特許第5785382号(P5785382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5785382舗装を敷設する方法、スクリード、及び道路舗装車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785382
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】舗装を敷設する方法、スクリード、及び道路舗装車
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/00 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   E01C19/00
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-254617(P2010-254617)
(22)【出願日】2010年11月15日
(65)【公開番号】特開2011-106261(P2011-106261A)
(43)【公開日】2011年6月2日
【審査請求日】2013年7月30日
(31)【優先権主張番号】09014516.0
(32)【優先日】2009年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10002895.0
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】ギンテル ゼゴヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】アヒム エウル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヴァイザー
(72)【発明者】
【氏名】ローマン ミュンツ
(72)【発明者】
【氏名】ニコール アンガーマン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ベルツ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン バヴリク
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−129413(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150927(JP,U)
【文献】 特開2002−021016(JP,A)
【文献】 特開2008−106514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路舗装車のスクリードを使用して舗装材でできている舗装を床に敷設する方法であって、前記スクリードの締め固めユニットは少なくとも1つのタンパーを備え前記タンパーは、舗装厚さの選択できる前記舗装を選択可能な前記道路舗装車の舗装速度で敷設しながら、選択可能なタンパ―ストロークと選択可能なタンパ―周波数とを備える前記タンパーのタンパ―バーの実質的に垂直方向の作業サイクルで前記舗装材を事前締め固めし、前記タンパ―バーは前記スクリード内で回転する偏心軸とコネクティングロッドとにより駆動され、前記タンパーストロークが前記タンパー内で調整機構を用いる制御システムによって、且つ、前記制御システムへ検知され入力されたあるいは受け取られた、前記道路舗装車の舗装速度と前記舗装厚さを含む少なくとも1つの舗装パラメータに応じて遠隔的にかつ自動的に調整されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記タンパーストロークが、前記制御システムに保存あるいは入力された特性曲線又は特性マップに従って調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパーストロークの調整を生じさせる少なくとも1つの舗装パラメータとして、前記スクリードの前記路床に対する設定角度と前記舗装材の密度と強度と温度のうちの少なくとも1つが舗装中に検知され、目標値と比較されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タンパーストロークは、目標の締め固めの程度と、前記舗装速度や前記舗装厚さなどの少なくとも一つの舗装パラメータとが制御変数として入力される前記制御システムによって調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパーストロークは連続的又は段階的に、前記偏心軸と偏心ブッシュとの間に配置されている前記調整機構により、油圧的と電気的と機械的のいずれかによって調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
道路舗装車のスクリードであって、前記スクリードの締め固めユニットとしてタンパ―バーを有する少なくとも1つのタンパ―と少なくとも1つのコネクティングロッドと回転駆動可能な偏心軸とを前記スクリード内に備え、前記タンパーバーは、舗装材から前記スクリードにより敷設される舗装の事前締め固めのために選択可能なタンパーストロークと選択可能なタンパ―周波数とを備える実質的に垂直方向の作業サイクルで駆動可能であって、前記タンパ―は調整機構を有し、前記調整機構を、舗装作業中に前記タンパーストロークを遠隔制御により自動的に調整するために油圧的と電気的と機械的のいずれかにより操作可能であることを特徴とする、スクリード
【請求項7】
舗装速度と舗装厚さの少なくとも1つと、前記タンパーによって前記舗装で実現可能な目標の締め固めの程度を含む舗装パラメータとが入力可能、又は保存可能で、前記タンパーの前記調整機構と連動している、自動化されていてコンピュータ化されている制御システムが設けられていることを特徴とする、請求項に記載のスクリード
【請求項8】
前記制御システムは前記舗装パラメータに応じて前記タンパーストロークを自動的に調整するために前記舗装パラメータに依存している少なくとも1つの特性曲線を有することを特徴とする、請求項6に記載のスクリード
【請求項9】
前記制御システムは前記舗装パラメータに応じて前記タンパーストロークを自動的に調整するために前記舗装パラメータに依存している特性マップを有していることを特徴とする、請求項6に記載のスクリード。
【請求項10】
前記調整機構は、前記スクリード内の回転駆動可能な偏心軸と実質的に垂直方向の作業サイクルで前記タンパーバーを駆動するコネクティングロッド内の偏心ブッシュとの間に、前記偏心ブッシュが前記偏心軸上で回転可能あるいは回転不能とされ、前記タンパ―バーを駆動するコネクティングロッドに回転可能に支持されており、前記タンパーストロークを前記偏心ブッシュと前記偏心軸と間の相対的な回転調整によって調整できるように配置されていることを特徴とする、請求項6から請求項の少なくとも1項に記載のスクリード。
【請求項11】
前記調整機構は前記スクリード内の回転駆動可能な前記偏心軸と、前記偏心軸上に回転しないように配置されており、前記偏心軸の軸線を横切る方向に前記偏心軸上で変位可能であって、前記タンパーバーを駆動する前記コネクティングロッドにより回転可能に支持された偏心ブッシュとの間に、前記調整機構により、前記偏心軸に対する前記偏心ブッシュの横断方向の変位によって、前記タンパーストロークが調整可能なように配置されていることを特徴とする、請求項6から請求項の少なくとも1項に記載のスクリード。
【請求項12】
前記調整機構は前記スクリード内で回転駆動される偏心軸を支持している軸受ブロックと、タンパーバーを駆動しているコネクティングロッドに関節状に接続され前記軸受ブロック内で調整可能な調整レバーと、の間に配置されており、前記調整レバーと前記偏心軸によって駆動可能なプッシュロッドとの双方が前記コネクティングロッドに関節軸で結合されていることを特徴とする、請求項6から請求項9の少なくとも1項に記載のスクリード。
【請求項13】
前記偏心軸において、前記調整機構で調整可能な駆動部が回転しないように支持されており、前記偏心軸上で回転可能に支持されている前記偏心ブッシュのねじ状の案内経路内に前記駆動部が係合していることを特徴とする、請求項1に記載のスクリード。
【請求項14】
更なる調整機構が回転しないように前記偏心軸に、かつ、前記調整機構により軸方向に移動可能に配置されており、前記更なる調整機構は前記偏心軸上で回転可能に支持されている前記偏心ブッシュと連動している回転式の段階切り換え機構を有していることを特徴とする、請求項10に記載のスクリード。
【請求項15】
前記偏心軸と前記偏心軸上に回転可能に配置されている前記偏心ブッシュとは、前記偏心ブッシュを前記偏心軸に回転しないように結合するクランプ機構をその間に有しており、前記クランプ機構は前記スクリード内で支持されている油圧的な軸線方向の解除機構によって解除位置に一時的に移動可能で、前記解除位置では、前記偏心軸と前記偏心ブッシュとの間の結合は解除されており、前記偏心軸と前記偏心ブッシュとは互いに回転可能なことを特徴とする、請求項10に記載のスクリード。
【請求項16】
前記偏心軸と前記偏心軸に回転しないように結合されている前記横断方向に調整可能な偏心ブッシュとは間に前記偏心軸内で軸線方向に変位可能に案内されており、各々が傾斜した案内表面を備える少なくとも1つの制御ロッドによって前記偏心軸に対して横断方向に調整可能な複数の案内ブロックを備え、前記傾斜した案内表面は軸線方向に移動可能に前記偏心ブッシュ内の又は前記制御ロッド上のいずれかで傾斜しているランプに当接していることを特徴とする、請求項11に記載のスクリード。
【請求項17】
前記軸受ブロックは直線状又は円弧状の案内経路を有しており、前記案内経路は前記調整機構により前記案内経路に沿って移動可能な調整レバーのピボット支え部と係合しており、前記偏心軸を横切る方向に向いている前記案内経路の延びている方向は、前記偏心軸の軸線にほぼ向いており、前記案内経路は、前記タンパーバーの前記作業サイクルの下死点が、前記軸受ブロックを支持している前記スクリードのフレームに取り付けられているソールプレートに対する前記案内経路に沿った前記調整レバーの前記ピボット支え部の前記調整とは関係なく同一であるように、前記偏心軸の軸線と前記コネクティングロッド上の前記関節軸に対して配置されていることを特徴とする、請求項1記載のスクリード。
【請求項18】
実質的に垂直方向の作業サイクルで選択可能なタンパ―ストロークと選択可能なタンパ―周波数とで操作可能な少なくとも1つのタンパーを備えた締め固めユニットを有するスクリードと、コンピュータ化されている制御システムとを備え、前記スクリードはトラクションバーに取り付けられており、前記トラクションバーは関節点において道路舗装車に関節状に接続されており、前記関節点が前記道路舗装車のレベリングシリンダを使用して垂直方向に調整可能とされ、前記タンパーが前記スクリード内の回転駆動可能な偏心軸とタンパーバーと、前記偏心と前記タンパーバー間の少なくとも1つのコネクティングロッドとを備え、前記制御システムによって生成され、前記タンパーの調整機構によって実行される制御変数により、少なくとも1つの舗装パラメータに応じて前記タンパーストロークを自動的に調整することを特徴とする、道路舗装車
【請求項19】
前記道路舗装車の舗装方向又は前記舗装方向の横断方向に分散している複数のセンサが、前記スクリードの路床に対する設定角度を含む実際の舗装パラメータを検知するように前記道路舗装車と前記スクリードと前記バーのいずれかに設けられており、前記制御システムに結合されていることを特徴とする、請求項18に記載の道路舗装車
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文部分に記載の方法、請求項9の前文部分に記載のスクリード、及び請求項24の前文部分に記載の道路舗装車に関する。
【0002】
アスファルト又はコンクリートタイプの舗装材が道路舗装車を使用して敷設される場合、浮動状態で牽引されるスクリードは舗装幅全体にわたって舗装材をできるだけ均等に締め固めして、連続している、つまり繋がっている平坦な構造を生成しなければならない。締め固めユニット、例えば、いわゆるタンパーあるいはタンパーと遠心振動器とは、異なるあるいは変化している舗装厚さが最終的な締め固めに重大な影響のないように舗装厚さにわたってできるだけ精度良く、均等で、一定の事前締め固めを生成しなければならない。タンパーのストローク(タンパーストローク)タンパーの周波数(タンパー周波数)とがスクリードの事前締め固めと浮動動作とに影響する。ストロークが大きくなるほど、事前締め固めの程度が高く、事前締め固め深さが大きくなる。周波数は、無段階に個別に調整することができる。欧州特許出願公開第0493644号明細書は、例えばタンパー周波数を舗装速度に応じて調整することを開示している。さらに、スクリードができるだけ小さい正の設定角度で舗装を実施できるように、タンパーのストローク(タンパーストロークが舗装深さに適合している場合は便利である。舗装深さに対するストロークが大きすぎる場合、スクリードの設定角度が負になり、開いて割れた表面構造を生んだり、又はスクリードの高さ調整が制御できなくなったりして、それが不揃いにつながる可能性がある。舗装厚さは、例えば道路舗装車のスクリードの牽引点の高さ方向の位置の設定によって予め定められている。同様に、周波数と舗装速度とは互いに調和していなければならない。これまでは、スクリードができるだけ小さい正の設定角度で舗装動作を実施するようにマッチング動作は個別に選択されてきた。他方、舗装速度は、表面上の締め固めユニットの行動を決めている。舗装速度は、搬送車両ができるだけ一定の材料の供給を保証するように選択されなければならない。舗装速度は事前締め固めに大きく影響するため、高度な均一性が保証されるように、スクリードが小さい正の設定角度で舗装動作を実施することが保証されなければならない、つまり、使用される舗装速度が高度の事前締め固めを可能にしなければならない。従来は、ストローク(タンパーストローク)が手動で数段階に設定されており、舗装作業は段階毎に中断していた。しかし、ストロークの各段階が1つの舗装厚さだけにしか適合していないため、ストロークの各段階は妥協を必要とした。例えば、設定された舗装厚さでのストロークの増加によって、大量の舗装材用がタンパーバーによって事前締め固めされる。事前締め固めは、周波数の増加によっても増加する。特定の場合では、より程度の高い事前締め固めと均一性とを達成するため、タンパーはスクリード内の追加の偏心振動装置と連動させることができる。
【0003】
ヨゼフ フェゲーレ アーゲー社(独国マンハイム(Mannheim)68146)の1997年の技術文献“Fur jede Aufgabe die richtige Einbaubohle”No.2400/10/2から始めると、タンパーを有する締め固めユニットのストロークは、タンパーバーを駆動しているコネクティングロッド内で回転可能な偏心ブッシュを、駆動偏心軸の偏心部分に対して回転させることで、手動で調整されることが知られている。偏心ブッシュは、偏心軸の偏心部分にクランプされており、それによって偏心部分に回転しないように結合されており、偏心部分に対してクランプねじが解放された後に回転可能になり、また再び固定することができる。偏心軸は、速度が例えば無段階に調整可能な油圧モータによって駆動される。舗装作業の前に、特定の舗装厚さが設定されると、それからストロークがこの舗装厚さに対して調整される。舗装厚さが変更されると、舗装作業を中断しなければならず、ストロークを新しい舗装厚さに適合させなければならない。舗装厚さは、外部の影響によって舗装作業中にも変化することがあるので、設定されているストロークは舗装厚さに適合しないことが多く、事前締め固めが変動し、スクリードの設定角度が変化することがあり、その結果、舗装の均一性と表面の品質が悪化することになる。調整作業は、例えば基本スクリードだけでも8つのコネクティングロッドが設けられており、作業幅にわたって均等な事前締め固め作業が実施されるように、調整作業は非常に注意深く実施しなければならないため、時間がかかり、面倒である。
【0004】
独国特許出願公開第19836269号明細書は、スクリードの設定角度に応じてタンパーの周波数を変更し、スクリードの設定角度は少なくとも1つのセンサによって連続的に検知される方法を開示している。周波数は自動的に調整されるが、他の機械のパラメータはオペレータによってそれぞれの舗装パラメータに応じて設定される。
【0005】
独国特許出願公開第4040029号明細書は、舗装中に、タンパーの周波数が実際の舗装速度によって変更される方法を開示している。他の機械のパラメータは追加の手段としてオペレータによって設定される。例えば、タンパーのストロークは、舗装前又は舗装作業の中断中に手動で調整されなければならない。これは、オペレータに対する相当な作業負荷となり、高い専門性を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、敷設された舗装の均等で高品質な、例えば作業の移動方向に厚さが均等な舗装の敷設と、作業の移動方向とそれに対する横断方向との両方に均等な締め固めとを実現する前述の方法だけでなく、スクリードと道路舗装車を示すことである。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴部分、請求項9の特徴部分、及び請求項24の特徴部分によって達成される。
【0008】
少なくとも締め固めユニットのストロークが舗装速度及び/又は舗装厚さなどの少なくとも1つの舗装パラメータに応じて自動的に調整されるので、ストロークとそれぞれの舗装パラメータとは互いに最適な関係になり、舗装パラメータの変動に関わらず大部分が所定の事前締め固めとなるだけでなく、連続して平坦な舗装の表面と敷設された舗装の常に高度な品質とを保証するスクリードの最適な小さい正の設定角度が維持される。調整は、全てのコネクティングロッドについて快適にも同時に実施することができる。
【0009】
スクリードにおいて、舗装作業中でも操作可能であることが好ましい調整機構によって、例えば、舗装作業中に外部影響による又は意図した舗装速度及び/又は舗装厚さの変更が生じた場合に、その変更の前又は間に、実質的に最適な方法で、舗装速度及び/又は舗装厚さに適合するように、締め固めユニットのストロークを調整することが可能となり、それによって、事前締め固めが最適で一定になり、敷設された舗装が高品質になる。敷設作業中に、全てのコネクティングロッドでストロークが便利にも調整可能な場合、どのようなストロークの調整でも舗装作業を中断する必要が無く、要員への作業負荷が軽減される。代替案として、道路舗装車の運転手又はスクリードのオペレータが必要に応じて調整を実施することができる。しかし、調整作業は舗装速度及び又は舗装厚さなどの舗装パラメータに応じて自動的に実施されるのが特に便利である。
【0010】
本方法を実施するために使用され、このスクリードを装備している道路舗装車は、制御システムとシステムによって生成されアクチュエータによって実行されている制御変数とのおかげで、均等で高品質に敷設された舗装を達成することが可能で、自動シーケンスにおいて、舗装の移動方向(進行方向)に均等な舗装厚さと、舗装移動方向とその横断方向とにおいて均等な締め固めとがオペレータに複雑な操作を実施させたりパラメータを選択させたりすることなく制御できる。その理由は、タンパーのストローク及び/又は周波数を設定する少なくともアクチュエータによって実行される制御変数が、関連するパラメータ又は機械のパラメータ又は舗装パラメータに応じて自動的にそしてプロセス主体の方法で生成されるからである。
【0011】
ここで、締め固めユニットは少なくとも1つのタンパーを有しており、各々が、スクリードの各部に、つまり基本スクリード、各伸縮スクリード、そして必要な場合は伸縮スクリードに取り付けられているスクリード拡大部材に、複数のコネクティングロッドを備えている。なおより良い事前締め固めを実現するために、各タンパーは、スクリードのスクリードプレート又はソールプレート上で、実質的に垂直方向に作用する偏心振動で作動する偏心振動器と組み合わせることができる。振動周波数は、例えば、公知のように、特定の範囲で動力制御弁を介して調整可能であり、本方法に従って少なくとも1つの舗装パラメータに応じて自動的に共に調整可能である。スクリードが、高周波油圧圧力パルスで動作する高締め固め装置も有する場合(前述の技術情報“Fur jede Aufgabe die richtige Einbaubohle”の8ページを参照)、その周波数と押圧力とは調整可能であり、例えば、舗装速度が変化する及び/又は舗装厚さが非常に不規則な場合に、敷設された舗装を所定の高い仕上がり品質とすることができるように、締め固め装置の調整は舗装パラメータに応じて調整することができる。
【0012】
特に、敷設された舗装の舗装厚さに顕著な変化を発生させず、表面を平坦つまり均一にするという目的に対し、本方法の好適な変形例として、少なくとも検出された又は入力されたパラメータに応じてストロークだけでなく、周波数及び/又はスクリードの設定角度も自動的に調整されることが有利である。設定角度は、舗装車のレベリングシリンダによって調整されるが、タンパーの周波数は、必要に応じて例えばタンパーの回転駆動の速度によって調整される。
【0013】
オペレータの作業負荷を相当に減少させるためには、スクリードの設定角度及び/また舗装材の密度及び/又は強度及び/又は温度のいずれかが、少なくともタンパーのストロークの調整に使用できる舗装パラメータとして、好ましくは少なくとも1つのセンサを使って本発明によって適切に検知され、少なくともストロークの調整が実施される前に目標値と比較されることが好ましい。設定角度は、例えばタンパーのストロークに実質的に依存している最適な締め固めの非常に重要な指標である。
【0014】
本発明の好適な変形例として、ストロークに加えて、締め固めユニットの周波数を自動的に、好ましくは少なくとも1つの舗装パラメータに依存する特性曲線又は特性マップに従って調整することができる。自動的な周波数の調整には、偏心バイブレータが含まれていてもよい。これは、ストロークと周波数の両方が各々舗装パラメータに最適に関連付けられることを保証する。
【0015】
本方法の好適な変形例において、タンパーの周波数は、特性曲線又は特性マップに従って、例えば、それぞれ調整されたストロークに直接応じて調整される。しかし、特性曲線又は特性マップは、ストロークと周波数との間の所定の比例関係に基づいていてもよく、この比例関係は、例えば舗装速度、スクリードの設定角度、舗装材の密度、温度、又は強度などの少なくとも1つの舗装パラメータ又は少なくとも1つの舗装パラメータの所定の変化に応じて選択されることが好ましい。
【0016】
締め固めユニットが少なくとも1つのコネクティングロッドと、偏心ブッシュと、被駆動偏心軸によって実質的に垂直方向の作業サイクルで駆動可能なタンパーバーを備えるタンパーを有している本方法の好適な変形例において、偏心ブッシュと偏心軸とは、例えば舗装作業中も、各々に対して回転し、偏心ブッシュと偏心軸との間の相対的な回転位置に起因するタンパーバーのストロークが特性曲線に沿って又は特性マップ内で調整される。特性曲線又は特性マップは予め定められている。特性曲線又は特性マップは舗装における事前締め固めが舗装厚さ及び/又は舗装速度に無関係に少なくとも実質的に一定に維持されるように選択することができる。
【0017】
さらに、本方法によれば、所定の事前締め固めの程度が設定されており、制御変数として少なくとも舗装速度及び/又は舗装厚さなどの舗装パラメータが入力又は供給されている制御システムによって、少なくともストロークを調整することができる。本方法の簡単な変形例において調整は手動で個別に実施することもできるが、エンジンのドライバ、又はスクリードのオペレータは、舗装作業中は一切の調整を気にする必要がない。このため、オペレータは締め固めユニットを操作する必要はなく、オペレータは例えばストロークに対して、快適に制御システム上で、又は制御パネルで、それぞれの制御変数を設定し、この制御変数は該当する方法でアクチュエータによって実行される。
【0018】
この場合、タンパーバーのストロークは、連続してあるいは最適と分かっている所定の複数の段階で、偏心軸と偏心ブッシュとの間に配置されている調整機構によって油圧的及び/又は電気的及び/又は機械的に適宜調整される。
【0019】
スクリードにおいて、油圧的及び/又は電気的及び/又は機械的に動作可能で、進行中の舗装作業中にでも場合によっては、ストロークを手動の介入を必要とせずにいつでも調整できるようにする調整機構が設けられているのが便利である。
【0020】
この目的で、調整機構と連動しており、少なくとも舗装速度及び/又は舗装厚さなどの舗装パラメータが入力されているか又は少なくとも与えられており、例えば締め固めユニットによって生成される事前締め固めの程度が調整可能な、自動の、好ましくはコンピュータ化されている制御システムがスクリード又は道路舗装車のいずれかに設けられていてもよい。それから、制御システムはストロークを自動的に舗装作業中に少なくとも1つの舗装パラメータの進行する変化に自動的に適合させることになる。
【0021】
この目的で、制御システムは、締め固めユニットの作業サイクルのストローク又はストロークと周波数とを自動的に調整するために舗装パラメータに依存している少なくとも1つの特性曲線又は特性マップを有していなければならない。
【0022】
スクリードの好適な実施態様において、調整機構がスクリード内の回転駆動可能な偏心軸と実質的に垂直方向の作業サイクルでタンパーバーを駆動しているコネクティングロッド内で偏心軸上を回転可能な偏心ブッシュとの間に設けられている。したがって、タンパーバーのストロークは偏心ブッシュと偏心軸との間の相対的な回転調整によって調整可能である。偏心軸上での偏心ブッシュの相対的な回転位置に依存して、作業サイクルのストロークの半分が偏心軸の偏心部分の偏心と偏心ブッシュの偏心の最大値までの部分との合計に起因している。
【0023】
スクリードの他の好適な実施態様において、偏心軸に対する偏心ブッシュの横断方向の変位によってストロークが調整可能なように、調整機構はスクリードの回転駆動可能な偏心軸と、偏心軸上で回転できないように配置されているが、偏心軸の軸線を横切る方向に移動可能で、タンパーバーを駆動しているコネクティングロッドに回転可能に支持されている偏心ブッシュとの間に配置されている。動作する偏心ブッシュの偏心の程度は、偏心ブッシュの偏心軸に対する横断方向の変位の程度に依存する。偏心ブッシュは偏心効果を有しているが、円形の円筒状構成も有していてもよい。
【0024】
スクリードのさらなる好適な実施態様において、調整機構は回転駆動可能な偏心軸を支持している軸受ブロックと、タンパーバーを駆動しているコネクティングロッドに関節状に接続されており、軸受ブロック内で調整可能(トグル原理)な調整レバーとの間に配置されており、軸受ブロック内の調整レバーの調整が、偏心軸の回転によってプッシュロッドを介して生成されるタンパーバーの有効なストロークを変化させるように、調整レバーと偏心軸によって駆動可能なプッシュロッドとがコネクティングロッドによって関節接合軸で結合されている。
【0025】
偏心軸に対して回転可能な偏心ブッシュを備える実施態様において、軸線方向に調整可能な駆動部が、偏心軸で回転しないように支持されており、偏心軸上で回転可能に支持されている偏心ブッシュのねじ状の案内経路に係合している。駆動部が好ましくは電気的及び/又は油圧的に及び/又は機械的に偏心軸の軸線方向に調整されたときに、偏心ブッシュはねじ状の案合経路によって回転し、再びそれぞれの選択された設定で回転は固定される。
【0026】
さらなる代替の実施態様において、軸線方向に移動可能な調整機構が回転しないように偏心軸に配置されており、偏心軸に対して段階的に偏心ブッシュを回転させ、それを選択された回転位置で偏心軸に回転しないように結合させるように、回転可能に支持されている偏心軸と連動している回転式の段階切り換え機構を周期的に操作する。
【0027】
さらなる代替の実施態様において、クランプ機構が偏心軸と偏心ブッシュとの間に設けられていてもよく、クランプ機構は偏心ブッシュを偏心軸にプレス嵌め及び/又は摩擦嵌め及び/又は形状嵌めの形態で結合させており、スクリード上で支持されている軸線方向の解除機構によって解除位置に一時的に移動可能であって、その解除位置では、偏心軸と偏心ブッシュとの間の結合は結合解除され、2つの構成要素は互いに回転可能又は自動的に回転する。
【0028】
偏心ブッシュが偏心軸の軸線を横切る方向に変位可能なさらなる好適な実施態様では、偏心軸と偏心軸に回転しないように結合されている偏心ブッシュとはそれらの間に、偏心軸で軸線方向に変位可能で、偏心ブッシュを支持しており、傾斜している案内表面を備える少なくとも1つの制御ロッドによって偏心軸を横切る方向に調整可能な少なくとも1つの案内ブロックを有している。案内ブロックは、偏心ブッシュを調整してその偏心の有効部分を変更するように、傾斜している案内表面によって偏心軸の軸線を横切る方向に変位する。偏心ブッシュは偏心している必要はなく、円筒状であってもよい。
【0029】
案内ブロック、特に2つの正反対を向いている案内ブロックの傾斜している案内表面が傾斜しているランプに軸線方向に変位可能なように偏心ブッシュ内で又は制御ロッド上でのいずれかで当接する場合が好適である。
【0030】
タンパーバーがトグル機構を通して駆動されている好適な実施態様において、軸受ブロックは、案内経路に沿って調整機構により変位可能であって選択された調整位置で固定されている調整レバーのピボット当接によって係合される直線状の又は円弧状の案内経路を有しており、案内経路の延長方向は偏心軸の軸線にほぼ向かうように向けられている。調整レバーのピボット当接の調整によって、偏心軸上で検知されるタンパーバーのストロークが変化する。この例では、案内経路が、偏心軸に起因し、コネクティングロッドに接続されているタンパーバーに関連している作業サイクルの下死点が、案内経路に沿っている調整レバーのピボット当接の調整位置には関係なく静止している(上下しない)ように、好ましくは、又は例えば、軸受ブロックを支持しているスクリードのフレームに取り付けられているソールプレートに対して静止しているように、偏心軸の軸線とコネクティングロッド上の関節軸線とに対してコネクティングロッド上に配置されていることが便利である。これは、作業サイクルの上死点だけが上向きに方向に調整され、下死点の位置はストロークの調整中はソールプレートに対して変化しないことを意味している。
【0031】
道路舗装車の好適な実施態様において、舗装パラメータ又は舗装パラメータの変化を検知し、それらを制御システムに送信したり入力したりできるようにするために、少なくとも1つのセンサ、好ましくは舗装進行方向又はそれを横断する方向に分散している複数のセンサが実際の舗装パラメータを検出するように道路舗装車自体及び/又はスクリード及び/又はバーに設けられており、センサは制御システムに結合されているか、結合されるようになっている。少なくともスクリードの設定角度又はその変化などの少なくとも関連する舗装パラメータがセンサを通して検出可能で、制御システムに送信可能であるため、オペレータの作業負荷は減少し、敷設される舗装の均等な高品質が達成される。
【0032】
さらなる好適な実施態様において、オペレータが必要に応じて追加の情報を制御システムに入力するために使用可能な入力部分及び表示部分が、道路舗装車及び/又はスクリード上の制御システム又は制御システムに結合されている機械コントローラ上に設けられていて、少なくともストローク及び/又は周波数あるいはスクリードの設定角度に対して追加で又は代替となる大きさ、値、又はパラメータを設定できる。
【0033】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】舗装を敷設中のスクリードを備える道路舗装車の模式的側面図である。
図2】2つの特性曲線つまり特性マップを示している図である。
図3】締め固めユニットを備えるスクリードの一部を示している斜視図である。
図4】ストローク調整装置の実施形態を示している透視断面図である。
図5】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示している一部断面の斜視図である。
図6】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示す長さ方向の断面図である。
図7】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示す長さ方向の断面図である。
図8】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示している断面斜視図である。
図9】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示している断面斜視図である。
図10】ストローク調整装置のさらなる実施形態を示している斜視図である。
【0035】
アスファルト又はコンクリートのような舗装材5の舗装6を路床7に敷設する図1の道路舗装車1は、シャシ2上に舗装材ホッパ4を備えており、運転者キャビン内に例えば制御システム25などのコントローラの制御パネルPを備える。代わりに、制御システム25は、道路舗装車1又は道路舗装車に牽引されているスクリード3の他の場所に配置することができる、言い換えれば、コントローラ又は制御パネルP又はスクリード3上の外部制御パネルP’に連動していてもよい。
【0036】
スクリード3は、その両側を道路舗装車1の関節点9に接続されているトラクションバー8に固定されている。関節点9は、敷設される舗装6の舗装厚さSを調整するために、例えばレベリングシリンダなどの調整装置10によって上下に移動可能である。スクリード3は、例えば、少なくとも1つのタンパー14とタンパーバーとを有している締め固めユニット13を備えている基本スクリード11と、基本スクリード上で移動可能であって少なくとも1つのタンパー14とタンパーバーとを有している締め固めユニット13を備えている伸縮スクリード12と、舗装材4に作用するソールプレート18とを有しており、スクリード3は路床7に平行な平面に対して小さい正の設定角度αを持って浮動状態で動作する。タンパーバー14は、事前締め固めのため作業サイクルで周期的に駆動可能であって、ストロークHを周波数Fで実施する。道路舗装車1は、舗装速度Vで舗装作業中路床7を走行する。
【0037】
必要な場合、スクリード3(基本スクリード11及び各伸縮スクリード12)はソールプレート18に垂直方向の脈動を作用させる少なくとも1つの偏心バイブレータ(不図示)と、任意ではあるが、作業走行方向の後ろ側に高性能締め固め装置(不図示)の少なくとも1つの圧縮バーとをさらに有している。偏心バイブレータと高性能締め固め装置とはスクリード3の選択オプションであるが、タンパー14は基本装置に属する。
【0038】
舗装速度Vと舗装厚さSとは、舗装作業中に変化する又は任意に変化させることができる舗装パラメータである。タンパー14は、路床7上に緩く注がれている舗装材5に事前締め固めを実現しなければならず、事前締め固めは、変化する舗装パラメータに関係なく少なくとも概ね一定になっていなければならない。さらに、事前締め固めに関係する可能性のある舗装パラメータは、舗装材5の種類と粘稠度、その温度、周辺状態、スクリード3の構成などである。
【0039】
本発明によれば、事前締め固めは、舗装作業中に変化する舗装パラメータと関係なく実質上一定に維持され、タンパー14の作業サイクルの少なくともストロークHが、また好適には周波数Fも、少なくとも1つの舗装パラメータに応じて、あるいは任意ではあるが少なくとも1つの舗装パラメータを制御変数として受け取る又は検知し、所望の事前締め固めの程度が設定点又は目標値として設定されていることが好ましい制御システム25によって自動的に、調整される。制御システム25は、特性曲線及び/又は特性マップを使用して動作させることができる。各特性曲線又は特性マップは予め定められ、保存されている。好適には、制御システム25が自動的な制御装置であって、コンピュータ化されている。
【0040】
図2は、舗装厚さS(又は舗装速度V)に対するストロークH(又は周波数F)の図を示している。連続している特性曲線Hは、ストロークHが増加する舗装厚さSに対して(又は増加する舗装速度Vに対して)どのように連続して増加するのかを示している。破線は、従来技術として知られている手段、つまり舗装作業が中断されるいくつかの段階毎にストロークHを変化させる手段を大まかに示しており、斜めにハッチングされている領域XとYとは、階段状の形で変化するストロークHつまり事前締め固めが、舗装厚さS又は舗装速度Vに生じる変化のかなりな部分にわたってマッチングしていないことを示している。
【0041】
連続している特性曲線Fも、舗装厚さS又は舗装速度Vの増加に対する周波数の起こり得る変化を示している。特性曲線H、Fは制御システム25によって舗装作業中に実行される特性マップに保存することができる。敷設される舗装6の高く一定な最終品質に対して、舗装厚さ及び/又は舗装速度と少なくともストロークHとの間に最適な比が常に存在し、好適には周波数Fにも最適なものが存在することを考えて、特性曲線F、H又は特性マップは、予め定められている。ストロークHと任意には周波数Fも、舗装厚さS及び/又は舗装速度Vなどの少なくとも1つの舗装パラメータの変化を検知しながら、舗装作業中でさえも、自動的に又はオペレータが制御することによって調整されることが便利である。
【0042】
図3は、タンパー14を備えるスクリード3の内部を示している。タンパーバー14は、スクリード3の前側でカバー19(引き込みスナウト)によって保護されており、カバー19とソールプレート18の前方縁との間で実質的に垂直方向に移動可能に案内されている。ソールプレート18を底部で支持しているスクリード3のフレーム17上に、例えば各作業サイクルの下死点でタンパーバー14がソールプレート18に対して特定の相対位置になるように、調整ねじ20によって相対的な高さ方向の位置を調整できる軸受ブロック16が取り付けられている。軸受ブロック16(複数の軸受ブロック16がフレーム17の長さに方向に取り付けられていてもよい)において、偏心軸15が回転可能に支持されており、それぞれ特定の偏心度を備える偏心部分22を有している。偏心部分22は、偏心軸15をタンパーバー14に接続しているコネクティングロッド21内に配置されている。偏心軸15の偏心部分22上では、偏心ブッシュ23が、例えば図示の実施形態では、フレーム17上に支持されている調整機構24によって偏心部分22に回転しないように結合されており、コネクティングロッド21内で回転可能に支持されている。調整機構24の助けによって、偏心ブッシュ23は偏心軸15の偏心部分22に対し回転できるようになり、調整されたそれぞれの回転位置で偏心軸15に対し再び動かないように結合させることができる。偏心ブッシュ23の偏心部分22に対する相対的な回転によって、コネクティングロッド21からタンパーバー14に伝達されるストロークの調整が行われる。調整機構24に接続されている制御システム25によって、言い換えると特定の舗装パラメータの変化に応じて、好ましくは自動的に、ストロークを調整することができる。代わりに、調整機構24は、必要に応じてオペレータによって制御、つまり作動させることもできる。
【0043】
図3の調整機構24の図は模式的であるが、これは、調整機構24はもちろんストローク調整装置として、偏心軸15の回転方向によって、偏心軸15によって偏心ブッシュ23に間接的に作用しなければならないからである。これは、さらなる実施形態を参照して詳細に説明する。
【0044】
図4に示されている調整機構24において、偏心ブッシュ23は偏心軸15の偏心部分22上に回転可能に着座している。偏心軸は、たとえば内部制御ロッド27が偏心軸15の外側に位置している調整駆動部26まで延びるように中空である。制御ロッド27は、偏心軸15内の溝29内で軸線方向に調整可能であるが、偏心軸に対して回転しないように取り付けられており、溝29から外側に突き出している延長部分30によって、ブッシュ23のねじ状の案内経路31に係合している駆動部28と結合されている。
【0045】
偏心部分22は、偏心軸15の回転軸線に対して第1の偏心を示しているが、外周は円筒状である。偏心ブッシュ23の円筒状の外周は、円筒状の内周に対して偏心している。偏心ブッシュ23の円筒状の外周はコネクティングロッド21内を回転可能であって、タンパーバー14は固定した垂直方向の面内を移動可能であるため、第1と第2の偏心に起因する偏心の程度は、偏心ブッシュ23と偏心部分22との間に設定される相対的な回転位置に依存している。有効な偏心の程度が、作業サイクルのストロークHの半分を定める。そのため、駆動部28が偏心軸15の軸線に沿って移動すると、ストロークHは最小と最大との間で連続して可変に調整可能である。偏心ブッシュ23は偏心軸15に回転しないように常に結合されたままである。駆動部28の調整された軸線方向の位置は、例えば、調整駆動部26によって保持される。
【0046】
偏心軸15は例えば図4の左側の端部で軸受ブロック(ここでは不図示)内で回転可能に支持されており、図4の右側の端部から油圧モータ(不図示)によって駆動されている。したがって、調整駆動部26は、スクリード内又はフレーム17上に図4の左側の端部の前に配置することができる。
【0047】
図5は、主に、調整駆動部26が偏心軸15の外側から制御ロッド27によって動作するように、調整機構24が偏心軸15の外向きに開いた溝29内を軸線方向に変位可能な駆動部28を含んでいる点で図4とは異なっている。駆動部28の延長部分30は、相対的に回転可能に偏心軸15の偏心部分22に着座しているが、偏心ブッシュ23のねじ状の案内経路31に係合しており、駆動部28、溝29、及び延長部分30によって駆動部28の軸線方向の各位置で偏心軸15に回転しないように結合されている。
【0048】
図6に示している調整機構24は、例えば偏心ブッシュ23が偏心軸15の偏心部分22に対して回転するように、スクリードフレーム17上で支持されている調整駆動部26によって周期的に操作される回転形式の段階切り換え機構を有している。コネクティングロッド21内で、偏心ブッシュ23は少なくとも1つのころ軸受32によって回転可能に支持されている。偏心部分22内には、軸線方向に移動可能に、しかし回転方向に動かないように偏心軸15に結合されている調整機構33を内部に配置している少なくとも1つの軸線方向の溝29が設けられている。図6の調整機構33の左端部の位置に鋸刃歯車34(円周歯車)が設けられているだけではなく、調整機構33に対して円周方向にオフセットしていて、調整機構33の右端に鋸刃歯車35が設けられている。偏心ブッシュ23は、対応する鋸刃歯車37と36をそれぞれ両端部に有している。偏心ブッシュ23の鋸刃歯車36、37の間の軸線方向の長さは、鋸刃歯車35、34の間の内側の幅よりもわずかに短い。調整機構33は、例えば調整駆動部26のリングピストン41(油圧作動可能なリング状の室40)によって、この幅の差の間で、軸線方向に油圧で調整可能である。調整機構33の左側端部は、偏心軸15上の停止部分38のばね39上で支持されている。
【0049】
偏心ブッシュ23が偏心部分22上で回転するために、調整機構33は、ピストンのリングピストン41によって図6に示されている位置から左側に、歯車34、37が係合解除され、歯車35、36が互いにかみ合うように移動する。偏心ブッシュ23はそれによって、少なくとも歯車34と35との間の円周方向の変位によるピッチだけ回転する。その後、リング室40内の圧力は減少し、ばね39が調整機構33を図6に示している位置に戻し、例えば、偏心ブッシュ23がさらなるピッチだけさらに回転し、その後再び回転しないように偏心部分22と結合させる。
【0050】
図7において、調整機構24は、調整駆動部26としてリングピストン41を有している。調整駆動部26は、スクリードのフレーム17上に支持することができる。リングピストン41は偏心ブッシュ23の軸線方向端部に直接作用し、このブッシュ23は偏心軸15の停止部分38で支持されているばね39によって停止リング42ところ軸受43とを介して、偏心軸15の偏心部分22の円錐部分22’上を軸線方向に押され、偏心軸15に回転しないように結合される。偏心ブッシュ23は、円錐部分22’との摩擦結合が解除されるつまり緩くなり、例えばリングピストン41が再び後退して偏心ブッシュがばね39によって円錐部分22’に新たに摩擦接触するまで、偏心軸15がころ軸受43内で偏心ブッシュ23に対して回転できるように、リングピストン41によってばね39の力に抗して図7に示している位置から左側に移動可能である。代わりに、例えば、図6に示しているのと同様に、偏心ブッシュ23上で相対的な回転運動を実施することもできる。図7の実施形態において、コネクティングロッド21は、偏心ブッシュ23のわずかな軸線方向の動きに追随する。代わりに、ころ軸受32は、コネクティングロッド21内又は偏心ブッシュ23上で、軸線方向に遊びがあってもよい。代替の形態(不図示)では、偏心ブッシュ23は円錐部分22’の歯車によって回転しないように結合されてもよい。
【0051】
図8に示している実施形態では、調整機構24を備えるストローク調整装置に関して、また図4〜7の前述した実施形態とは対照的に、偏心ブッシュ23は、偏心軸15の偏心部分22に対して回転しないが、全体の有効な偏心としたがってストロークを変更するように偏心軸15の軸線を横切る方向に変位する。
【0052】
偏心ブッシュ23は、例えば、同心の内側と外側の円筒状円周によって、つまり丸い円筒のように構成し、偏心軸15の軸線を横切る方向に穴を開けた偏心軸15の外向きに開いている溝の中を変位可能であって、偏心軸に対して回転しないように固定されている2つの対向しているブロック44上に回転しないように配置することができる。各案内ブロック44は、調整駆動部26によって偏心軸15内を軸線方向に変位可能で、それぞれの選択された調整位置で固定可能な制御ロッド46の傾斜している案内ランプ47上を摺動する傾斜している案内表面45を内側に備える。調整駆動部26は、油圧的に、電気的に、又は機械的に構成することができる。偏心ブッシュ23は円筒状である(これは技術的な製造の観点で有利である)が、偏心ブッシュ23は偏心部分22に対して偏心作動する。
【0053】
図8の実施形態と機能的に似ている図9の実施形態では、2つの直径方向に対向している軸線方向の溝29が偏心軸15の偏心部分22に形成されており、案内ブロック44は軸線方向に移動可能で、回転しないように溝内で偏心軸15に取り付けられている。各案内ブロック44は、調整駆動部26に接続している又は接続可能な制御ロッド46’と係合している。傾斜している案内表面47’は案内ブロック44の外側に形成されており、偏心ブッシュ23の内側表面上の軸線方向の溝内に係合している。傾斜している案内ランプ45’が軸線方向の溝内に形成されているので、偏心ブッシュは、図8に示しているのと同様に案内ブロック44の軸線方向の変位によって、偏心軸の軸線を横断する方向へ変位し、回転しないように偏心軸15に結合される。この例でも、偏心ブッシュ23は円筒状とすることができる。
【0054】
図10において、調整機構24はトグル機構に一体化され、偏心部分22を備えた偏心軸15の回転運動が、偏心部分22上で回転可能に支持されているプッシュロッド48と関節軸49とによって、タンパーバー14が固定されているコネクティングロッド21に伝達される。調整レバー50の端部は、コネクティングロッド21に関節状に、好ましくは同じ関節軸49上で、接続されており、調整レバーはピボット支え部51(例えばピン)によって偏心軸15の軸受ブロック16’の案内経路内52で支持されている。軸受ブロック16’は、スクリードのフレーム17に取り付けることができる。案内経路52は、例えば軸受ブロック16’内の直線状又は円弧状の長いスリットであって、偏心軸15を横断する切断面方向に延びている。調整駆動部26は、案内経路52内でピボット支え部51を調整するように軸受ブロック16’とピボット支え部51との間で動作する。これによって、偏心部分22上で検知され、調整レバー50によってコネクティングロッド21に伝達される偏心つまりタンパーバー14のストロークがそれぞれ変化する。
【0055】
案内経路52は案内経路52内のピボット支え部51の調整位置に関わらずソールプレート18に対するタンパーバー14の作業サイクルの下死点が静止している、つまりストローク調整においては上死点だけが変位するように、偏心軸15の軸線と関節軸49とに対して構成され配置されていると便利である。
【0056】
偏心軸15の回転は、偏心軸22によってプッシュロッド48をフレーム17の上側に対して実質的に並行に往復運動させる。この旋回運動によって、調整レバー50が接合関節軸49を介してピボット支え部51を中心にピボット運動をし、ピボット運動は円の円弧部分を描く。調整レバー50は、それから実質的に垂直方向のストローク成分をコネクティングロッド21に対して発生させる。ストロークの程度は、案内経路52内のピボット支え部51を調整することによって変更される。
【0057】
図1の道路舗装車1のトラクションバー8の関節点9はレベリングシリンダ10を使用して、例えばアクチュエータ10’(油圧弁など)によって高さが調整可能であって、スクリード3の設定角度αに影響を与える。設定角度αは正でなければならないが、最適な大きさがある、つまり平坦過ぎたり急峻過ぎたりしてはならず、その最適な大きさは制御システム25によって維持されている。昇降シリンダ28が追加でシャシ2にヒンジ結合されており、昇降シリンダはトラクションバー8に作用し、スクリード3を例えば搬送移動のための上昇位置に保持したり、スクリードの解除を実行したり、スクリード3の支持圧力を任意に増加させたりする役割がある。締め固めユニット13のタンパー14(図3を参照)は例えば選択可能なストロークHと選択可能な周波数Fとを備えている偏心駆動によって動作可能である。
【0058】
制御パネルP又は外部制御パネルP’内に、舗装速度Vの設定のため速度セレクタ26が設けられている。舗装速度Vを変更するために速度セレクタ26は、制御システム25のアクチュエータ(不図示)によって任意で調整することができる。舗装速度Vは記号によって示されているセンサ31によって検知され、制御システム25に送信される。センサ31は、道路舗装車内の例えば制御パネルP又は走行駆動部に配置され、路床7の参照点を検知することもできる。制御パネルP又は制御システム25内には、パラメータの入力及び/又はパラメータの表示のための入力部分27を設けることができる。昇降シリンダ28には、少なくとも1つのアクチュエータ28’、例えば磁気動作の油圧弁が付属している。さらに、少なくとも1つのセンサ30が道路舗装車1の装備として設けられていてもよく、センサは、必要に応じて、例えばスクリード3の直前で温度、舗装材の密度又は強度を検知してそれらの値を情報として制御システム25に送信する。この検知された情報はオペレータによって入力することもできる。例えば、スクリード3には路床7に対するスクリードの設定角度αを検知する少なくとも1つのセンサ29が配置されている。センサ29は、トラクションアーム8上で設定角度αを検知することもできる。複数のセンサ29を舗装幅にわたって設けることができる。さらに、センサ37は舗装厚さSを検知するために設けることが可能で、センサは例えば路床7を検知したり路床7上の参照点(不図示)を検知したりする。
【0059】
道路舗装車1又はスクリード3内には、タンパーストロークH又はタンパー周波数Fをそれぞれ設定するためにアクチュエータが設けられており、制御信号を実行するために制御システム25によって生成された制御信号によって駆動することができる。例えば、図3は偏心ブッシュ23を偏心部分22に対して回転させる、タンパーストロークH用のアクチュエータを構成する機構24を示している。タンパーストロークHの調整は、制御システム25によって舗装パラメータに毎回釣り合うように自動的に実行される。偏心軸15は例えば油圧モータ32によって回転駆動される。その速度がタンパー周波数Fを定めている。磁力で作動する弁が、油圧モータ3のアクチュエータ33、つまり制御信号を使用して制御システム25によって作動させることができる比例流れ調整弁の役割を果たすことができる。
【0060】
制御システム25のお陰で、例えば、敷設された舗装6の失敗率を最小にし、敷設された舗装6の品質を向上させるように、互いに依存する複数の様々な機械パラメータ又は現場パラメータ又は舗装材パラメータが自動的に制御される。
【0061】
タンパー14は、緩く事前敷設されている舗装材5をスクリード3に対して適切な支持力が生成される程度に締め固めを行っている。それで初めてスクリード3がそのソールプレート18と共に平均設定角度αで浮動牽引されることが保証される。タンパーストロークH、タンパー周波数F、舗装速度V、及び設定角度αは互いに深く依存している。例えば、舗装速度Vが減少すると、タンパー周波数とレベリングシリンダ調整とが一定の場合でも、舗装材の事前締め固めに影響することになる。舗装材の支持力が増し、スクリード3がさらに浮上し、設定角度αが減少する。それとは反対に、タンパー周波数を増加させずに舗装速度が増加した場合、舗装材の支持力が減少することになり、スクリードはより大きな設定角度αで、しかしより小さい舗厚さSで舗装作業を実施することになる。敷設された舗装6の最終品質へのそのような影響を最小にしたり回避したりするために、少なくとも締め固めユニット13とタンパー14のそれぞれに対する制御変数は、関連するプロセスと機械パラメータに依存して、制御システム25によって本発明に従って自動的に制御され、調整される。より具体的には、それによってスクリードの全舗装幅にわたる舗装材の均等で最適な締め固めが品質保証に寄与するものとして実現される。
【0062】
例えば、設定角度αの変化に際しタンパーストロークHを適合させ、常に最適な事前締め固めによって所望の舗装厚さSが達成されるように、設定角度αはセンサ29又は横断方向に分散している複数のセンサ29によって検知され、設定角度αが最適値に戻り、著しく変化しないように、制御システム25又はこの舗装パラメータを特に担当しているコントローラに送信される。
【0063】
第2の態様として、設定角度αはスクリード3の横断方向舗装幅にわたって変化してもよい。制御システム25は、舗装進行方向に対して横断する方向に変化する舗装厚さSに関わらず締め固めが舗装幅にわたって均等になるように、タンパーストロークHを各タンパー14について個別に適合させることができる。
【0064】
検知された設定角度α又は検知された設定角度αの変化を考慮して、さらにタンパーストロークHとタンパー周波数Fとを制御システム25によって適合させ、タンパー周波数Fの適合に加えて又はその代替として任意に追加でレベリングシリンダ10を調整することができる。
【0065】
タンパー周波数Fは、タンパーストロークHが変化したときに、タンパー周波数Fを制御システムに入力されている又は制御システムに存在している特性曲線又は特性マップに従って自動的に適合させるという、特に簡単な方法で適合させることができる。
【0066】
適切な舗装パラメータとしては、例えば舗装材5の密度又は強度もある。道路舗装車1が舗装材の密度又は強度を検知できるセンサ30を前述のように備える場合、検知された値は目標値と比較され、目標値から逸脱している場合には、検知された密度又は強度の逸脱時には、設定角度が実質的に維持され同じ締め固めと均一性とが実質的に維持され、舗装6の品質が達成されるように、適合、例えばタンパーストロークH及び/又はタンパー周波数F及び/又はレベリングシリンダの設定の適合が制御システム25によって実施される。
【0067】
同様に、舗装速度Vも重要な舗装パラメータであるが、なぜなら舗装速度Vが変化した場合に、例えば自動制御システム25によって、タンパーストロークH及び/又はタンパー周波数F及び/又はレベリングシリンダの設定値について適合させることが必要であるためである。
【0068】
さらに適切な舗装パラメータとして、舗装材5の堅さ及び/又はその温度がある。これらの舗装パラメータは、例えば個別に又は組み合わせて、センサ30又は堅さセンサ及び温度センサによって検知し、制御システム25に送信したり、検知後、オペレータによって入力部27に入力したりすることが可能で、その際、制御システムは、検知された値に応じて必要な場合は、タンパーストロークH及び/又はタンパー周波数F及び/又はレベリングシリンダの設定値をそれに応じて適合させる。追加して又は代りに適合させるものとして、設定角度αをできるだけ均等にし、スクリード3を舗装6が均等に締め固めされるように動作させることを意図して、例えば舗装作業中に大きくスクリード3を解放したり、路床7に特に向けてそれに負荷をかけたりするために、昇降シリンダ28の調整を実施することもできる。
【0069】
本方法の結果、基本的に、自動化によって失敗率とコストが最小化され、品質が向上し、道路舗装車のオペレータの相当な作業が自動的に軽減されるが、それは歓迎される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10