特許第5785909号(P5785909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5785909製品設計情報検索システム、製品設計情報検索方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785909
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】製品設計情報検索システム、製品設計情報検索方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20150910BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20150910BHJP
【FI】
   G06F17/30 340Z
   G06F17/30 170Z
   G06Q50/04
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-140157(P2012-140157)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-6592(P2014-6592A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(72)【発明者】
【氏名】白坂 貴成
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】内藤 豪是
【審査官】 野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−122614(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0203869(US,A1)
【文献】 特開平05−287342(JP,A)
【文献】 特開2007−213525(JP,A)
【文献】 特開平07−129644(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02138971(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06Q 50/04
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の要求仕様の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索する第1検索手段と、
前記第1検索手段によって検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示する表示部と、
前記表示部によって表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索する第2検索手段と、
前記表示部によって表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索する第3検索手段と、
を備え、
前記表示部は、表示された製品種が選択された場合に、表示された製造仕様を前記第2検索手段によって検索された製造仕様に更新し、表示された製造仕様が選択された場合に、表示された製品種を前記第3検索手段によって検索された製品種に更新するように構成されている、
製品設計情報検索システム。
【請求項2】
過去に製造した製品の製品種及び製造仕様を対応付けて記憶する設計実績情報記憶部をさらに備え、
前記第2検索手段は、選択された製品種に対応する製造仕様を前記設計実績情報記憶部から検索するように構成されている、
請求項1に記載の製品設計情報検索システム。
【請求項3】
前記第3検索手段は、選択された製造仕様に対応する製品種を前記設計実績情報記憶部から検索するように構成されている、
請求項2に記載の製品設計情報検索システム。
【請求項4】
製品種が属するグループを製品種毎に記憶する製品種グループ記憶部をさらに備え、
前記第3検索手段は、前記設計実績情報記憶部から検索された製品種と同一グループに属する製品種を前記製品種グループ記憶部から検索するように構成されている、
請求項3に記載の製品設計情報検索システム。
【請求項5】
過去に実施した製品の設計における顧客の要求仕様及び前記要求仕様に対して適用された製品種を記憶する製品種実績記憶部をさらに備え、
前記第1検索手段は、前記入力部に入力された要求仕様と同一又は類似の要求仕様に対して適用された製品種を前記製品種実績記憶部から検索するように構成されている、
請求項1乃至4の何れかに記載の製品設計情報検索システム。
【請求項6】
前記表示部には、製品種が指定可能な状態で表示されており、
前記表示部によって表示された製品種が指定された場合に、指定された製品種を、前記入力部に入力された要求仕様と対応付けて、前記製品種実績記憶部に登録する製品種登録手段をさらに備える、
請求項5に記載の製品設計情報検索システム。
【請求項7】
過去に実施した製品の設計における顧客の要求仕様及び前記要求仕様に対して適用された製造仕様を記憶する製造仕様実績記憶部をさらに備え、
前記第1検索手段は、前記入力部に入力された要求仕様と同一又は類似の要求仕様に対して適用された製造仕様を前記製造仕様実績記憶部から検索するように構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の製品設計情報検索システム。
【請求項8】
前記表示部には、製造仕様が指定可能な状態で表示されており、
前記表示部によって表示された製造仕様が指定された場合に、指定された製造仕様を、前記入力部に入力された要求仕様と対応付けて、前記製造仕様実績記憶部に登録する製造仕様登録手段をさらに備える、
請求項7に記載の製品設計情報検索システム。
【請求項9】
顧客の要求仕様の入力を受け付けるステップと、
入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索するステップと、
検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示するステップと、
表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索するステップと、
表示された製造仕様を検索された製造仕様に更新するステップと、
表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索するステップと、
表示された製品種を検索された製品種に更新するステップと、
を有する、
製品設計情報検索方法。
【請求項10】
入力部と、表示部とを備えるコンピュータに、製品の設計に関する情報を検索させるためのコンピュータプログラムであって、
前記入力部が、顧客の要求仕様の入力を受け付けるステップと、
入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索するステップと、
前記表示部が、検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示するステップと、
表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索するステップと、
前記表示部が、表示された製造仕様を検索された製造仕様に更新するステップと、
表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索するステップと、
前記表示部が、表示された製品種を検索された製品種に更新するステップと、
を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼材等の各種の製品の設計に関する情報を検索するための製品設計情報検索システム及び製品設計情報検索方法、並びにコンピュータに製品の設計に関する情報を検索させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の製品の設計業務においては、顧客から与えられた仕様(品質要求)を満足する適切な製品種及び製造方法を選択することが重要である。従来、かかる製品の設計を支援する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、鋼種(製品種)の機械試験特性及び製造条件の過去の実績情報をデータベースに蓄積しておき、入力された要求特性に適合する鋼種をデータベースから検索し、完全に適合する鋼種の情報が存在しない場合に、要求特性と各鋼種との類似度を求め、最も類似した鋼種の製造条件の実績情報を、新しい鋼種に関する製造条件設計の初期情報として設定することによりシミュレーションによって材質を予測する鋼板品質設計装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−287342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような鋼材の設計業務において、過去に前例のない新たな仕様が顧客から与えられた場合には、その実現可否判断及びコスト計算等の検討をする必要がある。この検討においては、顧客から与えられた仕様を満足する鋼種及び製造方法を推定することが必要である。上記の特許文献1に記載された鋼板品質設計装置では、入力された要求特性に完全に適合する鋼種の情報がデータベースに存在しない場合に、シミュレーションによる材質の予測が行われる。しかしながら、予測の精度が低ければ正確に仕様の実現可否判断及びコスト計算を行うことができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができる製品設計情報検索システム、製品設計情報検索方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の製品設計情報検索システムは、顧客の要求仕様の入力を受け付ける入力部と、前記入力部に入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索する第1検索手段と、前記第1検索手段によって検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示する表示部と、前記表示部によって表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索する第2検索手段と、前記表示部によって表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索する第3検索手段と、を備え、前記表示部は、表示された製品種が選択された場合に、表示された製造仕様を前記第2検索手段によって検索された製造仕様に更新し、表示された製造仕様が選択された場合に、表示された製品種を前記第3検索手段によって検索された製品種に更新するように構成されている。
【0007】
この態様において、前記製品設計情報検索システムは、過去に製造した製品の製品種及び製造仕様を対応付けて記憶する設計実績情報記憶部をさらに備え、前記第2検索手段は、選択された製品種に対応する製造仕様を前記設計実績情報記憶部から検索するように構成されていてもよい。
【0008】
また、上記態様において、前記第3検索手段は、選択された製造仕様に対応する製品種を前記設計実績情報記憶部から検索するように構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記製品設計情報検索システムは、製品種が属するグループを製品種毎に記憶する製品種グループ記憶部をさらに備え、前記第3検索手段は、前記設計実績情報記憶部から検索された製品種と同一グループに属する製品種を前記製品種グループ記憶部から検索するように構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記製品設計情報検索システムは、過去に実施した製品の設計における顧客の要求仕様及び前記要求仕様に対して適用された製品種を記憶する製品種実績記憶部をさらに備え、前記第1検索手段は、前記入力部に入力された要求仕様と同一又は類似の要求仕様に対して適用された製品種を前記製品種実績記憶部から検索するように構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記表示部には、製品種が指定可能な状態で表示されており、前記製品設計情報検索システムは、前記表示部によって表示された製品種が指定された場合に、指定された製品種を、前記入力部に入力された要求仕様と対応付けて、前記製品種実績記憶部に登録する製品種登録手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記製品設計情報検索システムは、過去に実施した製品の設計における顧客の要求仕様及び前記要求仕様に対して適用された製造仕様を記憶する製造仕様実績記憶部をさらに備え、前記第1検索手段は、前記入力部に入力された要求仕様と同一又は類似の要求仕様に対して適用された製造仕様を前記製造仕様実績記憶部から検索するように構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記表示部には、製造仕様が指定可能な状態で表示されており、前記表示部によって表示された製造仕様が指定された場合に、指定された製造仕様を、前記入力部に入力された要求仕様と対応付けて、前記製造仕様実績記憶部に登録する製造仕様登録手段をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の一の態様の製品設計情報検索方法は、顧客の要求仕様の入力を受け付けるステップと、入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索するステップと、検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示するステップと、表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索するステップと、表示された製造仕様を検索された製造仕様に更新するステップと、表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索するステップと、表示された製品種を検索された製品種に更新するステップと、を有する。
【0015】
また、本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、入力部と、表示部とを備えるコンピュータに、製品の設計に関する情報を検索させるためのコンピュータプログラムであって、前記入力部が、顧客の要求仕様の入力を受け付けるステップと、入力された要求仕様に基づいて、製品種及び製品の製造仕様を検索するステップと、前記表示部が、検索された製品種及び製造仕様のそれぞれを選択可能に表示するステップと、表示された製品種が選択された場合に、選択された前記製品種に基づいて、製造仕様を検索するステップと、前記表示部が、表示された製造仕様を検索された製造仕様に更新するステップと、表示された製造仕様が選択された場合に、選択された前記製造仕様に基づいて、製品種を検索するステップと、前記表示部が、表示された製品種を検索された製品種に更新するステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る製品設計情報検索システム、製品設計情報検索方法、及びコンピュータプログラムによれば、過去に前例のない新たな仕様が顧客から与えられた場合に、その正確な実現可否判断及びコスト計算等の材料となる情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る製品設計情報検索システムの全体構成を示す模式図。
図2】実施の形態に係る製品設計情報検索システムが備えるサーバ装置の構成を示すブロック図。
図3】鋼種選択実績データベースの一例を示す模式図。
図4】受注キー選択実績データベースの一例を示す模式図。
図5】設計実績データベースの一例を示す模式図。
図6】鋼種グループデータベースの一例を示す模式図。
図7】実施の形態に係るクライアント装置の構成を示すブロック図。
図8】引合情報の一例を示す模式図。
図9】実施の形態に係る製品設計情報検索システムの初期検索処理の手順を示すフローチャート。
図10】鋼種・受注キー一覧画面の一例を示す模式図。
図11】実施の形態に係る製品設計情報検索システムの受注キー対話検索処理の手順を示すフローチャート。
図12】実施の形態に係る製品設計情報検索システムの鋼種対話検索処理の手順を示すフローチャート。
図13】実施の形態に係る製品設計情報検索システムの鋼種・受注キー登録処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。また、以下に示す各実施の形態では鋼材を例に挙げて説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されるわけではなく、その他の素材製品等の各種の製品を適用対象とすることが可能である。
【0019】
[製品設計情報検索システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る製品設計情報検索システムの全体構成を示す模式図である。本製品設計情報検索システム1は、インターネット又はイントラネット等の情報ネットワークを使用したクライアントサーバシステムであり、サーバ装置2と、クライアント装置3とを備えている。サーバ装置2と、クライアント装置3との間は、情報ネットワーク5によりデータ通信可能に接続されている。
【0020】
<サーバ装置2の構成>
図2は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、コンピュータ2aによって実現される。図2に示すように、コンピュータ2aは、本体21と、画像表示部22と、入力部23とを備えている。本体21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hを備えており、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。
【0021】
CPU21aは、RAM21cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、製品設計情報検索システム1のサーバ用のコンピュータプログラム24aを当該CPU21aが実行することにより、コンピュータ2aがサーバ装置2として機能する。
【0022】
ROM21bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU21aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0023】
RAM21cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM21cは、ハードディスク21dに記録されているコンピュータプログラム24aの読み出しに用いられる。また、CPU21aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU21aの作業領域として利用される。
【0024】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。サーバ用のコンピュータプログラム24aも、このハードディスク21dにインストールされている。
【0025】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体24には、コンピュータをサーバ装置2として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されており、コンピュータ2aが当該可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、当該コンピュータプログラム24aをハードディスク21dにインストールすることが可能である。
【0026】
なお、前記コンピュータプログラム24aは、可搬型記録媒体24によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ2aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム24aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ2aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク21dにインストールすることも可能である。
【0027】
ハードディスク21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム24aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
また、ハードディスク21dには、鋼種選択実績データベース101、受注キー選択実績データベース102、設計実績データベース103、及び鋼種グループデータベース104が設けられている。
【0029】
ここで、製品設計情報検索システム1で用いられる情報について説明する。鋼材の設計は、顧客の要求仕様(引合情報)に基づいて行われる。図8は、引合情報を示す模式図である。図8に示すように、引合情報には、受注キーと要求スペックとが含まれる。受注キーには、規格、寸法、需要家情報(顧客を特定する情報)が含まれる。また、要求スペックには、炭素含有量、焼き入れ性を示すジョミニー試験値、強度等の情報が含まれる。ここで規格とは、JIS規格等の標準化規格に規定される鋼種に相当し、例えばS45C、SS400等がある。また、本明細書にいう製品種である鋼種とは、規格からさらに細分化される鋼材の種類を示す情報であり、鋼材製造業者によって規定された情報である。即ち、規格の中には1又は複数の鋼種が属する。
【0030】
ここでいう「受注キー」とは、製品の製造方法を識別するための情報である。引合情報に含まれる受注キーは、引合受注キーと呼ばれ、顧客の要求仕様を反映した受注キーであり、また顧客の要求する仕様の製品の製造方法を識別するための受注キーでもある。かかる引合情報を満足する製品を製造するために、製品の鋼種、及び製造に用いられる受注キー(以下、「選択受注キー」という。)が選択される。選択受注キーは、引合情報を満足する製品の製造方法を識別するための受注キーである。
【0031】
図3は、鋼種選択実績データベース101の一例を示す模式図である。鋼種選択実績データベース101は、過去に需要家から受けた引合情報に含まれる規格である引合規格と、この引合規格に対して選択された鋼種とを格納するためのテーブルである。かかる鋼種選択実績データベース101には、過去の引合受注キーに含まれる規格を格納するためのフィールド101aと、選択された鋼種を格納するためのフィールド101bとを含んでいる。
【0032】
図4は、受注キー選択実績データベース102の一例を示す模式図である。受注キー選択実績データベース102は、過去に需要家から受けた引合情報に含まれる引合受注キーと、この引合受注キーに対応する選択受注キーとを格納するためのテーブルである。かかる受注キー選択実績データベース102は、過去の引合受注キーに含まれる規格を格納するためのフィールド102aと、引合受注キーに含まれる寸法を格納するためのフィールド102bと、引合受注キーに含まれる需要家情報を格納するためのフィールド102cと、選択受注キーに含まれる規格を格納するためのフィールド102dと、選択受注キーに含まれる寸法を格納するためのフィールド102eと、選択受注キーに含まれる需要家情報を格納するためのフィールド102fとを含んでいる。
【0033】
図5は、設計実績データベース103の一例を示す模式図である。設計実績データベース103は、過去の選択受注キーと、この選択受注キーから決定された鋼材の製造方法の情報とを格納するためのテーブルである。かかる設計実績データベース103は、過去の選択受注キーに含まれる規格を格納するためのフィールド103aと、選択受注キーに含まれる寸法を格納するためのフィールド103bと、選択受注キーに含まれる需要家情報を格納するためのフィールド103cと、鋼材の製造方法に含まれる鋼種を格納するためのフィールド103pと、鋼材の加工方法に含まれる加熱温度を格納するためのフィールド103qと、鋼材の加工方法に含まれる圧延速度を格納するためのフィールド103rと、鋼材の加工方法に含まれる冷却条件を格納するためのフィールド103sとを含んでいる。
【0034】
図6は、鋼種グループデータベース104の一例を示す模式図である。鋼種グループデータベース104は、鋼種と、鋼種が属するグループのグループIDとを格納するためのテーブルである。かかる鋼種グループデータベース104は、鋼種を格納するためのフィールド104aと、鋼種のグループIDを格納するためのフィールド104bとを含んでいる。
【0035】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザが当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2aにデータを入力することが可能である。
【0036】
通信インタフェース21gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gはLANを介してクライアント装置3に接続されている。コンピュータ2aは、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたクライアント装置3との間でデータの送受信が可能である。
【0037】
画像出力インタフェース21hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部22に出力するようになっている。画像表示部22は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0038】
<クライアント装置3の構成>
図7は、本実施の形態に係るクライアント装置3の構成を示すブロック図である。クライアント装置3は、コンピュータ3aによって実現される。図7に示すように、コンピュータ3aは、本体31と、画像表示部32と、入力部33とを備えている。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hを備えており、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。
【0039】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。クライアント用のコンピュータプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0040】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータをクライアント装置3として機能させるためのコンピュータプログラム34aが格納されており、コンピュータ3aが当該可搬型記録媒体34からコンピュータプログラム34aを読み出し、当該コンピュータプログラム34aをハードディスク31dにインストールすることが可能である。
【0041】
なお、前記コンピュータプログラム34aは、可搬型記録媒体34によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ3aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム34aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ3aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0042】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム34aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0043】
なお、クライアント装置3のその他の構成は、上述したサーバ装置2の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0044】
[製品設計情報検索システムの動作]
以下、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1の動作について説明する。
【0045】
鋼材の設計業務を開始するとき、需要家(顧客)の鋼材の要求仕様である引合情報が与えられる(図8参照)。このような引合情報が与えられ、鋼材の設計を開始する場合に、設計者は本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1に、以下のような初期検索処理を実行させ、引合情報に基づいて鋼種及び選択受注キーを検索させる。図9は、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1の初期検索処理の手順を示すフローチャートである。設計者(オペレータ)は、クライアント装置3の入力部33を操作して、与えられた引合情報をクライアント装置3に入力する。クライアント装置3のCPU31aは、引合情報の入力を受け付け(ステップS101)、当該引合情報をサーバ装置2へ送信する(ステップS102)。
【0046】
サーバ装置2のCPU21aは、引合情報を受信すると、引合情報と類似する鋼種及び選択受注キーを、鋼種選択実績データベース101及び受注キー選択実績データベース102から検索する(ステップS103)。ここで、ステップS103の処理について詳細に説明する。ステップS103では、引合情報に含まれる規格と同一又は最も近似した引合規格を有するレコードが鋼種選択実績データベース101から検索される。例えば、図8に示される引合情報が入力された場合を考える。この場合の引合情報に含まれる規格は“AAA”である。図3に示す鋼種選択実績データベース101には、この規格“AAA”と同一の規格“AAA”を有するレコードが2つ存在するので、これらの2つのレコードのそれぞれに含まれる選択鋼種“○○○”及び“△△△”が、引合情報と類似する鋼種として検索される。また、ステップS103では、入力された引合情報に含まれる引合受注キーと同一又は最も近似した過去の引合受注キーを有するレコードが受注キー選択実績データベース102から検索される。図8に示される引合情報には、規格“AAA”、寸法“20”、及び需要家情報“XYZ”を有する引合受注キーが含まれている。他方、図4に示す受注キー選択実績データベース102には、規格“AAA”、寸法“21”、及び需要家情報“XYZ”を含む過去の引合受注キーを有するレコードが2つ存在する。入力された引合受注キーと、これらの2つのレコードに含まれる引合受注キーとは、規格及び需要家のデータが一致しており、寸法のデータが相違している。このように、登録されている過去の引合受注キーと、入力された引合受注キーとが一部において一致している場合には、両者は類似していると判断される。また、一致している項目の数が多いほど類似度が高く判断される。この他にも、例えば、一致している項目によって類似度に差を設けてもよい(例えば、「規格」で一致している場合の方が「寸法」で一致している場合よりも類似度を高くする等)。引合受注キーの項目「規格」、「寸法」、及び「需要家」の全てについて一致している場合には、両引合受注キーは同一と判断される。このようにして、入力された引合受注キーと同一又は最も類似した過去の引合受注キーを有するレコードが受注キー選択実績データベース102から抽出され、当該レコードに含まれる選択受注キーが、引合情報と類似する選択受注キーとして検索される。図4に示す例では、規格“AAA”及び需要家“XYZ”を有する引合受注キーを含む2つのレコードが抽出され、これらのレコードに含まれる選択受注キー(規格“AAB”、寸法“21”、需要家“XYZ”を有する選択受注キー、及び規格“AAC”、寸法“25”、需要家“XXY”を有する選択受注キー)が検索結果として取得される。
【0047】
次に、CPU21aは、ステップS103における検索結果のデータをクライアント装置3へ送信し(ステップS104)、処理を終了する。クライアント装置3のCPU31aは、検索結果データを受信すると、この検索結果に基づいて、鋼種・受注キー一覧画面を画像表示部32に表示し(ステップS105)、処理を終了する。
【0048】
ここで、鋼種・受注キー一覧画面について説明する。図10は、鋼種・受注キー一覧画面の一例を示す模式図である。図10に示すように、鋼種・受注キー一覧画面Dにおいては、検索された鋼種の一覧が示される鋼種リストL1と、検索された選択受注キーの一覧が示される選択受注キーリストL2とが設けられている。
【0049】
鋼種リストL1には、検索結果の一又は複数の鋼種がリスト表示される。表示される各鋼種名は、マウスによるクリック操作等によって選択可能とされている。鋼種が選択されると、選択された鋼種を検索キーとして、サーバ装置2に選択受注キーの検索が指示される。つまり、鋼種リストL1に表示される鋼種のリストは、検索結果としてだけではなく、選択受注キーの検索条件としても用いられる。
【0050】
各検索結果の鋼種名の左方には、チェックボックスC11,C12が設けられている。チェックボックスC11,C12を選択すると、選択されたチェックボックスにチェックマークが表示される。このように、オペレータは、チェックボックスC11,C12を選択することで、選択されたチェックボックスに対応する鋼種を指定することができる。
【0051】
選択受注キーリストL2には、検索結果の一又は複数の選択受注キーがリスト表示される。表示される各選択受注キーは、マウスによるクリック操作等によって選択可能とされている。選択受注キーが選択されると、選択された選択受注キーを検索キーとして、サーバ装置2に鋼種の検索が指示される。つまり、選択受注キーリストL2に表示される選択受注キーのリストは、検索結果としてだけではなく、鋼種の検索条件としても用いられる。
【0052】
各検索結果の選択受注キーの左方には、チェックボックスC21,C22が設けられている。チェックボックスC21,C22を選択すると、選択されたチェックボックスにチェックマークが表示される。このように、オペレータは、チェックボックスC21,C22を選択することで、選択されたチェックボックスに対応する選択受注キーを指定することができる。
【0053】
また、鋼種・受注キー一覧画面Dには、選択ボタンC3が設けられている。この選択ボタンC3は、マウスのクリック操作などにより選択することが可能なグラフィカルユーザインタフェースコンポーネント(ボタンコントロール)である。鋼種リストL1に表示されている1つの鋼種、及び、選択受注キーリストL2に表示されている1つの選択受注キーのそれぞれが指定されている状態で、かかる選択ボタンC3が選択されると、指定された鋼種及び選択受注キーの鋼種選択実績データベース101及び受注キー選択実績データベース102への登録がサーバ装置2に指示される。
【0054】
かかる鋼種・受注キー一覧画面において表示されている鋼種が選択されると、以下のような受注キー対話検索処理が実行される。以下、受注キー対話検索処理について説明する。
【0055】
図11は、受注キー対話検索処理の手順を示すフローチャートである。オペレータは、クライアント装置3の入力部33を操作して、鋼種・受注キー一覧画面に表示されている鋼種の1つを選択する。クライアント装置3のCPU31aは、鋼種の選択を受け付け(ステップS201)、当該鋼種の情報を含む検索指示データをサーバ装置4へ送信する(ステップS202)。
【0056】
サーバ装置2のCPU21aは、検索指示データを受信すると、検索指示データに含まれる鋼種を検索キーとして、設計実績データベース103から選択受注キーを検索する(ステップS203)。ここで、ステップS203の処理について詳細に説明する。ステップS203の処理では、検索指示データに含まれる鋼種に対応する選択受注キーが検索される。つまり、検索指示データに含まれる鋼種と同一の鋼種を有するレコードが設計実績データベース103から抽出され、当該レコードに含まれる選択受注キーの情報(規格、寸法、及び需要家情報)が取得される。例えば、鋼種・受注キー一覧画面において鋼種“○○○”が選択された場合には、図5において、鋼種“○○○”を含む3つのレコードが抽出され、これらのレコードに含まれる選択受注キー(規格“AAB”、寸法“21”、需要家“XYZ”を有する選択受注キー、規格“AAC”、寸法“25”、需要家“XXY”を有する選択受注キー、及び規格“CCD”、寸法“21”、需要家“XYZ”を有する選択受注キー)が検索結果として取得される。
【0057】
次に、CPU21aは、ステップS203における検索結果のデータをクライアント装置3へ送信し(ステップS204)、処理を終了する。クライアント装置3のCPU31aは、検索結果データを受信すると、この検索結果に基づいて、画像表示部32に表示されている鋼種・受注キー一覧画面Dの選択受注キーリストL2に示される選択受注キーを、検索結果に含まれる選択受注キーに更新し(ステップS205)、処理を終了する。
【0058】
このようにして、鋼種・受注キー一覧画面において選択受注キーが更新されると、オペレータは新たな選択受注キーを鋼種の検索キーとして選択できるようになる。例えば、初期表示された鋼種・受注キー一覧画面に含まれる選択受注キーリストと、鋼種が選択されて更新された選択受注キーリストとは異なる場合がある。また、選択する鋼種に応じて、検索結果として表示される選択受注キーは決定されるため、選択する鋼種を変化させれば、これに応じて選択受注キーリストが変化する。例えば、上記のように鋼種“○○○”が選択された場合には、規格“AAB”、寸法“21”、需要家“XYZ”を有する選択受注キー、規格“AAC”、寸法“25”、需要家“XXY”を有する選択受注キー、及び規格“CCD”、寸法“21”、需要家“XYZ”を有する選択受注キーの3つが選択受注キーリストに表示される。他方、鋼種“△△△”が選択されると、規格“BBD”、寸法“30”、需要家“ZZZZ”を有する1つの選択受注キーが選択受注キーリストに表示される。したがって、オペレータは、鋼種“○○○”を選択した結果表示される選択受注キーリストに、顧客から要望されている鋼材の設計に役立つ選択受注キーがない場合には、鋼種“△△△”を選択することで、選択受注キーリストの内容を変化させ、新たな選択受注キーを探すことができる。また、選択する鋼種を変化させることで、鋼種の検索条件である選択受注キーリストが変化するため、かかる選択受注キーリストから、新たな検索キーとしての選択受注キーを選択することが可能となり、鋼種検索の幅が広がる。
【0059】
また、鋼種・受注キー一覧画面において表示されている選択受注キーが選択されると、以下のような鋼種対話検索処理が実行される。以下、鋼種対話検索処理について説明する。
【0060】
図12は、鋼種対話検索処理の手順を示すフローチャートである。オペレータは、クライアント装置3の入力部33を操作して、鋼種・受注キー一覧画面に表示されている選択受注キーの1つを選択する。ここで、本実施の形態にかかる製品設計情報検索システム1においては、選択受注キーに含まれる規格の情報を選択可能となっている。つまり、図10に示す例では、選択受注キーリストL2に表示される規格“AAB”及び“AAC”を選択可能である。
【0061】
クライアント装置3のCPU31aは、規格の選択を受け付け(ステップS301)、当該規格の情報を含む検索指示データをサーバ装置4へ送信する(ステップS302)。
【0062】
サーバ装置2のCPU21aは、検索指示データを受信すると、検索指示データに含まれる規格の情報を検索キーとして、設計実績データベース103から鋼種を検索する(ステップS303)。ここで、ステップS303の処理について詳細に説明する。ステップS303の処理では、検索指示データに含まれる規格に対応する鋼種が検索される。つまり、検索指示データに含まれる規格と同一の規格を有するレコードが設計実績データベース103から抽出され、当該レコードに含まれる鋼種の情報が取得される。例えば、鋼種・受注キー一覧画面において規格“AAC”が選択された場合には(図10参照)、図5において、規格“AAC”を含む2つのレコードが抽出され、これらのレコードに含まれる鋼種“○○○”及び“△△△”が取得される。
【0063】
次に、CPU21aは、ステップS303において検索された結果の鋼種と同一グループの鋼種を、鋼種グループデータベース104から検索する(ステップS304)。図6に示す例で説明すると、ステップS303において検索された鋼種“○○○”のグループIDは“1”であり、同一グループに属する鋼種は“▽▽▽”である。また、ステップS303において検索された鋼種“△△△”のグループIDは“2”であり、同一グループに属する鋼種は“□□□”である。したがって、ステップS304の処理では、鋼種“○○○”、“▽▽▽”、“□□□”、“△△△”が検索結果として取得される。
【0064】
次に、CPU21aは、ステップS304における検索結果のデータをクライアント装置3へ送信し(ステップS305)、処理を終了する。クライアント装置3のCPU31aは、検索結果データを受信すると、この検索結果に基づいて、画像表示部32に表示されている鋼種・受注キー一覧画面Dの鋼種キーリストL1に示される鋼種を、検索結果に含まれる鋼種に更新し(ステップS306)、処理を終了する。
【0065】
このようにして、鋼種・受注キー一覧画面において鋼種が更新されると、オペレータは新たな鋼種を選択受注キーの検索キーとして選択できるようになる。例えば、初期表示された鋼種・受注キー一覧画面に含まれる鋼種リストと、選択受注キー(規格)が選択されて更新された鋼種リストとは異なる場合がある。また、選択する規格に応じて、検索結果として表示される鋼種は決定されるため、選択する規格を変化させれば、これに応じて鋼種リストが変化する。したがって、オペレータは、ある規格を選択した結果表示される鋼種リストに、顧客から要望されている鋼材の設計に役立つ鋼種がない場合には、別の規格を選択することで、鋼種リストの内容を変化させ、新たな鋼種を探すことができる。また、選択する規格を変化させることで、選択受注キーの検索条件である鋼種リストが変化するため、かかる鋼種リストから、新たな検索キーとしての鋼種を選択することが可能となり、選択受注キーの検索の幅が広がる。
【0066】
また、本実施の形態においては、ステップS303で検索された鋼種と同一グループに属する鋼種を、ステップS304において検索し、これを最終的な検索結果として鋼種リストに表示する。鋼種のグループは、用途、主成分、炭素含有量等の鋼種の属性によって分類されている。即ち、同一グループに属する鋼種は、用途、主成分、炭素含有量等の属性において互いに近似している。したがって、過去の設計実績において、選択された規格と同一の規格の鋼材において選択された鋼種だけでなく、この鋼種と属性が近似する他の鋼種もが鋼種リストに表示されることになり、オペレータが鋼材の設計に用いる鋼種の選択の幅、及び選択受注キーの検索の幅が広がる。
【0067】
このように、鋼種・受注キー一覧画面において、オペレータが鋼種を選択すれば、この鋼種を検索キーとして選択受注キーが検索され、オペレータが選択受注キー(規格)を選択すれば、これを検索キーとして鋼種が検索される。このように、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1によれば、オペレータが対話的に繰り返し鋼種及び選択受注キーの検索を行うことができ、その検索結果を変化させていくことができる。このため、設計に役立つ鋼種又は選択受注キーが鋼種・受注キー一覧画面に含まれていなくても、設計に役立つ鋼種又は選択受注キーが得られるまで、さらに鋼種又は選択受注キーの検索を行うことができる。
【0068】
このようにして、設計に用いる情報として選択する鋼種及び受注キーが得られた場合には、オペレータは、これらの鋼種及び受注キーを、入力された引合情報に対応する選択鋼種及び選択受注キーの実績値として、鋼種選択実績データベース101及び受注キー選択実績データベース102に登録する。このとき、オペレータは、鋼種・受注キー一覧画面Dにおいて、登録する鋼種に対応するチェックボックスC11,C12を選択し、登録する受注キーに対応するチェックボックスC21,C22を選択し、選択ボタンC3を選択する。これにより、以下のような鋼種・受注キー登録処理が実行される。以下、鋼種・受注キー登録処理について説明する。
【0069】
図13は、鋼種・受注キー登録処理の手順を示すフローチャートである。オペレータは、クライアント装置3の入力部33を操作して、登録する鋼種に対応するチェックボックスC11,C12を選択することで当該鋼種を指定し、登録する受注キーに対応するチェックボックスC21,C22を選択することで当該受注キーを指定する。クライアント装置3のCPU31aは、このような鋼種及び受注キーの指定を受け付ける(ステップS401)。また、オペレータは、クライアント装置3の入力部33を操作して、選択ボタンC3を選択することで、製品設計情報検索システム1に、指定した鋼種及び受注キーのデータベース登録の指示を与える。CPU31aは、このような鋼種及び受注キーのデータベース登録実行指示を受け付け(ステップS402)、ステップS101において入力された引合受注キー並びに指定された鋼種及び受注キーの情報を含む登録指示データをサーバ装置4へ送信する(ステップS403)。
【0070】
CPU31aは、鋼種・受注キー一覧画面Dの表示を終了し(ステップS404)、処理を終了する。
【0071】
サーバ装置2のCPU21aは、登録指示データを受信すると、登録指示データに含まれる引合受注キーの規格と、登録指示データに含まれる鋼種とを、鋼種選択実績データベース101に新規レコードとして登録する(ステップS405)。また、CPU21aは、登録指示データに含まれる引合受注キーと、登録指示データに含まれる選択受注キーとを、受注キー選択実績データベース102に新規レコードとして登録する(ステップS406)。ステップS405及びS406の処理を実行すると、CPU21aは、処理を終了する。
【0072】
以上詳述した如く、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1にあっては、オペレータが対話的に鋼種及び受注キーを検索することができる。このため、初期の検索結果が鋼材の設計に利用することができないものであっても、検索を繰り返すことで、検索範囲が変化し、必要な情報に到達することが期待できる。
【0073】
なお、上記の受注キー対話検索処理においては、選択された鋼種に設計実績データベース103において対応する選択受注キーが検索結果として表示される。したがって、選択された鋼種と関連する選択受注キーが検索されるのであり、選択された鋼種と関連しない選択受注キーが検索結果として表示されることはない。また、上記の鋼種対話検索処理においては、選択された規格に設計実績データベース103において対応する鋼種及びその鋼種と同一グループの鋼種が検索結果として表示される。したがって、選択された規格と関連する鋼種が検索されるのであり、選択された規格と関連しない鋼種が検索結果として表示されることはない。このような受注キー対話検索処理及び鋼種対話検索処理において、上述した検索範囲の変化は、検索キーである鋼種又は規格と関連する範囲で行われる。したがって、受注キー対話検索処理及び鋼種対話検索処理が繰り返し行われることにより、検索結果が少しずつ遷移することになり、必要な情報に確実に到達することができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1にあっては、過去の鋼材の設計実績を格納した設計実績データベース103から、鋼種・受注キー一覧画面Dにおいて選択された鋼種に対応する選択受注キーを検索するように構成されており、検索キーである鋼種から、過去の設計において当該鋼種と共に用いられた選択受注キーが検索される。つまり、設計実績データベースにおいて同一レコードに記録された鋼種と選択受注キーとは、過去の設計において共に利用された情報であり、将来の鋼材設計においても、両者が一緒に使用される可能性が高いといえる。したがって、オペレータが鋼種を選択することにより、その鋼種と設計上関連性が強い選択受注キーを取得することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1にあっては、上述した設計実績データベース103から、鋼種・受注キー一覧画面Dにおいて選択された規格に対応する鋼種を検索するように構成されており、検索キーである規格から、過去の設計において当該規格と共に用いられた鋼種が検索される。したがって、オペレータが規格を選択することにより、その規格と設計上関連性が強い鋼種を取得することができる。
【0076】
即ち、本実施の形態に係る製品設計情報検索システム1によれば、例えば前例のない新規な引合情報が入力される等により、初期検索処理の結果がオペレータの望む情報でなかった場合であっても、オペレータが自分の判断により鋼種・受注キー一覧画面において鋼種又は規格を選択することで、鋼種リスト又は選択受注キーリストの内容を近似した内容へ更新させることができる。つまり、入力された引合情報から、鋼種選択実績データベース101、受注キー選択実績データベース102、及び設計実績データベース103だけでは導き出せない検索結果を、オペレータの判断が介入した対話形式の検索を繰り返すことで導き出すことが可能となる。
【0077】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、鋼種対話検索処理において、設計実績データベース103から検索された鋼種と同一グループに属する鋼種を検索する構成について述べたが、これに限定されるものではない。設計実績データベース103から検索された鋼種のみを表示するように構成されていてもよい。過去の設計実績において、同一の規格に二以上の鋼種が対応する場合もある。この場合には、鋼種・受注キー一覧画面において選択された1つの規格に対して、二以上の鋼種が検索結果として表示されることになり、鋼種の選択の幅が広がる。
【0078】
また、上述した実施の形態においては、鋼種対話検索処理において、鋼種・受注キー一覧画面に表示されている規格をオペレータが選択可能であり、規格が選択された場合に、その規格に対応する鋼種が設計実績データベース103から検索される構成について述べたが、これに限定されるものではない。鋼種・受注キー一覧画面に表示されている受注キーを選択可能とし、選択された受注キー(又はこれに類似する受注キー)に対応する鋼種(又はこれに類似する鋼種)を検索する構成としてもよいし、寸法又は需要家(つまり、選択受注キーに含まれる情報のうち規格以外の情報)を選択可能とし、選択された寸法又は需要家に対応する鋼種を検索する構成としてもよい。即ち、選択受注キー、規格、寸法、及び需要家はいずれも製造仕様の情報であり、これらの製造仕様の情報に対応する鋼種を検索することができれば、その製造仕様と設計上関連性が強い鋼種を取得することができる。また、規格、寸法、需要家以外の製造仕様(例えば、炭素含有量の範囲、実施する熱処理の種類、焼き入れ性を示す指標、強度等)を表示し、鋼種・受注キー一覧画面において当該製造仕様の選択を受け付け、選択された製造仕様に基づいて、鋼種を検索する構成としてもよい。
【0079】
また、鋼種・受注キー一覧画面に表示されている選択受注キーをオペレータが選択可能であり、選択受注キーが選択された場合に、その選択受注キーに含まれる情報(例えば、規格)に対応する鋼種が設計実績データベース103から検索される構成としてもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態においては、製品設計情報検索システム1が、サーバ装置2及びクライアント装置3によって構成されている場合について述べたが、これに限定されるものではない。サーバ装置2及びクライアント装置3の機能の全てを1台の装置に搭載した製品設計情報検索システムとしてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ2aによりコンピュータプログラム24aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム24aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。コンピュータ3aについても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の製品設計情報検索システム、製品設計情報検索方法、及びコンピュータプログラムは、鋼材等の各種の製品の設計に関する情報を検索するための製品設計情報検索システム及び製品設計情報検索方法、並びにコンピュータに製品の設計に関する情報を検索させるためのコンピュータプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 製品設計情報検索システム
2 サーバ装置
2a コンピュータ
21a CPU
21b ROM
21c RAM
21d ハードディスク
21g 通信インタフェース
24a コンピュータプログラム
3 クライアント装置
3a コンピュータ
31a CPU
31b ROM
31c RAM
31d ハードディスク
32 画像出力部
33 入力部
34a コンピュータプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13