(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の吸引キャビティの容量を減らすよう前記第1のピストンを移動させるステップは、前記第1の吸引キャビティと前記出口チューブとが流体連通する前記第2のポンピング位置に向けて前記バルブを同時に動かすことを含む、請求項7に記載の方法。
前記流出段階において前記出口チューブ内の流体の一部の流れを変えて第2の吸引キャビティに流入させるよう、前記出口チューブに接続された第2のピストンを動作させるステップと、
前記流入段階において、前記流れを変えた流体の一部を前記第2の吸引キャビティから前記出口チューブへ輸送するステップと、をさらに含む請求項7または請求項8に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
流体リザーバおよび患者に対するシステムの位置に関わらず、流量を高精度に維持し、かつ、流体の欠点に影響されることなく簡単にプライミングできる流体輸送システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このようなニーズおよび他のニーズは、プライミングが簡単にでき、プライミングの間に流体のロスを最小限にするロータリーバルブ式流体輸送システムを有する本開示の実施形態によって満たされる。
【0009】
このようなニーズおよび他のニーズは、流体を輸送する経路とは別の経路に沿って、バルブの下側でプライミングを行う構成を有効に用い、一方向(時計回りまたは反時計回り)に回転することによって流体を輸送できるバルブ装置を有する本開示の実施形態によって満たされる。
【0010】
第1の態様によれば、
医療用流体輸送装置が開示される。
医療用流体輸送装置は、チャネルを有する入口チューブと、チャネルを有する出口チューブと、
入口チューブの遠位端と出口チューブの遠位端との間を接続することによって形成され、入口チューブのチャネルと出口チューブのチャネルとの間に接続された内部キャビティ
を有する角ジョイントと、
内部キャビティと流体連通する第1の筐体内で往復移動し、内部キャビティに接続された第1の吸引キャビティ
を含む第1のピストンと、内部キャビティ内に配置され、プライミング位置、第1のポンピング位置、および、第2のポンピング位置の間を
回転可能なバルブと、を備え、バルブは、プライミング位置にある場合に入口チューブと出口チューブとを流体連通させるプライミング細管と、第1のポンピング位置にある場合に入口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させる一方、第2のポンピング位置にある場合に出口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させるくさび形開口と、を有し、第1のポンピング位置から第2のポンピング位置に
回転することによって、前記入口チューブのチャネルに流体連通していた第1の吸引キャビティを、出口チューブのチャネルに流体連通させる。
この際、前記バルブは、前記バルブを
回転させるためのハンドルを備えると好適である。
また、前記内部キャビティと流体連通する第1の筐体と、前記第1の筐体内に配置されることによって、前記第1の吸引キャビティを形成し、前記第1の吸引キャビティが第1の容量を有するように前記第1の筐体内を往復移動する第1のピストンと、をさらに備えると好適である。
さらに、前記出口チューブと流体連通する第2の筐体内と、前記第2の筐体内に配置されることによって、第2の吸引キャビティを形成し、前記第2の吸引キャビティが第2の容量を有するように前記第2の筐体内を往復移動する第2のピストンと、をさらに備えると好適である。この際、前記第2の容量を、前記第1の容量より小さくすることもでき、また、前記第1の容量の半分とすることも可能である。
【0011】
第2の態様によれば、ポンピングサイクルにおいて流体リザーバに接続されたチャネルを有する入口チューブからチャネルを有する出口チューブまで
医療用流体を輸送する方法が開示される。方法は、ポンピングサイクルの流入段階において、入口チューブと出口チューブとを流体連通させるべく、バルブをプライミング位置に回転させて配置するステップと、ポンピングサイクルの流入段階において、第1の吸引キャビティと出口チューブのチャネルとを流体連通させずに入口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させるべくバルブを第1のポンピング位置に回転させて配置するステップと、流入段階において、第1の吸引キャビティの容量を増やすよう、第1の吸引キャビティに接続された第1のピストンを移動させるステップと、ポンピングサイクルの流出段階において、入口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させずに第1の吸引キャビティと出口チューブのチャネルとを流体連通させるべく、バルブを第2のポンピング位置に回転させて配置するステップと、流出段階において、第1の吸引キャビティの容量を減らすよう第1のピストンを移動させるステップと、を含み、バルブは、入口チューブのチャネルと出口チューブのチャネルとの間に接続された内部キャビティ内に配置され、プライミング位置、第1のポンピング位置、および、前記第2のポンピング位置の間を移動可能であり、プライミング位置にある場合に入口チューブのチャネルと出口チューブのチャネルとを流体連通させるプライミング細管と、第1のポンピング位置にある場合に入口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させる一方、第2のポンピング位置にある場合に出口チューブのチャネルと第1の吸引キャビティとを流体連通させるくさび形開口と、を有する。
この際、前記第1の吸引キャビティの容量を減らすよう前記第1のピストンを移動させるステップは、前記第1の吸引キャビティと前記出口チューブとが流体連通する前記第2のポンピング位置に向けて前記バルブを同時に動かすことを含む。
また、前記流出段階において前記出口チューブ内の流体の一部の流れを変えて第2の吸引キャビティに流入させるよう、前記出口チューブに接続された第2のピストンを動作させるステップと、前記流入段階において、前記流れを変えた流体の一部を前記第2の吸引キャビティから前記出口チューブへ輸送するステップと、をさらに含ませると好適である。このとき、前記第2の吸引キャビティの容量を、前記第1の吸引キャビティの容量より小さくすることもでき、また、前記第1の吸引キャビティの容量の半分とすることも可能である。
【0012】
なお、上記
医療用流体輸送装置の変形例として、入口チューブと出口チューブとを有する
医療用流体輸送システムに用いられるバルブ装置とすることも可能である。バルブ装置は、上端と、プライミングチャネルノッチ、第1のポンピングチャネルノッチ、および、第2のポンピングチャネルノッチを有する下端とを含む円筒状基底部と、前記基底部の上端に接続された近位端と、ハンドルを有する遠位端とを有する円筒状上部と、を備え、前記第1および第2のポンピングチャネルノッチは、円周上に互いに間隔を置いて配置され、前記第1および第2のポンピングチャネルノッチの一方が吸引キャビティと、入口チューブまたは出口チューブとを流体連通させる位置に配置された場合、他方のポンピングチャネルノッチは、前記吸引キャビティと、前記入口チューブまたは前記出口チューブとを流体連通させず、前記第1および第2のポンピングチャネルノッチは、前記プライミングチャネルノッチとは垂直方向にオフセットであり、前記プライミングチャネルノッチが前記入口チューブおよび前記出口チューブと流体連通する場合は、前記第1および第2のポンピングチャネルノッチは前記入口チューブおよび前記出口チューブとは流体連通せず、前記第1および第2のポンピングチャネルノッチが前記入口チューブまたは前記出口チューブと流体連通する場合は、前記ポンピングチャネルノッチは前記入口チューブおよび前記出口チューブと流体連通せず、前記プライミングチャネルノッチは、前記入口チューブと前記出口チューブとに少なくとも亘る幅を有する。
この際、前記プライミングチャネルノッチは、円周に沿って前記プライミングチャネルノッチの一端から他端に向けて深くなると好適である。
このとき、前記バルブ装置は、第3のポンピングチャネルノッチをさらに備え、前記第1、前記第2、および、前記第3のポンピングチャネルノッチは、前記基底部の周辺に互いから120度離れて配置されていてもよい。また、前記基底部は、柔らかい密閉材料からなり、前記上部は、硬い吸引摩耗抵抗材料からなっていてもよい。このとき、前記基底部は、前記上部の上から射出成形されていてもよく、また、上部開口および底部開口を有する中空ダクトをさらに備えてもよい。前記中空ダクトをさらに備えた場合、前記上部開口に取り付けられたメンブレンをさらに備え、前記メンブレンは、流体圧力測定を可能としてもよく、また、前記上部開口に配置された流体アクセスポイントをさらに備えてもよい。さらに、前記上部開口に設けられた空気抜きをさらに備えることも可能である。
【0013】
本開示に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態および態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態による流体輸送システムの一部の断面図であり、プライミング位置にあるバルブが示されている。
【
図2】本開示の実施形態による
図1のバルブの断面図であり、第1のポンピング位置にあるバルブが示されている。
【
図3】本開示の実施形態による
図1の流体輸送システムの断面図であり、第2のポンピング位置にあるバルブが示されている。
【
図4】本開示の実施形態による流体輸送システムの断面図であり、2ピストン構成が示されている。
【
図5】本開示の実施形態によるバルブの斜視図であり、ポンピングノッチが示されている。
【
図6】本開示の実施形態による
図5のバルブの斜視図であり、ポンピングノッチが示されている。
【
図7】本開示の実施形態による、
図5および
図6のバルブの平面図であり、バルブの下側が示されている。
【
図8】本開示の実施形態による流体輸送システムの断面図であり、プライミング位置にある
図5のバルブが示されている。
【
図9】本開示の実施形態による流体輸送システムの断面図であり、第1のポンピング位置にある
図5のバルブが示されている。
【
図10】本開示の実施形態による流体輸送システムの断面図であり、第2のポンピング位置にある
図5のバルブが示されている。
【
図11】本開示の実施形態によるバルブの斜視図である。
【
図12】本開示の実施形態による
図11のバルブの斜視図であり、第1のポンピングノッチが示されている。
【
図13】本開示の実施形態による
図11のバルブの基底部の斜視図であり、第2のポンピングノッチが示されている。
【
図14】本開示の実施形態による
図11のバルブの平面図であり、バルブの下側が示されている。
【
図15】本開示の実施形態による
図11のバルブを含む流体輸送システムの断面図であり、プライミング位置に引き出されたバルブが示されている。
【
図16】本開示の実施形態による
図11のバルブを含む流体輸送システムの断面図であり、ポンピング位置に押し出されたバルブが示されている。
【
図17】本開示の実施形態による
図11のロータリーバルブを含む流体輸送システムの斜視図であり、プライミング位置にあるバルブが示されている。
【
図18】本開示の実施形態による
図11のロータリーバルブを含む流体輸送システムの斜視図であり、第1のポンピング位置にあるバルブを示す。
【
図19】本開示の実施形態による
図11のロータリーバルブを含む流体輸送システムの斜視図であり、第2のポンピング位置にあるバルブを示す。
【
図20】本開示の実施形態による中心管状開口を示すバルブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、医療用流体輸送システムに関する課題を解決することを目的とする。特に、本開示の実施形態は、従来の流体輸送ポンプの限界を克服する。開示された実施形態は、入口チューブから出口チューブに流体を輸送するバルブを設けることによって、少なくとも上記目的を達成する。例えば、特定の実施形態では、バルブは、ユーザによってプライミング位置に配置され得る。バルブがこのプライミング位置にあるときは、プライミングチャネルノッチは入口チューブから出口チューブへと流体を流すことができる。その後ユーザはバルブをポンピング位置へと移動させる。ユーザはバルブをポンピング位置へと移動させた後に当該バルブに結合されている外部電気機械ポンプを起動させることができる。外部電気機械ポンプは、2つのポンピング位置の間でバルブを回転させる。第1の位置では、バルブのポンピングチャネルノッチは、流入路を吸引キャビティに流体連通させる。第2の位置では、ポンピングチャネルのノッチは、出口チューブと流体連通する。ロータリーバルブの位置を切り替えることによって、外部電気機械ポンプは、入口チューブから吸引キャビティへ、さらにそこから出口チューブへと流体を移動させることができる。どちらのステップでも、吸引キャビティに結合されたピストンを往復運動させることによって流体が移動しやすくなる。特定の実施形態では、バルブは、ポンピングチャネルのノッチから垂直にオフセットになったプライミングノッチを有する。このような実施形態では、ユーザは、バルブを押す/引く操作によってポンピングまたはプライミング位置にバルブを設定できる。
【0016】
図1は、入口チューブ102および出口チューブ104を示す流体輸送装置100の断面図である。入口チューブ102は、近接端124および遠位端126を有し、出口チューブ104は、近接端130および遠位端134を有する。入口チューブ102と出口チューブ104とは、それらの遠位端部126および134において角度をもって互いに接続され、角ジョイント106を形成する。角ジョイント106は、ロータリーバルブ108が挿入される内部キャビティ132を有する。バルブ108に取り付けられたハンドル110は、角ジョイント106の壁に外側からアクセス可能であり、その結果、入口および出口チューブを介して流れる流体とは直接連通しない。ハンドル110がユーザによって回されることにより、バルブは、以下のようにプライミング位置に配置されてよい。バルブ108は、くさび形ノッチ112およびプライミング細管114を備える。ハンドル110は、3つの位置(
図1にはすべては示されていない):P(プライミング用)、I(流入用)およびO(流出用)のうちの1つに移動されてよい。
図1では、ハンドル110は、P位置に示されている。
【0017】
ハンドル110が
図1に示すようなP位置にある場合、くさび形ノッチ112は、入口チューブ102の流体チャネル116と流体連通し、プライミング細管114は、出口チューブ104の流体チャネル118と位置合わせされることによって、流体は、入口チューブ102に接続されたリザーバ103から、バルブ108のプライミング細管114を通り、出口チューブ104に接続された患者または機器105へと流れることができるようになる。患者への流体輸送を始める前に、流体輸送のラインをプライミングしてラインから空気を排出させなければならないことは当該技術分野では公知である。使用に際してユーザはハンドル110(または他の手段が設けられてもよい)をプライミング位置Pまで回転させることによって流体ポンプ100をプライミングする。特定の実施形態では、ハンドル110のプライミング位置Pは、外側のマークによって流体ポンプ100の外側に示されるので、ユーザは単にハンドル110を回転させるだけで当該外側のマークに合わせることができる。特定の実施形態では、ユーザは、流体ポンプ100をプライミングするために重力を用いてもよい。プライミングを実行すべく、ユーザがハンドル110をP位置に回し、重力によって流体をリザーバ103から汲み出して出口チューブ104へと流してよい。プライミングが完了したら、ユーザは、ハンドル110をポンピング位置(Iまたは0、好ましくはI)に回してよい。続いて説明するように、ハンドル110がポンピング位置に回されると、入口チューブ102と出口チューブ104との直接的な接続が断たれるので、流体を輸送するためにはポンピング位置IとOとの間でバルブ108を回転させるしかない。
【0018】
図2は、流体ポンプ100の断面図であって、ハンドル110がI位置にある流体ポンプ100の動作を示す。ポンプ100はユーザによって上記のようにすでにプライミングされている。ハンドル110がI位置にあるとき、くさび形ノッチ112は入口チューブ102とまだ位置合わせされている。ハンドル110がI位置にあるとき、くさび形ノッチ112の幅は、入口チューブ102およびチャンバ120の両方と接触するようになっている。外部電気機械ポンプ107によってピストン122が矢印109の方向に引き出されることによってチャンバ120の容積が大きくなる。くさび形ノッチ112は、入口チューブ102およびチャンバ120のどちらとも流体連通しているので、チャンバ120の容積が増大すれば、リザーバ(図示せず)からの流体はチャンバ120へと流れ込む。ハンドル110がI位置にあるので、プライミング細管114は出口チューブ104とは流体連通しない位置まで回っているということに注目されたい。したがって、流体は、プライミング細管114を通じてくさび形ノッチ112およびチャンバ120から流出することはない。ピストン122がその最大引出し位置まで達した後、外部ポンプ107がピストン122を矢印111の方向に動かし始めてピストン122と同期し、ハンドル110がO位置へと動くようにバルブ108を電気機械的に回転させる。
【0019】
外部ポンプ107は、上記したさまざまな可動部品(例えばピストン122およびバルブ108)にさまざまな方法で結合されてよい。ここに列挙される例は例示目的に過ぎず、本開示に記載される構成は、他の公知の機構と組み合わされるかまたはさらなる機構と結合されてよい。特定の実施形態では、外部ポンプ107は、ユーザがピストン122のハンドルを引っ掛けるかぎ爪状の構造を用いてもよい。特定の実施形態では、ピストン122における圧入口にピンを滑り込ませ、外部ポンプ107をピストン122に固定することによって外部ポンプ107がピストン122に嵌合されてよい。特定の実施形態では、ユーザが流体輸送装置100をポンプ107内に装填し、ポンプ107がピストン122に達して当該ピストン122と結合してよい。
【0020】
特定の実施形態では、ユーザは、バルブ108を特定の位置に回してから流体輸送装置100を外部ポンプ内に装填されるように構成してよい。例えば、特定の実施形態では、外部ポンプ107は、ハンドル110が外部ポンプ107に一方向のみからしか嵌入しないことによって外部ポンプ107が誤って装填されないように構成されたポンプキャビティを有してよい。特定の実施形態では、外部ポンプ107は、最終的にハンドル110に当たってバルブ108を開始位置に戻す回転ピンを介してハンドル110に“達して”よい。特定の実施形態では、ハンドル110に取り付けられた機能(例えばスクリュードライバスロットまたはピンホール)は、外部ポンプ107による位置決め機能として用いられる。バルブを回転させるための外部ポンプ107およびバルブ108のさまざまな他の実施形態も可能である。
【0021】
図3は、
図1の流体ポンプ100の断面図であり、バルブ108はO位置にある。このO位置では、チャンバ120は流体で満たされている。バルブ108の回転により、入口チューブ102は現在チャンバ120と接触している流体からは切り離されている。しかしながら、バルブ108の回転により、くさび形ノッチ112は現在出口チューブ104およびチャンバ120と流体連通している。したがって、ピストン122は、矢印111に沿って下方に移動し、チャンバ120に溜められていた流体は、出口チューブ104のチャネル118に排出される。このO位置では、プライミング細管114は、入口チューブ102、チャンバ120、または、出口チューブ104とは流体連通していないので、プライミング細管114からのいかなる流体の漏えいも生じない。
【0022】
ピストン122が
図3に示すような最下位置に達する頃には、チャンバ120からの流体の実質的にすべてが出口チューブ104の流体チャネル118に排出されているだろう。その後、外部電気機械ポンプ107は、下方である矢印111の方向にピストンを再び動かし始めると同時にバルブ108を
図2に示されるようなI位置に回転させ、それによってチャンバ120を入口チューブ102からの流体で満たすプロセスが再び繰り返される。
【0023】
流体ポンプ100がユーザによってプライミングされると、バルブ108は、入口チューブ102から出口チューブ104へと流体をポンピングするための位置IとOとの間を外部ポンプ107によって切り替えられる。このような位置切り替え動作は、ポンピングサイクルの観点から説明できる。ポンピングサイクルは、バルブがI位置にある状態から始まり、当該ポンピングサイクルの間に一旦O位置に動いた後、I位置になった状態で終わる。当業者であれば、ポンプ100は、このようなポンピングサイクルの間に、ピストン122の排水量(ピストンの吸引容量とも呼ばれる)とほぼ等しい体積の流体を入口チューブ102から出口チューブ104へと輸送することを理解できよう。ポンピングサイクルの持続時間は、I位置とO位置との間のバルブ108の往復移動速度を制御する外部ポンプ機構107によって制御される。当業者であれば、このような機構は、ポンピングサイクル毎に、ピストン122の吸引容量と実質的に等しい一定量の流体を輸送することが理解できよう。さらに、一方の側がチャンバ120との流体連通を遮断されている場合、流体は、入口チューブ102からチャンバ120、または、チャンバ120から出口チューブ104へと移動するので、ポンピングサイクル毎に輸送される液量は、とりわけ、患者に対するリザーバの高さを変えることによって起きる入口チューブ102または出口チューブ104における圧力変化とは実質的に無関係である。
【0024】
図4は、流体ポンプ装置400の他の実施形態の断面図である。流体ポンプ100と比較すると、本実施形態のポンプ400は、出口チューブ104に接続する筐体に嵌挿された追加のピストン402を含む。ピストン402は、出口チューブ104の流体チャンバ118と流体連通するチャンバ404を形成する。外部電気機械ポンプ107は、ピストン402の往復運動がピストン122の往復運動と位相が異なるように調整してよい。したがって、ピストン122がチャンバ120から出た流体を出口チューブ104に押し出すと、ピストン402は外側へ引き出されることによってチャンバ404の容量を増やすことができる。その結果、流体の量は、ピストン122の吸引容量より通常少ないピストン402の吸引容量と等しくなり、チャンバ120から患者へと供給されるのではなくチャンバ404に蓄積される。
【0025】
バルブ108がI位置にあり、ピストン122が流体を入口チューブ102からチャンバ120に引き込んでいるときは、流体はチャンバ120から出口チューブ104の流体チャネル118へは移動しない。外部ポンプ107が矢印113方向にピストン402を押すことにより、チャンバ404に吸引された流体が患者に供給されるために流体チャネル118へと排出される。ピストン402のこの動きはピストン122の動きと同期しているので、チャンバ120からの流体は患者に2ステップで輸送される。第1のステップ(バルブはO位置にある)では、患者に供給される流体の量は、ポンプ122の吸引容量からポンプ402の吸引容量を引いたものに等しい。第2のステップ(バルブ108はI位置にある)では、患者に供給される流体の量は、ポンプ402の吸引容量に等しい。当業者なら理解できるように、流体ポンプ400にみられるようなピストン402の追加によって、流体輸送速度の脈動が低下する。ピストン122の吸引容量よりピストン402の吸引容量を小さくすることにより、このように脈動を低下させることができる。これによって、ポンピングサイクルの第1の段階でチャンバ120にある流体のすべてがチャンバ404に吸い上げられることはなくなる。好適な実施形態では、ポンプ402の吸引容量は、ポンプ122の吸引容量の50%である。この容量は、ポンピングサイクルの各段階で輸送される流体量にほぼ等しく、その結果、ポンピングサイクル全体を通じてほぼ一定の流量となる。当業者であれば、第2のピストン402の導入によって、バルブ108を回転させて第1のピストン122を満たすことが輸送サイクルにおける一要素ではもはやなくなることが理解できよう。なぜなら、第1のピストン122を充填する間に第2のピストン402によって患者に流体を供給することができるからである。
【0026】
引き続き
図4を参照すると、外部ポンプ107は、以下のようにピストン122および402と同期し得る。当初、ピストンは、それぞれのチャンバ120および404の底にある。まず、流体輸送装置100は、P位置にあるバルブ108によってプライミングされる。次に、第1のバルブ108がI位置へと回される一方で第1のピストン122が矢印109(
図2参照)の方向に移動する。次に、バルブ108がO位置へと回されると同時に第1のピストン122が矢印111(
図3参照)の方向に押されてそれと同時に第2のピストン402が引き戻される。特定の実施形態では、第2のチャンバ404は、第1のチャンバの半分の大きさであり、第2のピストン402は、第1のピストン122が輸送した半分の量の流体を効果的に取り出して後の輸送のために蓄えておく。このとき、バルブ108はI位置に戻っている。第2のピストン402は矢印113の方向に移動して取り出した流体を輸送し、第1のピストン122は、次の流体ボーラスを吸引すべく矢印111(
図3参照)方向に移動する。その後バルブ108はO位置に戻り、第1のピストン122が患者に流体を供給する間に第2のピストン402が引っ込むことにより第1のピストン122のための次の充填サイクルで供給されるべき流体の半分の量が蓄えられる。2つのピストン122および402のこのような動作は、パルスの間にバルブ108が往復する「待ち時間」によって流体の流れを変えないので、患者への拍動流を弱め、流体輸送をなめらかにする。
【0027】
当業者であれば、
図1から
図4で示された流体ポンプの実施形態の単純性は、比較的少ない構成要素による実施に適することが理解できよう。好適な実施形態では、流体ポンプ100は、4つの構成要素を用いて実施される。1つの構成要素は、接合する管類のための入口および出口と、ピストン用の当該入口および出口の間の2つのチャンバ(脈動流体の実施形態には単一のチャンバ)とを含むダクトである。この構成要素は、バルブが取り付けられる領域も含む。第2の構成要素は、位置を切り替える動作によって、流体の流れる方向を制御するよう設計されたバルブである。第3の構成要素は、角ジョイントにあるピストンである。好適な実施形態では、ピストンはツーショットピストンである。このピストンは、シリンダ内を移動し、電気機械ポンプインターフェース(
図1〜4には示していない)によって把持される剛性ハンドルを有するコンプライアント面をもつ。第4の構成要素は、オプションの第2のピストンとチャンバとのコンビネーションであり、ポンプが連続的な流体の流れを作ることを可能にする。上記実施形態は、流体ポンプ装置と、カーディナルヘルス社のSmartSite(登録商標)のニードルフリーバルブ、または、Texium(登録商標)のオスルアー製品などの自己密封式の注射の部位との一体化を妨げない。
【0028】
図5は、ポンプから取り出して示したバルブ108の他の実施形態500の斜視図である。この実施形態では、バルブ500は、基底部502および上部504を含む。バルブ108には、上記したようにバルブ108を回転させるために用いられるハンドル110がついている。このバルブ500には、前に説明したバルブ108とは、異なり、プライミング細管114が設けられていない。代わりに、後に説明するような基底部502の周囲にプライミング・ポンピングノッチを設けることによってプライミング・ポンピング動作を行う。基底部502には、その周囲にポンピングノッチ506が設けられる。基底部502には、プライミングチャネルノッチ512も設けられ、
図5では裏側で見えないため破線で示している。ポンピングノッチ506およびプライミングチャネルノッチ512はどちらも基底部502の端にあり、上部504からは遠く離れている。ポンピングノッチ506の角度幅は、プライミングチャネルノッチ512の角度幅より小さい。ポンピングノッチ506の角度幅は、流体チャネル116または118とチャンバ120とをつなぐに十分な長さであるが流体チャネル116と118とを接続しないようにされている。対照的に、プライミングチャネルノッチ512の角度幅は、流体チャネル116と118とをつなぐに十分な長さであり、その結果、プライミングの間に流体が入口チューブ102から出口チューブ104へと流れることができる。
【0029】
引き続き
図5を参照すると、上部504は、一般的に円筒形であり、基底部502と接している近接端510と、ノッチ514を含む遠位端508とを有する。ノッチ514には電気機械モータのような外部機構(
図5には示していない)が嵌合されてバルブ500を回転させる。バルブ500が回転すると、基底部502は流体およびチャンバ120と接しながら回転し、上部504は、チャンバ120のケーシングとは接触せずに回転することによってポンピングの間の摩擦を軽減する。したがって、基底部502および上部504による消耗は異なる。消耗に適切に対処すべく、これらの部分は異なる材料で作製してもよい。特定の実施形態では、基底部502は、上部504の上から射出成形される柔らかい密封材料で作製され、上部504は、硬い耐摩耗材料で作製される。柔らかい密封材料が剛性材料の上から射出成形されることにより、簡単ではあるが耐久性のあるバルブ構成とすることができる。
【0030】
図6は、
図5に示す状態から180度回転させたロータリーバルブ500の斜視
図600である。プライミングチャネルノッチ512は、正面を向いており、2つの端部602および604が見える。ポンピングノッチ506は、裏側で見えないため破線で示されている。
【0031】
図7は、
図5の矢印VII方向におけるバルブ500を示す底面図である。プライミングチャネルノッチ512およびポンピングノッチ506は、基底部502の周縁付近に見える。特定の実施形態では、これらノッチ506および512は同じであってよい。特定の他の実施形態では、ノッチ506および512は、ポンプ100を通じて汲み出されることが意図された流体の流動性に応じて異なる深さになるよう選ばれてよい。例えば、高粘度を有する流体用に設計された流体ポンプ100では、流体の表面粘着性を克服すべく広くて浅いポンピングノッチ506が設けられてよい。ノッチの高さを調整する他の利点は、臨床的適用範囲まで流量を増加または減少させることである。一般的には、ノッチは深くて広い方が流動抵抗は少なく、浅くて狭いほど流動抵抗が大きくなる。特定の実施形態では、ノッチ506のサイズは、プライミングチャネルノッチ512とは異なるようにしてよい。これは、とりわけプライミングチャネルノッチ512を介して高流量でプライミングし、ノッチ506を介したピストン122への逆圧によって検出され得るくらいの抵抗で患者に送り込むことが臨床的に好ましい場合に当てはまる。プライミングチャネルノッチ512は、上記の理由によりポンピングノッチ506より幅が広い。
【0032】
図8は、流体輸送装置100の別の実施形態を示す断面図である。流体輸送装置800は、前に説明したバルブ108の実施形態の代わりにバルブ500の実施形態を用いる。
図8は、P位置にあるバルブ500を示す。前に述べたように、プライミングチャネルノッチ512の角度幅は、流体チャネル116からの流体が流体チャネル118へと流れることができるくらい広い。
【0033】
図9は、ポンピング位置Iにあるバルブ500を示す断面図である。この位置では、ポンピングノッチ506は、入口チューブ102およびチャンバ120と位置合わせされている。ポンピングノッチ506は、流体流入チャネル116からチャンバ120へと流体が流れることができる広さに構成される。しかしながら、ポンピングノッチ506の幅は、流体流出チャネル118に通じるほど広くない。前に述べたように、バルブ500がポンピング位置Iにあるときは、外部電気機械ポンプ107は、ピストン122を矢印109の方向に引き出すことにより、チャンバ120の容量を増やし、チャネル116からの流体でチャンバ120内を満たせるようにする。バルブ500は、I位置にあり、プライミングチャネルノッチ512は、回転して流体チャネル116、流体チャネル118、および、チャンバ120から離れているのでプライミングチャネルノッチ512から流体が漏れることはない。
【0034】
図10は、バルブ500がポンピング位置Oにある流体輸送装置800の断面図である。ポンピングノッチ506は、チャンバ120および流体チャネル118と流体連通している。ポンピング位置Oにおいて、外部ポンプ(
図10には示されていない)がピストン122を内側に押すことにより、流体はチャンバ120から流体チャネル118に排出される。プライミングチャネルノッチ512は、さらに回転しており、チャネル116および118、またはチャンバ120と流体連通しないので、プライミングチャネルノッチ512から直接流体が漏れることはない。外部電気機械ポンプ107によってピストン122が矢印111の方向に完全に押し入れられた後、バルブ500が
図9に示されるようなポンピング位置Iになることでピストン122は引き出され始める。
図8から10に示された流体ポンプは、バルブ500の位置をIポンピング位置とOポンピング位置との間で切り替えることによって入口チューブ102から出口チューブ104へと流体を輸送する。当業者であれば、バルブ500が3つ以上のポンピングノッチ502を有する特定の実施形態もあり得ることが理解できよう。このような実施形態では、流体がまず入口チューブ102からチャンバ120へと輸送され、その後チャンバ120から出口チューブ104へと排出されるようバルブ500が回転する。
【0035】
当業者であれば、上記のバルブ500は、
図4に関連して説明したピストン402のような、出口チューブ104に取り付けられた第2のピストンを含む特定の流体ポンプの実施形態で用いられ得ることが理解できよう。特定の実施形態では、バルブ500は、壁とバルブの底部との間にリザーバ(
図7の構成要素502)を形成するよう設計されてよい。このリザーバにより、バクテリアを捕捉して繁殖させてしまったり、または、輸送された流体を喪失することなく入口チューブ102と出口チューブ104との間を流体が自由に移動できるようになる。
【0036】
図11は、本開示の実施形態によるロータリーバルブ1100の斜視図である。ロータリーバルブ1100と、バルブ108および500との違いは、バルブ1100は往復移動して位置を切り替える代わりに回転し続けながら流体ポンプ100の動作を可能にする点である。このような実施形態は、バルブを連続的に回転することによりエネルギー消費が抑えられるので、流体輸送システムのバッテリー寿命を延ばす。
【0037】
引き続き
図11を参照すると、ロータリーバルブ1100は、上部1120および基底部1122を有する。バルブ1100の回転を良くすべく、上部1120および基底部1122はどちらも略円筒形である。図示の実施形態では、上部1120の直径は下部1122の直径より小さい。上部1120の下端部1126は、基底部1122の上端部1128に取り付けられている。上部1120の上端部1124は、外部電気機械システムがバルブ1100と係合して回転させるための溝または他の手段(図示せず)を有する。上部1120は、以下に説明するようなバルブ1100の動作中にバルブ1100が内側へ移動するのを制限するカラー1114も有する。同様に、リング1116(
図15参照)のような他の機械的機能を追加してもよく、それによってバルブ1100が外側に引き戻されるのを防ぎ、バルブ1100が流体輸送装置100から離れないようにする。このような機械的機能を1つのロック装置、とりわけ、柱(図示せず)の内部で上下動するスナップフィットリングに組み込むことも可能である。基底部1122は、角ジョイント106内に配置され、流体と接触することになる。基底部の下端部1130は、プライミングチャネルノッチ1102と、3つのポンピングノッチ1108、1110、および、1112とを有する。図に示されたすべてのノッチ(1102、1108、1110、および、1112)が常にリザーバと連通することにより、ノッチ内部の装置に流体が入らないよう、プライミング可能な流体リザーバ下の機能を嵌め合い部品内に設けてもよい。特定の実施形態では、プライミングチャネルノッチ1102は、一端1104で深くなっており、他端1106に向かって徐々に浅くなることによってプライミング中の手動での流速制御を可能とする。他の実施形態では、プライミングチャネルノッチ1102の深さは、全体にわたって均一である。プライミングチャネルノッチ1102、ポンピングノッチ1108、1110、および、1112は、互いに離れている。ポンピングノッチ(1108)の1つは、プライミングチャネルノッチ1102と重複するが、プライミングチャネルノッチ1102ほどの幅はなく、プライミングチャネルノッチを越えて上部1120の下端部1126に向かって延びる。プライミングチャネルノッチ1108、1110、および、1112は、プライミングチャネルノッチ1102より背が高い。ポンピングノッチ1108、1110、および、1112の角度幅は、以下にさらに説明する理由によりプライミングチャネルノッチ1102の角度幅より狭い。当業者であれば、臨床的または電気機械的に好ましい量の回転、輸送、および、プライミング制御を行うべく、ノッチの数、チャネルの幅および高さはすべて要求通りに調整され得ることが理解できよう。
【0038】
図12は、
図11に示したロータリーバルブ1100の斜視図であり、プライミングノッチ1110が見えるように回転させてある。プライミングチャネルノッチ1102の浅い方の他端1106も見えている。ポンピングノッチ1110は、プライミングチャネルノッチ1102から離れており、プライミングチャネルノッチ1102よりも上の上部1120に向かって延びる。
【0039】
図13は、
図11に示したバルブ1100の基底部1122の斜視図であり、ポンピングノッチ1112が見えるよう回転させてある。プライミングチャネルノッチ1102の深い方の一端1104も見えている。先に述べたように、ポンピングノッチ1112は、プライミングチャネルノッチ1102から離れており、プライミングチャネルノッチ1102よりも上の上部1120に向かって延びる。
【0040】
図14は、ロータリーバルブ1100の底面
図1400であって、ロータリーバルブ1100の下端部1130の周縁付近のプライミングチャネルノッチ1102およびポンピングノッチ1108の相対的位置の例を示している。この図では、深い方の端部1104から浅い方の他端1106へのプライミングチャネルノッチ1102のテーパリングがよりわかりやすくなっている。
図14に示すように、ポンピングノッチ1108はプライミングチャネルノッチ1102と同じ場所に位置する。
【0041】
図15は、プライミング位置にあるバルブ1100を組み込んだ流体ポンプの断面図である。バルブ1100をプライミング位置に移動させるには、ユーザはまずバルブ1100をプライミング位置Pまで回転させてから矢印1502の方向にプライミング位置まで引き出す。バルブが矢印1502の方向である外側に移動することは、バルブ1100の基底部1122が壁と接触したら外側へ行かないようにするなど、ユーザに触感フィードバックを与えることによって制御できる。特定の実施形態では、他のリング1116がカラー1114の下のバルブ1100に設けられることによって、所望の位置に達したらバルブ1100はそれ以上外側に行かないようにすることができる。バルブ1100がプライミング位置にあるとき、プライミングノッチ1102は、入口チューブ102の流体チャネル116、および、出口チューブ104の流体チャネル118とそれぞれ位置合わせされている。プライミングチャネルノッチ1102は、流体チャネル116から流体チャネル118へと流体を流すことができるのに十分な幅があるので、ポンプ100のプライミングを行うことができる。プライミングチャネルノッチ1102は、深い方の一端1104から浅い方の他端1106へと浅くなっていくので、ユーザは、プライミング動作の間に深い方の端部(流量を増大させるため)または浅い方の端部(流量を減少させるため)に向かってバルブを回転させることにより、プライミングの流量を調整することができる。
【0042】
引き続き
図15を参照すると、入口チューブ102と出口チューブ104との間を流体が自由に流れることができるようにすべく、下端部1130(
図11参照)の下の流体リザーバ1132が効果的に用いられる。
流体リザーバ1132の容積は、壁に対するバルブ1100の位置によって制御される。
【0043】
図16は、ポンピング位置にあるバルブ1100を組み込んだ流体輸送装置の一部の断面図である。ユーザまたは電気機械ポンプ107は、バルブ1100を内側に押すことによってバルブ1100をポンピング位置に置くことができる。カラー1114は、バルブ1100の内側への移動を阻止し、バルブ1100がポンピング位置に設定されているという触感フィードバックをユーザに与える。この状態では、プライミングチャネルノッチ1102は、流体チャネル116および118とは垂直方向に位置合わせされていない。代わりに、プライミングチャネルノッチ1102を越えて延びるポンピングノッチ1108、1110、および1112の上部は、流体チャネル116および118と垂直方向に位置合わせされている。したがって、バルブ1100を単に押すだけで、ユーザはバルブ1100をプライミング位置からポンピング位置へと移動させることができ、以下に説明するように、流体輸送装置100を通じて流体のポンピングを始めることができる。バルブ1100がこの位置にあると、流体はリザーバ1132も介して輸送される。
【0044】
図17は、バルブ1100がプライミング位置にある流体輸送装置100の断面図である。ポンピングノッチ1110および1112は流体チャネル116および118と垂直方向に位置合わせされていないので(
図15参照)破線で示している。プライミングチャネルノッチ1102の上部にあるポンピングノッチ1108は、
図17には示されていない(
図14参照)。プライミングチャネルノッチ1102は、流体チャネル116と流体チャネル118とを接続させることにより、流体ポンプ100、および、ポンピングノッチ1104の下にあるリザーバ1132のプライミングを可能にする。上述のように、プライミングチャネルノッチ1102は、
図17に示すように流体チャネル116および118の間が流体連通するのに十分な幅を少なくとも有するように構成される。
【0045】
図18は、バルブ1100がポンピング位置Iにある流体輸送装置100の断面図である。上述のように、ユーザは、バルブを流体チャネル116および118と位置合わせする位置まで押すことによってバルブ1100をポンピング位置に配置する。プライミングチャネル1102は流体チャネル116および118と垂直方向に位置合わせされていないので(
図16参照)、
図18には示していない。上述のように、バルブがI位置にあると、始めは押し込まれた位置にあったピストン122は矢印1809の方向に引き出され、それによってチャンバ120の容量が増える。ポンピングノッチ1108は、流体がチャネル116からチャンバ120へと流れることができるのに十分な幅を有する。しかしながら、ポンピングノッチ1108の幅は、流体が出口チューブ104へと流れることができるほど広くはない。ピストン122が矢印1809の方向に完全に引き出された後、バルブ1100は電気機械システム107によってポンピング位置Oまで回され、ピストン122は電気機械システム107によって内側に引き戻される。
【0046】
図19は、バルブ1100がポンピング位置Oにある流体輸送装置100の断面図である。この位置では、ポンプチャネルノッチ1108によって、チャンバ120と出口チューブ104の流体チャネル118との間に流体連通が確立されている。ピストン122が押し入れられると、チャンバ120から流体チャネル118に流体が排出される。他の2つのポンピングノッチ1110および1112も回転して流路の外に完全に出ることに留意されたい。ピストン122が完全に押し入れられると、外部電気機械システムがバルブ1100を同じ方向に(すなわち往復運動ではない)回転させることにより、次のノッチ1110がポンピング位置Iにおける入口チューブ102とチャンバ120との間の流体連通を確立させる。流体輸送中、バルブ1100が同じ方向に回転することにより、ポンピング位置Iとポンピング位置Oとが切り替わり、それによって流体が輸送される。
【0047】
当業者であれば、上記実施形態はAILセンサを含む、
図4で説明された第2のピストンと共に実行されてもよい。さらに、
図11から19までに示された実施形態は、ポンピングノッチ1108、1110、および、1112のすぐ下に配置されたプライミングチャネルノッチ1102を示しているが、ノッチの配置および形成には本開示の原理と整合性のとれたいくつかのバリエーションがあり得る。例えば、プライミングチャネルノッチをポンピングノッチの上に配置することも可能である。さらに、プライミングチャネルノッチとポンピングノッチとの間にはノッチを設けなくてもよい。
【0048】
開示したさまざまな実施形態は、ロータリーバルブを有する流体輸送装置を提供する。ロータリーバルブは、プライミング位置およびポンピング位置で動作する。ユーザは、バルブを操作してプライミング位置またはポンピング位置にすることができる。ロータリーバルブの位置を示すものとして触感または視覚フィードバックがユーザに提供される。バルブの位置に関する同様のフィードバックが電気機械ポンプに提供されてもよい。
【0049】
図20は、バルブ1100の他の実施形態を示す。図に示す実施形態では、バルブの上から下まで走る中空のダクト2004が設けられ、バルブ1100の上部には上部開口2002があり、バルブ1100の底部には底部開口2006がある。ダクト2004は、流体輸送装置100の壁の二次開口を介して流体輸送装置100内の流体にアクセスするために用いられてよい。特定の実施形態では、開口2002は、流体圧力の測定を可能にするメンブレン(
図20には示していない)を有し得る。メンブレンは、バルブチャンバ126内の圧力変化を検知すべく、ユーザまたは外部機器によって用いられてよい。圧力測定は、例えば、メンブレン(図示せず)にピンを刺すことによって実行され得る。特定の実施形態では、開口2002に流体アクセスポイントが設けられ、それによってSmartSite(登録商標)または他の流体アクセスポイントあるいは輸送装置が流体輸送装置100に直接取り付けられることが可能になる。特定の実施形態では、ラインから空気を排出する空気抜きが上部開口2002に有効に設けられてよい。これは空気が流路に沿ってではなく上方に流れるであろうという理由からである。
【0050】
ユーザがロータリーバルブをポンピング位置まで動かした後、外部電気機械システムは、入口チューブから出口チューブまで流体を輸送すべくロータリーバルブを回転させる。流体輸送は2つの流体移動ステップで実行される。第1の移動は、入口チューブから流体チャンバまでであり、出口チューブは、流体チャンバとの流体連通を断たれる。第2の移動は、流体チャンバから出口チューブまでであり、入口チューブは、流体チャンバとの流体連通を断たれる。各流体移動ステップで移動される流体量は、ピストンの動きによって制御される。したがって、バルブの回転ごとに移動される流体の量は、入口チューブまたは出口チューブにおける流体圧力とはどちらかといえば無関係である。さらに、流体輸送装置は、ユーザがロータリーバルブのプライミング位置を動かし、空気を抜くことによって簡単にプライミングできる。プライミングが完了すると、ユーザはバルブをポンピング位置に回転させることができる。この位置では、流体輸送装置は、ロータリーバルブに結合された外部電気機械システムが本開示の原理に従ってバルブを回し始めるまで事実上オフにされる(流体を輸送しない)。ロータリーバルブは、入口チューブと出口チューブとの間の流体連通を断つべく、流体輸送装置内に十分押し込まれることによって流れを止めるよう用いられてよい。
【0051】
当業者であれば、上記のさまざまなバルブの実施形態は、バルブが時計回りに回るときは流体を入口チューブから出口チューブへと輸送し、反時計回りに回ったときは出口チューブから入口チューブへと流体を輸送する構成に適していることが理解できよう。流体輸送装置100のこのような双方向動作の利点は、流体を患者に輸送し、かつ、患者から流体を抜き出すかまたは流体を一次流体源に送るためのさまざまな臨床用途に用いられ得ることである。例えば、特定の実施形態では、バルブ108、500、または、1100の双方向動作は、流体の二次バッグを一次流体源バッグにバックプライミングするために用いられてよい。特定の実施形態では、流れの指向性は、バルブ100の回転方向(時計回りまたは反時計回り)を制御することによって得られる。特定の実施形態では、流れの指向性は、バルブの動きとは異なるようにピストンが動く時間を定めることによって得られる。例えば、特定の構成では、バルブ108、500、または1100がポンピング位置にあり、バルブが一方向(時計回りまたは反時計回り)に回転するよう構成されることにより、流体輸送の双方向性は以下のように得られる。流体チャンバ120が入口チューブ102と流体連通しているときはピストン122を外側に引っ張り、流体チャンバ120が出口チューブ104と流体連通しているときはピストン122を下に移動させることによって、流体を入口チューブ102から出口チューブ104まで輸送することができる。逆方向では、流体チャンバ120が出口チューブ104と流体連通しているときはピストン122を外側に引っ張り、チャンバ120が入口チューブ102と流体連通しているときはピストン122を下に移動させることによって、流体を出口チューブ104から入口チューブ102まで輸送することができる。
【0052】
これまで本開示の実施形態を詳細に説明してきたが、これらの実施形態は例示目的に過ぎず、限定するためではないことを明確に理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によって限定されない。