(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5785965
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】温度上昇防止可能な支持マット
(51)【国際特許分類】
F16F 15/04 20060101AFI20150910BHJP
E04B 1/36 20060101ALI20150910BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
F16F15/04 P
E04B1/36 D
E04H9/02 331B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-17990(P2013-17990)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-1845(P2014-1845A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2013年2月1日
【審判番号】不服2014-14799(P2014-14799/J1)
【審判請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】101121315
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501431589
【氏名又は名称】蔡 崇興
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】蔡 崇興
【合議体】
【審判長】
森川 元嗣
【審判官】
小柳 健悟
【審判官】
大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/218443(US,A1)
【文献】
特開平11−270621(JP,A)
【文献】
特開2010−101384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
F16F 7/00-7/14
F16F 1/00-3/12
E04H 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備える金属材料からなり、内部を中空にすると共に、該内部に温度上昇を防止するための冷却剤を充填する少なくとも1つのメーン柱と、
前記メーン柱の両端に設置される2つの支持プレートと、
前記支持プレートとの間に位置するように、それぞれ交互に配置される複数の第一材料層及び複数の第二材料層とを有し、
前記メーン柱は、固体の柱体と、該柱体を囲むように設置される殻を備え、該柱体と殻との間に収容空間が形成され、該収容空間に冷却剤を充填することを特徴とする、温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項2】
一つの前記メーン柱を有することを特徴とする請求項1に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項3】
複数の前記メーン柱を有することを特徴とする請求項1に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項4】
前記柱体が複数の組立柱からなると共に、前記殻が複数の組立殻からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項5】
前記組立柱がそれぞれ異なる材料で構成すると共に、前記組立殻がそれぞれ異なる材料で構成することを特徴とする請求項4に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項6】
前記メーン柱の両端にそれぞれ、該メーン柱の両端の開口を封止するための封止蓋が設置され、
前記支持プレートにおけるメーン柱の端部または封止蓋に対応する箇所に収容穴が形成されることを特徴とする請求項1乃至3または5の何れか1項に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【請求項7】
前記支持プレートが直接にメーン柱の両端の開口を封止してカバーすることを特徴とする請求項1乃至3または5の何れか1項に記載の温度上昇防止可能な支持マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震などの振動を吸収することが可能であり、建築物や橋などの大型建物に装着される振動吸収マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の振動吸収マットは、建築物、橋、機器などの大型の物体に装着され、地震からの振動を吸収し、地震で破壊を減少することが出来るものである。
既存の米国特許第5,665,756号(特許文献1)は、支持可能なマットを掲示しておる。このマットは、メーン柱を有し、該メーン柱の両端にそれぞれ支持プレートが設置され、それら支持プレートによって床や建物(大型の物体)に装着される。かつ、それら支持プレートとの間に、複数の金属レアーが複数のゴムレアーとそれぞれ交互に配置される。このマットの構造によれば、地震が発生したときに、それらの金属レアー及びゴムレアーの変形可能な特性によって、振動を吸収することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,665,756号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1における支持可能なマットのメーン柱は、鉛からなる。その鉛からなるメーン柱は、湾曲可能または変形可能な特性を備えることから、地震からの振動を吸収することが出来る。しかしながら、そのメーン柱が振動を吸収するために、何度も湾曲や変形を繰り返すと、熱を生じて高温になる恐れがある。
【0005】
また、メーン柱に含まれた鉛の融解点は327度であるが、その振動吸収を行って発生した熱は支持可能なマットの温度を容易に300度を超えてしまう。そのため、メーン柱またはゴムレアーが解けてしまう恐れがあり、支持マットの構造に破壊を与えることもあった。たとえその支持マットの温度が、鉛の融解点を超えなくても、マットの強度を大幅に低減するために、本来の支持効果または振動吸収効果が大幅に低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、内部を中空にすると共に、該内部に冷却剤を充填する少なくとも1つのメーン柱と、
前記メーン柱の両端に設置される2つの支持プレートと、
前記支持プレートとの間に位置するように、それぞれ交互に配置される複数の第一材料層及び複数の第二材料層とを有する。
また、かかる温度上昇防止可能な支持マットは、さらに、内部を中空にすると共に、当該内部に冷却剤を充填する少なくとも1つのメーン柱と、当該少なくとも1つのメーン柱の両端に設置される2つの支持プレートと、当該2つの支持プレートの間に、前記少なくとも1つのメーン柱を介して前記冷却剤により冷却可能な位置において、前記少なくとも1つのメーン柱の方向と交差する方向に沿った姿勢でそれぞれ交互に配置される、相互に別体の複数の第一材料層及び複数の第二材料層とを有する、こととしてもよい。
【0007】
本願の第2発明は、一つの前記メーン柱を有することを特徴とする。
【0008】
本願の第3発明は、複数の前記メーン柱を有することを特徴とする。
【0009】
本願の第4発明は、前記メーン柱は、固体の柱体と、該柱体を囲むように設置される殻を備え、該柱体と殻との間に収容空間が形成され、該収容空間に冷却剤を充填することを特徴とする。
【0010】
本願の第5発明は、前記柱体が複数の組立柱からなると共に、前記殻が複数の組立殻からなることを特徴とする。
【0011】
本願の第6発明は、前記組立柱がそれぞれ異なる材料で構成すると共に、前記組立殻がそれぞれ異なる材料で構成することを特徴とする。
【0012】
本願の第7発明は、前記メーン柱の両端にそれぞれ、該メーン柱の両端の開口を封止するための封止蓋が設置され、
前記支持プレートにおけるメーン柱の端部または封止蓋に対応する箇所に収容穴が形成されることを特徴とする。
【0013】
本願の第8発明は、前記支持プレートが直接にメーン柱の両端の開口を封止してカバーすることを特徴とする。
【0014】
本願の第9発明は、前記メーン柱が、複数の中空形状の組立柱からなることを特徴とする。
【0015】
本願の第10発明は、前記メーン柱の組立柱がそれぞれ異なる材質からなるものであることを特徴とする。
【0016】
本願の第11発明は、前記メーン柱の両端にそれぞれ、該メーン柱の両端の開口を封止するための封止蓋が設置され、
前記支持プレートにおけるメーン柱の端部または封止蓋に対応する箇所に収容穴が形成されることを特徴とする。
【0017】
本願の第12発明は、前記支持が直接にメーン柱の両端の開口を封止してカバーすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、メーン柱の内部に冷却材を充填することから、メーン柱またはマット全体の温度を下げる効果を提供する。また、その構造によれば、本発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、地震からの振動吸収を行う時に、湾曲や変形を繰り返して生じた熱で第一材料層及び第二材料層が解けてしまうという問題を解決することが出来る。さらに、本発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、効果的に温度上昇が抑制されるから、構造上の本来の強度を維持できて、高い振動吸収性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る第一実施例の部分斜視断面図である。
【
図2】本発明に係る第一実施例の側面断面図である。
【
図3】本発明に係る第一実施例の正面断面図である。
【
図4】本発明に係る第二実施例の正面断面図である。
【
図5】本発明に係る第三実施例の側面断面図である。
【
図6】本発明に係る第三実施例の正面断面図である。
【
図7】本発明に係る第四実施例の側面断面図である。
【
図8】本発明に係る第五実施例の側面断面図である。
【
図9】本発明に係る第六実施例の側面断面図である。
【
図10】本発明に係る第七実施例の側面断面図である。
【
図11】本発明に係る第八実施例の側面断面図である。
【
図12】本発明に係る第九実施例の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の実施例は、本発明の好適な実施の形態を示したものにすぎず、本発明の技術的範囲は、実施例そのものに何ら限定されるものではない。
【0021】
図1乃至
図3に示すように、本発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、メーン柱10と、2つの支持プレート12と、複数の第一材料層14と、複数の第二材料層16とを有する。
本発明における第一実施例のメーン柱10は、内部を中空にし、断面を円形や方形など如何なる幾何学形状にしてもよい。
また、該メーン柱10は、可撓性を有する変形可能な例えば鉛、鉄、アルミなどの
金属材料よりなる。
該メーン柱10の内部には冷却剤20を充填する。
その冷却剤20は、水や冷媒などの冷却可能な物質よりなる。
一方、第一実施例におけるメーン柱10の両端にはそれぞれ封止蓋11が設置される。それら封止蓋11がメーン柱10両端の開口を封止する。
【0022】
それぞれ、メーン柱10の両端に設置される前記支持プレート12は、円形や方形など如何なる幾何学形状を呈しても構わず、床、建築物、橋、機器などの大型の物体に装着される。その支持プレート12の中央には、メーン柱10の端部または封止蓋11の形状に対応する収容穴122が形成される。
前記複数の第一材料層14及び複数の第二材料層16は、それぞれ交互に配置されるとともに、メーン柱10を囲むようにそれら支持プレート12との間に位置する。
その第一材料層14または第二材料層16は、支持プレート12と対応するように円形や方形などの如何なる幾何学形状を呈してもよく、例えば、それら支持プレート12を方形にして、第一材料層14及び第二材料層16を円形にするように、第一材料層14または第二材料層16は、支持プレート12の形状と異なってもよい。
【0023】
その第一材料層14及び第二材料層16はそれぞれ、可撓性を有する変形可能な材料からなる。該第一材料層14の材料は第二材料層16の材質と異なってもよい。第一材料層14は、例えばゴム或いは金属からなり、第二材料層16は、例えば金属、ゴム、炭素繊維などからなる。
【0024】
本発明の温度上昇防止可能な支持マットを使用する時には、それら支持プレート12をそれぞれ床、或いは大型の物体の所定の位置に介装する。地震が発生した際には、そのメーン柱10及び第一材料層14、第二材料層16の変形によって、地震からの振動またはエネルギーを吸収することから、その振動またはエネルギーを大型の物体等への伝達を抑制して、大型の物体等の破壊を低減することが出来る。このように本発明においては、各種の建築物、橋、機器などの大型の物体に対して優れた振動吸収効果を発揮することができる。
【0025】
さらに、本発明ではメーン柱10の内部に冷却剤20を充填していることから、メーン柱10及びマット全体の温度を下げる効果を有する。
すなわち、冷却剤20の冷却作用によって、メーン柱10及び第一材料層14、第二材料層16の融解を防止するとともに、マットの温度上昇を防止することも可能である。また、マットの構造的な本来の強度を維持できるので、振動吸収の効果を高めることができる。
【0026】
図4に複数のメーン柱10Aを配置した本発明の第二実施例を示す。
本例においてメーン柱10Aはそれぞれ、中空形状を呈し、マットの円心を中心として円周に沿って所定の間隔をおいて配列してある。
また、該各メーン柱10Aの内部には、マットの冷却効果を高めるための冷却剤20を充填してある。
【0027】
図5及び
図6に、1つのメーン柱10Cを有する本発明の第三実施例を示す。
該メーン柱10Cは、固体の柱体102と、該柱体102を囲むように設置される殻104を備える。その柱体102と殻104との間に収容空間106を形成していて、該収容空間106に冷却剤20を充填する。
【0028】
図7に複数の組立柱で構成したメーン柱10Dを有する本発明の第四実施例を示す。
メーン柱10Dを構成する各組立柱は、同じ材質、或いは異なる材質で構成する。
これら組立柱はそれぞれ、異なる湾曲作用または異なる変形作用を提供することから、建築物の設計または配置に応用することが可能であり、実際の需要を満たす。
【0029】
図8にメーン柱10Eを有する本発明の第五実施例を示す。
本例におけるメーン柱10Eは、固体の柱体102Eと、該柱体102Eを囲むように設置される殻104Eとを備える。
その柱体102Eと殻104Eとの間に収容空間106Eが形成され、該収容空間106Eに冷却剤20を充填する。
また、その柱体102Eは、複数の組立柱からなるとともに、殻104Eは、複数の組立殻からなる。これら組立柱または組立殻は、同じ材料、或いは異なる材料で構成することで、それぞれ異なる湾曲作用または異なる変形作用を提供することから、建築物の設計または配置に応用することが可能であり、実際の需要を満たす。
【0030】
図9乃至
図12に、本発明に係る第六実施例乃至第九実施例のメーン柱10F、10G、10H、10Iを示す。
メーン柱10F、10G、10H、10Iはそれぞれ上述した各実施例のように形成されるが、封止蓋が設置されていない点において異なる。
これらのメーン柱10F、10G、10H、10Iの両端にはそれぞれ支持プレート12F、12G、12H、12Iが設置される。
これらの支持プレート12F、12G、12H、12Iが直接にメーン柱10F、10G、10H、10Iの両端の開口を封止してカバーする。
この封止構造を有すれば、本発明に係る温度上昇防止可能な支持マットは、構造を簡単にして構成部材を減らすことが出来る。
【0031】
さらに、
図5乃至
図12に示した各実施例におけるメーン柱10C、メーン柱10D、メーン柱10E、10F、10G、10H、10Iは、建築物の設計または配置に対して実際の需要に応じて複数の組立柱または複数の組立殻で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は上記の構成を有することから、マットが支持プレート12を介して床、建築物、橋などの大型の物体に装着されると、地震からの振動を吸収する効果を提供すると共に、建築物の破壊を減少することができる。また、地震の振動を吸収する際に熱を生じてマットの温度が上昇するといった従来の問題に対し、本発明ではメーン柱の内部に冷却材を充填することから、メーン柱またはマット全体の温度を下げることができ、マットの構造的な強度を維持して、本来有する高い振動吸収性能を維持できる地震対策に優れた振動吸収マットを提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
10、10A,10C、10D メーン柱
10F、10G、10H、10I メーン柱
102、102E 柱体
104、104E 殻
106、106E 収容空間
11 封止蓋
12、12F、12G、12H、12I 支持プレート
122 収容穴
14 第一材料層
16 第二材料層
20 冷却剤