特許第5785296号(P5785296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785296
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】配設体固定具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/12 20060101AFI20150910BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   H02G3/12
   E04B2/74 541G
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-87251(P2014-87251)
(22)【出願日】2014年4月21日
(62)【分割の表示】特願2009-256445(P2009-256445)の分割
【原出願日】2009年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-171386(P2014-171386A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2014年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【審査官】 岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−219887(JP,A)
【文献】 特開平11−350635(JP,A)
【文献】 特開2007−236164(JP,A)
【文献】 実開昭63−021423(JP,U)
【文献】 特開昭62−025808(JP,A)
【文献】 特開2008−005687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/12
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、
前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設される延設部から構成される台座と、
前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、及び前記固定部の長手方向へ延びるように所定の間隔をおいて形成された複数の孔から構成される板状の固定片と、
前記延設部に設けられた挿通孔よりなる第1連結部、及び前記固定片の一端側及び他端側に位置する孔よりなる第2連結部を有し、前記挿通孔及び前記孔に螺子部材を螺入することにより前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構と、を備えたことを特徴とする配設体固定具。
【請求項2】
前記延設部に設けられた挿通孔は、前記延設部の延設方向へ延びる長孔であり、前記延設部に対して前記螺子部材の移動により前記固定片がスライド可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の配設体固定具。
【請求項3】
前記固定片は、前記複数の孔のうちの隣り合う孔の間を通過するように切断可能に構成され、該切断された固定片の切除片の一端が前記台座に連結されることを特徴とする請求項1又は2に記載の配設体固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切壁内に配設体を設置するため、間仕切壁を構築するため立設された造営材に固定される配設体固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軽量間仕切壁(間仕切壁)は、複数の軽量型鋼が所定間隔をおいて立設されるとともに、軽量型鋼の両側を挟むように一対の壁材が設けられることで形成されるものである。この軽量間仕切壁内において、軽量型鋼から壁材の壁面に沿って延びる方向に離間した位置に配線ボックスを設置するには、軽量型鋼に取り付けられるボックス固定具が用いられ、このボックス固定具としては、例えば特許文献1に開示のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1のボックス固定具は、軽量型鋼の側面に取り付けられる取付部と、取付部から延設されるとともに配線ボックスが固定される固定面を有する固定片とを備えている。固定片は、取付部が軽量型鋼に取り付けられた状態において、軽量型鋼から壁材の壁面に沿って延びる方向に延設される。そして、配線ボックスは、軽量型鋼から壁材の壁面に沿って延びる方向に延設された固定片の固定面に対して固定される。その結果、配線ボックスが、軽量間仕切壁内において、軽量型鋼から壁材の壁面に沿って延びる方向に離間した位置に設置される。
【0004】
特許文献1において、取付部からの延設方向に沿った固定片の長さは、隣り合う軽量型鋼において対向する側面それぞれにボックス固定具を取り付けたとき、予め長さに余裕を持って設定されている。このため、隣り合う軽量型鋼間のどの位置でも配設ボックスを設置することができるとともに、軽量型鋼からある程度離間した位置でも配線ボックスを設置することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−236164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、軽量間仕切壁内において、配線ボックスを設置する位置(所望位置)は、配線器具の設置位置によって決まる。しかしながら、特許文献1のボックス固定具は、固定片における延設方向に沿う長さが予め余裕を持って設定されており、軽量間仕切壁内において、配線ボックスを設置する位置によっては、配線ボックスよりもはるかに越えた位置まで固定片が延在してしまう。そして、この延在してしまった部位が結果的にボックス固定具として寄与しなくなってしまう。このようにボックス固定具として寄与しなくなる虞のある部位を予め固定片に有するボックス固定具は、製造コストが嵩んでしまう。
【0007】
なお、こうした問題は、軽量間仕切壁内に配線ボックスを設置するために軽量型鋼に取り付けられるボックス固定具に限らず、例えば、軽量間仕切壁内に配設体としての配線・配管材を設置するために軽量型鋼に取り付けられる配設体固定具においても、概ね共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、無駄な製造コストを抑えつつ、間仕切壁内の所望位置に配設体を設置することができる配設体固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、一実施例の配設体固定具は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設され第1連結部が設けられた延設部から構成される台座と、前記台座の延設部に対して連結され、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、及び前記固定部の一端側に設けられた第2連結部と前記固定部の他端側に設けられた第3連結部から構成される板状の固定片と、前記固定片の第3連結部に対して連結され、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、前記固定部の一端側に前記固定面から前記固定片の厚み分だけ離間する方向へ延設された段差部、及び前記段差部から固定部の長手方向へ延びるように設けられた第2連結部から構成される板状の他の固定片と、前記延設部の第1連結部及び前記固定片の第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構と、前記固定片の第3連結部に対して前記他の固定片の第2連結部を前記延設方向に連続するように連結させるための第2連結機構と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
一実施例の配設体固定具は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設され第1連結部が設けられた延設部から構成される台座と、前記台座の延設部に対して連結され、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、前記固定部の一端側に設けられた第2連結部と前記固定部の他端側に前記固定面から前記固定片の厚み分だけ離間する方向へ延設された段差部、及び前記段差部から固定部の長手方向へ延びるように設けられた第3連結部から構成される板状の固定片と、前記固定片の第3連結部に対して連結され、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、及び前記固定部の一端側に設けられた第2連結部から構成される板状の他の固定片と、前記延設部の第1連結部及び前記固定片の第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構と、前記固定片の第3連結部に対して前記他の固定片の第2連結部を前記延設方向に連続するように連結させるための第2連結機構と、を備えたことを要旨とする。
【0011】
一実施例の配設体固定具は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設され第1連結部が設けられた延設部から構成される台座と、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、前記固定部の一端側に前記固定面から前記固定片の厚み分だけ離間する方向へ延設された段差部を介して前記固定片の長手方向に沿って延設された第2連結部、及び前記固定部の他端側に設けられた第3連結部から構成される板状の固定片と、前記延設部の第1連結部及び前記固定片の第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構と、前記固定片の第3連結部に対して別の前記固定片の第2連結部を前記延設方向に連続するように連結させるための第2連結機構と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
一実施例の配設体固定具は、前記延設部の第1連結部は挿入部よりなるとともに、前記固定片の第2連結部は、前記挿入部に挿入可能に設けられる被挿入部よりなることを要旨とする。
【0013】
一実施例の配設体固定具は、前記挿入部は一対の係合突片よりなるとともに、前記被挿入部は、前記一対の係合突片の間に挿入可能に形成されるとともに前記一対の係合突片に係合可能な被係合突片よりなることを要旨とする。
【0014】
一実施例の配設体固定具は、前記固定片の第3連結部は、前記固定片の他端側に形成される孔であるとともに、前記固定片の第2連結部は、前記固定片の一端側に設けた被係合突片よりなり、前記被係合突片に形成される孔であり、前記第2連結機構は、前記固定片の他端側に設けられる孔、前記他の固定片の一端側に設けられる孔、及び前記両孔に螺入される螺子部材からなることを要旨とする。
【0015】
一実施例の配設体固定具は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設されて前記配設体を固定可能な固定面を有し、他端側に第1連結部が設けられた延設部から構成される台座と、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、前記固定部の一端側に前記固定面から前記固定片の厚み分だけ離間する方向へ延設された段差部、及び前記段差部から固定部の長手方向へ延びるように設けられた第2連結部から構成される板状の固定片と、前記延設部の他端側に設けた第1連結部及び前記固定片の一端側に設けた第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構を備えたことを要旨とする。
一実施例の配設体固定具は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、前記取付部に対して直交する方向へ延設されて前記配設体を固定可能な固定面を有する延設部、前記延設部の他端側に前記固定面から前記固定片の厚み分だけ離間する方向へ延設された段差部、及び前記段差部から前記延設部の延設方向へ延びるように設けられた第1連結部から構成される台座と、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、及び前記固定部の一端側に設けられた第2連結部から構成される板状の固定片と、前記延設部の他端側に設けた第1連結部及び前記固定片の一端側に設けた第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構を備えたことを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、間仕切壁内に配設体を設置するため、前記間仕切壁を構築するため立設された造営材に取り付けられる配設体固定具であって、前記造営材に対して当接可能な当接面を有する取付部、及び前記取付部に対して直交する方向へ延設される延設部から構成される台座と、前記配設体を固定可能な固定面を有する固定部、及び前記固定部の長手方向へ延びるように所定の間隔をおいて形成された複数の孔から構成される板状の固定片と、前記延設部に設けられた挿通孔よりなる第1連結部、及び前記固定片の一端側及び他端側に位置する孔よりなる第2連結部を有し、前記挿通孔及び前記孔に螺子部材を螺入することにより前記台座と前記固定片とを互いに前記延設部の延設方向に連続するように連結させるための第1連結機構と、を備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記延設部に設けられた挿通孔は、前記延設部の延設方向へ延びる長孔であり、前記延設部に対して前記螺子部材の移動により前記固定片がスライド可能になっていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記固定片は、前記複数の孔のうちの隣り合う孔の間を通過するように切断可能に構成され、該切断された固定片の切除片の一端が前記台座に連結されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、無駄な製造コストを抑えつつ、間仕切壁内の所望位置に配設体を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態におけるボックス固定具、他の固定片及び配線ボックスを示す斜視図。
図2】ボックス固定具に他の固定片を連結する前の状態を示す斜視図。
図3】台座を示す斜視図。
図4図3におけるX−X線断面図。
図5】固定片を示す斜視図。
図6図5におけるY−Y線断面図。
図7】台座と固定片との連結部分を示す断面図。
図8】他の固定片に配線ボックスが固定された状態を示す正面図。
図9】他の固定片に配線ボックスが固定された状態を示す平断面図。
図10】第2の実施形態における台座、固定片及び配線ボックスを示す斜視図。
図11】(a)〜(c)は第3の実施形態における台座及び固定片を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明を軽量間仕切壁(間仕切壁)内に配設体としての配線ボックスを設置するために使用されるボックス固定具に具体化した第1の実施形態(参考例)を図1図9にしたがって説明する。
【0019】
まず、軽量間仕切壁Wについて説明する。
図9に示すように、軽量間仕切壁Wは、複数(図9では一つの軽量形鋼材Pのみ図示)の軽量形鋼材Pを所定の間隔をおいて立設するとともに、一対の壁材Waを軽量形鋼材Pを前後に挟むようにして設置することにより構築される。
【0020】
図1及び図9に示すように、軽量形鋼材Pは薄鋼板からなるとともに、平断面視すると、略C字状をなすC型鋼である。軽量形鋼材Pは、その立設方向に延びる開口部Paと、該開口部Paに対向する背面板部Pbと、該背面板部Pbを挟む一対の側板部Pcとを備えている。また、開口部Paは、一対の側板部Pcから延設されるとともに互いに対向する一対のリップ部Pdの間に形成され、各リップ部Pdと背面板部Pbとは互いに対向している。
【0021】
複数の軽量形鋼材Pは、各軽量形鋼材Pの開口部Paがそれぞれ同じ方向に向けられるとともに、壁材Waが設置される側の一対の側板部Pcの外壁面は、それぞれ同一平面上に配置される。
【0022】
次に、配線ボックスBについて説明する。
図1に示すように、配線ボックスBは、四角板状をなす底壁B1と、該底壁B1の周縁に立設された側壁B2とからなる有底四角箱状に形成されている。そして、配線ボックスBは、底壁B1及び側壁B2に囲み形成されたボックス開口部S(図9参照)が前面(一面)に向けて開口している。また、底壁B1には取付孔B3が二つ形成されている。
【0023】
次に、軽量間仕切壁W内において、配線ボックスBを、軽量形鋼材Pから壁材Waの壁面に沿って延びる方向に離間した位置に設置するために用いられるボックス固定具11について説明する。ボックス固定具11は、軽量形鋼材Pに取り付けられる台座21と、配線ボックスBを固定可能な固定面32aを有する固定片31とを備えている。
【0024】
まず、台座21について説明する。
図3及び図4に示すように、台座21は、軽量形鋼材Pの背面板部Pbに対して当接可能な当接面を有する矩形板状の取付部22と、取付部22の一端面22aにおける一長側縁から一端面22aに対して直交する方向へ延設される延設部23とから構成されている。取付部22の厚み方向において、一端面22aと反対側の他端面22bは、台座21が軽量形鋼材Pの背面板部Pbに取り付けられる際、背面板部Pbに当接される当接面として機能する。取付部22には、取付部22の長辺方向及び短辺方向それぞれに複数(本実施形態では8つ)の挿通孔24が形成されている。また、延設部23の幅方向における中間位置には、挿通孔26が形成されている。
【0025】
次に、固定片31について説明する。
図5に示すように、固定片31は細長板状をなすとともに、固定片31の厚みは延設部23の厚みと同じになっている。固定片31は、固定面32aを一端面に有する固定部32を備えている。固定片31の長手方向に沿う固定部32の長さは、配線ボックスBにおける幅方向の長さよりも僅かに長くなっている。よって、固定部32は、その長さ内に一つの配線ボックスBが収まるように固定できる大きさに設定されている。
【0026】
また、固定部32の幅方向両側部には、固定片31の長手方向に沿って延びるとともに、固定面32aに対して交差して延びるように固定面32aに対して離間する方向へ延びる補強片32cが設けられている。この補強片32cにより、固定片31自体が固定片31の幅方向に沿って曲がり難くなっている。
【0027】
また、固定部32において、固定片31の幅方向(長手方向に対して直交する方向)中央部には、凹部37が固定片31の長手方向全体に延びるとともに固定面32aから凹むように形成されている。図6に示すように、凹部37は、断面V字状をなすように固定部32を整形して形成される。この凹部37が形成されることにより、固定部32における固定面32aとは反対側の他端面32bには、他端面32bよりも外方へ突出する突出部39が形成されている。
【0028】
さらに、図5に示すように、凹部37内において、固定片31の幅方向における中央には、固定片31の長手方向に沿うように延びる複数(本実施形態では5つ)の長孔35が形成されている。各長孔35は、その長手方向が固定片31の長手方向に沿うようにしてそれぞれ所定の間隔をおいて設けられている。
【0029】
また、固定片31は、固定部32に連続する段差部33を備えている。段差部33は、固定部32の固定面32aに対して交差して延びるように固定片31の厚み分だけ固定面32aに対して離間する方向へ延びるように形成されている。また、固定片31は、段差部33から固定片31の長手方向へ延びる被係合突片34を備えている。被係合突片34は、固定片31の長手方向に沿って固定部32から突出するように設けられている。また、被係合突片34における幅方向の長さは、補強片32cを除く固定部32における幅方向の長さと同じになっている。
【0030】
被係合突片34における固定片31の幅方向中央部には、固定片31の長手方向へ延びるとともに固定面32aに連続する段差部33の端面から凹む凹部38が形成されている。凹部38は、断面V字状をなすように被係合突片34を整形して形成されている。また、凹部38内において、固定片31の幅方向における中央には、固定片31の長手方向に沿うように延びる長孔状の貫通孔36が形成されている。固定片31において、凹部37,38は、同一直線上に形成されるとともに、凹部37,38の深さはそれぞれ同じになっている。
【0031】
次に、台座21と固定片31とを互いに連結させるための第1連結機構について説明する。
図4に示すように、延設部23には、第1連結部及び挿入部としての一対の係合突片25が取付部22に対して離間する方向へ切り起こされて形成されている。一対の係合突片25は、延設部23の幅方向において互いに対向する位置に設けられている。係合突片25は、延設部23に対して直交する方向へ延びる延在部25aと、延在部25aの先端から互いに近づくように延びる突片25bとからそれぞれ構成されている。突片25bは、延設部23の幅方向に沿う方向に延び、延設部23と平行に設けられている。
【0032】
また、固定片31における一端側の被係合突片34は、第2連結部及び被挿入部として設けられている。図5に示すように、被係合突片34は、固定片31の長手方向における一端に位置しており、固定片31の長手方向に沿う被係合突片34の長さは、延設部23における取付部22からの延設方向に沿う長さとほぼ同じ長さになっている。
【0033】
ここで、図4に示すように、延設部23における係合突片25を有する面から突片25bの内面までの隙間の大きさは、被係合突片34の厚さよりも僅かに大きくなるように設定されている。また、一対の延在部25aの対向面間の長さは、被係合突片34の幅方向に沿う長さよりも僅かに長くなっている。よって、被係合突片34は、係合突片25に案内されるようにして係合突片25の間に延設部23の延設方向に沿って挿入可能になっているとともに、一対の係合突片25が被係合突片34の幅方向両側に係合するようになっている。よって、本実施形態では、被係合突片34及び係合突片25によって第1連結機構が構成されている。
【0034】
次に、固定片31に対して他の固定片31を連結させるための第2連結機構について説明する。
固定片31の最も他端側に位置する長孔35は、第3連結部として機能する。ここで、図2に示すように、他の固定片31の被係合突片34と固定片31の他端側とが重合した状態では、固定片31の最も他端側に位置する長孔35と、他の固定片31の貫通孔36とが重合し、長孔35及び貫通孔36に螺子部材としての第3ビス43を螺入できるようになっている。そして、長孔35及び貫通孔36に対して第3ビス43を螺進させると、他の固定片31の被係合突片34と固定片31の他端側とが共締めされて、固定片31同士が互いに連結される。よって、本実施形態では、固定片31の最も他端側に位置する長孔35及び第3ビス43によって第2連結機構が構成されている。
【0035】
次に、軽量間仕切壁W内において、配線ボックスBを、軽量形鋼材Pから壁材Waの壁面に沿って延びる方向に離間した所望位置に設置する方法について説明する。なお、本実施形態の「所望位置」は、軽量形鋼材Pから固定片31における延設方向の長さ二つ分に相当する距離離れた位置である。
【0036】
図1に示すように、軽量形鋼材Pが立設された状態において、まず、取付部22の他端面22bを軽量形鋼材Pの背面板部Pbに当接させた状態で、第2ビス42を挿通孔24を介して軽量形鋼材Pの背面板部Pbに螺入すると、台座21が軽量形鋼材Pに取り付けられる。このとき、台座21は、後に台座21に連結される固定片31の固定面32aに配線ボックスBを固定したとき、配線ボックスBの前面が一対の側板部Pcの外壁面と同一平面上に位置するように軽量形鋼材Pに取り付けられる。
【0037】
次に、一対の係合突片25の間に、被係合突片34が差し込まれるように固定片31を台座21に対して配置する。すると、被係合突片34に対して係合突片25が係合し、固定片31が台座21に支持されるとともに、台座21と固定片31とが互いに連結される。また、被係合突片34に対して一対の係合突片25が係合した状態では、被係合突片34と延設部23とが重合する。
【0038】
ここで、被係合突片34は、固定片31の厚み分だけ固定面32aに対して離間する方向へ延設される段差部33を介して固定部32から延設されている。このため、被係合突片34と延設部23とが重合した状態でも、延設部23において取付部22の一端面22aに連続する面と、固定部32の固定面32aとは同一平面上に位置している。
【0039】
また、図7に示すように、被係合突片34に対して係合突片25が係合し、且つ段差部33に延設部23が当接した状態では、延設部23の挿通孔26と被係合突片34の貫通孔36とが重合する。そして、第1ビス41を挿通孔26及び貫通孔36に対して螺進させることで、被係合突片34と延設部23とが第1ビス41により共締めされ、台座21に対して固定片31が固定される。
【0040】
次に、図2に示すように、他の固定片31の凹部38が、固定片31の突出部39に対して案内されるようにして、他の固定片31の被係合突片34と、固定片31の他端側とを重合させる。ここで、他の固定片31の被係合突片34は、固定片31の厚み分だけ固定面32aから離間する方向へ延設される段差部33を介して固定部32から延設されている。このため、固定片31の他端側と、他の固定片31の被係合突片34とが重合した状態でも、二つの固定片31の固定面32aは同一平面上に位置している。
【0041】
そして、第3ビス43(図1参照)を長孔35及び貫通孔36に対して螺進させることで、他の固定片31の被係合突片34と固定片31の他端側とが共締めされて、固定片31に対して他の固定片31が支持され、固定片31同士が互いに延設部23の延設方向(固定片31の長手方向)に連続するように連結される。ここで、固定部32の補強片32cの間に、他の固定片31における被係合突片34の幅方向両側が係合されている。この補強片32cと被係合突片34との係合により、第3ビス43を中心として固定片31同士が回転しようとする動きが規制されている。
【0042】
次に、図1に示すように、他の固定片31の長孔35に対して配線ボックスBの取付孔B3を重合させるようにして、固定面32aに配線ボックスBの底壁B1を当接させ、第4ビス44を取付孔B3及び長孔35に対して螺進させることで、配線ボックスBが他の固定片31の固定面32aに固定される。よって、図8及び図9に示すように、配線ボックスBが他の固定片31及びボックス固定具11を介して軽量形鋼材Pから壁材Waの壁面に沿って延びる方向に離間した所望位置に設置される。
【0043】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ボックス固定具11は、台座21に固定片31を連結することで形成される。また、固定部32の長さは一つの配線ボックスBを固定できる大きさになっている。したがって、固定片31を十分に長さを持たせて形成する必要がなく、固定片31が配線ボックスBから大きく延在してしまうことがなくなる。よって、結果的にボックス固定具11として寄与しなくなる部位まで製造してしまうことがなくなり、無駄な製造コストを抑えつつ、軽量間仕切壁W内の所望位置に配線ボックスBを設置することができる。
【0044】
(2)ボックス固定具11は、第3連結部として機能する固定片31の最も他端側に位置する長孔35と、第3ビス43とからなる第2連結機構を備えている。この第2連結機構を利用して固定片31に他の固定片31を連結すればするほど、軽量形鋼材Pから離れた位置に固定面32aを位置させるとともに、その固定面32aに配線ボックスBを固定することができる。
【0045】
(3)固定片31において、固定部32と被係合突片34との間には、固定片31の厚み分だけ固定面32aに対して離間する方向へ延設される段差部33が設けられている。よって、固定片31同士を連結し、他の固定片31の被係合突片34と、固定片31の他端側とを重合させても、連結した二つの固定片31の固定面32aを同一平面上に位置することができる。したがって、固定片31を複数連結したとしても、台座21から延びる固定片31の固定面32aに対して他の固定片31の固定面32aが前後にずれることがない。よって、固定面32aに固定された配線ボックスBの前面を一対の側板部Pcの外壁面と同一平面上に位置させ、壁材Waの裏面に配線ボックスBの前面を当接させることができる。
【0046】
(4)固定片31の被係合突片34と台座21の係合突片25とが互いに係合した状態において、延設部23の挿通孔26と被係合突片34の貫通孔36とが重合し、挿通孔26及び貫通孔36に第1ビス41を螺入して、固定片31の被係合突片34と台座21の延設部23とを共締めする。その結果、第1ビス41により固定片31と台座21とを互いにがたつくことなく連結させることができる。
【0047】
(5)ボックス固定具11は、それぞれ別の部材からなる台座21及び固定片31が互いに連結されて構成されている。よって、ボックス固定具11を配線ボックスBを設置する作業場所まで搬送する際に、台座21と固定片31とを互いに連結せずに、それぞれ分解した状態で搬送することができ、台座21と固定片31とが予め一体化されてなるボックス固定具に比べて、ボックス固定具11を作業位置まで容易に搬送することができる。
【0048】
(6)固定部32の幅方向両側部には補強片32cが設けられ、この補強片32cにより、固定片31自体が固定片31の幅方向に沿って曲がり難くなっている。また、固定片31同士が連結された状態では、固定部32の補強片32cの間に、他の固定片31における被係合突片34の幅方向両側が係合され、この補強片32cと被係合突片34との係合により、第3ビス43を中心として固定片31同士が回転しようとする動きを規制することができる。
【0049】
(7)本実施形態では、台座21を軽量形鋼材Pに取り付けた後に、台座21に対して固定片31を固定する。よって、例えば、台座と固定片とが一体形成されてなるボックス固定具を軽量形鋼材Pに取り付けるために、第2ビス42を軽量形鋼材Pに螺入する際に、台座から延設される固定片が邪魔になり、作業がし難くなるといったことがなく、台座21を軽量形鋼材Pに取り付けることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明を軽量間仕切壁内に配線ボックスを設置するために使用されるボックス固定具に具体化した第2の実施形態(参考例)を図10にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。ボックス固定具50は、軽量形鋼材Pに取り付けられる台座51と、配線ボックスBを固定可能な固定面32aを有する固定片31とを備えている。
【0051】
まず、台座51について説明する。
台座51は、軽量形鋼材Pの背面板部Pbに対して当接可能な当接面を有する取付部52と、取付部52の一端面52aにおける一長側縁から一端面52aに対して直交する方向へ延設された延設部53とを有している。取付部52の厚み方向において、一端面52aと反対側の他端面52bは、台座51が軽量形鋼材Pの背面板部Pbに取り付けられる際、背面板部Pbに当接される当接面として機能する。取付部52には、取付部52の長辺方向及び短辺方向それぞれに複数(本実施形態では8つ)の挿通孔54が形成されている。
【0052】
延設部53は、その延設方向へ延びる細長板状をなすとともに、取付部52と一体形成されている。また、延設部53の延設方向に沿う長さは、固定片31の長手方向に沿う長さと同じ長さになっているとともに、配線ボックスBにおける幅方向の長さよりも僅かに長くなっている。よって、延設部53は、その長さ内に一つの配線ボックスBが収まるように固定できる大きさに設定されている。
【0053】
延設部53において、取付部52の一端面52aに連続する面は、配線ボックスBを固定可能な固定面53aとなっている。また、延設部53の幅方向中央部には、第1凹部(図示せず)が延設部53の延設方向全体に延びるとともに固定面53aから凹むように形成されている。第1凹部は、断面V字状をなすように延設部53を整形して形成される。この第1凹部が形成されることにより、延設部53における固定面53aとは反対側の他端面53cには、他端面53cよりも外方へ突出する突出部53dが形成されている。
【0054】
さらに、第1凹部内において、延設部53の幅方向における中央には、延設部53の延設方向に沿うように延びる複数(本実施形態では5つ)の長孔53bが形成されている。各長孔53bは、その長手方向が延設部53の延設方向に沿うようにしてそれぞれ所定の間隔をおいて設けられている。
【0055】
また、台座51は、延設部53に連続する段差部55を備えている。段差部55は、延設部53の固定面53aに対して交差して延びるように延設部53の厚み分だけ取付部52に対して離間する方向へ延びるように形成されている。また、台座51は、段差部55から延設部53の延設方向へ延びる被係合突片56を備えている。被係合突片56は、段差部55を介して固定面53aから延設部53の厚み分だけ取付部52に対して離間する方向へ延設された位置から延設部53の延設方向に沿って突出するように設けられている。
【0056】
被係合突片56における延設部53の幅方向中央部には、延設部53の長手方向へ延びるとともに固定面53aに連続する段差部55の端面から凹む第2凹部(図示せず)が形成されている。第2凹部は、断面V字状をなすように被係合突片56を整形して形成されている。また、第2凹部内において、延設部53の幅方向における中央には、延設部53の延設方向に沿うように延びる長孔状の貫通孔56aが形成されている。延設部53において、第1及び第2凹部は、同一直線上に形成されるとともに、第1及び第2凹部の深さはそれぞれ同じになっている。
【0057】
次に、台座51と固定片31とを互いに連結させるための第1連結機構について説明する。
被係合突片56に形成された貫通孔56aは第1連結部として機能するとともに、固定片31の最も一端側に位置する長孔35は第2連結部として機能する。ここで、被係合突片56と、固定片31の一端側とが重合した状態では、貫通孔56aと、固定片31の最も一端側に位置する長孔35とが重合し、長孔35及び貫通孔56aに第1ビス41を螺入できるようになっている。そして、長孔35及び貫通孔56aに対して第1ビス41を螺進させると、固定片31の一端側と被係合突片56とが共締めされて、台座51に固定片31が固定される。よって、本実施形態では、貫通孔56a、固定片31の最も一端側に位置する長孔35、及び第1ビス41によって第1連結機構が構成されている。
【0058】
さて、第2の実施形態では、軽量形鋼材Pに台座51が取り付けられるとともに、台座51に固定片31が固定された状態において、固定面32aに配線ボックスBを固定することで、配線ボックスBがボックス固定具50を介して軽量形鋼材Pから壁材Waの壁面に沿って延びる方向に離間した所望位置に設置される。
【0059】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(6)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(8)台座51は、配線ボックスBを固定可能な固定面53aを有する延設部53を備えている。よって、台座51に固定片31を連結しなくても、延設部53の固定面53aに配線ボックスBを固定することで、台座51のみを用いるだけで軽量間仕切壁W内に配線ボックスBを設置することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、本発明を軽量間仕切壁内に配線ボックスを設置するために使用されるボックス固定具に具体化した第3の実施形態を図11にしたがって説明する。ボックス固定具60は、軽量形鋼材Pに取り付けられる台座21と、配線ボックスBを固定可能な固定面62aを有する固定片61とを備えている。なお、図11(a)に示すように、第3の実施形態における台座21には、第1の実施形態において、延設部23に設けられた一対の係合突片25が設けられていない。
【0061】
台座21は、隣り合う軽量形鋼材Pにおいて対向する側面それぞれに互いに対向するように取り付けられる。また、固定片61は、その長手方向の長さが隣り合う軽量形鋼材Pの間隔と同一の長さに形成されている。さらに、固定片61の幅方向における中央には、固定片61の長手方向に沿うように延びる複数の長孔63が所定の間隔をおいて形成されている。
【0062】
そして、固定片61の最も一端側に位置する長孔63と一方の台座21の挿通孔26とを重合させた状態で、長孔63及び挿通孔26に対して第1ビス41を螺進させると、固定片61の一端側と一方の台座21の延設部23とが共締めされて、一方の台座21に固定片61の一端側が固定される。
【0063】
一方、固定片61の最も他端側に位置する長孔63と他方の台座21の挿通孔26とを重合させた状態で、長孔63及び挿通孔26に対して第1ビス41を螺進させると、固定片61の他端側と他方の台座21の延設部23とが共締めされて、他方の台座21に固定片61の他端側が固定される。その結果、隣り合う軽量形鋼材Pの間に固定片61が架け渡された状態になる。よって、挿通孔26、固定片31の最も一端側及び他端側に位置する長孔63、及び第1ビス41によって第1連結機構が構成されている。
【0064】
第3の実施形態における延設部23及び挿通孔26の延設方向の長さは、第1の実施形態における延設部23及び挿通孔26の延設方向の長さに比べて長くなっている。よって、台座21及び固定片61が第1ビス41により共締めされて隣り合う軽量形鋼材Pの間に固定片61が架け渡された状態であっても、第1ビス41が長孔63及び挿通孔26内で延設方向に沿って移動することでき、この第1ビス41の移動により台座21と固定片61とが互いにスライド可能になっている。そして、台座21と固定片61とが互いにスライドすることで軽量形鋼材Pの立設位置を微調整することができる。
【0065】
ここで、配線ボックスBの設置位置によっては、固定片61における長手方向の長さが、隣り合う軽量形鋼材Pの間隔と同一の長さに形成されている必要のない場合がある。このような場合、図11(b)に示すように、隣り合う長孔63の間を通過するように固定片61を切断する。さらに、配線ボックスBの設置位置によっては、切断されて切除片となった固定片65を、図11(c)に示すように台座21に連結してもよい。この場合、切除片となった固定片65の最も一端側に位置する長孔63と一方の台座21の挿通孔26とを重合させた状態で、長孔63及び挿通孔26に対して第1ビス41を螺進させて、切除片となった固定片65の一端側と一方の台座21の延設部23とを共締めすることで、一方の台座21に切除片となった固定片65を連結させる。この場合、挿通孔26、切除片となった固定片65の最も一端側に位置する長孔63、及び第1ビス41によって第1連結機構が構成されている。
【0066】
したがって、第3の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(9)固定片61が隣り合う長孔63の間を通過するように切断されて切除片となった固定片65は、台座21に対して連結可能になっている。よって、切除片となった固定片65がボックス固定具として寄与しなくなって廃棄物になってしまうことなく、切除片となった固定片65をボックス固定具の部品の一部として使用することができる。
【0067】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1及び第2の実施形態において、「所望位置」は、軽量形鋼材Pから固定片31における長手方向の長さ二つ分に相当する距離離れた位置であったが、これに限らず、例えば、固定片31における長手方向の長さ二つ分に相当する距離よりも軽量形鋼材Pから離れた位置であってもよい。この場合であっても、例えば、他の固定片31にさらに別の固定片を連結させることで、軽量間仕切壁W内において、固定片31における長手方向の長さ二つ分に相当する距離よりも軽量形鋼材Pから離れた所望位置に配線ボックスBを設置することができる。
【0068】
○ 第1及び第2の実施形態において、「所望位置」は、軽量形鋼材Pから固定片31における長手方向の長さ二つ分に相当する距離離れた位置であったが、これに限らず、例えば、軽量形鋼材Pから固定片31における長手方向の長さ一つ分に相当する距離離れた位置であってもよい。この場合であっても、例えば、固定片31と他の固定片31との連結を解除させて、ボックス固定具11の固定面32aに配線ボックスBを固定することで、軽量間仕切壁W内において、軽量形鋼材Pから固定片31における長手方向の長さ一つ分に相当する距離離れた所望位置に配線ボックスBを設置することができる。
【0069】
○ 第1の実施形態において、固定片31の被係合突片34と台座21の係合突片25とが互いに係合した状態において、第1ビス41により固定片31の被係合突片34と台座21の延設部23とを共締めしなくてもよい。この場合、固定片31の被係合突片34と台座21の係合突片25とが互いに係合した状態において、被係合突片34と係合突片25との間にクリアランスが形成されないように、被係合突片34及び係合突片25を設ける必要がある。
【0070】
○ 第1の実施形態において、固定片31の一端側(例えば、被係合突片34)に第1連結部及び挿入部としての嵌合凹部を固定片31の厚み方向へ貫通するように形成するとともに、台座21の延設部23に第2連結部及び被挿入部としての嵌合凸部を取付部22に対して離間する方向へ突出するように形成してもよい。そして、台座21の嵌合凸部が固定片31の嵌合凹部に対して取付部22が延びる方向に沿って挿入されて、固定片31の嵌合凹部と台座21の嵌合凸部とが嵌合することで、固定片31と台座21とが互いに連結されるようにしてもよい。この場合、第1連結機構は、嵌合凹部と嵌合凸部とから構成されている。
【0071】
○ 第1の実施形態において、第1連結機構は、被係合突片34及び係合突片25から構成されていたが、これに限らず、係合突片25を設けずに、挿通孔26及び貫通孔36に第1ビス41を螺進させ締結することで、固定片31と台座21とを連結させるようにしてもよい。この場合、挿通孔26、貫通孔36及び第1ビス41によって第1連結機構が構成され、挿通孔26が第1連結部として機能し、貫通孔36が第2連結部として機能する。
【0072】
○ 第1の実施形態において、台座21の延設部23に第1連結部として一対の係合突片25が設けられたが、これに限らない。例えば、延設部23に設けられた一対の係合突片25を削除するとともに、固定片31の一端側に延設部23と係合可能な一対の係合突片を設けて、延設部23自体と、固定片31の一端側に設けられた係合突片とを係合させて、台座21と固定片31とを互いに連結させてもよい。この場合、延設部23自体が第1連結部として機能し、固定片31の一端側に設けられた一対の係合突片が第2連結部として機能する。また、固定片31に対して他の固定片31を連結する場合は、固定片31の他端側(被係合突片)と他の固定片31の一端側に設けられた一対の係合突片とを係合させることで、固定片31同士を連結させるようにする。よって、固定片31の他端側(被係合突片)自体が第3連結部として機能する。
【0073】
○ 第1の実施形態において、固定片31の他端側に他の固定片31の被係合突片34と係合可能な一対の係合突片を設けて、他の被係合突片34と、固定片31の他端側に設けられた係合突片とを係合させて、固定片31同士を連結させてもよい。この場合、固定片31の他端側に設けられた一対の係合突片が第3連結部として機能する。
【0074】
○ 第1の実施形態において、固定片31において、固定部32と被係合突片34との間に、固定片31の厚み分だけ固定面32aから離れる方向へ延設される段差部33を設けなくてもよい。
【0075】
○ 第1の実施形態において、一対の係合突片25を、延設部23において、取付部22に対して離間する方向へ切り起こされることで台座21と一体的に設けたが、これに限らない。例えば、台座21とは別体であるとともにL字状に形成された金属片の基端を延設部23に対して溶接して固着させることで、一対の係合突片を延設部23に設けてもよい。
【0076】
○ 第1の実施形態では、固定片31及び他の固定片31における長手方向の長さは、それぞれ同じであったが、これに限らず、例えば、他の固定片31を切断することで、他の固定片31の長さを変更してもよい。ここで、固定片31を切断する際には、固定片31において、隣り合う長孔35の間で切断するのが好ましいが、長孔35上を通過するように切断してもよい。固定片31の長孔35は、固定片31における長手方向に沿うように固定片31全体に亘って形成されておらず、固定片31において所定の間隔を複数設けられている。よって、長孔35上を通過するように固定片31を切断したとしても、固定片31における長手方向に沿うように固定片31全体に亘って長孔が形成されている固定片に比べて、固定片31自体の強度が低下し難くなっている。
【0077】
○ 第1及び第2の実施形態において、長手方向の長さが異なる固定片31を予めいくつか用意しておくとともに、配線ボックスBを設置する所望位置に対応して、台座21,51に連結させる固定片31を適宜選択して、台座21,51に連結してもよい。
【0078】
○ 各実施形態において、固定片31,61は細長板状であったが、これに限らず、例えば、配線ボックスBの底壁B1と同じ形状である四角板状であってもよい。
○ 各実施形態において、間仕切壁は軽量間仕切壁Wであったが、これに限らず、軽量間仕切壁W以外の間仕切壁であってもよい。
【0079】
○ 本発明を、軽量間仕切壁W内に配線ボックスBを設置するために軽量形鋼材Pに固定されるボックス固定具11に適用したが、これに限らず、例えば、軽量間仕切壁W内に配設体としての配線・配管材を設置するために軽量形鋼材Pに固定される配設体固定具に適用してもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記延設部には挿通孔が形成されるとともに、前記被係合突片には貫通孔が形成され、前記一対の係合突片内に前記被係合突片が差し込まれて、前記一対の係合突片と前記被係合突片とが係合された状態において、前記挿通孔と前記貫通孔とは互いに重合されるようになっており、前記挿通孔及び前記貫通孔に螺子部材が螺入されることで、前記被係合突片と前記延設部とが共締めされることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載の配設体固定具。
【0081】
(ロ)前記第1連結部は、前記延設部に形成される挿通孔であるとともに、前記第2連結部は、前記固定片の一端側に形成される貫通孔であり、前記第1連結機構は、前記挿通孔、前記貫通孔、及び前記挿通孔と前記貫通孔に螺入される螺子部材からなることを特徴とする請求項1に記載の配設体固定具。
【0082】
(ハ)前記固定片は細長板状からなるとともに、前記台座には、予めいくつか用意された長手方向の長さが異なる前記固定片を適宜選択して、その選択された固定片が連結されることを特徴とする請求項1〜請求項7及び前記技術的思想(イ),(ロ)のいずれか一項に記載の配設体固定具。
【0083】
(二)前記第1連結部及び前記第2連結部を連結して前記台座と前記固定片とが互いに連結された状態において、前記台座と前記固定片とは互いにスライド可能になっていることを特徴とする請求項1〜請求項7及び前記技術的思想(イ)〜(ハ)のいずれか一項に記載の配設体固定具。
【0084】
(ホ)前記配設体は配線ボックスであるとともに、前記間仕切壁内に前記配線ボックスを設置するために前記造営材に取り付けられるボックス固定具であることを特徴とする請求項1〜請求項7及び前記技術的思想(イ)〜(二)のいずれか一項に記載の配設体固定具。
【符号の説明】
【0085】
B…配設体としての配線ボックス、P…造営材としての軽量形鋼材、W…間仕切壁としての軽量間仕切壁、11,50,60…配設体固定具としてのボックス固定具、21,51…台座、22,52…取付部、22b,52b…当接面としての他端面、23,53…延設部、25…第1連結部及び挿入部として機能するとともに第1連結機構を構成する係合突片、31,61…固定片、32…固定部、32a,53a,62a…固定面、34…第2連結部及び被挿入部として機能するとともに第1連結機構を構成する被係合突片、35…第3連結部として機能するとともに第2連結機構を構成する長孔、41…第1連結機構を構成する第1ビス、43…第2連結機構を構成する螺子部材としての第3ビス、56a…第1連結部として機能するとともに第1連結機構を構成する貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11