特許第5785356号(P5785356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785356
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】自動料金収受システム用車載装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20150910BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20150910BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   G07B15/00 510
   G08G1/09 R
   G08G1/09 S
   G08G1/16 D
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2008-101775(P2008-101775)
(22)【出願日】2008年4月9日
(65)【公開番号】特開2009-252110(P2009-252110A)
(43)【公開日】2009年10月29日
【審査請求日】2011年2月25日
【審判番号】不服2014-6666(P2014-6666/J1)
【審判請求日】2014年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 関谷 一夫
【審判官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−277416(JP,A)
【文献】 特開2007−188261(JP,A)
【文献】 特開2007−072720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G08G 1/09
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動料金収受システム用路側機と無線通信可能な通信手段と、車両に関する情報が表示される表示手段と、制御手段とを備え、
前記通信手段は、前記自動料金収受システム用路側機との交信を検知したとき前記車両が自動料金収受システム用ゲート付近にあるとの認識信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は、前記認識信号が入力されたとき、前記通信手段を介して前記自動料金収受システム用路側機と交信を行って前記自動料金収受システム用路側機から自動料金収受システム用ゲート通行不可の信号を受信したとき、車速検知手段から入力される車速情報を予め設定された複数の段階の車速に応じて色分けされた表示形態で前記表示手段に表示させる機能を有する自動料金収受システム用車載装置。
【請求項2】
請求項1において、前記制御手段は、前記自動料金収受システム用ゲート付近以外の場所では、前記表示手段に車間距離を表示させる機能を有する自動料金収受システム用車載装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記車速情報は、前記車両に搭載されたナビゲーションシステム又は車両用メーターに、前記複数の段階の車速に応じて色分けされた表示形態で表示されることを特徴とする自動料金収受システム用車載装置。
【請求項4】
請求項1乃至のうちいずれか1項において、前記車速情報の表示形態に合わせて予め設定された異なる警報音を出力する警報手段を有することを特徴とする自動料金収受システム用車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるElectronic Toll Collection(ETC:登録商標)車載装置、すなわち自動料金収受システム用車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の有料道路の料金所に設置される自動料金収受システム(以下、「ETC:登録商標」という)は、車両に搭載されたETC車載器(自動料金収受システム用車載装置)と、料金所に設置されたETC路側機(自動料金収受システム用路側機)との間で無線により料金決済を行うことによって、停車することなく料金所を通過できるものである(例えば特許文献1)。料金所にはETCゲート(自動料金収受システム用ゲート)が設けられ、料金決済が正常に行われた場合に開くようになっている。しかし、ETCカード(自動料金収受システム用カード)未挿入や通信エラー等により料金決済が正常に行われない場合は、ETCゲートを開かないようにしている。また、車両がETCゲートに進入する際の車速は、直ちに停車できるように時速20km以下に制限されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−283269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転者が車速を確認するには、速度メーターを見なくてはならず、その煩わしさから速度を確認せずに、制限速度を上回る速度でETCゲートに進入してしまい、ETCゲートバーに接触する場合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ETCゲート付近で運転者が車速を容易に認識できるETC車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のETC車載装置は、ETC路側機と無線通信可能な通信手段と、車両に関する情報が表示される表示手段と、制御手段とを備え、通信手段は、ETC路側機との交信を検知したとき車両がETCゲート付近にあるとの認識信号を制御手段に出力し、制御手段は、認識信号が入力されたとき、車速検知手段から入力される車速情報を予め設定された複数の段階の車速に応じた表示形態で表示手段に表示させる機能を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、運転者は車速を速度メーターよりも認識しやすい表示形態によって認識できるので、運転中でも容易に車速を認識できる。表示手段は、運転者の運転中の視野に入る位置に設置されることが望ましい。表示形態としては、例えば、車速が時速5km未満なら「○」を表示し、時速5kmから時速20km未満なら「△」、時速20km以上なら「×」と表示する。なお、車両に関する情報として、ETCゲート付近以外の場所では、表示手段に車間距離等を表示させ、車両がETCゲートに近付いた際には車速に応じた表示形態を表示させるというように、表示を自動的に切り替えるように構成することが望ましい。
【0008】
ところで、上記の場合、車両がETCゲートに近付けば車速に応じて表示が切り替わるが、ETCゲートが開かない場合にのみ、表示を切り替えるように構成してもよい。すなわち、通信手段がETC路側機と交信を行い、ETC路側機がETCカード未挿入や通信エラー等の要因からETCゲート通行不可の信号を通信手段に送信したとき、通信手段がその信号を制御手段に出力し、制御手段はその信号が入力されたときに、車速に応じて表示を切り替えるように構成する。なお、ETC車載器は、ETC路側機との通信が不可の場合に通信エラーと判断する手段を備え、その手段がETCゲート通行不可信号を制御手段に出力するように構成される。これにより、運転者は車速及びETCゲートが開かないことを容易に認識できるので、前もって減速することでETCゲートバーに接触することなく停車することができる。停車した場合は、料金所の係員が停車した車両に赴いて、有料道路入口側の料金所なら通行券を手渡しし、出口側なら運転者のETCカードをカードリーダで読み取る等して料金決済を行うことができる。
【0009】
また、ETC路側機と通信可能なETC車載器と、車両に関する情報が表示される表示装置とを備え、ETC車載器はETC路側機との交信をしたとき、車両がETCゲート付近にあるとの認識信号を表示装置に出力し、表示装置は、認識信号が入力されたとき、車速検知手段から入力される車速情報を予め設定された複数の段階の車速に応じた表示形態で表示する機能を有するように構成し、ETC車載器と表示装置を別体とすることもできる。この場合でも、前述したように、ETCゲートが開かない場合にのみ、表示を切り替えるように構成することができる。
【0010】
また、車速情報を複数の段階の車速に応じて色分けされた表示形態で表示させることもでき、表示形態に合わせて予め設定された異なる警報音を出力する警報手段を備えることもできる。これにより、運転者はさらに容易に車速を認識できる。色分けされた表示形態として、例えば前述した例を参照すると、車速が時速5km未満なら青色の「○」、時速5kmから時速20km未満なら橙色の「△」、時速20km以上なら赤色の「×」を表示する。また、警報音は、時計のアラームのような連続音を車速が上がるにつれて、音の間隔が短くなるように構成してもよいし、音声で警告をするように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ETCゲート付近で運転者が車速を容易に認識できるETC車載装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のETC車載装置の実施形態を説明する。以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例のETC車載装置2を構成するETC車載器4と表示装置6のブロック構成図である。図1に示すように、ETC車載器4は、ETC路側機8と無線通信可能なアンテナ10と、CPU12と、表示装置6と通信可能な通信部14と、ETCカードスロット16と、ETC無線部18と、無線制御部20とを備えている。ETCカードスロット16には、ETCカード22が挿入されるようになっている。
【0014】
本実施形態の特徴に係る表示装置6は、車両に関する情報が表示される表示手段24と、CPU26と、通信手段28と、警報手段30と、グラフィックドライバ32と、インターフェース34とを備えている。表示手段24は、例えば液晶ディスプレイで構成され、グラフィックドライバ32により駆動されるようになっている。CPU26は、表示装置6内の各手段を制御するとともに、各種信号の入出力を行う制御手段として構成されている。また、車速パルス等の車速情報は、車両に搭載された車速検知手段36からインターフェース34を介して入力されるようになっている。通信手段28は、図示しない通信ケーブルを介してETC車載器4の通信部14に接続されている。なお、表示装置6は、運転席のダッシュボード等に設置される。
【0015】
次に、このように構成される本実施例の動作について、図2,3を参照して説明する。図2は、車両がETCゲートに近付いたときに、表示手段24の表示を切り替える場合のフローチャートであり、図3は、表示手段24に表示される車速の表示形態の一例である。
【0016】
車両がETCゲート付近以外の場所にあるときは、表示手段24には、車間距離等の車両に関する情報が表示される(ステップ1)。車両がETCゲートに近付き、ETC車載器4のアンテナ10がETC路側機8からの信号を受信すると、その信号はETC無線部18、無線制御部20を介してCPU12に出力される。CPU12は、その信号を通信部14を介して、表示装置6の通信手段28に送信する。通信手段28は、その信号から車両がETCゲート付近にあると認識し、その認識信号をCPU26に出力する(ステップ2)。
【0017】
CPU26は、認識信号が入力されると、車速検知手段36から入力される車速情報をインターフェース34を介して取り込み、その車速情報を各段階の車速に応じた表示形態で、表示手段24に表示させるとともに、各段階の車速に応じて音が変わるブザーを警報手段30に出力させる。本実施形態では、時速5km未満、時速5km以上20km未満、時速20km以上、の3段階に分ける。車速が時速5km未満の場合、表示手段24に図3に示す図形40の表示形態を青色で表示し、警報手段30にブザー1を出力させる(ステップ3,4)。車速が時速5km以上20km未満の場合、表示手段24に図形40の表示形態を橙色で表示し、警報手段30にブザー2を出力させる(ステップ5,6)。車速が時速20km以上の場合、表示手段24に図形40の表示形態を赤色で表示し、警報手段30にブザー3を出力させる(ステップ7)。運転者は、表示装置6の表示及びブザーに基づいて、必要に応じてブレーキ操作を行う。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のETC車載装置2によれば、ETCゲート付近以外の場所では、表示手段24に車間距離等を表示させ、車両がETCゲートに近付いた際には車速に応じた表示形態を表示させるようにしたから、運転者は車速を認識しやすい表示形態や色又は音によって、運転中でも容易に車速を認識できる。その結果、安全運転を実施できるとともに、ETCゲートバーの損傷を回避できる。
【実施例2】
【0019】
実施例2について、図1,2,4を参照して説明する。実施例1との違いは、車両がETCゲートに近付き、ETC路側機8からETCゲート通行不可の信号を受信したときにのみ、表示手段24の表示を切り替えるという部分であり、図4は、その場合のフローチャートである。図4では、図2のフローチャートにステップA、Bが追加されている。
【0020】
ステップAで、CPU12がETC路側機8からの信号に応答して、ETCカードスロット16から取り込んだETCカード22の情報を、無線制御部20、ETC無線部18を介して、ETC路側機8に送信する。ETC路側機8は、所定の時間内にETCカード22の情報を正常に受信できた場合、ゲート通行可の信号をETC車載器4に送信するとともに、料金決済を行ってETCゲートを開ける。このとき、ETCカード22が未挿入の場合は、ETCカード22の情報がETC路側機8に送信されない。ETC路側機8は、所定の時間内に正常に受信できなかった場合、ETCゲート通行不可の信号をアンテナ10を介してETC車載器4に送信する。ETCゲート通行不可の信号は、ETC無線部18、無線制御部20を介してCPU12に出力され、CPU12は、その信号を通信部14を介して、表示装置6の通信手段28に送信する。
【0021】
ステップBで、通信手段28は、ETCゲート通行不可の信号を受信してCPU26に出力する。ステップ3以降については、前述の認識信号に替えてETCゲート通行不可の信号により表示を切り替えること以外は、実施例1と同様である。
【0022】
以上説明したように、実施例2のETC車載装置2によれば、通信手段28がETC路側機8と交信を行って、ETC路側機8がETCゲート通行不可の信号を通信手段28に送信したとき、通信手段28はその信号をCPU26に出力し、CPU26はその信号が入力されたときに、車速に応じて表示を切り替えるように構成したことから、運転者は車速及びETCゲートが開かないことを容易に認識できるので、前もって減速することでETCゲートバーに接触することなく停車することができる。
【0023】
以上、本実施形態のETC車載装置2について説明したが、本発明は、この実施形態に限らず適宜構成を変更して適用することができる。例えば、本実施形態では、ETC車載器4と表示装置6を別体としたが一体であってもよい。
【0024】
また、本実施形態では、表示形態に対応させて音を出す構成としたが、音のみを出す構成としてもよい。表示装置6に替えて、車両に搭載されたナビゲーションシステム及び車両用メーターに表示させてもよい。
【0025】
さらに、本実施形態では、車両がETCゲート付近以外の場所にある場合と、ETCゲート付近にある場合とで表示を切り替えたが、表示を切り替えずに同時に複数の表示を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ETC車載装置を構成する表示装置とETC車載器のブロック構成図である。
図2】車両がETCゲートに近付いたときに、表示手段の表示を切り替える場合のフローチャートである。
図3】表示手段に表示される車速の表示形態の一例である。
図4】車両がETCゲートに近付き、ETC路側機からETCゲート通行不可の信号を受信したときにのみ、表示手段の表示を切り替える場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
2 ETC車載装置
4 ETC車載器
6 表示装置
8 ETC路側機
24 表示手段
26 CPU
28 通信手段
30 警報手段
図1
図2
図3
図4