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特許5785621シロキサンからの不純物除去のための方法
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  • 特許5785621-シロキサンからの不純物除去のための方法 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785621
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】シロキサンからの不純物除去のための方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/00 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   C08J3/00CFH
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-538965(P2013-538965)
(86)(22)【出願日】2011年11月14日
(65)【公表番号】特表2013-545842(P2013-545842A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011060544
(87)【国際公開番号】WO2012067988
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年6月13日
(31)【優先権主張番号】61/414,018
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ コーニング コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エル フォスディック
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エイ カミン
(72)【発明者】
【氏名】ハーン シ ヴォー
(72)【発明者】
【氏名】ティリン ジェイ ウィカート
【審査官】 久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−004224(JP,A)
【文献】 特開2002−037887(JP,A)
【文献】 米国特許第03977829(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
B01D 11/00−12/00
C08G 77/00−77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)第1液を、導管内で縦方向に延びる複数のファイバーを含むファイバー束を介して流す工程であって、前記束は上流端及び下流端を有し、前記第1液が前記束の上流端から下流端の方向に流れる工程と、
ii)(i)を継続しながら、シロキサン及び不純物を含む第2液を、前記ファイバー束を介して前記束の上流端から前記束の下流端の方向に流して、前記不純物の少なくとも一部を前記第2液から前記第1液へと移動させる工程と
を具え、前記第1液及び前記第2液は実質的に不混和性であることを特徴とする、シロキサンから不純物を除去する方法。
【請求項2】
(iii)前記第1液及び前記第2液を回収容器に受け取る工程であって、前記回収容器内で、前記第1液が第1層を形成し、前記第2液が第2層を形成する工程を更に具える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シロキサンがシリコーン流体又はケイ素樹脂である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不純物が酸、塩、又はイオンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
次の条件(a)〜(h):
(a)前記第1液が水を含み、及び/又は
(b)前記第1液の25℃における粘度が0.1〜100cSt(1E−7〜0.0001m/s)であり、及び/又は
(c)前記第2液の25℃における粘度が0.1〜100cSt(1E−7〜0.0001m/s)であり、及び/又は
(d)前記第2液が50〜1,500ppmwの不純物を含み、及び/又は
(e)前記第2液が非極性溶媒を更に含み、及び/又は
(f)前記第1液及び第2液が15〜60℃の温度であり、及び/又は
(g)前記第1液に対する前記第2液の体積流量比が1〜4であり、及び/又は
(h)前記第1液及び第2液の滞留時間が5秒〜30分である
の1つ以上を満たす、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
なし。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、第1液及び第2液(この第2液はシロキサンと不純物を含む)を、ファイバー束を介して流すことによってシロキサンから不純物の少なくとも一部を除去するための方法に関連し、第1液と第2液は実質的に不混和性である。
【背景技術】
【0003】
シロキサンは、自動車からパーソナルケアまで、幅広い用途及び産業分野に使用されており、これは典型的にハロシラン又は有機ハロシランの加水分解により製造される。加水分解後、シロキサンは典型的に、例えば酸又は塩などの残留不純物を含み、これは様々な用途におけるシロキサンの安定性と性能に有害であり、かつ除去が困難な場合がある。例えば、残留塩化水素は潜在的に、経時に伴う変色及び粘度増大に寄与する可能性がある。
【0004】
不純物は過去、伝統的な技法によって除去されてきた。この技法は、シロキサンを不混和性溶媒(例えば水)中に分散させることと、この2つの不混和性液体を融合させて分離させることを含み、これによってシロキサンと溶媒層を分けて取り出すことができる。しかしながら、溶媒とシロキサンの2つの液の間に適切な界面を供給するため、溶媒中にシロキサンを小さな液滴サイズで分散させるには、大きなエネルギーが必要であり、また融合と分離の工程には、かなりの時間が必要になり得る。加えて、除去効率が限定的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、必要なエネルギーが少なく、時間のかかる融合及び分離工程を回避し、不純物を効果的に除去するような、シロキサンからの不純物除去の新しい方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シロキサンから不純物を除去する方法を目的とし、この方法は、i)第1液を、導管内で縦方向に延びる複数のファイバーを含むファイバー束を介して流す工程であって、この束は上流端及び下流端を有し、第1液が束の上流端から下流端の方向に流れる工程と、ii)(i)を継続しながら、シロキサン及び不純物を含む第2液を、ファイバー束を介して、束の上流端から束の下流端の方向に流して、不純物の少なくとも一部を第2液から第1液へと移動させる工程とを具え、第1液及び第2液は実質的に不混和性であることを特徴とする。
【0007】
本発明の方法は、シロキサンから不純物の少なくとも一部を迅速に除去し、かつ液からシロキサンを迅速に分離することができる。方法は、伝統的な抽出方法における機械的混合を必要としないため、それに伴うエネルギーを必要としない。
【0008】
本発明によって製造される精製シロキサンは、自動車からパーソナルケアまで、幅広い範囲の用途及び産業に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるシロキサンからの不純物除去のための装置の図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
i)第1液を、導管内で縦方向に延びる複数のファイバーを含むファイバー束を介して流す工程であって、この束は上流端及び下流端を有し、第1液が束の上流端から下流端の方向に流れる工程と、
ii)(i)を継続しながら、シロキサン及び不純物を含む第2液を、ファイバー束を介して、束の上流端から束の下流端への方向に流して、不純物の少なくとも一部を第2液から第1液へと移動させる工程とを具え、第1液及び第2液は実質的に不混和性であることを特徴とする、シロキサンから不純物を除去する方法。
【0011】
工程i)において、第1液は、導管の縦方向に延びる複数のファイバーを含むファイバー束を通って流され、この束は上流端及び下流端を有し、第1液は束の上流端から下流端への方向に流れる。
【0012】
第1液は典型的に、極性溶媒を含む。この極性溶液は、任意の極性プロトン性溶媒又は極性非プロトン溶媒であり得る。本明細書で使用されるとき、「極性」は20℃で誘電率が少なくとも15であることを意味する。極性溶媒の例としては、水、酸及び塩基(例えばKOH又はNaOH)溶液を含む水溶液、アルコール(エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールを含む)、フェノール、アミン(ポリアミン、エタノールアミン、及びポリエタノールアミンを含む)、カルボン酸、ジメチルスルホキシド、ケトン(例えばアセトン)、及びイオン性液体(1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸、1,2−ジメチル−2−n−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸、及び1,2−ジメチル−3−n−ブチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、第1液は水を含む。第1液は極性溶媒の混合物であり得る。
【0013】
ファイバー束中のファイバーは、第2液より先に第1液によって優先的に湿潤されるよう選択され、この第2液については下記に記述される。ファイバーは典型的に、シロキサンに対して汚染物質を追加せず、かつ典型的に、頻繁な交換を回避するため方法に耐えることができる。
【0014】
ファイバーの例としては、木綿、黄麻、絹、処理済み鉱物、未処理鉱物、金属、合金、処理済み炭素、未処理炭素、ポリマー、及びポリマーブレンドが挙げられるがこれらに限定されない。好適な処理済み又は未処理鉱物ファイバーには、ガラス、アスベスト、セラミックス、及びこれらの組み合わせのファイバーが挙げられるがこれらに限定されない。好適な金属ファイバーには、鉄、鋼、ニッケル、銅、真鍮、鉛、スズ、亜鉛、コバルト、チタン、タングステン、ニクロム、銀、アルミニウム、マグネシウム、及びこれらの合金のファイバーが挙げられるがこれらに限定されない。好適なポリマーファイバーには、親水性ポリマー、極性ポリマー、親水性コポリマー、極性コポリマー、及びこれらの組み合わせのファイバーが挙げられ、例えば多糖類、ポリペプチド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、官能化ポリスチレン(スルホン化ポリスチレン及びアミン化ポリスチレンを含む)、ナイロン、ポリポリベンゾイミダゾール、ポリビニリデンジニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリメラミン、ポリ塩化ビニル、co−ポリエチレン−アクリル酸、及びエチレン−ビニルアルコールコポリマーのファイバーが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、ファイバーはガラス又は鋼ファイバーを含む。
【0015】
ファイバー束を形成するファイバーの直径は典型的に1〜100μm、あるいは5〜25μm、あるいは8〜12μmである。
【0016】
ファイバーの組み合わせを採用することができる。ファイバーは、当該技術分野において既知の方法によって製造し得る。これらのファイバーの多くは市販されている。
【0017】
ファイバー束は、後述のように、当該技術分野において既知の方法によって導管内に形成することができる。例えば、一群のファイバーの中程をワイヤに引っかけ、ワイヤを使って導管内に引っ張り上げることができる。
【0018】
導管は典型的に円筒形状であり、ステンレス鋼又はテフロンなどの非反応性材料からなっている。導管は典型的に、ファイバーを含む物質移動装置の一部である。ファイバーを含む物質移動装置は、当該技術分野において既知である。例えば、物質移動装置は、米国特許第3,977,829号、同第5,997,731号、及び同第7,618,544号に記述されている。
【0019】
導管を含む装置が図1に示されている。ただし、本発明はこの装置に限定されることを意図するものではない。当業者は、本記述に基づいてこの装置に対する他の許容可能な設計バリエーションを容易に構想するであろう。図1において、導管10は、その長さの一部分にわたって導管10を充填するファイバー束12を内部に有する。ファイバー束12は、端16において管14に接し、この内部に延びる。管14は導管10の端を超えて延在し、定量ポンプ22が取り付けられており、これにより第1液を管14を通してファイバー束12へと送り込む。管14の端16の上流側で導管10に接続されている流入管32には、定量ポンプ18が取り付けられている。ポンプ18は流入管32を通って導管10へと第2液を供給し、ここで第2液はファイバー束12の間を流れる。導管10の下流端には回収容器34があり、導管10及びファイバー束12の下流端20がこの中まで延びる。第1液と第2液が回収容器34へ流入し、層42及び44を形成する。ファイバー束12は導管10の下流端20から出て、回収容器34及び第1層44内まで延びる。回収容器34の上部には上層42用に流出ライン26が取り付けられており、回収容器34の下部には下層44用の流出口28が取り付けられている。流出高28には絞り弁30がある。一実施形態において(図示なし)、この装置はまた、導管内の温度を制御する手段を備える。例えば、装置には熱交換器又はヒートジャケットを備えることができる。
【0020】
工程i)で導入される第1液の温度は重要ではなく、第1液の凝固点温度超から沸点温度未満まで変化し得る。例えば、第1液が水の場合、この温度は典型的に、標準圧力において、0℃超〜100℃未満、あるいは15〜80℃、あるいは15〜60℃である。
【0021】
第1液が導入される圧力は典型的に大気圧、又は大気圧を超える圧力である。例えば、第1液は典型的に、0〜1000キロパスカルゲージ(kPag)、あるいは0〜800kPagである。
【0022】
粘度は、第1液がファイバー束を通って流れるのに十分な粘度である。例えば、第1液の十分な粘度は典型的に、25℃で、0.1〜500cSt(1E−7〜0.0005m/s)、あるいは0.1〜100cSt(1E−7〜0.0001m/s)、あるいは0.1〜50cSt(1E−7〜5E−5m/s)、あるいは0.1〜10cSt(1E−7〜1E−5m/s)である。
【0023】
工程(ii)では、(i)を継続しながら、シロキサン及び不純物を含む第2液を、ファイバー束を介して、束の上流端から束の下流端への方向に流す工程で、不純物を第2液から第1液へと移動させ、第1液と第2液は実質的に不混和性である。
【0024】
シロキサンは、Si−O−Si結合を少なくとも1つ含む化合物であり、固体又は液体であり得る。シロキサンの粘度又は分子量には、通常、制限はない。例えば、シロキサンの分子量は典型的には少なくとも75グラム/モル、あるいは少なくとも500グラム/モル、あるいは500〜25,000グラム/モルである。シロキサン中の1つ以上のケイ素原子を、炭素、ホウ素、アルミニウム、チタン、スズ、鉛、リン、ヒ素、及びその他の元素から選択される元素で置換してもよい。
【0025】
このシロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はその他のポリシロキサンであってもよい。ポリシロキサン組成物は、直鎖状、分枝状、環状、又は架橋(例えば樹脂性)構造を有してもよく、典型的にヒドロキシ基又はメチル基で末端保護されている。
【0026】
ポリシロキサンは典型的に、オルガノポリシロキサンセグメントと見なされ得る部分を少なくともい一部含む。オルガノポリシロキサンは、(RSiO1/2)、(RSiO2/2)、(RSiO3/2)、又は(SiO4/2)シロキシユニットから独立して選択されるシロキシユニットを含むポリマーであり、式中、Rはそれぞれ独立して、H又は任意の一価有機基であり、あるいはRはそれぞれ独立して、H、1〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビル、又は1〜20個の炭素原子を含む置換ヒドロカルビルであり、あるいは、Rはそれぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であり、あるいは、Rはメチルである。これらのシロキシユニットは一般に、それぞれM、D、T、及びQユニットと呼ばれる。これらの分子構造を下記に示す:
【化1】
【0027】
ポリシロキサンは、−(CR)−、及び−(CR)−(式中、Rは上記で定義及び例示されている)から選択されるユニットを含む有機セグメントも含み得る。
【0028】
ポリシロキサンは、シリコーン流体、シリコーン樹脂、又はオルガノシリコンポリマーであり得る。シリコーン流体及びシリコーン樹脂は典型的に、式(RSi−O(4−n)/2)による構造ユニットを有し、式中、nは、平均値がシリコーン流体では2以上、シリコーン樹脂では2未満であり、Rは上述の通りである。オルガノシリコンコポリマーは典型的に、式(RSi−O(4−n)/2)による構造ユニット(式中、nは0〜3、Rは上述の通り)、及びCRによる構造ユニット(式中、Rは上記で定義及び例示されている)を有する。
【0029】
Rで表わされるヒドロカルビル基は典型的に、1〜20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。3個以上の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル基は、分枝状又は非分枝状構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル(demethylethyl)、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、及びデシル)、シクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシル)アリル(例えばフェニル又はナフチル)、アルケニル基(例えばビニル、アリル、5−ヘキセニル、及びシクロヘキセニル)、アルカリル(例えばトリル及びキシリル)、アリールアルキル(例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル(phenpropyl)、及びフェニルヘキシル)、並びにアラルケニル(例えばスチリル及びシンナミル)、並びにアルキニル(例えばエチニル及びプロピニル)が挙げられるがこれらに限定されない。当業者には、上記のオルガノポリシロキサンユニットのR基の一部が、上記に具体的に定義された基以外であってもよく、例えばヒドロキシル末端保護基の場合にはヒドロキシル基であってもよいことが理解されよう。
【0030】
Rで表わされる置換ヒドロカルビル基は典型的に、1〜20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。置換ヒドロカルビル基の例には、Rについて上記で記述及び例示されたヒドロカルビル基を置換基で置換したものが含まれるが、これらに限定されない。置換基の例としては、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−OCH、−OCHCH、−OCHCHOCHCH、並びに、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基−CFを含むフッ化炭素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
ポリシロキサンの例としては、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリエチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルヒドロキシシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジエチルヒドロキシシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジフェニル(メチル)シロキシ末端ポリメチル(フェニル)シロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリメチルビニルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリメチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサンポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサンポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンポリマー、及びヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−モノメチルシルセスキオキサン)ポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)コポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)コポリマー;トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)ポリマー、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−モノメチルシルセスキオキサン)ポリマー、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)コポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)ポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−シリケート)コポリマー及びトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、ビニルシロキシ又はヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ヒドロカルビレンコポリマー)、ビニルシロキシ末端又はヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン)ブロックコポリマー、アルケニルオキシジメチルシロキシ末端ポリイソブチレン、アルケニルオキシジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン−ポリイソブチレンブロックコポリマー、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、商標DOW CORNING(登録商標)840樹脂、DOW CORNING(登録商標)2−7466樹脂、DOW CORNING(登録商標)2−9138樹脂、DOW CORNING(登録商標)2−9148樹脂、DOW CORNING(登録商標)2104樹脂、DOW CORNING(登録商標)2106樹脂、DOW CORNING(登録商標)217 Flake樹脂、DOW CORNING(登録商標)220 Flake樹脂、DOW CORNING(登録商標)233 Flake樹脂、DOW CORNING(登録商標)4−2136樹脂として販売されているシリコーン樹脂、並びにポリシリレンシロキサン(例えばトリメチルシリル−及びトリメチルシロキシ末端ポリシリレンジメチルシロキサン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
シロキサンは典型的に、既知の方法によって任意の好適なハロシランを加水分解する工程で調製される。ハロシランは典型的に式RSiX4−aを有し、式中各Rは上記で記述及び例示された通りであり、XはC〜Cのアルコキシ、又はハロ(例えばクロロ、ブロモ、又はヨード)であり、aは0〜3の整数である。
【0033】
Xで表わされるアルコキシ基は典型的に1〜8個の炭素原子を有し、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
加水分解してシロキサンを生成できる好適なハロシランの例としては、ジオルガノジハロシラン化合物[例えばジメチルジクロロシラン(CHSiCl、ジエチルジクロロシラン(CSiCl、ジ−n−プロピルジクロロシラン(n−CSiCl、ジ−i−プロピルジクロロシラン(i−CSiCl、ジ−n−ブチルジクロロシラン(n−CSiCl、ジ−i−ブチルジクロロシラン(i−CSiCl)、ジ−t−ブチルジクロロシラン(t−CSiCl)、n−ブチルメチルジクロロシランCH(n−C)SiCl、オクタデシルメチルジクロロシランCH(C1837)SiCl、ジフェニルジクロロシラン(CSiCl、フェニルメチルジクロロシランCH(C)SiCl及びジクロロヘキシルジクロロシラン(C11SiCl];オルガノヒドロジハロシラン化合物[例えばメチルジクロロシラン、CHHSiCl、及び上記の任意のジオルガノジハロシランのアルキル置換基の1つを水素で置換したもの];トリオルガノハロシラン化合物[例えばトリメチルクロロシラン(CHSiCl];並びにオルガノトリハロシラン化合物[例えばメチルトリクロロシラン]が挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
シロキサンは単一のシロキサンであってよく、又はシロキサンの混合物であってもよい。本発明のシロキサンの多くは市販されている。
【0036】
不純物は、第1液によって第2液から抽出可能な任意の材料である。不純物の例としては、酸(例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸)、塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、及びトリフルオロ酢酸カリウム)、イオン(例えばCl、Br、Na、及びK)、並びに分子量500g/モル未満の直鎖及び環状シロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
第2液の不純物の濃度は典型的に、不純物とシロキサンの重量に対して、少なくとも3重量ppm(ppmw)、あるいは同じ基準で10〜10,000重量ppm(ppmw)、あるいは10〜5000ppmw、あるいは50〜1500ppmwである。
【0038】
第2液は更に、シロキサンと混和性の非極性溶媒を所望により含み得る。この非極性溶媒は、高粘度のシロキサンを希釈するため、あるいは固体シロキサンを溶解するために含めることができる。例えば、第2液には、非極性溶媒とシロキサンを合わせた重量に対して、少なくとも10%(w/w)、あるいは少なくとも25%(w/w)、あるいは40〜90%(w/w)の非極性溶媒が含まれ得る。
【0039】
非極性溶媒の例としては、芳香族溶媒(例えばキシレン)、脂肪族溶媒(例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソアルカン又はイソアルカンの混合物、例えばC〜C19のイソアルカン又は/及びC12〜C18のイソアルカンの混合物)、及びシロキサン(例えばヘキサメチルジシロキサン)が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、第2液は更に、ヘキサメチルジシロキサンを含む。
【0040】
第2液の粘度は、第2液が導管を通って流れるのに十分な粘度である。例えば、第2液の粘度は典型的に、25℃で、500センチストローク(cSt)(0.0005m/s),0.1〜500cSt(1E−7〜0.0005m/s)、あるいは0.1〜100cSt(1E−7〜0.0001m/s)、あるいは0.1〜50cSt(1E−7〜5E−5m/s)、あるいは0.1〜10cSt(1E−7〜1E−5m/s)である。第2液の粘度は、上述のように、好適な非極性溶媒に高粘度又は固体のシロキサンを溶解することによって、制御することができる。
【0041】
第1液に対する第2液の体積流量比は、少なくとも0.1、あるいは0.1〜20、あるいは1〜4、あるいは約3である。本明細書で使用されるとき、「体積流量比」は、第1液の体積流量に対する第2液の体積流量の比を意味する。
【0042】
第2液が導入される温度及び圧力は、第1液について記述した通りである。
【0043】
第2液は第1液と実質的に不混和性である。本明細書で使用されるとき、「実質的に不混和性」は、第2液が第1液内に均一に溶解せず、第2液が第1液と共に2層を形成することを意味する。「実質的に」という語の使用では、第1液又は第2液がわずかな混和性を有し得る場合の実施形態を含むことが意図されている。
【0044】
第2液は第1液とともに、滞留時間が第2液から不純物の少なくとも一部を除去するのに十分である。例えば、十分な滞留時間は典型的に、少なくとも5秒、あるいは5秒〜30分、あるいは30秒〜15分、あるいは1分〜10分である。本明細書で使用されるとき、「滞留時間」は、第1液と第2液を合わせた1導管体積(すなわち、ファイバー束を収容する導管を充填し得る液体の体積)が、ファイバーを収容する導管を通過するのにかかる時間を意味する。
【0045】
第1液及び第2液は、重力又はポンプによって導管内に流され得る。
【0046】
本発明の方法は、iii)第1液及び第2液を回収容器に受け取る工程であって、回収容器内で、第1液が第1層を形成し、第2液が第2層を形成する工程を更に具える。
【0047】
第1層は典型的に下層であり、極性溶媒と、第2液から除去された不純物とを含む。第2層は典型的に上層であり、第2液のシロキサンを含む。しかしながら、回収容器内の第1層と第2層の位置は逆であってもよい。
【0048】
第2層の不純物の濃度は、第2液が最初に導入されたときの濃度より低い。例えば、第2層の不純物の濃度は典型的に、第2液中の初期濃度の0〜50%、あるいは0.01〜40%、あるいは0.01〜30%、あるいは0.01〜10%である。
【0049】
回収容器は、重力分液器又は沈殿タンク又は任意の他の容器であり、これにより装置から出る第1液及び第2液の回収と分離が可能になる。
【0050】
工程i)は典型的に、工程(ii)の前又は最中に実施される。任意の工程iii)における第1液及び第2液の回収は、通常、工程(i)の後に開始され、第1液と第2液の導管からの流出が止まるまで継続される。
【0051】
本発明の方法は更に、iv)第1層と第2層を分離する工程を含み得る。第1層と第2層は、回収容器から、第1層と第2層を別々に回収する工程によって分離され得る。第1層と第2層は、ポンプを用いて回収容器から回収することができる。
【0052】
本発明の方法は更に、工程iv)において分離されたシロキサン層を、同じ装置、又は別の装置に供給して、不純物の少なくとも別の一部を更に除去する工程を含み得る。
【0053】
第2層がシロキサンの混合物を含む場合、本発明の方法はまた、シロキサンを分離する工程も含み得る。シロキサンは例えば、蒸留によって分離され得る。
【0054】
本発明の方法は、シロキサンから不純物の少なくとも一部を効果的に除去する。この方法は、不純物を迅速に除去し、シロキサンと極性溶媒を迅速に分離する工程を可能にする。
【0055】
本発明の方法によって製造されたシロキサンは、パーソナルケアから自動車産業まで、確立された産業において利用することができる。
【実施例】
【0056】
下記の実施例は、本発明の方法をよりよく説明するために提示されるものであり、本発明を制限するものとして見なされるべきではない。本発明の範囲設定は添付の請求項において行われる。特に記載のない限り、実施例に記載される部及び百分率はすべて、重量による。下記の表は、実施例に使用されている略称を説明したものである:
【表1】
【0057】
(実施例1)
この実施例は、図1による装置の使用により、ジメチルシロキサン流を脱イオン水で処理し、ジメチルシロキサンから塩酸を除去する工程を示す。この装置には、約65,000本のガラスウールPyrexファイバー(カタログ番号#32848−003、Van Waters and Rogers(Redmond,WA))を含む長さ30.48cmのステンレス鋼製導管(公称内径1.27cm)を含む。ファイバーは直径8μm、長さ約41cmで、導管の長さ全体にわたって緊密に詰め、導管の下流端から分液漏斗内まで約10cm延出させた。1.27cmのステンレス鋼T字管を導管の入口端に取り付け、脱イオン水及びジメチルシロキサンの供給ラインを取り付けた。
【0058】
DI水流が、第1液として、Pyrexガラスファイバーの上流端から装置導管内に導入された。DI水流の開始後、HClを含有するジメチルシロキサン(25℃で15cSt(1.5E−5m/s)、環状シロキサン55%とヒドロキシル末端保護直鎖ポリジメチルシロキサン45%を含み、数平均分子量は約2500に等しい)を含む第2液を、T字管の側面入口からファイバーの上流端で導管内に導入された。DI水の第1液とジメチルシロキサンの第2液を、ファイバーの下流端にある分液漏斗に回収した。接触時間を変えて、実験を4回実施した。ジメチルシロキサン対DI水の流量比は、4:1で一定に維持した。DI水とジメチルシロキサン流が、別個の相として導管から流出した。ポリジメチルシロキサン相と水相が即座に分離したため、分液漏斗内の沈降時間は不要であった。導管に流入する前のポリジメチルシロキサンのサンプルと、回収容器から得たサンプルを、ブロモクレゾールパープルを指示薬として用い、水酸化カリウムで滴定を行って、酸濃度を測定した。試験はすべて、25℃で実施された。流量、圧力、接触時間、HCl除去効率を表2に示す。
【表2】
【0059】
(実施例2)
装置、反応物及び手順は実施例1の記述と同じであるが、ただし、下記の点を変えた。ステンレス鋼ファイバー(Bekaert)を使用した。ファイバーは316Lグレード鋼で、直径12μm、長さ41cmであった。約190,000本のファイバーを、導管の縦方向に充填した。ジメチルシロキサン流の温度は60℃に維持した。変化したパラメーター及び結果を表3に示す。
【表3】
【0060】
(実施例3)
装置、反応物及び手順は実施例1の記述と同じであるが、ただし、導管として外径1.27cm、長さ40.64cmのTeflon−FEP管を用い、第1液として水道水を用い、第2液として、ケイ素樹脂(DOW CORNING 407、分子量(Mw)=21,000)とヘキサメチルジシロキサン(DOW CORNING 200液0.65cSt(6.5E−7m/s)、Dow Corning(Midland,MI))の混合物を使用した。(この混合物は21℃で粘度5cSt(5E−6m/s)であった。)使用したPyrexファイバーは長さ60.96cmで、導管の下流端から分液漏斗内まで約10cm延出させた。変化したパラメーターを表4に示す。
【表4】
【0061】
(実施例4)
実施例3と同じ装置、反応物及び手順を用い、ただしTeflon−FEP導管の長さは14cmのみとし、ファイバーは導管の下流端から分液漏斗内まで約10cm延出させた。パラメーターを表5に示すように変化させた。
【表5】
【0062】
(実施例5)
この実施例では、実施例3に記述したものと同様の装置、反応物及び手順を用い、ただしヘキサメチルジシロキサンの代わりにキシレンを使用してケイ素樹脂を50%(w/w)に希釈し、第2液には酢酸塩が含有された。処理前と処理後のケイ素樹脂のサンプルをイオンクロマトグラフィー(IC)で分析し、ケイ素樹脂から全イオン種の92%超が除去されていたことが示された。
【0063】
(実施例6)
この実施例は、図1による装置の使用により、ジメチルシロキサン流を脱イオン水で処理し、ジメチルシロキサンから塩酸を除去する工程を示す。この実施例の装置には、約1,500本の疎水性Teflon(登録商標)PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フルオロポリマーファイバーマルチフィラメント糸[Toray Fluoropolymers America Inc.(TFA)]を収容する、公称内径0.95cm、長さ57.15cmのTeflon(登録商標)PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルのコポリマー)導管を含めた。ファイバーは直径15.355μm、長さ約58cmで、導管の長さ全体にわたって詰め、導管の下流端から分液漏斗内まで約1cm延出させた。直径1.27cmのTeflon(登録商標)PFA T字管を導管の入口端に取り付け、脱イオン水及びジメチルシロキサンの供給ラインを取り付けた。
【0064】
HClを含有するジメチルシロキサン(25℃で15cSt(1.5E−5m/s)、環状シロキサン55%とヒドロキシル末端保護直鎖ポリジメチルシロキサン45%を含み、数平均分子量は約2,500に等しい)を、第1液として、Teflon(登録商標)PTFEフルオロポリマーファイバーの上流端で、装置導管内に導入された。ジメチルシロキサン流を開始した後、DI(脱イオン)水を含む第2液を、字管の側面入口を介してファイバーの上流端で導管内に導入した。ジメチルシロキサンの第1液とDI水の第2液を、ファイバーの下流端にある分液漏斗に回収した。接触時間を変えて、実験を5回実施した。ジメチルシロキサン対DI水の流量比は、4:1で一定に維持した。DI水とジメチルシロキサン流が、別個の相として導管から流出した。ポリジメチルシロキサン相とDI水相が即座に分離したため、分液漏斗内の沈降時間は不要であった。導管に流入する前のポリジメチルシロキサンのサンプルと、回収容器から得たサンプルを、ブロモクレゾールパープルを指示薬として用い、水酸化カリウムで滴定を行って、酸濃度を測定した。試験はすべて、25℃で実施された。流量、圧力、接触時間、HCl除去効率を表6に示す。
【表6】
【0065】
(実施例7)
この実施例は、図1による装置を使用して、環状シロキサン種を含有するシロキサン流を有機溶媒系で処理することにより、シロキサン流から環状シロキサンを除去することを示す。この実施例の装置には、約168,000本のガラスウールPyrex(登録商標)ファイバー(製品番号CLS3950−454G、Sigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO))を収容する、公称内径0.95cm、長さ53.34cmのフッ素化エチレンプロピレン(FEP)Teflon導管を含めた。ファイバーは直径8μm、長さ約63.5cmで、導管の長さ全体にわたって緊密に詰め、導管の下流端から分液漏斗内まで約10cm延出させた。0.95cmのFEP Teflon T字管を、導管の流入端から約11.4cmのところに取り付けた。メタノール中10%の水(v/v)を、装置の流入口に取り付け、環状シロキサン種を含むシロキサン流をT字管に導入した。
【0066】
メタノールと水の重量に対して10%(w/w)の水を含むメタノールの流れを、第1液として、Pyrex(登録商標)ガラスファイバーの上流端で装置導管に導入した。メタノール中10%の水を開始した後、50センチストロークのトリメチル末端保護ポリジメチルシロキサン中約1.6重量パーセントのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4環状)を、T字管の側面入口を介して導管に導入し、ファイバーに接触させた。第1液のメタノール中10%水と、第2液のシロキサン種とを、ファイバー下流端の分液漏斗内に回収した。環状含有シロキサン対メタノール溶媒中10%水の流量比は、3:1であった。シロキサン(高密度相)とメタノール中10%水(低密度相)の相が即座に分離したため、分液漏斗内の沈降時間は不要であった。シロキサン流のサンプルをガスクロマトグラフィーで分析し、装置前と後の環状物の濃度を測定した。試験はすべて、25℃で実施された。流量、圧力、接触時間及び環状材料の除去効率を表7に示した。
【表7】
【0067】
(実施例8)
この実施例は、図1による装置を使用して、イソアルカン流(30%(w/w)シロキサンと70%(w/w)イソアルカン)中の環状メチル水素シロキサンを脱イオン水で処理することにより、環状メチル水素シロキサンから塩酸を除去することを示す。この実施例の装置には、約65,000本のガラスウールPyrexファイバー(製品番号34552−01、Cole−Palmer(London,UK))を収容する、公称内径1.27cm、長さ30.48cmのTeflon(登録商標)PFA導管を含めた。ファイバーは直径8μm、長さ約41cmで、導管の長さ全体にわたって緊密に詰め、導管の下流端から分液容器内まで約10cm延出させた。1.27cmのTeflon(登録商標)T字管を導管の入口端に取り付け、脱イオン水及び環状メチル水素シロキサンの供給ラインを取り付けた。第1液のDI水と第2液の環状メチル水素シロキサンを、ファイバー下流端の分液容器に回収した。実験は接触時間を変えて実施され、この中で、環状メチル水素シロキサン対DI水の流量比を、下記の表8に示すように変化させた。
【0068】
DI水流と環状メチル水素シロキサン流は、別個の相として導管から流出した。環状メチル水素シロキサン相と水相が即座に分離したため、分液容器内の沈降時間は不要であった。導管に流入する前の環状メチル水素シロキサンのサンプルを、ブロモクレゾールパープルを指示薬として用い、水酸化カリウムで滴定を行って、酸濃度を測定した。分液容器から得た環状メチル水素シロキサン流のサンプルは、イオンクロマトグラフィーを用いて分析し、酸濃度を測定した。試験はすべて、25℃で実施された。流量、接触時間、HCl除去効率を下の表に示す:
【表8】
【0069】
(実施例9)
装置、反応物及び手順は実施例8と同じであるが、ただし、脱イオン水の代わりに、32重量%の塩酸(カタログ番号A466−250、Fischer Scientific(Loughborough,UK))を使用した。脱イオン水で希釈することにより、異なる濃度を作製した。パラメーターは、下記の表に示すように変化させた。
【表9】
【0070】
(実施例10)
反応物及び手順は、実施例8の記述と同じである。この実施例の装置は、約585,000本のガラスウールPyrexファイバーを収容する、公称内径3.81cm、長さ40.64cmのガラス導管を含み、導管の下流端から分液容器内まで約20cm延出させた。3.81cmのガラスT字管を導管の入口端に取り付け、脱イオン水及び環状メチル水素シロキサンの供給ラインを取り付けた。流量、接触時間、HCl除去効率を下の表に示す:
【表10】
図1