特許第5785547号(P5785547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785547
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】タッチスクリーンディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20150910BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   G06F3/042 472
   G06F3/041 580
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-527379(P2012-527379)
(86)(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-504108(P2013-504108A)
(43)【公表日】2013年2月4日
(86)【国際出願番号】GB2010001655
(87)【国際公開番号】WO2011027111
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2013年7月8日
(31)【優先権主張番号】0915460.0
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597063048
【氏名又は名称】ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】スミス ユアン
【審査官】 岩崎 志保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/132076(WO,A1)
【文献】 特表2012−527035(JP,A)
【文献】 特開2009−151505(JP,A)
【文献】 特表2007−506175(JP,A)
【文献】 特表2005−539247(JP,A)
【文献】 特開2005−122159(JP,A)
【文献】 特表2013−504107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素と、前面を有する透明体と、前記表示画素の間に散在され、前記透明体を通って前記前面に到達するように電磁放射線を放出する複数の発光器と、電磁放射線を検出するために前記表示画素の間に散在された複数の検出器とを具備し、前記透明体の前記前面の法線に対する臨界角よりも小さい角度で発光器によって放出される前記電磁放射線が前記前面を通して送出され、前記前面の前記法線に対する前記臨界角よりも大きい角度で前記発光器によって放出される前記電磁放射線が全内部反射される、タッチスクリーンディスプレイデバイスであって、
異なる特定の発光器から各検出器に到達する前記電磁放射線を識別し、a.前記前面に隣接するが接触していない物体からの反射により各検出器で受け取られうる電磁放射線と、b.前記前面に接触している物体によって前記全内部反射が阻止されうる電磁放射線とを区別するように動作可能な前記発光器および検出器に結合された処理装置をさらに含み、
特定の発光器から放出され所与の検出器で検出された電磁放射線が該発光器に特有の変調から識別されうるような特有の方法で、各発光器によって放出される前記電磁放射線が変調される、タッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記処理装置が、前記複数の発光器のうちの1つまたは複数によって放出され、近接場物体によって反射された電磁放射線によって、前記複数の検出器で検出された前記1つまたは複数の発光器からの前記電磁放射線の増加から前記前面に隣接するが接触していない物体の存在を区別するように構成される、請求項1に記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記処理装置が、前記複数の検出器で検出された前記複数の発光器のうちの1つまたは複数によって放出された前記電磁放射線の減少から前記前面に接触する物体の存在を区別するように構成される、請求項1または2に記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記発光器および検出器が2次元アレイに配置されており、任意の近接場物体または接触物体の場所のデジタル表現を与えるための手段を含む、請求項1から3のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項5】
任意の近接場物体または接触物体の前記検出された場所の時間変化を分析して横方向移動を決定するための手段をさらに含む、請求項4に記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記表示画素が有機発光ダイオード(OLED)である、請求項1から5のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記発光器が有機発光ダイオード(OLED)である、請求項1から6のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記検出器が有機光検出器である、請求項1から7のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項9】
発光器の数が検出器の数よりも多い、請求項1から8のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項10】
発光器の数が検出器の数と実質的に同じである、請求項1から8のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記電磁放射線が赤外波長である、請求項1から10のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項12】
少なくとも前記表示画素がアクティブマトリクスドライバ構成に結合される、請求項1から11のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記処理装置が、異なる特定の発光器から各検出器に到達する前記電磁放射線を分析して任意の近接場物体を示すタッチスクリーンのデジタル表現を生成するように動作可能である、請求項1から12のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記処理装置が、異なる特定の発光器から各検出器に到達する前記電磁放射線を分析して任意の接触物体を示すタッチスクリーンのデジタル表現を生成するように動作可能である、請求項1から13のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記前面に隣接するが接触していない物体は、対応する検出器により受け取られる光の測定された強度の増加として識別され、
前記前面に接触している物体は、対応する検出器により受け取られる光の測定された強度の減少として識別される、請求項1から請求項14のいずれかに記載のタッチスクリーンディスプレイデバイス。
【請求項16】
ディスプレイの表面に接触している物体と前記表面に隣接するが接触していない物体とを区別する方法であって、
前記ディスプレイの前記表面を画定する透明体を、前記透明体を通る電磁放射線で複数の発光器を用いて照明するステップであり、前記電磁放射線が前記表面に対して一定の範囲の入射角を有し、前記一定の範囲の入射角が全内部反射の臨界角よりも大きいおよび小さい角度を含む、ステップと、
前記透明体の前記表面から戻ってくる電磁放射線の強度を複数の検出器を用いて測定するステップと、
前記測定された強度の減少を前記表面に接触する物体の存在として識別し、前記測定された強度の増加を前記表面に隣接するが接触していない物体の存在として識別するステップとを含み、
特定の発光器から放出され所与の検出器で検出された電磁放射線が該発光器に特有の変調から識別されうるような特有の方法で、各発光器によって放出される前記電磁放射線が変調される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチスクリーンディスプレイデバイスに関し、限定するものではないが、とりわけ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスの一部として一体化することができる光学(赤外を含む)タッチスクリーンディスプレイのスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ダイオード(LCD)ディスプレイに一体化された赤外タッチスクリーン技術を実現していることが知られている。しかし、そのような技術はスクリーンに接触している物体の存在を検出することしかできず、物体の画像を実際には提供せず、したがって、物体のサイズおよび形状に関する情報を提供せず、例えば、バーコードを認識することができない。さらに、赤外発光器および検出器を単一のバックプレーン上にLCDと共に一体化するのは困難であることが分かった。一般に、赤外発光器および検出器はLCD面の背後に配置され、そのため、製造するのがより複雑となり、したがって、高価となる。
【0003】
近接場光学タッチスクリーンが知られており、近接場物体、すなわち、ディスプレイスクリーンの近くにあるが、実際には接触していない物体の存在が、近接検出を使用して検出される。ディスプレイスクリーンに実際に接触している物体の存在を検出する光学タッチスクリーンも知られており、接触物体は減衰全内部反射(FTIR)を使用して検出される。この場合、発光器からの光はディスプレイの表面から全内部反射され、発光器から列をなして配置された検出器によって検出される。物体がディスプレイの表面に接触する場合、スクリーンの表面に接触する物体によって光が吸収されるので、全内部反射は阻止される。このように、複数の行および列の検出器を有することにより、どの行およびどの列で全内部反射が阻止されているかを検出することによって物体の位置を決定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、改善したタッチスクリーンディスプレイデバイスを提供しようと努める。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載のタッチスクリーンディスプレイデバイスが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、ディスプレイの表面に接触している物体とディスプレイに隣接するが接触していない物体とを区別する、請求項16に記載の方法が提供される。
【0007】
好ましい実施形態は従属請求項に記載される。
【0008】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスの一部として一体化するのに特に好適である。
【0009】
有機発光ダイオード(OLED)は電気−光学ディスプレイの特に有利な形態を含む。それらは明るく、色彩に富み、速いスイッチングであり、広い視野角をもたらし、様々な基板上に製作するのに容易で安価である。
【0010】
有機(ここで、有機金属化合物を含む)LEDは、使用される材料に応じて、一連の色で、高分子または小分子のいずれかを使用して製作することができる。高分子ベース有機LEDの例は、国際公開第90/13148号パンフレット、国際公開第95/06400号パンフレット、および国際公開第99/48160号パンフレットに記載されており、小分子ベースデバイスの例は米国特許4,539,507号に記載されており、デンドリマーベース材料の例は国際公開第99/21935号パンフレットおよび国際公開第02/067343号パンフレットに記載されている。
【0011】
典型的な有機LEDの基本構造は、正孔輸送層、エレクトロルミネセンス層、およびカソードが堆積される、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)を含む透明アノード層を支持するガラスまたはプラスチック基板を含む。エレクトロルミネセンス層は、例えば、PEDOT:PSS(ポリスチレン−スルホレート − ドープポリエチレン − ジオキシチオフェン)を含むことができる。カソード層は、一般に、カルシウムなどの低仕事関数金属を含み、電子エネルギーレベル整合の改善ためにアルミニウムの層などの、エレクトロルミネセンス層に直接隣接する追加層を含むことができる。アノードおよびカソードへの接触線はそれぞれ電源への接続を行う。同じ基本構造は、同様に、小分子デバイスに使用することができる。この構造では、透明なアノードおよび基板を通して光を放出することができ、この構造をもつデバイスは「底面発光体」と呼ばれる。カソードを通して放出するデバイスも、例えば、カソードが実質的に透明となるように約50〜100nm未満にカソード層の厚さを保持することによって構成することができる。
【0012】
有機LEDを基板上に画素のマトリクスで堆積させ、単色または多色画素化ディスプレイを形成することができる。多色ディスプレイは、赤色、緑色、および青色発光画素の群を使用して構成することができる。そのようなディスプレイでは、一般に、行(または列)ラインを作動することによって個々の要素をアドレス指定して画素を選択し、画素の行(または列)が書き込まれて、画像が生成される。いわゆるアクティブマトリクスディスプレイは各画素に関連するメモリ要素、一般に、記憶キャパシタおよびトランジスタを有するが、一方、パッシブマトリクスディスプレイはそのようなメモリ要素を有しておらず、代わりに、CRT画像とある程度同様に反復して走査され、安定した画像の印象を与える。
【0013】
次に、本発明の特定の実施形態が、図面を参照しながら、例としてより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によるディスプレイデバイスの一部を形成するタッチスクリーンの概略図である。
図2】近接場物体を伴う図1のタッチスクリーンを示す図である。
図3】接触物体を伴う図1のタッチスクリーンを示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態によるタッチスクリーンディスプレイデバイスの概略図である。
図5図4のタッチスクリーンディスプレイデバイスの一部を形成するアレイのうちの2つの行の略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、図1に示されるように、本発明の第1の実施形態によるOLEDタッチスクリーンディスプレイデバイスの一部を形成するタッチスクリーン1は、前面3と、OLED発光器の第1のアレイおよび検出器の第2のアレイが形成されるバックプレーン4とを有する透明基板2によって形成される。図1では、簡単のために、デバイスの動作をより容易に説明できるように1つの発光器のみが複数の検出器と共に示される。図示のように、透明基板2のバックプレーン4は、OLED発光器5と、発光器5の両側に配置されたいくつかの検出器6〜11とを備える。OLED発光器5からの光は180°までの広範囲の角度にわたって放出されるが、見やすくするために、約120°の適用範囲が示される。透明基板の臨界角よりも大きい角度で放出される光は、図示のように、透明基板2の前面3から全内部反射され、検出器6、7、10、11に到達するが、一方、臨界角よりも小さい角度で発光器5によって放出される光は基板2を通して送出され、次に、基板2の前面3を出た後発散する。
【0016】
ユーザの指などの物体12がタッチスクリーンに接近するが、タッチスクリーンに接触しない場合、物体12は、図2に示されるように、近接場物体になる。基板を通過する光の中にある近接場物体12は、その光のうちの若干を反射して戻す。図示のように、近接場物体12は発光器5に対して中心から外れて位置づけられており、そこで、より多くの光が検出器8に反射され(大きい矢印13で示されるように)、より少ない光が検出器9に到達する(小さい矢印14で示されるように)。したがって、近接場物体の存在および場所は、異なる発光器からいくつかの検出器で受け取った光の増加を検出することによって決定することができる。
【0017】
次に、図3に移って、発光器5からの光が前面3から全内部反射されているポイントで透明基板2の前面3に接触しているユーザの指などの物体12が示される。この場合、普通なら検出器6に到達するはずである光がそうならないようにされるが、それは、全内部反射が接触物体12によって阻止されるからである。したがって、検出器で受け取った光の減少を測定することにより、接触物体の存在を決定することができることになることは明らであろう。さらに、異なる発光器からのいくつかの検出器でのそのような減少を検出することによって、接触物体の場所を決定することができる。
【0018】
上述の説明は、1つの発光器からいくつかの検出器への光を示すことによって行われたが、この状況は、複数の発光器から1つの検出器で受け取った光を考慮に入れる場合類似しており、隣接する発光器から受け取った光は近接場物体からの反射に起因しており、より遠くの物体からの光はTIRからであり、そのTIR光の阻止は接触物体に起因することが明らかであろう。したがって、発光器および検出器のアレイを構成することによって、2つのデジタル表現、すなわち、近接場物体に関するものおよび接触物体に関するものを信号分析により生成することができる。当然、接触物体は(極)近接場物体と見なすことができ、同様の反射光を生成することになる。しかし、近接場物体は全内部反射光を阻止しないはずであり(近接場物体が極端に接近して前面に接触しない限り)、そこで、2つのタイプの物体は両方のタイプの情報を有することによって識別することができる。
【0019】
図4に示されるように、本発明の第2の実施形態によるタッチスクリーンディスプレイデバイスは、表示画素22、発光器23および24、ならびに検出器25、26および27が設けられるバックプレーン21を有する。この実施形態では、バックプレーンは透明基板28から分離した構造部材であり、構造側面要素29および30によって透明基板28に接続される。表示画素22は、好ましくは、OLED表示画素であり、発光器23および24は、同様に、好ましくは、OLED発光器である。検出器はフォトトランジスタまたはフォトダイオードなどの有機光検出器とすることができる。
【0020】
表示画素22によって放出された光は、点線31によって示されるように、共形光学的透明材料などの任意の好適な結合手段32によって透明基板28に結合される。この光は、全体的に、透明基板28を通して送出され、その前面33を通過し、タッチスクリーンディスプレイデバイスの前部から見るための表示画像を生成することになる。同様に、発光器23および24からの光は、長破線34によって示されるように、共形光学的透明材料などの好適な結合手段(見やすくするために図示せず)によって透明基板28に結合される。この光は、図1から図3を参照しながら上述したように、透明基板28を通して部分的に送出され、この前面33を通過し、かつ前面33で部分的に全内部反射されることになる。全内部反射される光は検出器25、26、および27で受け取られることになる。理解を容易にするために、検出器25で受け取られる光は、それが発光器23または発光器24で放出されているかどうかに関係なく一点鎖線34として示される。同様に、検出器26によって受け取られる光は短破線35として示され、検出器27によって受け取られる光は二点鎖線36として示される。やはり、共形光学的透明材料などの好適な結合手段(見やすくするために図示せず)が、透明基板28と検出器25、26、および27との間で光を結合するように設けられる。
【0021】
バックプレーン21上の構成要素(表示画素22、発光器23および24、ならびに検出器25、26、および27)は、それらの動作を制御するためにオンパネル制御回路37に接続される。オンパネル制御回路37は、オフパネルドライバ38および処理回路39を含むオフパネル操作回路に結合される。処理回路39は、検出器25、26、および27から検出された光を分析するために、ならびにタッチスクリーンとそれに隣接する任意の近接場物体とのデジタル表現41(マップ)およびタッチスクリーンとそれに隣接する任意の接触物体のデジタル表現42(マップ)を生成するのに使用される。画像発生器40はオフパネルドライバ38に結合され、OLED表示画素22を制御するためのオフパネルドライバ38を制御して、表示のための画像を生成する。
【0022】
次に、図5に移って、バックプレーン21上の表示画素22のアレイ、発光器23および24、ならびに検出器25、26、および27の一部が示される。この場合、別個のオン−オフドライバ入力部43および44に接続される2つの行が示されている。両方の行の構成要素は、さらに、オンパネル制御回路37に接続される。図示のように、行の構成要素の各々は列ドライバ入力部45に接続される。1つの特定の行ドライバ入力部43または44を作動させるように選び、適切な列ドライバ入力部45を使用することによって、図示のように、特定の列のすべての構成要素が同じ列ドライバ入力部45に一緒に結合される場合でさえ、その行の構成要素の各々を制御することができる。
【0023】
このデバイスを使用して接触物体を決定することができる方法の1つの例が図5の上部の行(行ドライバ入力43に接続された)に示される。この場合、透明基板28の前面33で全内部反射される発光器23および24からの光(34、35)は通常のように検出器25および26に到達する。しかし、検出器26と27との間で透明基板28の前面33に接触している接触物体46が全反射光36を阻止し、その結果、全内部反射光36は検出器27に到達しない。したがって、発光器23および24からの光は検出器26に到達するが、検出器27には到達しないということは、光が検出器26と27との間にある接触物体46によって阻止されていることを意味する。上述の例は1つの行にのみ関して説明されたが、2次元アレイで同様の測定を行うことによって、例えば、1つの行のみの発光器をオンに切り替え、しかし、いくつかの隣接する行の検出器をオンにすることによって、より正確な2次元分析を行うのを可能にすることができることが明らかであろう。
【0024】
当然、上述したように、どれだけの量の光を受け取っているかと、光が増加または減少しているかどうかとを決定することによって、阻止された全内部反射光と反射光との間の差を決定し、それにより、どの発光器が接触物体によって「遮断」されているか、およびどの発光器が近接場物体によって反射された光を有しているかに関する情報を提供することができる。
【0025】
検出器ごとにその検出器で受け取った光がどの発光器から放出されたかを決定することによって、デバイスをより複雑な方法で使用して接触物体および近接場物体を決定することができる方法の第2の例。これは、発光器の各々から放出される光を異なる周波数で変調することによって達成することができる。この例では、2つの発光器23および24があるので、発光器23からの光は第1の矩形波47のように変調することができ、発光器24からの光は、第1の矩形波47の周波数の半分を有する第2の矩形波48のように変調することができる。第1および第2の矩形波47および48を組合せて組合せ波形49が生成される。したがって、どの変調波形が特定の検出器で受け取られているかに応じて、接触物体の位置を決定することができることが明らかであろう。さらに、組合せ波形が受け取られる場合、特に、2つを超える発光器があり、組合せ波形がいくつかの異なる発光器からの光を有する場合、適切な高域フィルタおよび低域フィルタを使用して光をフィルタ処理し、周波数ごとに受け取った、したがって異なる発光器の各々から受け取った光の量を決定することができる。
【0026】
検出器ごとに、特定の発光器からの光が受け取られているかどうかを決定した後、特定の行の発光器および検出器ごと(または他の組)の結果を与えるマトリクスを生成することができる。したがって、あるマトリクスを時間的に後で生成された別のマトリクスと比較することによって、近接場物体による光の反射に起因する変化および接触物体に起因する阻止を決定することができる。当然、全内部反射光が伝わることができる距離に応じて、発光器/検出器対のいくつかの結果は、対が非常に遠く離れている場合それらは全く明確でないことになるので無視することができることが明らかであろう。これにより、それぞれ任意の近接場物体および接触物体を示すタッチスクリーンのデジタル表現(マップ)を生成するのに処理回路によって分析される必要のあったマトリクス内のデータの量が低減されることになる。
【0027】
さらなる処理回路(図示せず)を使用してデジタル表現41および42を分析し、近接場物体および接触物体のサイズ、形状、および場所の時間分析を行うことができ、それらの横方向移動を決定することができることが理解されよう。近接場物体および接触物体とそれらの移動のデジタル表現を相関させることによって、処理回路は、近接場物体のうちのどれがタッチスクリーンの方に移動して接触物体になったか、およびどの接触物体がタッチスクリーンから遠ざかって近接場物体になったかを決定することができる。これにより、処理装置は、近接場物体の横方向移動を利用してコンピュータカーソルなどの仮想物体の移動を制御すること、および接触物体になるような近接場物体のタッチスクリーンの方への移動をカーソルの起動(すなわち「クリック」)として利用することができる。このように、このシステムは、近接場物体の移動によるカーソルの移動、または物体がタッチスクリーンに接触することによるカーソルの起動に応答することができる。
【0028】
本発明の2つの特定の実施形態のみが詳細に説明されたが、様々な均等な手段、変更、および改善が、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には直ちに明らかであるはずであることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5