(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のピクセルであって、その各々が少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力のある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、
(a)該電気光学ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義する値を含むデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供することと、
(b)該電気光学ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義する値を含むデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供することと、
(c)該電気光学ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義する値を含むデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供することであって、該最終データバッファにおける値、該初期データバッファにおける値、および該ターゲットデータバッファにおける値は、該電気光学ディスプレイの各ピクセルによって達成可能な二つの隣接する光学状態を定義する値が所定の差異を有するように配置され、該所定の差異は、正の値である、ことと、
(d)該初期データバッファにおけるデータと該最終データバッファにおけるデータとが異なる値を含むかどうかを決定し、そのような差異が見つけられた場合に、該ターゲットデータバッファにおける値を更新することであって、
(i)該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値とが同じである場合に、該ターゲットデータバッファにおける特定のピクセルに対する値を該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値に設定すること、
(ii)該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値が該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値より大きい場合に、該ターゲットデータバッファにおける特定のピクセルに対する値を、該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値から該所定の差異をマイナスした値に設定すること、および、
(iii)該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値が該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値より小さい場合に、該ターゲットデータバッファにおける特定のピクセルに対する値を、該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値に該所定の差異をプラスした値に設定すること
によって、該更新を行う、ことと、
(e)該初期データバッファにおけるデータと該ターゲットデータバッファにおけるデータとをそれぞれ各ピクセルの初期状態と最終状態として用いて、該電気光学ディスプレイ上のイメージを更新することと、
(f)ステップ(e)後、該ターゲットデータバッファから該初期データバッファに該データをコピーすることと、
(g)該初期データバッファのデータと該最終データバッファのデータとが同じ値を含むまで、ステップ(d)〜(f)を繰り返すことと
を包含する、方法。
複数のピクセルであって、その各々が少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成する能力のある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、
(a)該電気光学ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義する値を含むデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供することと、
(b)該電気光学ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義する値を含むデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供することと、
(c)該電気光学ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義する値を含むデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供することであって、該最終データバッファにおける値、該初期データバッファにおける値、および該ターゲットデータバッファにおける値は、該電気光学ディスプレイの各ピクセルによって達成可能な二つの隣接する光学状態を定義する値が所定の差異を有するように配置され、該所定の差異は、正の値である、ことと、
(d)該電気光学ディスプレイの各ピクセルに対する極性ビットを記憶するように構成された極性ビットアレイを提供することであって、各ピクセルは、第1の極限光学状態と、逆の第2の極限光学状態とを有し、各ピクセルに対する極性ビットの値は、それぞれのピクセルが該第1の極限光学状態から該第2の極限光学状態に現在遷移しているのか、それぞれのピクセルが該第2の極限光学状態から該第1の極限光学状態に現在遷移しているのかを示す、ことと、
(e)該初期データバッファにおけるデータと該最終データバッファにおけるデータとが異なる値を含むかどうかを決定し、そのような差異が見つけられた場合に、該極性ビットアレイにおける値と該ターゲットデータバッファにおける値とを更新することであって、
(i)該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値とが異なり、該初期データバッファにおける値が該ピクセルの該第1の極限光学状態および該第2の極限光学状態のうちの1つの極限光学状態を表す場合に、該ピクセルに対する極性ビットの値を、該ピクセルが、該第1の極限光学状態および該第2の極限光学状態のうちの該1つの極限光学状態から該第1の極限光学状態および該第2の極限光学状態のうちの他の極限光学状態に現在遷移していることを示すように設定すること、および、
(ii)該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値とが異なる場合に、該ターゲットデータバッファにおける特定のピクセルに対する値を、該初期データバッファの値に該所定の差異をプラスした値、または、該初期データバッファの値から該所定の差異をマイナスした値に設定することであって、該所定の差異をプラスするかマイナスするかは、ステップ(e)(i)において設定された該特定のピクセルに対する極性ビットの値に依存して、該ターゲットデータバッファにおける特定のピクセルに対する値を、該初期データバッファにおける特定のピクセルに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値との間になるように設定するようにする、こと
によって、該更新を行う、ことと、
(f)該初期データバッファにおけるデータと該ターゲットデータバッファにおけるデータとをそれぞれ、各ピクセルの初期状態と最終状態として用いて、該電気光学ディスプレイ上のイメージを更新することと、
(g)ステップ(f)後、該ターゲットデータバッファから該初期データバッファに該データをコピーすることと、
(h)該初期データバッファのデータと該最終データバッファのデータとが同じ値を含むまで、ステップ(e)〜(g)を繰り返すことと
を包含する、方法。
【背景技術】
【0002】
本出願は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に密接に関係しており、読者は、それらの特許文献によって、電気光学ディスプレイの駆動における最新技術の状況に関する背景情報を参照する。以下の記述は、これらの出願に対する親近性を与え、これらの出願は以下、便宜上総称的に、「MEDEOD」(MEthod for Driving Electro−Optic Displays(電気光学ディスプレイを駆動する方法))出願といい得る。
【0003】
電気光学材料は内部が液体または気体が充満した空間を有し得る、あるいはしばしば有しているけれども、本発明の方法が使用される電気光学ディスプレイは、該電気光学材料は固体の表面を有するという意味で固体である電気光学材料をしばしば含む。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは以下、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」といい得る。
【0004】
材料またはディスプレイに適用される「電気光学」という術語は、本明細書において、映像技術における従来の意味で使用され、少なくとも一つの光学特性において異なる第1のディスプレイ状態および第2のディスプレイ状態を有する材料を言い、その材料に電界を印加することにより、該材料は第1のディスプレイ状態から第2のディスプレイ状態に変化する。光学特性は、代表的には、人間の目に知覚できる色であるが、それは、他の光学特性、たとえば、光学透過、反射率、ルミネセンス、または、機械読取り用のディスプレイの場合は、可視光範囲外の電磁波長の反射率における変化という意味での擬似色などであり得る。
【0005】
「グレー状態」という術語は、本明細書において、ピクセルの二つの極限状態の中間状態を言う映像技術における従来の意味で使用され、これらの二つの極限状態間の黒白遷移の意味を必ずしも含まない。たとえば、以下で言及されるいくつかの特許および公開出願は、電気泳動ディスプレイをいい、このディスプレイでは、極限状態は、白および濃いブルーで、その結果、中間の「グレー状態」は実際には薄いブルーである。実際、既述のとおり、二つの極限状態間の遷移は、全く色の変化ではないことがあり得る。「グレーレベル」という術語は、本明細書で、二つの極限光学状態を含む、ピクセルの起こり得る光学状態を示すために使用される。
【0006】
「双安定な」および「双安定性」という術語は、本明細書において、少なくとも一つの光学特性において異なる第1および第2のディスプレイ状態を有するディスプレイエレメントを備えるディスプレイに関する技術分野における従来の意味で用いられ、そのディスプレイは、任意のエレメントが駆動された後に、有限持続時間のアドレスパルスによって、第1または第2のディスプレイ状態のいずれかにし、アドレスパルスが終了した後に、その状態を少なくとも何度か、たとえばディスプレイエレメントの状態を変化させるのに必要なアドレスパルスの最小持続時間である少なくとも4度、持続するようにする。特許文献6には、グレースケールが可能な粒子ベースのいくつかの電気泳動ディスプレイは、ディスプレイの極限黒白状態においてのみならず、中間のグレー状態においても安定していることが示され、このことは、電気光学ディスプレイのいくつかの他のタイプについても事実である。「双安定」という術語は、本明細書において、便宜上、双安定および多安定ディスプレイの両方を意味するために使用し得るけれども、このタイプのディスプレイは、双安定よりはむしろ「多安定」と適切に呼ばれる。
【0007】
「インパルス」という術語は、本明細書において、時間に対する電圧の積分である従来の意味において使用される。しかしながら、いくつかの双方向電気光学媒体は、電荷トランスデューサとして動作し、そのような媒体に関して、インパルスの代わりの定義、すなわち時間に対する電流の積分(印加された全電荷に等しい)が使用し得る。インパルスの適切な定義は、媒体が電圧−時間インパルストランスデューサとして動作するかまたは電荷インパルストランスデューサとして動作するかに応じて、使用されるべきである。
【0008】
下記の討議の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(これは初期グレーレベルと異なるかまたは異ならないかであり得る)への遷移によって、電気光学ディスプレイの一つ以上のピクセルを駆動する方法に焦点をあてる。「波形」という術語は、一つの特定の初期グレーレベルから特定の最終グレーレベルへの遷移を達成するために使用される、時間曲線に対する全電圧を示すために使用される。代表的には、下記に示すように、そのような波形は、複数の波形エレメントを備え、これらのエレメントは、本質的に矩形(すなわち、この場合、定められたエレメントはある期間、定電圧を印加する)である場合、エレメントは、「電圧パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。「駆動スキーム」という術語は、特定のディスプレイのためのグレーレベル間に起こり得るすべての遷移を達成するのに十分な波形の一式を示す。
【0009】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイは公知である。一つのタイプの電気光学ディスプレイは、回転二色メンバタイプであり、たとえば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15に記述されている。(このタイプのディスプレイは、しばしば「回転二色ボール」ディスプレイと言われるが、「回転二色メンバ」という術語は、上記の特許のいくつかにおいて回転メンバは球形ではないので、より正確であるとして好しい。)そのようなディスプレイは、異なる光学特性を有する二つ以上のセクションと内部双極子とを有する多数の小体(代表的には球形または円柱形)を使用する。これらの小体は、マトリクス内の液体で満たされた小胞内で漂わせられ、該小胞は、小体が自由に回転するように液体で満たされている。ディスプレイの表示は、それに電界を印加し、それによって、小体を種々の位置に回転させ、小体のどのセクションが視界表面を通して見られるかを変動させるように変化される。
【0010】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、電気クロム媒体、たとえば、ナノクロムフィルムの形式における電気クロム媒体を使用し、該ナノクロムフィルムは、少なくとも半導体金属酸化からの部分に形成された電極と、該電極に取り付けられた、可逆的な色の変化が可能な複数の色素分子とから形成される。たとえば、非特許文献1および非特許文献2を参照されたい。また非特許文献3も参照されたい。この種のタイプのナノクロムフィルムはまた、たとえば、特許文献16、特許文献17および特許文献18に記述されている。このタイプの媒体もまた、代表的には双安定である。
【0011】
長年、集中的な研究開発のテーマであった別のタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、このディスプレイにおいて、複数の荷電粒子は電界の影響の下で流体の中を動く。電気流動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良い輝度とコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低消費電力の属性を有し得る。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期間における画像品質に関する問題は、これらのディスプレイの広範囲の使用を妨げてきた。たとえば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈下する傾向があり、これらのディスプレイの不適切なサービス寿命という結果になる。
【0012】
上記から分かるように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体において、この流体は液体であるが、電気泳動媒体は、気体流体を使用して製作し得る。たとえば、非特許文献4および非特許文献5を参照されたい。また特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32も参照されたい。そのような気体ベースの電気泳動媒体が、粒子の沈下を許容するような向きで、たとえば、媒体が垂直面に配置される標識において使用されるとき、気体ベースの電気泳動媒体は、粒子沈下に起因する液体ベースの電気泳動媒体と同じ種類の問題を受けやすいように見える。実際、粒子沈下は、液体ベースの電気泳動媒体におけるより気体ベースの電気泳動媒体において、より深刻な問題であるように見える。理由は、液体流体に比較して気体流体の低い粘性は、電気泳動粒子のより急速な沈下を許容するからである。
【0013】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡されるかまたはそれらの名前でなされた多数の特許および出願は、最近公開され、カプセル化した電気泳動媒体を記述している。そのようなカプセル化した媒体は、多数の小さなカプセルを備え、そのカプセルの各々自身が、流体中で漂わせられた、電気泳動的に可動な粒子を含む内部相、および内部相を囲むカプセル壁を備える。典型的には、カプセル自体は、高分子バインダ内に保持され、2個の電極間に位置するコヒーレント層を形成する。この種のカプセル化した媒体は、たとえば、特許文献6、特許文献18、特許文献33〜167に記載されている。
【0014】
前述の特許及び特許出願の多くは、カプセル化した電気泳動媒体におけるディスクリート(discrete)なマイクロカプセルを囲む壁は、連続相によって置き換え得、従って、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生成することを認識しており、そのディスプレイでは、電気泳動媒体は、電気泳動流体の複数のディスクリート液滴およびポリマー材料の連続相を含んでいる。また、前述の特許および特許出願の多くは、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体のディスクリート液滴は、どのディスクリートカプセル膜も各個々の液滴と関連しないとしても、カプセルまたはマイクロカプセルとみなされ得ることを認識している。たとえば、前述の特許文献168を見られたい。従って、本出願の目的のため、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化した電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0015】
カプセル化した電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来の電気泳動デバイスのクラスタ化および沈下の不良モードの害を受けることがなく、広範囲の種々の柔軟で堅い基板上のディスプレイにプリントまたはコートする能力などのさらなるメリットを提供する。(「プリンティング」という単語の使用は、以下の技術を含むがこれらに限定されない。パッチダイコーティング、スロットまたは押出しコーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティングなどのプレメータ(pre−metered)コーティング;ナイフオーバロール(knife over roll)コーティング;前進後退ロールコーティングなどのロールコーティング;グラビアコーティング;ディップコーティング;スプレイコーティング;凹凸コーティング;スピンコーティング;ブラシコーティング;エアナイフコーティング;シルクスクリーンプリンティング処理;静電気プリンティング処理;熱プリンティング処理;インクジェットプリンティング処理;およびその他の類似の技術)従って、その結果ディスプレイは柔軟性がある。さらに、ディスプレイ媒体は、(種々の方法を使用して)プリントされ得るので、ディスプレイ自体は、安価に製作し得る。
【0016】
電気泳動ディスプレイの関連タイプは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子および流体は、カプセル内にカプセル化されないで、その代わり、典型的にはポリマーフィルムであるキャリア媒体内に形成される複数の空洞内に保持される。たとえば、両方ともSipix Imaging,Inc.に譲渡された特許文献169および特許文献170を見られたい。
【0017】
電気光学媒体のその他のタイプもまた、本発明のディスプレイにおいて使用し得る。
【0018】
電気泳動媒体は、しばしば不透明で(たとえば、多くの電気泳動媒体において、粒子は、ディスプレイを通した可視光線の透過を実質的にブロックするため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作られ、そのモードにおいて、一方のディスプレイ状態は実質的に不透明であり、他方の状態では、光透過である。たとえば、前述の特許文献42および特許文献43、および特許文献171、特許文献172、特許文献173、特許文献174、および特許文献175を見られたい。電気泳動ディスプレイと似ているが、電界強度の変動に依存する誘電気泳動ディスプレイは、同様なモードで動作し得る。特許文献176を見られたい。
【0019】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイの双安定または多安定動作、および同様の動作を表示するその他の電子光学ディスプレイ(そのようなディスプレイは、以下便宜上、「インパルス駆動ディスプレイ」という)は、従来の液晶(「LC」)ディスプレイの作用と著しい対称をなす。ツイストネマチック液晶動作は、双安定または多安定ではなく、電圧トランスデューサとして動作し、その結果、所定の電界をそのようなディスプレイのピクセルに印加すると、そのピクセルに以前存在したグレーレベルに拘わらず、ピクセルにおいて特定のグレーレベルが生成される。さらに、LCディスプレイは、一方向のみに駆動され(非透過または「暗」から透過または「明」へ)、明るい状態からより暗い状態への逆の遷移は、電界を減少または除去することによって達成される。最後に、LCディスプレイのピクセルのグレーレベルは、電界の極性に感知可能ではなく、振幅のみに感知可能で、また確かに技術的な理由で、市販のLCディスプレイは普通、駆動フィールドの極性を頻繁な間隔で逆にする。対照的に、双安定電子光学ディスプレイは、インパルストランスデューサとして、第一の近似値に向けて動作し、その結果、ピクセルの最終状態は、印加された電界およびこの電界に印加された時間に依存するのみならず、電界の印加の前のピクセルの状態にも依存する。
【0020】
そのようなインパルス駆動電気光学ディスプレイをアドレスする理想的な方法は、いわゆる「一般グレースケールイメージフロー」であることと最初は見えるかもしれない。その一般グレースケールイメージフローでは、コントローラは、各ピクセルがその初期グレーレベルから最終グレーレベルに直接に遷移するようにイメージの各書き込みを構成する。しかしながら、インパルス駆動ディスプレイ上のイメージ書き込みにおいてあるエラーが必然的にある。実際に遭遇するいくつかのそのようなエラーは以下のものを含む。
【0021】
(a)事前状態依存;少なくともいくつかの電気光学媒体に関して、ピクセルを新しい光学状態に切り替えるために必要なインパルスは、現在および要求される光学状態に依存するのみならず、ピクセルの以前の光学状態にも依存する。
【0022】
(b)休止時間依存;少なくともいくつかの電気光学媒体に関して、ピクセルを新しい光学状態に切り替えるために必要なインパルスは、ピクセルがその種々な光学状態にいた時間に依存する。この依存の正確な本質はよく理解されておらず、一般に、ピクセルが現在の光学状態に長くいればいるほど、より多くのインパルスが必要である。
【0023】
(c)温度依存;ピクセルを新しい光学状態に切り替えるのに必要なインパルスは、温度に非常に依存する。
【0024】
(d)湿度依存;ピクセルを新しい光学状態に切り替えるのに必要なインパルスは、電気光学媒体の少なくともいくつかのタイプに関して、周囲湿度に依存する。
【0025】
(e)機械的均一性;ピクセルを新しい光学状態に切り替えるのに必要なインパルスは、ディスプレイにおける機械的な変動、たとえば、電気光学媒体または関連ラミネーション接着剤の厚さにおける変動、によって影響され得る。機械的不均一性のその他のタイプは、媒体の異なる製造バッチ、製造耐性および材料変動の間における必然的な変動から発生し得る。
【0026】
(f)電圧エラー;ピクセルに印加された実際のインパルスは、ドライバによって供給された電圧における避けられないわずかなエラーのために、理論的に印加されたインパルスと必然的に異なる。
【0027】
一般グレースケールイメージフローは、「エラーの蓄積」現象を被る。たとえば、温度依存は、各遷移における正方向の0.2L
*エラーという結果になると想定されたい。(L
*は通常のCIE定義を有し、Rは反射率,R
0は標準反射率値であるとき、
L
*=116(R/R
0)
1/3−16)
50回の遷移後、このエラーは、10L
*まで蓄積される。たぶん、より現実的には、ディスプレイの理論的反射率と実際の反射率との間の差の観点から表される各遷移における平均エラーは、±0.2L
*である。100回の連続遷移後、ピクセルは、それらの2L
*の期待状態からの平均偏差を表示する。そのような偏差は、あるタイプのイメージに関して平均的な観察者にとってはっきりと見える。
【0028】
エラーの蓄積現象は、温度に起因するエラーに対して適用されるのみならず、上記にリストされたすべてのタイプのエラーにも適用される。前述の特許文献119において記述されているように、そのようなエラーを補償することは可能であるが、限定された正確度までのみである。たとえば、温度エラーは、温度センサおよびルックアップを使用することによって、補償し得るが、温度センサは、限定された分解能を有し、電気光学媒体の温度とわずかに異なる温度を読み取り得る。同様に、以前の状態の依存は、以前の状態を記憶することによって、および多次元遷移マトリクスを使用することによって補償され得るが、コントローラメモリは、記録され得る状態数、および記憶され得る遷移マトリクスのサイズを制限し、このタイプの補償の精度に対して制限を置く。
【0029】
従って、一般グレースケールイメージフローは、良い結果を出すために印加されたインパルスの非常に正確な制御を必要とし、経験的に、電気光学ディスプレイの技術の現在の状態において、一般グレースケールイメージフローは、市販のディスプレイにおいて実行不可能であることがわかっている。
【0030】
ほとんどすべての電気光学媒体は、固有のリセット(エラー制限)機構、すなわち、「光学レール」として機能する媒体の極限(典型的には、黒および白)光学状態、を有する。特定のインパルスが電気光学ディスプレイのピクセルに印加された後、そのピクセルは、より白い(またはより黒い)ものを得るることはできない。たとえば、カプセル化した電気泳動ディスプレイにおいて、特定のインパルスが印加された後、すべての電気泳動粒子は互いにまたはカプセルの壁にぶつけられ、それ以上動けなくなってしまい、従って、制限する光学状態あるいは光学レールを生成する。そのような媒体では電気泳動粒子サイズおよび電荷の分布があるので、いくつかの粒子は他の粒子より先にレールにぶつかり、「柔らかいレール」現象を作り、それによって、遷移の最終光学状態が極限の黒および白の状態に近づくとき、必要とされるインパルス精度は減少され、一方、必要とされる光学精度は、ピクセルの光学範囲の中央に近いところで終了する遷移において劇的に増加する。
【0031】
光学レールのメリットを有する、電気光学ディスプレイ用の種々の駆動スキームは公知である。たとえば、前述の特許文献119の
図9および10、およびパラグラフ[0177]〜[0180]における関連記述は、「スライドショー」駆動スキームを記述し、「スライドショー」駆動スキームにおいて、ディスプレイ全体は、新しいイメージが書き込まれる前に少なくとも一つの光学レールに駆動される。明らかに、純粋な一般グレースケールイメージフロー駆動スキームは、グレーレベルにおけるエラーを防ぐために光学レールを使用することに頼り得ない。理由は、そのような駆動スキームにおいて、任意のピクセルは、どちらの光学レールにも一切触れずにグレースケールにおける無限大の数の変化を受け得るからである。
【0032】
さらに進む前に、スライドショー駆動スキームをより正確に定義することが望ましい。基本的なスライドショー駆動スキームは、初期光学状態(グレーレベル)から最終(所望の)光学状態(グレーレベル)への遷移は有限数の中間状態に遷移を行うことによって達成され、この場合中間状態の最小数は1である、ということである。好適には、中間状態は、使用される電気光学媒体の極限状態かまたはその近辺にあることである。遷移はディスプレイにおけるピクセルによって異なる。理由は、遷移は初期および最終光学状態に依存するからである。ディスプレイの所定のピクセルのための特定の遷移用の波形は、下記のとおり表される。初期光学状態R
2と最終光学状態R
1との間に少なくとも一つの中間またはゴール状態があるとき、
R
2→ゴール
1→ゴール
2→・・・→ゴール
n→R
1(スキーム1)
である。ゴール状態は、一般に、初期および最終光学状態の関数である。中間状態の現在好適な数は2であるが、それより多いまたは少ない数の中間状態が使用し得る。全体遷移内の個々の遷移の各々は、ピクセルをシーケンスの一つの状態から次の状態に駆動するに十分な波形エレメント(代表的には、電圧パルス)を使用して達成される。たとえば、上記の記号的に示される波形において、R
2からゴール
1への遷移は、代表的には、波形エレメントまたは電圧パルスを使用して達成される。この波形エレメントは、有限時間の単一電圧(すなわち、単一電圧パルス)を有し得、または正確なゴール
1状態が達成されるように種々の電圧を含み得る。この波形エレメントの後に、ゴール
1からゴール
2への遷移を達成するために、第2の波形エレメントが続く。二つのゴール状態のみが使用された場合、第2の波形エレメントの後に第3の波形エレメントが続き、第3の波形エレメントは、ピクセルをゴール
2状態から最終光学状態R
1へ駆動する。ゴール状態は、R
2およびR
1の両方と無関係であり得、または一つまたは両方に依存し得る。
【0033】
本発明は、グレーレベルの改善した制御を達成する電気光学ディスプレイ用の改善したスライドショー駆動スキームを提供しようとする。本発明は、特にしかし専用ではないが、パルス幅変調駆動スキームにおける使用を意図されており、パルス幅変調駆動スキームにおいて、ディスプレイの任意の所定のピクセルに任意の所定の時間に印加される電圧は、Vが任意の電圧であるとき、−V、0、または+Vのみであり得る。より特定的には、本発明は、スライドショー駆動スキームにおける二つの明確な改善タイプ、すなわち、(a)ある修正エレメントをそのような駆動スキーム用のベース波形へ挿入すること、および(b)少なくともあるグレーレベルが、所望のグレーレベルよりさらなる光学レールからアプローチされるように駆動スキームを配置すること、に関する。
【0034】
別の側面において、本発明は、電気光学ディスプレイ用の駆動スキームにおける休止時間補償に関する。MEDEOD出願において討議されたように、少なくとも多くの粒子ベースの電気光学ディスプレイの場合において、(人間の目または標準の光学装置にり判定される)グレースケールにおける同等の変化によって所定のピクセルを変化させるのに必要なインパルスは、必ずしも定数ではないし、交換可能(commutative)でもないことが判明した。たとえば、各ピクセルが、0(白)、1、2または3(黒)のグレーレベルを有益的にはスペースを空けて、表示し得るディスプレイを考慮されたい。(レベル間のスペースは、目または器具によって測定されように、パーセント反射率においてリニアであるが、他のスペースも使用し得る。たとえば、スペースは、L
*においてリニアであり得、または特定のガンマを提供するために選択し得、2.2ガンマはしばしばモニタ用に採用され、電気光学ディスプレイがモニタの代替として使用される場合、同様なガンマが使用されるのが望ましい。)ピクセルをレベル0からレベル1に変化させるのに必要なインパルス(以下便宜上「0−1遷移」という)は、1−2または2−3遷移に必要なインパルスとしばしば同じではないことが判明した。さらに1−0遷移に必要なインパルスは、0−1遷移に必要なインパルスの逆と必ずしも同じではない。さらに、いくつかのシステムは、(たとえば)0−1遷移に必要なインパルスは特定のピクセルが0−0−1、1−0−1、または3−0−1遷移を受けるどうかに多少従って変動するように、「メモリ」効果を表示するように見える。(表記「x−y−z」は、x、y、およびzがすべて、光学状態0、1、2、または3であるとき、時間シーケンシャルに行われる光学状態のシーケンスを示す。)これらの問題は、必要とするピクセルを他の状態に駆動する前に、実質的な期間にディスプレイのすべてのピクセルを極限状態の一つに駆動することによって、減少または解決し得るが、その結果生じる濃い色の「フラッシュ」は、しばしば許容し得ない。たとえば、電子本の読者は、本の本文をスクリーン上でスクロールダウンすることを望み得、ディスプレイが頻繁に濃い黒または白をフラッシュする必要がある場合、注意をそらされ得、または、位置を失い得る。さらに、ディスプレイのそのようなフラッシュは、ディスプレイのエネルギ消費を増加し、ディスプレイの動作寿命を短縮し得る。最後に、少なくともある場合において、特定の遷移に必要なインパルスは、温度およびディスプレイの全動作時間によって影響されること、および、正確なグレースケール実行を確実にするために、これらの要因を補償することが望ましいことが判明した。
【0035】
簡単に上記したように、少なくともいくつかの場合において、双安定電子光学ディスプレイにおける所定の遷移に必要なインパルスは、ピクセルの光学状態におけるピクセルの滞留時間と共に変動することが判明し、「休止時間感度」という術語はいくつかの従来の文書において使用されたが、この現象は、以下「休止時間依存」または「DTD」という。従って、ピクセルの初期光学状態におけるピクセルの休止時間の関数として所定の遷移のために印加されるインパルスを変動することは望ましく、または実際のいくつかの場合において、必要でさえあり得る。
【0036】
休止時間依存の現象はここで、添付図面の
図1を参照して、より詳細に説明される。
図1は、R
3→R
2→R
1で示される遷移のシーケンスの時間の関数であるピクセルの反射率を示す。このとき(上記に使用された名称を一般化すると)、R
k術語の各々は、グレーレベルのシ−ケンスにおけるグレーレベルを示し、より大きい指数を有するRは、より小さい指数を有するRの前に発生する。また、R
3とR
2との間およびR
2とR
1との間の遷移も示される。DTDは、休止期間といわれる光学状態R
2において費やされる時間における変動によって引き起こされる最終光学状態R
1の変動である。異なる休止時間の異なる波形または以前の光学状態における休止時間の異なる範囲を選ぶことによって、DTDを補償し得る。補償のこの方法は、「休止時間補償」、「DTC」、または単に「時間補償」と呼ばれる。
【0037】
しかしながら、そのようなDTCは、駆動スキームの他の望ましい特性と対立し得る。特に、MEDEOD出願において詳細に討議された理由によって、多くの電気光学ディスプレイに関して、同じ光学状態において開始し終了する任意のシリーズの遷移に対して、印加されるインパルス(すなわち、時間に対する印加される電圧の積分)は0であるという意味で、使用される駆動スキームは直流(DC)平衡であることを確実にすることが非常に望ましい。このことは、ディスプレイの任意のピクセルが受けるネットインパルス(「DC不平衡」とも呼ばれる)が、そのピクセルが受ける遷移の正確なシリーズに関係なく、既知値によって定められることを保証する。たとえば、15V、300ミリ秒パルスは、ピクセルを白から黒へ駆動するために使用され得る。この遷移後に、ピクセルは、4.5V秒のDC不平衡インパルスを受ける。ピクセルを白に戻すよう駆動するために−15V、300ミリ秒のパルスが使用される場合、ピクセルは、白から黒へ、および白への戻りの全エクスカーションについてDC平衡である。このDC平衡は、一つの最初の光学状態から、その最初の光学状態と同じか異なるシリーズの光学状態への、その後最初の光学状態へ戻る、すべての起こり得るエクスカーションの間、持続する。
【0038】
駆動スキームは、電圧特徴をベース駆動スキームに追加またはそこから除去することによって、休止時間補償され得る。たとえば、1つは、2光学状態(黒と白)ディスプレイ用の駆動スキームで開始し得、駆動スキームは、次の4つの波形を含む。
【0039】
【表1】
この駆動スキームは、DC平衡である。理由は、ピクセルをその最初の光学状態に戻す任意のシリーズの遷移はDC平衡、すなわち、遷移の全シリーズに対する電圧プロファイルの下でのネット領域は0であるからである。
【0040】
光学エラーは、ディスプレイのDTDから発生し得る。たとえば、ピクセルは、白状態において開始し、黒状態に駆動し、一次休止し、その後白状態に戻り得る。最終の白状態反射率は、黒状態において費やされた時間の関数である。
【0041】
非常に小さいDTDを有することは望ましい。このことが特定の電子光学ディスプレイにおいて可能でない場合、本発明の一側面に従って、前の光学状態における休止時間の異なる範囲に対して異なる波形を選択することによって、DTDを補償することが望ましい。たとえば、今の例における最終白状態が、前の黒状態における長い休止時間後より前の黒状態における短い休止時間後において、明るいことが判明し得る。一つの休止時間補償スキームは、最終光学状態のこのDTDを減殺するためにピクセル層を黒から白にするパルスの持続時間を修正することである。たとえば、前の黒状態における休止時間が短いとき、黒から白への遷移におけるパルス長を短くし得、前の黒状態における長い休止時間に対して、パルスを長い状態に維持し得る。これは、より短い前の状態の休止時間に対してより暗い白を生成する傾向があり、このことはDTDの影響を減殺する。たとえば、下記表2に従い黒状態における休止時間と共に変動する黒から白への波形を選び得る。
【0042】
【表2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】国際公開第05/054933号パンフレット
【特許文献2】国際公開第05/006290号パンフレット
【特許文献3】国際公開第04/090857号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/107315号パンフレット
【特許文献5】国際公開第03/044765号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0180687号明細書
【特許文献7】米国特許第5,808,783号明細書
【特許文献8】米国特許第5,777,782号明細書
【特許文献9】米国特許第5,760,761号明細書
【特許文献10】米国特許第6,054,071号明細書
【特許文献11】米国特許第6,055,091号明細書
【特許文献12】米国特許第6,097,531号明細書
【特許文献13】米国特許第6,128,124号明細書
【特許文献14】米国特許第6,137,467号明細書
【特許文献15】米国特許第6,147,791号明細書
【特許文献16】米国特許第6,301,038号明細書
【特許文献17】国際公開第01/27690号パンフレット
【特許文献18】米国特許出願公開第2003/0214695号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第1,429,178号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第1,462,847号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第1,482,354号明細書
【特許文献22】欧州特許出願公開第1,484,625号明細書
【特許文献23】国際公開第04/090626号パンフレット
【特許文献24】国際公開第04/079442号パンフレット
【特許文献25】国際公開第04/077140号パンフレット
【特許文献26】国際公開第04/059379号パンフレット
【特許文献27】国際公開第04/055586号パンフレット
【特許文献28】国際公開第04/008239号パンフレット
【特許文献29】国際公開第04/006006号パンフレット
【特許文献30】国際公開第04/001498号パンフレット
【特許文献31】国際公開第03/091799号パンフレット
【特許文献32】国際公開第03/088495号パンフレット
【特許文献33】米国特許第5,930,026号明細書
【特許文献34】米国特許第5,961,804号明細書
【特許文献35】米国特許第6,017,584号明細書
【特許文献36】米国特許第6,067,185号明細書
【特許文献37】米国特許第6,118,426号明細書
【特許文献38】米国特許第6,120,588号明細書
【特許文献39】米国特許第6,120,839号明細書
【特許文献40】米国特許第6,124,851号明細書
【特許文献41】米国特許第6,130,773号明細書
【特許文献42】米国特許第6,130,774号明細書
【特許文献43】米国特許第6,172,798号明細書
【特許文献44】米国特許第6,177,921号明細書
【特許文献45】米国特許第6,232,950号明細書
【特許文献46】米国特許第6,249,271号明細書
【特許文献47】米国特許第6,252,564号明細書
【特許文献48】米国特許第6,262,706号明細書
【特許文献49】米国特許第6,262,833号明細書
【特許文献50】米国特許第6,300,932号明細書
【特許文献51】米国特許第6,312,304号明細書
【特許文献52】米国特許第6,312,971号明細書
【特許文献53】米国特許第6,323,989号明細書
【特許文献54】米国特許第6,327,072号明細書
【特許文献55】米国特許第6,376,828号明細書
【特許文献56】米国特許第6,377,387号明細書
【特許文献57】米国特許第6,392,785号明細書
【特許文献58】米国特許第6,392,786号明細書
【特許文献59】米国特許第6,413,790号明細書
【特許文献60】米国特許第6,422,687号明細書
【特許文献61】米国特許第6,445,374号明細書
【特許文献62】米国特許第6,445,489号明細書
【特許文献63】米国特許第6,459,418号明細書
【特許文献64】米国特許第6,473,072号明細書
【特許文献65】米国特許第6,480,182号明細書
【特許文献66】米国特許第6,498,114号明細書
【特許文献67】米国特許第6,504,524号明細書
【特許文献68】米国特許第6,506,438号明細書
【特許文献69】米国特許第6,512,354号明細書
【特許文献70】米国特許第6,515,649号明細書
【特許文献71】米国特許第6,518,949号明細書
【特許文献72】米国特許第6,521,489号明細書
【特許文献73】米国特許第6,531,997号明細書
【特許文献74】米国特許第6,535,197号明細書
【特許文献75】米国特許第6,538,801号明細書
【特許文献76】米国特許第6,545,291号明細書
【特許文献77】米国特許第6,580,545号明細書
【特許文献78】米国特許第6,639,578号明細書
【特許文献79】米国特許第6,652,075号明細書
【特許文献80】米国特許第6,657,772号明細書
【特許文献81】米国特許第6,664,944号明細書
【特許文献82】米国特許第6,680,725号明細書
【特許文献83】米国特許第6,683,333号明細書
【特許文献84】米国特許第6,704,133号明細書
【特許文献85】米国特許第6,710,540号明細書
【特許文献86】米国特許第6,721,083号明細書
【特許文献87】米国特許第6,724,519号明細書
【特許文献88】米国特許第6,727,881号明細書
【特許文献89】米国特許第6,738,050号明細書
【特許文献90】米国特許第6,750,473号明細書
【特許文献91】米国特許第6,753,999号明細書
【特許文献92】米国特許第6,816,147号明細書
【特許文献93】米国特許第6,819,471号明細書
【特許文献94】米国特許第6,822,782号明細書
【特許文献95】米国特許第6,825,068号明細書
【特許文献96】米国特許第6,825,829号明細書
【特許文献97】米国特許第6,825,970号明細書
【特許文献98】米国特許第6,831,769号明細書
【特許文献99】米国特許第6,839,158号明細書
【特許文献100】米国特許第6,842,167号明細書
【特許文献101】米国特許第6,842,279号明細書
【特許文献102】米国特許第6,842,657号明細書
【特許文献103】米国特許第6,864,875号明細書
【特許文献104】米国特許第6,865,010号明細書
【特許文献105】米国特許第6,866,760号明細書
【特許文献106】米国特許第6,870,661号明細書
【特許文献107】米国特許第6,900,851号明細書
【特許文献108】米国特許第6,922,276号明細書
【特許文献109】米国特許出願公開第2002/0060321号明細書
【特許文献110】米国特許出願公開第2002/0063661号明細書
【特許文献111】米国特許出願公開第2002/0090980号明細書
【特許文献112】米国特許出願公開第2002/0113770号明細書
【特許文献113】米国特許出願公開第2002/0130832号明細書
【特許文献114】米国特許出願公開第2003/0011560号明細書
【特許文献115】米国特許出願公開第2003/0020844号明細書
【特許文献116】米国特許出願公開第2003/0025855号明細書
【特許文献117】米国特許出願公開第2003/0102858号明細書
【特許文献118】米国特許出願公開第2003/0132908号明細書
【特許文献119】米国特許出願公開第2003/0137521号明細書
【特許文献120】米国特許出願公開第2003/0222315号明細書
【特許文献121】米国特許出願公開第2004/0012839号明細書
【特許文献122】米国特許出願公開第2004/0014265号明細書
【特許文献123】米国特許出願公開第2004/0027327号明細書
【特許文献124】米国特許出願公開第2004/0075634号明細書
【特許文献125】米国特許出願公開第2004/0094422号明細書
【特許文献126】米国特許出願公開第2004/0105036号明細書
【特許文献127】米国特許出願公開第2004/0112750号明細書
【特許文献128】米国特許出願公開第2004/0119681号明細書
【特許文献129】米国特許出願公開第2004/0136048号明細書
【特許文献130】米国特許出願公開第2004/0155857号明細書
【特許文献131】米国特許出願公開第2004/0180476号明細書
【特許文献132】米国特許出願公開第2004/0190114号明細書
【特許文献133】米国特許出願公開第2004/0196215号明細書
【特許文献134】米国特許出願公開第2004/0226820号明細書
【特許文献135】米国特許出願公開第2004/0239614号明細書
【特許文献136】米国特許出願公開第2004/0252360号明細書
【特許文献137】米国特許出願公開第2004/0257635号明細書
【特許文献138】米国特許出願公開第2004/0263947号明細書
【特許文献139】米国特許出願公開第2005/0000813号明細書
【特許文献140】米国特許出願公開第2005/0001812号明細書
【特許文献141】米国特許出願公開第2005/0007336号明細書
【特許文献142】米国特許出願公開第2005/0007653号明細書
【特許文献143】米国特許出願公開第2005/0012980号明細書
【特許文献144】米国特許出願公開第2005/0017944号明細書
【特許文献145】米国特許出願公開第2005/0018273号明細書
【特許文献146】米国特許出願公開第2005/0024353号明細書
【特許文献147】米国特許出願公開第2005/0035941号明細書
【特許文献148】米国特許出願公開第2005/0041004号明細書
【特許文献149】米国特許出願公開第2005/0062714号明細書
【特許文献150】米国特許出願公開第2005/0067656号明細書
【特許文献151】米国特許出願公開第2005/0078099号明細書
【特許文献152】米国特許出願公開第2005/0105159号明細書
【特許文献153】米国特許出願公開第2005/0122284号明細書
【特許文献154】米国特許出願公開第2005/0122306号明細書
【特許文献155】米国特許出願公開第2005/0122563号明細書
【特許文献156】米国特許出願公開第2005/0122564号明細書
【特許文献157】米国特許出願公開第2005/0122565号明細書
【特許文献158】米国特許出願公開第2005/0151709号明細書
【特許文献159】米国特許出願公開第2005/0152022号明細書
【特許文献160】国際公開第99/67678号パンフレット
【特許文献161】国際公開第00/05704号パンフレット
【特許文献162】国際公開第00/38000号パンフレット
【特許文献163】国際公開第00/36560号パンフレット
【特許文献164】国際公開第00/67110号パンフレット
【特許文献165】国際公開第00/67327号パンフレット
【特許文献166】国際公開第01/07961号パンフレット
【特許文献167】国際公開第03/107,315号パンフレット
【特許文献168】米国特許出願公開第2002/0131147号明細書
【特許文献169】国際公開第02/01281号パンフレット
【特許文献170】米国特許出願公開第2002/0075556号明細書
【特許文献171】米国特許第5,872,552号明細書
【特許文献172】米国特許第6,144,361号明細書
【特許文献173】米国特許第6,271,823号明細書
【特許文献174】米国特許第6,225,971号明細書
【特許文献175】米国特許第6,184,856号明細書
【特許文献176】米国特許第4,418,346号明細書
【非特許文献】
【0044】
【非特許文献1】O’Regan,B.ら、Nature 1991,353,737
【非特許文献2】Wood,D.,Information Display,18(3),24(March 2002)
【非特許文献3】Bach,U.らAdv.Mater.,2002,14(11),845
【非特許文献4】Kitamura,T.ら、“Electrical tonermovement for electronic paper-like display”,IDW Japan,2001,Paper HCS1−1
【非特許文献5】Yamaguchi,Y.ら、“Toner display using insulative particles charged triboelectrically”,IDW Japan,2001,Paper AMD4−4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
駆動スキームのDTCへのアプローチについての問題は、駆動スキームは全体として、もはやDC平衡ではない。黒から白への遷移に対するインパルスは、黒状態において費やされた時間の関数であり、同様に、白から黒への遷移に対するインパルスは、白状態における休止時間の関数であり得るので、黒、白、黒へのシーケンスにわたるネットインパルスは、一般に、DC平衡ではない。たとえば、このシーケンスが、280ミリ秒=−4.2V秒インパルスに対して−15Vの電圧パルスを使用した、黒における短い休止時間後に黒から白への遷移によって、またその後の、6V秒のインパルスに対して400ミリ秒間15Vの電圧パルスを使用した、白状態における長い休止後に白から黒への遷移によって、実行されると、想定されたい。このシーケンス(黒―白―黒ループ)におけるネットインパルスは、−4.2V秒+6V秒=−1.8V秒である。このループを繰り返すことによって、DC不平衡の立ち上がりがなされ、このDC不平衡はディスプレイの性能に有害であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0046】
このように、本発明のこの側面は、波形または駆動スキームのDC平衡を保つDC平衡波形または駆動スキームの休止時間補償の方法を提供する。
【0047】
本発明の別の側面は、ユーザ入力に対して迅速な応答が可能な電気光学ディスプレイを駆動するための方法と装置に関する。前述のMEDEOD出願は電気光学ディスプレイを駆動するいくつかの方法とコントローラを記述する。これらの方法とコントローラのほとんどは、二つのイメージバッファを有するメモリを利用し、第1のイメージバッファは、第1または初期イメージ(ディスプレイの遷移の最初または再書き込み時に存在する)を記憶し、第2のイメージバッファは、最終イメージを記憶し、第2のバッファは、再書き込み後、最終イメージをディスプレイに置くことを要求する。コントローラは初期と最終のイメージを比較し、それらが異なる場合、駆動電圧をディスプレイの種々のピクセルに印加し、その駆動電圧は、再書き込み(代わりに更新と呼ばれる)の最後に、最終イメージがディスプレイ上に形成されるように、ピクセルが光学状態における変化を受けるようにする。
【0048】
しかしながら、前述の方法およびコントローラのほとんどにおいて、一旦更新が開始されると、更新が完了するまで、メモリはいかなる新しいイメージデータも受付けできないという意味で、更新動作は「アトミック」である。このことは、更新が達成されるまでコントローラはユーザ入力に応答しないので、たとえば、キーボードまたは同様なデータ入力装置を介してユーザ入力を受け付けるアプリケーションのためにディスプレイを使用することが要求されているとき、困難を引き起こす。二つの極限光学状態間の遷移が数百ミリ秒を要し得る電気泳動媒体に関して、この不応答期間は約800ミリ秒〜約1800ミリ秒で変動し得、この期間の大部分は電気光学材料によって必要とされる更新サイクルに帰せられる。不応答期間の持続時間は、更新時間を増加させるいくつかの性能アーチフェクトを除去することによって、また電気光学材料の応答速度を向上することによって、減少し得るけれども、そのような技術のみでは、不応答期間を約500ミリ秒以下に減少させることはありそうにない。これでも、対話アプリケーション、たとえば、ユーザはユーザ入力に対して迅速な応答を期待する電子辞書において望ましい時間より長い。従って、不応答期間を減少したイメージ更新方法およびコントローラの必要がある。
【0049】
本発明のこの側面は、不応答期間の持続時間を減少するために、非同期イメージ更新のコンセプトを利用する。(Zhouらによる論文、「Driving an Active Matrix Electrophoretic Display」,Proceedings of the SID 2004による論文を見られたい)この論文に記述された方法は、コントローラの複雑さとメモリ要求におけるほんのわずかの増加で、不応答期間を、従来技術の方法およびコントロ−ラと比較して最大65パーセント減らすために、グレースケールイメージディスプレイ用に開発された構造を使用する。
【0050】
最後に本発明は、駆動スキームを定義するために使用されるデータが特別な方法で圧縮される電子光学ディスプレイを駆動するための方法および装置に関する。前述のMEDEOD出願は、使用される駆動スキーム(あるいは複数の駆動スキーム)を定義するデータは一つ以上のルックアップ表(「LUT」)に記憶される電子光学ディスプレイを駆動するための方法および装置を記述する。そのようなLUTは、もちろん、各駆動スキームの各波形のための波形を定義するデータを含まなければならず、単一の波形は、代表的には、複数バイトを必要とする。MEDEOD出願に記述されるように、LUTは、温度、湿度、媒体の動作時間などの係数の調整と共に、2つ以上の光学状態を考慮に入れるべきであり得る。従って、波形情報を保持するに必要なメモリ量は、重要であり得る。ディスプレイコントローラのコストを減らすため波形情報に割り当てられたメモリ量を減らすことが望ましい。ディスプレイコントローラまたはホストコンピュータに現実的に収容され得る簡単な圧縮スキームは、ディスプレイコントローラのコストを減らすことにおいて助けとなる。本発明は、電気光学ディスプレイに対して特にメリットがあるように見える簡単な圧縮スキームに関する。
【0051】
従って、一つの側面において、本発明は、二つの極限光学状態を含む少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成する能力のある少なくともひとつのピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。この方法は、ベース波形をピクセルに印加することを包含し、該ベース波形は、極限の光学状態の一つにまたはその近くにピクセルを駆動するのに十分な少なくとも一つのリセットパルスと、それに続く上記の一つの極限光学状態とは異なるグレーレベルにピクセルを駆動するに十分な少なくとも一つのセットパルスとを備えている。しかしながら、ベース波形は、次の少なくとも一つによって修正される。
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアをベース波形に挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアをベース波形から削除すること
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間をベース波形に挿入すること
ここにおいて、「平衡パルスペア」は、平衡パルスペアの全インパルスが実質的に0になるような、一連の逆極性の二つのパルスを示す。
【0052】
以下便宜上、本発明の方法は、本発明の「平衡パルスペアスライドショー」または「BPPSS」方法という。そのような方法が、少なくとも一つの平衡パルスペア(「BPP」)の挿入または削除によるベース波形の修正を含むとき、平衡パルスペアの二つのパルスは各々、定電圧であるが、逆極性であり、長さが等しい。ベース波形の修正が少なくとも一つのBPPの削除を含むとき、該各削除されたBPPによって占められるベース波形における期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられ得る。代わりに、ベース波形の他のエレメントは、以前に該各削除されたBPPによって占められた期間を占めるように時間的にシフトされ得、ゼロ電圧の期間は、該各削除されたBPPによって占められた時点とは異なる時点で挿入され得る。
【0053】
本発明のBPPSS方法の好適な形式において、ベース波形は、連続して、ピクセルをその極限光学状態の一つかまたはその近くに駆動するに十分な第一のリセットパルスと、ピクセルをその他の極限光学状態の一つにまたはその近くに駆動するに十分な第二のリセットパルスと、少なくとも一つのセットパルスとを備える。
【0054】
BPPSS方法は、電圧変調、パルス幅変調またはその両方が可能な駆動回路網を使用して実行され得る。しかしながら、Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+Vまたは−Vの電圧をピクセルに任意の時点に印加するトライレベル駆動スキームに対して特に有用であることが判明している。
【0055】
下記の詳細に説明される理由によって、BPPSS方法において、ベース波形に対する修正の合計数(挿入されたまたは削除された平衡パルスペア、およびゼロ電圧の挿入された期間の合計数)は、制限することが望ましい。一般に、修正のこの合計数は、6を越えず、望ましくは4を越えず、好適には2を越えない。
【0056】
前述のMEDEOD出願において討議されたように、本発明のBPPSS方法はDC平衡であることが望ましく、できる限り、使用される駆動スキームの各個々の波形もDC平衡であることが望ましい。
【0057】
本発明のBPPSS方法は、上記に討議された任意のタイプの電気光学ディスプレイと共に使用し得る。従って、ディスプレイは、たとえば、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備え得る。代わりに、ディスプレイは、流体において複数の帯電した粒子であって、流体に電界が印加されると流体内を動く能力がある複数の粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備え得る。このタイプのディスプレイにおいて、流体は、気体または液体であり得る。荷電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められ得る。
【0058】
本発明は、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路または本発明のBPPSS方法を実行するように構成されたソフトウェアコ−ドに拡張し得る。
【0059】
別の側面において、本発明は、複数のピクセルであって、各ピクセルが二つの極限光学状態を含む4つの異なるグレーレベルを達成する能力がある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、この方法は、各ピクセルに波形を印加することを包含し、該波形は、極限の光学状態の一つにまたはその近くにピクセルを駆動するのに十分なリセットパルスと、それに続く上記の一つの極限光学状態とは異なる最終グレーレベルにピクセルを駆動するに十分なセットパルスとを備えている。この場合、リセットパルスは、該セットパルスの直前のディスプレイ上のイメージが実質的に、セットパルスに続く最終イメージの逆モノクロ投影であるように、選ばれる。
【0060】
以下便宜上、本発明のこの方法は、本発明の「逆モノクロ投影」または「IMP」方法という。下記にさらに詳しく説明されるように、グレースケールイメージのモノクロ投影は、投影であり、その投影において、グレースケールイメージにおけるすべてのピクセルであって、一つの極限光学状態、または所定の閾値(たとえば、白または薄いグレーピクセル)よりその極限光学状態に近いグレー状態にあるピクセルは、その極限光学状態(たとえば、白)またはそれに近い状態に変更され、一方、逆極限光学状態または所定の閾値(たとえば、黒または濃いグレーピクセル)よりその逆極限光学状態に近いグレー状態にあるピクセルは、その逆極限光学状態(たとえば、黒)またはそれに近い状態に変更される。逆モノクロ投影は、モノクロ投影の反対である。
【0061】
本発明のIMP方法の好適な形式において、波形が各ピクセルに印加され、該波形は、各ピクセルをその極限光学状態の一つにまたはその近くに駆動するに十分な第一のリセットパルスと、各ピクセルをもう一方の極限光学状態の一つにまたはその近くに駆動するに十分な第二のリセットパルスと、セットパルスとを備えており、第一のリセットパルスは、第二のリセットパルスの直前のディスプレイ上のイメージが実質的に、セットパルスに続く最終イメージのモノクロ投影であるように、選ばれる。
【0062】
IMP方法において、波形は以下によって修正され得る。
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアを波形に挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアを波形から削除すること
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間を波形に挿入すること
「平衡パルスペア」は、上記に定義されたとおりである。そのような修正された波形において、平衡パルスペアの二つのパルスは各々、定電圧であり得るが、逆極性で、長さが等しい。ベース波形の修正が少なくとも一つのBPPの削除を含むとき、各削除されたBPPによって占められるベース波形における期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられ得る。代わりに、ベース波形の他のエレメントは、以前に該各削除されたBPPによって占められた期間を占めるように時間的にシフトされ得、ゼロ電圧の期間は、該各削除されたBPPによって占められた時点とは異なる時点で挿入され得る。
【0063】
BPPSS方法に関するように、本発明のIMP方法は、電圧変調、パルス幅変調またはその両方が可能な駆動回路網を使用して実行され得る。しかしながら、IMP方法は、Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+Vまたは−Vの電圧をピクセルに任意の時点に印加するトライレベル駆動スキームに対して特に有用であることが判明している。また、BPPSS方法に関するように、IMP方法は、上記に討議された電気光学ディスプレイの任意のタイプと共に使用し得る。従って、たとえば、ディスプレイは、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備え得る。代わりに、ディスプレイは、流体において複数の帯電した粒子であって、流体に電界が印加されたとき流体内を動く能力がある複数の粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備え得る。このタイプのディスプレイにおいて、流体は、気体または液体であり得る。荷電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められ得る。
【0064】
本発明は、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路または本発明のIMP方法を実行するように構成されたソフトウェアコ−ドに拡張し得る。
【0065】
別の側面において、本発明は、少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力がある少なくとも一つのピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。少なくとも二つの異なる波形は、遷移が開始される状態におけるピクセルの休止時間の持続時間による、特定のグレーレベル間における同じ遷移に使用され、これらの二つの波形は、以下の少なくとも一つによって互いに異なる。
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアを挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアを削除すること
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間を挿入すること
ここにおいて、「平衡パルスペア」は、上記に定義されたとおりである。
【0066】
以下便宜上、本発明のこの方法は、本発明の「休止時間補償平衡パルスペア」または「DTCBPP」方法という。そのような方法において、駆動スキーム全体は非常に望ましくDC平衡であり、好適には、すべての波形はそれら自身DC平衡である。そのような方法が少なくとも1つのBPPの挿入あるいは削除によってベース波形の修正を含むとき、平衡パルスペアの二つのパルスは、各々定電圧であるが逆極性であり、長さが等しい。ベース波形の修正が少なくとも一つのBPPの削除を含むとき、該各削除されたBPPによって占められるベース波形における期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられ得る。代わりに、ベース波形の他のエレメントは、以前に該各削除されたBPPによって占められた期間を占めるように時間的にシフトされ得、ゼロ電圧の期間は、該各削除されたBPPによって占められた時点とは異なる時点で挿入され得る。
【0067】
BPPSSおよびIMP方法に関するように、本発明のDTCBPP方法は、電圧変調、パルス幅変調またはその両方が可能な駆動回路網を使用して実行され得る。しかしながら、DTCBPP方法は、Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+Vまたは−Vの電圧をピクセルに任意の時点に印加するトライレベル駆動スキームに対して特に有用であることが判明している。下記の詳細に説明される理由によって、DTCBPP方法において、ベース波形に対する修正の合計数(すなわち、挿入または削除された平衡パルスペアおよびゼロ電圧の挿入された期間の合計数)を、制限することが望ましい。一般に、修正のこの合計数は、6を越えず、望ましくは4を越えず、好適には2を越えない。
【0068】
また、BPPSSおよびIMP方法に関するように、DTCBPP方法は、上記に討議された電気光学ディスプレイの任意のタイプと共に使用し得る。従って、たとえばディスプレイは、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備え得る。代わりに、ディスプレイは、流体において複数の帯電した粒子であって、流体に電界が印加されたとき流体内を動く能力がある粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備え得る。このタイプのディスプレイにおいて、流体は、気体または液体であり得る。荷電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められ得る。
【0069】
本発明は、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路、または本発明のDTCBPP方法を実行するように構成されたソフトウェアコ−ドに拡張し得る。
【0070】
別の側面において、本発明は、電気光学ディスプレイが更新されるとき、不応答期間を減らす二つの関連方法を提供する。これらの方法の第一は、複数のピクセルを有し、それらのピクセルの各々は少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力がある、電気光学ディスプレイを駆動するときに使用するためであり、その方法は、以下を備える。
(a)該ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義するデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供すること
(b)該ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義するデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供すること
(c)該ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義するデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供すること
(d)該初期データバッファにおけるデータと最終データバッファにおけるデータとが異なる時を決定し、そのような相違が判明したとき、ターゲットデータにおける値を以下の方法によって更新する。(i)初期データバッファと最終データバッファとが特定のピクセルに対して同じ値を含むとき、ターゲットデータバッファをこの値に設定し、(ii)初期データバッファが特定のピクセルに対し最終データバッファより大きい値を含むとき、ターゲットデータバッファを、初期データバッファの値にインクリメントをプラスした値に設定し、および(iii)初期データバッファが特定のピクセルに対し最終データバッファより小さい値を含むとき、ターゲットデータバッファを、初期データバッファの値に上記インクリメントをマイナスした値に設定すること
(e)ディスプレイ上のイメージを、各ピクセルの初期状態と最終状態のそれぞれとして初期データバッファにおけるデータとターゲットデータバッファにおけるデータとを使用して更新すること
(f)ステップ(e)後、ターゲットデータバッファからのデータを初期データバッファにコピーすること
(g)初期データバッファと最終データバッファとが同じデータを含むまで、(d)〜(f)のステップを繰り返すこと
これら二つの方法の第二は、複数のピクセルであって、それらのピクセルの各々は少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成する能力がある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するときに使用するものであり、その方法は、以下を備える。
(a)該ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義するデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供すること
(b)該ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義するデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供すること
(c)ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義するデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供すること
(d)ディスプレイの各ピクセルに対する極性ビットを記憶するように構成された極性ビットアレイを提供すること
(e)初期データバッファにおけるデータと最終データバッファにおけるデータとが異なる時を決定し、そのような差異が判明したとき、極性ビットアレイにおける値とターゲットデータバッファにおける値とを以下の方法によって更新する。(i)初期データバッファと最終データバッファとにおける特定のピクセルに対する値が異なり、初期データバッファにおける値がピクセルの極限の光学状態を表すとき、ピクセルに対する極性ビットを逆極限光学状態への遷移を表す値に設定し、(ii)初期データバッファと最終データバッファとにおける、特定のピクセルに対する値が異なるとき、ターゲットデータバッファを、極性ビットアレイにおける関連値に応じて、初期データバッファの値にインクリメントをプラスまたはマイナスした値に設定すること
(f)各ピクセルの初期状態と最終状態のそれぞれとして初期データバッファにおける値とターゲットデータバッファにおける値とを使用して、ディスプレイ上のイメージを更新すること
(g)ステップ(f)後、ターゲットデータバッファからのデータを初期データバッファにコピーすること
(h)初期データバッファと最終データバッファとが同じデータを含むまで、(e)〜(g)のステップを繰り返すこと
以下便宜上、本発明のこれらの二つの関連した方法は、本発明の「ターゲットバッファ」または「TB」方法という。この二つの方法を区別するのが望ましいとき、前者は「非極性ターゲットバッファ」または「NPBT」方法といい、後者は、「極性ターゲットバッファ」または「PTB」方法といい得る。この発明は、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路、または本発明のTB方法を実行するように構成されたソフトウェアに拡張する。
【0071】
最後に、この方法は、電気光学ディスプレイを駆動するために記憶する必要があるデータ量を減らす方法を提供する。従って、この発明は、複数のピクセルであって、それらのピクセルの各々は少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力がある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、その方法は、以下を備える。
【0072】
グレーレベル間のピクセルによる特定遷移時に印加されるべき一連の電圧を定義するベース波形を記憶すること
増倍率を記憶すること
該一連の電圧を、該増倍率によって決まる期間の間上記ピクセルに印加することによって、上記特定の遷移を達成すること
以下便宜上、この方法は、本発明の「波形圧縮」または「WC」方法という。
(項目1)
二つの極限光学状態を含む少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成することが可能な少なくとも一つのピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、ベース波形を該ピクセルに印加することを包含し、該ベース波形が、該極限光学状態の一つにまたはその近くに該ピクセルを駆動するのに十分な少なくとも一つのリセットパルスと、それに続づく、該一つの極限光学状態とは異なるグレーレベルに該ピクセルを駆動するに十分な少なくとも一つのセットパルスとを備えており、該ベース波形が
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアを該ベース波形に挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアを該ベース波形から削除すること、および
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間を該ベース波形に挿入すること
の少なくとも一つによって変形されることによって特徴づけられ、「平衡パルスペア」は、該平衡パルスペアの総インパルスが実質的に0になるような、一連の逆極性の二つのパルスを意味する、方法。
(項目2)
上記ベース波形は、少なくとも一つの平衡パルスペアの挿入、または少なくとも一つの平衡パルスペアの削除によって変形される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記平衡パルスペアの二つのパルスは各々、定電圧であるが、逆極性であり、長さが等しい、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記各削除された平衡パルスペアによって占有される上記ベース波形における上記期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられる、項目2に記載の方法。
(項目5)
少なくとも一つの平衡パルスペアは上記ベース波形から削除され、該ベース波形のその他のエレメントは、該各削除された平衡パルスペアによって以前に占有された上記期間を占有するように時間的にシフトされ、ゼロ電圧の期間は、該または各削除された平衡パルスペアによって占有される時点とは異なる時点で挿入される、項目2に記載の方法。
(項目6)
上記ベース波形は、連続して、上記ピクセルを上記極限光学状態の一つにまたはその近くに駆動するのに十分な第1のリセットパルスと、該ピクセルをもう一方の極限光学状態にまたはその近くに駆動するに十分な第2のリセットパルスと、上記少なくとも一つのセットパルスとを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+Vまたは−Vの電圧が、任意の時点で上記ピクセルに印加される、項目1に記載の方法。
(項目8)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総計は、6を越えない、項目1に記載の方法。
(項目9)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総計は、4を越えない、項目8に記載の方法。
(項目10)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総計は、2を越えない、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記方法は、DC平衡である、項目1に記載の方法。
(項目12)
上記ディスプレイは、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備える、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記ディスプレイは、流体における複数の電気的に帯電した粒子であって、該流体に対し電界を印加したとき該流体中を移動する能力がある複数の粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備えている、項目1に記載の方法。
(項目14)
上記流体は、気体である、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記荷電粒子および上記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる、項目13に記載の方法。
(項目16)
項目1に記載の方法を実行するように構成された、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路、またはソフトウェアコード。
(項目17)
複数のピクセルであって、その各々が二つの極限光学状態を含む少なくとも4つの異なるグレーレベルを達成する能力のある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、波形を各ピクセルに印加することを含み、該波形は、該ピクセルの極限光学状態の一つにまたはその近くに該ピクセルを駆動するのに十分なリセットパルスと、それに続く、該一つの極限光学状態とは異なる最終グレーレベルに該ピクセルを駆動するに十分なセットパルスとを備えており、該リセットパルスは、該セットパルスの直前の上記ディスプレイ上のイメージが実質的に該セットパルスに続く該最終イメージの逆モノクロ投影であるように選ばれる、方法。
(項目18)
第1のリセットパルスと第2のリセットパルスと上記セットパルスとを含む波形が各ピクセルに印加され、該第1のリセットパルスは、各ピクセルをその極限光学状態の一つにまたはその近くに駆動するに十分な第1リセットパルスであり、該第2のリセットパルスは、各ピクセルをそのもう一方の極限光学状態にまたはその近くに駆動するに十分な第2のリセットパルスであり、該第1リセットパルスは、該第2リセットパルスの直前の上記ディスプレイ上のイメージが、実質的に該セットパルスに続く該最終イメージのモノクロ投影であるように選ばれる、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記波形は、
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアを該波形に挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアを該波形から削除すること、および
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間を該波形に挿入すること
の少なくとも一つによって修正され、「平衡パルスペア」は、該平衡パルスペアの総インパルスが実質的に0になるような、一連の逆極性の二つのパルスを意味する、項目17に記載の方法。
(項目20)
上記平衡パルスペアの二つのパルスは各々、定電圧であるが、逆極性であり、長さが等しい、項目19に記載の方法。
(項目21)
上記各削除された平衡パルスペアによって占有される上記ベース波形における期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられる、項目19に記載の方法。
(項目22)
少なくとも一つの平衡パルスペアは上記ベース波形から削除され、該ベース波形のその他のエレメントは、該各削除された平衡パルスペアによって以前に占有された期間を占有するように時間的にシフトされ、ゼロ電圧の期間は、該各削除された平衡パルスペアによって占有された時点とは異なる時点で挿入される、項目19に記載の方法。
(項目23)
Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+V、または−Vの電圧は、任意の時点で上記ピクセルに印加される、項目17に記載の方法。
(項目24)
上記ディスプレイは、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備える、項目17に記載の方法。
(項目25)
上記ディスプレイは、流体における複数の電気的に帯電した粒子であって、該流体に対し電界を印加したとき該流体中を移動する能力のある複数の粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備えている、項目17に記載の方法。
(項目26)
上記流体は、気体である、項目25に記載の方法。
(項目27)
上記荷電粒子および上記流体は、複数のカプセルまたは複数のマイクロセル内に閉じ込められている、項目25に記載の方法。
(項目28)
項目17に記載の方法を実行するように構成された、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路、またはソフトウェアコード。
(項目29)
少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力のある少なくとも一つのピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、
少なくとも二つの異なる波形は、特定のグレーレベル間における同じ遷移に使用され、該特定のグレーレベルは、遷移が開始する状態における該ピクセルの休止時間の持続時間に依存し、これらの二つの波形は、
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアを挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアを削除すること、および
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間を挿入すること
の少なくとも一つによって互いに異なり、「平衡パルスペア」とは、該平衡パルスペアの総インパルスが実質的に0になるような、一連の逆極性の二つのパルスを意味する、方法。
(項目30)
上記方法は、DC平衡である、項目29に記載の方法。
(項目31)
すべての波形はDC平衡である、項目29に記載の方法。
(項目32)
上記波形は、少なくとも一つの平衡パルスペアの挿入、または少なくとも一つの平衡パルスペアの削除によって互いに異なる、項目29に記載の方法。
(項目33)
上記平衡パルスペアの二つのパルスは各々、定電圧であるが、逆極性であり、長さが等しい、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記または各削除された平衡パルスペアによって占有される期間は、ゼロ電圧の期間によって置き換えられる、項目32に記載の方法。
(項目35)
少なくとも一つの平衡パルスペアは削除され、上記ベース波形のその他のエレメントは、該または各削除された平衡パルスペアによって以前に占有された期間を占有するように時間的にシフトされ、ゼロ電圧の期間は、該または各削除された平衡パルスペアによって占有された時点とは異なる時点で挿入される、項目32に記載の方法。
(項目36)
Vが所定の駆動電圧であるとき、0、+V、または−Vの電圧は、任意の時点で上記ピクセルに印加される、項目29に記載の方法。
(項目37)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総数は、6を越えない、項目29に記載の方法。
(項目38)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総数は、4を越えない、項目37に記載の方法。
(項目39)
挿入された平衡パルスペアと削除された平衡パルスペアとゼロ電圧の挿入された期間との総数は、2を越えない、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記ディスプレイは、回転二色メンバまたはエレクトロクロミック媒体を備える、項目29に記載の方法。
(項目41)
上記ディスプレイは、流体における複数の電気的に帯電した粒子であって、該流体に対し電界を印加したとき該流体中を動く能力のある複数の粒子を備えた電気泳動電気光学媒体を備えている、項目29に記載の方法。
(項目42)
上記流体は、気体である、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記荷電粒子および上記流体は、複数のカプセルまたは複数のマイクロセル内に閉じ込められる、項目41に記載の方法。
(項目44)
項目29に記載の方法を実行するように構成された、ディスプレイコントローラ、特定用途向け集積回路、またはソフトウェアコード。
(項目45)
複数のピクセルであって、その各々が少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成する能力のある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、
(a)該ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義するデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供するステップと、
(b)該ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義するデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供するステップと、
(c)該ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義するデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供するステップと、
(d)該初期データバッファと最終データバッファとが異なる時を決定し、そのような差異が見つけられたとき、該ターゲットデータバッファにおける値を更新するステップであって、(i)該初期データバッファと該最終データバッファとが特定のピクセルに対して同じ値を含むとき、該ターゲットデータバッファをこの値に設定し、(ii)該初期データバッファが特定のピクセルに対して該最終データバッファより大きい値を含むとき、該ターゲットデータバッファを、該初期データバッファの値にインクリメントをプラスした値に設定し、(iii)該初期データバッファが特定のピクセルに対し該最終データバッファより小さい値を含むとき、該ターゲットデータバッファを、該初期データバッファの値から該インクリメントをマイナスした値に設定することによって、上記更新を行うステップと、
(e)該ディスプレイ上のイメージを、該初期データバッファのデータと該ターゲットデータバッファのデータとをそれぞれ各ピクセルの初期状態と最終状態として用いて更新するステップと、
(f)ステップ(e)後、該データを該ターゲットデータバッファから該初期データバッファにコピーするステップと、
(g)該初期データバッファと該最終データバッファとが同じデータを持つまで、(d)〜(f)のステップを繰り返すステップと
を包含する、方法。
(項目46)
複数のピクセルであって、その各々が少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成する能力のある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、該方法は、
(a)該ディスプレイの各ピクセルの要求される最終状態を定義するデータを受け取るように構成された最終データバッファを提供するステップと、
(b)該ディスプレイの各ピクセルの初期状態を定義するデータを記憶するように構成された初期データバッファを提供するステップと、
(c)該ディスプレイの各ピクセルのターゲット状態を定義するデータを記憶するように構成されたターゲットデータバッファを提供するステップと、
(d)該ディスプレイの各ピクセルに対する極性ビットを記憶するように構成された極性ビットアレイを提供するステップと、
(e)該初期データバッファのデータと該最終データバッファのデータとが異なる時を決定し、そのような差異が見つけられたとき、該極性ビットアレイにおける値と該ターゲットデータバッファにおける値とを更新するステップであって、(i)該初期データバッファにおける特定ピクセルに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値とが異なり、該初期データバッファの値が該ピクセルの極限光学状態を表すとき、該ピクセルの極性ビットを、該逆極限光学状態への遷移を表す値に設定し、(ii)該初期データバッファにおける特定ビットに対する値と該最終データバッファにおける特定のピクセルに対する値とが異なるとき、該ターゲットデータバッファを、該極性ビットアレイにおける該関連値に依存する、該初期データバッファの値にインクリメントをプラスまたはマイナスした値に設定するステップと、
(f)該ディスプレイ上のイメージを、該初期データバッファのデータと該ターゲットデータバッファのデータとをそれぞれ、各ピクセルの初期状態と最終状態として用いて更新するステップと、
(g)ステップ(f)後、該データを該ターゲットデータバッファから初期データバッファにコピーするステップと、
(h)該初期データバッファと該最終データバッファとが同じデータを持つまで、(e)〜(g)のステップを繰り返すステップと
を包含する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0074】
前述の要約から、本発明は、電気光学ディスプレイ、特に双安定電気光学ディスプレイを駆動する多数の異なる方法、およびそのような方法を実行するように適合された装置およびソフトウェアを提供することがわかる。本発明の種々の方法は、主として別に以下に記述されるが、単一の電気光学ディスプレイ、またはそのコンポーネントは、本発明の二つ以上の側面を使用し得ることは理解されるべきである。たとえば、単一電気光学ディスプレイは、本発明のBPPSS側面とIMP側面とDTCBPP側面とを利用し得る。また、平衡パルスペアの好適な形式は、そのようなパルスペアを利用する本発明のすべての側面に共通であり、そのようなパルスペアのサイズ、およびそのようなペア、および/またはゼロ電圧の期間の挿入または削除を提供するために波形の長さを調整する方法に対する好適な制限がそうであることにも注意すべきである。最後に、前述のMEDEOD出願および下記に討議されるように、DC平衡駆動スキームおよびDC平衡波形の望ましいものは、本発明のすべての側面にも共通であることに注意すべきである。
セクションA:平衡パルスペアスライドショー方法および装置
既に述べられているように、本発明のBPPSS方法は、二つの極限光学状態を含む少なくとも三つの異なるグレーレベルを達成する能力がある少なくとも一つのピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法である。この方法は、ベース波形をピクセルに印加することを包含し、該ベース波形は、極限の光学状態の一つにまたはその近くにピクセルを駆動するのに十分な少なくとも一つのリセットパルスと、それに続く上記の一つの極限光学状態とは異なる最終グレーレベルにピクセルを駆動するに十分な少なくとも一つのセットパルスとを含み、ベース波形は以下の少なくとも一つによって修正される。
(a)少なくとも一つの平衡パルスペアをベース波形に挿入すること
(b)少なくとも一つの平衡パルスペアをベース波形から削除すること
(c)ゼロ電圧の少なくとも一つの期間をベース波形に挿入すること
また、既に述べられているように、「平衡パルスペア」という術語は、平衡パルスペアの全インパルスが実質的に0になるような、一連の逆極性の二つのパルスを示す。BPPSSの好適な形式において、平衡パルスペアの二つのパルスは、各々定電圧であるが、逆極性であり、長さが等しい。「ベース波形エレメント」または「BWE」という術語は、以下に、ベース波形の任意のリセットまたはセットパルスをいうために使用され得る。平衡パルスペアおよび/またはゼロ電圧期間(以下「ギャップ」と呼ばれ得る)の挿入は、単一ベースエレメント内または二つの連続する波形エレメント間において達成し得る。これらのすべての修正は、波形のネットインパルスに影響しないという特性を有し、ネットインパルスは、波形の持続時間に対し積分された波形電圧曲線の積分を意味する。平衡パルスペアおよびゼロ電圧休止は、もちろんゼロネットインパルスを有する。BPPのパルスは、代表的には、互いに隣接して挿入されるけれども、これは本質的ではなく、二つのパルスは離れた場所に挿入され得る。
【0075】
BPPSS方法に従うベース波形の修正が少なくとも一つのBPPの削除を含む場合、該各削除されたBPPによって以前に占められた期間は、ゼロ電圧の期間としてそのままにされ得る。代わりに、この期間は、時間的に早く、後の波形エレメントのいくつかまたはすべてを動かすことによって「閉鎖」され得るが、この場合、波形の全長が維持されることを確実にするために、波形のある後の段階に、代表的にはその最後の段階に、ゼロ電圧の期間を波形に挿入することが通常必要である。理由は、ディスプレイのすべてのピクセルは、同じ長さの波形で駆動されることを確実にすることが通常必要であるからである。もちろん代わりに、波形の早い段階、代表的には波形の開始時に、ゼロ電圧の期間を挿入すると共に、時間的に後に、より早い波形エレメントのいくつかまたはすべてを動かすことによって、期間は「閉鎖」され得る。
【0076】
既に示されるように、本発明のBPPSS波形は、前述のMEDEOD出願において記述されるベーススライドショー波形の修正である。上記に討議されたように、スライドショー波形は、ピクセルを一つの極限光学状態(光学レール)に、あるいは少なくともその近くに動かす一つ以上のリセットパルスを備え、波形が二つ以上のリセットパルスを含む場合、第1の後の各リセットパルスは、ピクセルを逆の極限光学状態に動かし、従って、実質的に全光学範囲をトラバースする。(たとえば、ディスプレイが(たとえば)4〜40パーセントの反射率の範囲を有する電気光学媒体を使用する場合、第1の後の各リセットパルスは、ピクセルを8〜35パーセント反射率でトラバースさせる。)二つ以上のリセットパルスが使用された場合、連続するリセットパルスは、もちろん逆極性でなければならない。
【0077】
スライドショー波形は、ピクセルを、最後のリセットパルスによってピクセルがそのままとされていた極限の光学状態からピクセルの所望の最終グレーレベルへ、ピクセルを駆動するセットパルスをさらに備える。この所望の最終グレーレベルが極限光学状態の一つで、最後のリセットパルスがピクセルをこの所望の極限光学状態のままにするとき、セットパルスはゼロ持続時間であり得る。同様に、スライドショー波形の印加の前のピクセルの初期状態が極限状態の一つにある場合、第1リセットパルスは、ゼロ持続時間であり得る。
【0078】
本発明の好適なBPPSS波形は、添付図面を参照した例示のみであるが、ここで記述される。
【0079】
添付図面の
図2Aおよび2Bは、前述のMEDEOD出願において記述されるタイプの従来技術(ベース)スライドショー駆動スキームにおける二つの異なる遷移に使用される波形を示す。このスライドショー駆動スキームは、各遷移に対して三つのリセットパルスを使用する。
図2Cおよび
図2Dは、
図2Aおよび2Bの波形がそれぞれ印加されるピクセルの光学状態(反射率)における時間に対する対応する変動を示す。前述のMEDEOD出願において使用される規則に従って、
図2Cおよび2Dは、下の水平線は黒の極限光学状態、上の水平線は白の極限光学状態、その中間レベルはグレー状態を表すように、描かれる。波形のリセットおよびセットパルスの開始と終了は、
図2Aおよび2Bにおいて破線で示され、種々のBWE(すなわちリセットおよびセットパルス)は、10以下の等しい長さのパルスから構成されるものとして示される。ただし、一般に、BWEはより任意の長さであり得、等しい長さのパルスのシリーズから構成される場合、10を越えるそのようなパルスが通常、最大長のBWEに使用される。
【0080】
図2Aおよび2Cに示されるベース波形(全体に100と示される)は、白から白への遷移(すなわち、ピクセルの初期および最終状態の両方が白の極限状態である「遷移」)を達成する。波形100は、ピクセルをその黒の極限光学状態に駆動する第1ネガティブ(すなわち黒行き)リセットパルス102と、ピクセルをその白の極限光学状態に駆動する第2のポジティブ(白行き)リセットパルス104と、ピクセルをその黒の極限光学状態に駆動する第3のネガティブ(黒行き)リセットパルス106と、ピクセルをその白の極限光学状態に駆動するセットパルス108と、を備える。4つのパルス102、104、106、および108の各々は、最大10単位の持続時間を有する。(「持続時間の単位」と頻繁にいうわずらわしさを避けるために、これらの単位は以下に、「時間単位」または「TU」という。)
図2Bおよび2Dは、
図2Aおよび2Cの場合と同じ3リセットパルス駆動スキームを使用する、暗いグレーから明るいグレーへの遷移の波形(全体に150と示される)を示す。波形150は、第1のリセットパルス152を備え、そのリセットパルスは波形100の第1リセットパルス102のように、ネガティブで黒行きである。しかしながら、波形150が使用される遷移は、暗いグレーレベルから開始するので、第1リセットパルス152の持続時間(4つのTUとして示される)はリセットパルス102の持続時間より短い。理由は、より短い第1リセットパルスが、第1リセットパルスの最後にピクセルをその黒の極限光学状態にするのに必要であるからである。第1リセットパルス152の残りの6つのTUの間に、ゼロ電圧がピクセルに印加される。(
図2Bおよび2Dは、関連期間の最後に負電圧の4つのTUを有する第1リセットパルス152を示すが、これは任意で、負電圧およびゼロ電圧の期間は、要求されるように配置され得る。)
波形150の第2および第3リセットパルス104および106は、波形100の対応するパルスと同一である。波形150のセットパルス158は、波形100のセットパルス108のように、ポジティブで白行きである。しかしながら、波形150が使用される遷移は明るいグレーレベルで終了するので、セットパルス158の持続時間(7つのTUとして示される)はセットパルス108の持続時間より短い。理由は、ピクセルをその最終の明るいグレーレベルにするのに、より短いセットパルスが必要であるからである。セットパルス158の残りの3つのTUの間に、ゼロ電圧がピクセルに印加される。(再び、セットパルス158内の正電圧およびゼロ電圧の期間の分配は任意で、期間は要求されるように配置され得る。)
前述から、
図2A〜2Dに示される従来技術のスライドショー駆動スキームにおいて、第1のリセットパルスおよびセットパルスの持続時間は、ピクセルの初期および最終状態に従ってそれぞれ変動し、ある場合において、これらのパルスの一つまたは両方はゼロ持続時間であり得る。たとえば、
図2A〜2Dの駆動スキームにおいて、黒から黒への遷移は、ゼロ持続時間の第1リセットパルスを有し得(理由は、ピクセルは、第1リセットパルス102および152の終端に到達した黒の極限光学状態に既にあるからである)、ゼロ持続時間のセットパルスを有し得る(理由は、第3リセットパルス106の終端において、ピクセルは、既に要求される極限黒光学状態にあるからである)。
【0081】
一般に、ディスプレイが迅速に再書き込みできるように、波形全体の持続時間をできるだけ短く保つことが望ましい。これは、ユーザは新しいイメージを迅速に表示するディスプレイを好むという明らかな理由のためである。各リセットパルスは実質的な期間を占有するので、リセットパルス数を、ディスプレイによって許容可能なグレースケール性能に一致する最小数に減らすことが望ましく、一般に、一つか二つのリセットパルススライドショー駆動スキームが好適である。添付図面の
図3Aおよび3Bは、前述のMEDEOD出願において記述されたタイプの2リセットパルス従来技術スライドショー駆動スキームにおける二つの異なる遷移の波形を示す。
【0082】
図3Aは、ピクセルをその初期白状態から黒へ駆動するリセットパルス202と、ピクセルを黒から明るいグレーに駆動するセットパルス208(
図2Bのパルス158と同一)とを備える白から明るいグレーへの単一リセットパルス波形(全体に200と示される)を示す。波形200は、単一のリセットパルスのみを使用するけれども、そのリセットパルスは、
図3Aの左側ゼロ電圧の期間によって表示されるように、ゼロ持続時間の第1リセットパルスを有する2リセットパルススライドショー駆動スキームの一部であることを理解されたい。
【0083】
図3Bは、ピクセルをその初期黒状態から白へ駆動する第1リセットパルス252と、ピクセルを白から黒に駆動する第2リセットパルス254と、ピクセルを黒から明るいグレーに駆動する、
図3Aのリセットパルスと同一のセットパルス208とを備える、黒から明るいグレーへの2リセットパルス波形(全体に250と示される)を示す。
【0084】
既に述べられているように、本発明のBPPSS波形は、少なくとも一つの平衡パルスペアをベース波形へ挿入すること、少なくとも一つの平衡バランスペアをベース波形から削除すること、またはゼロ電圧の少なくとも一つの期間をベース波形に挿入することによって、
図2A、2B、3Aおよび3Bに示される波形などのベーススライドショー波形から発生する。BPPの削除の場合、その結果生じるギャップは、閉鎖かまたはゼロ電圧の期間として残されるかのどちらかであり得る。これらの修正の組み合わせが使用し得る。
【0085】
図4A〜4Cは、本発明のBPPSS波形における使用のための好適な平衡パルスペアを示す。
図4Aに示されるBPP(全体に300と示される)は、定電圧のネガティブパルス302、その直後に続く、パルス302と同じ持続時間および電圧であるが、逆極性であるポジティブパルス304とを備える。BPP300はゼロネットインパルスをピクセルに印加することは明らかである。
図4Bに示されるBPP(全体に310と示される)は、パルスの順序が逆であること以外はBPP300と同一である。
図4Cに示されるBPP(全体に320と示される)は、ポジティブパルス304とネガティブパルス302との間にゼロ電圧の期間322を導入することによってBPP310から引き出される。
【0086】
図5A〜5Dは、本発明に従うBPPによるベース2リセットパルススライドショー波形の修正を示す。
図5Aは、白から明るいグレーへの遷移に使用されるベース波形(全体に400と示される)を示す。波形400は、リセットパルスの順序が逆である点は除き、
図3Bに示される波形250と一般に同様である。従って、波形400は、16TUネガティブ黒行き第1リセットパルス402(これはピクセルをその元の白状態からその黒極限光学状態へ駆動する)と、16TUポジティブ白行き第2リセットパルス404(これはピクセルをその黒極限光学状態からその白極限光学状態へ駆動する)と、ピクセルをその白極限光学状態から要求される最終の明るいグレー状態へ駆動する3TUネガティブ黒行きセットパルス408とを備える。
【0087】
図5Bは、
図4BのBPPを、第2リセットパルス404とそのセットパルス408との間の
図5Aの波形400に挿入することによって生成される本発明のBPPSS波形(全体に420と示される)を示す。
図5Bからわかるように、この挿入の効果は、BPPのポジティブパルス304は第2のリセットパルス404を17TUに延ばし、一方BPPのネガティブパルス302はセットパルス408を4TUに延ばす。
【0088】
図5Cは、
図4CのBPPをセットパルス408の後の
図5Aの波形400に挿入することによって生成される本発明のBPPSS波形(全体に440と示される)を示す。
【0089】
図5Dは、
図5Bに示される波形420の更なる修正によって生成される本発明のBPPSS波形(全体に460と示される)を示す。波形460は、第1リセットパルス402と第2リセットパルス404との間にそれぞれ挿入された第2BPP304’,302’を有し、この第2BPPは、両方のパルスの持続時間は2倍になること以外は、BPP304,302と同様である。
【0090】
上述され、また
図5Dに示されているように、本発明のBPPSS波形は、複数のBPP、削除、休止、およびそれらの組み合わせ(以下総称的に「追加波形エレメント」または「AWE」という)を含み得る。しかしながら、波形によって生成される最終グレーレベルの制御における要求される精度に一致した、最少数のAWEを使用することが、一般に好適である。BPPおよび休止の両方は波形を長くし、いくつかのそのようなBPPおよび/または休止の結合は、ディスプレイの再書き込みに必要な期間の望ましくない延長を必要とし得る。たとえば、
図5Dの波形460は短い3TUセットパルス408のみを使用するが、波形460は、ディスプレイの更新用の全期間を占有し(
図5Dにおける垂直破線間の期間)、任意のさらなるBPPまたは休止の導入は、この期間を延長することを必要とする。従って、本発明の修正波形の全長は、望ましくは対応するベース波形の長さを越えず、このベース波形では、セットパルスの持続時間は、ピクセルを一つの極限光学状態からもう一方の極限状態に駆動するに十分である。多くの場合において(もちろん、ディスプレイにおいて使用される正確な電気光学媒体および駆動電子回路のその他の特性により)、グレーレベルの良い制御は、多くて二つのAWEを備える波形で達成し得、他の場合多くて4つ以下で、普通は多くて6つのAWEが必要とされ得るが、AWEにおける任意のさらなる増加は一般に望ましくない。
【0091】
図6A〜6Dは、本発明に従ったBPPの削除によるベース2リセットパルス波形の修正を示す。比較の目的のために、
図6Aは、
図5Aと同じ波形400を示す。波形400は、セットパルス408の終了後に7TUを終了することとみなされる。理由は、
図6Aは、
図2A、2B、3Aおよび3Bにおいて、印加された電圧の10TUは、ピクセルを完全にその極限光学状態間で駆動するために必要であり、その結果、同じ駆動スキームのその他の波形において、セットパルス408を最大10TUまで延ばすことが必要であると考えられるからである。
図6Bは、波形400からBPPを削除することによって生成される本発明の修正BPPSS波形(全体に520と示される)を示し、そのBPPは、第1のリセットパルス402の最後の2TUと、第2のリセットパルス404の最初の2TUとを備え、修正された14TU第1リセットパルス402’および修正された14TU第2リセットパルス404’を4つのTU休止522によって分離された状態にし、その期間、ゼロ電圧がピクセルに印加される。
【0092】
図6Cは、
図6Aの波形400の交互の修正によって生成される本発明のBPPSS波形(全体に540と示される)を示す。波形540は、波形400から第2リセットパルス404の最後のTUおよびセットパルス408の最初のTUを備えるBPPを削除し、時間的に後に2TUだけ第1および第2リセットパルスを動かすことによって、削除されたBPPによって初めに占有された期間を「閉鎖」することによって、生成される。従って、波形540は、2TU休止544、16TU第1リセットパルス402、15TU第2リセットパルス404“、および2TUセットパルス408’を備える。セットパルス408’は、ベース波形400のセットパルス408と全く同じ時間に、波形の終了前に7TUを終了することに注意されたい。
【0093】
図6Dは、
図6Aの波形400の更なる修正によって生成される本発明のBPPSS波形(全体に560と示される)を示す。波形560は、波形400から、第1リセットパルス402の最後の2TUおよび第2リセットパルス404の最初の2TUを備えるBPPを削除し、時間的に4TUだけ早くなるよう第2リセットリセットパルスおよびセットパルスを動かすことによって、削除されたBPPによって初めに占有された期間を「閉鎖」することによって、生成される。従って、波形560は、14TU第1リセットパルス402’(
図5Bのリセットパルスと同一)と、14TU第2リセットパルス404’(タイミングを除き
図5Bにおけるリセットパルスと同一)と、3TU休止408とを備える。第2リセットパルス404’およびセットパルス408のシフトのために、セットパルス408に続くゼロ電圧の最終期間562は、7から11TUに拡張されることに注意されたい。
【0094】
これまで討議された好適なBPPSS波形修正は、連続するベース波形エレメント間またはベース波形の最後におけるBPPの挿入または削除を伴う。しかしながら、本発明のBPPSS側面は、そのような修正に限定されず、
図7Aおよび7Bを参照して示されるように、BPPが単一のBWE内に挿入される修正に拡張される。
図7Aは、第1リセットパルス402と第2リセットパルス404との間に、ポジティブパルスとネガティブパルスの順序が逆となること以外は
図5Dに示すものと同様なBPP302’,304’を挿入することによるベース波形400(
図5Aまたは6A)を修正することによって、生成される本発明のBPPSS波形620を示す。
図7Bはまた、BPP302’、304’を挿入することによるベース波形400を修正することによって生成される本発明のさらなるBPPSS波形640を示すが、波形640において、BPP302’,304’は第2リセットパルス404の中点に挿入され、従ってこのパルスを二つの別々のセクション404Aおよび404Bに分割する。従って、波形640は、連続して、16TU第1リセットパルス402(波形400のリセットパルスと同一)、8TUパルス404A、第2リセットパルスの第1セクション、BPP302’,304’、8TUパルス404B、第2リセットパルスの第2セクション、および3TUリセットパルス408(波形400のリセットパルスと同一)を備える。
【0095】
既に述べられているように、本発明のBPPSS側面は、ベース波形へのBPPの挿入または削除のみならず、休止(ゼロ電圧の期間)のベース波形への挿入をも含み、休止のそのような挿入はここで
図8A〜8Dを参照して示される。比較のため、
図8Aは、
図5Aおよび6Aと同じベース波形400を示す。
図8Bは、第2リセットパルス404とセットパルス408との間のベース波形400に2TU休止722を導入することによって生成される本発明の修正BPPSS波形(全体に720と示される)を示す。休止722の挿入は、セットパルス408に続くゼロ電圧の期間の長さを7TUから5TUに必然的に減らすことに注意すべきである。
【0096】
図8Cは、第2リセットパルス404の第1の12TU後に2TU休止が挿入され、従って、この第2のリセットパルスを第1セクション404Cと第2セクション404Dに分割すること以外は波形720と一般に同様である本発明の別のBPPSS波形(全体に740と示される)を示す。従って、波形740は、連続して、16TU第1リセットパルス402(波形400のリセットパルスと同一)、12TUパルス404C、第2リセットパルスの第1セクション、2TU休止722’、4TUパルス404D、第2リセットパルスの第2セクション、および3TUリセットパルス408(波形400のリセットパルス)を備える。
【0097】
図8Dは、2TU休止をベース波形400に挿入することによって再び生成する本発明のBPPSS波形(全体に760として示される)を示す。しかしながら、波形760において、休止722”は、第1リセットパルス402の前に挿入される。従って、波形760は、連続して、休止722”、第1リセットパルス402、第2リセットパルス404およびセットパルス408を備え、最後の三つのエレメントはすべて、ベース波形400の対応するエレメントと同一である。
【0098】
既に示されているように、本発明によって提供されるBPPSS波形は、電気光学ディスプレイ、特に双安定電気光学ディスプレイのグレーレベル性能の改善に有用である。本発明のBPPSS波形は、そのような改善されたグレーレベル性能を達成し得、一方ディスプレイの長期DC平衡をなおも保つ。(前述のMEDEOD出願において詳細に討議された理由のために、ピクセルが駆動される一連の光学状態に関わらず、所定のピクセルについて時間に対する印加された電圧の積分は制限されるという意味で、少なくともいくつかの電気光学ディスプレイを駆動するために使用される駆動スキームはDC平衡であることは重要である)。ピクセルの最終グレーレベルは、本発明のBPPSS側面に従って、BPPの挿入または削除、および/または休止の挿入によって調整され得ることが判明している。また、ピクセルの最終グレーレベルは、BPPの挿入または削除、および/または休止の挿入が達成される位置によって影響されることも判明している。一般に、最終グレーレベルの良い制御は、隣接するBWE間にBPPを挿入することによって達成され得るが、
図7Bに示されるように、最終グレーレベルの「同調性」の程度を変更するために、BPPは単一BWE内に挿入し得る。たとえば、二つのリセットパルス間に加えられたBPPが、最終グレーレベルの十分に細かい同調性を提供しない場合、BPPをBWEの中間点に動かすことによって、最終グレーレベルのより細かい微調整を提供し得る。
【0099】
たとえば、
図5Bの波形420は、通常、
図5Aの対応するベース波形400によって生成されるグレーレベルよりわずかに暗いグレーレベルを生成する。理由は、BPP304,302のパルス304は、ピクセルのグレーレベルにほとんどまたは全く影響しないためであり、これは、このグレーレベルは、第2リセットパルス404の最後で白極限光学状態であり、一方パルス302は、セットパルス408を効果的に長くすることによって、最終グレーレベルを白極限光学状態からいくらか遠くになるようにする(すなわち、わずかに色が暗くなる)からである。対照的に、
図6Cに示された波形540は、通常、
図6Aの対応するベース波形400によって生成されるグレーレベルよりわずかに明るいグレーレベルを生成する。
図5A、6Aおよび6Cは、示された電圧を10TU(上記の)に対して印加することによってピクセルがその極限光学状態間をシフトし得るという想定に基づいているので、ベース波形400の16TU第2リセットパルス404は、ピクセルを白光学レール(白極限光学状態)へ実質的に「過剰駆動」する、すなわち、第2リセットパルス404は、ピクセルがその極限の白光学状態に既に到達した後も実質的な期間の間継続する。従って、波形540の15TU第2リセットパルス404”を生成するために、16TU第2リセットパルス404を1TUだけ短くすることは、第2リセットパルス404”の最後におけるグレーレベルに対してほとんどまたは全く影響を及ぼさない。対照的に、波形540の2TUセットパルス408’を生成するために、波形400の3TUセットパルス408を1TUだけ短くすることは、第2リセットパルス404”の最後に存在する白極限光学状態を黒に向けて駆動する程度まで大幅に減らし、その結果、波形540の最後にある最終グレーレベルはベース波形400の最後におけるグレーレベルより大幅に暗くなる。
【0100】
既に示されているように、休止(ゼロ電圧の期間)は最終グレーレベルを調整するために使用され得ることも判明している。たとえば、最後のリセットパルスとセットパルスとの間に休止を追加することは、最終グレーレベルに影響を及ぼす。休止を最後のリセットパルスにおけるより早い点に動かすこともまた、最終グレーレベルのわずかな変化を引き起こす。従って、休止位置は、BPPSS波形によって生成される最終グレーレベルを調整するために使用され得る。一般に休止は波形の任意の点に追加し得る。さらに、波形のすべてのBWEをディスプレイの完全な再書き込みのための割り当てられた更新時間間隔内で時間的により早くまたはより遅くにシフトし、それによって、初期状態から最終状態までの全体遷移内において起こる種々の遷移の相対的な一時的位置をシフトすることは有利であり得る。そのような一時シフトは、いくつかの理由、たとえば、遷移時にディスプレイの望まない過渡動作を減らすこと、たとえば、同じグレーレベルになるように意図されるピクセル間の変動を少なくすることによって、より好ましい最終イメージに導くことなどの理由で有利であり得る。
【0101】
本発明のさらに好適なBPPSS波形および駆動スキームは、ここで、添付の図面の
図9A〜9D、10A〜10Cおよび11A〜11Cを参照して記述される。
図9Aおよび9Bは、従来技術の2リセットパルススライドショー駆動スキームの二つのベース波形を示し、この波形において、第1および第2リセットパルスおよびセットパルスの数は、最大12TUを占有し得る。
図9Aは、黒から白への遷移を達成するための波形800を示し、波形800は、12TU黒行き第1リセットパルス802と、12TU第2白行きリセットパルス804と、12TU黒行きセットパルス808とを備える。
図2Aおよび2Bを参照して上記に討議されるように、ピクセルの初期状態および最終状態が、ピクセルの黒および白の極限光学状態間にある中間のグレーレベルである場合、第1のリセットおよびセットパルスは、長さにおいて調整される必要があり、
図9Bは、7TU第1リセットパルス812と12TU第2リセットパルス804(波形800の対応するパルスと同一)と6TUセットパルス818とを備えるベース波形810を示す。波形810を波形800と同じ全36TU長に「パディング」するためには、ゼロ電圧の5TU期間822は第1リセットパルス812に先行し、ゼロ電圧の6TU期間824はセットパルス824の後に続く。
【0102】
図9Cは、
図9Bにおいて示された波形810の修正によって生成される本発明のBPPSS波形(全体に840と示される)を示す。特に、波形840は、第1リセットパルス812の直前に、ポジティブ1TUパルス842と同様のネガティブパルス844とを含む第1BPPを挿入し、セットパルス818直後に第2の同様のBPP846、848を備える第2BPPを挿入することによって、波形810から引き出される。パルス812、804および818は変更されないが、波形840の全長を維持しながら、BPPを収容するために、ゼロ電圧の初期期間822’は、3TUに減少され、ゼロ電圧の最終期間824’は4TUに減少される。
【0103】
図9Cに示される方法における二つのBPPを使用することによって、少なくともいくつかの場合において、単一のBPPで達成され得るより、最終グレーレベルのより正確な制御が可能となる。セットパルス後に配置されたBBP(波形840におけるBPP846,848など)は、最終グレーレベルにおける大幅な変更を引き起こし、使用されるドライバが、BPPの各半分の持続時間の比較的粗い調整を可能にするのみの場合(この持続時間は、たとえば、
図9Cにおける1TUのインクリメントで調整されるのみの場合)、最小インクリメントによるBPPの各半分持続時間を変更することによって可能となるグレーレベル間の差は、許容できないほど大きくなり得る。はるかに早い時点で波形に挿入されたBPP(波形840におけるBPP842,844など)は、セットパルス後に挿入されたBPPより、最終グレーレベルに対しはるかに小さい影響を及ぼし、従って、最終グレーレベルのより細かい変動が可能になる。従って、波形840は、最終グレーレベルの粗調整を達成するためにBPP846,848の持続時間を制御し、このグレーレベルの微調整を達成するためにBPP842,844の持続時間を制御することによって、最終グレーレベルのかなりの範囲の調整を可能にする。
【0104】
図9Dは、波形810の別の修正によって生成される本発明のBPPSS波形(全体に860と示される)を示す。波形840のように、波形860は、セットパルス818に続くBPP846,848を備える。しかしながら、波形860は、波形のより早い時点に第2BPPを含まないが、代わりに、第2リセットパルス804とセットパルス818との間に4TU休止850を含む。休止の影響は、波形における同じ点の同じ長さのBPPより小さい傾向があり、休止850は、最終グレーレベルの微調整を達成するために貢献する休止850の長さの変動を伴う波形のBPP842,844と同様の方法で動作する。波形860において、ゼロ電圧の最終期間824’は、波形840の場合と同じ4TU長であるが、ゼロ電圧の初期期間822”の持続時間は、波形の全36TU長をなおも維持しながら、4TU休止850を収容するために1TUに減少されることに注意されたい。
【0105】
図10A〜10Cは、
図9Bの波形810の種々の修正によって生成される発明のさらに三つのBPPSS波形を示す。
図10Aの波形(全体に920と示される)は、波形810(
図9B)のセットパルス818の後に、BPP846’,848’を追加することによって形成され、BPPの各パルス846’および848’は2TU長である。ゼロ電圧の最終期間824”は、BPPの4TU長を収容するために、2TUに減少される。
【0106】
図9Cを参照して上記に討議されるように、セットパルスに続くBPPの長さを変動することは、最終グレーレベルの十分な微調整を提供し得ず、
図10Bは、この微調整問題を克服するために波形920をさらに修正することによって生成される波形(全体に940と示される)を示す。波形940は、第2リセットパルス804とセットパルス818との間に第2BPP842’,844’を組み込む。BPP842’,844’の長さを変動することによる最終グレーレベルに対する影響は、BPP846’,848’の長さの対応する変動より少なく、従って、BPP842’,844’は、最終グレーレベルの微調整のために使用され得る。
【0107】
BPP842’,844の長さを変動させることによる最終グレーレベルに対する影響は、BPP846’,848’の長さの対応する変動より少ないけれども、波形のなおもより早い時点に挿入されたBPP長、たとえば、
図9CにおけるBPP842,844の長さを変動する影響よりなおも大きい。波形940におけるBPP842’,844’が最終グレーレベルの十分な微調整を提供しない場合は、第2BPPが波形のより早い時点に挿入され得、一般に、BPPが波形に挿入される時点が早ければ早いほど、BPPの長さの所定の変更によって生成される最終グレーレベルにおける変動は小さくなる。たとえば、
図10Cは、本発明のBPPSS波形(全体に960と示される)を示し、BPPSS波形は、BPP842’,844’が第1リセットパルス812と第2リセットパルス804との間に配置されたBPP962,964によって置き換えられることを除いて、波形940と同様である。(BPP962,964は、ネガティブパルス962がポジティブパルス964に先行するという意味で、BPP842’,844’に対して逆極性であり、BPPの極性はもちろん最終グレーレベルに対するその影響を変化するけれども、どちらかの極性のBPPは、波形内の任意の場所において使用し得る。)
最後に、
図11A〜11Cは、波形にBPPおよび休止を導入することによるベース波形の修正を示す。
図11Aは、第2リセットパルス804とセットパルス818との間にBPP842’,844’を挿入し、ゼロ電圧の最終期間824’の長さを対応する4TUへ減少させることでベース波形810を修正することによって、生成される波形(全体に1020と示される)を示す。上記に討議された理由により、BPP842’,844’の長さの変動は、最終グレーレベルの十分な微調整を提供し得ず、
図11Bは、波形1020の更なる修正によって、特に第2リセットパルス内に2TU休止1042を導入し、これによりこのパルスを第1セクション804Aと第2セクション804Bに分割することによって、生成されるBPPSS波形(全体に1040と示される)を示す。休止1042を収容するために、ゼロ電圧の初期期間822’の長さは3TUに減少される。ゼロ電圧の最終期間824’の長さは5TUのままである。
【0108】
休止1042は最終グレーレベルの微調整用に使用される。BPPに関して、最終グレーレベルの休止の影響は、休止長によるのみならず、波形内の休止の位置によって変動するように、そのような微調整は、休止1042の持続時間および/または第2リセットパルス804A、804B内の休止の位置を変動させることによって達成し得る。本発明の、BPPSS側面は、もちろん、単一の休止の使用に限られず、たとえば、休止1042は各々が1TU持続時間の二つの別の休止によって置き換えられ得、その結果、第2リセットパルスは、二つよりはむしろ三つのセクションに分割される。
【0109】
既に述べられたように、波形がディスプレイを更新するために利用される全期間を占有しないとき(同じ駆動スキームのより長い波形800を適応させるためにディスプレイを更新するのに少なくとも36TUの期間が必要であるが、たとえば、25TUしか占有しない
図9Bの波形810に関するように)、たとえば、更新時に一時の視覚効果を減少するために、全波形を更新期間内にシフトすることが有利であり得る。
図11Cは、
図11Bの全波形1040を2TUだけ時間を早めるようにシフトし(実際は
図11Cに示されるように、2TUギャップをセットパルス818の直後に挿入する)、これによって、ゼロ電圧の初期期間822”をわずか1TUに減少させ、ゼロ電圧の最終期間824A長を6TUに増加させることによって生成される波形(全体に1060で示される)を示す。
セクションB:逆モノクロ投影方法および装置
既に述べられているように、本発明の第2側面は、複数のピクセルであって、各ピクセルが二つの極限光学状態を含む少なくとも4つの異なるグレーレベルを達成する能力がある複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。この方法は、波形をピクセルに印加することを包含し、該波形は、極限光学状態の一つにまたはその近くにピクセルを駆動するのに十分なリセットパルスと、それに続く上記の一つの極限光学状態とは異なる最終グレーレベルにピクセルを駆動するに十分なセットパルスとを備えている。リセットパルスは、セットパルスの直前のディスプレイ上のイメージが実質的に、セットパルスに続く最終イメージの「逆モノクロ投影」であるように、選ばれる。そのような処理は、ここで、「逆モノクロ投影」または「IMP」方法という。
【0110】
上記スキーム1において使用される「ゴール状態」という用語を使用して、IMP方法は、最終ゴール状態がおおよそ、ディスプレイの要求される最終状態(R
1)の逆モノクロ投影である方法として定義され得る。IMP方法の好適な形式において、最終ゴール状態の直前のゴール状態(スキーム1の用語におけるゴール
n−1)は、おおよそディスプレイの要求される最終状態(R
1)のモノクロ投影である。そのような好適なIMP処理は
図12に示されるスキーム2におけるように記号的に表され得、
図12においてR
1.mはR
1のモノクロ投影を表し、オーバーライニングはイメージ反転を示す。
【0111】
光学状態のモノクロ投影は、イメージにおけるすべての起こり得るグレーレベルを各ピクセルの二つの極限光学状態の一つまたは(下記に説明される理由により)極限光学状態の一つに近い状態へのマップである。現在の目的のために、グレーレベルは、1,2,3...,Nで示され、ここでNはグレーレベル数で、最小反射率(代表的には黒)を有するグレーレベルは1で示され、次に最小の反射率を有するグレーレベルは2、などで示され、最大反射率を有するグレーレベル(代表的には白)はNで示される。グレースケールイメージのモノクロ投影は、閾値以下のグレーレベルは、グレーレベル1またはそれに近い状態にマップされ、閾値より大きいグレーレベルはグレーレベルNまたはそれに近い状態にマップされるものである。閾値は最も好適にはN/2であるが、実際には、1からNまでの範囲の中央の半分の範囲内のどこにでも有効に設定し得、すなわち閾値は少なくともN/4および多くて3N/4である。
【0112】
モノクロ投影の例は、
図13に示される。この例において、グレースケールイメージ(
図13の左側に記号的な方法で示される)は、8つのグレースケールレベルを含み、1から8で示される。グレーレベル1〜3は、図の右側に記号的に示されるモノクロ投影において、接続線によって示されるようにグレーレベル1にマップされ、グレーレベル4〜8は、グレーレベル8にマップされる。逆モノクロ投影は、もちろん単にモノクロ投影において使用される二つの状態を逆にすることによって生成される。
【0113】
IMP方法の前の参照は、「実質的に」逆モノクロ投影を生成し、そのような投影は極限光学状態の一つに「近い」光学状態を伴う投影であるが、説明を要する。原則的に、モノクロ投影および逆モノクロ投影は、極限状態の一つへの投影を必要とする。しかしながら、実際には、電気光学ディスプレイを駆動する駆動スキームおよび波形は、ディスプレイの個々のピクセルに印加される電圧パルスまたはその他の波形エレメントの点から定義され、定義された電圧パルスまたは波形エレメントの印加の結果生じる正確な光学状態の点から定義されない(ただしこれらは緊密に関係している)。前述のMEDEOD出願において詳細に討議されているように、少なくともいくつかの双安定電気光学媒体の所定の波形または波形エレメントに対する応答は、ピクセルの初期光学状態および正確な波形または波形エレメントに依存するのみならず、ピクセルの以前のある光学状態、および波形または波形エレメントが印加される前にピクセルが同じ光学状態にどのくらいの時間とどまっていたかなどの要因にも依存する(前述の休止時間依存問題)。スライドショー波形は、代表的には、すべてのそのような関連要因を許容するわけではないので、モノクロ投影または逆モノクロ投影における種々のピクセルによって達成される実際の光学状態は、そのような投影において理論的に達成される極限光学状態とはわずかに異なり得る。
【0114】
ピクセルの実際の光学状態の極限光学状態からのこの逸脱は、
図14および15を参照して示され、これらの図は、本発明の2リセットパルススライドショーIMP方法における、ある選択された遷移に使用される波形を示し、このIMP方法は、+15V200ミリ秒パルスを使用して黒(グレーレベル1)から白(グレーレベル4)へ、また−15V200ミリ秒パルスを使用して白から黒へ駆動され得る4グレーレベル電気光学媒体を使用する。
図14に示される第1波形(全体に1420と示される)は、黒(グレーレベル1)から白(グレーレベル4)への遷移であり、ピクセルを黒から白へ駆動する第1リセットパルス1422と、ピクセルを白から黒へ駆動する第2リセットパルス1424と、黒から白へピクセルを駆動するセットパルス1426とを備える。
図14はまた、グレーレベル2(暗いグレー)からグレーレベル4(白)への遷移用の波形1440を示す。この波形1440は、波形1420のリセットパルス1422の場合のように200ミリ秒よりはむしろ、140ミリ秒長に過ぎない第1リセットパルス1428を有する。波形1440の第2リセットパルス1424およびセットパルス1426は、波形1420のパルスと同一である。最後に、
図14はまた、グレーレベル4(白)からグレーレベル4への遷移用の波形1460示す。この場合、第1リセットパルスはゼロ持続時間(すなわち、波形の初めにゼロ電圧の200ミリ秒の期間が単にある)であるが、波形1460の第2リセットパルス1424およびセットパルス1426は、波形1420のパルスと同一である。
【0115】
図15は、
図14の場合と同じ駆動スキームからのさらなる波形を示す。
図15に示される第1波形(全体に1480と示される)は、グレーレベル1(黒)からグレーレベル1への遷移用であり、本質的に
図14に示される波形1460の逆波形である。波形1480は、ゼロ持続時間(すなわち、波形の最初にゼロ電圧の200ミリ秒の期間が単にある)である第1リセットパルスと、ピクセルを黒から白へ駆動する第2リセットパルス1482と、ピクセルを白から黒へ駆動するセットパルス1484とを有する。
図15はまた、グレーレベル1(黒)からグレーレベル3(ライトグレー)への遷移用に使用される波形1500を示す。この波形1500は、
図14に示される波形1420のパルスと同一である第1リセットパルス1422を有し、該第1リセットパルス1422はピクセルを黒から白へ駆動する。波形1500はまた、ピクセルを白から黒へ駆動する第2リセットパルス1502と、ピクセルを黒からグレーレベル3(ライトグレー)へ駆動する130ミリ秒セットパルス1504とを有する。最後に完全さのために、
図15は、
図14からの黒から白への(グレーレベル1〜グレーレベル4)波形を繰り返す。
【0116】
図14および15から以下のことが判明する。種々の波形におけるセットパルスの直前のオーバーラインされたR
1,mによって示されるように、示された駆動スキームはIMP駆動スキームであり、セットパルスの直前のディスプレイ上のイメージは、セットパルス後の最終イメージの逆モノクロ投影であり、より特定的には、グレーレベル3または4で終了するすべての遷移において、ピクセルはセットパルスの直前の黒であり、一方グレーレベル1または2で終了するすべての遷移に対して、ピクセルはセットパルスの直前の白である。さらに、種々の波形における第2リセットパルスの直前のR
1,mによって示されるように、IMP方法の好適な変形に従って、第2リセットパルスの直前のディスプレイのイメージは、セットパルス後の最終イメージのモノクロ投影であり、より特定的には、グレーレベル3または4で終了するすべての遷移において、ピクセルは第2リセットパルス直前の白であり、一方グレーレベル1または2で終了するすべての遷移に対して、ピクセルは第2リセットパルスの直前の黒である。
【0117】
しかしながら、
図14および15から推定され得るが、種々の波形における種々の点において達成される所定のグレーレベルの反射率は、必ずしも正確に同じではない。ただしおそらく同じグレーレベルにあるピクセル間の差は、ディスプレイの全ダイナミックレンジと比較して小さい(二つの極限光学状態の反射率間の差)。たとえば、第2リセットパルスの直前において、
図14における波形1420および1460を受けるピクセルは、両方とも、グレーレベル4(白)にあるはずである。しかしながら、波形1420を受けるピクセルは、この時点で黒から白への遷移をちょうど完了し、一方波形1460を受けるピクセルは、ある時間白状態にあり、(前述のMEDEOD出願のいくつかにおいて討議されているように)双安定電気光学媒体の光学状態が駆動されていない間に、該光学状態が「ドリフト」(すなわち時間の経過とともに徐々に変化する)する傾向がある。従って、波形1460を受けるピクセルの実際の白状態は、波形1420を受ける新たに再書き込みされたピクセルの白状態とわずかに異なり得る。以下で議論されるようなIMP駆動スキームに対する修正は、種々のゴール状態および波形におけるその他の点において達成される反射率を修正し得、従って種々ゴールおよびその他の状態の反射率は、そのような修正がない場合に達成したであろうゴール状態における反射率から相当逸脱し得る。
【0118】
図14および15に示されたIMP駆動スキームは、二つのリセットパルスのみを使用し、従って二つのゴール状態を使用するけれども、本発明のIMP側面は、もちろんリセットパルスおよびゴール状態の特定な数に限られない。たとえば、
図16は、IMP駆動スキームを
図12と同じ方法で記号を用いて示し、IMP駆動スキームは、モノクロ投影ゴール状態および逆モノクロ投影ゴール状態の前の中間の黒(B)状態および白(W)状態を含む。
【0119】
ディスプレイのすべてのピクセルが、初期イメージから所望の最終イメージへのディスプレイの再書き込み時に、所定のゴール状態(たとえば、逆モノクロ投影ゴール状態)に同時点に到達するとは限らないことに注意すべきである。ゴール状態が到達する遷移における時点は、初期のグレーレベルR
2と所望の最終グレーレベルR
1のそれぞれの関数である。理想的には(および本明細書に通常示されているように)、R
2およびR
1の時点は、ディスプレイ全体が、種々のゴール状態を介して駆動され、これらのゴール状態がすべてのピクセルにより同時に到達される状態で整合する。しかしながら、駆動スキームの種々の波形の相対タイミングをシフトすることがしばしば望ましい。波形のタイムシフトは、美的な理由、たとえば遷移の出現またはその結果のイメージの出現を改善するためになされ得る。また、下記に討議されるような変形は、ゴール状態の相対時間位置をシフトし得、その結果、R
1およびR
2の種々の組み合わせによって、ゴール状態は、遷移時に異なる時間に到達される。
【0120】
IMP駆動スキームの代わりの定義を逆モノクロ投影の明白な参照なしで与えることが可能である。IMP駆動スキームは、一つの極限状態および少なくとも一つの非極限状態が閾値の各サイドにあるように、ディスプレイの種々のグレーレベルが閾値によって分割され得るスキームであり、各セットパルスが閾値を横切って遷移を達成するように、スライドショー駆動スキームのセットパルスは定義される。この定義が明らかにするように、IMP駆動スキームにおいて、各波形の最終セットパルスは、所望のグレーレベルからさらに遠い極限光学状態から、所望の最終グレーレベルに駆動する。ここで、「さらに」とは、所望の最終グレーレベルと二つの極限光学状態との間のグレーレベル数の差を単純に数えることよりはむしろ「閾値の反対側において」を示すために使用される。
【0121】
IMP駆動スキームは、最終グレーレベルの正確な制御を可能にし、広い温度実行範囲を提供することが判明している。これらのメリットは、「さらなる」極限光学状態から最終グレーレベルへ駆動するために使用される比較的長いセットパルスと、ディスプレイ更新の際の駆動電気回路における、結果的に生じる比較的一定な電力消費とに関連づけられると信じられている(ただし本発明は決してこの考えに限定されない)。
【0122】
上記の基本IMP駆動スキームは、いくつかの異なる方法で有効に変更することができ、この変更は、達成された最終グレーレベルにおける小さな調整を行うために、また遷移時にディスプレイの表示を変更するために、また所望のイメージ品質を達成するために、行われる。
【0123】
IMP駆動スキームの第1のタイプの変更はは、上記セクションAに討議されたように、BPPSS駆動スキームにおいて達成される方法と同様な方法で行われる、平衡パルスペアの挿入と削除、および/または波形へのゼロ電圧の期間の挿入である。使用される平衡パルスペアは、たとえば、
図4A〜4Cに示される任意の形式を有し得る。BPPの挿入または削除またはゼロ電圧(休止)の期間の挿入を行う基本IMP波形の変形は、以前に記述された任意の方法において達成し得る。BPPは、二つの連続したベース波形エレメント間にまたは単一のベース波形エレメント内に挿入し得る。多くの場合、このことは、特定のゴール状態へのおよびそこから離れての両方のパルス長を増加する効果を有する。削除されたBPPは、ゼロ電圧の期間によって置き換えられ得、またはその他のベース波形エレメントは、削除されたBPPによって以前に占有された期間を「閉鎖」するために時間的にシフトされ得、またゼロ電圧の期間は、波形のそのほかの点に挿入され得る。BPPSS駆動スキームにおけるように、達成された最終グレーレベルは、BPPが挿入または削除または休止が挿入されるのが早ければ早いほど、最終グレーレベルに対する変更の影響は少なくなるという規則の下で、波形におけるBPPの存在および休止の存在を感知するのみならず、波形内のそれらの位置決めをも感知する。
【0124】
そのような波形変形は、最終光学状態(すなわち最終グレーレベル)のみではない反射率のみならず、中間のゴール状態に影響を及ぼす。基本IMP波形のゴール状態は、一般に、極限光学状態(光学レール)の一つに近くにあり、また定義によって、IMP駆動スキームの好適な形式における最後のゴール状態または最後の二つのゴール状態に対する光学レールの近くにあり、上記の変形は、光学レールから離れたゴール状態の反射率をシフトし得る。最終光学状態(グレーレベル)における小さな調整を行うのは、光学レールに向けた駆動の程度における変更である。
【0125】
BPPを備える電圧パルスの各々のインパルスを比較的小さく保つことは望ましいことが判明している。BPPの振幅は、パラメータdによって定義され得、その絶対値は、BPPの二つの電圧パルスの各々の長さを記述し、その記号は二つのパルスの第2の記号を示す。たとえば、
図4Aおよび4Bにおいて示されたBPPは、それぞれd値+1およびd値−1が割り当てられ得る(一方、
図4CのBPPは、一貫したスキームにおいてその後、二つのパルス間にギャップ変形が挿入された状態で、−1のd値を割り当てられる)。IMP駆動スキームの好適な実施形態において、使用されるすべてのBPPは、d値を有し、その振幅はPLより小さく、好適にはPL/2より小さく、ここで、PL(BPPの測定のために使用されるのと同じ単位で)は、ピクセルを一つの極限光学状態からもう一方へ駆動するのに必要な電圧パルスの長さとして、または、駆動スキームの駆動電圧特性において、二つの方向おける遷移の長さは同じではない場合、この電圧パルスの平均値として定義される。今の例において、dはディスプレイスキャンフレームの単位で表され、
図4Aおよび4BのBPPは、各々1スキャンフレーム長である電圧パルスを有する。この場合、PLもスキャンフレームで定義される。すべての量は、もちろん代わりに、秒またはミリ秒などの時間単位で表し得る。
【0126】
添付図面の
図17は、
図14に示されるIMP波形1440をBPPの挿入によって変形することによって生成される三つの波形を示す。
図17に示される第1の波形(全体に1700と示される)は、−15V10ミリ秒パルスとそれに続く+15V10ミリ秒パルスとを備えるBPP1702が、波形の最後に挿入されることを除いて、波形1440と同一である。
図17に示される第2の波形(全体に1720と示される)は、BPP1702と同一であるBPP1722を挿入するが、波形の第2リセットパルスとセットパルスとの間に挿入され、BPP1722を適応するために、波形の最初のゼロ電圧の期間における対応する減少と共に、二つのリセットパルスは20秒だけ早くなるようシフトされる。
図17に示される第3の波形(全体に1740と示される)は、波形の第1および第2リセットパルス間に挿入されるBPP1742を有し、BPP1742は、BPP1702および1722と比較して逆のパルスの順序を有し、各パルスは20ミリ秒長である。BPP1742を適応するために、波形の最初のゼロ電圧の期間における対応する減少を伴って、第1リセットパルスは40ミリ秒だけ早くなるようにシフトされる。
【0127】
添付図面の
図18は、
図14に示されるIMP波形1440を、該波形からのBPPの削除により変形することによって生成される三つの波形を示す。
図18に示される第1の波形(全体に1760と示される)は、第2リセットパルスの最後の10ミリ秒スキャンフレームおよびセットパルスの第1スキャンフレームを備えるBPP1762を、残りの波形エレメントの変化を伴わない状態で、波形1440から削除することによって生成される。
図18に示される第2の波形(全体に1780と示される)は、第1リセットパルスの最後の二つのスキャンフレームと、第2リセットパルスの第1の二つのスキャンフレームとを備えるBPP1782を、残りの波形エレメントに変化がない状態で、従って、削除されたBPPによって占有される点におけるゼロ電圧の40ミリ秒期間をそのままにして、波形1440から削除することによって生成される。最後に、
図18に示される第3の波形(全体に1800と示される)は、第1リセットパルスの最後のスキャンフレームおよび第2リセットパルスの第1スキャンフレームを備えるBPPを波形1440から削除し、第1リセットパルスの残りのスキャンフレームを20ミリ秒後に動かすことによる結果として生じたギャップを閉鎖することによって、波形の最初におけるゼロ電圧期間における対応する増加を伴って、生成される。
【0128】
添付図面の
図19は、
図17に示される波形1720の起こり得るさらなる変形を示す。
図19の上部は、
図17からのBPP1722を含む基本波形1720を繰り返す。
図19もまた、BPP1722と同様であるが、第2リセットパルスの最後の4つのスキャンフレームの前に、40ミリ秒早く挿入されたBPP1922を備える第2の変形した波形(全体に1920と示される)を示す。
図19もまた、BPP1722と同様であるが、第2リセットパルスの最後の13個のスキャンフレームの前に、130ミリ秒早く挿入されたBPP1942を備える第2の変形した波形(全体に1940と示される)を示す。上述したように、
図19に示される波形のような波形によって達成される最終グレーレベルは、平衡パルスペアの挿入の位置の関数であり、それで、
図19に示される変形のような変形は最終グレーレベルの微調整用に使用し得る。
【0129】
添付図面の
図20は、ゼロ電圧の期間(休止)を
図14に示される基本IMP波形1440に挿入することによって生成される変形したIMP波形を示す。
図20に示される第1の波形(全体に2000と示される)は、20ミリ秒休止(2002と示される)を波形の第2リセットパルスとセットパルスとの間に挿入することによって、二つのリセットパルスが20ミリ秒早くシフトされ、波形の最初においてゼロ電圧の期間における対応する減少する状態において、生成される。
図20に示される第2の波形(全体に2020と示される)は、一般に波形2000と同様であるが、波形2020は、セットパルスの最初の4つのスキャンフレーム後に休止2002より40ミリ秒後に挿入されたその休止(2022と示される)を有する。
図20に示される第3の波形(全体に2040と示される)もまた、一般に、波形2000と同様であるが、波形2040は、セットパルスの最初の13個のスキャンフレーム後に休止2002より130ミリ秒後に挿入されたその休止(2042と示される)を有する。2020および2040の両方の波形において、休止2022または2042にそれぞれ先行するセットパルスのスキャンフレームは、休止を収容するために、波形2000と比較して、20ミリ秒だけ早く動かされる。既に述べられているとおり、波形によって達成される最終グレーレベルは、休止の存在および場所の両方に感知し、従って、
図20に示される変形のようなベース波形の変形は、波形によって生成された最終グレーレベルの微調整を行うために使用し得る。
【0130】
上述したように、任意のグレーレベルループ(すなわち、同じグレーレベルにおいて開始および終了する任意の一連のグレーレベル)に関して、ピクセルに印加されるインパルスの代数の合計は0であるという意味で、IMP駆動スキームはDC平衡であることが望ましい。グレーレベルループの例は、以下の通りである。
【0131】
1→1
2→3→2
4→4→3→2→4
グレーレベルのシーケンスとして既約グレーレベルループを定義し得、そのシーケンスにおいて、最初のグレーレベルから開始し、0以上のグレーレベルを通過し、最初のグレーレベルで終了し、上述したように、最初と同じでなければならない最終グレーレベルを除き、どのグレーレベルにも2回以上は行かない。明らかに、任意のグレースケールに関して、既約ループの有限数がある。さらに、任意の一連のグレースケール、たとえば、複合シーケンス、
1→4→3→2→3→2→3→2→1→2→1
は、一連の既約ループと、既約ループ内に埋め込まれた既約ループに減少され得る。たとえば、上記シーケンスは、有限セットの既約ループに分解し得る。すなわち、1→4→3→2→1ループに埋め込まれた二つの連続2→3→2と、ループそれに続くループ1→2→1とである。
【0132】
すべての既約ループがDC平衡の場合、同じグレーレベルで開始および終了するすべての起こり得るシーケンスは、DC平衡である。IMP駆動スキームの好適な実施形態は、すべての既約ループに対するネット電圧インパルスは0であり、すなわち、波形はDC平衡であるものである。
【0133】
IMP波形をDC平衡にすることは、絶対に必要というわけではない。大きなDC不平衡はディスプレイのイメージ性能を損なうが、少しのDC不平衡は許容され得る。完全なDC平衡を達成することが可能でないとき、IMP駆動スキームは以下のように制御されるのが望ましい。Qが、ピクセルの二つの極限光学状態間の遷移のためのネットインパルスの絶対値の小さい方の4分の1であるとき、またインパルスが駆動スキームの特性電圧を使用して判定されるとき、任意の既約ループにおける遷移の数で割られる既約ループのネットインパルスは、Qより少なくなるようにする。イメージフィルムを一つの極限光学状態からもう一方の極限光学状態へ駆動するに必要なネットインパルスは、媒体の特性インパルスを表し、近くのDC不平衡は、この特性インパルスとの比較で測定される。
【0134】
IMP駆動スキームは「ピケットフェンス」タイプであることもしばしば望ましい。前述のMEDEOD出願において記述されているように、二つの駆動電圧のみを供給し得る駆動回路網を使用して電気光学ディスプレイを駆動することがしばしば必要または望ましい。双安定電気光学媒体は普通、その極限光学状態間の両方向に駆動されることが必要であるので、一見、少なくとも三つの駆動電圧が必要であるように見える。すなわち、0、+V、−Vであり、ここで、Vは本質的に任意の駆動電圧で、その結果、特定のピクセル用の一つの電極(代表的には従来のアクティブマトリクスディスプレイの共通前面電極)は、0に保持され、一方、もう一方の電極(そのピクセル用のピクセル電極)は、ピクセルが駆動される必要がある方向に従って、+Vまたは−Vに保持され得る。2電圧駆動回路網が使用されるとき、駆動スキームの各波形は、時間セグメントに分割され、代表的には、これらの時間セグメントは、持続時間が等しいが、このことは必ずしもそうであるとは限らない。非ヒケッとフェンス駆動スキームにおいて、任意の時間セグメントにおいて、正駆動電圧、0駆動電圧、または負駆動電圧が任意の特定のピクセルに印加され得る。たとえば、3駆動電圧システムにおいて、共通前面電極は0に保持され得、一方、個々のピクセル電極は、+V、0、あるいは−Vに保持される。ピケットフェンス駆動スキームにおいて、各時間セグメントは、事実上二つに分割され、その結果の二つのセグメントのうち一つにおいて、0またはネガティブ駆動電圧のみが任意の特定のピクセルに印加され得、一方、その結果のもう一方のセグメントにおいて、ポジティブ駆動電圧または0駆動電圧のみが任意の特定のピクセルに印加され得る。たとえば、V>vのとき、駆動電圧Vとvとを有する二つの駆動電圧システムを考えられたい。各ペアのセグメントの第1において、共通前面電極はVに設定され、ピクセル電極はV(0駆動電圧)またはv(ネガティブ駆動電圧)のいずかに設定される。各ペアのセグメントの第2において、共通前面電極はvに設定され、ピクセル電極はv(0駆動電圧)またはV(ポジティブ駆動電圧)のいずれかに設定される。その結果生じる波形は、対応する非ヒケットフェンス波形の2倍の長さである。
【0135】
IMP駆動スキームはローカル更新ができることもしばしば望ましい。前述のMEDEOD出願に記述されているように、変化を受けるディスプレイの特定のエリアのローカル更新が、ディスプレイの残りのエリアは変化しない状態で、可能であるような方法で、電気光学ディスプレイを駆動することは、しばしば望ましい。たとえば、ユーザがディスプレイの背景イメージを更新することなくテキストに入る対話ボックスを更新することが望ましい。任意のIMP駆動スキームのローカル更新バージョンは、ゼロ遷移(たとえば、ひとつのグレーレベルから同じグレーレベルへの遷移)用の波形からすべての非ゼロ電圧を除去することによって作成し得る。たとえば、グレーレベル2からグレーレベル2への波形は、普通、一連の電圧パルスによって構成される。非ゼロ電圧をこの波形から除去し、すべての他のゼロ遷移に対してそのようにすることは、結果として、IMP波形のローカル更新バージョンとなる。そのようなローカル更新バージョンは、遷移時の無関係なフラッシングを最小にすることが望ましいとき、有利になり得る。
【0136】
下記の実験は、IMP駆動スキームによって生成されるグレーレベルの微調整における上記で討議した変形の使用を示す。
【0137】
内部相を備えるカプセル化した電気泳動媒体で、炭化水素液体にあるポリマー被覆のチタニアおよびポリマー被覆のカーボンブラック粒子を備え、ゼラチン/アカシアカプセルにカプセル化された電気泳動媒体は、前述の特許文献6のパラグラフ[0069]〜「0076」にすべて実質的に記述されているように、準備され、実験的な単一ピクセルディスプレイに組み込まれる。実験的ディスプレイは、次に4グレーレベルIMP駆動スキームを使用して、駆動される。ディスプレイは、+15V,500ミリ秒のパルスによってグレーレベル4(白)からグレーレベル1(黒)へ駆動され、−15V,500ミリ秒のパルスによって、逆遷移がなされ、基本2リセットパルスIMP駆動スキームが、それに従って構成されることが判明した。添付図面の
図21は、高度に図式化された方法で、与えられた第1数が最終グレー状態を表すように[R
1R
2]のラベル付けされるこの基本IMP駆動スキームのすべての16個の波形を示す。たとえば、
図21の右上角に示される[1 4]波形は、グレーレベル4(白)からグレーレベル1(黒)への遷移を達成し、ピクセルを黒に駆動する第1+15V500ミリ秒リセットパルスと、ピクセルを白に駆動する第2−15V500ミリ秒リセットパルスと、ピクセルを黒に駆動する+15V500ミリ秒セットパルスと、を備える。
【0138】
実験的ディスプレイは、変動する一連のグレーレベル、および各シーケンスの終了時に測定されたディスプレイの反射率を介して、基本IMP駆動スキームを使用して駆動され、その結果は
図22に示される。
図22における各点は、横座標に示される最終グレーレベルに到達する前の、異なる一連のグレーレベルに続く反射率を表す。
図22から分かることは、同じ公称グレーレベルで達成される反射率はかなり変動することで、そのような変動は、マルチピクセルディスプレイによって生成されるイメージの品質に不利に影響するため、もちろん望ましくない。特に人間の目は、同じグレーレベルにあると考えられるピクセルのブロック内に発生するグレーレベルにおける小さな変動に非常に敏感で、
図22は、そのような変動が従来のピクセルのグレーレベルにおける差の結果として予想され得ることを示す。
【0139】
IMP駆動スキームは、次に、種々のグレーレベルシーケンス後に一貫したグレーレベルを達成し、
図23に示す変形したIMP駆動スキームを生成するために、平衡パルスペアの挿入および削除(削除の場合結果として生じるギャップの閉鎖を伴う)、および種々の波形の最初と最後におけるゼロ電圧の期間の挿入または除去による上記の方法で変形される。
図24は、
図22におけるものと同じグレーレベルシーケンスを使用して、
図23の変形したIMP駆動スキームによって生成されるグレーレベルを示す。
図24からわかることは、
図24の変形されたIMP駆動スキームが
図21の変形されない駆動スキームよりはるかに一貫したグレーレベルを生成することである。
【0140】
セクションC:平衡パルスペア休止時間補償方法および装置
既に述べられているように、本発明の第3側面において、本発明は、少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成することができる少なくとも一つピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供する。この方法において、遷移が開始する状態におけるピクセルの休止時間の持続時間による、特定のグレーレベル間の同じ遷移に少なくとも二つの異なる波形が使用され、これらの二つの波形は、少なくとも一つの平衡パルスペアの少なくとも一つの挿入および/または削除、またはゼロ電圧の少なくとも一つの期間の挿入によって互いに異なり、ここで「平衡パルスペア」は以前に定義された意味を有する。そのような方法において、駆動スキームは、上記で定義されているようなDC平衡であることが非常に好適である。
【0141】
そのような平衡パルスペア休止時間補償(BPPDTC)方法において(既に記述されたBPPSSおよびIMP方法におけるように)、平衡パルスペアおよび/またはゼロ電圧期間(休止)の挿入または削除は、単一波形エレメント内かまたは二つの連続する波形エレメント間のいずれかにおいて達成し得る。遷移が開始する初期状態における異なる休止時間に続く同じ遷移に使用される二つの波形は、以下「代替休止時間」または「ADT」といい得る。
【0142】
ADT波形は、波形内のBPPまたは休止の場所および/または持続時間によって互いに異なり得(たとえば、下記の
図25B〜25Eの討議を参照)、理由は、BPPまたは休止のそのような動きは、一箇所におけるBPPまたは休止の削除と異なる場所でのBPPまたは休止の挿入との組み合わせ、または(同じ場所における持続時間の変更の場合)その場所におけるBPPまたは休止の削除と同じ場所における異なるBPPまたは休止の挿入との組み合わせ、と形式的に考えられる。
【0143】
BPPDTC駆動スキームにおいて、BPPおよび/または休止の削除の挿入は同じ問題を引き起こし、上記のセクションAおよびBに記述されるBPPSSおよび変形IMP駆動スキームにおけると同じ方法で処理され得る。従って、本発明のBPPDTC側面に従うADT波形間の相違が、少なくとも一つのBPPの削除を含む場合、上記各削除されたBPPによって以前に占有された期間はゼロ電圧の期間としてそのままにされ得る。代わりに、波形の全長が維持されることを確実にするために、普通、ゼロ電圧の期間を波形の後のある段階に、代表的には波形の最後に挿入することを伴って、波形エレメントのいくつかまたはすべてを時間的に早めるように動かすことによって、この期間は「閉鎖」され得る。(普通、少なくとも数千のピクセルを有する任意の実際のディスプレイにおいて、任意の遷移において普通、起こり得るあらゆる遷移を受ける少なくとも一つのピクセルがあり、すべてのピクセルの波形が同じ長さではない場合、コントローラ論理は極端に複雑になる。)代わりに、もちろん、前の波形エレメントのいくつかまたはすべてを時間的に早くに動かすことによって、波形のより早い段階に、代表的にはその最初においてゼロ電圧の期間を挿入すると共に、期間は「閉鎖」され得る。
【0144】
同様に、BPPの挿入は、ゼロ電圧の存在する期間が同時に除去されない場合、波形の総持続時間に追加となる。駆動スキームの一つの波形が挿入されたBPPを有するとき、駆動スキームのすべての波形は、非常に好適に同じ全長を有するので、BPPの挿入によって引き起こされる波形の全長の増加を補償するために、駆動スキームのすべてのその他の波形はそれに追加されたゼロ電圧の期間を持つか、またはその他のなんらかの変形がなされるべきである。たとえば、上記表1に示されるように、40ミリ秒BPPが黒から白への波形に挿入される場合(波形は420ミリ秒の波形長を有する)、すべての波形が460ミリ秒長を有するように、表1に示されるように、40ミリ秒休止が残りの三つの波形に追加され得る。明らかに適切な場合、BPPは休止よりはむしろその他の三つの波形に追加され、またはBPPと合計40ミリ秒の休止とのある組み合わせが使用され得る。
【0145】
本発明のBPPDTC側面の好適な駆動スキームおよび波形は、図示によってのみであるが、ここで記述される。そのような駆動スキームおよび波形において使用される平衡パルスペアは、上記のタイプのいずれかであり得、
図4A〜4Cに示されたBPPのタイプが使用され得る。
【0146】
図25A〜25Eは、本発明のBPPDTC側面に従って、単一の遷移に使用され得る、代わりの休止時間波形を示す。
図25Aは、上記表1の3行目および表2の最終行において述べられた黒から白への波形を示す。この波形は、黒状態における長い休止時間後の黒から白への遷移に適切な波形であるので、黒状態におけるより短い休止時間後の黒から白への遷移に適切な波形を生成するために、本発明のBPPDTC側面に従って変形される黒から白へのベース波形と見なされ得る。上述したように、
図25Aのベース波形は、−15V,400ミリ秒パルスとそれに続く20ミリ秒の0Vから構成される。
【0147】
図25Bは、
図25Aのベース波形の変形を示し、この変形は、初期黒状態において0.3秒以下のほんの短い休止時間後に黒から白への遷移が達成されたときに、最終の白状態の反射率を減少させるのに効果的であると考えられる。
図25Bの波形は、
図25Aの波形の−15V,400ミリ秒のパルスの最後に
図4Aに示されるBPP300と同様なBPPを挿入することによって生成され、その結果、
図25Bの波形は、−15V,420ミリ秒パルスと、それに続く+15V,20ミリ秒のパルスと、20ミリ秒間の0Vとを備える。
【0148】
図25Cおよび25Dは、
図25Aおよび25Bの波形と同じ黒から白への遷移用の二つの更なるADT波形を示す。
図25Cおよび25Dの波形は、黒から白への遷移が黒状態におけるそれぞれ0.3〜1秒の休止期間および1〜3秒の休止時間後に達成されるとき、最終白状態の反射率を標準化することに有効であると考えられる。
図25Cおよび25Dの波形は、
図25BにおけるBPPと同じBPPを
図25Aの波形に挿入することによって生成されるが、該BPPは、
図25Bにおいて使用される場所とは異なる場所にある。上記のように、BPPがベース波形に挿入(または削除)される位置は、遷移に続く最終光学状態に対して重要な影響を有し、従って、ベース波形を有するBPPの挿入位置をシフトすることは、初期光学状態におけるピクセルの休止時間の変動に対して波形を補償する効果的な手段であると考えられる。
【0149】
図25Eは、黒状態における長い休止時間(3秒以上)後の黒から白への遷移を達成するための
図25Aの波形に対する好適な代案である。
図25Eの波形は、同じBPPを
図25Aの波形に挿入することによって生成される点において、
図25B〜25Dの波形と、概ね同様である。しかしながら、
図25Eにおいて、BPPは波形の最初に挿入されており、持続時間が20ミリ秒よりはむしろ40ミリ秒のパルスを作ることが望ましいと考えられる。このことは、波形の全持続時間を500ミリ秒にするので、
図25Eの波形が
図25B〜25Dの波形に関連して使用されるとき、
図25B〜25Dの波形の最後に0Vの40ミリ秒を追加することにより、該波形を「パディング」する必要がある。従って、黒から白への遷移用のADT波形の好適なセットは、下記表3に示すとおりである。
【0150】
【表3】
黒から白への遷移用のインパルスは−15V
*400ミリ秒、すなわち、表3のADT波形のすべてに対して、従ってすべての初期休止時間に対して、6V秒であり、その結果、駆動スキームはDC平衡であることに注意を要する。
【0151】
上述したように、DTCは、ベース波形からBPPを削除することによっても達成し得る。たとえば、下記表4に示された駆動スキームを考えられたい。
【0152】
【表4】
この駆動スキームにおいて、全体の駆動スキームのみならず、すべての波形は「内部的に」DC平衡となっており、そのような内部DC平衡の望ましさは、上記特許文献3に詳細に討議されていることが分かる。再び、DTCの方法は、黒から白への遷移を参照し討議されるが、黒から白への遷移のDTCは、同様な方法で達成されることは理解されるべきである。
【0153】
この場合、黒から白への遷移のDTCは、BPPを削除することによって、すなわち、逆極性の一つ電圧パルスの類似の部分および同等な持続時間を同時に除去しながら、一つの極性の一つの電圧パルスの部分および一つの持続時間を除去することによって、達成し得る。削除されたパルスセクションはゼロ電圧の期間で置き換えることができ、または波形の残りの部分は、削除されたパルスペアによって以前に占有された期間を占有するように時間的にシフトされ得、全更新時間を維持するために、削除されたペアの持続時間に適合したゼロ電圧セグメントは別のところ、代表的には波形の最初か最後に追加され得る。
【0154】
図26A、26Bおよび26Cは、黒状態において0.3秒未満の短い休止時間でDTCについての上記の表4の第3行にリストされた黒から白への波形の変形のための処理を模式的に示す。
図26Aは表4からのベース波形を示す。
図26Bは、
図26Aの波形からのポジティブ電圧パルスの最後の80ミリ秒部分およびネガティブ電圧パルスの最初の80ミリ秒によって形成されるBPPの除去であって、そこにおいて、結果的に生じるギャップを
図26Bにおいて矢印で示されるようにネガティブパルスを時間的に早めるようにシフトすることによって除去されるものを模式的に示している。
図26Cには、結果的に生じる休止時間補償波形が示されており、該休止時間補償波形は、320ミリ秒ポジティブパルスと320ミリ秒ネガティブパルスとゼロ電圧の180ミリ秒期間とを備えている。
【0155】
この場合、すべての休止時間のDTCは、削除されたBPP長を単に変えることによって達成し得、黒状態における3秒以上の長い休止時間に対しては、
図26Aのベース波形は、十分であると考えられる。従って、この場合における黒から白への遷移のためのADT波形の全リストは下記
図5に示すとおりである。
【0156】
【表5】
上述したように、BPPが
図26Bに示された方法で波形から削除されるとき、残りのコンポーネントが時間的にシフトされるのは本質的ではなく、削除されたBPPは、ゼロ電圧の期間によって、単に置き換えられ得る。下記表6は、表5のADT波形と類似しているが、削除されたBPPがゼロ電圧の期間によって置き換えられたADT波形の変形されたセットを示す。
【0157】
【表6】
本発明のBPPDTC側面は、二つのグレーレベルのみを有するディスプレイを主として参照して上で述べたが、それはそのように限定されるのではなく、より多数のグレーレベルを有するディスプレイに適用し得る。また、図面に示された特定の波形において、BPPの二つのエレメントの挿入または削除は、波形内の一点において達成されるが、本発明は、BPPの挿入または削除が一点において達成される波形に限定されないで、BPPの二つのエレメントは異なる点で挿入または削除され得るもので、すなわち、BPPを構成する二つのパルスは、すぐに続いている必要はなく、時間間隔よって分離され得る。さらにBPPの一つまたは両方のパルスはセクションに再分割され得、これらのセクションは、次にDTC用の波形に挿入または削除され得る。たとえば、BPPは+15V,60ミリ秒パルスと、−15V,60ミリ秒パルスとで構成され得る。このBPPは、二つのコンポーネント、たとえば、+15V、60ミリ秒パルスと、その直後に続く−15V,20ミリ秒パルスと、−15V,40ミリ秒パルスと、に分割され得、これらの二つのコンポーネントは、DTCを達成するために、波形に同時に挿入または削除される。
【0158】
ゼロ電圧セグメントを波形に挿入または削除することは、遷移後の最終グレーレベルに影響を及ぼすとも考えられ、従って、ゼロ電圧セグメントのそのような挿入または削除は、DTCを達成するための最終グレーレベルを調整する第2の方法を提供する。ゼロ電圧セグメントのそのような挿入または削除は、単独またはBPPの挿入または削除との組み合わせにおいて使用され得る。
【0159】
本発明のBPPDTC側面は、任意の所定時間にピクセルに印加される電圧が−V、0または+Vのみであり得るパルス幅変調波形を主として参照して上で述べたが、本発明は、そのようなパルス幅変調波形と共に使用されることに限定されないで、電圧変調波形、またはパルス変調および電圧変調の両方を使用する波形と共に使用され得る。平衡パルスペアの上記の定義は、ゼロネットインパルスを有する逆極性の二つのパルスによって満たされ得、二つのパルスは同じ電圧または持続時間であることを必要としない。たとえば、電圧変調駆動スキームにおいて、BPPは、+15V,20ミリ秒パルスと、それに続く−5V,60ミリ秒パルスとで構成され得る。
【0160】
前述のことから、本発明のBPPDTC側面は、駆動スキームのDC平衡を維持しながら、駆動スキームの休止時間補償を可能にする。そのようなDTCは、電気光学ディスプレイのゴーストレベルを減少し得る。
セクションD:ターゲットバッファ方法および装置
既に述べたように、本発明は、複数のピクセルであって、それらのピクセルの各々は少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成することができる複数のピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するためのターゲットバッファを使用する二つの異なる方法を提供する。これらの二つの方法の第1、非極性ターゲットバッファ方法は、初期データバッファと最終データバッファとターゲットデータバッファとを提供すること、初期データバッファにおけるデータと最終データバッファにおけるデータとが異なる時を決定すること、そのような相違が判明したとき、ターゲットデータバッファにおける値を以下の方法によって更新することを備える。(i)初期データバッファと最終データバッファとが特定のピクセルに対して同じ値を含むとき、ターゲットデータバッファをこの値に設定し、(ii)初期データバッファが特定のピクセルに対し最終データバッファより大きい値を含むとき、ターゲットデータバッファを、初期データバッファの値にインクリメントをプラスした値に設定し、(iii)初期データバッファが特定のピクセルに対し最終データバッファより小さい値を含むとき、ターゲットデータバッファを初期データバッファの値から上記インクリメントをマイナスした値に設定し、ディスプレイ上のイメージを、各ピクセルの初期状態および最終状態として、初期データバッファにおけるデータとターゲットデータバッファにおけるデータとをそれぞれ使用して更新し、次に、該データをターゲットデータバッファからを初期データバッファにコピーし、これらのステップを、初期データバッファと最終データバッファとが同じデータを含むまで行う。
【0161】
これらの方法における第2、極性ターゲットバッファ方法において、ディスプレイの各ピクセルに対する極性ビットを記憶するように構成された極性ビットアレイと共に、最終データバッファと、初期データバッファと、ターゲットデータバッファとは再び提供される。再び、初期データバッファにおけるデータとターゲットデータバッファにおけるデータとは比較され、それらが異なるとき、極性ビットアレイにおける値とターゲットデータバッファにおける値とは以下の方法によって更新される。(i)初期データバッファと最終データバッファとにおける特定のピクセルに対する値が異なり、初期データバッファにおける値がピクセルの極限の光学状態を表すとき、ピクセルの極性ビットは反対の極限光学状態へ向かう遷移を表す値に設定され、ターゲットデータバッファは、極性ビットアレイにおける関連値による、初期データバッファの値にインクリメントをプラスまたはマイナスした値に設定される。次に、ディスプレイ上のイメージは、第1の方法と同じ方法で、更新され、その後、ターゲットデータバッファからのデータは初期データバッファにコピーされる。これらのステップは、初期データバッファと最終データバッファとが同じデータを含むまで、繰り返される。
【0162】
代表的に、電気光学ディスプレイに対する従来技術のコントローラは、以下のリスト1に示されるものと類似した論理を用いる(本明細書における全てのリストは、擬似コードで書かれている)。
【0163】
【化1】
この方法で動作するコントロ−ラで、ディスプレイは新しいイメージ情報を受信するために待機し、次に、そのような新しいイメージ情報が受信されたとき、新しい情報がディスプレイに送られるようにする前に全更新を実行する。すなわち、一旦新しいイメージがディスプレイによって受け入れられると、ディスプレイは、第1の新しいイメージを表示するのに必要なディスプレイの再書き込みが完了するまで、第2の新しいイメージは受け付けることができず、ある場合において、この再書き込み手順は、上記セクションA〜Cにて説明される駆動スキームのいくつかと比較して、数100ミリ秒を要し得る。従って、ユーザがスクロールまたはタイプするとき、ディスプレイは、この全更新(再書き込み)時間の間、ユーザ入力を感知できないように見える。
【0164】
対照的に、本発明の非極性ターゲットバッファ方法を達成するコントローラは、下記のリスト2によって例示される論理によって動作する(このタイプのコントローラは便宜上以下「リスト2コントロ−ラ」と呼ぶ)。
【0165】
【化2】
NPTB方法用のこの変形されたコントローラにおいて、三つのイメージバッファがある。初期および最終バッファは、従来のコントローラにおけるものと同じで、新しい第3のバッファは、「ターゲット」バッファである。ディスプレイコントローラは、新しいイメージデータを最終バッファにいつでも受け付け得る。コントローラが最終バッファにおけるデータが最初のバッファにおけるデータにもはや等しくないことを見つけたとき(すなわち、イメージの再書き込みが必要)、新しいターゲットデータセットは、初期および最終バッファにおける関連値間の差に応じて、初期バッファにおける値を1だけインクリメントまたはデクリメントする(またはそれらの値を変化させずにそのままにしておく)ことによって構成される。コントローラは次に、初期およびターゲットバッファからのデータを使用して、通常の方法でディスプレイ更新を実行する。この更新が完了すると、コントローラは、ターゲットバッファからの値を初期バッファにコピーし、次に、新しいターゲットバッファを生成するために初期および最終バッファ間の差分演算を繰り返し、初期および最終バッファが同じデータセットを有するとき、全更新は完了する。
【0166】
従って、このNPTB方法において、全更新は、一連の副更新演算によって達成され、そのような副更新演算の一つは、イメージが初期データバッファとターゲットデータバッファとを使用して更新されるときに発生する。術語「メゾフレーム(meso−frame)」は以下、これらの副更新演算の各々に必要な期間に使用され、そのようなメゾフレームは、もちろん、ディスプレイの単一スキャンフレームに必要な期間(前述のMEDEOD出願を参照されたい)とスーパーフレームとの間の期間、または全更新を完了するために必要な期間を示す。
【0167】
本発明のNPTB方法は、二つの方法で対話性能を改善する。第1に、従来技術において、最終データバッファは、更新処理時にコントローラによって使用され、その結果、更新が行われている間、新しいデータはこの最終データバッファに書き込まれ得ず、従って、ディスプレイは更新に必要な全期間の間、新しい入力に対する応答はできない。本発明のNPTB方法において、最終データバッファは、ターゲットデータバッファにおけるデータセットの計算のみに使用され、この計算は、単純なコンピュータ計算であるので、電気光学材料からの物理的応答を必要とする更新演算よりはるかに速く達成し得る。一旦、ターゲットデータバッファにおけるデータセットの計算が完了すると、更新は最終データバッファへのさらなるアクセスは必要とぜず、その結果、最終データバッファは新しいデータを受け付け可能である。
【0168】
前述のMEDEOD出願において討議され、また波形に関して以下にさらに討議されている理由によって、ピクセルが以下のような意味において循環的な方法で駆動されることがしばしば望ましい。一旦ピクセルが、一つの極性の電圧パルスによって、一つの極限光学状態から離れるように駆動されると、逆極性の電圧パルスは、ピクセルがそのもう一方の極限光学状態に到達するまで、そのピクセルに印加されない。たとえば、
図11Aおよび11B、および前述の特許文献119の関連記述を見られたい。この制限は、下記のリスト3によって例示される論理で動作するコントローラを使用し得る本発明のPTB方法によって満たされる(このタイプのコントローラは便宜上以下、「リスト3コントローラ」と呼び、このリストは、黒の1から4の白までの番号がつけられたグレーレベルを有する4グレーレベルシステムを想定している。但し、当業者は、動作の擬似コードを異なる数のグレーレベルで容易に変形し得る)。
【0170】
【化3-2】
このPTB方法は、4つのイメージバッファを必要とし、第4番目はディスプレイの各ピクセルに対する単一ビットを有する「極性」バッファであり、この単一ビットは、関係ピクセルの遷移の現在の方向、すなわちピクセルは現在、白から黒(0)と黒から白(1)とのいずれに遷移しているかを示す。関係ピクセルが現在遷移を受けていない場合、極性ビットは、以前の遷移からのその値を保持する。たとえば、明るいグレー状態に静止して、以前は白であったピクセルは、極性ビット0を有する。
【0171】
PTB方法において、新しいターゲットバッファデータセットが構成されたとき、極性ビットアレイが考慮される。ピクセルが現在黒または白であり、反対状態への遷移が要求される場合、極性ビットの値は、それに従って設定され、ターゲット値はそれぞれ黒か白に最も近いグレーレベルに設定される。代わりに、ピクセルの初期状態が中間(グレー)状態である場合、ターゲット値は、極性ビットの値(極性=1の場合+1、極性=0の場合−1)に従って、その状態を1だけインクリメントまたはデクレメントすることによって、計算される。
【0172】
この駆動スキームにおいて、中間状態におけるピクセルの行動はそのピクセルの最終状態の現在値と無関係であることに注意すべきである。ピクセルは、黒から白へまたは白から黒への遷移を開始次第、それが反対の光学レール(極限光学状態で、代表的には黒または白)に到達するまで同じ方向で継続する。所望のイメージおよび従ってターゲット状態が遷移時に変化する場合、ピクセルは次に、反対方向に戻るなど行う。
【0173】
本発明のTB方法で用いる好適な波形は、ここで討議される。下記の表7は、本発明のNPTBおよびPTB方法で用いる、1ビット(モノクロ)動作に使用され得る一つの可能な遷移マトリクスを示し、この遷移マトリクスは二つの中間状態を使用する。
【0174】
【表7】
黒、白、および二つの中間グレー状態を有するこの遷移マトリクスの構造は、MEDEOD出願において記述された駆動スキームなどの従来の2ビット駆動スキームにおいて使用されるものと非常に似ているように見える。しかしながら本発明のTB方法において、これらの中間状態は、固定のグレー状態に対応するのではなく、ただ遷移状態であり、一つのメゾフレームの完了と次の開始との間のみに存在し、これらの中間状態の反射率の均一性に対する制限はない。
【0175】
表7に示された遷移マトリクスにおいて、エレメントの多くは(ダッシュで示される)、許可されないことに注意すべきである。コントローラのみが、各遷移がグレーレベルをどちらかの方向に1単位だけ変化させることを可能にし、その結果、グレーレベルにおける複数の変化を伴う遷移(たとえば、直接1−4黒から白への遷移)は禁止される。遷移マトリクスの主要な対角線上のエレメント(ゼロ遷移に対応)は、中間状態に対し禁止され、そのような主要な対角線上のエレメントは、白状態および黒状態に推奨されないが、表7にアスタリスクで示されるように、厳格には禁止されない。
【0176】
モノクロNPTB方法において、更新シーケンスは、一連の状態として現れ、該一連の状態は、極限の光学状態(光学レール)において開始、終了し、一連の中間グレー状態がゼロ休止時間によって分離される。たとえば、黒から白への単純な遷移は、
1→2→3→4
として現れる。一方、ディスプレイの最終状態が更新中に変化する場合、この遷移は、
1→2→3→2→1
となる。最終状態における多数の変化は、
1→2→3→2→3→4
などの遷移を生成し得る。
【0177】
より一般的に、極限黒光学状態と極限白光学状態と間の遷移に4つの起こり得るタイプがある。
【0178】
1→2→3(→2→3)→4
1→2(→3→2)→1
4→3→2(→3→2)→1
4→3(→2→3)→4
ここで、括弧は、括弧内のシーケンスの0回以上の繰り返しを意味する、
NPTB駆動スキームのこのクラスの最適化(「同調」)は、括弧内のシーケンスの繰り返し数に無関係に、1(黒)および4(白)状態に対して調和した反射率を確実にするため、遷移マトリクスの非ゼロエレメントを調整することを必要とする。波形は、黒および白の極限光学状態における任意の休止時間の間動作しなければならないが、中間状態における休止時間は常に0であり、その結果、上述のとおり、遷移状態の反射率は重要ではない。
【0179】
一般に、任意の単一のメゾフレーム更新に必要な時間は、遷移マトリクスにおいて最長エレメントの長さに等しい。従って、全更新の時間は、この最長エレメントの長さの3倍である。ベストの場合、黒から白へおよび白から黒へ(それぞれ、1→4および4→1)の波形は三つの等しい長さの要素に分割され得る。このアプローチは、更新待ち時間を全更新時間の3分の1に減らし、一方、全更新に対する同じ持続時間を維持する。波形の最適化の結果であり得るメゾフレーム更新の長さが長くなると、利益はより実質的でなくなる。たとえば、一つのエレメントが2倍の長さになる場合、待ち時間は、単純な更新時間の3分の2に増加し、全遷移は、以前の2倍の時間が必要となる。所定のメゾフレームにおける存在する最長のエレメントを見つけることを検証し、更新時間をその長さに動的に調整することは可能であるが、この余分の計算の利益は重要ではなさそうである。
【0180】
媒体のどの電気光学の特性が、該媒体を使用するディスプレイをこのタイプのNPTB駆動スキームと共に使用することのみを適切なものとするかについて考慮されるべきである。第1に、媒体の休止時間依存は0(理想的には、または少なくとも非常に低い)であるべきである。理由は、この波形は、メゾフレーム間の一連の近いゼロ休止時間を、遷移間の潜在的にはるかに長い休止時間と結合するからである。第2に、媒体は、特定の遷移の初期状態に先行する光学状態に対してほとんどまたは全く感度を有しない。理由は、遷移の方向は、流れの中で変化し得る。たとえば、2→1遷移は、1→2遷移または3→2遷移のいずれかによって、先行され得る。最後に、電気光学媒体は、特に黒および白状態の近くで、その応答において対照的である。同じ黒状態または同じ白状態にそれぞれ到達する1→2→1遷移または4→3→4遷移を実行し得るDC平衡波形を生成することは難しい。
【0181】
上記の理由により、NPTB駆動スキームにおける「中間反転」は、最適な波形を開発することを非常に難しくする。対照的に、PTB駆動スキームは、電気光学媒体に対する要求を大幅に減少し、従って、性能向上をなおも提供しながらNTPB駆動スキームの最適化における困難性の多くを軽減する。
【0182】
PTB駆動スキーム用の遷移マトリクスの構造はNPTB駆動スキーム用の遷移マトリクスの構造と同一であるが、PTB駆動スキームは、二つの黒から白への遷移および白から黒への遷移のみを可能にし、すなわち、
1→2→3→4
4→3→2→1
である。実際、これらの二つの遷移は、三つの等しい部分に分割されている遷移を持つ普通の1→4遷移および4→1遷移と同じである。いくらかのわずかの再同調は、メゾフレーム間の遅延に対しては望ましいが、調整は、複雑ではない。簡単なタイプ入力について、この駆動スキームは、結果的に待ち時間の3分の2の減少をもたらす。
【0183】
PTB方法にとっていくつかの欠点がある。極性ビットアレイに余分のメモリが必要であり、より複雑なコントローラがこのより簡易駆動スキームを動作する。理由は、各ピクセルにおける遷移の方向に対する許可は、遷移に対する初期状態および最終状態に加えて、余分のデータ(極性ビット)を考慮することが必要であるからである。また、PTB方法は、更新を開始するための待ち時間を減少するが、コントローラは、遷移を反転する前に更新が完了するまで、待たなければならない。この制限は、ユーザーが文字をタイプし、次にすぐにそれを消した場合、明らかである。文字が消される前の遅延は、全更新時間に等しい。このことは、カーソルトラッキングまたはスクローリングに関してPTB方法の有用性を制限する。
【0184】
NPTBおよびPTB方法は、主としてモノクロ駆動スキームに関して上に記述されているが、それらの方法は、グレースケール駆動スキームとも互換性がある。NPTB方法は、本来、グレースケールと完全に互換性がある。PTB方法のグレースケール互換性は以下で討議される。
【0185】
駆動スキームの観点から、NPTB方法用の動作可能なグレースケール駆動スキームを生成することは、対応するモノクロ駆動スキームを生成することより難しいことは明らかである。なぜならグレースケール駆動スキームにおいて、中間状態は、実際のグレーレベルに対応し、そのためこれらの中間状態の光学値は、制限されるからである。PTB方法のグレースケ−ル駆動スキームを生成することもまた、かなり難しい。待ち時間を減らすために、メゾフレーム遷移は、大幅に短くしなければならない。たとえば、2→3遷移は、スタンドアロン遷移、1→2→3遷移の最終段階、または2→3→4遷移の初期段階であり得る。従って、この遷移を(より短い全更新を達成するために)短くし、(遷移がグレーレベル3で停止する場合に)正確にするために競合する要求がある。
【0186】
グレースケールPTB方法は、複数のグレーレベルステップを導入することによって(すなわち、上記表7に示されものなどの関連する遷移マトリクスの読み取れる対角線上から除去された2以上のステップにエレメントを再挿入することに対応する、2以上の単位により各メゾフレームの間にグレーレベルを変更させることを可能にすることによって)、変形し得、従って、前のパラグラフに記述されたメゾフレームステップの退化を除去する。この変形は、極性ビットマトリクスをカウンタアレイで置き換えることによって、達成し得、該カウンアタアレイは、ディスプレイの各ビット毎に、2以上のビットから全グレースケ−ルイメージ表現に必要な数のビットまでを含む。波形は、また、各波形が4つ(またはメゾフレームのその他の本質的に任意の数)に等しく分割された状態で、全N×N遷移までを含む。
【0187】
上記に討議された特定のTB方法は、二つの中間グレーレベルを有する2ビットグレースケール方法であるが、TB方法は、もちろん、任意の数のグレーレベルと共に使用し得る。しかしながら、減少した待ち時間の増大した利益は、グレースケールの数が増えるに従い、減る傾向がある。
【0188】
従って、本発明は、コントローラアルゴリズムの複雑性を最小にしながら、モノクロモードにおける更新待ち時間の大幅な減少を行うTB方法の二つのタイプを提供する。これらの方法は、対話1ビット(モノクロ)アプリケーション、たとえば、ユーザー入力に対する迅速な応答が最重要である個人のデジタル支援および電子辞書など、において特に有用であることが判明し得る。
セクションE:波形圧縮方法および装置
上述したように、本発明の最後の主要な側面は、双安定電子光学ディスプレイを駆動するために記憶されなければならない波形データの量を減らす方法に関する。より特定的には、本発明のこの側面は、電気光学ディスプレイを駆動する「波形圧縮」または「WC」方法を提供する。その電子光学ディスプレイは、複数のピクセルであって、該ピクセルの各々は、少なくとも二つの異なるグレーレベルを達成することができる複数のピクセルを有する。該方法は、グレーレベル間でのピクセルによる特定の遷移の際に印加される一連の電圧を定義するベース波形を記憶し、特定の遷移に対する増倍率を記憶し、増倍率に依存する期間の間、一連の電圧をピクセルに印加することによって特定の遷移を達成することを備える。
【0189】
インパルス駆動電気光学ディスプレイが駆動されているとき、代表的にはグレーレベル間の遷移である、一つの光学状態から別の光学状態への遷移を達成するために、ディスプレイの各ピクセルは、電圧パルス(すなわち、そのピクセルに関係した二つの電極間の電圧差)または一時の一連の電圧パルス(すなわち、波形)を受ける。各遷移用の波形のセット(完全な駆動スキームを構成する)を定義するために必要なデータは、メモリ、一般にはディスプレイコントローラ上に記憶される。ただし、データは、代わりに、ホストコンピュータまたはその他の補助的デバイスに記憶され得る。駆動スキームは多数の波形を備えることができ、また(前述のMEDEOD出願に記述されているように)、温度および湿度などの環境パラメータにおける変動、および電気光学媒体の動作寿命などの非環境の変動を許容する波形データの複数のセットを記憶する必要があり得る。従って、波形データを保持するのに必要なメモリ量は、実質的であり得る。ディスプレイコントローラのコストを減らすために、メモリ量を減らすことが望ましい。ディスプレイコントローラまたはホストコントローラに現実的に適応され得る簡易圧縮スキームは、波形データに必要なメモリ量を減らし、それによってディスプレイコントローラコストを減らすことにおいて有益である。本発明の波形圧縮方法は、電気泳動ディスプレイおよびその他の公知の双安定ディスプレイにとって特に有利な簡易圧縮スキームを提供する。
【0190】
特定の遷移用の非圧縮波形データは、一般的に一連のビットデータとして記憶され、各ビットセットは、波形における特定点で印加されるべき特定の電圧を指定する。例として、トライレベル電圧駆動スキームを考えられたい。このトライレベル電圧駆動スキームでは、ピクセルが、ポジティブ電圧(この例では+10V)を使用して黒へ、ネガティブ電圧(−10V)を使用して白へ駆動され、ゼロ電圧で現在の光学状態に保持されるように駆動される。所定の時間エレメント(アクティブマトリクスディスプレイ用のスキャンフレーム)は、2ビットを使用して(たとえば、下記の表8に示されるように)コード化され得る。
【0191】
【表8】
この2進法表現を使用して、アクティブマトリクスドライブに使用する波形であって、5スキャンフレーム間続く+10Vパルスと、それに続くゼロ電圧の2スキャンフレームとを備える波形は、以下のように表される。
【0192】
01010101010000
多数の時間セグメントを備える波形は、波形データの多数のビットセットの記憶を必要とする。
【0193】
本発明のWC方法に従って、波形データはベース波形(上記の2進法表現のように)および増倍率として記憶される。ディスプレイコントローラ(またはその他の適当なハードウェア)は、増倍率に依存する期間の間、ベース波形によって定義される一連の電圧をピクセルに印加する。そのようなWC方法の好適な形式において、ビットセット(上記のものなど)は、ベース波形を表すのに使用されるが、各ビットセットによって定義される電圧は、n時間セグメント用のピクセルに印加され、ここで、nは波形に関係した増倍率である。増倍率は自然数でなければならない。増倍率1に関して、印加される波形は、ベース波形から不変である。1より大きい増倍率に関して、電圧シリーズの表現は、少なくともいくつかの波形に対して圧縮される。すなわち、これらの波形を表現するのに必要なビットは、データが非圧縮形式で記憶された場合に必要であろうビットより少ない。
【0194】
例として、表8の3つの電圧レベルの2進法表現を使用して、+10Vの12個のスキャンフレームと、それに続く−10Vの9個のスキャンフレームと、それに続く+10Vの6個のスキャンフレームと、それに続く0Vの3個のスキャンフレームとを必要とする波形を考えられたい。この波形は非圧縮形式で以下のように表わされ、
010101010101010101010101101010101010101010010101010101000000
圧縮形式では、
増倍率:3
ベース波形:01010101101010010100
各波形に割り当てられなければならない電圧シーケンスの長さは、最長波形によって決定される。カプセル化した電気泳動ディスプレイおよびその他の電気光学ディスプレイに関して、最長波形は、代表的に、最低温度において必要であり、該最低温度では、電気光学媒体が、印加されたフィールドに対してゆっくりと応答する。同時に、うまく遷移を達成するために必要な解像度は、応答がゆっくりのとき、減少し、従って、本発明のWC方法によって、連続するスキャンフレ−ムをグループ化することによって光学状態の精度におけるロスがほとんどない。この圧縮方法を使用して、更新時間が短い適度な高温度で波形に適切である多数のスキャンフレーム(または一般に時間セグメント)は、各波形に割り当てられ得る。必要なスキャンフレームの数がメモリ割り当てを越え得る低い温度において、1を越える増倍率が長い波形を生成するために使用され得る。このことが、最終的には、削減されたメモリ要求およびコストの減少を生じることとなる。
【0195】
本発明のWC方法は、原理的に、種々の温度におけるアクティブマトリクスのフレーム時間を単に変化することと同等である。たとえば、ディスプレイは、室温において50Hzで、また許容できる波形時間を広げるために、0℃において25Hzで駆動し得る。しかしながら、バックプレインは、所定のスキャンレートにおける容量性の電圧アーチフェクトおよび抵抗性の電圧アーチフェクトを最小にするように設計されるため、WC方法は優れている。この最適なスキャンレートからどちらかの方向に大幅に逸脱すると、少なくとも一つのタイプのアーチフェクトが起こる。従って、WC方法を使用して、スキャンフレームをグループ化しながら、実際のスキャンレートを一定に保つことがベターであり、WC方法は、物理的なスキャンレートを実際に変化さないで、スキャンレートにおける仮想の変化を達成する方法を事実上提供する。