【文献】
PETIO zuttoneおむつパンツ(サスペンダー付),[online],日本,2010年 7月 5日,【平成26年12月25日検索】,URL,http://web.archive.org/web/20100507120353/http://www.retriever.org/shop/kaigo/petioomutsu10.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
本発明に係る紙おむつ1は、例えば、室内で飼われる犬や猫等のペットに対して使用されるペット用紙おむつである。
なお、以下の説明では、紙おむつ1において、長手方向一端側を前側、他端側を後側とし、短手方向一端側を左側、他端側を右側とし、前後方向及び左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
【0015】
紙おむつ1は、
図1、2に示すように、紙おむつ本体である本体部10と、本体部10をペットの体に装着するためのテープ部20、20と、テープ部20を係止させるためのターゲット部30と、を備え、テープ部20、20をターゲット部30に止着することで装着される止着式の紙おむつである。
また、紙おむつ1には、ペットの尻尾を通す尻尾穴40と、尻尾穴40を巾着式にすぼめることを可能とする巾着部50と、が備えられている。
【0016】
紙おむつ1は、
図4に示すように、装着時にペットの体の腹から尻を覆う形状に形成されている。
具体的には、本体部10の前端部がペットの腹付近に位置する腹側部11を形成し、本体部10の後端部がペットの尻付近に位置する尻側部12を形成し、本体部10の両側部がペットの後脚の脚周りに位置する脚周り部13、13を形成する。
腹側部11の両側部には、直線状に糸ゴム等の弾性部材14がそれぞれ設けられ、この弾性部材14により平面ギャザーが形成され、腹側部11がペットの腹から後脚の脚周りにかけて伸縮自在にフィットし、横漏れを防止するようになっている。
また、腹側部11において脚周り部13よりも両外側に延出した腹側延出部111、111と、尻側部12において脚周り部13よりも両外側に延出した尻側延出部121、121とは、紙おむつ1が装着された際に胴周り部16を形成する。
なお、この際、例えば、尻側部12の胴周り方向に沿った縁部中央に、糸ゴム等の弾性部材(図示省略)を幅方向に沿って設け、この弾性部材により平面ギャザーを形成して、本体部10をペットの胴周りにフィットするように伸縮自在な構成としても良い。
【0017】
本体部10は、ペットの体との接触面側に設けられる透液性の不織布からなるトップシート10aと、装着時にペットの体との接触面と反対側の外部側に設けられる不透液性のバックシート10bと、トップシート10aとバックシート10bとの間に介装される吸収体10cと、トップシート10a側の吸収体10cの両側部に、本体部10の長手方向に沿って備えられるギャザーシート10d、10dと、により主に構成される。
【0018】
トップシート10aは、紙おむつ1を装着した際にペットの体に接する面に設けられ、体液を受けて吸収体10cまで輸送する役割を果たす、透液性のシートである。
トップシート10aは、不織布が好適に用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものを用い得る。
【0019】
バックシート10bは、紙おむつ1を装着した際にペットの体に接する面と反対側の面に設けられ、体液などの紙おむつ1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ役割を果たす、不透液性のシートである。
バックシート10bも、トップシート10aと同様に不織布が好適に用いられる。なお、バックシート10bは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。
なお、トップシート10a及びバックシート10bの間に、ポリエチレンフィルムからなるシート材を挟むこととしても良い。
【0020】
吸収体10cは、
図3に示すように、例えば、綿やパルプ等の吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成された吸収体コアS1が、透液性のクレープ紙、不織布、孔開きシート等のシート材S2により覆われて構成されている。
高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
吸収体10cは、単層構造であっても良いし、複数層に分かれた構造でも構わない。
吸収体10cは、少なくともペットの体の腹部を覆う位置に備えられている。具体的には、吸収体10cは、本体部10の前端部から尻尾穴40の前まで、即ち、腹側部11全体を覆うように備えられている。
【0021】
ギャザーシート10d、10dは、トップシート10a側において、吸収体10cの長手方向に沿った両側部に、腹側部11から尻側部12に亘ってそれぞれ備えられている。
このギャザーシート10d、10dの幅方向外側の部分は、吸収体10cの側方でトップシート10aの上面に固着されている。
また、このギャザーシート10d、10dの幅方向内側の部分は、トップシート10aに固定されておらず、その長手方向に沿って配される糸ゴム等の弾性部材15を挟んだ状態で折り返されて接着されて立ち上がり、ペットの体型に合わせて伸縮自在に変形可能な立体ギャザーが形成されている。
【0022】
テープ部20、20は、腹側部11の腹側延出部111、111の左右側方において、それぞれ外側に向かって突出して備えられている。
テープ部20は、シート基材21を備えて構成されている。
シート基材21は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の各種のプラスチックフィルムを、所定の厚さに形成した基材シートであり、その基端部が紙おむつ1に接合されている。なお、シート基材21の基端部は、トップシート10aやバックシート10bの内面又は外面に貼り付けても良いし、トップシート10aとバックシート10bとの間に挟んで固定しても良い。
【0023】
シート基材21の内面(ターゲット部30と対向する面)には、ファスニングテープ22が設けられている。
ファスニングテープ22の表面には、面ファスナのオス材の係止要素である、鉤状、きのこ状、錨状等の多数の突起が形成されたフック材が設けられており、ターゲット部30の係止層31(後述)と係合させるようになっている。なお、ファスニングテープ22の裏面はシート基材21に固着されている。
テープ部20は、このファスニングテープ22によって、ターゲット部30に着脱自在に止着可能となっている。
【0024】
ターゲット部30は、尻側部12における外面であるバックシート10b側に備えられている。
ターゲット部30は、テープ部20、20のファスニングテープ22を係止するためのメス材の係止要素である係止層31を備えている。
係止層31は、基材シートにループ状の繊維であるループ材(図示省略)が配置されて構成されている。このループ材は、ファスニングテープ22の表面に形成されたフック材と機械的に係合する。すなわち、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を着脱可能な状態に、且つ、強固に固着させることができる。
【0025】
なお、ファスニングテープ22のフック材は、ループ材以外にも、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材にも係合させることが可能である。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど、広く知られた汎用性の高い可塑性素材からなる単組成の素材若しくは複合組成の素材を用いることができる。なお、この場合、長繊維で構成されるスパンボンド不織布を用いるのが好ましい。これは、短繊維であるポイントボンド不織布やエアスルー不織布では繊維の長さが短いため抜けやすく、強度が不足するからであって、連続長繊維で構成され、カット面からのほつれが少なく、毛羽立ちによる繊維の脱落が少ないスパンボンド不織布が力学的性能や生産性といった点で優れるからである。
【0026】
尻尾穴40は、本体部10において長手方向の中央よりやや後ろよりであって、吸収体10cの後側となる位置に、本体部10を貫通するように開設されている。
尻尾穴40は、紙おむつ1装着時にペットの尻尾を通すためのものである。尻尾穴40の大きさに特に限定はないが、本実施形態の尻尾穴40は、尻尾の出し入れが困難でない程度に十分な大きさに形成されている。
また、尻尾穴40の形状に特に限定はなく、例えば、円形、四角形などの形状を適宜設定可能である。
【0027】
巾着部50は、尻尾穴40を巾着式にすぼめることを可能とするため設けられたものであって、尻尾穴40の周囲に形成される紐通し部51と、紐通し部51に配された紐状部材52とを有して構成されている。
【0028】
紐通し部51は、
図5に示すように、例えば、尻尾穴40の周囲に沿って施された環状の径の異なる2つのエンボス加工部(第1エンボス加工部511、第2エンボス加工部512)により形成されている。
第1エンボス加工部511は、尻尾穴40より僅かに大きな径となるよう形成され、第2エンボス加工部512は、第1エンボス加工部511より大きな径であって第1エンボス加工部511よりも外側に形成されている。即ち、第1エンボス加工部511は、紐通し部51の内円を形成し、第2エンボス加工部512は、紐通し部51の外円を形成している。
そして、第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512においては、トップシート10aとバックシート10bとが接着されているので、第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512に挟まれたトップシート10aとバックシート10bとが未接着の領域は空洞となり、紐通し部51が形成される。
この紐通し部51には、当該紐通し部51を形成するバックシート10bの2箇所に切り込みを入れることで形成された紐取出し口53、53が設けられており、紐取出し口53、53から、紐通し部51内の紐状部材52の両端部が外部に取り出されている。
そして、紐取出し口53、53から外部に取り出された紐状部材52を引っ張ると、尻尾穴40を巾着式にすぼめられるようになっている。
【0029】
また、上記した巾着部50の形成方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
先ず、本体部10の尻尾穴40を形成する領域においてトップシート10aとバックシート10bとを未接着としておき、尻尾穴40を開設する。
次に、当該尻尾穴40の周囲に上記第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512となるエンボス加工を施す。
次に、第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512により形成された紐通し部51に紐取出し口53、53を設け、紐通し部51内に紐状部材52を通す。
【0030】
なお、トップシート10aとバックシート10bの未接着な領域に上記第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512となるエンボス加工を施した後、第1エンボス加工部511の内側に尻尾穴40を開設することとしても良い。
【0031】
紐状部材52は、上記したように、紐通し部51に配され、その両端部が紐取出し口53、53から外部に取り出されて、引っ張ることが可能となっている。
この紐状部材52の素材に特に限定はないが、例えば、各種の紐、糸、糸ゴム、天然ゴム等が用いられ、特に、伸縮性の観点から、糸ゴム、天然ゴムが好適に用いられる。また、紐状部材52は、紐通し部51を通る程度の太さであればその太さも特に限定されない。
【0032】
次に、紙おむつ1の装着方法について説明する。
先ず、尻尾穴40に尻尾を通して、紙おむつ1の腹側部11をペットの腹部に当てると共に、紙おむつ1の尻側部12をペットの尻部に当てる。
次に、腹側部11の腹側延出部111、111に設けられたテープ部20、20を、ペットの体と紙おむつ1との間に隙間ができないように尻側部12に設けられたターゲット部30に係止させ、紙おむつ1を装着する。
次に、紐状部材52を左右に引いて、尻尾穴40を尻尾の大きさに合せて巾着式にすぼめる。
次に、テープ部20、20とターゲット部30とを、紐状部材52の自由端部を挟むようにして再止着する。
なお、尻尾穴40をすぼめた後の紐状部材52の始末の仕方はこれに限られず、例えば、尻尾に巻いて結ぶこととしても良い。
また、紙おむつ1の装着方法としては、尻尾穴40に尻尾を通して当該尻尾穴40を巾着式にすぼめた後、テープ部20、20をターゲット部30に係止させて紙おむつ1を装着することとしても良い。
【0033】
以上にように、本実施形態による紙おむつ1によれば、巾着部50が備えられることにより、ペットの尻尾を通す尻尾穴40を巾着式にすぼめることができる。
このため、尻尾穴40に尻尾を通したあと、尻尾の太さに合せて尻尾穴40をすぼめることができ、尻尾穴40のフィット性を向上させることができる。
よって、尻尾穴40を比較的大きく形成できるので装着させやすく、様々な尻尾の太さに対応することができる。
【0034】
また、本実施形態による紙おむつ1によれば、本体部10は、トップシート10aと、バックシート10bと、を備え、尻尾穴40の周辺においてトップシート10aとバックシート10bとは未接着であり、尻尾穴40の周囲に沿って環状に施された第1エンボス加工部511と、第1エンボス加工部511よりも外側に環状に施された第2エンボス加工部512と、を備えている。
このため、第1エンボス加工部511及び第2エンボス加工部512により紐通し部51を形成することができる。
【0035】
なお、
図6に示すように、尻尾穴40の縁部に、クッション性を有する保護部材60を備えることとしても良い。
保護部材60とは、ペットの尻尾と尻尾穴40の間に配され、例えば尻尾を振ったときなどにできる摩擦による擦れを軽減するためのものであり、例えば、綿などが使用される。
このように構成することにより、例えば、毛量の少ないペットであっても、尻尾穴40の縁で尻尾が擦れて尻尾に傷がつくのを防止することができる。
【0036】
また、
図7に示すように、テープ部20、20に、紐状部材52の自由端部を引っ掛けるための切り込み23を形成することとしても良い。
このように構成することにより、紐状部材52がテープ部20、20に引っ掛かり易くなり、尻尾穴40をすぼめた後の紐状部材52の自由端部の始末が簡単になる。従って、紙おむつ1の装着を容易に行うことができる。
また、紐状部材52をテープ部20、20の切り込み23に引っ掛けることによって、尻尾穴40の尻尾へのフィット性を維持した装着ができることとなり、装着後にペットが動いても、体液が漏れることが無い。
【0037】
また、巾着部の形成方法としては、
図8に示すように、巾着部50Aを、本体部10Aと別体として形成することとしても良い。
この場合、本体部10Aのペットの尻尾に対応する位置には開口部17を形成し、別体として形成した巾着部50Aを本体部10Aの開口部17を塞ぐように取り付けることで尻尾穴40を形成する。巾着部50Aの本体部10Aの取り付けは、例えば、巾着部50Aの周縁部を本体部10Aに接着する等で行うことができる。
【0038】
また、吸収体10cは、腹側部11から尻側部12にかけて(即ち、本体部の長手方向全体に亘って)装着することとしても良い。
この場合であっても、トップシート10a、バックシート10b、吸収体10cを貫通するよう開口部17を形成し、当該開口部17を覆うように巾着部50Aを取り付けて、尻尾穴40を形成すれば良い。