特許第5785763号(P5785763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785763
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】熱転送装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/30 20060101AFI20150910BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20150910BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   H01L35/30
   H01L35/34
   H02N11/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-90640(P2011-90640)
(22)【出願日】2011年4月15日
(65)【公開番号】特開2011-228708(P2011-228708A)
(43)【公開日】2011年11月10日
【審査請求日】2013年11月20日
(31)【優先権主張番号】10 2010 015 321.4
(32)【優先日】2010年4月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513212291
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルヌルフ シュピース
(72)【発明者】
【氏名】アニカ ビュルクレ
(72)【発明者】
【氏名】ミング ドング
(72)【発明者】
【氏名】ジェルク エステルレ
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ ザックセ
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/075571(WO,A1)
【文献】 特開2009−295752(JP,A)
【文献】 オーストリア国特許発明第00506262(AT,B)
【文献】 特開平10−144968(JP,A)
【文献】 特開2003−229609(JP,A)
【文献】 特開2003−110156(JP,A)
【文献】 特開2005−127162(JP,A)
【文献】 特開2007−221895(JP,A)
【文献】 特開2007−006619(JP,A)
【文献】 特開2004−208476(JP,A)
【文献】 特開2003−142739(JP,A)
【文献】 特開2000−232244(JP,A)
【文献】 特開平11−298054(JP,A)
【文献】 特開平11−135845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/16、35/00−37/04、
H02N 11/00、
F01N 1/00− 1/24、 5/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転送装置であって、
熱を放出する流体を移送するための、少なくとも一つの熱管(2)と、
熱を吸収する流体を移送するための、少なくとも一つの冷管(3)と、
温度差から電気エネルギを生成するための、少なくとも一つの熱電発電機(4)とを備え、
前記熱電発電機(4)は、それぞれ、前記熱管(2)と、前記冷管(3)との間に配置され、
前記各熱電発電機(4)は、熱伝導材(16)を介して、前記各管(2、3)に接触し、
前記各熱伝導材(16)は、形状体(17)として形成され
前記各熱電発電機(4)を、横から囲む、少なくとも一つのフレーム(25)が配置され、
前記各形状体(17)には、少なくとも一つの凸部(19)または凹部(20)が形成され、
前記凸部(19)または凹部(20)は、相補的な凹部(20)または凸部(19)と協働し、
前記相補的な凹部(20)または凸部(19)は、前記各フレーム(25)に形成されていることを特徴とする熱転送装置。
【請求項2】
前記各熱電発電機(4)、および/または、幾つかの熱電発電素子(23)で構成された、前記熱電発電機(4)の前記各熱電発電素子(23)を、電気的に接続するための電線(27)が、前記各形状体(17)に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の熱転送装置。
【請求項3】
前記熱伝導材(16)は、繊維により補強される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転送装置。
【請求項4】
前記各管(2、3)、前記各形状体(17)、および、前記各熱電発電機(4)は、積み重ね方向(18)に、積み重ねられてスタック(28)を構成し、このスタック(28)内で、前記各管(2、3)、前記各形状体(17)、および、前記各熱電発電機(4)は、荷重力(29)により、前記積み重ね方向(18)において、互いに支持されており、
内部に前記各スタック(28)が設けられ、かつ、二つの、互いに挿入されたハウジング部(31、32)を有するハウジング(30)が配置されるとともに、前記ハウジング部(31、32)を介して、前記荷重力(29)が、前記各スタック(28)に加えられるように、配置可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転送装置。
【請求項5】
流れ方向に垂直な前記各冷管(3)は、前記ハウジング(30)に、横方向に接触し、および/または、
前記流れ方向に垂直な前記各フレーム(25)は、前記ハウジング(30)に、横方向に接触し、および/または、
前記流れ方向に垂直な前記各熱管(2)は、前記ハウジング(30)から、横方向に離間していることを特徴とする請求項4に記載の熱転送装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の熱転送装置(1)の組立て方法であって、
前記各管(2、3)、および、前記各熱電発電機(4)が、その間に配置された形状体(17)と、互いに、積み重ねられたスタック(28)を組み立てるステップと、
前記ハウジング(30)内に前記スタック(28)を収容するステップと、を有することを特徴とする組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より好ましくは燃焼機関(好適には動力車)の排気システム用熱転送装置に関する。また、本発明は、このような熱転送装置の組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱転送装置は、通常、熱を含んでいるか、または、熱を放出する流体を移送するための、少なくとも一つの熱管、ならびに、熱を吸収する流体を移送するための、少なくとも一つの冷管を有している。これらの管は、熱を転送すべく、互いに接続され、熱を、熱管の流体から、冷管の流体に転送することが可能である。
【0003】
基本的に、この場合、熱管と、冷管との間に、少なくとも一つの熱電発電機を配置し、これにより、熱流、または、温度差から電気エネルギを生成することが可能である。このような熱電発電機は、ペルチエ素子に対応する。ペルチエ素子、つまり、熱電発電機は、TEGとも呼び、ペルチエ効果を利用することにより、電圧差から熱流が生成される。このペルチエ効果の逆がゼーベック効果であり、これは、温度差から電流を生成する。また、TEG、つまり、ペルチエ素子として、さまざまなエネルギ・レベルの半導体が用いられている。
【0004】
燃焼機関の排気ガスには、通常、多量の無駄な熱が発生するので、少なくとも一つのTEGが組み込まれた、このような熱転送装置を用いることによって、エネルギを、熱や、電流の形で取り戻すことが可能である。このエネルギは、燃焼機関の他の場所、または、この燃焼機関が取り付けられた動力車の他の場所で利用し、各システムの全体効率を向上することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の問題に対処し、このような熱転送装置、または、関連する製造方法のために、改良された、または、少なくとも一つの他の実施形態を提供するものであり、これにより、より好ましくは、前記熱転送装置の効率を向上するか、または、前記熱転送装置の製造方法を容易にすることを特徴としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上述の問題は独立請求項の主題によって解決される。他の好適な実施形態は従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、前記各TEGと、前記各管との間に、熱伝導材を配置し、この熱伝導材により、前記各TEGと、前記各管との間の熱の転送を向上させるという一般的な考えに基づいている。熱の転送効率が向上すると、熱流、および、最終的には、前記各TEGの熱い側と、冷たい側との間の温度差を高める。前記各TEGにより生成される電流は温度差に依存するので、温度差が高いと、大きな電流が生成される。
【0008】
前記各熱伝導材が形状体として形成される特別な実施形態は、特に好適である。このような熱伝導材で製造された形状体を使用することにより、先ず、一方では、前記各管への、また、他方では、前記TEGへの、前記熱伝導材の幾何学的な適応が向上する。幾何学的な適応が向上すると、大きな面積で、特に、連続して接触することになり、これは、熱転送を向上させる。他方、前記各TEGを、前記各管に対して、相対的に位置決めを行うか、これとは逆の位置決めを行うために成形された形状体を使用することが可能であり、これは、特に、製造の場合、つまり、前記熱転送装置の組立ての場合に、好適である。例えば、幾つかの冷管、熱管、および、熱電発電機は、前記形状体によって、より容易に、互いに積み重ねられ、これは、前記製造工程時における、前記個々の部品の取り扱いを容易にする。
【0009】
その上、このような形状体を使用することにより、前記各部品の積み重ね方向における押圧力を、比較的、高く選択することが可能であることは明らかである。一方で、前記形状体を、各管、および、前記各TEGに、幾何学的に適用することにより、面押圧が一様になり、これは、前記個々の部品への負荷を、均一にし、かつ、軽減する。他方、前記個々の部品相互の位置固定、または、位置決めが、前記形状体によって向上することにより、押圧力が高い場合でも、安定した接続が保証され、これは、より好ましくは、構成によっては、押圧力が高くなるにつれて、より安定することさえも可能である。
【0010】
前記各TEGが、前記各形状体によって、前記各管に関し、所定位置に保持される実施形態は、特に、好適である。この設計は、これにより、各形状体の固定効果、または、保持効果を向上させる。これは、例えば、一方で、前記各TEG、他方で、前記各管に対応して、前記各形状体を相補的に成形することにより、実現可能である。
【0011】
他の好適な実施形態によれば、前記各形状体に、少なくとも一つの凸部、または、凹部を形成することが可能で、前記凸部、または、凹部は、前記各TEG、または、前記各管に形成された、相補的な凹部、または、凸部と協働する。このような凸部は、例えば、ビーズを線状に形成するか、または、突起を点状に形成することにより得られる。これに対応する相補的な凹部は、適合する対応ビーズ、または、対応突起として形成される。この場合、任意の数のビーズ、および、突起を、互いに組み合わせることが可能であることは明らかである。同様に、様々な寸法のビーズ、または、突起も可能である。
【0012】
このような協働する、特に互いに係合する凸部、および、凹部を使用することにより、前記各形状体と前記各TEGとの間、または、前記各形状体と前記各管との間の位置決めが行われ、形状が決まる。この場合、前記形状決定位置決めは、互いに積み重なっている部品の、積み重ね方向に垂直に行われる。
【0013】
前記各凸部、凹部、幾つかの凸部または凹部より成る、凸状部または凹状部は、前記各TEG、または、幾つかのTEG素子により構成されたTEGの、少なくとも一つの熱電発電機を、横から囲むことが可能である。これにより、前記積み重ね方向に垂直な、前記TEGの前記形状決定位置決めが、全方向において実現される。
【0014】
他の好適な実施形態によれば、各形状体は、前記各TEG、または、少なくとも一つのTEG素子を、少なくとも部分的に囲むリムを有することが可能である。また、このようなリムにより、前記各TEG、または、前記各管に対する、前記各形状体の、効果的な形状決定位置決めを、前記積み重ね方向に対して、垂直方向に実現することが可能である。
【0015】
他の実施形態では、前記各TEGを横から囲む、少なくとも一つのフレームを、他の構成要素として形成することが可能である。特に、前記TEGが、隣接して配置された、幾つかのTEG素子より成る場合、このようなフレームは、組立て時において、かつ、完成した熱転送装置内での、前記TEGの位置決め、および、取り扱いを容易にする。
【0016】
さらに好適な構成によれば、前記各形状体は、前記各フレームに支持されることにより、前記熱転送装置の構造内で、さらに安定性を得ることが可能である。
【0017】
前記各TEG、または、前記各TEG素子を電気接続するための電線を、前記各形状体内に組み込むことは、特に、実用的である。これにより、前記各形状体は、前記熱転送装置内における、各TEGの電気接続を容易にするという、機能をさらに得ることになる。特に、前記熱転送装置内に、電線をさらに設けることが不要になる。
【0018】
前記各形状体は、安定した形状に形成するか、および/または、弾性的に形成し、前記各管、または、前記各TEGに貼り付けることが可能である。前記形状体を構成する前記熱伝導材は、電気的に絶縁して形成することが可能である。さらに、前記熱伝導材は、複合材料で製造する場合、基材として、グラファイトを有することが可能である。同様に、前記熱伝導材は、完全に、グラファイトで形成することが可能である。
【0019】
本発明の他の重要な特徴および効果は、従属請求項、図面、および図面に基づく説明より明らかになる。
【0020】
前述した特徴、および以下に述べる特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、記載している各組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせ、あるいは、単独で利用できることは明白である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、前記の問題に対処し、このような熱転送装置、または、関連する製造方法のために、改良された、または、少なくとも一つの他の実施形態を提供することができ、これにより、より好ましくは、前記熱転送装置の効率を向上するか、または、前記熱転送装置の製造方法を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】熱転送装置の断面図である。
図2】熱電発電機の領域内における熱転送装置の断面図である。
図3】熱電発電機の部分上面図である。
図4】フレーム付きの熱電発電機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施例は図示されるとともに、以下に、詳細に説明されるが、同一か、類似しているか、または、機能的に同一の構成要素は同一の参照符号で示す。
【0024】
以下の図面は、それぞれ、概略を示している。図1は、熱転送装置の断面図である。図2は、熱電発電機の領域内における熱転送装置の断面図である。図3は、熱電発電機の部分上面図である。図4は、フレーム付きの熱電発電機の斜視図である。
【0025】
図1では、断面図で示す熱転送装置1は、少なくとも1本の熱管2、および、少なくとも1本の冷管3を含んでいる。この例で示す熱転送装置1は、3本の熱管2、および、4本の冷管3を有している。前記熱管2は、前記熱転送装置1の稼動中に、熱を含んでいるか、または、熱を放出する流体を移送し、前記冷管3は、前記熱転送装置1の稼動中に、熱を吸収する流体を移送する。
【0026】
さらに、ここで示す熱転送装置1は、以降、TEG4とも呼ぶ、少なくとも1個の熱電発電機4を有している。この例では、6個の、このようなTEG4が配置されている。前記各TEG4は、温度差、または、熱流から、電気エネルギ、または、電流を生成する。また、前記各TEG4は、熱管2と、冷管3との間に配置されている。
【0027】
前記熱転送装置1は、例えば、図1において左側に示す、燃焼機関6の排気システム5に内蔵することが可能で、より好ましくは、車両内に配置することが可能である。例えば、排気システム5は、燃焼機関6からの高温の排気ガスを、流入矢印7に沿って、熱転送装置1まで移送し、前記排気ガスは、熱管2を通って流れる。逆流矢印8で示すように、場合によっては、冷却された排気ガスは、熱転送装置1の熱管2から戻って来て、排気システム5内に流入する。燃焼機関6は、加えて、新鮮空気システム9を有し、また、冷却回路10を備えることが可能である。例えば、熱転送装置1は、この冷却回路10に内蔵することも可能である。前方向矢印11で示すように、流動性の冷却材を、熱転送装置1の冷管3に移送することが可能である。逆方向矢印12で示すように、場合によっては、加熱された冷却材を、熱転送装置1の冷管3から、冷却回路10内に逆移送することが可能である。これにより、例えば、燃焼機関6の冷却開始時、および/または、周囲温度が低い場合、熱を、冷却回路10内に取り入れ、燃焼機関6を稼動温度に上昇させるか、または、維持することが可能である。これに加えて、または、代わりに、熱転送装置1は、冷管3とともに、任意の他の冷却回路内、または、加熱回路(例えば車両の室内暖房用の加熱回路)内に、内蔵することも可能である。
【0028】
TEG4は、燃焼機関6の電気負荷13、または、これを備えた車両に、電気的に接続可能である。対応する電気接続線は、この場合、符号14で示す。電気負荷13は、変圧器、および、制御装置から成り、例えば、TEG4により得られた電気エネルギを、車両のバッテリに供給する。
【0029】
熱転送装置1の稼動中に、熱管2と、冷管3との間に温度差が生じ、これは、対応する矢印15で示すように、熱管2から冷管3までの熱流となり、各熱流15は、間に配置されたTEG4を通過する。この熱流15、または、その元になっている、熱線2と冷線3との間の温度差は、各TEG4内で電圧になり、これは、電流の形で取り出すことが可能である。熱流15を向上させるために、各TEG4は、熱伝導材16を介して、各管2,3と接触している。各熱伝導材16は、ここで示す熱転送装置1では、形状体17として形成されている。
【0030】
各形状体17は、図2および3では、各TEG4を、各管2または3に関し、所定位置に保持するように形成することが可能である。この位置決めは、この場合、図1および2に二重矢印で示す積み重ね方向18に対して垂直に行われ、この矢印方向において、個々の管2,3、TEG4、および、形状体17は、熱転送装置1の内部で、互いに積み重ねられるか、または、互いに上下に配置されている。
【0031】
この位置決め機能を実現するために、図2および3では、各形状体17に、少なくとも1個の凸部19が形成され、これに対して相補的に、各TEG4、または、例示しているように、各管2または3に、適合する凹部20が形成されている。凸部19は、対応する凹部20に係合して、積み重ね方向18において形状を決め、これによって、積み重ね方向18に垂直に、所望の形状決定位置決めが実現する。前記各凸部19は、例えば線状に、例えばビーズによって実現することが可能である。同様に、各凸部19は、点状に、例えば突起として形成することが可能である。基本的に、ビーズと突起を任意に組み合わせて配置し、凸状部21を形成することが可能であることは明確である。同様の事は、相補的に形成された凹部20にも当てはまり、したがって、対応ビーズ、または、対応突起として形成可能で、任意に組み合わせて、凹状部22を構成することが可能である。
【0032】
図2に示す実施形態では、凸部19は形状体17に形成され、各管2または3には、それに適合する凹部20が形成されているが、他の実施形態では、各形状体17に凹部20を設け、これに適合する凸部19を、各管2または3、あるいは、各TEG4に形成することも可能である。同様に、形状体17に設けた凸部19および凹部20を組み合わせて、これに対応する、各管2または3、あるいは、各TEG4に設けた凹部20または凸部19に接続することも考えられる。
【0033】
図3に示すように、幾つかの凸部19から成る凸状部21、および/または、幾つかの凹部20から成る凹状部22を配置する場合、各凸状部21または凹状部22は、各熱電発電機4を横から、つまり、積み重ね方向18に対して垂直方向に囲むように構成することが可能である。これに加えて、または、代わりに、以降、TEG素子23とも呼ぶ熱電発電機素子23を、横から囲むように、各凸状部21または各凹状部22を、配置することが可能である。TEG4は、幾つかのTEG素子23により構成することが可能である。例えば、図4は一つの実施形態を示し、この実施形態では、個々のTEG4が、全部で12個のTEG素子で構成されている。個々のTEG素子23は、この場合、積み重ね方向18に垂直で、互いに線状に伸びている。その数は、熱転送装置1に用いられている管2、3の長さによって決まる。
【0034】
凸状部21、または、凹状部22の構造を図示するために、図3には、形状体17は示していない。
【0035】
図2によれば、形状体17は、形状体17の他の部分から、積み重ね方向18に突き出るリム24を有することが可能である。リム24は、この場合、各TEG4、または、少なくとも1個のTEG素子23を、横から、少なくとも部分的に囲むように位置決めされる。図2の例では、リム24は、TEG4またはTEG素子23を、二つの対向する長手側から囲んでいる。前記リム24は、凸部19または凹部20に加えて、または、代わりに、形成することが可能である。この例では、リム24は、TEG4または各TEG素子23を、形状体17に対して、横から、相対的に位置決めを行い、互いに協働する凸部19および凹部20は、各管2または3を、形状体17に対して相対的に位置決めしている。
【0036】
図4によれば、管2,3およびTEG4に加えて、少なくとも一つのフレーム25を、熱転送装置1に配置することが可能である。この場合、TEG4ごとに、そのようなフレーム25が存在することが実用的である。したがって、図1では、全部で6個の、このようなフレーム25を示している。各フレーム25は、横から、つまり、積み重ね方向18に対して垂直な方向から、各TEG4を囲んでいる。図4によれば、各TEG4のすべてのTEG素子23は、各フレーム25内で、互いに隣接して、直列に配置されていることが分かる。また、この配置により、TEG4またはそのTEG素子23に対して、図4に矢印26で示す位置決め効果が発生し、この位置決め効果の方向は、積み重ね方向18に対して垂直、管2,3の長手方向に対して垂直、したがって、各流体の流れ方向に対して垂直である。
【0037】
各形状体17は、実用的な実施形態によれば、組み立てられた状態で、各フレーム25に支持されるように構成することが可能である。このように、積み重ね方向18に対する、各形状体17による各TEG4の積み重ね方向18に対して垂直な位置決めは、フレーム25による位置決めを介して、間接的に実現することが可能である。例えば、フレーム25に形成された、相補的な凹部20または凸部19に係合する、凸部19または凹部20を、形状体17に形成することが可能である。
【0038】
図2によれば、適切な方法で、各TEG4または各TEG素子23の電気接触を可能にする電線27を、形状体17に組み込むことが可能である。例えば、各TEG4の個々のTEG素子23は、電気的に直列、かつ、電気的に並列に接続して、各TEG4を実現しなければならない。TEG素子23の各スイッチングは、この場合、線27を介して実現することが可能である。これにより、形状体17は、他の重要な機能、つまり、TEG素子23の電気的スイッチング機能を有することになる。その上、形状体17に組み込まれた線27により、熱転送装置1内における個々のTEG4の電気的スイッチングを、大幅に容易にすることが可能である。
【0039】
形状体17は、実用的には、構造的に安定して形成され、これにより、熱転送装置1の組立てフレーム内において、幾つかの管2、3および幾つかのTEG4を、形状体17により、確実に、積み重ねることが可能である。さらに、形状体17は、弾性的に形成されることにより、積み重ね方向18に並行に圧縮された場合、へ込んで、管2,3およびTEG4の外形に順応することが可能で、これにより、高強度の面接触が実現される。各形状体17は、各管2、3に貼り付けることが可能である。これに加えて、または、代わりに、各形状体17は、各TEG4またはそのTEG素子23に、貼り付けることが可能である。このような貼付けにより、組立て時の取り扱いを、容易にすることが可能である。
【0040】
各形状体17は、実用的には、その、各TEG4に対向する側において、各TEG4の、形状体17に対向する側に対して、相補的に形成される。これに加えて、または、代わりに、各形状体17は、その、各管2,3に対向する側において、各管2,3の、各形状体17に対向する側に対して、相補的に形成することが可能である。この相補的な形成により、大面積の接触が容易になり、これは、熱転送を向上させる。
【0041】
形状体17の製造に使用される熱伝導材16は、好適な実施形態では、電気的に絶縁することが可能である。熱伝導材16は、繊維により補強することが可能であり、例えば、ガラス繊維、または、グラファイト繊維を含むことが可能である。さらに、熱伝導材16として、幾つかの材料より成る複合材を用いることが可能である。例えば、この複合材の基材として、グラファイトを用いることが可能である。同様に、熱伝導材16は、グラファイトのみ、つまり、完全に、グラファイトで製造することが可能である。
【0042】
図1によれば、管2、3、形状体17、および、TEG4は、積み重ね方向18において、スタック28を構成している。好適な実施形態では、スタック28の個々の部品、つまり、スタック28内の管2,3、TEG4、および、形状体17は、図1に矢印で示す荷重力29により、互いに予荷重を受けている。この予荷重は、この場合、積み重ね方向18に並行である。
【0043】
熱転送装置1は、図1によれば、2個のハウジング部31および32より成る、ハウジング30を有している。図1では、鉢形状、または、断面U形状のハウジング上部31、および、鉢形状、または、断面U形状のハウジング下部32が認識できる。両方のハウジング部31,32は、矢印33に沿って、互いに挿入されている。この挿入方向33は、この場合、積み重ね方向18に並行である。スタック28は、ハウジング30内、つまり、両方のハウジング部31、32内に配置されている。荷重力29は、ハウジング部31、32を介して、スタック28に加えられる。
【0044】
図1に示す実施形態では、冷管3は、流れ方向に対して垂直、かつ、積み重ね方向18に対して垂直な横方向において、ハウジング30に接触するように寸法が決められている。また、この場合、フレーム25も、流れ方向に対して垂直、かつ、積み重ね方向18に対して垂直な横方向において、ハウジング30に接触するように寸法が決められている。これに対して、熱管2は、この場合、流れ方向に対して垂直、かつ、積み重ね方向18に対して垂直な方向において、ハウジング30から離間するように寸法が決められている。この場合、各熱管2と、ハウジング30との間に、隙間34が認識される。この隙間34によって、熱転送装置1の稼働中に熱管2が熱膨張することに基づいて発生する、ハウジング30内の熱応力を回避することが可能である。
【0045】
ここで紹介した熱転送装置1は、好適な製造方法によって、次のように組み立てることが可能である。
【0046】
先ず、スタック28を組み立てて、その中に、各管2、3、および、各TEG4が、その間に配置された形状体7により、互いに、積み重ねられる。このスタック28はハウジング30内に収容される。この場合、スタック28を、ヘウジング30内、または、少なくとも一つのハウジング部31、32内に、前もって組立てておくことが、基本的に可能である。
【0047】
ハウジング30内にスタック28を収容した後、ハウジング部31、32は積み重ね方向18に予荷重を受け、スタック28内に荷重力29が発生する。荷重を受けた状態で、ハウジング部31、32間の相対位置が固定される。この位置固定は、例えば、少なくとも一つのハウジング部31、32を囲む、固定ストラップにより実現することが可能である。これに加えてまたは代わりに、この位置固定は、固定によって実現することが可能であり、これは、両方のハウジング部31、32を、相対位置に、互いに固定する。例えば、ハウジング部31、32は、互いに溶接することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 熱転送装置
2 熱管
3 冷管
4 熱電発電機
5 排気システム
6 燃焼機関
7 流入方向
8 逆流方向
9 新鮮空気システム
10 冷却回路
11 前方向
12 逆方向
13 電気負荷
14 電気接続線
15 熱流
16 熱伝導材
17 形状体
18 積み重ね方向
19 凸部
20 凹部
21 凸状部
22 凹状部
23 熱電発電機素子
24 リム
25 フレーム
26 位置決め効果の方向
27 電線
28 スタック
29 荷重力
30 ハウジング
31、32 ハウジング部
33 挿入方向
34 隙間
図1
図2
図3
図4