(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施例によるレーザビーム照射装置を利用し、有機発光ディスプレイ装置の密封部を密封する方法を概略的に図示した断面図であり、
図2は、
図1の上面図である。
【0035】
図1及び
図2を参照すれば、第1基板110と第2基板120との間に、有機発光部130及び前記有機発光部130を取り囲む密封部140が配され、前記密封部140に、レーザビーム照射装置150から照射されたレーザビーム160が照射される。
【0036】
第1基板110上に、有機発光部130が形成される。第1基板110はガラス材基板でありうる。
【0037】
第2基板120は、第1基板110上に形成された有機発光部130を封止する封止基板であり、後述するレーザビームが透過されうるものであり、望ましくは、ガラス材基板を使用できる。
【0038】
有機発光部130は、第1電極(図示せず)と第2電極(図示せず)との間に発光層を含んだ、少なくとも一層以上の有機層(図示せず)が介在された有機発光素子(OLED:organic light emitting device)(図示せず)を少なくとも一つ以上含む。ここで、第1電極(図示せず)と第2電極(図示せず)は、それぞれ正孔を注入するアノード、及び電子を注入するカソードの機能を行うことができる。
【0039】
有機発光素子(図示せず)は、各有機発光素子の駆動を、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)で制御するか否かによって、受動駆動型(PM:passive matrix)及び能動駆動型(AM:active matrix)に分けることができる。本実施例では、能動駆動型及び受動駆動型のいずれの場合にも適用されうる。
【0040】
第2基板120上には、前述の有機発光部130を取り囲む位置に対応する位置に、密封部140が形成される。
【0041】
密封部140は、有機発光部130と、外部の水分や酸素との接触を遮断するために、閉ループ(closed loop)を形成することが望ましい。
【0042】
一方、前記図面には、閉ループをなす密封部140の各コーナー部分が、一定の曲率を有する曲線によって形成されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、密封部140の各コーナー部分は、曲率なしに直交する形状をなすことも可能である。
【0043】
密封部140の各コーナー部分が、一定の曲率を有する場合には、レーザビーム照射装置150の光学系(図示せず)を含んだヘッド(head)(図示せず)によって、密封部140のコーナーを含んだ密封ラインに沿って連続的に直接スキャンさせつつ、レーザビーム160を照射することができる。
【0044】
一方、密封部140の各コーナー部分が直交する場合には、レーザビーム照射装置150のヘッド(図示せず)によって、密封部140の第1コーナーに沿って第1方向にスキャンさせつつレーザビーム160を照射した後、前記図面には図示されていないが、第1基板110下部に配されたステージ(stage)(図示せず)を90°回転させる。ステージを回転させれば、ステージと共に第1基板110及び第2基板120が共に回転する。ステージ回転後、前述の第1方向にスキャンしつつ、レーザビーム160を照射すれば、密封部140の第2コーナーにレーザビーム160が照射される。かような方式で、ステージ(図示せず)を回転させつつ、レーザビーム160を照射する方式で、密封部140を密封できる。
【0045】
本実施例で、第1基板110と第2基板120との気密性を確保し、有機発光部130をさらに効果的に保護するために、密封部140としてフリット(frit)を使用した。フリットは、スクリーン印刷(screen printing)法またはペン・ディスペンシング(pen dispensing)法など、多様な方法によって所定一定幅(FW:frit width)を有するように形成される。
【0046】
一方、本実施例では、密封部140を第2基板120上に形成し、有機発光部130を第1基板110上に形成し、第1基板110と第2基板120とを整列したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、密封部140は、有機発光部が形成された第1基板110上に形成され、第2基板120と整列された後に合着されもする。
【0047】
また、前記図面には、1つの有機発光部130が備わった場合を図示しているが、本発明は、第1基板110と第2基板120との間に、複数個の有機発光部130と、複数個の有機発光部130を取り囲む複数個の密封部140とを含む場合にも適用できることは、言うまでもない。
【0048】
レーザビーム照射装置150は、密封ラインに沿って第1基板110と第2基板120との間に配された密封部140に、本実施例によるビーム・プロファイルを有するスポットビーム(spot beam)状でレーザビーム160を照射する。これについての具体的な説明は後述する。
【0049】
一方、前記図面には詳細に図示されていないが、レーザビーム照射装置150は、レーザを発生させるレーザ発振器(図示せず)、ビーム均質器(beam homogenizer)(図示せず)及びスキャナ(図示せず)などを含むことができる。
【0050】
レーザ発振器(図示せず)としては、レーザシーリング用として一般的に使用される高出力レーザソースであるバンドルタイプ(bundle type)のマルチコア・ソース(multi core source)を使用できる。
【0051】
かようなバンドルタイプのマルチコア・ソースの場合、それぞれのコアの出力がいずれも少しずつ異なる可能性があるので、ビーム均質器(図示せず)を使用して、かような不均一を解決することもできる。
【0052】
スキャナ(図示せず)は、レーザ発振器(図示せず)から放射されたレーザビームを反射し、密封部140に照射する反射部(図示せず)、反射部を駆動する駆動部(図示せず)、及び反射されたレーザビームを集光するレンズ部(図示せず)などを含むことができる。
【0053】
レンズ部(図示せず)を通過したレーザビーム160は、本実施例によるビーム・プロファイルを有するスポットビーム状で密封部140に照射される。このとき、レンズ部(図示せず)は、スキャナ内部に配されたり、または密封部140に向かうように、スキャナ下部に別途に配されもする。
【0054】
一方、前記図面には図示されていないが、レーザ照射装置150から照射されるレーザビーム160の幅LWが密封部140の幅(FW)より広い場合には、レーザ照射装置150と第2基板120との間にレーザマスク(図示せず)を配し、密封部140の幅(FW)に照射されるレーザビーム160の幅LWを調節できる。
【0055】
図3は、本実施例によるレーザ照射装置が照射するビーム・プロファイルと比較するための第1比較例であるガウシアン・ビーム・プロファイルを図示したものである。
【0056】
図4は、
図3のガウシアン・ビーム・プロファイルを有機発光ディスプレイ装置のフリットに照射したときのフリット断面による温度分布を図示したものである。
【0057】
図3を参照すれば、ガウシアン分布を有するレーザビーム・プロファイル(G)は、ビーム中央部へ行くほど、単位面積当たりのビーム強度(I)が上昇し、軸対称分布を有する。
【0058】
前記グラフで、平面のx,yは、ビーム・プロファイルの縦横の大きさを示すものであり、もしガウシアン・ビーム・プロファイル(G)の中心軸付近だけをレーザマスクで一部切り出して使うとしても、ガウシアン・ビーム・プロファイルの中心部と、レーザマスクによって切り取られるガウシアン・ビーム・プロファイルの周辺部とのビーム強度は、約15%以上の差が発生する。
【0059】
かようなビーム中央部とビーム周辺部との間にビーム強度差を有するレーザビームで、密封部を構成するフリットを照射すれば、
図4に図示されているように、フリットの中央部(横軸が0である地点)と、フリットの端部(横軸が±FW/2である地点)は、45%以上の温度差が発生し、全体シーリング幅(FW)の80%に該当する部分である有効シーリング幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、最大34%の温度差が発生する。
【0060】
フリットの端部をフリットの転移温度(Tg)である430℃以上に維持するためには、レーザ出力を高めなければならないが、その場合、ガウシアン・ビーム・プロファイルの中心部によってシーリングされるフリットの中央部の温度は、約650℃以上に上昇して過度な熱が注入され、オーバーウェルディング(over−welding)状態となる。
【0061】
過度なエネルギーが照射されるフリット中心部に存在した小さな気泡(void)が、フリット端部より大きく膨脹し、膨脹した小さな気泡は、さらに急冷されつつ泡が煮立つような痕跡を残す。かような泡跡は、有機発光ディスプレイ装置の強度及び接着力を顕著に低下させる欠点になる。
【0062】
一方、残留応力は、熱膨張率と冷却される温度差とによって決定されるが、さらに高温に上昇したフリット中央部は、フリット端部より遅く冷却されるために、引っ張り応力が大きくなり、外部から衝撃が加えられるとき、クラック(crack)を発生させることにもなる。
【0063】
かような問題点を解決するために、ビーム強度が均一なプロファイルを有するレーザビームをフリットに照射することを考慮することができる。
【0064】
図5は、本実施例によるレーザ照射装置が照射するビーム・プロファイルと比較するための第2比較例であるフラットトップ(flattop)ビーム・プロファイルを図示したものである。
【0065】
図6は、
図5のフラットトップ・ビーム・プロファイルと、
図3のガウシアン・ビーム・プロファイルとを有機発光ディスプレイ装置のフリットに照射したとき、有効シーリング幅(FW
eff)内のフリット断面による温度分布を正規化(normalized)したものである。
【0066】
図5を参照すれば、フラットトップ分布を有するレーザビーム・プロファイルFは、ビーム中央部とビーム周辺部との単位面積当たりビーム強度(I)が均一なレンガ状の分布を有する。
【0067】
図6の横軸は、有効シーリング幅(FW
eff)内のフリットの位置を示し、縦軸NTは、温度を正規化したものである。前記図面を参照すれば、均一なビーム強度を有するフラットトップ・レーザビームFをフリットに照射した場合にも、フリット断面の温度均一度は、34%から32%に2%ほどの低下があるだけであり、温度均一度がほとんど改善されていないことが分かる。
【0068】
これは、フリット中央部よりフリット端部に沿って、熱が外部に多く抜け出るためである。これは、前述の問題を解決するためには、フリットに照射するレーザビームの強度を均一にすることが解決策ではなく、レーザビームが照射された後、フリット断面による温度分布を均一にしなければならないことを意味する。このためには、フリット端部に、フリット中央部より大きいエネルギーをさらに供給しなければならない。
【0069】
以下、
図7ないし
図34を参照しつつ、本発明の実施例によるレーザビーム照射装置で、有機発光ディスプレイ装置の基板を密封するとき、フリット断面の温度分布均一度を向上させることができるレーザビーム・プロファイルについて説明する。
【0070】
(実施例1)
図7は、本発明の一実施例によるレーザビーム照射装置で、有機発光ディスプレイ装置のフリットに照射されるレーザビームのビーム・プロファイルを概略的に図示した図面であり、
図8は、
図7のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)での断面図であり、
図9は、
図7のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に平行な面(xz面)での断面図であり、
図10は、
図7のビーム・プロファイルの上面図である。
【0071】
横軸(x)及び縦軸(y)は、フリット幅(FW)に対するビーム・プロファイルの位置を示し、高さ(NI:Normalized intensity)は、ビーム強度を正規化した値である。
【0072】
前記図面を参照すれば、本実施例によるレーザビーム照射装置150で、有機発光ディスプレイ装置のフリット140に照射されるレーザビーム160は、ビームの中心部(C)からビームの端部(E)へ行くほど、ビーム強度(beam intensity)が上昇するプロファイルを有する。このとき、ビーム中心部(C)でのビーム強度は、ビーム端部(E)でのビーム強度の半分以下になることが望ましい。
【0073】
本実施例によるレーザビーム160のプロファイルは、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有する。
【0074】
本実施例によるレーザビーム160のプロファイルは、ビーム中心部(C)からビーム端部(E)方向に、ビーム強度が徐々に上昇する第1区間(Ix,Iy)、及び第1区間(Ix,Iy)よりビーム強度上昇率が高い第2区間(IIx,IIy)を順に具備する。
【0075】
本実施例によるレーザビームのプロファイルは、第1区間(Ix,Iy)と第2区間(IIx,IIy)との境界をなす位置に変曲点(inflection point)(I)がレーザビームの中心部(C)を中心に対称的に分布する。
【0076】
ここで、変曲点(I)は、パラメータ(parameter)α,β,γで定義できる。αは、最小ビーム強度に対する最大ビーム強度の比を示す。本実施例では、最小ビーム強度は、ビーム中央部(C)で0.1、最大ビーム強度は、ビーム端部(E)で1.0であるから、αは10になる。βは、最小ビーム強度に対する変曲点でのビーム強度の比を示す。本実施例では、最小ビーム強度は、ビーム中央部(C)で0.1、変曲点(I)でのビーム強度は0.2であるから、βは2となる。γは、全体ビーム幅に対するビーム中心部から変曲点(I)までの水平距離の比を示す。本実施例で、全体ビーム幅は0.6であり、ビーム中心部から変曲点(I)までの水平距離が0.18であるから、γは0.3になる。
【0077】
本実施例によるビーム・プロファイルの上面図を図示した
図10を参照すれば、本実施例によるレーザビーム160は、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有するので、ビーム幅(BW)も、レーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有する。よって、本実施例によるレーザビーム160は、断面が円形であるスポットビーム状に照射されうる。
【0078】
本実施例によるレーザビーム160は、スポットビーム状に照射され、密封部140の密封ラインに沿って直接スキャンしつつ移動できる。このとき、レーザビーム160の中心線を密封ラインの中心線に、その焦点を合わせた後、密封ラインの中心線に沿ってスキャンする。
【0079】
従って、本実施例でのように、ビームの中心部(C)からビームの端部(E)へ行くほど、ビーム強度が上昇するビーム・プロファイルを有するレーザビーム160を、密封部140に照射すれば、密封ラインの中心線に沿って照射されるレーザビーム強度を時間に対して積分した値であるヒート・フラックス(heat flux)が、密封部140の中心より密封部140の端部でさらに大きい値を有することになる。結果的に、密封部140の端部に、密封部140の中心部よりさらに大きいエネルギーが供給され、全体的にフリット断面の温度均一度を向上させることができることになる。
【0080】
本実施例で密封部140は、フリット140によって備わりうる。
【0081】
レーザビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)と実質的に同一に設計されうる。本実施例で、ビーム幅(BW)及びフリット幅(FW)は、同一に600μmに設計されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。従って、レーザビーム160のビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)より広く設計されうる。しかし、ビーム幅(BW)が広すぎれば、レーザマスク(図示せず)で遮断するにしても、レーザマスクに伝達されるエネルギーが大きくなり、フリット140周辺の配線部または有機発光部130に、損傷を加えることがあるので、ビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)の2倍以下であることが望ましい。
【0082】
図11は、本実施例の一変形例によるレーザビーム・プロファイルを概略的に図示した図面であり、
図12は、
図11のレーザビームの進行方向に垂直な面での断面図である。
【0083】
本実施例の一変形例によるレーザビーム161のプロファイルも、前述の実施例と同様であって、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有する。図面には、便宜上、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)に垂直な面(yz面)の断面図だけ図示されている。
【0084】
本実施例の一変形例によるレーザビーム161は、ビーム中心部(C)からビーム端部(E)方向に、ビーム強度が徐々に上昇する第1区間(Ix)、及び第1区間(Ix)よりビーム強度上昇率が高い第2区間(IIx)を順に具備し、第2区間(IIx)の外側に、ビーム強度が急落する第3区間(IIIx)がさらに含まれる。
【0085】
一方、本実施例で、レーザビーム幅(BW)は800μmであって、フリット幅(FW)600μmより広く設計されている。
【0086】
図13は、本実施例の他の変形例によるレーザビーム・プロファイルを概略的に図示した図面であり、
図14は、
図13のレーザビームの進行方向に垂直な面での断面図である。
【0087】
本実施例の他の一変形例によるレーザビーム162のプロファイルも、前述の実施例と同様であって、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有する。図面には、便宜上、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)に垂直な面(yz面)の断面図だけ図示されている。
【0088】
本実施例の他の一変形例によるレーザビーム162は、ビーム中心部(C)からビーム端部(E)方向に、ビーム強度が徐々に上昇する第1区間(Ix)、及び第1区間(Ix)よりビーム強度上昇率が高い第2区間(IIx)を順に具備し、第2区間(IIx)の外側に、ビーム強度が一定である第3区間(IIIx)がさらに含まれる。
【0089】
一方、本実施例で、レーザビーム幅(BW)は800μmであり、フリット幅(FW)600μmより広く設計されている。
【0090】
図15は、
図7、
図11及び
図13のビーム・プロファイルを有するレーザビームをフリットに照射したとき、フリット断面による温度分布を正規化したグラフである。
【0091】
図15を参照すれば、
図7のビーム・プロファイルを有するレーザビーム160に係わる温度分布(T160)は、フリット中央部とフリット端部とで30%の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、3%未満の温度差が発生する。
【0092】
一方、
図11のビーム・プロファイルを有するレーザビーム161に係わる温度分布(T161)は、フリット中央部とフリット端部とで25%の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、3%未満の温度差が発生する。
【0093】
一方、
図13のビーム・プロファイルを有するレーザビーム162に係わる温度分布(T162)は、フリット中央部とフリット端部とで25%の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、3%未満の温度差が発生する。
【0094】
前述の
図3及び
図4のガウシアン・ビーム・プロファイルの場合、フリット中央部とフリット端部は、45%以上の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、最大34%の温度差が発生するが、本実施例及び変形例によるビーム・プロファイルを有するレーザビームを照射した場合、フリット端部に沿った温度分布均一度が改善されていることが分かる。
【0095】
図16及び
図17は、有効シール幅(FW
eff)内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を、15%未満に維持するための変曲点の存在可能領域の変化を、αの変化によって図示したものである。
【0096】
図16は、αが5であるレーザビームを、20mm/secのスキャン速度で照射したとき、レーザビームの変曲点(I’)存在可能領域(領域5)を図示したものであり、
図17は、αが10であるレーザビームを、20mm/secのスキャン速度で照射したとき、レーザビームの変曲点(I”)存在可能領域(領域10)を図示したものである。
【0097】
前記図面を参照すれば、スキャン速度が同一であるとき、α値が増加するほど、変曲点存在可能領域が拡大することが分かる。従って、変曲点可能領域の拡大によって、β及びγの選択幅が大きくなるので、フリット端部の温度均一度を向上させることができるレーザビームのパラメータ選択の自由度が拡張される。
【0098】
一方、前記図面には図示されていないが、他の条件が同一であるとき、レーザビームのスキャン速度を速める場合、変曲点選択可能領域が拡大することが分かった。しかし、ビームスキャン速度を5mm/sec以下とする場合、適切なレーザパワーでフリットを密封できるという長所があるが、タグタイム(tag time)延長によって工程効率が落ち、50mm/sec以上とする場合、フリットが溶ける適切な温度を得るために、ビームスキャン速度5mm/secに比べて、ビームの強度を大きく上昇させなければならず、ビームの速い移動速度によって、フリットが溶けては固まりつつ発生するサーマルショック(thermal shokc)によるマイクロクラック(micro−crack)発生の可能性も同時に高まる。かような状況を勘案して、ビームのスキャン速度は、5mm/secより速く、50mm/secより遅いようにすることが望ましい。
【0099】
(実施例2)
図18は、本発明の他の実施例によるレーザビーム照射装置で、有機発光ディスプレイ装置のフリットに照射されるレーザビームのビーム・プロファイルを概略的に図示した図面であり、
図19は、
図18のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)での断面図であり、
図20は、
図18のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に平行な面(xz面)での断面図であり、
図21は、
図18のビーム・プロファイルの上面図である。
【0100】
横軸(x)及び縦軸(y)は、フリット幅(FW)に対するビーム・プロファイルの位置を示し、高さ(NI:normalized intensity)は、ビーム強度を正規化した値である。
【0101】
前記図面を参照すれば、本実施例によるレーザビーム照射装置150で、有機発光ディスプレイ装置のフリット140に照射されるレーザビーム260は、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)で、ビームの中心部(C)からビームの端部(E)へ行くほど、ビーム強度が上昇するプロファイルを有する。このとき、ビーム中心部(C)でのビーム強度は、ビーム端部(E)でのビーム強度の半分以下になることが望ましい。
【0102】
本実施例によるレーザビーム260のプロファイルは、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)に垂直な面(yz面)で、対称的な形状を有し、ビームの端部(E)へ行くほど、ビーム強度が上昇する。
【0103】
しかし、本実施例によるレーザビーム260は、レーザビーム進行方向に平行な面(xz面)では、ビーム強度が一定である。すなわち、前述の実施例によるレーザビーム160が、ビーム中心部に対して対称になる点対称状であるならば、本実施例によるレーザビーム260は、レーザビーム進行方向(L)に対して対称をなす線対称状である。
【0104】
図19を参照すれば、本実施例によるレーザビーム260のプロファイルは、レーザビーム進行方向(L)に垂直な面(yz面)では、ビーム中心部(C)からビーム端部(E)方向に、ビーム強度が徐々に上昇する第1区間(Ix)、及び第1区間(Ix)よりビーム強度上昇率が高い第2区間(IIx)を順に具備する。
【0105】
本実施例によるビーム・プロファイルは、第1区間(Ix)と第2区間(IIx)との境界をなす位置で決定される変曲点(I)が、レーザビーム進行方向(L)に平行に対称的に分布する。しかし、レーザビーム進行方向(L)に平行な面(xz面)では、ビーム強度が一定であるので、変曲点(I)は、レーザビーム進行方向(L)に平行な面(xz面)には存在しない。
【0106】
ここで、変曲点(I)は、パラメータ(パラメータ)α,β,γで定義できる。αは、最小ビーム強度に対する最大ビーム強度の比を示す。本実施例では、最小ビーム強度は、ビーム中央部(C)で0.2、最大ビーム強度は、ビーム端部(E)で1.0であるから、αは5となる。βは、最小ビーム強度に対する変曲点でのビーム強度の比を示す。本実施例では、最小ビーム強度は、ビーム中央部(C)で0.2、変曲点(I)でのビーム強度は、0.4であるから、βは2となる。γは、全体ビーム幅に対するビーム中心部から変曲点(I)までの水平距離の比を示す。本実施例で、全体ビーム幅は0.6であり、ビーム中心部から変曲点(I)までの水平距離が0.18であるからγは0.3になる。
【0107】
本実施例によるビーム・プロファイルの上面図を図示した
図20を参照すれば、本実施例によるレーザビーム260は、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)に対して対称的な形状を有する。ビーム幅(BW)よりビーム長(BL)がさらに長い長方形のビーム状に照射されうる。本実施例で、ビーム長(BL)は、2mmに設計されているが、変形可能であるということは、言うまでもない。
【0108】
本実施例によるレーザビーム260は、長方形ラインビーム状に照射され、密封部140の密封ラインに沿って直接スキャンしつつ移動できる。このとき、レーザビーム260の中心線を密封ラインの中心線に、その焦点を合わせた後、密封ラインの中心線に沿ってスキャンする。
【0109】
従って、本実施例でのように、ビームの中心部(C)からビームの端部(E)へ行くほど、ビーム強度が上昇するビーム・プロファイルを有するレーザビーム260を、密封部140に照射すれば、密封ラインの中心線に沿って照射されるレーザビーム強度を、時間に対して積分した値であるヒート・フラックスが、密封部140の中心より密封部140の端部でさらに大きい値を有することになる。結果的に、密封部140の端部に、密封部140の中央よりさらに大きいエネルギーが供給され、全体的にフリット断面の温度均一度を向上させることができることになる。
【0110】
本実施例で、密封部140は、フリット140によって備わりうる。
【0111】
本実施例で、レーザビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)と実質的に同一に設計されうる。本実施例で、ビーム幅(BW)及びフリット幅(FW)は、同一に600μmに設計されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。従って、レーザビーム260のビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)より広く設計されうる。しかし、ビーム幅(BW)が広すぎれば、レーザマスク(図示せず)で遮断するにしても、レーザマスクに伝達されるエネルギーが大きくなり、フリット140周辺の配線部または有機発光部130に損傷を加えることがあるので、ビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)の2倍以下であることが望ましい。
【0112】
図22は、
図18のビーム・プロファイルを有するレーザビームを、ビーム長を変化させつつフリットに照射したとき、フリット断面による温度分布を正規化したグラフである。
【0113】
図22を参照すれば、ビーム長0.3mmであるレーザビームに係わる温度分布(T0.3)は、フリット中央部とフリット端部とで30%の温度差が発生し、フリット中心部で、約19%の温度降下が発生した。
【0114】
一方、ビーム長1mmであるレーザビームに係わる温度分布(T1)は、フリット中央部とフリット端部とで25%の温度差が発生し、フリット中心部で、約6%の温度降下が発生した。
【0115】
一方、ビーム長2mmであるレーザビームに係わる温度分布(T2)は、フリット中央部とフリット端部とで20%の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、3%未満の温度差が発生した。
【0116】
一方、ビーム長4mmであるレーザビームに係わる温度分布(T4)は、フリット中央部とフリット端部とで2%の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、2%未満の温度差が発生した。
【0117】
前述の
図3及び
図4のガウシアン・ビーム・プロファイルの場合、フリット中央部とフリット端部は、45%以上の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、最大34%の温度差が発生するが、本実施例によるビーム・プロファイルを有するレーザビームを照射した場合、フリット端部に沿った温度分布均一度が改善されていることが分かる。
【0118】
図23は、有効シール幅(FW
eff)内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持するための変曲点の存在可能領域を図示したものである。
【0119】
前記図面は、αが4であるレーザビームをフリットに照射したとき、レーザビームの変曲点(I’)存在可能領域(領域4)を図示したものであり、前記領域(領域4)内に存在する1つの点を選択し、適切なβ及びγを決定できる。
【0120】
前記図面に図示されていないが、本実施例によるレーザビームの変曲点存在可能領域(領域4)は、αが増大するほど概して拡張する傾向があって、ビーム長及びビームスキャン速度が増加する傾向がある。しかし、ビームスキャン速度を5mm/sec以下にする場合、タグタイム延長によって工程効率が落ち、50mm/sec以上とする場合、ビーム強度の経時的な累積ヒート・フラックスが増大し、フリットの温度を上昇させた。かような状況を勘案して、ビームのスキャン速度は、5mm/secより速く、50mm/secより遅くすることが望ましい。
【0121】
(実施例3)
図24は、本発明のさらに他の実施例によるレーザビーム照射装置で、有機発光ディスプレイ装置のフリットに照射されるレーザビームのビーム・プロファイルを概略的に図示した図面であり、
図25は、
図24のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)での断面図であり、
図26は、
図24のビーム・プロファイルのレーザビームの進行方向に平行な面(xz面)での断面図であり、
図27は、
図24のビーム・プロファイルの上面図である。
【0122】
横軸(x)及び縦軸(y)は、フリット幅(FW)に対するビーム・プロファイルの位置を示し、高さ(NI:normalized intensity)は、ビーム強度を正規化した値である。
【0123】
前記図面を参照すれば、本実施例によるレーザビーム照射装置150で、有機発光ディスプレイ装置のフリット140に照射されるレーザビーム360は、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)で、ビームの中心部(C)からビームの端部(E1)へ行くほど、ビーム強度が上昇するプロファイルを有する。このとき、ビーム中心部(C)でのビーム強度は、ビーム端部(E1)でのビーム強度の半分以下になることが望ましい。
【0124】
しかし、本実施例によるレーザビーム360は、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)では、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)でのビーム強度上昇率とは異なる上昇率を有する。
【0125】
図26を参照すれば、本実施例によるレーザビーム360は、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)で、ビームの中心部(C)からビームの端部(E2)へ行くほど、ビーム強度が低下するプロファイルを有する。
【0126】
本実施例によるレーザビーム360は、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)と、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)とでのビーム強度上昇率は互いに異なるが、全体的に、レーザビームの中心(C)に対称的な形状のビーム・プロファイルを有する。
【0127】
本実施例によるレーザビーム360は、パラメータα及びδで定義できる。
【0128】
αは、レーザビーム進行方向に垂直な面(yz面)で、最小ビーム強度に対する最大ビーム強度の比を示す。
図25を参照すれば、本実施例で、レーザビーム進行方向に垂直な面(yz面)で、最小ビーム強度は、ビーム中央部(C)で0.5、最大ビーム強度は、ビーム端部(E1)で1.0であるから、αは2となる。
【0129】
δは、レーザビーム進行方向に平行な面(xz面)で、ビーム端部でのビーム強度を示す。
図26を参照すれば、本実施例で、レーザビーム進行方向に平行な面(xz面)で、ビーム端部(E2)でのビーム強度が0.3であるからδは、0.3である。
【0130】
本実施例によるビーム・プロファイルの上面図を図示した
図27を参照すれば、本実施例によるレーザビーム360は、ビーム強度がレーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有するので、ビーム幅(BW)もまた、レーザビーム進行方向(L)、及びレーザビーム進行方向に垂直な方向(H)に対して対称的な形状を有するので、円形のスポットビーム状に照射されうる。
【0131】
本実施例によるレーザビーム360は、スポットビーム状に照射され、密封部140の密封ラインに沿って直接スキャンしつつ移動できる。このとき、レーザビーム360の中心線を密封ラインの中心線に、その焦点を合わせた後、密封ラインの中心線に沿ってスキャンする。
【0132】
従って、本実施例でのように、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)では、ビームの中心部(C)からビームの端部(E1)へ行くほど、ビーム強度が上昇し、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)では、ビームの中心部(C)からビームの端部(E2)へ行くほど、ビーム強度が低下するビーム・プロファイルを有するレーザビーム360を、密封部140に照射すれば、密封ラインの中心線に沿って照射されるレーザビーム強度を、時間に対して積分した値であるヒート・フラックスが、密封部140の中心より密封部140の端部でさらに大きい値を有することになる。結果的に、密封部140の端部に、密封部140の中心部よりさらに大きいエネルギーが供給され、全体的にフリット断面の温度均一度を向上させることができることになる。
【0133】
本実施例で、密封部140は、フリット140によって備わりうる。
【0134】
レーザビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)と実質的に同一に設計されうる。本実施例で、ビーム幅(BW)及びフリット幅(FW)は、同一に600μmに設計されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。従って、レーザビーム160のビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)より大きく設計されうる。しかし、ビーム幅(BW)が広すぎれば、レーザマスク(図示せず)で遮断するにしても、レーザマスクに伝達されるエネルギーが大きくなり、フリット140周辺の配線部または有機発光部130に損傷を加えることがあるので、ビーム幅(BW)は、フリット幅(FW)の2倍以下であることが望ましい。
【0135】
図28は、
図24のビーム・プロファイルを有するレーザビームをフリットに照射したとき、フリット断面による温度分布を正規化したグラフである。
【0136】
前記図面を参照すれば、
図24のビーム・プロファイルを有するレーザビーム360に係わる温度分布(T360)は、フリット中央部とフリット端部とで40%の温度差が発生するが、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、9%未満の温度差が発生する。
【0137】
前述の
図3及び
図4のガウシアン・ビーム・プロファイルの場合、フリット中央部とフリット端部は、45%以上の温度差が発生し、有効シール幅(FW
eff)内では、フリット中心部とフリット端部は、最大34%の温度差が発生するが、本実施例によるビーム・プロファイルを有するレーザビームを照射した場合、フリット端部に沿った温度分布均一度が改善されていることが分かる。
【0138】
図29は、αと1/δとの関係によって、ビーム・プロファイルの形状が異なる領域を図示したグラフである。
【0139】
前記図面を参考にすれば、δ=1/α線を基準に左下領域(A)は、δ<1/αの関係式を満足し、δ=1/α線を基準で右上領域(B)は、δ>1/αの関係式を満足する。
【0140】
図30は、δ<1/αである関係式を満足させる例を図示したグラフであり、
図31は、δ>1/αの関係式を満足させる例を図示したグラフである。
【0141】
図30を参照すれば、α=2であり、δ=0.25であるから、δ<1/αの関係式を満足させる。前述の
図24ないし
図27に図示されたレーザビーム360も、δ<1/αの関係式を満足させる。
【0142】
δ<1/αの関係式を満足させるレーザビームは、前述のように、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)では、ビームの中心部(C)からビームの端部(E1)へ行くほどビーム強度が上昇し、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)では、ビームの中心部(C)からビームの端部(E2)へ行くほど、ビーム強度が低下するビーム・プロファイルを有する。
【0143】
図31を参照すれば、α=2であり、δ=0.75であるから、δ>1/αの関係式を満足させる。δ>1/αの関係式を満足させるレーザビームは、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)では、ビームの中心部(C’)からビームの端部(E1’)へ行くほどビーム強度が上昇するが、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)でも、ビームの中心部(C’)からビームの端部(E2’)へ行くほど、ビーム強度が上昇するビーム・プロファイルを有する。
【0144】
すなわち、前述の
図24ないし27に図示されたレーザビーム360と同様に、ビームの進行方向に平行な面(xz面)と、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)とでのビーム強度上昇率が互いに異なり、レーザビームの進行方向に垂直な面(yz面)では、ビームの中心部(C’)からビームの端部(E1’)へ行くほどビーム強度が上昇し、全体的に、レーザビームの中心(C’)に対称的な形状のビーム・プロファイルを有する点では、共通的である特徴を有する。
【0145】
しかし、前述の
図24ないし27に図示されたレーザビーム360は、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)では、ビームの中心部(C)からビームの端部(E2)へ行くほど、ビーム強度が低下するビーム・プロファイルを有する一方、δ>1/αの関係式を満足させる場合には、レーザビームの進行方向に平行な面(xz面)で、ビームの中心部(C’)からビームの端部(E2’)へ行くほど、ビーム強度が上昇するビーム・プロファイルを有するという点で差がある。
【0146】
図32ないし
図34は、δ<1/αの関係式を満足するレーザビーム、及びδ>1/αの関係式を満足させるレーザビームの有効シール幅内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持するための変曲点の存在可能領域を、速度別に図示したものである。
【0147】
図32は、レーザビームをスキャン速度5mm/secでフリットに照射したとき、有効シール幅内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持するためのレーザビームの変曲点の存在可能領域(領域_5)を図示したものである。
【0148】
図33は、レーザビームをスキャン速度20mm/secでフリットに照射したとき、有効シール幅内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持するためのレーザビームの変曲点の存在可能領域(領域_20)を図示したものである。
【0149】
図34は、レーザビームをスキャン速度50mm/secでフリットに照射したとき、有効シール幅内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持するためのレーザビームの変曲点の存在可能領域(領域_50)を図示したものである。
【0150】
前記図面を参照すれば、δ<1/αの関係式を満足するレーザビーム、及びδ>1/αの関係式を満足するレーザビームいずれも、スキャン速度が低下するほど、有効シール幅内で、フリット中心部とフリット端部との温度差を15%未満に維持できるレーザビームの変曲点の存在可能領域が拡大することが分かる。従って、変曲点可能領域の拡大によって、α及びδの選択幅が大きくなるので、フリット端部の温度均一度を向上させることができるレーザビームのパラメータ選択の自由度が拡張する。
【0151】
しかし、ビームスキャン速度を5mm/sec以下とする場合、タグタイム延長によって工程効率が落ち、50mm/sec以上とする場合、ビーム強度の経時的な累積ヒート・フラックスが増大し、フリットの温度を上昇させた。かような状況を勘案して、ビームのスキャン速度は、5mm/secより速く、50mm/secより遅くすることが望ましい。
【0152】
一方、前記実施例では、密封部としてフリットを使用する場合を例示として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、当技術分野で当業者であるならば、多様な材料の密封部にも、本発明の思想が適用されうることを理解することができるであろう。
【0153】
また、前記実施例では、レーザビーム照射装置で、有機発光ディスプレイ装置を密封する方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、上下2枚の基板間にフリットのような密封パターンが備わっており、密封パターンにレーザビームを照射して上下基板を密封するものであるならば、ディスプレイ素子の種類に関係なく、多様な装置に応用できることは、言うまでもない。
【0154】
本発明は、図面に図示された実施例を参考に説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解することが可能であろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。