特許第5785513号(P5785513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5785513-メイクアップ化粧料 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785513
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20150910BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20150910BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20150910BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/37
   A61Q1/00
   A61Q1/02
   A61Q1/10
   A61Q1/08
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-79937(P2012-79937)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209315(P2013-209315A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】東方 佐千子
(72)【発明者】
【氏名】上地 加奈子
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−225534(JP,A)
【文献】 特開2003−49089(JP,A)
【文献】 特開2000−119166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)ジェランガムを0.1〜3質量%
(B)未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションを固形分濃度として0.1〜5%質量
(C)フッ素表面処理粉体を0.5〜50%質量
(D)モノステアリン酸グリセリルを0.1〜10%質量
(E)水を40〜80%質量
を配合したことを特徴とするメイクアップ化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)の粉体がパーフルオロアルキル化合物によって表面処理を施されていることを特徴とする請求項1に記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
ジェル状であることを特徴とする、請求項1,2のいずれかに記載のメイクアップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関し、更に詳細には耐水性に優れた水含有メイクアップ化粧料に関する。ジェランガム、未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルション、フッ素表面処理粉体、モノステアリン酸グリセリル、水を配合することにより、水を含有するメイクアップ化粧料でありながら、化粧持ち効果(特に耐水性)に優れ、使用感においてはズルつく事無く密着感があり、指に適度な使用量が取れ、みずみずしい使用感が得られるメイクアップ化粧料が得られる。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料は、瞼、頬、口唇部などに塗布し、その光学的効果によって顔全体の印象を変化させるために使用される。中でも、水と水溶性のゲル化剤を用いてゲルを形成した基剤に、パール光沢粉体を配合した水系のジェル状メイクアップ化粧料は、油系ゲルや粉体系にパール光沢粉体を配合したものと比較して、べたつきのないみずみずしい使用感に優れ、より透明感のある輝度の高い光沢感を演出することが出来るので、市場においてニーズが高い。
【0003】
しかしながら、水系のメイクアップ化粧料は、水が主成分であり、界面活性剤や、増粘剤、皮膜形成剤、粉体などの配合成分は、長期間安定で分離、沈殿などが起こらないように、基本的に親水性の高い成分が選択されている。つまり配合される成分は、水に対して高い親和性を持つため耐水性を付与することは非常に困難であった。その為汗や涙などの水分に弱いという問題点があった。
【0004】
そこで皮膜形成剤を配合することにより、皮膚に塗布した際に着色剤を含む皮膜を形成させることで化粧持ちを向上させるという技術検討がなされている。例えば、ジェランガムとポリエーテル変性シリコーン等の皮膜形成剤を配合することで、化粧持ちを向上させる技術(特許文献1)がある。しかし、撥水性のポリエーテル変性シリコーンは水系に分散しづらい上に指取れが悪く、密着感に欠け、化粧膜が不均一になるという欠点があった。
【0005】
また、ジェランガムと光輝性粉体を配合することでパール光沢粉体の光沢感を高める技術(特許文献2)の中に、中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションの配合することが例示されている。ジェランガムと中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションを配合することによって、パールの光沢感を高めることはできる。しかし中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションは、肌への付着性が弱いことから重ね付けしづらく、フィット感に欠け、化粧膜が不均一になってムラに付いてしまうという欠点があった。
【0006】
また、化粧持ちが良好で、化粧効果に優れたメイクアップ化粧料ということでジェランガムと酢酸ビニル及び/又はスチレンを構成単位に含有する皮膜形成性ポリマーと水を配合する技術(特許文献3)が開示されているが、この技術では、形成された皮膜の皮膚に対する追随性、耐油性については、一定の効果が期待出来るが、耐水性については検討されておらず、日常生活レベルの涙や汗などで依然として落ちやすいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−273877号公報
【特許文献2】特開2005−97148号公報
【特許文献3】特開2011−225534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水系成分を基剤としているにも関わらず、耐水性が良好であり、化粧持ちに優れ、みずみずしい使用感でありながらもズルつくことなく密着性の良い化粧効果に優れたメイクアップ化粧料を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記従来の問題点を解決すべく鋭意研究をした結果、(A)ジェランガム、(B)未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルション、(C)フッ素表面処理粉体、(D)モノステアリン酸グリセリル、(E)水を配合することにより、耐水性が良好であり、化粧持ちに優れ、みずみずしい使用感でありながらもズルつくことなく密着性の良い化粧効果に優れたメイクアップ化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
水を含有するメイクアップ化粧料でありながら、化粧持ち効果(特に耐水性)に優れ、使用感においてはズルつく事無く密着感があり、指に適度な使用量が取れ、みずみずしい使用感が得られるメイクアップ化粧料を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の必須成分(A)は水性の増粘・ゲル化剤である。本発明で言う、水系とは、水を主体とする分散媒或いは溶解媒で使用するもの或いは水を主体とする分散媒或いは溶解媒が、構成成分の40%以上を占めるものを意味する。
【0012】
本発明において用いられる成分(A)のジェランガムはネイティブ型と脱アシル型の2タイプがある。ジェランガムは、公知の物質であり、コーンシロップ等を含む培地にシュードモナス・エロディア菌(Pseudomonas elodea)を植菌して、通気、撹拌、温度及びpHを管理して発酵する。発酵完了後、菌体を殺菌し、ネイティブ型ジェランガムを得る。さらに、アルカリ処理により脱アシル型ジェランガムを得る。どちらのジェランガムも本発明に使用することができるが、より好ましいのは弾力のある離水の少ないゲルを形成するネイティブ型ジェランガムである。ジェランガムは、すでに食品、化粧品などで汎用されており、市販品が存在し、これらを購入して用いることが出来る。市販品としては、ケルコゲル、ケルコゲル LT100、ケルコゲル HM(以上、大日本住友製薬社製)等があり、これらを用いることができる。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、化粧料の種類によって異なるが、組成物の全質量に対して0.1%〜3質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。これより少なすぎるとゲルを形成しない場合があり、多すぎると使用時の取れ等の使用性が損なわれる場合がある。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)の未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又はメタクリル酸の中の2種以上のモノマーからなる共重合体のエマルションである。水系ジェル状の場合、化粧持ちを向上させるための皮膜形成剤としては、水に溶解しないタイプのエマルジョンタイプが一般的に好適とされており、他にもアクリル酸アルキル共重合体エマルションをアンモニウムや、ナトリウム、アミノメチルプロパノールなどで中和した中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションや酢酸ビニル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、スチレン・ビニルピロリドン共重合体エマルション等もあげられるが、目的とする充分な耐水性が得られなかった。ところが未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションでは、充分な耐水性、耐油性のある皮膜が形成され、かつ皮膜も柔軟性で密着性も良好であり、他の皮膜形成エマルジョンと比較して高い化粧持ち効果が得られた。市販品としては、アキュリン33A(固形分28%エマルション、ダウ・ケミカル日本社製)等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)の配合量は、固形分濃度として0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。これより少なすぎると化粧持ち効果が充分得られない場合があり、多すぎると皮膜形成によるつっぱり感等の使用性が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明に用いられる成分(C)の撥水撥油処理粉体の母体となる粉体としては、化粧料に通常使用される粉体であれば、特に限定されず、例えば、マイカ、タルク、セリサイト、合成マイカ、合成セリサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、板状無水ケイ酸、板状酸化アルミニウム、板状カオリン、板状窒化硼素、板状酸化チタン、板状セルロース等の体質粉体、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性粉体等が挙げられる。
これらの粉体にパーフルオロアルキル化合物を用いて撥水撥油処理を施すことによって、化粧持ち効果を高めることが出来る。パーフルオロアルキル化合物としては、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
成分(C)の配合量としては0.5〜50質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。この範囲であれば、十分な化粧持ち効果が得られるとともに、ジェル特有のズル付きや上滑りを改善し、密着性を高めることが出来る。これより多すぎると、みずみずしさが減少し、伸び広がりが悪くなる場合がある。
【0018】
本発明における成分(D)は、グリセリンとステアリン酸のモノエステルが主成分であるグリセリン脂肪酸エステルである。また、そのグリセリン脂肪酸エステルに、石けんもしくはEO付加型の非イオン界面活性剤を添加したものが自己乳化型グリセリン脂肪酸エステルであり、親水性が高い。どちらのグリセリン脂肪酸エステルでも使用できるが、自己乳化型の方がより水系溶媒への配合が容易である。
【0019】
成分(D)の配合量は0.1〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。この範囲であれば、水系ジェル特有のみずみずしさを保ったまま、耐水性を損なうことなく乾燥感や粒子径の大きいパールの影響による塗布面のざらつきなど使用性の改善が出来る。
【0020】
本願発明における成分(E)は、化粧水原料として使用できる水であれば特に制限はない。精製水、蒸留水、イオン交換水であっても良い。
【0021】
成分(E)の配合量は、40〜80質量%であり、好ましくは45〜70質量%である。
【0022】
本発明のメイクアップ化粧料は、上記の成分(A)〜(E)の他に、本発明の効果を妨げない範囲で、通常化粧料に使用される成分、油性成分、界面活性剤、保湿としての水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを適宜配合することができる。
【0023】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂、揮発性油剤等が挙げられる。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(
パルミチン酸/ オクタン酸) デキストリン、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、特定のアクリル酸アルキルメチルポリシロキサンエステル等の油溶性樹脂、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類等の揮発性油剤等が挙げられる。
成分(D)以外の粉体としては、紡錘状、針状、繊維状、球状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、窒化硼素等の無機粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理してあっても良い。
【0024】
粉体の分散性向上を目的で配合される界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2―ペンタンジオール等が挙げられる。
【0025】
本発明のメイクアップ化粧料は、アイカラー、チークカラー、アイライナーなどに応用でき、形状としては、固型、クリーム状、ゲル状、液状等が挙げられる。
外観は、透明、半透明、不透明それぞれの化粧料として使用することができる。剤型としては、水を主成分とする水性、水相を連続相とする水中油型が挙げられる。この中でも、水性ゲル状であると本発明の効果が発揮されやすい。
【0026】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0027】
実施例1〜5及び比較例1〜6:アイカラー(水系ゲル状)
表1に示す処方のアイカラーを調製し、a.耐水性、b.指への取れ、c.密着感、d.化粧膜の均一性、e.塗布面のなめらかさについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
※1:ケルコゲルHM (大日本住友製薬社製)
※2:エコーガムT(大日本住友製薬社製)
※3:アキュリン 33A 固形分28%(ダウ・ケミカル日本社製)
※4:DERMACRYL AQF 固形分45%(日本エヌエスシー(株)製)
※5:ヨドゾール GH810F 固形分46%(日本エヌエスシー(株)製)
※6:ビニゾール2140L 固形分43%(大同化成工業社製)
※7:FSA−52TALC JA−46R(大東化成工業社製)
※8:FHS−3A TALC JA−46R(大東化成工業社製)
※9:SA−ソフトタルク(三好化成社製)
※10:NIKKOL MGS−AV(日本サーファクタント工業社製)
※11:アヤコール DGMIS(成和化成社製)
※12:NIKKOL TO−10MV(日本サーファクタント工業社製)
※13:HELIOS R100S(トピー工業社製)
※14:ティミカ エクストラ ラージ スパークル(BASFジャパン社製)
【0030】
[製造方法]
表1に記載の処方において、成分(A)を成分(E)の一部で加温膨潤し、撹拌下、これに成分(B)〜(D)、Eの残部、成分(F)〜(J)を添加し充分に撹拌する。これを容器に充填し、水系ゲル状アイカラーを得た。
【0031】
[評価方法]
a〜eの項目について、各試料について専門パネル10名による使用テストを実施した。専門パネルが実施例1〜5及び比較例1〜6の各アイカラーを指で使用し、下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付けた。各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、5点以上なら非常に良好とし(◎)、3.5点以上5点未満なら良好とし(○)、1点以上3.5点未満ならやや不良とし(△)、1点未満なら不良とし(×)として判定を行った。a.耐水性については、各試料を同量腕の定めた範囲になるべく均一に塗布した後、10分間静置する。塗布した箇所に5秒間水を流した後、ティッシュで押さえて試料の取れ具合を比較した。b〜eについては容器に充填された試料を指でとる際のとれが適量であるか、塗布した際に肌への密着感があるか、化粧膜が均一でムラなく塗れているか、塗布面がなめらかで、ざらついたりべたついたりしていないかどうかを評価した。
【0032】
表1の結果からも本発明の実施例1〜5の水性ゲル状アイカラーは、比較例1〜6に比べ、耐水性、指への取れ、密着感、化粧膜の均一性、塗布面のなめらかさのすべてにおいて同等以上という優れたものであった。成分(A)のネイティブジェランガムのかわりにキサンタンガムを配合した比較例1は指への取れ量が多く、塗布した際に密着感がなくズルつきや上滑りが生じ、満足のいくものが得られなかった。また、成分(B)の未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションのかわりに中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルションを配合した比較例2、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルションを配合した比較例3、成分(C)のフッ素表面処理タルクのかわりにジメチコン処理タルクを配合した比較例4は、耐水性が弱く、水によって簡単に落ちてしまった。また、成分(D)のモノステアリン酸グリセリルのかわりにイソステアリン酸ポリグリセリル−2を配合した比較例5、ポリソルベート80を配合した比較例6は、耐水性も充分な効果が得られなかったうえに、塗布面もなめらかでなく、べたつきや経時でのよれが生じた。
【0033】
処方例1:アイカラー
(成分)(質量%)
1.ネイティブジェランガム(※1)0.1
2.水 残量
3.未中和型アクリル酸アルキル共重合体(※3)0.75(固形分換算0.21)
4.タルク 1
5.ヘキサメタリンサンソーダ 0.1
6.1,3−ブチレングリコール 2
7.モノステアリン酸グリセリル(※10)1
8.トリイソステアリン酸ジグリセリン 0.5
9.n−オクチルシリル化黄酸化鉄 0.12
10.n−オクチルシリル化ベンガラ 0.032
11.合成金雲母 3
12.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理酸化チタン被覆マイカ(※15)50
※15:パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理酸化チタン被覆マイカは、マイカに水を加えてスラリー状態とし、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩に水を加えて攪拌し、エマルション状態にしたものを徐々に注加して混合した後、常温又は高温静置などによってエマルションを破壊し、粉体粒子の表面をパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩の連続相で被覆させた。そしてこれを洗浄、濾過、乾燥すれば撥水・撥油性の化粧料用粉体が得られる。
この時用いたパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩は、旭硝子(株)製のアサヒガードAG530を用いた。
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)の一部で均一に加温膨潤する。
B.成分(3)〜(10)を均一に分散する。
C.AにBと成分(11)(12)を加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填しアイカラー(水性ゲル状)を得た。
本処方例1のアイカラーは、適度に取れ、塗布した際にもみずみずしく伸び広がり、密着感、均一性が優れていた。また、耐水性も優れており、日常の汗や涙などに対しても落ちないメイクアップ化粧料であった。
【0034】
処方例2:チークカラー(水中油型固形ゲル状)
(成分)(質量%)
1.ネイティブジェランガム(※1)0.65
2.水 残量
3.未中和型アクリル酸アルキル共重合体(※3)3(固形分換算0.84)
4.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理タルク (※7)3
5.ポリアクリル酸アルキル 3
6.ヘキサメタリンサンソーダ 0.1
7.1,3−ブチレングリコール 10
8.モノステアリン酸グリセリル(※10)5
9.トリイソステアリン酸ジグリセリン 5
10.n−オクチルシリル化酸化チタン 0.03
11.n−オクチルシリル化黄酸化鉄 0.15
12.n−オクチルシリル化ベンガラ 0.1
13.合成金雲母(※16)8
14.酸化チタン被覆マイカ(※17) 5
※16:PDM−20L(トピー工業社製)
※17:FLAMENCO SUMMIT RED(BASFジャパン社製)
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)の一部で均一に加温膨潤する。
B.成分(3)〜(7)を均一に分散し、Aに加えて撹拌混合する。
C.成分(8)〜(12)を均一に加熱分散する。
D.成分(2)の残量に、成分(13)(14)を加えて均一に分散する。
E.BにCを加え、乳化した後、Dを加え均一に混合する。
F.Eを容器に充填しチークカラー(水性ゲル状)を得た。
本処方例2のチークカラーは、適度に取れ、塗布した際にもみずみずしく伸び広がり、密着感、均一性が優れていた。また、耐水性も優れており、日常の汗や涙などに対しても落ちないメイクアップ化粧料であった。
【0035】
処方例3:ファンデーション(水中油型固型ゲル状)
(成分)(質量%)
1.ネイティブジェランガム(※1) 0.2
2.水 残量
3.ヘキサメタリン酸ソーダ 0.1
4.メチルパラベン 0.1
5.未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルション(※4) 10(固形分換算4.5)
6.1,3−ブチレングリコール 7
7.濃グリセリン 3
8.n−オクチルシリル化黄酸化鉄 1.5
9.n−オクチルシリル化黒酸化鉄 0.1
10.n−オクチルシリル化ベンガラ 0.1
11.メチルポリシロキサン処理微粒子酸化チタン(※18) 7
12.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理タルク(※6) 5
13.モノステアリン酸グリセリン(※10) 3
14.セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
15.水添ポリイソブテン 5
16.エチルヘキサン酸セチル 3
17.ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.5
※18:SA−TTO−F−2(三好化成社製)
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)にて均一に加温膨潤する。
B.成分(3)〜(7)を均一に分散する。
C.成分(8)〜(17)を加熱溶解する。
D.A、Bを混合し、そこにCを加えて乳化する。
E.Dを加温溶解し、容器に充填した後、室温まで冷却して、ゲル状ファンデーションを得た。
本処方例3のゲル状ファンデーションは、適度に取れ、塗布した際にもみずみずしく伸び広がり、密着感、均一性が優れていた。また、耐水性も優れており、日常の汗や涙などに対しても落ちないメイクアップ化粧料であった。
【0036】
処方例4:アイライナー(水性液状)
(成分)(質量%)
1.ネイティブジェランガム(※1) 0.1
2.水 残量
3.ヘキサメタリンサンソーダ 0.1
5.1,3−ブチレングリコール 15
7.未中和型アクリル酸アルキル共重合体エマルション(※4) 4.5(固形分換算2.025)
8.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理タルク (※7) 0.5
9.モノステアリン酸グリセリル(※10) 2
10.ポリオキシエチレンセチルエーテル 2
11.カーボンブラック(※19) 3
12.合成金雲母 3
※19:WD−CB2(大東化成工業社製)
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)で均一に加温膨潤する。
B.成分(3)〜(11)を均一に加熱分散する。
C.AにBを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填しアイライナー(水性ゲル状)を得た。
本処方例4のアイライナーは、適度に取れ、塗布した際にも均一に伸び広がり、密着感があり、重ね付けにも優れていた。また、耐水性も優れており、日常の汗や涙などに対しても落ちないメイクアップ化粧料であった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のメイクアップ化粧料の実施例1と比較例2について、耐水性試験として腕に塗布し、水で流した後の比較図面(写真)である。
図1