(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785258
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】根かせ補強
(51)【国際特許分類】
E04H 12/20 20060101AFI20150907BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20150907BHJP
F03D 11/04 20060101ALI20150907BHJP
E02D 27/42 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
E04H12/20 C
H02G7/00
F03D11/04 A
E02D27/42 A
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-518382(P2013-518382)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-538952(P2013-538952A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011033283
(87)【国際公開番号】WO2012005792
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年2月3日
(31)【優先権主張番号】12/890,565
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/363,620
(32)【優先日】2010年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/361,900
(32)【優先日】2010年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512333375
【氏名又は名称】エーティーシー アイピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】レイズ, ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ハンミン
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−339316(JP,A)
【文献】
特開2007−205139(JP,A)
【文献】
特開昭63−217005(JP,A)
【文献】
特開2001−254318(JP,A)
【文献】
特開平4−153478(JP,A)
【文献】
米国特許第3368319(US,A)
【文献】
米国特許第4725168(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/00−12/34
E01D 1/00−24/00
E02D 27/42
F03D 11/04
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支線式塔または追加支線式塔の根かせ(100)用の補強システムであって、前記根かせ(100)はアンカーヘッド(114)と前記アンカーヘッド(114)から地中に延びるアンカーシャフト(116)とを備え、前記補強システムは、
前記アンカーシャフト(116)の部分の周囲に設けられたソリッド構造体(210)と、
前記アンカーヘッド(114)に取り付けられて前記ソリッド構造体(210)の内部に延びる補助アンカーシャフト(220)と、
前記ソリッド構造体(210)の内部の前記補助アンカーシャフト(220)に取り付けられたまたは一体的に設けられた維持構造体とを備え、
前記ソリッド構造体(210)が、
地表より上に配された上表面(210f)と、
前記塔に面し、前記上表面(210f)より地中へと突出して延びる前壁(210b)と、
前記上表面(210f)より地中へと突出して延びる後壁(210c)と、
前記前壁(210b)と前記後壁(210c)との間に設けられ地中へと延びる基部(210a)とを含み、
前記前壁(210b)および前記後壁(210c)が前記基部(210a)よりも深く地中に延び、
前記アンカーシャフト(116)は、前記ソリッド構造体(210)を通って延び、前記ソリッド構造体(210)の下の地中に固定された遠位端を有する、根かせ用の補強システム。
【請求項2】
前記前壁(210b)および前記後壁(210c)が、前記基部(210a)よりも少なくとも2倍深く地中に延びる、請求項1に記載の補強システム。
【請求項3】
前記前壁(210b)および前記後壁(210c)が、それぞれ、土壌に接触し前記塔に面する表面を有する、請求項1に記載の補強システム。
【請求項4】
前記ソリッド構造体(210)は、前記前壁(210b)と前記後壁(210c)との間に配された中間壁(1110d)をさらに備え、前記中間壁(1110d)が前記基部(210a)よりも深く地中に突出して延びる、請求項1に記載の補強システム。
【請求項5】
前記ソリッド構造体(210)は、前記前壁(210b)と前記後壁(210c)との間に配された複数の追加壁をさらに備え、前記追加壁は、前記基部(210a)よりも深く地中に突出して延びる、請求項1に記載の補強システム。
【請求項6】
前記ソリッド構造体(210)は、前記ソリッド構造体(210)の質量が前記アンカーヘッド(114)の前よりも後ろで多くなるよう、前記根かせ(100)に対して配置される、請求項1に記載の補強システム。
【請求項7】
前記ソリッド構造体(210)は硬化性材料を備える、請求項1に記載の補強システム。
【請求項8】
前記ソリッド構造体(210)は鉄筋コンクリートを備える、請求項1に記載の補強システム。
【請求項9】
前記補助アンカーシャフト(220)は、いずれも前記アンカーヘッド(114)に取り付けられて前記アンカーシャフト(116)に平行に前記ソリッド構造体(210)の内部に延びる第1および第2の延長部材(310、312)を含む、請求項1に記載の補強システム。
【請求項10】
前記維持構造体は、各延長部材に取り付けられたまたはこれと一体的に構成されてこの延長部材を前記ソリッド構造体(210)の内部にしっかりと維持する遠位構造体(314、316)を備える、請求項9に記載の補強システム。
【請求項11】
各延長部材(310、312)は金属製の山形材を備え、各遠位構造体(314、316)は対応する延長部材(310、312)に取り付けられてこれに垂直な方向におかれた金属製の山形材を備える、請求項10に記載の補強システム。
【請求項12】
構造体を支持する根かせ(100)用の補強システムであって、前記根かせ(100)はアンカーヘッド(114)と前記アンカーヘッド(114)から地中に延びるアンカーシャフト(116)とを有し、前記補強システムは、
前記アンカーシャフト(116)の周囲に設けられたソリッド構造体(210)であって、基部(210a)と、前記基部から下方向に突出して延びて被支持構造体に面した表面を有する少なくとも1つの壁とを含むソリッド構造体(210)と、
前記アンカーヘッド(114)に取り付けられて前記ソリッド構造体(210)の内部に延びる補助アンカーシャフト(220)と、
前記補助アンカーシャフト(220)に取り付けられまたは一体的に設けられ、前記ソリッド構造体(210)の内部に包まれた維持構造体とを備え、
前記アンカーシャフト(116)は、前記ソリッド構造体(210)を通って延び、前記ソリッド構造体(210)の下の地中に固定された遠位端を有する、根かせ用の補強システム。
【請求項13】
前記ソリッド構造体(210)は硬化性材料を備える、請求項12に記載の補強システム。
【請求項14】
前記ソリッド構造体(210)は鉄筋コンクリートを備える、請求項12に記載の補強システム。
【請求項15】
前記ソリッド構造体(210)は、前記ソリッド構造体(210)の質量が被支持構造体に相対的に前記アンカーヘッド(114)の前よりも後ろで多くなるよう、前記根かせ(100)に対して配置される、請求項12に記載の補強システム。
【請求項16】
前記ソリッド構造体(210)の前記基部(210a)は、地表より上に配された上表面(210f)を有する、請求項12に記載の補強システム。
【請求項17】
前記ソリッド構造体(210)の前記少なくとも1つの壁は、前記ソリッド構造体(210)の対向する端部に配された2つの壁(210b、210c)を備える、請求項12に記載の補強システム。
【請求項18】
前記ソリッド構造体(210)の前記少なくとも1つの壁は、前記ソリッド構造体(210)の対向する端部に配された2つの壁(210b、210c)と、実質的に前記ソリッド構造体(210)の中心に配された中間壁(1110d)とを備える、請求項12に記載の補強システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは支線式建設技術に関し、特に、支線式および追加支線式塔を固定して補強する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
塔は、いくつか例を挙げるならば、テレビ放送、無線通信、携帯電話通信、風力タービン、送電などの、多くの産業分野で広く用いられている。
【0003】
「支線式塔」または「追加支線式塔」として知られる塔では、支線に依存してこの塔を垂直方向へ維持または維持を支援している。一般的には、こうした塔は、通常はコンクリートである基部上に一端が直立する垂直本体または「マスト」を備えている。マストの全長にわたって取り付けられた支線は、マストから遠ざかる方向に下方に伸びており、アンカーを用いて地面にしっかりと取り付けられている。支線式塔の多くは断面が三角形であり、通常は最低でも3つの根かせが約120度の間隔をおいて設けられて、マストを垂直に保持する安定した基部となっている。支線式塔は、3、6、またはそれ以上の根かせを必要とし、塔の様々な垂直レベルから延びる複数の支線が各根かせに取り付けられていることが多い。
【0004】
「支線式塔」という用語は、そのマストが独立した支持手段を持たない塔を指す。このマストは、完全に支線に依存して直立状態に保持される。一方、「追加支線式塔」という用語は、補強および安定のための支線を必要とするものの、原則的には自立した塔を指す。
【0005】
図1に、設置された塔用の従来の根かせ100を示す。この例に示すとおり、塔のマストから生じる4本の支線110が、アンカーヘッド114に取り付けられている。支線110は、一般に、スチールまたはその他の引張強度の高い金属からなる。シャフト116は、アンカーヘッド114から地面124の内部へ延びる。通常、アンカーヘッド114およびシャフト116も一般的にはスチールからなり、単一のユニットとして設けられ、シャフト116がヘッド114に恒久的に溶接されている。シャフト116の遠位端は、通常、スチールで補強されたコンクリートの塊118に埋め込まれており、これは別名を「デッドマン」という。デッドマン118とその上の土の重量によって、風や降水などにより塔に大きな力がかかった場合でも、シャフト116はその場にしっかりと保持される。
【0006】
また、根かせアセンブリ100は、通常、引き締め金具112を含む。一般に、1つの引き締め金具112が1本の支線110に設けられる。引き締め金具112の役割は、各支線110の緊張を微調整することである。
【0007】
落雷による損傷を防止するため、支線110は、それぞれ導電ケーブル120を介して接地スパイク122に電気的に接続されている。接地スパイク122は、通常、銅からなる。ケーブル120および接地スパイク122は、地面への低インピーダンス経路を構成する。この構成は、シャフト116から大きな過電流を伝導することを目的としており、これによって塔の機械的安定性を低下させるおそれのあるようなシャフトの損傷を防止する。
【0008】
周知のように、根かせのシャフト116は、通常、時間がたつと腐食する。支線シャフトの腐食は、まずシャフトの土壌、すなわち地下であってデッドマン118に包まれた領域の外部、に露出した領域に影響を及ぼす。より不活性な銅の接地スパイク122とともにスチール支線シャフトが電池を形成する場合には、腐食は、ガルバニックな性質を持つ。また、腐食は電解的な性質を持つか、そのほかの要因によって引き起こされるかもしれない。
【0009】
数年が経つと、腐食によってアンカーシャフト116からかなりの材料が失われる可能性があり、これにより、支線を介して伝達される張力下では、デッドマンから根かせシャフトが分離して、その結果、塔の壊滅的な崩壊につながるおそれがある。
【0010】
崩壊した120メートルの無線支線式塔の建て直すための費用は、およそ400,000ドルと試算されている。加えて、塔の崩壊により、塔付近の人命および所有物に大きな危険を及ぼす。
【0011】
支線式塔の所有者および技師は、根かせの不具合を防止するための積極的改善策を作り上げてきた。この改善策は以下のようなものである。
1.アンカーシャフトの点検。この技術には、アンカーシャフトの状態を目視で確認するための既存のアンカーシャフトの掘削が含まれる。通常、アンカーシャフト全体を点検する必要があるため、デッドマン118まで掘削することになる。デッドマン上の土を取り除くことにより根かせが一時的に弱体化するため、点検を進めるにあたって根かせを地中に維持するための対策をとる必要がある。
2.新しいデッドマンアンカーを腐食したアンカーの前に設置する。この手法では、腐食したアンカーシャフトから新しいアンカーシャフトに既存の支線を移すことが必要となる。
3.新しいアンカーを腐食したアンカーの後ろに設置する。一般に、この手法では、塔マストまでの距離が広がり、新しい根かせを再取り付けするためには支線が短すぎるため、全ての支線を交換することが必要となる。変更後の塔にさらにスペースが必要とされるため、塔所有者には新たに土地を所有または使用権を得る必要が出てくるおそれがある。
4.新しくドリルで穴を開けたピアアンカーを腐食したアンカーの一方にオフセットして設置する。この手法では、腐食したアンカーシャフトから新しいアンカーシャフトに既存の支線を移すことが必要になる。ピン止めされた基部を有する塔は、新しいアンカーと再配列できるように、回転させられてもよい。塔の回転は危険を伴うことがあり、一般に、塔のアンテナは全て再配列する必要が出る。また、固定された基部を有する塔は自在に回転することができない場合があり、この場合には、支線を新しいアンカーヘッドへ移すことによって塔にさらにストレスが加わる可能性があり、別の問題が発生するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の根かせの不具合を防止するための改善策には、時間と費用がかかる。また、これらが腐食の問題に対する一時的な解決でしかないことも把握している。時間がたつと、アンカーシャフトの腐食は悪化または再発することになり、通常は、さらなる改善策が必要とされる。
【0013】
従って、現在採用されている対策よりも安価で労働集約性が低く、より長期的な解決を提供する、根かせの不具合を防止するまたは未然に防ぐための対策が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態によれば、支線式塔または追加支線式塔の根かせ用の補強システムが開示される。上記根かせは、アンカーヘッドとこのアンカーヘッドから地中に延びるアンカーシャフトとを備える。上記補強システムは、上記アンカーシャフトの部分の周囲に設けられたソリッド構造体と、上記アンカーヘッドに取り付けられて上記ソリッド構造体の内部に延びる補助アンカーシャフトと、上記ソリッド構造体の内部の上記補助アンカーシャフトに取り付けられたまたは一体的に設けられた維持構造体とを備える。上記ソリッド構造体は、地表より上に配された上表面を含む。上記ソリッド構造体は、上記塔に面し、上記上表面より地中へと延びる前
壁と、上記上表面より地中へと延びる後
壁とを含む。上記ソリッド構造体は、さらに、上記前
壁と上記後
壁との間に設けられ地中へと延びる
基部を含む。上記前
壁および上記後
壁は、上記
基部よりも深く地中に延びる。
【0015】
別の実施形態によれば、構造体を支持する根かせ用の補強システムが開示される。上記根かせはアンカーヘッドとこのアンカーヘッドから地中に延びるアンカーシャフトとを備える。上記補強システムは、上記アンカーシャフトの周囲に設けられたソリッド構造体を含む。上記ソリッド構造体は、基部と、上記基部から下方向に延びて被支持構造体に面した表面を有する少なくとも1つの壁とを含む。上記補強システムは、さらに、上記アンカーヘッドに取り付けられて上記ソリッド構造体の内部に延びる補助アンカーシャフトと、上記補助アンカーシャフトに取り付けられまたは一体的に設けられ、上記ソリッド構造体の内部に包まれた維持構造体とを備える。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、塔はマストと複数の根かせとを備える。上記根かせは、上記マスト周囲に配置される。各根かせは、アンカーヘッドとこのアンカーヘッドから地中に延びるアンカーシャフトとを有する。上記塔は、さらに、上記マストと上記複数の根かせとの間に取り付けられた複数の支線を備える。上記複数の根かせの少なくとも1つが、各アンカーシャフトの周囲に配されたソリッド構造体を含む補強によって補強されている。上記ソリッド構造体は、基部と、この基部から下方向に延びて上記マストに面した表面を有する少なくとも1つの壁とを含む。上記補強は、さらに、上記アンカーヘッドに取り付けられて上記ソリッド構造体の内部に延びる補助アンカーシャフトと、上記補助アンカーシャフトに取り付けられまたは一体的に設けられ、上記ソリッド構造体の内部に包まれた維持構造体とを備える。
【0017】
さらにまた別の実施形態によれば、根かせ補強方法が提示される。上記根かせはアンカーヘッドとこのアンカーヘッドから地中に延びるアンカーシャフトとを備える。上記方法は、上記根かせの周囲の領域を掘削して掘削領域を形成し、上記掘削領域の内部に延びる補助アンカーシャフトを上記アンカーヘッドに取り付け、上記掘削領域の内部に硬化性材料を導入し、上記硬化性材料が硬化してソリッド構造体を形成するよう硬化させる。
【0018】
さらにまた別の実施形態によれば、構造体を支持する支線を固定するシステムは、1以上の支線を取り付けるアンカーヘッドと、このアンカーヘッドから延びるアンカーシャフトと、上記アンカーシャフトの遠位端で上記アンカーシャフトに取り付けられたまたはこれと一体的に構成された維持構造体と、ソリッド構造体とを備える。上記ソリッド構造体は、上記維持構造体を含む。上記ソリッド構造体は、基部と、上記基部から下方向に延びる少なくとも1つの壁を含む。各壁は、被支持構造体に面し、土壌に接触する表面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、従来技術にかかる塔を支持する従来の根かせの正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にかかる補強された根かせの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の根かせ補強システムの部分正面図である。
【
図4】
図4は、
図2〜3の根かせ補強システムの部分斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2〜4の根かせ補強システムの部分を根かせシャフトの軸方向に見た図である。
【
図6】
図6は、
図2〜5の根かせ補強システムの平面図である。
【
図8】
図8は、
図2〜7の補強システムの正面図であり、異なる力が作用する様子を示す。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態にかかる根かせを補強するプロセスを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態にかかる根かせを補強するソリッド構造体を設計するプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、「備える(comprising)」「含む(including)」「有する(having)」という用語は、何らかのアイテム、ステップ、要素、または局面がオープンエンド形式で示されることを意図している。本明細書において具体的な実施形態が開示されるが、これら実施形態がほんの一例であり、本発明はこれら特定の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0021】
本明細書において開示される根かせの補強技術は、ソリッド構造体に包まれた補助アンカーシャフトの形で余分の支持を設けることにより、アンカーシャフトの腐食による不具合を防ぐものである。一般的に、補助アンカーシャフトは土壌と接触することがなく、従って、オリジナルのアンカーシャフトに作用するのと同じ腐食性の環境要因に露出されることがない。好ましくは、補助アンカーシャフトおよびソリッド構造体は、支線固定のソースとしてオリジナルのアンカーシャフトおよびデッドマンと完全に入れ替わることができるよう十分な強度を有する。従って、オリジナルのアンカーシャフトが腐食して完全に分解しても、根かせは元の状態で保つことができる。補助アンカーは、ソリッド構造体の内部に維持されて通常は土壌との直接的および継続的な接触がないため、腐食の影響を比較的受けにくく、従来のアンカーシャフトと比較して耐用年数が長くなることが期待される。
【0022】
図2は、本発明の実施形態にかかる既存の根かせに適用された補強システムを示す。この根かせは、
図1に示すように一般的なタイプである。この根かせは、アンカーヘッド114とアンカーシャフト116とを含む。アンカーシャフト116は、アンカーヘッド114から地中に入り、埋設されたデッドマン118へ伸張している。この根かせは補助アンカーシャフト220およびソリッド構造体210によって補強されており、ソリッド構造体210は鉄筋コンクリートであることが好ましい。補助アンカーシャフト220は、アンカーヘッド114に取り付けられ、オリジナルのアンカーシャフト116に平行に伸張し、維持構造体を有するソリッド構造体210の内部に維持される。
【0023】
ここに示すソリッド構造体210は逆U字形状を有しており、底面が概ね長方形の角柱の形状をした基部210aと、基部から下に向かって延びる1対の壁または
壁210bおよび210cとを含む。ソリッド構造体210は、上表面210f、前壁表面210g、および後壁表面210hを有する。慣例により、ソリッド構造体210の「前」は塔の方向を向いている。前壁表面210gと後壁表面210hとは、いずれも塔の方向を向いている。
【0024】
図3に、補強システムの拡大図を示す。同図では、内部の部品を視覚化するために、ソリッド構造体210の一部が透明になっている。補助アンカーシャフト220は、上延長部材310および下延長部材312の、2つの延長部材を含むことがわかる。維持構造体は、遠位構造体314および316を含むことが示されている。好ましくは、延長部材310および312ならびに遠位構造体314および316は、亜鉛めっき金属山形材である。好ましくは、延長部材310および312はアンカーヘッド114にボルトで留められているが、溶接など、そのほかの方法で取り付けられてもよい。同様に、好ましくは、遠位構造体314および316を構成する山形材も延長部材310および312にボルトで留められているが、そのほかの方法を用いて取り付けられてもよい。
【0025】
好ましくは、上延長部材310は下延長部材312よりも長い。長さが違うことにより、延長部材310/312または遠位構造体314および316を土壌に露出させることなく、ソリッド構造体の基部210aを比較的奥行きのないものとすることができる。
【0026】
ソリッド構造体210の上表面210fが、地表320よりも少し上、好ましくは、約5〜8cm(2〜3インチ)上に位置していることがわかる。上表面210fが地表より上にあることで、延長部材310/312も遠位構造体314/316も土壌に露出されることがない。よって、土壌に埋設されたアンカーシャフトに作用するほどの腐食を比較的受けにくくなる。好ましくは、上表面210fは、塔を向く方向にわずかに傾斜して形成されて、排水できるようにし、根かせの周囲に水がたまるのを防止する。
【0027】
図4は、ソリッド構造体210を省略した補強システムの斜視図である。
図5は、アンカーシャフト116の軸方向に見下ろした根かせを示す。同図より、遠位構造体314および316を構成する山形材自体が細長く、延長部材310/312に垂直に延びていることがわかる。好ましくは、遠位構造体を構成する山形材は、アンカーシャフト116の軸に平行な上向きの平面を有しており、よって高い張力がかかったときのソリッド構造体210からの根かせの引き抜きへの抵抗に適している。
【0028】
図6および
図7は、それぞれ、根かせおよび補強システムの平面図および正面図である。ソリッド構造体210が鉄筋などの補強材によって補強されていることがわかる。コンクリートを補強することにより、張力による亀裂から保護される。張力は、補助アンカーシャフト220近くの構造体210の上表面210fの近く、および
壁210bおよび210cが下方向に延びている角の近くほど高くなる傾向がある。従って、これらの領域で特に補強が必要とされる。鉄筋の量や大きさは現場の要求によって変わってもよいが、通常、基部210aの上部近くにソリッド構造体210の幅方向に均等な間隔をおいて9本の#8鉄筋610が配され、深さ方向に均等な間隔をおいて11本の#8鉄筋610が配される。同じパターンの鉄筋を基部の底辺近くに繰り返し配置する。好ましくは、壁210bおよび210cも#8鉄筋712で補強され、この鉄筋は通常、各壁について11の異なるレベルで設けられる。好ましくは、壁の内部に設けられた鉄筋は、追加の支持として、基部210aの内部の鉄筋と交差する。ある鉄筋の構成の詳細を説明したが、設置の際に用いられる実際の鉄筋構成は設計上の選択の問題であり、当業者に周知の方法で変更してもよい。
【0029】
ソリッド構造体210の大きさは現場の要求によって変わってもよく、大型のソリッド構造体は大型の塔を支持する場合または大きな張力がかかる場合に用いられる。ここに示す例は、高さ114メートル(375フィート)の塔マストから38メートル(125フィート)の高さに設置される根かせの代表例であり、最悪の場合に予想される力が、おおよそ、横方向に89kN(20Kip)、上昇方向に89kN(20Kip)で、十分な安全域がとられている。この例と本明細書に記載の一般的な情報とを前提とするならば、現場の要求に適した大きさ・形状・比率の異なるその他の例を無数に生み出すことは、熟練技術者であれば容易に可能である。
【0030】
ここに示す例では、ソリッド構造体210は、およそ、長さ2.4メートル(8フィート)、幅3.0メートル(10フィート)である。基部210aの深さはおよそ46cm(1.5フィート)であり、壁210bおよび210cは基部よりもおよそ61cm(2フィート)深い。一般に、必須ではないが、壁210bおよび210cは、ほとんどの場合、ソリッド構造体の基部210aの少なくとも2倍は深く地中に延びることが好ましい。
【0031】
ここに示す例では、延長部材310および312ならびに遠位構造体314および316に用いられる山形材の断面寸法は、通常、5cm×5cm×1cm(2”×2”×3/8”)である。遠位構造体314および316を構成する山形材の長さは、通常、およそ1メートル(3フィート)である。好ましくは、山形材は全て、グレードA36以上のスチールからなり、降伏強度が少なくとも345MPa(50KSI)である。ナットやボルトは、通常、1.6cm(5/8インチ)のA325である。
【0032】
好ましくは、延長部材310および312の構成に用いられる山形材は、約107cm〜122cm(3.5〜4フィート)の長さで設置場所に輸送される。この山形材は、現場で適切なサイズに切断され、ドリルで穴を開け、アンカーヘッドにボルトで止めつけられることが好ましい。アンカーヘッド114自体は、現場でドリルで穴を開けて、延長部材310および312の取り付けができるようにすることが好ましい。好ましくは、現場で切断された切り口やドリルで開けられた穴は、2層のジンクリッチ亜鉛めっき化合物で亜鉛めっきされる。
【0033】
好ましくは、ソリッド構造体210の構成に用いられるコンクリートは、少なくとも最大圧縮強度が28日で18kPa(2500PSI)である。好ましくは、鉄筋コンクリートの構成および材料は全て、ACI318の規格に順ずる。好ましくは、鉄筋を覆うコンクリートは、最低でも7.6cm(3インチ)である。好ましくは、鉄筋は全てグレード60であり、補強材は全てASTM A615-85に順ずる。
【0034】
図8および
図9に、根かせおよびソリッド構造体210に作用する力を示す。第1の力820は、アンカーヘッド114に取り付けられた支線全てからの合力を表す。第2の力822は、ソリッド構造体210の重量を表す。力822は、真っすぐ落下する方向に、ソリッド構造体210の質量中心を通過する。第3の力824は、ソリッド構造体210の壁に土壌を押し付けるときに生じる横力を表す。この力は、水平方向であって塔とは逆方向に向かう。第3の力824は、ソリッド構造体210の全表面に作用する力を合成したものであり、特に、表面210gおよび210hにそれぞれ作用する力824aおよび824bを含む。力824aおよび824bが作用する垂直レベルは、土壌組成に依存する。砂などのさらさらした土壌では、この力はより低い垂直レベルで作用するが、粘土などの硬い土壌では、より高い垂直レベルで作用する。ソリッド構造体210の重量から発生する力822が、支線からの力820の垂直成分を(適切な安全域をもって)上回る限り、ソリッド構造体210は荷重を受けて地中に維持されることになる。
【0035】
理想的には、これらの3つの力820、822、および824は、全て一点826で交差する。この釣り合いのとれた設計により、ソリッド構造体210は荷重を受けた状態で回転することがない、すなわち前壁210bも後壁210cも地中から持ち上がることがないことが保証され、構造体は安定して維持される。3つの力が正確に交差することが好ましいのではあるが、小さなオフセット量については一般に良好な耐性があるため、適正な運用にはおおよその交差が必要とされるだけである。しかしながら、3つの力が実質的に交差しない場合には、ソリッド構造体210が荷重を受けた状態で確実に安定して維持されるよう、厳密な分析を行う必要がある。
【0036】
一般に、ソリッド構造体210は、ソリッド構造体の質量が根かせの前よりも後ろで多くなるように、根かせに対して相対的に配置される。当然ながら、この構成は、3つの主要な力が交差するという好ましい条件から得られるものである。加えて、通常、土壌の条件が異なる場合は、根かせに対するソリッド構造体210の配置が異なってくる。例えば、砂地の土壌にソリッド構造体210を配置すると、硬い土壌で普通作用するよりもより低い垂直レベルで横力824が作用しがちである。ソリッド構造体が砂地の土壌に配置されたときに3つの力820、822、および824が確実に実質的に同じ点で交差するようにするために、ソリッド構造体210は、通常、アンカーヘッド114に対して相対的にさらに後方に配置される必要がある。そうしない場合には、ソリッド構造体210の後部を持ち上げることがあるモーメントを発生させることになる。反対に、非常に硬い土壌では、横力824は概ねより高い垂直レベルで作用し、ソリッド構造体210の前部を持ち上げることがあるモーメントを回避するため、一般的にはソリッド構造体210を根かせに対してさらに前方に位置決めすることが必要とされる。
【0037】
ソリッド構造体210の形状は、様々な現場の要求によりよく合わせることができるように、変化してもよい。例えば、
図10に、狭窄基部1010aを有するソリッド構造体1010を示す。長方形の基部の代わりに、基部1010aは大文字の「H」に似た形状をしている。基部1010aの大きさ低減の程度は、求められるソリッド構造体1010の重量に基づいて変化してもよい。ソリッド構造体1010は、土壌抵抗が比較的低く、凍結深が比較的深く、または油性粘土の土壌における、支線からの持ち上げる力が水平方向の力に比べて比較的低い用途によく合っている。これらいずれの条件下においても、ソリッド構造体の重量を概ね安全に低減することができる。コンクリートの量が低減されることにより、材料および費用を抑えられる。
【0038】
図11に、別の変形例を示す。ここで、ソリッド構造体1110は、
中間壁1110dを含んでいること以外は、ソリッド構造体210と同様である。
中間壁1110dは、他の二つの壁の間に位置しており、塔に面した表面1110iを有する。表面1110iは土壌に接触しており、表面1110iに押し付ける土壌の力は横力824の一因となる。ソリッド構造体1110は、土壌がさらさらしたおよび/もしくは砂地の場所、または安定性のために追加の水平抵抗が必要とされる場所にとりわけ適している。また、
中間壁1110dはソリッド構造体1110の重量を増加させ、そのため、ソリッド構造体が重く、比較的省スペースであることが求められる場合には一層便利である。
中間壁1110dのような
複数の追加壁は、さらに高い横安定および/または重い重量が望まれる場合に設けてもよい。
【0039】
図12に、上述の2つの変形例の特徴を組み合わせたさらに別の変形例を示す。ここで、ソリッド構造体1210は、縮小基部1210aおよび
中間壁1210dの両方を有する。ここでも、基部1212aの縮小量は、求められるソリッド構造体の重量に基づいて変化してもよく、かかる縮小量は、一般に、
図10の基部1010aの縮小と同じ条件下で適したものであり、同じ利益を提供するものである。同様に、個別の設備において求められるように、
複数の追加壁を加えてもよい。このような
複数の追加壁は、一般に、
図11のソリッド構造体1110と同じ条件下で適したものであり、同じ利益を提供するものである。
【0040】
図13に、根かせを補強するプロセスの一例を示す。このプロセスは、一般に、ソリッド構造体210/1010/1110/1210のいずれかのようなソリッド構造体の設計から始まる(ステップ1310)。設計ステップでは、ソリッド構造体に求められる大きさと形状、壁の数、ソリッド構造体の根かせに対して相対的な配置を決定する。ステップ1312において、根かせ周辺の領域が掘削される。掘削された領域は、根かせに対して相対的なソリッド構造体の設計された位置において、設計されたソリッド構造体(むしろ、その地表以下に配置される部分)の大きさおよび形状に実質的に一致する大きさおよび形状を有する。ステップ1314において、既存のアンカーシャフトから汚れが落とされ、または表土を取り除く。ステップ1316において、補助アンカーシャフト220を組み立てる。このステップでは、一般に、アンカーヘッド114にドリルで穴を開け、延長部材310および312を切断してドリルで穴を開け、切断された切り口およびドリルで開けられた穴に亜鉛めっき化合物を貼り付け、延長部材をアンカーヘッドにボルトで留め付け、維持構造体(例えば、遠位構造体314および316)を延長部材にボルトで留め付ける。ステップ1318において、ソリッド構造体の補強(鉄筋)枠を掘削された領域内に組み立てる。鉄筋は、コンクリート注入時に動かないように全てしっかりとワイヤで固定されていることが好ましい。ステップ1320において、必要な型枠が設置される。これらは、特に、地表の上に延びるソリッド構造体の部分を形成するために必要となる。ステップ1322において、コンクリートが注入され、コンクリートが硬化する。ステップ1324において、設置した型枠を全て取り外す。型枠が残したソリッド構造体周囲の隙間は、きっちりと圧縮された土で埋め戻されることが好ましい。埋め戻しは、ソリッド構造体の周囲に水がたまるのを防止するために行われる。各ステップの順序は、厳密に
図13に示すとおりである必要はない。例えば、ステップ1314〜1320は、所望の順序で行ってもよい。
【0041】
図14に、ソリッド構造体の設計プロセス(
図13のステップ1310を参照)の詳細な例を示す。ステップ1410において、設置場所の土壌条件を測定し推定する。考慮される土壌条件には、土壌の種類(例えば、岩石が多い、粘土質の、または砂地の)および土壌の凝集性がある。ステップ1412において、ソリッド構造体の壁の形状および数が選択され、これはソリッド構造体の基部の除去程度を含む(
図10および
図13の通り)。好ましくは、この選択は、土壌条件の初期評価、支線からの張力予想(大きさと方向の両方を含む)、および成功事例から推奨される適正な安全域に基づいて行われる。好ましくは、その後、設計を検証するための計算を行う。ステップ1414において、壁に対する力の垂直方向の深さと大きさを計算して、横力824を決定する(
図8および
図9を参照)。ステップ1416において、ソリッド構造体の質量中心および重量を計算して、垂直力822を決定する。ステップ1418において、結果として得られる支線からの張力を計算して、合力820を得る。これら3つの力(820、822、および824)の実質的な交差をステップ1420でテストする。ステップ1422において、ソリッド構造体の横移動に対する土壌抵抗の適切さをテストし、ステップ1424において、全ての安全因子の観察がテストされる。ステップ1428において、テスト1420、1422、または1424が失敗したかどうかを判断する。その場合、全ての要求を満たすものが選択されるまで、設計が反復される。ステップ1414〜1418およびステップ1420〜1424を、特定の順序で行う必要がないことは言うまでもない。
【0042】
本明細書に開示する補強システムは、腐食した根かせを完全に交換する従来の解決に比べて、腐食した根かせに対するより安全でよりコストが低くより恒久的な解決を提供するものである。ソリッド構造体は表面近くに設置されるため、大規模な掘削を不要とし、腕がよく費用のかかる塔のスタッフの必要性もない。実際、本明細書に記載の根かせ補強は、一般に、比較的安価なコンクリートのスタッフによって行うことができる。
【0043】
本明細書に開示される補強システムでは、既存のアンカーヘッドを用いるため、既存の支線を新しいアンカーヘッドに移設する必要がない。従って、塔の回転およびアンテナの再位置決めの問題を回避することができる。
【0044】
本補強システムは、腐食の程度を調べるための根かせの点検に従来用いられてきた、時に危険を伴う既存アンカーシャフトの完全な掘削を、事実上不要とするものである。腐食の点検に必要な掘削を行うよりも、単に本明細書に開示する補強システムを設置する方が、費用がかからない場合が多い。
【0045】
本明細書に開示する補強システムは、完結した保守不要の解決方法である。既存のアンカーヘッドを固定するために用いられる新しいスチールは、地表より上、またはコンクリートに包まれているため、本解決方法に適した塔敷地では予想される耐用年数内にアンカーシャフトの腐食が起こることはない。
【0046】
具体的な実施形態を説明したことにより、無数の代替的な実施形態または変形例が可能である。例えば、すでに述べたように、ソリッド構造体210/1010/1110/1210は対称である。しかしながら、これは一例に過ぎない。代替的に、ソリッド構造体は非対称であってもよい。例えば、前壁が後壁よりも大きくても(例えば、より厚み、深さ、幅がある)よいし、その逆でもよい。実際、ソリッド構造体の質量中心を前後に移動させるためには、一方の壁を他方よりも大きくすると有利である。従って、非対称とすることができることにより、ソリッド構造体に作用する3つの主要な力の調整における自由度を高めることができる。
【0047】
すでに述べたように、ソリッド構造体の壁は平面である。しかしながら、これは一例に過ぎない。代替的に、ソリッド構造体の壁は凹面形状であってもよいし、そのほかの形状であってもよい。
【0048】
ソリッド構造体は、単一のブロックとして説明されている。しかしながら、これは厳密に要求されることではない。代替的に、複数のより小さいセグメントを形成し、互いに締め付けおよび/または連結させてもよい。例えば、ソリッド構造体の基部は、これらの壁から別に形成されてもよい。
【0049】
好ましくは、ソリッド構造体は鉄筋コンクリートからなり、鉄筋コンクリートが最良の効果をもたらすと信じられている。しかしながら、これは厳密に要求されることではない。設計上の要求およびこれら材料の性能によって、各種のポリマーおよびセメントを含むその他の硬化性材料を用いてもよい。
【0050】
すでに述べたように、本補強システムは、アンカーシャフトが倒壊する懸念のある場合において、既存の根かせを支持するための改善策として利用される。しかしながら、一次アンカー設置に用いてもよい。通常のアンカーシャフトおよびデッドマンを省略することができ、一次根かせおよびソリッド構造体とともに根かせを所定位置に保持することができる。この構成により、比較的短いアンカーシャフトを用いることができる。維持構造体はアンカーシャフトの遠位端に取り付けられ、ソリッド構造体の内部に包まれる。この技術により、アンカーシャフトの腐食から保護され、デッドマンを設置する際に通常必要とされてきたように深く掘削する必要がなくなる。
【0051】
補助アンカーシャフト220には、様々な固定装置を用いることができる。例えば、遠位構造体314および316に様々な数の十字部品を設けてもよい。延長部材および遠位構造体は、一体化されたユニットとして同時に形成されて、その後現場で切断されてもよい。延長部材310/312および遠位構造体314/316には山形材が好ましいが、利用可能な形状であればどのようなものを用いてもよい。例えば、非常に大型の塔においては、これらの構造体は、溝、平板、棒、またはスチールケーブルからなってもよい。加えて、延長部材310/312の数または遠位構造体314/316の数は、異なっていてもよい。
【0052】
本明細書に開示される根かせ補強技術は、塔に用いられるものとして説明したが、その他の種類の支線によって支持される構造体に用いてもよいことは言うまでもない。
【0053】
従って、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に開示される実施形態の形状および細部について様々な変更が可能であることは言うまでもない。