(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDを使用したダウンライトやスポットライトなどのヒートシンクには、自然対流により放熱を行うタイプのものが用いられるが、その基本構造としては、内部にコードを通したりするための筒状の中央ベース部と、この中央ベース部の外面側に突設される複数のフィンからなるものが好ましい。このようなヒートシンクに要求される基本性能としては、(i)自然対流による放熱に最適な形態とフィンピッチの設計が可能であること、(ii)軽量で且つ低コストに製造できること、(iii)熱の放射率が高いこと、などが挙げられる。
【0006】
しかし、上記のような構造のヒートシンクを押出し成形法で一体的に製造する場合、以下のような課題があり、特に比較的大型のヒートシンクを製造する場合に大きな問題となる。
(a)押出し成形時の自重を支えるために、中央ベース部やフィンの一部を厚くして強度を高める必要があり、これに伴い押出しのバランスをとるために他の部位の厚さも大きくする必要があり、これらの結果、ヒートシンクが重量化するとともに、材料コストも高くなる。
(b)金型強度を高める必要があり、このため放熱設計上の制限事項が増える。例えば、フィンピッチを狭くできず、放熱に適した最適なフィンピッチの設計ができなくなる。
【0007】
(c)筒状の中央ベース部とその外面側に突設される複数のフィンからなるような押出し材は、金型を作るのが非常に難しく、また押出し技術の難易度も高い。このような面からも設計の自由度が小さく、中央ベース部やフィンの厚さを小さくできない、複雑な形状にできない、フィンピッチを最適化できない、などの問題がある。また同様の理由から、金型コストや表面処理コストが高くなる。
(d)重く且つ大きいため、作業効率(加工・移動等)が悪く、また、自重により疵や打痕がつき易い。
(e)通常、ヒートシンクには熱の放射率を高めるためにアルマイトなどの表面処理が施されるが、筒状の中央ベース部の内部は狭い空洞であるため、その内面に表面処理が付きにくい。
(f)筒状の中央ベース部の内部は狭い空洞であるため、その空洞部分にLEDなどの電源を設置しようとしても、空洞部分の内側面へのネジ止め作業ができない等の作業上の制約から電源をうまく設置することができない。このため板金に電源を固定し、この板金をヒートシンクに固定することで、電源を設置するしかない。また、他の部品の設置についても同様である。
【0008】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、(i)設計の自由度が高く、自然対流による放熱に最適な形態とフィンピッチの設計が可能である、(ii)軽量で且つ低コストに製造できる、(iii)取り扱いが容易で作業効率が良く、疵や打痕がつきにくい、(iv)放熱量を大きくできる、(v)内部に電源などの部品を容易に設置することができる、といった性能・特性を備えたヒートシンク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ヒートシンクが上記のような性能・特性を備えるとともに、ヒートシンク内部に電源などの部品が設置された電気機器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 筒状の中央ベース部(A)と、この中央ベース部(A)の外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィン(B)を有するヒートシンクであって、
同一形状の複数の構成部材(x)が環状に連結されることにより構成され、
各構成部材(x)は、中央ベース部(A)の一部を構成するベース部(a)と、このベース部(a)に突設される複数のフィン(b)と、ベース部(a)に形成され、他の構成部材(x)の連結手段構成部(c)と連結される連結手段構成部(c)を有するとともに、構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなり、
各構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)(但し、フィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなる場合は、幹状フィン部(b1)又は枝状フィン部(b2))は、隣り合う他の構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)(但し、フィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなる場合は、幹状フィン部(b1)又は枝状フィン部(b2))と平行であり、
複数の構成部材(x)は、
隣り合う構成部材(x)のベース部(a)間で連結手段構成部(c)を連結させることにより、環状に連結されるとともに、該環状に連結された状態で、各構成部材(x)をスプレッダに固定することにより、構成部材(x)どうしが相互に固定されることを特徴とするヒートシンク。
【0011】
[2] 筒状の中央ベース部(A)と、この中央ベース部(A)の外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィン(B)を有するヒートシンクであって、
同一形状の複数の構成部材(x)が環状に組み合わされることにより構成され、
各構成部材(x)は、中央ベース部(A)の一部を構成するベース部(a)と、このベース部(a)に突設される複数のフィン(b)と、ベース部(a)に形成され、他の構成部材(x)の係合部(d)と係合することができる係合部(d)を有するとともに、構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなり、
各構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)(但し、フィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなる場合は、幹状フィン部(b1)又は枝状フィン部(b2))は、隣り合う他の構成部材(x)が有する複数のフィン(b)のうちの一部のフィン(b)(但し、フィン(b)が、ベース部(a)に突設される幹状フィン部(b1)と、この幹状フィン部(b1)に突設される枝状フィン部(b2)からなる場合は、幹状フィン部(b1)又は枝状フィン部(b2))と平行であり、
複数の構成部材(x)は、
隣り合う構成部材(x)のベース部(a)間で係合部(d)を係合させることにより、環状に組み合わされるとともに、該環状に組み合わされた状態で、各構成部材(x)をスプレッダに固定することにより、構成部材(x)どうしが相互に固定されることを特徴とするヒートシンク。
【発明の効果】
【0024】
本発明のヒートシンクは、筒状の中央ベース部(A)と、この中央ベース部(A)の外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィン(B)を有するヒートシンクであって、同一形状の複数の構成部材(x)を分割して製作し、これらを環状に組み立てる(連結又は組み合わせる)ことにより1つのヒートシンクが構成されるようにしたものであり、このような本発明のヒートシンクによれば、以下のような効果が得られ、特に比較的大型のヒートシンクに適用した場合にその効果が大きい。
(A)ヒートシンク全体に較べて構成部材(x)は自重が小さいため、従来の一体的に押出し成形されるヒートシンクのように押出し成形時の自重を支えるために中央ベース部やフィンを厚くする必要がなく、このため、ヒートシンクを軽量化することができ、材料コストも低く抑えることができる。
(B)従来の一体的に押出し成形されるヒートシンクを製造するには高い金型強度が必要であるのに対して、金型強度をあまり高くする必要がないため、放熱設計上の制限が少なく、自然対流による放熱に最適な形態とフィンピッチの設計が可能となる。
(C)ヒートシンク全体に較べて構成部材(x)は断面形状が単純で、且つ筒状の中央ベース部もないため、押出し金型を作るのが容易であり、また押出し技術の難易度も高くない。この点で、従来の一体的に押出し成形されるヒートシンクに較べて設計の自由度が大きく、中央ベース部やフィンの厚さを小さくでき、また、複雑な形状に設計することやフィンピッチの最適化ができる、などの利点がある。
【0025】
(D)分割された同一形状の構成部材(x)を押出し成形するだけでよく、構成部材(x)には筒状の中央ベース部もないため、金型コストや表面処理コストが非常に低くて済み、特に金型コストについては、従来の一体的に押出し成形されるヒートシンクに較べて約1/4以下にでき、超低コスト化を実現できる。
(E)一体的に押出し成形されるヒートシンクの場合、形状が複雑であるため押出し速度が制限されること、押出しの難易度が高いこと、大型の押出し装置が必要であること、などの理由で押出し技術料(いわゆるロールマージン)が非常に高くなるのに対して、構成部材(x)は形状が単純であり、押出しの難易度も高くなく、また大型の押出し装置も必要ないため、一体的に押出し成形されるヒートシンクに較べて押出し技術料を6〜7割程度にでき、この点からも低コスト化できる。
(F)各構成部材(x)は軽く且つコンパクトであるため、取り扱いが容易で作業効率(加工・移動等)が良く、疵や打痕がつきにくい。
(G)各構成部材(x)にアルマイトなどの表面処理を施せばよいため、筒状の中央ベース部の内面についても適正な表面処理層を形成でき、その分ヒートシンクの放射率を高めることができる。
(H)複数の構成部材(x)を組み立てる際に、筒状の中央ベース部の内部に電源などの部品を容易に設置することができる。このため電源などの発熱をヒートシンクで放熱可能となる。
【0026】
また、本発明のヒートシンクの製造方法によれば、上記のようなヒートシンクを容易に且つ安定して製造することができる。
また、本発明の電気機器によれば、ヒートシンクが上記のような性能・特性を備えるとともに、ヒートシンク内部に電源などの部品が設置されるので、電源などの発熱をヒートシンクで放熱することも可能となる。また、本発明の電気機器の製造方法によれば、そのような電気機器を容易に且つ安定して製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のヒートシンクは、筒状の中央ベース部Aと、この中央ベース部Aの外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィンB(放熱用のフィン)を有し、同一形状の複数の構成部材xが環状に組み立てられることにより構成されるものであるが、(α)各構成部材xが連結手段構成部cを有し、複数の構成部材xを、互いの連結手段構成部cを介して連結することにより環状に連結されるタイプ(第一のタイプ)、(β)各構成部材xが係合部dを有し、複数の構成部材xを、互いの係合部dを係合させることにより、環状に組み合わされるタイプ(第二のタイプ)、という構造が異なる2つのタイプがある。
【0029】
本発明のヒートシンクを構成する同一形状の構成部材xの数は、2つ以上であれば任意であり、いずれの場合も、それら複数の構成部材xが環状に組み立てられる(連結又は組み合わされる)ことによりヒートシンクが構成される。
本発明のヒートシンクは、同一形状の複数の構成部材xが環状に組み立てられることにより構成されるので、通常、その平面形状(連結構成部c、係合部d、凹溝5等の細部を除く基本的な平面形状)は、中央ベース部Aの中心を通る線を対称軸とした線対称となるか、若しくは中央ベース部Aの中心を対称中心とした点対称となる。
【0030】
まず、上記(α)の第一のタイプのヒートシンクについて説明する。
図1〜
図4は、本発明のヒートシンクの一実施形態を示すものであり、
図1は平面図、
図2はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図、
図3は1つの構成部材xを分離した状態で示す斜視図、
図4は連結されるべき1対の連結手段構成部c(
図4(ア))とそれらの連結状態(
図4(イ))を示す平面図である。
本発明のヒートシンクは、筒状の中央ベース部Aと、この中央ベース部Aの外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィンB(放熱用のフィン)を有する。各フィンBは筒状の中央ベース部Aの全長に沿って設けられており、これら複数のフィンBを含めたヒートシンク全体の立体形状(輪郭)は短柱形状である。
【0031】
筒状の中央ベース部Aは、フィンBを支持するとともに、その内部に配線コードを通すことができ、さらに、本発明のヒートシンクの場合には、後述するように電源などの部品を配置することもできる。複数のフィンBは、中央ベース部Aから外方に向かってほぼ放射状に延出している。通常、このヒートシンクの筒軸方向の一端側の端面にはスプレッダ(実装基板)が固定される。このスプレッダを通じて発熱源(例えば、LED)の熱がヒートシンクに移動し、放熱がなされる。
【0032】
本発明の第一のタイプのヒートシンクは、同一形状の複数の構成部材xが環状に連結されることにより構成され、本実施形態では6つの構成部材xが環状に連結される。
図2に示すように、各構成部材xは、筒状の中央ベース部Aの一部(筒周方向での一部)を構成するベース部aと、このベース部aに突設される複数のフィンbと、ベース部aに形成され、他の構成部材xの連結手段構成部cと連結される連結手段構成部cを有している。そして、複数の構成部材xは、隣接する構成部材xのベース部a間で連結手段構成部cを連結させることにより、環状に連結される。各構成部材xは、押出し成形で製造されるもので、通常は、アルミ合金からなる。
このヒートシンクは、同一形状の複数の構成部材xを分割して製作し、これらを環状に連結することにより1つのヒートシンクが構成されるようにしたものであるため、さきに(A)〜(H)として挙げたような効果が得られる。
【0033】
ベース部aは板状(平板状)に構成され、この板状のベースaの一方の面に複数のフィンbが突設され、他方の面(以下、「下面」という場合がある)が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面六角形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で5枚突設され、そのうちの1枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0034】
ヒートシンクにおいて、フィンb(フィンB)による放熱性能を高めるには、フィンbの周りに速度境界層が生じて自然対流による放熱が阻害されることを防止する必要があり、これには、(i)フィンbどうしの間隔をなるべく広くすること、(ii)フィンbとベース部aとの間で鋭角のコーナー部をなるべく作らないようにすること、などが有効である。このうち(i)については、フィンの設置数に関係するため、配慮するとしても限度があるので、特に(ii)について配慮することが好ましい。
【0035】
本実施形態では、
図2で示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された5枚のフィンbのうち、4枚が鉛直状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの一端部側のフィンbは、水平状のベース部aに対して傾斜状に設けられるとともに、その途中から枝状のフィン部が延びている。すなわち、この傾斜したフィンbは、ベース部aに突設される幹状フィン部b1と、この幹状フィン部b1に突設される複数の枝状フィン部b2からなる。本実施形態では、左右1対の枝状フィン部b2が幹状フィン部b1の幅方向(高さ方向)で2段設けられている。
【0036】
押出し成形法により構成部材xを製造する場合、長尺の押出し材を切断機により構成部材xの長さに切断する必要がある。
図19に、この押出し材yの切断方法を示すが、切断時の押出し材yは位置ズレを起こさず、且つ肉厚の薄いフィン等の曲がりが発生しないように固定される必要がある。このため、複数本の押出し材yを支持台8上に平行に並べるとともに、上部を抑え板9で拘束して固定し、この状態で複数本の押出し材yの幅方向をカッターで同時に切断するものである。抑え板9で押出し材yを確実に固定するには、抑え板9により各押出し材yの複数のフィンを拘束する必要があり、このため、構成部材xのベース部aが水平面上に置かれたときに、下記(I)又は(II)の条件を満足することが好ましい。
【0037】
(I)構成部材xが有する複数のフィンbの全部が、フィン先端(ベース部aに突設される幹状フィン部b1と、この幹状フィン部b1に突設される枝状フィン部b2からなるフィンbにあっては、幹状フィン部b1先端、枝状フィン部b2先端のうちの少なくとも1つ)が同じ高さである。
(II)構成部材xが有する複数のフィンbのうちの2つ以上のフィンbが、フィン先端(ベース部aに突設される幹状フィン部b1と、この幹状フィン部b1に突設される枝状フィン部b2からなるフィンbにあっては、幹状フィン部b1先端、枝状フィン部b2先端のうちの少なくとも1つ)が同じ高さで且つ他のフィンbよりも高さが高い。
【0038】
図19の押出し材y(構成部材x)は上記(II)の条件を備えており、3枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。一方、本実施形態(
図1〜
図3)の構成部材xは上記(I)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、全部のフィンb(うち1枚は枝状フィン部b2を有するフィンb)のフィン先端が抑え板9に拘束される。
また、切断時の応力によりフィンbの曲がり等が生じないようにするため、構成部材xのベース部aが水平面上に置かれたときに、上記(I)又は(II)の条件を満足するフィンb(但し、ベース部aに突設される幹状フィン部b1と、この幹状フィン部b1に突設される枝状フィン部b2からなるフィンbにあっては、幹状フィン部b1又は枝状フィン部b2)は鉛直状であることが好ましい。本実施形態でも、フィン先端が同じ高さのフィンbと枝状フィン部b2は、すべて鉛直状に構成されている。
【0039】
各構成部材xは、ベース部aの一端側の下面と他端側の側端面に、それぞれ他の構成部材xの連結手段構成部cが連結される連結手段構成部cを有している。
図4(ア)に示すように、構成部材x間で連結される2つの連結手段構成部cのうちの一方の連結手段構成部cは、溝開口部10が狭められた凹溝1からなり、他方の連結手段構成部cは、基端部にくびれ部20を有する突条2からなっている。一方の構成部材xの突条2は、他方の構成部材xの端面から凹溝1内にスライドさせるようにして挿入され、
図4(イ)に示すように、突条2が凹溝1内に嵌め込まれた状態で、溝開口部10の縁部がくびれ部20に入り込み(両者が係合可能な状態となる)、突条2を凹溝1内に保持する。
【0040】
本実施形態の突条2は、対向する1対の板状の突条部21
A,21
Bで構成され、両突条部21
A,21
Bは互い方向に湾曲した弧状の断面形状を有している。両突条部21
A,21
Bはベース部aに突設されるが、両突条部21
A,21
Bの基端部間の部位4は、突条部21
A,21
Bがその基端部付近で容易に塑性変形できるように、ベース部aの外面3と面一であるか又は外面3よりも低い溝状となっている。また、同様の理由から、両突条部21
A,21
Bは、その基端部近傍の部分の厚みt
1が、それよりも上部の部分の厚みt
2よりも小さくなっている。
また、構成部材xのベース部a及び/又はフィンbには、溝端部にスプレッダ固定用のネジを取り付けるための凹溝5が設けられている。
【0041】
連結手段構成部cは、本実施形態に限らず種々の構造のものとすることができる。
図5(ア)〜(カ)は、連結手段構成部cの他の実施形態を示すもので、
図5(ア)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cを断面C字状の突条2(1対の突条部22
A,22
Bを有する突条2)で構成し、他方の構成部材xの連結手段構成部cをその突条2が嵌め込まれる凹溝1で構成したものである。また、
図5(イ),(ウ)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cを断面リング状の突条2で構成し、他方の構成部材xの連結手段構成部cをその突条2が嵌め込まれる凹溝1で構成したものである。このうち
図5(ウ)は、断面リング状の突条2の基端部の内側の部位6を、ベース部aの外面3と面一であるか又は外面3よりも低い溝状としたものである。また、
図5(エ)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cである突条2は
図4と同様であるが、他方の構成部材xの連結手段構成部cである凹溝1については、その内面に凸条11を設けたものである。また、
図5(オ),(カ)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cを中実の突条2で構成したものである。このうち
図5(オ)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cを断面略円形状の突条2で構成し、他方の構成部材xの連結手段構成部cをその突条2が嵌め込まれる凹溝1で構成したものである。また、
図5(カ)は、一方の構成部材xの連結手段構成部cを断面逆台形状の突条2で構成し、他方の構成部材xの連結手段構成部cをその突条2が嵌め込まれる凹溝1で構成したものである。なお、突条2や凹溝1の断面形状は弧状に限らず、三角形、多角形など任意である。
【0042】
図6及び
図7は、本発明のヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図6は平面図、
図7はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。この実施形態のヒートシンクは4つの構成部材xからなり、これらが環状に連結される。
【0043】
図1〜
図4の実施形態と同様、ベース部aは板状(平板状)に構成され、この板状のベースaの一方の面と一方の側端面に複数のフィンbが突設され、他方の面が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面正方形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で5枚突設され、そのうちの1枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0044】
本実施形態では、
図7に示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された5枚のフィンbのうち、4枚が鉛直状または水平状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状又は水平状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの一端側から2番目のフィンbは、水平状のベース部aに対して傾斜状に設けられるとともに、ベース部aに突設される幹状フィン部b1と、この幹状フィン部b1に突設される複数の枝状フィン部b2から構成されている。本実施形態では、左右1対の枝状フィン部b2が幹状フィン部b1の幅方向(高さ方向)で2段設けられている。
【0045】
本実施形態の構成部材xは、さきに
図1〜
図4の実施形態の説明において挙げた(II)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、3枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。また、これらフィン先端が同じ高さの3枚のフィンbは、水平状のベース部aに対してすべて鉛直状に構成されている。
各構成部材xの他の構成と構成部材xどうしの連結構造などは、
図1〜
図4の実施形態と同様なので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図8及び
図9は、本発明のヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図8は平面図、
図9はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。この実施形態のヒートシンクも4つの構成部材xからなり、これらが環状に連結される。
図1〜
図4の実施形態と同様、ベース部aは板状(平板状)に構成され、この板状のベースaの一方の面と一方の側端面に複数のフィンbが突設され、他方の面が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面正方形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で4枚突設され、そのうちの1枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0047】
本実施形態では、
図9に示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された4枚のフィンbの全部が鉛直状又は水平状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状又は水平状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの一端側の水平状のフィンb(幹状フィン部b1)の片面に、高さが異なる複数の枝状フィン部b2が、フィン幅方向で間隔をおいて突設されている。これら枝状フィン部b2も水平状のベース部aに対して鉛直状であり、したがって、この実施形態では、枝状フィン部b2を含めた全てのフィンbが水平状のベース部aに対して鉛直状又は水平状である。
【0048】
本実施形態の構成部材xは、さきに
図1〜
図4の実施形態の説明において挙げた(II)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、3枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。また、これらフィン先端が同じ高さの3枚のフィンbは、水平状のベース部aに対してすべて鉛直状に構成されている。
各構成部材xの他の構成と構成部材xどうしの連結構造などは、
図1〜
図4の実施形態と同様なので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図10及び
図11は、本発明のヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図10は平面図、
図11はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。この実施形態のヒートシンクは3つの構成部材xからなり、これらが環状に連結される。
図1〜
図4の実施形態と同様、ベース部aは板状(平板状)に構成され、この板状のベースaの一方の面に複数のフィンbが突設され、他方の面が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面正三角形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で9枚突設され、そのうちの2枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0050】
本実施形態では、
図11に示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された9枚のフィンbのうち8枚が鉛直状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの一端側のフィンbは水平状のベース部aに対して傾斜状に設けられるとともに、その隣のフィンとベース部aの他端側のフィンbの各片面に、高さが異なる複数の枝状フィン部b2が、フィン幅方向(高さ方向)で間隔をおいて突設されている。
【0051】
本実施形態の構成部材xは、さきに
図1〜
図4の実施形態の説明において挙げた(II)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、4枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。また、これらフィン先端が同じ高さの4枚のフィンbは、水平状のベース部aに対してすべて鉛直状に構成されている。
各構成部材xの他の構成と構成部材xどうしの連結構造などは、
図1〜
図4の実施形態と同様なので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図12及び
図13は、本発明のヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図12は平面図、
図13はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。この実施形態のヒートシンクも3つの構成部材xからなり、これらが環状に連結される。
ベース部aは断面円弧状に構成され、この断面円弧状のベースaの外周面側に複数のフィンbが突設され、内周面側が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面円形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で7枚突設され、そのうちの2枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0053】
本実施形態では、
図13に示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された7枚のフィンbのうち6枚が鉛直状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの一端側のフィンbは水平状のベース部aに対して傾斜状に設けられるとともに、その隣のフィンbとベース部aの他端側のフィンbの各片面に、高さが異なる複数の枝状フィン部b2が、フィン幅方向(高さ方向)で間隔をおいて突設されている。
【0054】
本実施形態の構成部材xは、さきに
図1〜
図4の実施形態の説明において挙げた(II)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、4枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。また、これらフィン先端が同じ高さの4枚のフィンbは、水平状のベース部aに対してすべて鉛直状に構成されている。
各構成部材xの他の構成と構成部材xどうしの連結構造などは、
図1〜
図4の実施形態と同様なので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図14及び
図15は、本発明のヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図14は平面図、
図15はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。この実施形態のヒートシンクは2つの構成部材xからなり、これらが環状に連結される。
ベース部aは断面円弧状に構成され、この断面円弧状のベースaの外周面側に複数のフィンbが突設され、内周面側が筒状の中央ベース部Aの内面を構成する。本実施形態では、ベース部aどうしが連結手段構成部cを介して筒状に連結されることで、断面円形状の中央ベース部Aが構成される。フィンbはベース部aに対して所定の間隔で10枚突設され、そのうちの4枚は、後述するように枝状のフィンを有している。
【0056】
本実施形態では、
図15に示すようにベース部aが水平面上に置かれたときに(以下、便宜上、この状態のベース部aを「水平状のベース部a」という場合がある)、ベース部aに突設された10枚のフィンbのうち8枚が鉛直状又は水平状に構成されている。一方、全部のフィンbをベース部aに対して鉛直状又は水平状に設けると、構成部材xどうしを連結したときに、構成部材x間にフィンbが疎らな領域が生じてしまうので、ベース部aの両端側から3番目のフィンbはベース部aに対して傾斜状に設けられるとともに、これらのフィンbの両隣のフィンbの各片面に、高さが異なる複数の枝状フィン部b2が、フィン幅方向(高さ方向)で間隔をおいて突設されている。
【0057】
本実施形態の構成部材xは、さきに
図1〜
図4の実施形態の説明において挙げた(II)の条件を備えており、したがって、その押出し材yの切断時には、2枚のフィンbのフィン先端が抑え板9に拘束される。また、これらフィン先端が同じ高さのフィンbは、水平状のベース部aに対してすべて鉛直状に構成されている。
各構成部材xの他の構成と構成部材xどうしの連結構造などは、
図1〜
図4の実施形態と同様なので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
本発明の第一のタイプのヒートシンクは、構成部材xどうしが連結手段構成部cで連結されたまま(例えば、突条2が凹溝1に嵌め込まれたまま)でもよいが、連結された構成部材xどうしが簡単に分離しないように固定されることが好ましく、その固定構造としては以下のような形態がある。
(1)複数の構成部材xが環状に連結された状態で、連結された連結手段構成部cを部分的に塑性変形させ、連結手段構成部cどうしを固定的又は半固定的な連結状態とすることにより、構成部材xどうしが相互に固定される。
(2)複数の構成部材xが環状に連結された状態で、各構成部材xをスプレッダに固定することにより、構成部材xどうしが相互に固定される。
【0059】
以下、これら(1)及び(2)の固定構造を、上述した実施形態のヒートシンクを例に説明する。
図16は、上記(1)の固定構造のうち連結手段構成部cどうしを半固定的な連結状態とする場合の例を示しており、
図16(ア)に示すように突条2が凹溝1内に嵌め込まれた状態で、
図16(イ)に示すように突条2の一端部側から両突条部21
A,21
B間にポンチなどのような加工具7を打ち込むことで、両突条部21
A,21
B間を押し広げ(突条部21
A,21
Bを外側方向に塑性変形させる)、構成部材xどうしが相互に固定されるようにする。このような半固定的な連結状態とすることにより、ヒートシンク形状の微調整が可能となる。
【0060】
図17は、上記(1)の固定構造のうち連結手段構成部cどうしを固定的な連結状態とする場合の例を示しており、突条2が凹溝1内に嵌め込まれた状態で、突条2の一端部側から両突条部21
A,21
B間にピンpを打ち込む(又はネジをねじ込む)ことで、両突条部21
A,21
B間を押し広げ(突条部21
A,21
Bを外側方向に塑性変形させる)、構成部材xどうしが相互に固定されるようにする。
図18は、上記(2)の固定構造の例を示しており、各構成部材xのベース部a及び/又はフィンbに設けられた凹溝5の端部をネジ穴とし、スプレッダSをこれらのネジ穴を利用して各構成部材xにネジ止めし(ネジq)、各構成部材xをスプレッダSに固定することにより、構成部材xどうしが相互に固定されるようにする。
【0061】
次に、さきに(β)として挙げた第二のタイプ(各構成部材xが係合部dを有し、複数の構成部材xを、互いの係合部dを係合させることにより、環状に組み合わされるタイプ)のヒートシンクについて説明する。
図20及び
図21は、この第二のタイプのヒートシンクの一実施形態を示すもので、
図20は平面図、
図21はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。さきに説明した第一のタイプのヒートシンクと同様、このヒートシンクも、筒状の中央ベース部Aと、この中央ベース部Aの外面側に筒周方向で間隔をおいて突設される複数のフィンB(放熱用のフィン)を有するもので、各フィンBは筒状の中央ベース部Aの全長に沿って設けられており、これら複数のフィンBを含めたヒートシンク全体の立体形状(輪郭)は短柱形状である(ヒートシンクの立体形状は、
図3を参照)。
このヒートシンクは、同一形状の複数の構成部材xからなる点は、さきに挙げた第一のタイプのヒートシンクと同様であるが、ベース部aが連結手段構成部cを持たず、係合部dを介して環状に組み合わされることにより構成される。本実施形態は6つの構成部材xが環状に組み合わされたものであり、さきに説明した第一のタイプの
図1〜
図3の実施形態に対応するものである。
【0062】
図21に示すように、各構成部材xは、筒状の中央ベース部Aの一部(筒周方向での一部)を構成するベース部aと、このベース部aに突設される複数のフィンbと、ベース部aに形成され、他の構成部材xの係合部dと係合することができる係合部dを有している。そして、複数の構成部材xは、隣接する構成部材xのベース部a間で係合部dを係合させることにより、環状に組み立てられる。
各構成部材xのベース部aに設けられる係合部dは、隣接する構成部材xの係合部dどうしが係合することで両構成部材xの位置決めができるようなものであればよく、例えば、係合可能な凹部・凸部や段部などで構成することができる。本実施形態の係合部dは、係合可能な凹部・凸部で構成されている。すなわち、ベース部aの一端側の下面に凹溝状の係合部dを有し、ベース部aの他端側の側端面に凸条状の係合部dを有しており、これらの係合部dは、それぞれ隣接する他の構成部材xの係合部dと係合可能となっている。
なお、各構成部材xのベース部a及び/又はフィンbには、
図2に示すような、溝端部にスプレッダ固定用のネジを取り付けるための凹溝5が設けられるが、
図20及び
図21では図示を省略してある。
【0063】
図22及び
図23は、本発明の第二のタイプのヒートシンクの他の実施形態を示すもので、
図22は平面図、
図23はヒートシンクを構成する複数の構成部材xのうちの1つの構成部材xを示す平面図である。本実施形態は4つの構成部材xが環状に組み合わされたものであり、さきに説明した第一のタイプの
図6及び
図7の実施形態に対応するものである。この実施形態でも、各構成部材xは、ベース部aの一端側の下面に凹溝状の係合部dを有し、ベース部aの他端側の側端面に凸条状の係合部dを有しており、これらの係合部dは、それぞれ隣接する他の構成部材xの係合部dと係合可能となっている。
なお、各構成部材xのベース部a及び/又はフィンbには、
図2に示すような、溝端部にスプレッダ固定用のネジを取り付けるための凹溝5が設けられるが、
図22及び
図23では図示を省略してある。
【0064】
以上述べた本発明の第二のタイプのヒートシンクのその他の構成は、さきに説明した第一のタイプのヒートシンクと同様であるので、同一の符合を付し、詳細な説明は省略する。
以上のような本発明の第二のタイプのヒートシンクは、構成部材xどうしの連結手段を有しないため、通常は、複数の構成部材xが環状に組み合わされた状態で、各構成部材xをスプレッダに固定することにより、構成部材xどうしが相互に固定される。
このヒートシンクは、同一形状の複数の構成部材xを分割して製作し、これらを環状に組み合わせることにより1つのヒートシンクが構成されるようにしたものであるため、さきに(A)〜(H)として挙げたような効果が得られる。
【0065】
本発明のヒートシンクは、半導体素子の放熱用として好適であり、とりわけLEDを用いた照明器具の放熱用として好適であるが、これに限らず種々の電気機器やその他の発熱源の放熱用として適用可能である。また、本発明は押出し成形が難しい比較的大型のヒートシンク(例えば、
図1などに示されるヒートシンク平面形状の外接円の直径が100mm以上、特に120mm以上のもの)として特に有用である。
【0066】
本発明の第一のタイプのヒートシンクの製造方法は、押出し成形で製造された同一形状の複数の構成部材xを、隣接する構成部材xのベース部a間で連結手段構成部cを連結させることにより、環状に連結する。さらに好ましくは、環状に連結した構成部材xを以下のようにして固定する。
(1)複数の構成部材xを環状に連結した状態で、連結された連結手段構成部cを部分的に塑性変形させ、連結手段構成部cどうしを固定的又は半固定的な連結状態とすることにより、構成部材xどうしを相互に固定する。
(2)複数の構成部材xを環状に連結した状態で、各構成部材xをスプレッダに固定することにより、構成部材xどうしを相互に固定する。
これら(1)、(2)の固定方法については、さきに
図16〜
図18を用いて説明した通りである。
【0067】
本発明の第二のタイプのヒートシンクの製造方法では、押出し成形で製造された同一形状の複数の構成部材xを、隣接する構成部材xのベース部a間で係合部dを係合させることにより、環状に組み合わせる。また、各構成部材xを連結固定するために、例えば、各構成部材xをスプレッダに固定することにより、構成部材xどうしを相互に固定する。
【0068】
次に、本発明のヒートシンクを利用した電気機器について説明する。
図24〜
図26は、本発明の第一のタイプのヒートシンクを利用した電気機器及びその製造方法の一実施形態を示している。このうち
図24は、電気機器の部品を取り付けた1つの構成部材xを示すものであり、
図24(ア)は平面図、
図24(イ)は側面図である。また、
図25は、
図24の構成部材xを含む複数の構成部材xを連結して構成されたヒートシンクを示す平面図である。また、
図26は、
図25のヒートシンクにスプレッダを取り付けた状態を示すもので、
図26(ア)は平面図、
図26(イ)は側面図である。
【0069】
この電気機器では、複数の構成部材xを環状に組み立てる前に、
図24に示すように1又は2以上の構成部材xのベース部a(筒状の中央ベース部Aの内側となる面)に部品eをネジ止めなどで固定し、しかる後、
図25に示すように、複数の構成部材xを環状に組み立てて連結する。これにより、筒状の中央ベース部Aの内部に部品eを容易に設置することができる。このように組み立てられたヒートシンクに対して、
図26に示されるようにスプレッダSが装着され(スプレッダSの装着法は
図18の説明参照)、これにより構成部材xどうしが相互に固定される。本実施形態ではLEDが装着されたスプレッダSが装着されているが、これに限定されるものではない。
【0070】
このように構成された電気機器は、部品eがLED照明器具などの電源である場合には、電源などの発熱をヒートシンクで放熱することも可能となる。
また、
図20〜
図23に示すような本発明の第二のタイプのヒートシンクを利用した電気機器についても、複数の構成部材xを環状に組み立てる前に、1又は2以上の構成部材xのベース部a(筒状の中央ベース部Aの内側となる面)に部品eをネジ止めなどで固定し、しかる後、
図20や
図22に示すように、複数の構成部材xを環状に組み合わせ、この状態のヒートシンクに対してスプレッダSが装着され(スプレッダSの装着法は
図18の説明参照)、構成部材xどうしが相互に固定される。
【0071】
本発明のヒートシンクと従来の一体型ヒートシンクの性能を比較した試験結果を以下に示す。
図1、
図6、
図10、
図12、
図14に示す各タイプのヒートシンク(本発明例)と
図27に示す従来の一体型ヒートシンクをLED照明器具に適用し、温度上昇量や熱抵抗などを調べた。その結果を表1に示すが、本発明のヒートシンクは、従来の一体型ヒートシンクに較べて放熱特性に優れ、また同じ放熱特性であればサイズ(長さL)を相当程度小さくできることが判る。なお、ヒートシンクの長さLとは、筒状の中央ベース部A及びフィンBの全長である(
図26(イ)を参照)。