、および最終的な平坦面に対する位置を表7に示している。対照ストリップは全くコーティングしていない。
【0076】
【表7】
【0077】
表7に示す結果から明らかなように、最終的な全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)は、固体基準で40.0重量%および50.0重量%のAquaset(商標)600ポリマーバインダー、ならびに50.90重量%および40.90重量%のLA−7ガラス充填剤をそれぞれ含有した組成物4Dおよび4Eで最小となった。
【0078】
[実施例5]
この実施例では、本発明の一実施形態によるコーティング組成物のたわみ性能に対するガラス充填剤およびマイカ充填剤の影響を示す。
【0079】
2つのコーティング組成物を調製した〔組成物5Aおよび5B〕。各組成物は、1.50重量%の非イオンアルキルアリールポリエーテル界面活性剤(Triton(商標)CF−10、Dow)、0.40重量%のヒドロキシエチルセルロース(Cellosize(商標)QP−4400H、Dow Chemical)、1.20重量%のベントナイトクレー(Vollclay(商標)、American Colloid Company)、6.00重量%のエアフロートカオリンクレー(Snowbrite(商標)クレー、Unimin)、および固形分基準で39.50重量%の樹脂(Aquaset(商標)600ポリマーバインダー、Dow Construction Polymers)を配合し、組成物5Aは35.80重量%のガラス充填剤(LA−7(商標)、Vitro Minerals)をさらに加え、組成物5Bは35.80重量%のマイカ(Mineralite Mica 3X、Mineral Mining Company)をさらに加えて、それぞれ100重量%とした。
【0080】
コーティング組成物の塗布は、Devilbiss JGA−510スプレーガンを使用して、2つの7.6cm×61cmのウェットフェルティングが行われた試験ストリップに、未乾燥基準で194g/mの塗布量で行った。次にコーティングされた試験ストリップをオーブン中約135℃で乾燥させ、次に177℃で20分間硬化させた。
【0081】
40℃/湿度95%で12時間に続いて21℃/湿度50%で12時間の3サイクルの後にASTM C473−95に準拠して各ストリップのたわみ抵抗特性を測定した。たわみ抵抗は、ストリップの全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した。パネルの全移動量、および最終的な平坦面に対する位置を表8に示している。
【0082】
【表8】
【0083】
表8に記載の結果から明らかなように、ガラス充填剤およびマイカ充填剤をそれぞれ含有した組成物5Aおよび5Bは、パネルの全移動量(TM)および平坦面に対する位置(PRFP)として測定した場合にほぼ同等のたわみ抵抗を示した。
【0084】
本明細書において引用される刊行物、特許出願、および特許を含めたあらゆる参考文献は、各参考文献が個別におよび明確に参照により援用されると示され、その全体が本明細書に記載されるのと同じ程度で、参照により本明細書に援用される。
【0085】
本明細書において特に明記されず、文脈に矛盾することが明確であるのでなければ、本明細書に記載のすべての方法をあらゆる好適な順序で行うことができる。本明細書において提供される任意およびすべての例、または例示的言い回し(たとえば、「〜など」)の使用は、本発明をより明確にすることを単に意図しており、特に主張するのでなければ本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言い回しは、あらゆる非請求の要素が本発明の実施に必須となることを示すと解釈すべきではない。
【0086】
本明細書には、本発明を実施するために本発明者らが知っている最良の形態を含めた本発明の好ましい実施形態を記載している。これらの好ましい実施形態の変形は、以上の説明を読めば当業者には明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者が、このような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に明確に記載されるもの以外に実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許可されるとして、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題のすべての修正および同等物を含む。さらに、本明細書において特に明記されず、文脈に矛盾することが明確であるのでなければ、それらの可能性のあるすべての変形における前述した要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10:コーティングされたパネル
20:パネルコア
30:(パネルの)バッキング側
35:バッキング層
40:(パネルの)表面側
45: 表面層
50:バックコーティング層
60:前面コーティング層
図1