(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも或る領域での各々の場合において、筐体(10)の中に又はその上に、少なくとも一つの機械的ばねエネルギーリザーバー、少なくとも一時的に活性物質を充填できる少なくとも一つのシリンダー/ピストンユニット(100)、少なくとも一つのピストン−作動ラム(60)、及び少なくとも一つの起動ユニット(80)が配置される筐体(10)を有する無針使い捨て注射器であって、ここでばねエネルギーリザーバー(50)は、少なくとも一つの予め張力をかけたばね要素を含み、そして少なくともピストン−作動ラム(60)の部分は、ばねエネルギーリザーバー(50)とシリンダー/ピストンユニット(100)のピストン(111)の間に置かれており、
ここで、ばね仕掛けのピストン−作動ラム(60)は、少なくとも或る領域で横方向に動くことができ、そして支持部(65)によって筐体(10)の少なくとも一つの保持表面(37)の上に緊張させたばねエネルギーリザーバー(50)を支持する少なくとも二つのテンションバー(61)を有し、
ここで、起動ユニット(80)が、作動した際に、保持表面(37)から離れて支持部(65)の動きを起こさせるか又は可能とする、少なくとも一つの起動要素(82)であるか又はそれを有し、
テンションバー(61)が、ロックされた位置において、筐体端部(36)の上にかみ合う外側に弾性のあるテンションフック(62)を、支持部(65)と共に形成し、
複数個のテンションフック(62)を、ロックされた位置に固定する固定要素(95)が筐体(10)の上又は起動ユニット(80)の上に配置され、そして
互いに隣接するテンションフック(62)は、隣接するテンションフック(62)の間に位置している放射状スリット(69)を有し、各放射状スリット(69)は、ラム板(73)の平らな上面で始まる、
ことを特徴とする無針使い捨て注射器。
起動ユニット(80)が、スプラインギア(66、68)を介してピストン−作動ラム(60)に機械的に結合されることを特徴とする、請求項1記載の使い捨て注射器。
少なくとも二つのテンションフック(62)を有するピストン−作動ラム(60)において、テンションフック(62)の支持部(65)の重心が、変形されていない状態で、ピストン−作動ラム(60)が使い捨て注射器中に嵌め込まれ、そして起動されていない場合よりも互いに更に離れて位置していることを特徴とする、請求項1記載の使い捨て注射器。
【背景技術】
【0002】
なかでも、この種の注射器は特許文献1で知られている。それは、個々の構造グループ、つまり、ばねエネルギーリザーバー、シリンダー/ピストンユニット及び起動ユニットが、互いに分離できないように、又は独立して取扱われることができないように構築されている。起動ユニットは、注射器の中心線に対して横方向に動かされるスライドが、ノッチ又はねじ溝を介してピストン−作動ラムをブロックしたり又は開放する捕捉機構部を有する。
特許文献2には、延ばされた筐体、筐体内で軸方向に動かすことができ、そして活性物質容器に結合され得る注射針、活性物質容器中の活性物質を放出するために動かすことができるピストン、及び筐体に対して動かすことができる針を保護するチューブを有する、活性物質を自動的に注射するための、自動注射器が開示されている。ロッキング位置において、ロッキング要素は、筐体と相対的な活性物質容器の動きを防ぐ。更に筐体内に針を保護するチューブを動かすことによって、ロッキング要素を開放位置にもってくることができ、その位置で活性物質容器を筐体と相対的に動かすことが可能となる。
特許文献3に:
端面から伸びる孔を有する注射器、その端面を通して穴と連通する針、及び針を通して注射器の内容物を排出するよう、該孔において該端面に向かって動くことができる投薬用又は計量用のピストンを含むための筐体、ここで筐体は一端で開口部を有し、その開口部
を通して針が伸びることができる;
注射器及び針を筐体に対して内側に偏よらせるための弾性部材;
注射器の針を開口部から外に動かし、そして注射器の投薬用又は計量用のピストンを端面に向かって動かすよう、該一端に向かって動き得る駆動要素;
針が筐体に対して内側に動くよう、注射器を開放するために作動させ得る機構部;
駆動要素の動きを投薬用又は計量用のピストンに移動させるよう、駆動要素から注射器の投薬用又は計量用のピストンに延ばすための駆動カップリング、ここで駆動カップリングは長さ方向に圧縮可能である;
を含む、注射装置が開示されている。
駆動要素が投薬用又は計量用のピストンを端面に向かって動かした後、駆動カップリングはその長さが徐々に短くなり、そして針をその配置された位置に維持するために十分な力を移動し、一方、投薬用又は計量用のピストンは、機構部が注射器を開放するまで、端面で保持される。
針及び多くの対応するばねを有する注射装置の更なる設計が特許文献4から分かっている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から3は、永久的に装填されたばねエネルギーリザーバーを有する使い捨て注射器の簡略化された原理を示す。使い捨て注射器は、筐体(10)、例えば充填されたシリンダー/ピストンユニット(100)、テンションフック(62)を有するピストン−作動ラム(60)、及びばねリザーバーとしての螺旋圧縮ばね(50)を含む。また、起動要素(82)及び固定要素(95)がその中に配置される起動ユニット(80)は、筐体(10)の上に位置する。
【0010】
筐体は底部で開いていて、そして頂部に位置している基部(32)を有するポット形状の中空体である。基部(32)は、例えば、
図1によると、そこを通してテンションフック(62)が嵌め込まれている偏心した開口部(34)を有する。テンションフック(62)は、筐体(10)の保持表面(37)上にその支持部(65)と共に位置している。
【0011】
ピストン−作動ラム(60)は三つの領域に分割される。低部領域はピストンスライド(76)である。その直径は、シリンダー/ピストンユニット(100)のシリンダー(101)の内径より僅かに小さい。ピストンスライド(76)のより低い端面はピストン(111)上で直接作用する。
【0012】
中間領域はラム板(73)である。ラム板(73)は平らであり、そして少なくとも或る領域において、その外径がジャケット領域(31)における筐体(10)の内径より1
mmの十分のいくつか小さいシリンダー状のディスクである。上部領域はテンションフック(62)である。
【0013】
シリンダー/ピストンユニット(100)は、筐体(10)の低い部分中に固定される。ここでシリンダー/ピストンユニット(100)は、注射溶液(1)を充填され、その中で裏位置にピストン(111)が位置しているシリンダー(101)から成る。ピストン(111)の上方には、筐体(10)中に、例えば、ピストンには接触しないものの、シリンダー(101)の上部領域に、その下端部を有して、ピストンが横方向に導かれるようにピストン−作動ラム(60)が配置される。
【0014】
螺旋圧縮ばね(50)は、筐体(10)の頂部に位置しているラム板(73)と基部(32)の間に予め張力をかけて位置する。
【0015】
起動ユニット(80)が筐体(10)上にかみ合っている。その大部分が閉じられた端部壁において、それは、その中にピン形状の固定要素(95)がかみ合っている袖(85)を有する。固定要素(95)は、保持表面(37)に隣接した開口部(34)の端部(36)上でテンションフック(62)を保持するように、筐体(10)と組合されて置かれている。挿入された状態において、固定要素(95)は、ピストン−作動ラム(60)の縦方向に横切るテンションフック(62)の偶然の移動を防ぐ。
【0016】
起動ユニット(80)において、起動要素(82)は、例えば、筐体(10)の中央線(5)に対して横切って、縦方向に移動され得るように、取り付けられる。使い捨て注射器を作動させるために、固定要素(95)が
図2のように引っ張られて、使い捨て注射器が患者に対する位置に持ち込まれて、次いで起動要素(82)が例えば、使い捨て注射器を支えている手の指で押される。起動要素(82)は支持部(65)を押して、保持表面(37)から外し、ピストン−作動ラム(60)全体を少し傾ける。スライドする動きが、使い捨て注射器の縦軸又は中央線(5)を横切って生じる。その後、螺旋圧縮ばね(50)の作用で、支持部(65)が開口部(34)を通って筐体(10)の内部(11)内にスリップする。そうすることで、シリンダー/ピストンユニット(100)が空になる(
図3参照)。
【0017】
この原理において、ピストンスライド(76)は、分離された構造部分としても設計され得る。この目的のために、次に、それが筐体(10)の内壁上に導かれる。ピストンスライド(76)をピストン棒としてピストン(111)の上に一体的に成形し、そしてそうすることで、ピストン棒をピストン(111)によってのみ及び/又は例えば、シリンダー(101)の内壁上の或る領域における接触によって導くこともできる。もちろん、ピストンスライド(76)及びピストン棒は、ラム板(73)とピストン(111)の間の空間を如何なる望ましい方法においても共有することができる。
【0018】
起動操作はここに述べられた変形例に制限されない。横切って移動可能な起動要素(82)の替わりに、例えば、偏心ギア、スクリューギアー又はレバーギアを使用することが可能である。
【0019】
図4から6は、
図1から3の原理の改良を示す。ピストン−作動ラム(60)は、例えば、ラム板(73)上の二つの構造的に同一のテンションフック(62)を含む。両方のテンションフック(62)は、鏡面対称的に、互いに反対側に位置している。それらは、例えば、弾性材料で作られる。両方のテンションフック(62)は、開口部(34)の端部(36)上に例えば、事前に緊張させて保持するよう、板ばねのように背中合わせに位置して、そしてフック自身を離させようとする。それらのばね方向は、代替法としてそれらの間を横切って位置している螺旋圧縮ばね(64)の印で表わされる。
【0020】
もちろん、もし、例えば、ラム板(73)上でテンションフック(62)がピボットヒンジによって関節接合されるならば、そのような螺旋圧縮ばね(64)も、実際に使用できる。次いで、これらのピボットヒンジの回転軸は、筐体の中央線(5)を横切って、そして
図4から6の図の面に垂直に位置しているであろう。
【0021】
この変形例において、それを介して例えば、基部(32)の平面の外側面(33)上にテンションフック(62)が保持する支持部(65)は、楔形又は切頭円錐形の外郭(66)を有する。ここで、支持部(65)の断面は中央線(5)に沿って上方に狭くなる。
図4から6において、外郭(66)は、中央線(5)上の基部(32)上に位置している理論的なピラミッド先端を有するピラミッド表面の部分である(
図4、5及び7参照)
【0022】
ピン形状の固定要素(95)は、テンションフック(62)の両端部の間にかみ合う(
図7も参照)。ここで、それは例えば、矩形の断面を有する。例えば、起動ユニット(80)の筐体(81)中にはめ込まれる固定要素(95)は、テンションフック(62)を、それらのロックされた位置において機械的にブロックする。
【0023】
起動筐体(81)は、ポット形状のデザインを有し、そして筐体(10)の裏部上に縦方向に取り外しできるように位置している。矩形チューブ(86)は、例えば、起動筐体(81)の基部上にはめ込まれ、そして同時に固定要素(95)を導く。この基部から矩形チューブ(86)への移動の際に、後者は傾斜した領域(88)を有する。傾斜した領域(88)は、起動筐体側上で楔状の表面を形成する。
【0024】
固定要素(95)を外した後、起動筐体(81)は、押しボタンのように下方へ動かされ得る。その過程で、起動筐体側上の楔表面(88)は、テンションフック(62)上に保持され、そして象徴的に示された圧縮ばね(64)の作用に抗して、支持部(65)が開口部(34)を通過するように、これらをいっしょに押し付ける。起動筐体側上の支持部(65)及び楔表面(88)は、このようにスプラインギアを形成する。適切な場合、楔表面(88)及び/又は支持部(65)の楔状の外郭(66)の表面は、曲面が平面又は異なる曲率の表面に沿ってスライドするように、一つ又はそれより多くの軸を有して曲がった状態、例えば、シリンダー状又は球状であり得る。
【0025】
例えば、弾性的に変形されたテンションフック(62)が、ピストン−作動ラム(60)の部分として、筐体(10)の内部(11)に到達すると直ちに、それらは互いから離れて跳ね返る。
【0026】
図8から11を参照すると、変形例が記載されており、その中ではテンションフック(62)が互いに面して例えば、対になって位置している、つまり、支持部(65)が互いの方に向いている。この場合、テンションフック(62)は互いの上にばねで閉じられる。
【0027】
図8によると、この変形例において筐体(10)の基部(32)は二つの、例えば、矩形の凹部(34)を有し、それらは筐体ウエブ(35)によって分離される。その上にテンションフック(62)の支持部(65)が、使い捨て注射器のロックされた位置に保持している筐体ウエブ(35)は筐体基部(32)の部分である。テンションフック(62)を筐体ウエブ(35)の上にしっかりと保持するために、それらは筐体基部(32)の上方で部分的に囲まれる。この目的のために、固定要素(95)が使用される(
図11も参照)。この固定要素(95)は、起動筐体(81)中に導かれる、三つの突起物及びグリップ部分を有する、本質的にフォーク形状の構造部分である。支持部(65)の裏面は各々外部突起物(93)の上に保持される。フォークの中央突起物(94)は、支持部(
65)の間に互いに面して置かれる。
【0028】
押しボタンの形をした起動要素(82)はまた、起動筐体(81)中に縦方向に導かれる。拡張棒(89)は、起動要素上の例えば、中心に、一体的に形成される。
図8によると、それは固定要素(95)の中央突起物(94)上に保持される。このように起動要素(82)は固定要素(95)が除かれるまでブロックされる。
【0029】
使い捨て注射器を起動するために、最初に固定要素(95)が起動筐体(81)から外に完全に側面へ引っ張られる。次いで、それが筐体ウエブ(35)上に保持されるまで、押しボタン(82)が押し下げられる(
図9参照)。拡張棒(89)及び楔表面(66)がスプラインギアとして、この過程で相互作用する。ピストン(111)上でピストン−作動ラム(60)の部分として、そこで作用するために、それらが凹部(34)を通して筐体内部(11)内にスムースにスライドすることができるように、テンションフック(62)が互いから離れるように広がる(
図10参照)。
【0030】
図12から16は、
図4から7に述べられた原理の実施態様を示す。ここで、支持構造部分は筐体(10)である。それは、実質的にチューブ形状を有し、そして三つの機能領域(21、31、41)に分割される。
図12によると、上部領域は起動領域(21)である。これはジャケット領域(31)に隣接される。中間基部(32)は二つの領域の間に配置され、そしてまたジャケット領域(31)を通って僅かに放射状に突き出る。中間基部(32)は中央凹部(34)を有し、その直径は例えば、底部に向かって僅かに広がっている。
【0031】
筐体(10)の起動領域(21)において、寸法的に剛直な、例えば、金属製の開口ディスク(39)が中間基部(32)上に置かれる。それは接着剤で結合されるか又はその中に射出成形される。開口ディスク(39)の替わりに、セラミック強化材を使用することも可能である。開口ディスク(39)又は強化材は中間基部(32)が圧力及び/又はその他の変形をしないよう保護する。それはまた、そうでなければそこに接触する、構造部分(32)及び(66)の固着を防ぐ。
【0032】
挿入可能なシリンダー/ピストンユニット(100)を受入れるための固定領域(41)がジャケット領域(31)の下に配置される。固定領域(41)は例えば、三つの縦方向スリットを有する(
図16参照)。この領域の内壁は例えば、台形ねじ山(46)を有する。
図12及び15によると、固定領域(41)が、筐体(10)上にロックされる支持袖(49)によって囲まれる。
【0033】
シリンダー/ピストンユニット(100)は、台形ねじ山(46)内にねじ込まれる。該ユニットは、シリンダー(101)及びピストン(111)から成る。シリンダー(101)は例えば、そのシリンダー状外壁が少なくとも或る領域で台形ねじ山(104)も有する肉厚のポットである。
【0034】
無柱ピストン(111)は、例えば、シリンダー(101)のシリンダー状孔の中に位置している。少なくともほぼ円錐状の形状のその前端面で、ピストン(111)は、シールリング(114)又は永久に弾性のあるシーリング材を受取るための軸方向環状溝(112)を有する。シリンダー状金属板(116)は例えば、ピストン(111)の後端面内にはめ込まれる。
【0035】
短いシリンダー状ノズル状の孔(106)は、シリンダー(101)の孔の中央に置かれ、そのシリンダー基部は、ピストンの前端面の輪郭に少なくともほぼ適合される。孔(106)の直径は約0.1から0.5mmである。この孔(106)は、長さがその直径
の1から5倍長い。それは、シリンダー(101)の底で、外側端面(103)のシリンダー状凹部(107)中に外に開いている。
【0036】
使い捨て注射器のばねエネルギーリザーバー(50)又は駆動ユニットは、ピストン(111)と起動領域(21)の間に配置される。ばねエネルギーリザーバー(50)は、四つのテンションフック(62)を有するピストン−作動ラム(60)上に配置された、螺旋圧縮ばねである。テンションフック(62)の支持部(65)によって、螺旋圧縮ばね(50)は筐体(10)中に緊張状態で位置している。それは、中間基部(32)の内側面とピストン−作動ラム(60)の上端面の間に支持される。
【0037】
ピストン−作動ラム(60)は三つの領域に分割される。下方領域はピストンスライド(76)であり、中間領域はばね要素(50)を保持するラム板(73)であり、そして上方領域は、例えば、四つのテンションフック(62)の束である(
図1から3の記述も参照)。
【0038】
筐体(10)のジャケット領域(31)において、テンションフック(62)は少なくともほぼシリンダー状の外郭面(63)を有しており、つまり、それらの外壁はシリンダー状ジャケット領域の曲率を有する。支持部(65)は、その外郭面として切頭円錐形のジャケットを有する。この外郭面はまた楔外郭(66)としても示される。
【0039】
テンションフック(62)の内壁は、切頭円錐形のジャケットの形を有する外郭面(68)の部分である。この外郭面(68)は、テンションフックの間に位置する切頭円錐形のジャケットの形をした中空スペース(67)を囲む。中空スペース(67)の断面は、それらがラム板(73)から更に離れるほど増加する。
図12によると、隣接するテンションフック(62)の間に位置している放射状スリット(69)は、頂部に向かって幅の約2倍までサイズが大きくなる。
【0040】
図1とは対照的に、
図12のラム板(73)は、互いに反対向きに位置している、例えば、二つの溝(74)を有する。
【0041】
テンションフック(62)は、起動領域(21)中にそれらの支持部(65)を有して位置している。支持部(65)は、開口ディスク(39)上に固定されて位置している。
【0042】
起動領域(21)において、起動ユニット(80)は、その上方の位置において、一体の起動要素(82)として位置している。起動要素(82)は、その内部に起動チューブ(87)が一体的に成形されているポット形状の本体である。その外郭の低端部で、起動要素(82)は、周辺の僅かに突き出した端部(83)を有する。後者は、起動部分(21)の内壁上に存在する周辺ビーズ(22)の後ろにはめ込まれている。
【0043】
起動要素(82)の基部は、その中に固定要素(95)が挿入される円形凹部(84)を有する。起動チューブ(87)は、内壁の領域における低端部で切頭円錐形の楔外郭(88)を有する。例示的な実施態様において、その円錐角度は20から45度である。作動されていないかつ固定された状態において、使い捨て注射器を用いると、楔外郭(88)がテンションフック(62)の楔外郭(66)の上方領域において保持される。
【0044】
固定要素(95)は、起動要素(82)のように、回転対称の構造部分である。それは、板(96)及びロックピン(97)から成る。ロックピン(97)は、ロック領域(99)及び支持領域(98)を有する。二つの領域(98、99)は切頭円錐形である。それら両方とも、例えば、同じ円錐角を有する。少なくとも、ロック領域(99)の円錐角は、中空スペース(67)の円錐角に対応する。支持領域(98)はテンションフック(
62)の上方端面上のその環状端面を保持する。
【0045】
図13は固定要素(95)を取除いた、そして起動要素(82)を作動させた、つまり、押し下げられた、使い捨て注射器を示す。この場合、固定要素(95)を垂直に引いた後、起動要素(82)を下方に押すと、起動チューブ(87)の楔外郭(88)が、テンションフック(62)の楔外郭(66)に沿ってスライドすることになる。この過程において、テンションフック(62)が中央線(5)に向かって放射状の方向に弾性的に及び/又は塑性的に曲げられる。個々のテンションフック(62)の間の空隙は、少なくとも支持部(65)の領域において実質的に使用されてしまう。支持部(65)の最大外径はここで開口ディスク(39)の孔の直径より小さい。テンションフック(62)は、ばね要素(50)の影響下で下方に動くことができ、そしてピストン(111)をピストンスライド(76)によって移動させ得る(
図14参照)。
【0046】
図15は、市販品として入手可能な様式におけるまだ作動されない状態の使い捨て注射器を示す。固定要素(95)が挿入され、そしてシリンダー/ピストンユニット(100)の下端面が、切り取り接着シール(120)によって滅菌状態にシールされる。
【0047】
図17から20は、使い捨て注射器の変形例を示し、ここで、テンションフック(62)が使い捨て注射器の中央線(5)に向かって弾性的に跳ねる。筐体(10)は、頂部に位置する平坦な基部(32)を有する本質的に円滑なチューブである。ピストン−作動ラム(60)の通過のための中央孔(34)が基部(32)中に形成される。
【0048】
挿入可能なシリンダー/ピストンユニット(100)を受入れるための固定領域(41)が筐体(10)の下方領域中に置かれる。固定領域(41)は、例えば、6個の弾性フック(42)を含み、それらの各々の端部はフック先端(43)の内部に向いている。筐体の低端面(12)に向かって、フック先端(43)は、フックの全厚みに亘って伸びる斜面(44)を有する。弾性フック(42)の長さ及びばね定数は、使い捨て注射器の機能のために必要な挿入部(50、100)が、弾性フック(42)の塑性変形無しで取り付けれるような寸法をとる。
【0049】
これらの挿入物の一つはシリンダー/ピストンユニット(100)である(
図6参照)。それは、シリンダー(101)及びピストン(111)から成る(
図12も参照)。シリンダー(101)は例えば、厚肉のポットであり、場合によりシリンダー状の外壁は例えば、5個の周辺ロックリブ(102)を有する。ロックリブ(102)の全体は、断面において、鋸歯の形状をしたプロファイルを有し、例えば、歯状のロックリブ(102)の間の分割は等間隔である。ロックリブ(102)の最大直径は、固定領域(41)において筐体(10)の内径より少し小さい。隣接ロックリブ(102)の間に位置している領域の直径は、フック先端(43)の領域における筐体(10)の最小直径に対応する。
【0050】
ピストン−作動ラム(60)は、筐体(10)における基部(32)とシリンダー/ピストンユニット(100)の間に位置している。ピストン−作動ラム(60)の二つの下方端部領域(73、76)は、
図12から知られる。上方領域は、例えば4つのテンションフック(62)によって形成され、それらは例えば、ラム板(73)までは達しない。ラム板(73)とテンションフック(62)の間に、シリンダー状の部分があり、それは、
図16によると、なかでもばね要素(50)を導くための役割を果たす。この目的のために、それは例えば4つの短い、放射状に突き出たリブを有し、それらがばね要素(50)の底巻き部分を固定する。
【0051】
各々のテンションフック(62)は支持部(65)を有する。起動された使い捨て注射器の場合、テンションフックの束はシリンダー状の外郭面(63)を有する(
図18及び
19参照)。外郭面(66)は支持部(65)の領域においてシリンダー状でもあり得る。
【0052】
テンションフック(62)の上方領域において、各々のテンションフック(62)は、その中心線が使い捨て注射器の中央線(5)と合致している環状溝(71)の一部を含む。
図18及び19によると、起動要素(82)の例えばシリンダー状の拡張ディスク(91)がこの環状溝(71)中に位置している。各々の環状の溝部分の底は、拡張ディスク(91)の放射状外郭上に弾性的に保持されている。無負荷状態で、テンションフック(62)は中央線(5)の方向に跳ねる。例えば、起動要素(82)を開放する際に、それらは上方端部で接触するであろう。
【0053】
図17に示された起動要素(82)は、回転対称構造部として、きのこ形を有する。拡張ディスク(91)上に配置された狭いウエブは、起動ディスク(92)上で一体的に形成されたその上方端部を有する。
【0054】
起動要素(82)を保護するために、キャップの形をした固定要素(95)が筐体(10)の基部(32)上にはめ込まれる。
【0055】
図20は、一つの側面上の断面に示されるキャップ(95)を有するこの使い捨て注射器を側面図において示す。シリンダー/ピストンユニット(100)は、切り取り保護フィルム(120)を用いて閉じられる。
図16によると、使い捨て注射器がロックされる時、起動要素(82)が上方位置中にある。拡張ディスク(91)は、環状溝(71)の上方に位置している。テンションフック(62)は広がって開いた位置を取り、支持部(65)は基部(32)の頂部(33)上に保持される。
【0056】
もし、キャップ(95)を外し、そして保護フィルム(120)の取り外し後、起動要素(82)がピストン−作動ラム(60)内に押されたら、起動要素(82)の拡張ディスク(91)が環状溝(71)の中にロックされる。支持部(65)の外郭面(66)の最大外径が孔(34)の直径より小さくなるように、テンションフック(62)は、ばねで戻る(
図18参照)。ここでばね要素(50)はピストン−作動ラム(60)を下方に駆動する(
図19参照)。シリンダー/ピストンユニット(100)を介して薬剤が送達されると、注射過程が完結する。
【0057】
ばね要素(50、64)を除いて、使い捨て注射器の全ての部分はプラスチック又はプラスチック若しくはゴムに類似した材料で造られる。