(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785672
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】取り外し可能なごみ容器を備えたロボット電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20150910BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L9/28 E
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-509563(P2015-509563)
(86)(22)【出願日】2013年5月6日
(65)【公表番号】特表2015-515878(P2015-515878A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】IB2013053604
(87)【国際公開番号】WO2013171618
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/646,459
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】フェンネホール オーペー ネイハイウス イェルン ヨハンネス ヒェラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ガイ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン ヘイス
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−040597(JP,A)
【文献】
特開平08−228860(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0187249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/22−9/32
A47L 9/10−9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ容器受容区画を定義する筐体であって、前記筐体の外側面においてごみ容器受容開口を持つ筐体と、
前記ごみ容器受容開口を介して、前記ごみ容器受容区画のなかに、取り外し可能に受容可能なように構成された、ごみ容器と、
を含む、ロボット電気掃除機において、
動作可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の外側の押し面が、前記筐体の前記外側面と同一面上となり、
取り外し可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の前記押し面が、前記筐体の前記外側面から外側に突出し、
前記ロボット電気掃除機は更に、前記ごみ容器の前記押し面が最初に前記筐体の内側に向けて押され放されたときに、受容された前記ごみ容器を前記動作可能に受容される状態に保持し、二度目に前記筐体の内側に向けて押され放されたときに、前記ごみ容器を前記動作可能に受容される状態から前記取り外し可能に受容される状態にするように構成された、押し−押し機構を含む、ロボット電気掃除機。
【請求項2】
前記筐体の上側面は、前記ごみ容器受容開口が備えられる前記筐体の前記外側面を定義する、請求項1に記載のロボット電気掃除機。
【請求項3】
前記取り外し可能に受容される状態において、前記ごみ容器の前記押し面は、前記筐体の前記外側面から少なくとも5mm外側に突出する、請求項1又は2に記載のロボット電気掃除機。
【請求項4】
前記ごみ容器は、前記取り外し可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の前記押し面の周縁端と、前記筐体の前記外側面における前記ごみ容器受容開口の周縁端との間に延在する、周縁領域を定義し、
前記周縁領域は、表面の突出部及び表面の窪みの少なくとも一方を含む、把持を改善する表面特徴を定義する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロボット電気掃除機。
【請求項5】
前記動作可能に受容される状態において、前記ごみ容器の前記押し面は、前記ごみ容器受容開口の略全体をカバーする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロボット電気掃除機。
【請求項6】
前記押し−押し機構は、
前記筐体に固定的に接続された第1の端部と、第1の位置と第2の位置との間で前記第1の端部に対して相対的に移動可能な第2の端部と、を持つ、第1の押し−押しアクチュエータと、
前記第1の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部に接続された支持アームと、
を含み、前記支持アームは、前記第1の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部が前記第1の位置にあるときには、前記ごみ容器を前記動作可能に受容される状態に維持し、前記第1の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部が前記第2の位置にあるときには、前記ごみ容器を前記取り外し可能に受容される状態に維持するように構成された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロボット電気掃除機。
【請求項7】
前記支持アームは、前記筐体に枢動可能に接続された第1の端部と、前記ごみ容器に係合するように構成された第2の端部と、の間に延在し、
前記第1の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部は、前記支持アームの前記第1の端部と前記第2の端部との間において、前記支持アームに枢動可能に接続された、請求項6に記載のロボット電気掃除機。
【請求項8】
前記支持アームの前記第2の端部は、少なくとも2つの突起部を定義するように分岐させられ、
前記ごみ容器は、該容器の前記動作可能に受容される状態においては、前記少なくとも2つの突起部の間に係合される支持アーム係合部を定義する、請求項7に記載のロボット電気掃除機。
【請求項9】
前記押し−押し機構は更に、前記第1の押し−押しアクチュエータとは離隔され、前記筐体に固定的に接続された第1の端部と、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記第1の端部に対して移動可能な第2の端部と、を持つ、第2の押し−押しアクチュエータを含み、
前記支持アームは、前記第1及び第2の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部に接続されて、前記アクチュエータの動作と同期するようにされ、
前記支持アームは、前記第1の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部と前記第2の押し−押しアクチュエータの前記第2の端部との間における位置において、受容された前記ごみ容器と係合する、請求項6に記載のロボット電気掃除機。
【請求項10】
前記ごみ容器は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記押し−押し機構を通して移動可能に相互接続され、受容された前記ごみ容器の前記押し面を前記筐体の内側に向けて押し、続いて放すことにより、前記ごみ容器の外側の寸法が変化させられる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロボット電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の取り外し可能なごみ容器を備えたロボット電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット電気掃除機(RVC)は本分野において知られており、通常は、家の部屋を通して、自律的に(即ち人間の監視又は誘導なく)動くことを意図される。従って、RVCの外形は、特に重要である。結局のところ、係合の潜在的な位置を形成するいずれの凹部又は突起も、RVCが何らかのもの(例えば家具)に捉えられ動けなくなってしまうことを引き起こし得る。斯かる場合には、RVCが自身を解放することができない場合、動作を継続するように、該RVCの所有者によって手動で解放される必要がある。それ故、平滑な外形の必要性は主に機能の問題であるが、審美的に快い「綺麗なデザイン」の一般的な要求にも合致するものであり得る点に留意されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、同時に、RVCは、定期的に空にすることを必要とする、内部の取り外し可能なごみ容器を装着され得る。RVCの筐体からごみ容器を取り外すことを容易化するため、ごみ容器は、ハンドル又はその他の把持可能な特徴を備え得る。斯かる特徴の明らかな欠点は、RVCは動作の間に偶発的に絡まってしまうリスクを増大させる点である。このリスクは、少なくとも幾つかのデザインにおいては、例えばRVCの筐体の外壁における対応する凹部へと折り畳まれることができるヒンジ式のごみ容器のハンドルのような、折り畳み式の形態で該特徴を備えることによって軽減され得る。不運にも、斯かる方法は、とりわけ、RVCの目に見える外側面において、技術的なごみ容器の取り外し機能に専ら関連する、追加的でかなり知覚できる継ぎ目又は溝を残してしまうため、審美的な観点からは殆ど満足できるものではない。
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を克服又は軽減し、最低限の取り外し機能に関連する外から目に見える機能で、容易に取り外し可能なごみ容器を備えた、ロボット電気掃除機の構成を可能とする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明の第1の態様は、ロボット電気掃除機(RVC)に関する。該RVCは、ごみ容器受容区画を定義する筐体であって、前記筐体の外側面においてごみ容器受容開口を持つ筐体を有しても良い。該RVCはまた、前記ごみ容器受容開口を介して、前記ごみ容器受容区画のなかに、取り外し可能に受容可能なように構成された、ごみ容器を有しても良く、ここで、動作可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の外側の押し面が、前記筐体の前記外側面と同一面上となり、取り外し可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の前記押し面が、前記筐体の前記外側面から外側に突出する。該RVCは更に、前記ごみ容器の外側の前記押し面が最初に前記筐体の内側に向けて押され放されたときに、受容された前記ごみ容器を前記動作可能に受容される状態に保持し、二度目に前記筐体の内側に向けて押され放されたときに、前記ごみ容器を前記動作可能に受容される状態から前記取り外し可能に受容される状態にするように構成された、押し−押し機構を有しても良い。即ち、該押し−押し機構が、動作可能に受容される状態と、取り外し可能に受容される状態とに、受容されるごみ容器を交互に維持し、ごみ容器の押し面を、筐体へと内側に向けて押し、続いて放すことにより、これらの受容される状態間の切り換えを可能とするように構成され得る。
【0006】
斯くして、ここで開示されるRVCは、動作の間に、筐体に備えられたごみ容器受容区画へと沈み込められ得る、取り外し可能なごみ容器を含み得る。この動作可能に受容される状態においては、ごみ容器の外側の押し面(平滑であり例えば平坦であっても良い)が、ごみ容器受容開口を定義する筐体の外側面と同一面に配置されても良い。好適な実施例においては、該押し面は好適には、蓋のように、開口の略全体(即ち少なくとも90%の面積)をカバーし、それにより該開口を目から隠しても良い。筐体からごみ容器を取り外すことが要求されるときには、ユーザは該容器の押し面を押し下げることができる。それに続いて放すと、押し−押し機構が、ごみ容器を取り外し可能に受容される状態へと飛び出させ、該状態において、該容器は把持され筐体から持ち上げることができる。従って、該RVCは、永続的に目に見える又は係合可能な把持部を使用しない、取り外し可能なごみ容器を実施化し、従って機能的に平滑なデザインと審美的に快適なデザインとの両立を可能とする。
【0007】
ごみ容器受容開口は、原則的に、例えば筐体の底面又は側面のように、筐体のいずれの外側面に備えられても良い。しかしながら、好適な実施例においては、ごみ容器受容開口は、筐体の上面、即ち該ロボット電気掃除機の通常の動作の間に上を向く面に備えられ、それにより、該開口の周縁端内に通常は含まれる押し面に対する容易且つ直接的なアクセスを保証しても良い。
【0008】
ごみ容器が取り外し可能に受容される状態にあるときには、該ごみ容器は、ユーザによって把持され、ごみ容器受容区画から完全に持ち上げられても良い。該容器の把持を可能とするため、該ごみ容器、特に該容器の押し面は、ごみ容器受容開口を提供する筐体の外側面を十分に越えて突出する必要があり得る。好適な実施例においては、該押し面は、取り外し可能に受容される状態において、該外側面から少なくとも5mm、より好適には少なくとも10mmだけ、突出しても良い。
【0009】
更に、前記ごみ容器は、前記取り外し可能に受容される状態においては、前記ごみ容器の前記押し面の周縁端と、前記筐体の前記外側面における前記ごみ容器受容開口の周縁端との間に延在する、周縁領域を定義しても良く、前記周縁領域は、把持を改善する表面特徴を定義しても良い。一実施例においては、斯かる把持を改善する面の特徴は、例えばゴム面のような、高い摩擦又は粗い(滑り止め)面を含んでも良い。他の実施例においては、斯かる把持を改善する面の特徴は、周縁部の凹部又はリブのような、表面突出部及び表面窪みのうち少なくとも一方を含んでも良い。高い摩擦の面に対する後者の特徴の利点は、周縁部領域とごみ容器受容区画の内側壁との間の摩擦によって、ごみ容器がごみ容器受容区画内で動かなくなってしまうリスクを低減し得る点である。
【0010】
当業者は、該RVCの押し−押し機構が、種々の態様で実装され得ることを、理解するであろう。典型的な実施例においては、該押し−押し機構は、少なくとも1つの押し−押しアクチュエータ、即ち、通常は特定の方向に沿って圧縮する傾向のある繰り返される外からの押しにさらされたときに、伸張された構成と収縮された構成とを交互にとる装置を含んでも良い。押し−押しアクチュエータ自体は、例えばボールペン、台所用キャビネット、及びコンピュータにおけるメモリカードスロットなど、本分野において良く知られており、その構成はここでは詳しく述べない。原則として、例えば力学的又は電気(電磁)力学的なもののような、いずれのタイプの押し−押しアクチュエータもが利用され得ることに留意されたい。幾つかの実施例においては、該押し−押し機構は更に、押し−押しアクチュエータの動作を増幅し得る、及び/又は該動作をごみ容器における適切な作用点へと伝達し得る、力学的な結合を含んでも良い。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、本発明を説明するものであって限定するものではない、添付図面とともに参照される、以下の本発明の特定の実施例の詳細な説明から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるロボット電気掃除機の模式的な斜視図である。
【
図2】ごみ容器受容機構及び放出機構の第1の実施例を示す、
図1に示されたロボット電気掃除機の模式的な断面側面図である。
【
図3】ごみ容器受容機構及び放出機構の第2の実施例を示す、
図1に示されたものと同様のロボット電気掃除機の模式的な断面側面図である。
【
図4】ごみ容器受容機構及び放出機構の第3の実施例を示す、
図1に示されたものと同様のロボット電気掃除機の模式的な断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、筐体100と取り外し可能なごみ容器200とを含む、本発明によるロボット電気掃除機(RVC)1の、部分的に分解された斜視図である。
図2に示される該RVCのごみ容器の受容及び放出機構に関連するものを除けば、装置1は、ここでは詳細に述べない従来の設計のものであっても良い。
【0014】
例えば、殆どの知られたRVCにおけるように、該RVCの筐体100は、車輪を備えても良く、筐体の車輪に動作可能に接続された電気モータ、ナビゲーションを実行し(例えば1つ以上の搭載型障害物センサ及び/又は外部ビーコンを利用して)、ユーザが入力した掃除命令を受容及び処理するように構成された、プログラム可能な基板コンピュータ、並びに電気モータ及び基板コンピュータの双方に電力供給する充電可能なバッテリのような、幾つかの標準的な特徴を収容していても良い。筐体100自体は、いずれの適切な形状を持っていても良い。例えば、図示された実施例においては、筐体100は、全体的に円筒形であり、上側面102、底面104、及び該上側面と該底面とを相互接続する側面106を定義する。
【0015】
筐体100は、ごみ容器200を取り外し可能に受容するよう構成された、ごみ容器受容区画108を定義しても良い。区画180へのごみ容器200の挿入及び区画180からのごみ容器200の取り外しを可能とするため、筐体100の外側面は、ごみ容器へとアクセスを提供するごみ容器受容開口110を定義しても良い。好適な実施例においては、ごみ容器受容開口110は、筐体100の上側面102、即ち、使用時に掃除される床面とは反対の、上側を向く面に、少なくとも部分的に備えられても良い。斯かる開口110の配置は、ユーザがRVC1を保持する及び/又は持ち上げる必要なく、ユーザが常に快適にごみ容器200にアクセスし操作することを可能とし得る。
【0016】
ごみ容器受容区画108に加えて、RVC1は、ごみ容器受容開口110を介して取り外し可能に受容可能となるように構成された、ごみ容器200を含んでも良い。ごみ容器200は、典型的には、内部のごみ収集空間206を定義するごみ容器本体202と、ごみ容器本体202に(任意に着脱可能に)装着され、内部のごみ収集空間206を開閉可能に封止するように構成された、ごみ容器蓋部204と、を有しても良い。ごみ容器200の外形は全体として、ごみ容器200が内側にぴったりと受容されることができるように、ごみ容器受容区画108の内側の形状と相補的なものであっても良い。以下に明らかとされるように、ごみ容器200が偶発的に動かなくなってしまうことを防ぎ、ごみ容器の受容及び放出機能を提供する押し−押し機構300の動作を可能とするためには、幾分かの全体的な遊びが必要となり得る。
【0017】
ごみ容器200は、少なくとも2つの選択可能な状態において、ごみ容器受容区画108に受容されても良い。
【0018】
図2Aに示され、動作可能に受容される状態と呼ばれる、第1の状態においては、ごみ容器200は、ごみ容器受容区画108の中に完全に受容されても良く、このとき、以下に説明される理由から「押し面」と呼ばれ得る面である、ごみ容器200の外側面208が、筐体100の外側面102と同一面で延在するようにされる。押し面208は好適には、該動作可能に受容される状態を占有するとき、ごみ容器受容開口110の略全体に亘って、即ち少なくとも約90%の面積に亘って、延在し、開口を効果的にカバーして見えないように隠すような寸法を持つようにされても良い。上面は、ごみ容器受容開口110の周縁端112、210と押し面208とが互いに面する、小さな継ぎ目のみを呈しても良い。
【0019】
図2Cに示され、取り外し可能に受容される状態と呼ばれる、第2の状態においては、ごみ容器200は、ごみ容器受容区画108の中に部分的にのみ受容されても良く、このとき、押し面208は筐体100の外側面102から外側に突出する。筐体100の外側面102から突出するごみ容器200の部分は、把持可能な特徴として機能し得ることは理解されよう。それ故、好適な実施例においては、押し面208は、該取り外し可能に受容される状態においては、筐体100の外側面102から外側に、少なくとも5mm、より好適には少なくとも10mm突出していても良い。ごみ容器受容区画108にごみ容器200を挿入し該区画から該容器を取り外すことができる方向において、ごみ容器200の押し面208の周縁端210と、ごみ容器受容開口110の周縁端112と、の間で、それぞれ5mm及び10mmの距離が測定されても良い。
【0020】
該取り外し可能に受容される状態においてごみ容器200の把持を更に容易化するため、ごみ容器200は、該取り外し可能に受容される状態において、ごみ容器200の押し面208の周縁端210と、筐体100の外側面102におけるごみ容器受容開口110の周縁端112との間に延在し得る、把持を改善する表面特徴を定義する、周縁領域212を定義しても良い。一実施例においては、該把持を改善する表面特徴は、高摩擦面又は粗い面を含んでも良い。別の実施例においては、該把持を改善する表面特徴は、表面突出部及び表面窪み即ち周縁窪み214のうち少なくとも一方を含んでも良い。高摩擦面に対する後者の特徴の利点は、周縁部領域212とごみ容器受容区画108の内側壁との間の摩擦によって、ごみ容器200がごみ容器受容区画108内で動かなくなってしまうリスクを低減し得る点である。
【0021】
RVC1はまた、動作可能に受容される状態及び取り外し可能に受容される状態のうち一方において、ごみ容器200を保持するように機能し得る、ごみ容器200の押し面208を押すことにより及び放すことによりユーザが状態を切り換えることを可能とする、押し−押し機構300を含んでも良い。より具体的には、押し−押し機構300は、最初に押し面208が筐体100へと内側に押され放されたときに、受容されたごみ容器200を動作可能に受容される状態に維持し、二度目に筐体100へと押され放されたときに、ごみ容器200を、動作可能に受容される状態から取り外し可能に受容される状態へと変えるように構成されても良い。
【0022】
図1及び2の実施例においては、押し−押し機構300は、ごみ容器受容区画108の壁内の空洞114のなかに殆どが配置され、ごみ容器200に直接インタフェース接続している該機構の一部のみが、空洞114から区画108へと突出している。押し−押し機構300は、該RVCの筐体100に固定的に接続された第1の端部302aと、少なくともごみ容器の動作可能に受容される状態に対応する第1の位置(
図2A参照)とごみ容器の取り外し可能に受容される状態に対応する第2の位置(
図2C参照)との間で第1の端部302aに対して移動可能な第2の端部302bと、を持つ、押し−押しアクチュエータ302を含んでも良い。押し−押し機構300は更に、上述した両方の状態でごみ容器200を支持するように、ごみ容器200に係合するように構成された、支持アーム又はレバー304を含んでも良い。支持アーム304は、筐体100に枢動可能に接続された第1の端部304aと、ごみ容器200に着脱可能に係合するように構成された第2の自由端部304bと、の間に延在しても良い。該第1の端部304aと第2の端部304bとの間において、支持アーム304は、押し−押しアクチュエータ302の、第2の可動端部302bに枢動可能に接続されても良い。第2の端部304bにおいて、支持アーム304は、少なくとも2つの突起部306、308を定義するように分岐させられても良い。図示された実施例においては、一方の突起部306は細長く、他方308は全体として楕円形である。ごみ容器200は、容器200の動作可能に受容される状態において、支持アーム304の端部304bにおいて前記少なくとも2つの突起部306、308間に係合される、支持アーム係合部216を相補的に定義しても良い。
図2の実施例においては、支持アーム係合部216は、支持アーム304の楕円形の突起部308の受容のための凹部と、該支持アーム304の細長い突起部306との接合のための(反転された)突起と、を分離する隆起によって定義される。
【0023】
図2の動作可能に受容される状態においては、ごみ容器200の支持アーム係合部216は、支持アーム304の第2の端部304bにおいて突起部306、308間に受容され、ごみ容器200が基本的に適所に係止されるようにされる。押し−押しアクチュエータ302は、ごみ容器200全体の重量よりも小さな負荷に対応する、第2の端部304bにかけられる力の影響の下における、第1の枢動軸304aのまわりの支持アーム304の(大きな)角度のある運動/回転運動を防ぐように構成されても良い。従って、押し−押しアクチュエータ302は、ごみ容器200を、RVC1の向きにかかわらず、動作可能に受容される状態に保持し得る。即ち、押し−押しアクチュエータ302は、図示されたような通常の使用の向きと、例えばRVC1の底側を調べるためにユーザがRVC1を手動で持ち上げ動かすことを決めたときに生じ得る、上下逆さまの向きと、の両方において、ごみ容器200を保持し得る。同時に、支持アーム304の突起部306、308は、使用の間に音を立てたり震えさせたりすることを十分に防ぐように、支持アーム係合部216を係合しても良い。
【0024】
図2Aから、ごみ容器200が、RVC1の筐体から突出していないことが明らかである。それ故、ユーザは、ごみ容器200を把持して該RVCの筐体100から持ち上げて取り出すことができない。斯かる取り外しを可能とするためには、ユーザは、
図2Bに示されるように、ごみ容器200の押し面208を筐体へと内向きに押し、続いて放しても良い。上述したように、この目的のために必要とされる力は、ごみで満たされたごみ容器200にかかる重量的な引く力よりも、僅かに大きいものであっても良い。支持アーム304は、押し面208に対する下向きの押下を、押し−押しアクチュエータ302へと伝達し、該アクチュエータを作動又は起動させて、該アクチュエータが伸張した構成をとるようにする。押し−押しアクチュエータ302の伸張は、第1の端部302aと第2の端部302bとを別々に駆動し、支持アーム304を第1の端部304aのまわりに回転させ、それにより第2の端部304bに係合されたごみ容器200を持ち上げる。該持ち上げ動作は、該持ち上げ運動を通して、支持アーム係合部216との支持接触を維持する、細長い突起部306の先端によって主に実行され、楕円形の突起部308のほうは、持ち上げの間、ごみ容器係合部216から離れ、取り外しのためごみ容器を引き放す。従って、押し−押しアクチュエータ302の伸張ストロークの最後において、
図2Cに示されるように、ごみ容器200が取り外し可能に受容される状態となり得る。
【0025】
ごみ容器200を動作可能に受容される状態に戻すためには、ユーザは、
図2Bに示されるように、二回目に押し面208を筐体100へと押し下げ、続いて再び放しても良い。その結果の押し−押しアクチュエータ302の押し付けが、該アクチュエータを再び作動させ、放されたときに、より短い収縮された状態を再びとるようにさせる。従って、押し面208を放すことは、
図2Aに示された状態を再びとらせ得る。
【0026】
押し−押し機構ベースのごみ容器受容及び放出機構の実装は、RVC1の異なる実施例に対しては違っていても良いことは、明らかであろう。例えば、
図2に示された実装に対する2つの代替例が、
図3及び4を参照しながら以下に説明される。
図3及び4はそれぞれ、ごみ容器が動作可能に受容される状態にある実施例を示している。
図1及び2を参照しながら以上に説明されたものと同様に、該動作可能に受容される状態から開始して、ごみ容器200の押し面208を押し下げ、続いて放すことにより、取り外し可能に受容される状態がとられ得る。
【0027】
図3の実施例においては、押し−押し機構300は、それぞれが
図1及び2の実施例を参照しながら以上に議論されたものに類似した、2つの離隔された押し−押しアクチュエータ302、302'を含んでも良い。押し−押し機構300は更に、少なくとも2つの押し−押しアクチュエータ302、302'の第2の端部302b、302b'の対を堅固に相互接続し、これら2つの端部の動きを同期させる、少なくとも1つの支持アーム304を有しても良い。
図3は、2つの相互接続された押し−押しアクチュエータ302、302'のみが見えている断面側面図で実施例を示しているが、ごみ容器200は実際には、4つの押し−押しアクチュエータにより支持されていても良いことは理解されよう。これら4つのアクチュエータは、ごみ容器受容区画108のまわりに離隔されていても良く、ごみ容器200の受容のための中央開口を共に囲む4本の支持アーム304を定義する単一の環状フレームによって相互接続されていても良い。従って、
図3の構成は、ごみ容器200の中心垂直軸に対して四回回転対称となり、
図3は、4つの同一な相互に垂直な断面側面図の1つとみなされ得る。各支持アーム304は、好適にはそれぞれの相互接続された第2の端部302b、302b'のおよそ中間点において、ごみ容器200を支持して受容又は係合するための、上向きの支持面を定義しても良い。ごみ容器200は、1つ以上の対応する下向きの支持面を相補的に備えても良い。図示された実施例においては、各支持アーム304は、反転した(即ち下を向く)楔形部分を定義し、該部分の頂点領域が、上向きの支持面310を定義する。対応する下向きの支持面は、ごみ容器本体202の側面から突出するピンの形をとる、それぞれの支持アーム係合部216によって提供される。楔形の支持面310は、ピン216をガイドするように受容し、容器200をごみ容器受容区画108内の中心に収容させる。該構成の全体的な対称性が、動作の間にごみ容器200が傾くことを防止し、該ごみ容器がごみ容器受容区画108の壁部から離れたままとなることを支援する。しかしながら、他の実施例は単に、典型的にはごみ容器200の対向する側面に配置された2つの相互接続された押し−押しアクチュエータ302、302'を利用して、斯かる望ましくない傾きを防いでも良いことは、理解されよう。一般的に、より少ない相互接続された押し−押しアクチュエータを特徴とする実施例は、全ての押し−押しアクチュエータを同時にではなく作動させるリスクが小さくなり、それ故阻害された動作のリスクが小さくなり得る。
【0028】
図4は、ごみ容器受容及び放出機構の第3の実施例を模式的に示す。該実施例は、押し−押し機構300が、ごみ容器200の構成に完全に組み込まれる点において、
図1乃至3に示された実施例と異なる。具体的には、ごみ容器200の本体は、合わせて内部のごみ収集空間206を定義しても良い、第1の部分202aと第2の部分202bとを含んでも良い。例えば、第1の部分202aがごみ収集空間206の底壁203a及び第1の周縁側壁203bを定義し、第2の部分202bがごみ収集空間206の上側壁203d及び第2の周縁側壁203cを定義しても良い。上側壁203dは、ごみ収集空間206に対するアクセスを可能とする開口203eを定義しても良く、当該開口を開閉可能に封止するため、上側壁203dの上にごみ容器の蓋部208が備えられても良い。ごみ容器200の第1及び第2の部分202a、202bは、移動可能に相互接続されても良い。第1及び第2の壁部203b、cは例えば、ごみ収集空間206の伸縮式の伸長、又はごみ容器200の外側寸法における少なくとも1つ(例えば高さ)の変化を可能とするよう、互いに滑動可能に当接しても良い。可変の外側寸法を制御するため、該ごみ容器の第1及び第2の部分202a、202bは、少なくとも1つの押し−押しアクチュエータ302、302'を含む押し−押し機構300により相互接続されていても良い。少なくとも1つの押し−押しアクチュエータ302、302'は、ごみ容器200に2つの選択可能な高さをもたらすように構成されても良い。ごみ容器200の第1の下側の部分202aがごみ容器受容区画108のなかに完全に沈んだ状態においてみられるように、一方の高さは、該ごみ容器の押し面208が、該RVCの筐体100の上側面102と同一面となるようにさせ、他方の高さは、押し面208が、押し面208が、該RVCの筐体100の上側面102を越えて延在するようにしても良い。斯くして、これら2つの選択可能な高さはそれぞれ、該ごみ容器の動作可能に受容される状態及び取り外し可能に受容される状態に対応し得る。
【0029】
本発明の実施例が、一部添付図面を参照しながら、以上に説明されたが、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことは、理解されるべきである。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。本明細書を通して、「一実施例」とは、当該実施例と組み合わせて記載される特定の特徴、構成又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書の各所における「一実施例において」なる語句の出現は、必ずしも全てが、同一の実施例を参照しているわけではない。更に、1つ以上の実施例の特徴、構成又は特性が、いずれかの適切な態様で組み合わせられ、新たな、明示的に記載はされていない実施例を形成しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 ロボット電気掃除機(RVC)
100 筐体
102 筐体の上側面
104 筐体の底面
106 筐体の側面
108 ごみ容器受容区画
110 ごみ容器受容開口
112 ごみ容器受容開口の周縁端
114 ごみ容器受容区画の側壁における空洞
200 ごみ容器
202 ごみ容器本体
202a、b ごみ容器本体の第1及び第2の部分
203a 底壁
203b、c 第1及び第2の周縁側壁
203d 上側壁
203e 上側壁における開口
204 ごみ容器の蓋部
206 内側のごみ収集空間
208 押し面
210 押し面の周縁端
212 周縁領域
214 (周縁領域における)周縁窪み
216 支持アーム係合部
300 押し−押し機構
302 押し−押しアクチュエータ
302a、b 押し−押しアクチュエータの第1及び第2の端部
304 支持アーム
304a、b 支持アームの第1及び第2の端部
306 支持アームの第2の端部における下側の突起部
308 支持アームの第2の端部における上側の突起部
310 上向きの支持面