【実施例】
【0037】
次に、上述した実施の形態に係る通信システム及びその輻輳回避方法の具体的な実施例として、電力の使用量を測定する検針システムを例に取り詳しく説明する。
【0038】
図3は、本発明の実施例に係る電力使用量の検針システムを示す図である。電力使用量を測定する測定装置4−1、4−2、4−3、…、4−11、4−12、…、4−21、4−22、4−23、…、4−31、4−32、4−33、…にはそれぞれ、無線子局(通信ユニット)2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…が設けられている。これらの無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…は相互通信可能に構成されており、電柱等に設置された無線親局1−1、1−2、1−3の配下になっている。これらの無線親局1−1、1−2、1−3は、光ファイバ等によるネットワーク5を介して収集制御装置3に接続される。
【0039】
上記検針システムは、輻輳を回避するために、収集制御装置3による無線子局数監視機能を有している。
【0040】
上記収集制御装置3による無線子局数監視機能は、収集制御装置3で無線親局毎の無線子局の収容台数を管理することにより、無線親局毎の無線子局の収容台数あるいは、無線子局の通信動作を制限して輻輳が発生しないようにするものである。
【0041】
次に、上記収集制御装置3による無線子局数監視機能について説明する。
(1)無線親局1−1、1−2、1−3に、広告(無線子局数閾値超過)を送信要求する機能
収集制御装置3は、無線子局数を管理・監視し、無線子局数閾値超過通知要求(開始)を用いて、無線親局1−1、1−2、1−3に広告(無線子局数閾値超過)を送信要求する。無線親局1−1、1−2、1−3は応答を収集制御装置3に返し、無線子局の収容台数が閾値を超過したことを通知する広告(無線子局数閾値超過)を定期送信する。
【0042】
広告(無線子局数閾値超過)を受信した無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…は、広告の送信元である無線親局1−1、1−2または1−3を新たに収容先として選択しない。他に選択する無線親局が存在しない場合は選択可能である。また、広告を受信する前から当該無線親局を既に収容先として選択している無線子局は継続して選択することが可能である。
【0043】
図4は、無線親局1−1が異常となり、多くの無線子局が無線親局1−2を主局として選択した結果
(a)収集制御装置3が無線子局数閾値超過を検出
(b)無線親局1−2に対し無線子局数閾値超過通知要求(開始)メッセージを送信
(c)無線親局1−2がブロードキャスト送信で、広告(無線子局数閾値超過)を定期送信
(d)無線子局2−12は、無線親局1−2を主局として選択せず、無線親局1−3を主局として選択し、収容登録要求を送信
している動作を表している。
【0044】
すなわち、無線親局1−1が異常であることが配下の各無線子局に知らされると、無線子局2−1は別の無線親局1−2に対して収容登録要求を送信し、この無線親局1−2から収集制御装置3に収容登録要求が出される。これに対し、収集制御装置3は、無線親局1−2に収容登録応答を送信し、無線親局1−2から無線子局2−1に収容登録応答が出される。
【0045】
また、収集制御装置3から、無線親局1−2に無線子局数閾値超過通知要求(開始)が送信され、無線親局1−2から無線子局数閾値超過通知応答が収集制御装置3に送信される。そして、無線親局1−2の配下の無線子局数が増加して閾値を超過すると、収集制御装置3の制御により、この無線親局1−2の配下の各無線子局に広告が出される。これを受けて、無線子局2−2は無線親局1−3に対して収容登録要求を送信し、この無線親局1−3から収集制御装置3に収容登録要求が出される。これに対し、収集制御装置3は、無線親局1−3に収容登録応答を送信し、無線親局1−3から無線子局2−2に収容登録応答が出され、無線子局2−2が無線親局1−3に登録される。
【0046】
無線子局2−1、2−2からはそれぞれ、30分検針の計測値(以降、30分値と記載)が無線親局1−2、1−3を介して収集制御装置3に送信される。
【0047】
(2)収容登録要求に対し、30分値停止指示を応答する機能
収集制御装置3は、無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…から受信した収容登録要求に対して、30分値停止応答を返すことができる。
【0048】
30分値停止応答を受信した無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…は、広告(正常)を受信するまで、収容登録要求の送信を抑止する。また、収容登録要求を送信し正常応答を受信するまで、30分値の送信を停止する。
【0049】
図5は、無線親局1−1が異常となり、多くの無線子局が無線親局1−2を主局として選択した結果、
(a)収集制御装置3が無線子局数閾値超過を検出
(b)無線親局1−2に対し無線子局数閾値超過通知要求(開始)を送信
(c)無線親局1−2がブロードキャスト送信で、広告(無線子局数閾値超過)を定期送信
(d)無線子局2−2は、無線親局1−1、1−2しか認識できていないため、無線親局1−2を主局として選択し、収容登録要求を送信
(e)収容数が30分値通知許容端末数を超過していたため、収集制御装置3が収容登録応答(30分値停止指示)を送信
している動作を表している。
【0050】
(3)収容登録要求に対し、収容拒否を応答する機能
収集制御装置3は、無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…2−31、2−32、2−33、…から受信した収容登録要求に対して、収容登録応答(収容拒否)を返すことができる。
【0051】
収容登録応答(収容拒否)を受信した無線子局は、広告(正常)を受信するまで、収容登録要求の送信を抑止する。広告(正常)を受信した場合、収容登録応答で収容拒否を受信した無線子局は収容登録要求から再開する。また、収容登録要求を送信し正常応答を受信するまで、30分値の送信を停止する。更に、収容登録要求を送信し収容拒否以外の応答を受信するまで、その他の低頻度の上り通信を抑止する。
【0052】
図6は、無線親局1−1が異常となり、多くの無線子局が無線親局1−2を主局として選択した結果、
(a)収集制御装置3が無線子局数閾値超過を検出
(b)無線親局1−2に対し無線子局数閾値超過通知要求(開始)を送信
(c)無線親局1−2がブロードキャスト送信で、広告(無線子局数閾値超過)を定期送信
(d)無線子局2−11は、無線親局1−1、1−2しか認識できていないため、無線親局1−2を主局として選択し、収容登録要求を送信
(e)収容数が収容許容端末数を超過していたため、収集制御装置が収容登録応答(収容拒否)を送信
している動作を表している。
【0053】
(4)無線親局に、広告(正常)を送信要求する機能
収集制御装置3は、無線子局数を管理・監視し、無線子局数閾値超過解除を判断した場合、無線子局数閾値超過通知要求(停止)を用いて、無線親局1−1、1−2、1−3に広告(正常)を送信要求する。無線親局1−1、1−2、1−3は応答を収集制御装置3に返し、広告(正常)を定期送信する。この広告(正常)を受信した無線子局2−1、2−2、2−3、…、2−11、2−12、…、2−21、2−22、2−23、…、2−31、2−32、2−33、…は、他に選択する無線親局が存在する、しないに拘わらず、受信した無線親局を主副局として選択可能とする。
【0054】
図7は、無線親局1−2から他の無線親局に主局を移行した無線子局が多数発生した結果、
(a)収集制御装置3が無線親局1−2の無線子局数閾値超過解除を検出
(b)無線親局1−2に対し無線子局数閾値超過通知要求(停止)メッセージを送信
(c)無線親局1−2がブロードキャスト送信で、広告(正常)を定期送信
(d)無線子局2−2は、無線親局1−2を主局として選択し、収容登録要求を送信
している動作を表している。
【0055】
(d)の無線子局2−2が無線親局1−2を主局として選択し、収容登録要求を送信する動作により、収集制御装置3が無線子局数閾値超過を検出した場合は、
図4を参照して説明した動作により広告(無線子局数閾値超過)が送信される。また、この(d)の動作に対して収集制御装置は、30分値停止応答及び収容拒否応答を送信することが可能である。
【0056】
上述したように、本発明によれば、無線子局の無線親局への収容効率を高めることができ、トラフィックを抑制しつつ効率的に利用できる通信システム及びその輻輳回避方法、並びにこの通信システムを用いた検針システムが得られる。
【0057】
なお、上述した実施例では、電力使用量を検針する検針システムを例に取って説明したが、ガスや水道等の使用量を検針するシステムにも同様にして適用可能である。また、例えば携帯電話等の無線端末において、緊急通信用のトラフィックを確保したい場合等にも幅広く適用できる。