(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785269
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】光伝送ネットワーク用のトランスポンダおよび関連するネットワークノード
(51)【国際特許分類】
H04B 10/29 20130101AFI20150907BHJP
【FI】
H04B9/00 290
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-542476(P2013-542476)
(86)(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公表番号】特表2014-504477(P2014-504477A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2011071671
(87)【国際公開番号】WO2012076423
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】10306356.6
(32)【優先日】2010年12月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プアンチユリエ,イバン
(72)【発明者】
【氏名】ドリゼ,クリスチヤン
(72)【発明者】
【氏名】モレア,アナリサ
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−041602(JP,A)
【文献】
特開2005−286628(JP,A)
【文献】
特開平6−29929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のラインカードを備える光ネットワークノードであって、各ラインカードは、単一波長光信号用のネットワーク側光受信器(11)、第1の電気区間(E)、およびクライアント側光送信器(TOSA)を備える受信側光トランスポンダ区間と、単一波長光信号用ネットワーク側光送信器(21)、第2の電気区間(E)、およびクライアント側光受信器(ROSA)を備える送信側光トランスポンダ区間とを備え、前記第1の電気区間は第1の中間電気出力(EO1)と第2の中間電気出力(EO2)を備え、前記第2の電気区間は第1の中間電気入力(EI1)と第2の中間電気入力(EI2)を備え、
前記第1の電気区間および第2の電気区間が各々の順方向誤り訂正プロセッサ(15、25)を備え、
前記第1の中間電気出力(EO1)が前記第1の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記クライアント側光送信器(TOSA)の間に接続され、および前記第1の中間電気入力(EI1)が前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記クライアント側光受信器(ROSA)の間に接続され、
前記第2の中間電気出力(EO2)が前記第1の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記ネットワーク側光受信器(11)の間に接続され、および前記第2の中間電気入力(EI2)が前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記ネットワーク側光送信器(21)の間に接続され、
前記光ネットワークノードはさらに、前記ラインカードの前記第1の中間電気出力(EO1)と前記第1の中間電気入力(EI1)とを制御可能に相互接続し、前記ラインカードの前記第2の中間電気出力(EO2)と前記第2の中間電気入力(EI2)とを制御可能に相互接続するための電気スイッチマトリクスを備える、光ネットワークノード。
【請求項2】
前記第1の中間電気出力(EO1)と前記第1の中間電気入力(EI1)との間と、前記第2の中間電気出力(EO2)と前記第2の中間電気入力(EI2)との間に前記電気スイッチマトリクスを通してバイパス接続を構成し、それぞれのラインカードのクライアント側光送信器(TOSA)およびクライアント側光受信器(ROSA)を非活動化するためのコントローラを備える、請求項1に記載の光ネットワークノード。
【請求項3】
受信した光信号の信号状態に応じて、前記コントローラが、前記第1の中間電気出力(EO1)の1つと前記第1の中間電気入力(EI1)の1つとの間のバイパス接続、または前記第2の中間電気出力(EO2)の1つと前記第2の中間電気入力(EI2)の1つとの間のバイパス接続のいずれかを活動化するように前記電気スイッチマトリクスを構成することによって再生器機能を実施するようになされた、請求項2に記載の光ネットワークノード。
【請求項4】
前記第2の中間電気出力(EO2)の1つと前記第2の中間電気入力(EI2)の1つとの間のバイパス接続が活動化された場合は、前記コントローラがそれぞれのラインカードの前記順方向誤り訂正プロセッサ(15、25)を非活動化するようになされた、請求項3に記載の光ネットワークノード。
【請求項5】
前記第1の中間電気出力(EO1)の1つと前記第1の中間電気入力(EI1)の1つとの間のバイパス接続、または前記第2の中間電気出力(EO2)の1つと前記第2の中間電気入力(EI2)の1つとの間のバイパス接続が活動化されたときは、前記コントローラが前記クライアント側光送信器(TOSA)または受信器(ROSA)を非活動化するようにさらになされた、請求項3に記載の光ネットワークノード。
【請求項6】
前記ラインカードの前記単一波長光信号用のネットワーク側光受信器(11)および前記単一波長光信号用ネットワーク側光送信器(21)と、リングネットワークのコネクタとの間に配置された第1の光スイッチマトリクスを備えた、請求項1に記載の光ネットワークノード。
【請求項7】
光信号用の光トランスポンダ(10)であって、
単一波長光ライン信号を受信しそれを電気信号に変換するための少なくとも1つの光受信器(11)と、前記電気信号を処理および/または再整形するための電気区間(E)と、電気信号を光出力信号に変換するための光送信器(TOSA)とを備え、前記電気区間が、第1の中間電気出力(EO1)と第2の中間電気出力(EO2)を備え、
前記電気区間が順方向誤り訂正プロセッサ(15)を備え、前記第1の中間電気出力(EO1)が前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記光送信器(TOSA)の間に接続され、前記第2の中間電気出力(EO2)が前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記光受信器(11)の間に接続され、
ネットワーク側光送信器(21)、第2の電気区間(E)、およびクライアント側光受信器(ROSA)を備える送信側トランスポンダ区間をさらに備え、前記第2の電気区間が順方向誤り訂正プロセッサ(25)を備え、
前記光トランスポンダがさらに、
前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記クライアント側光受信器(ROSA)の間に接続された第1の中間電気入力(EI1)と、前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記ネットワーク側光送信器(21)の間に接続された第2の中間電気入力(EI2)をさらに備え、
前記第1の中間電気出力(EO1)と前記第1の中間電気入力(EI1)とを制御可能に相互接続し、前記第2の中間電気出力(EO2)と前記第2の中間電気入力(EI2)とを制御可能に相互接続するための電気スイッチマトリクスをさらに備える、
光信号用の光トランスポンダ。
【請求項8】
前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)および前記光送信器(TOSA)が選択的に非活動化可能である、請求項7に記載の光トランスポンダ。
【請求項9】
それぞれが光受信器、電気信号を処理および/または再整形するための電気区間(E)、ならびに光送信器を有する2つの光トランスポンダを用いて単一波長光信号を再生する方法であって、
ネットワーク側光受信器(11)、第1の中間電気出力(EO1)と第2の中間電気出力(EO2)を有する第1の電気区間(E)、およびクライアント側光送信器(TOSA)を備える第1の光トランスポンダ(10)にて前記単一波長光信号を受信するステップと、
前記第1の光トランスポンダ(10)内で、前記光信号を電気信号に変換するステップと、
前記電気信号を前記第1の中間電気出力(EO1)と第2の中間電気出力(EO2)を通して第2の光トランスポンダ(10)の第1の中間電気入力(EI1)と第2の中間電気入力(EI2)に迂回するステップであって、第2の光トランスポンダ(10)はネットワーク側光送信器(21)、前記中間電気入力を有する第2の電気区間(E)、およびクライアント側光受信器(ROSA)とを有する、ステップと、
前方送信のために前記第2の光トランスポンダにて前記電気信号を単一波長光信号に変換するステップと
を含み、
前記第1の電気区間および第2の電気区間が各々の順方向誤り訂正プロセッサ(15、25)を備え、
前記第1の中間電気出力(EO1)が前記第1の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記クライアント側光送信器(TOSA)の間に接続され、および前記第1の中間電気入力(EI1)が前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記クライアント側光受信器(ROSA)の間に接続され、
前記第2の中間電気出力(EO2)が前記第1の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(15)と前記ネットワーク側光受信器(11)の間に接続され、および前記第2の中間電気入力(EI2)が前記第2の電気区間の前記順方向誤り訂正プロセッサ(25)と前記ネットワーク側光送信器(21)の間に接続され、
受信された光信号の信号状態に応じて、前記第1の中間電気出力(EO1)と前記第1の中間電気入力(EI1)を接続することにより第1のバイパスを構成するステップと、前記第2の中間電気出力(EO2)と前記第2の中間電気入力(EI2)を接続することにより前記第1および第2の光トランスポンダ内の順方向誤り訂正処理機能をさらに迂回する第2のバイパスを構成するステップとを選択するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信の分野に関し、より詳細には光伝送ネットワーク用のトランスポンダおよび関連するネットワークノードに関する。
【背景技術】
【0002】
通信では高速のコアネットワークは主に光伝送に依存している。データ信号は、異なる波長にて光キャリア上に変調し、同じファイバスパンを通して波長分割多重を用いて一緒に伝送することができる。長距離光伝送では、光信号を再生し歪みを除去するために、光伝送ラインに沿って光再生器が設けられる。さらにスパン当たりの最大伝送距離および受信器感度を向上させるために、順方向誤り訂正(Forward Error Correction:FEC)処理を適用することができる。
【0003】
光伝送ネットワークは、波長選択性スイッチ(WSS)および再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(reconfigurable optical add/drop multiplexer:ROADM)の導入によって、古典的なポイントツーポイント伝送からますます光交換ネットワーク用途へと進化しており、したがって伝送距離は異なる波長チャネルでの信号に対して異なり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラフィック量および伝送速度が増え続ける状況において、これは第1近似ではムーアの法則に従う高速電子信号処理が必要であり、電力消費が制限要因となる。したがって本発明の目的は、低減された電力消費にて動作できる光伝送ネットワーク用のネットワーク機器を提供することである。本発明の一態様によればこれは、必要がないときに光ネットワーク内のE/O変換および信号処理を削減することによって達成される。したがって本発明はネットワークノード、およびこのようなネットワークノード用のトランスポンダを提供し、これは必要に応じて個々の光信号に対して柔軟にO/E/O変換および/または信号処理をイネーブルまたはディスエーブルすることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には光信号用のトランスポンダは、光ライン信号を受信しそれを電気信号に変換するための少なくとも1つの光受信器と、電気信号を処理および/または整形するための電気区間と、電気信号を変換して光出力信号に戻すための光送信器とを含む。電気区間は、E/O変換の前に電気信号を構成可能に出力するための少なくとも1つの中間電気出力を含む。
【0006】
このようなトランスポンダは光ネットワークノードのラインカードに用いることができる。ネットワークノードは2つ以上のこのようなラインカードを有する。各ラインカードは、ネットワーク側光受信器、第1の電気区間、およびクライアント側光送信器を有する受信側トランスポンダ区間と、ネットワーク側光送信器、第2の電気区間、およびクライアント側光受信器を有する送信側トランスポンダ区間とを含む。第1の電気区間は少なくとも1つの中間電気出力を有し、第2の電気区間は少なくとも1つの中間電気入力を有する。中間電気出力および入力は電気スイッチマトリクスに至り、電気スイッチマトリクスは中間電気出力および入力を制御可能に相互接続する。
【0007】
ラインカード内のトランスポンダは、ラインカード内の順方向誤り訂正処理機能をさらに迂回する第2の中間電気出力および入力をさらに含むことができる。
【0008】
光信号を再生する方法は、第1のトランスポンダにて前記光信号を受信するステップと、前記光信号を電気信号に変換するステップと、前記電気信号を第2のトランスポンダに迂回するステップと、前方送信のために前記電気信号を光信号に変換するステップとを有する。
【0009】
方法は、受信した光信号の信号状態に応じて、第1のトランスポンダ内の電気−光変換および第2のトランスポンダ内の光−電気変換を迂回する第1のバイパスを構成するステップと、第1および第2のトランスポンダ内の順方向誤り訂正処理機能をさらに迂回する第2のバイパスを構成するステップとを選択するステップをさらに含むことができる。
【0010】
次に本発明の好ましい実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】光伝送ネットワークのネットワークノード用のトランスポンダを示す図である。
【
図2】E/O変換なしに信号再生を行うように第2の追加の電気出力を通して接続された信号再生を示す図である。
【
図3】FEC処理なしに信号再生を行うように第1の追加の電気出力を通して接続された2つのトランスポンダを示す図である。
【
図4】光伝送ネットワーク用のネットワークノードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には光ネットワークノード用のトランスポンダ10が示される。光トランスポンダは光信号を受信し次いで処理し、受信した波長とは異なり得る新しい波長で再送信する機器である。トランスポンダはたとえば光ネットワークノード内のラインカードの一部として用いることができる。
【0013】
図1のトランスポンダまたはラインカード10は双方向的に動作し、すなわち両方向にて信号を受信し送信する。
図1の下側にはネットワーク側入力および出力ポートNI、NOがあり、上側には顧客側入力および出力ポートCI、COがある。そのネットワーク側機能に関連して2つの独立のトランスポンダ方向は、受信器部分RXおよび送信器部分TXと呼ばれる。具体的には、
図1の左側に示されるトランスポンダ10の受信器部分RXは、DWDM(高密度波長分割多重(dense wavelength division multiplex))光受信器回路11を含み、これは単一のDWDM波長チャネルを受信し、受信した光信号を電気信号に変換する。電気信号はシリアルパラレル変換器12に供給され、シリアルパラレル変換器12はラインフレーマ13に接続される。ラインフレーマの後にはFEC(順方向誤り訂正)プロセッサ15があり、これはクライアントフレーマ16に至り、クライアントフレーマ16から信号はパラレルシリアル変換器17を通じて、XFP(10ギガビットスモールフォームファクタプラガブル)トランシーバ20の送信器機能TOSA(送信器光サブアセンブリ(transmitter optical sub−assembly))に接続される。コントローラ30は、トランスポンダ10の様々な機能ブロックを構成し制御し、トランスポンダ10を収容するネットワークノードの上位コントローラと通信する。
【0014】
図1の右側に示される送信方向TXでは、顧客側入力ポートCIで受信された光クライアント信号は、XFPトランシーバ20の受信器光サブアセンブリ(receiver optical sub−assembly)ROSAによって電気信号に変換される。シリアルパラレル変換器27はさらなる処理のために電気信号を並列フォーマットに変換する。次いで並列信号はクライアントフレーマ26に供給され、クライアントフレーマ26はFECプロセッサ25に接続する。FECプロセッサの後にはラインフレーマ23およびパラレルシリアル変換器22があり、これはDWDM光送信器回路21に接続する。
【0015】
受信器部分RXではラインフレーマ13は終端し、受信した光信号の信号オーバヘッドを処理する。受信した信号はたとえば、OTN標準(ITU−T G.709)に従うフレームフォーマットを有することができる。FECプロセッサは受信した信号内のFECバイトを処理して、伝送時に生じた信号歪みによる受信した信号内の誤りを検出し訂正する。クライアントフレーマは、受信したライン信号内のペイロードとして運ばれるクライアント信号の信号ヘッダを処理する。クライアント信号フォーマットは、たとえばイーサネット(登録商標)フレームフォーマットとすることができる。
【0016】
送信器部分TXではクライアントフレーマは、クライアント信号フォーマットの信号ヘッダを処理する。FECプロセッサ25はFECバイトを計算して追加し、ラインフレーマ22はクライアント信号フォーマットをライン信号フォーマットの信号フレーム、たとえばOTN規格に従うOTU2フレームにマップする。
【0017】
トランスポンダはさらに受信器部分RX内に、XFP20のTOSAの前に接続された1×2スイッチ18を含み、これは顧客側出力COにて光クライアント信号を出力する代わりに(またはそれに加えて)、電気出力EO1にて電気クライアント信号を出力することを可能にする。同様に送信器部分では、XFP20のROSAの後に2×1スイッチ28が設けられ、これは顧客側入力CIにて光信号を供給する代わりに、電気入力EI1を通じて電気クライアントレイヤ信号を供給することを可能にする。
【0018】
さらに受信器部分RXではFECプロセッサ15の前に、第2の1×2スイッチ14が設けられ、これはE/O変換されたライン信号をFEC処理の前に電気信号出力EO2にて引き出すことを可能にする。送信器部分TXでは第2の2×1スイッチ24が設けられ、これは電気ライン信号をトランスポンダ10に供給することを可能にする。
【0019】
これらの第1の1×2および2×1スイッチ18、28は、トランスポンダ10の顧客側E/OおよびO/E機能(この実施形態ではXFP)を迂回することを可能にする。第2の1×2および2×1スイッチ14、24はまた、信号歪みが小さいことによりFEC処理が不要となり得るときに、受信および送信側FECプロセッサ15、25を迂回することを可能にする。スイッチ14、24、18、28はコントローラ30の制御下で切り換えられる。さらにコントローラ30は、迂回されたときにFECプロセッサ15、25および/または顧客側E/OおよびO/E機能を選択的に活動化および非活動化するように働く。
【0020】
光再生器機能は、2つのトランスポンダを背中合わせに接続することによって実施することができる。したがって再生器は、従来型のトランスポンダを用いて、第1のラインカードの光クライアント側出力を、第2のラインカードまたは同じラインカードの光クライアント側入力に背中合わせに接続することによって実施できる。
【0021】
本発明の実施形態は、使用されないときに機能および構成要素を迂回するために、ラインカード内にラインカード内の選択された場所に電気出力を追加し、迂回されたラインカード構成要素をスイッチオフする。背中合わせの再生を行うときにスイッチオフすることができるこのような構成要素は、クライアント側TX/RXモジュール、たとえばXFP、FECプロセッサである。したがってラインカードは2つの出力、すなわち光出力を形成する通常のクライアントポートと、FECまたはクライアント側TX/RXモジュールを迂回するために用いられる少なくとも1つの追加の電気出力とを有する。この第2の出力は動的な再生を可能にし、すなわち2つのラインカードの組み合わせを以前のような標準の再生デバイスとして、あるいはFECおよび/またはクライアント側TX/RXモジュールが迂回されたときは低エネルギー再生デバイスとして用いることができる。
【0022】
光ネットワークにおいて光経路が確立されたときは、その伝送品質(quality of transmission:QoT)は所定の範囲内に留まるべきである。QoTが低過ぎると推定された場合は、信号のQoTを改善するために光経路上に再生器を配置する必要がある。2つのラインカードポートを背中合わせに組み合わせて、「OEO」(光−電気−光(opto−electro−opto))再生方式と呼ばれるものを実施することによって、再生を実施することができる。
【0023】
一部の場合には再生後に信号を伝送する距離が信号のトランスペアレント距離(transparent reach)より短く、したがって再生後に信号は目標より高いQoT値を有して宛先ノードに到着することになる。このような場合は上述のような「より軽い」再生処理が、完全なOEO再生を用いて得られるQoTより低いが、閾値より高いQoT値を有して宛先ノードに到達することを可能にする。
【0024】
図2は一実施形態を示し、ライン信号を再生するために2つのラインカードが用いられる。到来するライン信号LSIは第1のラインカードLC1の受信側にて受信され、電気信号にO/E変換される。電気信号は信号内の誤りを訂正するためにFEC処理される。処理された信号は次いで1×2スイッチ18’を通して引き出され、内部スイッチ式バックプレーン接続を通じて第2のラインカードLC2の送信側に供給される。2×1スイッチ28’は電気信号を送信機能のFECプロセッサ25’に結合する。FEC処理を行って新しいFECオーバヘッドを追加した後に、ライン信号はライン送信器21’を通してE/O変換され、回復した光ライン信号LSOとしてネットワークに送り戻される。
【0025】
図2から分かるようにラインカードLC1、LC2のクライアント側光出力および入力を接続するのでなく、スイッチ18’、28’を通して迂回が行われ、これはクライアント側でのE/OおよびO/E変換を回避する。したがってラインカード内の電力消費を低減するためにクライアント側XFPは非活動化することができる。
【0026】
図3には再生器構成の第2の実施形態が示される。FECプロセッサ15’、25’を通過する代わりに、電気信号は1×2スイッチ14’を通して引き出され、内部バックプレーン接続を通して第2のラインカードLC2の送信側の2×1スイッチ24’に供給される。スイッチ24’は電気信号をラインカードLC2のライン送信器21’に結合し、そこでE/O変換され、回復したライン信号としてネットワークに送り戻される。
【0027】
第2の実施形態ではスイッチ14’、24’は、FECプロセッサ15’、25’も迂回するように働き、したがってこれらはさらに電力消費を低減するために非活動化することができる。この第2の構成は、光ライン信号がO/E/O変換による再生を必要とするが過大な歪みを受けておらず、したがってFEC処理はまだ必要でなく、伝送経路の下流側のネットワーク機器まで遅らせることができるときに選択することができる。
【0028】
したがってどの信号バイパスが活動化されるかに応じてコントローラ30は、XFP20のE/O/E機能を非活動化するか、またはそれに加えていずれの信号経路のFECプロセッサ15、25も非活動化する。
【0029】
再生器構成は異なるラインカードの受信器および送信器区間を用いて実施することができるが、必ずしもそうである必要はないことを理解されたい。単一のラインカード上の受信器および送信器区間の電気入力および出力を短絡することも同様に可能である。
【0030】
さらに
図2および
図3は簡略化された概略図であり分かり易くするために、クライアント側TX/RX、ネットワーク側TX/RX、OEおよびEO変換、ならびにFECなどのここで関心のある機能のみを表し、実際のラインカード上に存在し必要となり得る他の機能ブロックは省かれていることを理解されたい。
【0031】
図4は光ネットワークノードNNを示し、これはこの実施形態では光アド/ドロップマルチプレクサである。ネットワークノード40は、リングネットワークの各方向(East側およびWest側)の2つのファイバ用のコネクタ、具体的にはそれぞれファイバE_in、W_in、E_out、W_out用のEast側およびWest側入力および出力を有する。4つのファイバE_in、W_in、E_out、W_outは、複数の波長チャネルを有するDWDM信号を伝達する。光スイッチマトリクスWSSは、たとえば波長選択性スイッチに基づくもので、4つのファイバを相互接続し、リングへのおよびリングからの任意の波長チャネル上でのアドおよびドロップ信号用の複数のn個の支流入力および出力を形成し、入力リングファイバから出力リングファイバへの通過トラフィックをトランスペアレントに切り換える。リングインターフェースの出力側には光増幅器OA1、OA2が設けられる。
【0032】
各支流入力および出力には、
図1に示されるタイプのラインカードLC1−LCnが備えられる。波長選択性スイッチWSSは、East側およびWest側ファイバのいずれかへのまたはそれからの単一波長信号を追加(add)および削除(drop)する。ラインカードLC1−LCnのそれぞれは、単一波長信号に対するネットワーク側光区間λと、電気信号処理および整形のための電気区間Eと、クライアント機器へのまたはクライアント機器からの短距離光インターフェースをもたらすクライアント側光区間Oとを有する。
【0033】
さらなる柔軟性のために、クライアント側ファイバ端子とラインカードLC1−LCnの間にオプションの光空間スイッチマトリクスOXを設けることができる。スイッチマトリクスOXは、たとえば光MEMS(微小電気機械システム)技術、すなわちマイクロミラー、アクチュエータなどの機械デバイスを埋め込む技術を用いて実施することができる。
【0034】
ネットワークノードの光支流ポートに外部クライアントスイッチまたはルータCSが接続されているのが示される。このようなクライアントスイッチまたはルータは、WDMネットワークを通して運ばれるクライアント信号に対してレイヤ2またはレイヤ3スイッチ機能を行うことになる。典型的には、クライアント信号の波長は短距離光インターフェース用に用いられる1300nm程度であり、一方WDMネットワーク上の波長は長距離伝送およびDWDM多重化のために用いられる1500nm程度である。
【0035】
ラインカードLC1−LCnはそれらの電気区間Eに、上述のような中間電気入力および出力を有する。これらの中間入力および出力はバックプレーンBPを通して、たとえばクロスポイントスイッチなどの電気空間スイッチマトリクスEXに接続される。スイッチマトリクスEXは、必要に応じて信号再生を実施するために任意のラインカードの間のバイパス接続を切り換えることを可能にする。さらに複数の電気入力ポートおよび出力ポートEIOを設けることができ、それらを通じて電気信号をクライアントネットワーク機器との間で受信または送信することができる。当業者にはこの関連において、電気入力ポートおよび出力ポートEIOを通して追加および削除された電気信号は、ネットワークに入る/ネットワークを出ることになるので信号歪みに無関係にFEC処理が必要になることが理解されよう。したがって電気的アド/ドロップトラフィックは、それぞれ
図1の中間ポート24に行くおよび中間ポート14から来るのではなく、中間ポート28に行くおよび中間ポート18から来ることになる。
【0036】
いずれのモードでの再生器構成の活動化および設定は、ネットワークの管理プレーンまたは制御プレーンに任されるべきである。バックプレーンスイッチEXは、それぞれが異なる省電力および信号到達距離に関連する、2種類の再生を可能にする。GMPLSプロトコル群などの制御プレーンプロトコルに基づいた制御プレーン信号方式は、ネットワークノードの構成をサポートすることができる。新しいGMPLSフィールドまたはコマンドは、たとえば完全な再生か部分的な再生かおよび関連する到達距離などの、必要な再生のタイプを規定することができる。
【0037】
ラインカードの電気区間はさらに、光ドメインにおける分散効果を補償するために線形等化器または判定帰還型等化器などの電気フィルタを含むことができる。また例としてコヒーレント受信器アーキテクチャを用いてもとのデータ信号を回復するためのサンプリング回路、ADC、およびデジタル信号プロセッサを含むことができる。受信した光信号内の歪みの大きさに応じて、このような追加の整形または補償手段もまた上述のやり方で迂回することができる。
【0038】
説明および図面は単に本発明の原理を示すものである。したがって当業者には、本明細書では明示的に述べられないまたは示されないが本発明の原理を具現化し、その趣旨および範囲に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。さらに本明細書に記載されたすべての実施例は、主として本発明の原理、および当技術分野を発展させるための発明者らの寄与による概念の理解において読者を補助するための教育的な目的のために過ぎず、このような具体的に記載された実施例および条件には限定されないものと解釈されるべきであることが明示的に意図される。さらに本明細書において、本発明の原理、態様、および実施形態を記載したすべての文、およびそれらの特定の例は、その均等物を包含するものである。
【0039】
図に示される様々な要素の機能は、専用のハードウェア、および適当なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアを用いることによって実現することができる。プロセッサによって実現されると、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有されたプロセッサ、その一部を共有することができる複数の個別のプロセッサによって実現することができる。さらに「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、非限定的に、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙に含むことができる。従来型および/またはカスタムの他のハードウェアも含むことができる。同様に、図に示されるいずれのスイッチも概念的であるに過ぎない。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックの相互作用を通して、さらには手動で行うことができ、特定の技術は状況から、より具体的に理解されるように実施者によって選択することができる。