(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで使用される時、化学量論に関する下付き文字の整数値は、分子種を指し、そして化学量論に関する下付き文字の非整数値は、分子量平均基準、数平均基準、またはモル分率基準に関する分子種の混合物を指す。本発明の化合物の混合物の場合、純粋化合物のものと対照的に、混合物の化学量論的下付き文字が、整数もしくは非整数であり得る下付き文字の平均値を持つということは、容易に明らかである。
【0011】
本発明は、式I、II、もしくはIIIを有するトリシロキサン化合物からなる群より選択される、界面活性剤として有用なトリシロキサン化合物もしくはそれの組成物を提供する。
【0012】
トリシロキサン化合物Iは式:
M
1D
1M
2
を有し、
ここで、
M
1=(R
1)(R
2)(R
3)SiO
1/2
M
2=(R
4)(R
5)(R
6)SiO
1/2
D
1=(R
7)(Z)SiO
2/2
であり、
式中、
R
1は、2から4個の炭素原子からなる分岐のもしくは直鎖の炭化水素基、アリール、および6から20個の炭素原子のアリール置換基を含んでいる4から9個の炭素原子のアルキル炭化水素基から選択され;R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含んでいる4から9個の炭素原子の炭化水素基からなる群よりそれぞれ独立して選択される。
Zは一般式:
R
8(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b(C
4H
8O)
cR
9
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
8は、2、3、5、6、7、8、もしくは9個の炭素原子の直鎖のもしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルであり;R
9はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択され;下付き文字、a、b、およびcはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦a+b+c≦20 かつ a≧2
を満たす。
【0013】
下付き文字aが2≦a≦5の条件を満たすとき、本発明の組成物の効果を得るために、以下に説明するような共界面活性剤を用いる事が望ましい。
【0014】
トリシロキサン化合物IIは式:
M
3D
2M
4
を有し、
ここで、
M
3=(R
10)(R
11)(R
12)SiO
1/2
M
4=(R
13)(R
14)(R
15)SiO
1/2
D
2=(R
16)(Z’)SiO
2/2
であり、
式中、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、およびR
16は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、アリール、および6から20個の炭素原子のアリール置換基を含んでいる4から9個の炭素原子のアルキル炭化水素基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;Z’は一般式:
R
17(C
2H
4O)
d(C
3H
6O)
e(C
4H
8O)
fR
18
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
17は、式:
−C
4H
8O−(C
2H
4O)−
を有し、
R
18は、H、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択され;下付き文字、d、e、およびfはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦d+e+f≦20 かつ d≧2
を満たす。
トリシロキサン化合物IIはまた、式:
M
3D
2M
4
を有してもよく、
ここで、
M
3=(R
10)(R
11)(R
12)SiO
1/2
M
4=(R
13)(R
14)(R
15)SiO
1/2、および
D
2=(R
16)(Z’)SiO
2/2
であり、
式中、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、およびR
16は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、アリール、および6から20個の炭素原子のアリール置換基を含んでいる4から9個の炭素原子のアルキル炭化水素基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;Z’は式:
R
17(C
2H
4O)
d(C
3H
6O)
e(C
4H
8O)
fR
18
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
17は、式:
−C
4H
8O−(C
2H
4O)−
を有し、
R
18は、H、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択され;下付き文字、d、e、およびfはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦d+e+f≦20 かつ d≧2、ただしR
18がメチルの場合、dが2から5、もしくは8から20である
を満たす。
【0015】
下付き文字dが2≦d≦5の条件を満たすとき、本発明の組成物の効果を得るために、以下に説明するような共界面活性剤を用いる事が望ましい。
【0016】
トリシロキサン化合物IIIは式:
M
5D
3M
6
を有し、
ここで、
M
5=(R
19)(R
20)(R
21)SiO
1/2
M
6=(R
22)(R
23)(R
24)SiO
1/2
D
3=(R
25)(Z’’)SiO
2/2
であり、
式中、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、およびR
24は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、アリール、および6から20個の炭素原子のアリール置換基を含んでいる4から9個の炭素原子のアルキル炭化水素基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;R
25は2から4個の炭素原子の直鎖のもしくは分岐の炭化水素ラジカルであり;Z’’は一般式:
R
26(C
2H
4O)
g(C
3H
6O)
h(C
4H
8O)
iR
27
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
26は、2、3、5、6、7、8、もしくは9個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルであり;R
27はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択され;下付き文字、g、h、およびiはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦g+h+i≦20 かつ g≧2
を満たす。
【0017】
下付き文字gが2≦g≦5の条件を満たすとき、本発明の組成物の効果を得るために、以下に説明するような共界面活性剤を用いる事が望ましい。
【0018】
本発明の組成物を製造する一つの方法は、次の式:
MD
HM
〔式中、本発明の組成物中のD’構造ユニットの水素化物前駆体であり、ここで、定義及び関係は後ほど定義され、先に定義した物と矛盾しない〕の分子を、ヒドロシリル化条件の下、例としてここに組み込まれるが、他の可能なオレフィン修飾されたポリアルキレンオキシド組成物を制限するために挙げられてない、アリルオキシポリエチレングリコールもしくはメタリルオキシポリアルキレンオキシドのような、オレフィン修飾されたポリアルキレンオキシドと反応させることである。ここで使用されるとき、「オレフィン修飾されたポリアルキレンオキシド」というフレーズは、一つもしくはそれ以上の末端もしくは、ペンダントの炭素−炭素二重結合を含有したアルキレンオキシド基を一つもしくはそれ以上保持している分子と定義される。ポリエーテル(置換基Z,Z’もしくはZ’’の前駆体)はオレフィン修飾されたポリアルキレンオキシドであり(以降ポリエーテルと呼ぶ)、一般式:
CH
2=CH(R
28)(R
29)
jO(R
30)
k(C
2H
4O)
m(C
3H
6O)
n(C
4H
8O)
pR
31
で記され、
式中、
R
28はHもしくはメチルであり;R
29は1から6個の炭素原子の二価のアルキルラジカルであり、ここで下付き文字jは0もしくは1であってよく、R
30は−C
2H
4O−であり、下付き文字kは0もしくは1であってよく、R
31はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素基、もしくはアセチルであり、下付き文字m、nおよびpはゼロもしくは正であり、そして関係2≦m+n+p≦20 かつ m≧2を満たす。ポリエーテルが混合のオキシアルキレンオキシド基(すなわち、オキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレン)からなるとき、そのユニットはブロック化されているかもしくはランダムに分布しているであろう。当業者はブロック化されているかもしくはランダムの構造の利点を理解するであろう。ブロック化された構造の説明的な例は:−(オキシエチレン)
a(オキシプロピレン)
b−;−(オキシブチレン)
c(オキシエチレン)
a−;および−(オキシプロピレン)
b(オキシエチレン)
a(オキシブチレン)
c−である。
【0019】
ポリエーテルの説明的な例は以下に与えられるが、それらには限定されない:CH
2=CHCH
2O(CH
2CH
2O)
8H;CH
2=CHCH
2O(CH
2CH
2O)
8CH
3;CH
2=CHCH
2O(CH
2CH
2O)
4(CH
2CH(CH
3)O)
5H;CH
2=CHO(CH
2CH
2O)
5(CH
2CH(CH
3)O)
5H;CH
2=C(CH
3)CH
2O(CH
2CH
2O)
4(CH
2CH(CH
3)O)
5C(=O)CH
3;CH
2=CHCH
2O(CH
2CH
2O)
5(CH
2CH(CH
3)O)
2(CH
2CH(CH
2CH
3)O)
2H。
【0020】
ポリエーテル修飾したシロキサンは、本発明のトリシロキサンの水素化物(SiH)中間体上のオレフィン修飾(すなわちビニル、アリル、メタリル)したポリアルキレンオキシドを結合するヒドロシリル化反応の使用を介した通常の方法によって作成される。
【0021】
式Iのトリシロキサン化合物の好ましい実施態様は、R
1およびR
4が、2から4個の炭素原子からなる分岐のもしくは直鎖の炭化水素基、アリール、6から20個の炭素原子のアリール置換基を含んでいる4から9個の炭素原子のアルキル炭化水素基、より好ましくは3から4個の炭素原子もしくはアリール、から選択される。R
2、R
3、R
5、R
6、およびR
7は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含んでいる4から9個の炭素原子の炭化水素基、より好ましくは1から2個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、もっとも好ましくはメチル、からなる群よりそれぞれ独立して選択される。
Zは一般式:
R
8(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b(C
4H
8O)
cR
9
のアルキレンオキシド基であり、式中、R
8は、2、3、5、6、7、8、もしくは9個の炭素原子の、より好ましくは3から7個の炭素原子の、もっとも好ましくは3から6個の炭素原子の、直鎖のもしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルである。下付き文字、a、b、およびcはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦a+b+c≦20 かつ a≧2
を満たし、好ましくはaが5から20、より好ましくは5から8;好ましくはbが0から10、より好ましくは0から5;好ましくはcは0から8、より好ましくは0から4である。R
9はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択される。
【0022】
式Iのトリシロキサン化合物の他の好ましい実施態様は、R
1、R
4、およびR
7が2から4個の炭素原子、より好ましくは3から4個の炭素原子からなる分岐のもしくは直鎖の炭化水素基、およびアリールから選択される。R
2、R
3、R
5、およびR
6は、1から4個の炭素原子の、より好ましくは1から2個の炭素原子の、一価の炭化水素ラジカル、およびアリール、もっとも好ましくはメチルからなる群よりそれぞれ独立して選択される。Zは上述の通りである。
【0023】
式IIのトリシロキサン化合物の好ましい実施態様は、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、およびR
16は、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアリール、からなる群よりそれぞれ独立して選択され;Z’は一般式:
R
17(C
2H
4O)
d(C
3H
6O)
e(C
4H
8O)
fR
18
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
17は、一般式:
−C
4H
8O−(C
2H
4O)−
の、分岐のもしくは直鎖の二価の炭化水素ラジカルから選択され、
R
18は、H、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチル、より好ましくはH、および1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、からなる群より選択され;下付き文字、d、e、およびfはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦d+e+f≦20 かつ d≧2
を満たし、好ましくはdは5から20、より好ましくは5から8;好ましくはeは0から10、より好ましくは0から5;好ましくはfは0から8、より好ましくは0から4である。
【0024】
式IIIのトリシロキサン化合物の好ましい実施態様は、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、およびR
24が、1から4個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され;R
25は2から4個の炭素原子の、もっとも好ましくは3から4個の炭素原子の、直鎖のもしくは分岐の炭化水素ラジカルであり;Z’’は一般式:
R
26(C
2H
4O)
g(C
3H
6O)
h(C
4H
8O)
iR
27
のアルキレンオキシド基であり、
式中、R
26は、2、3、5、6、7、8、もしくは9個の炭素原子の、より好ましくは3から7個の炭素原子の、もっとも好ましくは3から6個の炭素原子の、直鎖もしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルである。R
27はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群より選択され;下付き文字、g、h、およびiはゼロもしくは正であり、以下の関係:
2≦g+h+i≦20 かつ g≧2
を満たし、好ましくはgが5から20、より好ましくは5から8;好ましくはhが0から10、より好ましくは0から5;好ましくはiが0から8、より好ましくは0から4である。
【0025】
ポリエーテル置換シロキサンを作製するのに適切な貴金属触媒はまた、当分野に周知であり、そしてロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および/または白金の錯体を含有する。このSiHのオレフィン付加反応のための白金触媒の多くの種類が既知であり、そしてそのような白金触媒を本発明の組成物を生成させるのに用いてよい。この白金化合物は、参照によりここに組み入れる米国特許第3,159,601号に記載されるように、式(PtCl
2・オレフィン)およびH(PtCl
3・オレフィン)を有する化合物から選択してよい。さらなる白金含有物質は、参照によりここに組み入れる米国特許第3,220,972号に記載されるように、塩化白金酸と、アルコール、エーテル、アルデヒド、およびそれらの混合物からなる類より選択される構成要素の白金グラム当たり2モルまでとの錯体であってよい。本発明において有用な白金含有物質のさらに他の群は、Karstedtの米国特許第3,715,334号、第3,775,452号、および第3,814,730号に記載される。この分野に関する補足的な背景は、F. G. A. StoneおよびR. West編、Academic Press発行(ニューヨーク、1979年)の「Advances in Organometallic Chemistry」、第17巻、407ページから447ページにおけるJ. L. Spier著「Homogeneous Catalysis of Hydrosilation by Transition Metals」に見出すことができよう。当業者は、白金触媒の効果的な量を容易に定めることができる。一般に効果的な量は、有機修飾トリシロキサン組成物の全量の100万部当たり約0.1から50部までの範囲である。
【0026】
本発明の組成物は、6から7.5までの範囲のpHの範囲外で、加水分解に対する増強された耐性を示す。加水分解に対する増強された耐性は、様々な試験によって証明されるが、加水分解に対する増強された耐性は、ここで使われるとき、溶液が6より小さいpHを有する水性の酸性条件への24時間の暴露後、または溶液が7.5より大きいpHを有する水性の塩基性条件への24時間の暴露後、本発明の加水分解耐性組成物の50モルパーセントもしくはそれ以上が未変化または未反応のままでいることを意味する。酸性条件下において、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で48時間を超える期間、初期濃度の50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で2週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;より具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で1ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;そして、最も具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で6ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示す。塩基性条件下において、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で2週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で4週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;より具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で6ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;そして、最も具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で1年を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示す。
【0027】
本発明の組成物の用途
A.農薬−農業、園芸、芝生、観賞植物、および林業
多くの農薬の用途は、葉の表面での湿潤と展着とを与えるためにスプレー用混合物への補助剤の添加を必要とする。この補助剤は、多くの場合界面活性剤であり、これは、湿らすことが困難な葉の表面でのスプレー小滴の保持力を増大する、展着を高めてスプレーされる範囲を改善し、または植物外皮への除草剤の浸透力を与えることができるなどの種々の機能を果たす。この補助剤は、タンク脇で入れる添加物(tank−side additive)として供されるか、または農薬配合物の成分として使われる。
【0028】
農薬の典型的な用途は、農業、園芸、芝生、観賞植物、家庭および庭、獣医、そして林業への適用を含む。
【0029】
本発明の農薬組成物はまた、少なくとも一つの農薬を含み、ここで、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤は、濃縮物として、またはタンク混合物に希釈されて、最終の使用濃度が0.005%と2%との間に達するのに充分な量で存在する。殺虫剤組成物は、任意選択で、賦形剤、共界面活性剤、溶媒、泡制御剤、付着助剤、漂流飛散抑制剤、生物製剤、微量栄養素、肥料などを含んでもよい。農薬という用語は、有害生物を駆除するのに使用される任意の化合物を意味し、例えば殺鼠剤、殺虫剤、殺ダニ剤、防かび剤、および除草剤である。採用され得る農薬の説明的な例は、成長調整剤、光合成阻害剤、色素阻害剤、有糸分裂かく乱物質、脂質生合成阻害剤、細胞壁阻害剤、および細胞膜かく乱物質を含むが、これらに限定されない。本発明の組成物に採用される農薬の量は、採用される農薬の種類によって変化する。本発明の組成物と共に使用されてよい農薬成分のより具体的な例は、フェノキシ酢酸、フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酪酸、安息香酸、トリアジンおよびs−トリアジン、置換尿素、尿素、ベンタゾン、デスメジファム、メタゾール、フェンメジファム、ピリダート、アミトロール、クロマゾン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジニトロアニリン、イソプロパリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、トリフルラリン、グリホサート、スルホニル尿素、イミダゾリノン、クレトジム、ジクロホップ−メチル、フェノキサプロップ−エチル、フルアジホップ−p−ブチル、ハロキシホップ−メチル、キザロホップ、セトキシジム、ジクロベニル、イソキサベン、そしてビピリジリウムの化合物のような除草剤と成長調整剤とであるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明と共に使用され得る防カビ剤組成物は、アリジモルフ、トリデモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ;フルシラゾール、アザコナゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾールなど;イマザリル、チオファネート、ベノミル、カルベンダジム、クロロチアロニル、ジクロラン、トリフロキシストロビン、フロキシストロビン、ジモキシストロビン、アゾキシストロビン、フルカラニル、プロクロラズ、フルスルファミド、ファモキサドン、カプタン、マンネブ、マンコゼブ、ドジシン、ドジン、およびメタラキシルを含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の組成物と共に使用されてよい殺虫剤、殺幼虫剤、殺ダニ剤、および殺卵剤の化合物は、バチルスチューリンゲンシス、スピノサド、アバメクチン、ドラメクチン、レピメクチン、ピレスリン、カルバリル、プリミカルブ、アルジカルブ、メトミル、アミトラズ、ホウ酸、クロルジメホルム、ノバルロン、ビストリフルロン、トリフルムロン、ジフルベンズロン、イミダクロプリド、ダイアジノン、アセフェート、エンドスルファン、ケレバン、ジメトエート、アジンホスエチル、アジンホスメチル、イゾキサチオン、クロルピリホス、クロフェンテジン、ラムダシハロトリン、ペルメトリン、ビフェントリン、シペルメトリンなどであるが、これらに限定されない。
【0032】
農薬は、液体または固体であってよい。もし固体ならば、利用する前に、溶媒または本発明の有機修飾トリシロキサンに溶けることが好ましく、そしてこのシリコンが、溶媒として、またはそのような溶解用の界面活性剤として作用するか、または別の界面活性剤が、この役割を果たしてよい。
【0033】
農業用賦形剤
当分野で既知である緩衝剤、防腐剤、および別の標準的な賦形剤はまた、組成物に含まれてよい。
【0034】
溶媒はまた、本発明の組成物に含まれてよい。これらの溶媒は、室温で液体状態である。この例は、水、アルコール、芳香族溶媒、油(すなわち、鉱油、植物油、シリコーン油、など)、植物油の低級アルキルエステル、脂肪酸、ケトン、グリコール、ポリエチレングリコール、ジオール、パラフィンなどを含む。特定の溶媒は、参照によりここに組み込まれる米国特許第5,674,832号に例示されるように、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよびそれらのアルコキシ化された誘導体(特にエトキシ化された誘導体)であるか、またはN−メチルピロリドンである。
【0035】
共界面活性剤
さらに、別の共界面活性剤は、参照によりここに組み込まれる米国特許第5,558,806号、米国特許第5,104,647号、および米国特許第6,221,811号、に記載されるような超展着を妨げない短鎖の疎水性物質を有する。
【0036】
ここで有用な共界面活性剤は、非イオン性の、陽イオン性の、陰イオン性の、両性の、双性イオン性の、高分子性の界面活性剤、または任意のそれらの混合物を含む。界面活性剤は典型的には、炭化水素系、シリコーン系、またはフルオロカーボン系である。
【0037】
有用な界面活性剤は、アルコキシラート、特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキサイド、およびそれらの混合物の共重合体を含むブロック共重合体を有するエトキシラート;アルキルアリールアルコキシラート、特にエトキシラートまたはプロポキシラートおよびアルキルフェノールエトキシラートを含むそれらの誘導体;アリールアリールアルコキシラート、特にエトキシラートまたはプロポキシラート、およびそれらの誘導体;アミンアルコキシラート、特にアミンエトキシラート;脂肪酸のアルコキシラート;脂肪アルコールのアルコキシラート;アルキルスルホナート;アルキルベンゼンスルホナートおよびアルキルナフタレンスルホナート;硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪酸アミン、または硫酸化脂肪酸アミド;イセチオン酸ナトリウムの酸エステル;スルホコハク酸ナトリウムのエステル;硫酸化脂肪酸エステルまたはスルホン化脂肪酸エステル;石油スルホナート;N−アシルサルコシナート;アルキルポリグリコシド;アルキルエトキシ化アミン;などを含む。
【0038】
具体的な例は、アルキルアセチレンジオール(SURFONYL、Air Products)、ピロリドン系界面活性剤(例えば、SURFADONE−LP100、ISP)、2−エチルヘキシル硫酸塩、イソデシルアルコールエトキシラート(例えば、RHODASURF DA530、Rhodia)、エチレンジアミンアルコキシラート(TETRONICS、BASF)、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(PLURONICS、BASF)、そしてジェミニ型界面活性剤(Rhodia)を含む。
【0039】
好ましい界面活性剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(EO/PO);アミンエトキシラート;アルキルポリグリコシド;オキソ−トリデシルアルコールエトキシラート;などを含む。
【0040】
好ましい実施態様において、本発明の農薬組成物は、一つもしくはそれ以上の農薬成分をさらに含有する。適切な農薬成分は、除草剤、殺虫剤、成長調整剤、防カビ剤、殺ダニ剤、ダニ駆除剤、肥料、生物製剤、植物栄養素、微量栄養素、殺生物剤、パラフィン系鉱油、メチル化された種子油(すなわち、ダイズ油脂肪酸メチル、メチル化キャノーラ油)、植物油(大豆油およびキャノーラ油のような)、Choice(登録商標;Loveland Industries、Greely, CO)およびQUEST(Helena Chemical、Colliverville, TN)のような水分調整剤、Surround(登録商標;Englehard Corp.)のような改質粘土、泡制御剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、付着助剤、漂流飛散抑制成分、および水を含むが、これらに限定されない。
【0041】
適切な農薬組成物は、タンク混合(tank−mix)としてか、または「缶入り(In−can)」配合物として、一つもしくはそれ以上の上述の成分を本発明の有機修飾トリシロキサンと混合するような当分野に既知の方法で、一体化することによって作製される。「タンク混合」という用語は、使用の時点において、水または油のようなスプレー媒体に、少なくとも一つの農薬を添加することを意味する。「缶入り」という用語は、少なくとも一つの農薬成分を有する配合物または濃縮物を指す。次に「缶入り」配合物は、使用の時点において、典型的にはタンク混合で使用の濃度まで希釈してよいか、または希釈せずに使用してよい。
【0042】
B.コーティング
典型的には、コーティング配合物は、乳化、成分の相溶化、平滑、流動、および表面欠陥の低減の目的で湿潤剤または界面活性剤を必要とするであろう。その上、これらの添加剤は、改善された耐摩耗性、ブロッキング防止性、親水性、および疎水性のような硬化されたフィルムまたは乾燥フィルムの改善を提供するであろう。コーティング配合物は、溶媒型コーティング、水性コーティング、および粉末コーティングとして存在してよい。
【0043】
コーティング成分は、建築コーティング、自動車コーティング、およびコイルコーティングのようなOEM製品のコーティング、工場保守用コーティング、および船舶コーティングのような特殊な目的のコーティングとして使用されてよい。
【0044】
典型的な合成樹脂の種類は、ポリエステル、アルキド、アクリル、およびエポキシを含む。
【0045】
C.パーソナルケア
より好ましい実施態様において、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤は、100重量部(「pbw」)のパーソナルケア用組成物当たり、有機修飾トリシロキサン界面活性剤の0.1から99pbwまで、より好ましくは0.5pbwから30pbwまで、そしてさらに好ましくは1から15pbwまでからなり、そしてパーソナルケア用組成物の1pbwから99.9pbwまで、より好ましくは70pbwから99.5pbwまで、そしてさらに好ましくは85pbwから99pbwまでからなる。
【0046】
本発明の有機修飾トリシロキサン組成物は、ローションおよびクリームのようなパーソナルケア用エマルションで利用されてよい。一般的に知られているように、エマルションは、少なくとも二つの不混和相を含有し、このうちの一つは連続で、他の一つは不連続である。さらにエマルションは、種々の粘度を有する液体または固体であってよい。さらに加えてエマルションの粒径は、それらをマイクロエマルションにしてもよく、そして粒径が充分に小さいとき、マイクロエマルションは透明であるかもしれない。さらに、エマルションのエマルションを調製することが可能であり、そしてこれらは、一般的に多重エマルションとして知られる。このエマルションは:
1)不連続相が水を含有し、そして連続相が本発明の有機修飾トリシロキサンを含有する水性エマルション;
2)不連続相が本発明の有機修飾トリシロキサンを含有し、そして連続相が水を含有する水性エマルション;
3)不連続相が非水性ヒドロキシ溶媒を含有し、そして連続相が本発明の有機修飾トリシロキサンを含有する非水性エマルション;そして、
4)連続相が非水性ヒドロキシ有機溶媒を含有し、そして不連続相が本発明の有機修飾トリシロキサンを含有する非水性エマルション、
のようであろう。
【0047】
シリコーン相を含有する非水性エマルションは、参照によりその開示がこれに添えてここで詳細に組み込まれる、米国特許第6,060,546号および第6,271,295号に記載されている。
【0048】
ここで使用されるとき、「非水性ヒドロキシ有機化合物(non−aqueous hydroxylic organic compound)」という用語は、室温、例えば約25℃で、そして約1気圧で液体であるアルコール、グリコール、多価アルコール、および高分子グリコール、そしてそれらの混合物で例示されるヒドロキシ含有有機化合物を意味する。この非水性有機ヒドロキシ溶媒は、室温、例えば約25℃、かつ約1気圧において液体であるアルコール、グリコール、多価アルコール、および高分子グリコール、そしてそれらの混合物を含有するヒドロキシ含有有機化合物からなる群より選択される。好ましくは、非水性ヒドロキシ有機溶媒は、エチレングリコール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、イソブチレングリコール、メチルプロパンジオール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン共重合体、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0049】
シリコーンのみの相、シリコーン相を含有する無水混合物、シリコーン相を含有する含水混合物、油中水型エマルション、水中油型エマルション、または二つの非水性エマルションもしくはその変形のいずれか一方として、望ましい形態がいったん達成されると、生じる物質は、通常は改善された付着性と良好な触感特性とを有するクリームもしくはローションである。それは、ヘアケア、スキンケア、制汗剤、日焼け止め剤、化粧品、カラー化粧品、防虫剤、ビタミン担体、ホルモン担体、芳香剤担体などのための配合物に配合されうる。
【0050】
本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤と本発明のこれから誘導されるシリコーン組成物とが使用され得るパーソナルケアの用途は、脱臭剤、制汗剤、制汗/脱臭剤、髭剃り製品、スキンローション、保湿剤、美容液、入浴製品、クレンジング製品、例えばシャンプー、コンディショナー、ムース、整髪用ジェル、ヘアースプレー、毛髪染料、ヘアカラー製品、毛髪脱色剤、ウェーブ製品、毛髪ストレイトナーなどのヘアケア製品、例えばマニキュア液、マニキュア除光液、爪用クリーム、爪用ローション、あま皮軟化剤などのマニキュア製品、例えば日焼け止め剤、防虫剤、および老化防止製品などの保護クリーム、例えば口紅、ファンデーション、おしろい、アイライナー、アイシャドウ、ほお紅、メーキャップ、マスカラなどのカラー化粧品、そしてシリコーン成分が汎用的に添加されるそのほかのパーソナルケア調合物、ならびに、皮膚に塗布される医薬組成物の局所の塗布のための薬物送達システムをも含むが、これらに限定されない。
【0051】
より好ましい実施態様において、本発明のパーソナルケア組成物は、一つもしくはそれ以上のパーソナルケア成分をさらに含有する。適切なパーソナルケア成分は、例えば、皮膚軟化剤、保湿剤、湿潤剤、例えばオキシ塩化ビスマスおよび二酸化チタン被覆雲母などの真珠光沢顔料を含む顔料、着色剤、芳香剤、殺生物剤、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、制汗剤、皮膚の老廃細胞削剥用化粧品、ホルモン、酵素、医薬化合物、ビタミン、塩、電解質、アルコール、ポリオール、紫外線吸収剤、植物抽出物、界面活性剤、シリコーン油、有機油、ろう、塗膜形成要素、例えばヒュームドシリカまたは含水ケイ酸などの増粘剤、例えばタルク、カオリン、デンプン、加工デンプン、雲母、ナイロンなどの微粒子充填剤、例えばベントナイトおよび有機修飾粘土などの粘土を含む。
【0052】
適切なパーソナルケア組成物は、例えば一つもしくはそれ以上の上述の成分を有機修飾トリシロキサン界面活性剤と混合するような当分野に既知の方法で一体化することによって作製される。適切なパーソナルケア組成物は、単一の相の形態であるか、またはシリコーン相が不連続相もしくは連続相である、水中油型エマルション、油中水型エマルション、および無水エマルション、ならびに、例えば水中油滴の油中型エマルションおよび油中水滴の水中型エマルションのような多重エマルションを含む、エマルションの形態であってよい。
【0053】
一つの有用な実施態様において、制汗剤組成物は、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤および一つもしくはそれ以上の活性制汗剤を含有する。適切な制汗剤は、例えばハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、例えば塩化アルミニウム水和物(aluminum chlorohydrate)、ならびに、例えば塩化アルミニウムジルコニウム水和物(aluminum−zirconium chlorohydrate)や、例えばアルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスグリシンのようなアルミニウムジルコニウムグリシン錯体などのような、それらのオキシハロゲン化ジルコニルおよびヒドロキシハロゲン化ジルコニルとの錯体または混合物のような、例えば米国食品医薬品局による1993年10月10日付の市販のヒト用制汗薬製品に関する一般薬基準に列挙されているカテゴリーIの活性制汗成分を含む。
【0054】
他の有用な実施態様において、スキンケア組成物は、有機就職トリシロキサン界面活性剤と例えばシリコーン油または有機油のようなビヒクルとを含有する。スキンケア組成物は、任意選択で、例えばトリグリセリドエステル、ワックスエステル、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のアルケニルエステル、または多価アルコールエステルのような皮膚軟化剤と、顔料、例えばビタミンA、ビタミンC、およびビタミンEのようなビタミン、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、オクチルメトキシシンナマート、ブチルメトキシジベンゾイルムエタン、パラアミノ安息香酸、およびオクチルジメチルパラアミノ安息香酸のような日焼け止め(sunscreen)または日焼け防止(sunblock)の化合物などの、スキンケア組成物において汎用的に使用される一つもしくはそれ以上の既知の成分とをさらに含んでよい。
【0055】
他の有用な実施態様において、例えば口紅、メーキャップ、またはマスカラ組成物のようなカラー化粧品組成物は、有機修飾トリシロキサン界面活性剤、ならびに顔料、水溶性染料もしくは脂溶性染料のような着色剤を含有する。
【0056】
他の有用な実施態様において、本発明の組成物は、芳香性物質と併せて利用される。これらの芳香性物質は、芳香性化合物、カプセル化された芳香性化合物、または希釈せずにそのままか、カプセル化された芳香放散化合物であってよい。特に、本発明の組成物と相溶性がよいのは、米国特許第6,046,156号;第6,054,547号;第6,075,111号;第6,077,923号;第6,083,901号;および第6,153,578号に開示されるような芳香放散ケイ素含有化合物であり;これらのすべてが参照によりこれに添えてここに組み込まれる。
【0057】
本発明の組成物の用途は、パーソナルケア組成物に限定されず、本発明の組成物で処理されたワックス、光沢剤、および織物のような別の製品もまた意図される。
【0058】
D.ホームケア
ホームケアの用途は、洗濯洗剤および織物柔軟剤、食器用洗剤、木材用および家具用光沢剤、床磨き剤、浴槽およびタイルの洗浄剤、便器洗浄剤、硬質表面洗浄剤、窓用洗浄剤、曇り止め剤、配水管洗浄剤、自動食器洗浄機用洗剤および水切り剤(sheeting agent)、カーペット用洗浄剤、予洗染み抜き剤、さび洗浄剤、および湯あか除去剤を含む。
【実施例】
【0059】
本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤組成物に対する水素化物の中間体ならびに比較例組成物は以下の実施例に記載されるように作製された。
【0060】
作製実施例1
1,5−ジ(t−ブチル)−1,1,3,5,5,ペンタメチルトリシロキサン(
図1、構造1)
【0061】
100gのtBuMe
2SiClと46gのMeHSiCl
2とを150mlのイソプロピルエーテル(IPE)へと溶解し、添加ロートへと注入した。150gの水と250mlのIPEとが、機械的スターラー、還流冷却器、およびN
2注入口を備えた1Lの丸底フラスコへと充填された。クロロシランが、室温(23℃)において1時間かけて、添加ロートを介して滴加された。添加が完了したのち温度を70℃へと調整し、そして、反応を還流温度において20時間実施し、成果はGCによって追跡調査された(20時間で収量88%)。反応が完了した後、水が分液ロートを介して排出された。液体はそれぞれ100gの水を用いて3回洗浄された。25gのNaHCO
3が100gの水と混合され、混合物へとゆっくり添加され、30分間攪拌された。水は再び排出され、硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過ののち、IPEをロータリーエバポレーターにより飛ばし、粗生成物を減圧下で分留し、63gのtBuMe
2SiOMe(H)SiOSiMe
2tBu(GCによる純度は97%)を得た。
【0062】
【化1】
【0063】
【化2】
【0064】
作製実施例1
1,5−ジ(イソプロピル)−1,1,3,5,5,ペンタメチルトリシロキサン(
図2、構造2)
【0065】
25gのiPrMe
2SiCl(0.183モル)と13.1gのMeHSiCl
2(0.114モル)とを80mlのイソプロピルエーテル(IPE)へと溶解し、そして添加ロートへと注入した。50gの水と100mlのIPEとが、機械的スターラー、還流冷却器、およびN
2注入口を備えた500mLの丸底フラスコへと充填された。クロロシランが、室温(23℃)において40分間かけて、添加ロートを介して滴加された。添加が完了したのち温度を80℃へと調整し、そして、反応を還流温度において4時間実施し、成果はGCによって追跡調査された(4時間で収量75%)。反応が完了した後、水が分液ロートを介して排出された。液体はそれぞれ80gの水を用いて3回洗浄された。25gのNaHCO
3が100gの水と混合され、混合物へとゆっくり添加され、30分間攪拌された。水は再び排出され、硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過ののち、IPEをロータリーエバポレーターにより飛ばし、粗生成物を減圧下で分留し、10gのiPrMe
2SiOMe(H)SiOSiMe
2iPr(GCによる純度は93%)を得た。
【0066】
【化3】
【0067】
【化4】
【0068】
作製実施例3
実施例1〜2の水素化物中間体は、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤組成物(表1)を得るために、さまざまなアリルポリアルキレンオキシドによってさらに修飾された。比較例の(表2からの)トリシロキサン界面活性剤も同様にされた。
【0069】
本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤組成物は、参照によりここに組み込まれる、Baileyの米国特許3,299,112号に記載されるような、白金の媒介するヒドロシリル化という通常の方法によって作製された。
【0070】
表1は本発明の組成物の詳細を提供する。それらの組成物のいくつかは構造:
M
*D’M
*
によって記載され、
ここで、
M
*=R
1Si(CH
3)
2O
0.5であり;
D’=OSi(CH
3)CH
2CH(R
32)CH
2O−(CH
2CH
2O)
r−(CH
2CH
2O)sR
33であり
式中、R
1、R
32、R
33、下付き文字r、およびsは表1に記載される。
【0071】
【表1】
【0072】
表2は、一般構造:
MD
XD’’
YM
の比較例のトリシロキサン系および有機シリコーンポリエーテル系界面活性剤の詳細を提供し、
ここで、
M=(CH
3)
3SiO
0.5;D=OSi(CH
3)
2;およびD’’=OSi(CH
3)CH
2CH
2CH
2O−(CH
2CH
2O)
dR
9である。
【0073】
【表2】
【0074】
さらに、比較例OPE(オクチルフェノールエトキシラート、10のポリオキシエチレンユニットを含有している)は、非シリコーンの有機界面活性剤である。この製品は、Dow Chemical Company、Midland、MIよりTriton(登録商標)X−100として入手可能である。
【0075】
実施例4
この実施例は、水の表面張力を減じ、それにより界面活性剤としての有用性を示す、本発明の有機修飾トリシロキサン組成物の性能を実証する。表面張力は、サンドブラスト処理の白金ブレードをセンサーとして備えたKruss表面張力計を用いて測定された。さまざまな成分の溶液が、平衡助液としての0.005MのNaCl水(脱イオン化)中に0.1wt%で作製された。
【0076】
表3は、これらの独自の組成物の溶液が、従来の界面活性剤と比べて、表面張力の有意な減少を提供することを示す。
【0077】
本発明の組成物はまた、比較例のトリシロキサン界面活性剤(A、B)と同様の展着能を提供する。さらに、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤は、従来のシランポリエーテル(C)および従来の有機界面活性剤産物OPEと比べて、改善された展着を提供する。
【0078】
展着は、界面活性剤溶液の10μlの液滴をポリカーボネートのフィルム(USI、”Crystal Clear Write on Film”)へと塗布し、そして(22℃から25℃における)50%と70%との間の相対湿度において30秒後の展着直径(mm)を計測することによって測定された。再生可能な容量の液滴を提供するため、溶液は自動ピペットによって塗布された。Milliporeろ過システムによってさらに精製された脱イオン水が、界面活性剤溶液を作製するのに用いられた。
【0079】
【表3】
【0080】
実施例5
加水分解安定性は、HPLCを用いて、本発明の代表的な組成物において測定された。さまざまな成分の溶液が、pH4からpH11の範囲のpHにわたって、0.5wt%で作製され、HPLCによって時間の関数で分解が観測された。
【0081】
分析方法
サンプルは、表4に列挙される実験条件を用いて、逆相クロマトグラフィー法によって分析された。
【0082】
【表4】
【0083】
表5〜8は、本発明の組成物が、同様のpH条件にある標準的な比較例のシロキサン系界面活性剤シロキサンAと比べて、加水分解に対する改善された耐性を提供することを実証する。
【0084】
比較例のシロキサンAが、5より低いpH値において、および7より高いpH値において、急速な加水分解を示す一方で、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤は、同じ条件において、加水分解に対するより高い耐性を実証する。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
実施例6
酸性および塩基性条件(5もしくはそれ以下のpH値および9もしくはそれ以上のpH値)において急速に加水分解しやすい従来のシロキサン系界面活性剤と異なり、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤は、従来のトリシロキサンアルコキシラート(比較例A)に比べて、加水分解に対する改善された耐性を提供する。加水分解の副作用は、経時的な展着能の減少として観察される。それゆえ、本発明の有機修飾トリシロキサン界面活性剤の溶液、ならびに比較例の界面活性剤は、所望の使用濃度とpHで作製された。展着は、加水分解に対する耐性を時間の関数として明らかにするために測定された。
【0090】
表9は有機修飾トリシロキサン界面活性剤の説明的例であり、ここで、産物番号3は、特別によく展着するもので、従来のトリシロキサンエトキシラート界面活性剤(産物A)と比べ、pH3からpH10の範囲のpH値にわたって、加水分解に対する改善された耐性を有する。
【0091】
【表9】
【0092】
展着に対する他の成分の影響は、本発明の有機修飾ジシロキサン界面活性時と、従来の有機系共界面活性剤とを混合することによって測定された。共界面活性剤は表10に記載される。
【0093】
混合物は物理的混合物として作製され、ここで重量分率のシリコーンはα(アルファ)として表され、共界面活性剤が混合比のバランスを形成することを示す。たとえば、α=0のとき、これは組成物が0%のシリコーン成分と100%の共界面活性剤とを含有し、一方、α=1.0は組成物が100%のシリコーンと共界面活性剤を含まない(0%)ことを示す。二つの成分の混合物は重量分率αによって表され、ここでαは以下の:0≦α≦1.0の範囲である例えば、α=0.25のとき、これは界面活性剤混合物が25%のシリコーンと75%の共界面活性剤とからなることを示す。これらの混合物はその後、展着評価のための所望の濃度になるよう水に希釈される。
【0094】
展着は、実施例4に記載されるように、0.2wt%の全界面活性剤で測定された。
【0095】
表11は、本発明の共界面活性剤の代表例が好ましい展着結果を提供し、いくつかのケースにおいて、混合物の展着直径が個々の成分のそれに勝るという予期しない相乗効果的な改善を提供するということを実証した。
【0096】
【表10】
【0097】
【表11】
【0098】
上述の実施例は、本発明の単なる例示であって、本発明の特徴のうちの一部のみを例示するにすぎない。添付の請求項は、発明が着想されたのと同じくらい広く発明を請求するように意図されており、そしてここに示された実施例は、すべての可能な実施態様の多様性から選択された実施態様の例示である。したがって、添付の請求項が、本発明の特徴を例示するために用いられた実施例の選択によって限定されるべきでない、ということが出願人の意図である。請求項の中で使用されるとき、「〜を含有する(comprises)」の用語と、その文法的変形は、例えば「実質的に〜からなる(consisting essentially of)、や「〜からなる(consisting of)」のような、これらに限定されないが、変化したり、異なったりする範囲の句を、論理的にも包含し、そして含む。必要なところでは、範囲を記載しているが、この範囲はすべてのサブ範囲をそのなかに含む。そのような範囲は、様々な一対の数字の限定からなるマーカッシュ群として考えてもよく、この群は、数字的に、そして適切な場合には整数で、規則的に下限から上限まで増加する、下限と上限によって完全に定義される。この範囲における変化は、当然、当業者に変化そのものを示唆をしていると予期されるべきであり、今までに公知でなければ、この変化は可能なところでは、添付された請求項によってカバーされると解釈されるべきである。科学技術における進歩が、言葉の不正確さのゆえに、現在予期できない同等品や代替物を可能にすることも予想されるが、この変化も可能なところでは、添付の請求項によってカバーされると解釈されるべきである。ここで引用された米国特許(および特許出願)はすべて、あたかも全部が記載されたかのように、その全体を参照によって本明細書の一部としてここにこれにともない組み込まれる。