特許第5786006号(P5786006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786006
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】画像消去装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   G03G21/00 574
   G03G21/00 386
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-193794(P2013-193794)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-60079(P2015-60079A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】100165261
【弁理士】
【氏名又は名称】登原 究
(74)【代理人】
【識別番号】100194076
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】曽我 直史
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−082200(JP,A)
【文献】 特開平06−105172(JP,A)
【文献】 特開平11−048535(JP,A)
【文献】 特開2005−057405(JP,A)
【文献】 特開2001−217967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/26
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用するシートを搬送路に沿って給紙トレイから搬送する搬送部と、
前記搬送路に沿って設けられ、搬送される前記シート上の画像の読取処理を実行する読取部と、
前記搬送路に沿って前記読取部の下流に設けられ、搬送される前記シート上の画像に対して消色処理を施す消色部と、
前記読取部により読み取られた第1の画像と前記記憶部に保存されている第2の画像とが重複するか否かを判断し、重複すると判断した場合には前記第1の画像を前記記憶部へ保存する保存処理は実行せずに前記消色処理を実行し、前記判断が不可能な場合には前記保存処理及び前記消色処理のいずれも実行しない制御を行う制御部と、
を備える画像消去装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の画像と前記第2の画像とが同一画像であるか否かに基づいて前記判断を行う請求項1に記載の画像消去装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の画像及び前記第2の画像における特定の領域を比較することにより前記第1の画像と前記第2の画像とが同一であるか否かの判断を行う請求項2に記載の画像消去装置。
【請求項4】
本体へ給紙するシートを載置する給紙トレイと、
シート束1部あたりのシートの枚数情報を取得する取得部とをさらに有し、
前記制御部は、前記給紙トレイから給紙されるシートのうち、前記取得部で取得した枚数情報分のシートについては重複しないと判断し、以降前記給紙トレイに載置されていたシートについては重複すると判断する請求項に記載の画像消去装置。
【請求項5】
前記制御部が成した処理情報を表示させる表示部をさらに有し、
前記制御部は、前判断不可能な場合、前記表示部にその旨を通知する請求項1乃至の何れか1項に記載の画像消去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート上に形成された画像を消去する画像消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば記録用紙等のシート上の画像の色材を加熱することで透明へ消色し、シートを再利用可能な状態にする画像消去装置がある。このような画像消去装置においては、読取部によりシート上の画像を読み取り、この画像を記憶部へ保存した後に消色処理を施す。
【0003】
しかしながら、従来の画像消去装置では、例えば同一画像が印刷された複数のシートに対して消色処理を施す場合、たとえ同一画像であっても全ての画像を記憶部へ保存するため、メモリを余分に消費してしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−70540公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、同一画像を複数保存することによるメモリの消費を抑制する画像消去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像消去装置は、搬送部、読取部、消色部、及び制御部を有する。前記搬送部は、再利用するシートを搬送路に沿って給紙トレイから搬送する。前記読取部は、前記搬送路に沿って設けられ、搬送される前記シート上の画像の読取処理を実行する。前記消色部は、前記搬送路に沿って前記読取部の下流に設けられ、搬送される前記シート上の画像に対して消色処理を施す。前記制御部は、前記読取部により読み取られた第1の画像と前記記憶部に保存されている第2の画像とが重複するか否かを判断し、重複すると判断した場合には前記第1の画像を前記記憶部へ保存する保存処理は実行せずに前記消色処理を実行し、前記判断が不可能な場合には前記保存処理及び前記消色処理のいずれも実行しない制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態における画像消去装置の構成を説明する断面図。
図2図1に示す画像消去装置のハードウェア構成の制御ブロック図。
図3】第1の実施形態における第2消色モードの制御フローチャート。
図4】第2の実施形態における第2消色モードの制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
画像消去装置は、消色可能トナーや消色可能インク等の消色可能な色材により画像を形成された記録用紙等のシートに対し、画像の色を消す消色処理を施す。消色可能な色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能な色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。以下、消色可能な色材を単に記録材料と呼ぶ。
(第1の実施形態)
【0010】
以下に、第1の実施形態の画像消去装置の構成及び動作について説明する。本実施形態の画像消去装置は、ユーザから入力された枚数分のシートの画像のみ記憶部へ保存処理を行い、以降のシートの画像は保存処理を行わない。
【0011】
図1は、第1の実施形態における画像消去装置100の構成を説明する断面図である。画像消去装置100は、詳細は後述するが、装置筐体上部に設けた給紙トレイ110及び給紙部材120、第1搬送路190、第1搬送路190から分岐点220を介して枝分かれした第2搬送路195及び第3搬送路200、第3搬送路200から分岐した第4搬送路205を有する。尚、これら搬送路は、シートの各種処理要求に応じてシートを選択的に搬送する搬送経路であり、例えば、本実施形態で全体としてシートの搬送路を構成する。画像消去装置100はさらに、第1及び第2搬送路190、195の合流点225、分岐点220に設けられた第1分岐部材210、第3及び第4搬送路200、205の分岐点に設けられた第2分岐部材215、並びに第1乃至第4搬送路190、195、200、205に配置された複数の搬送ローラ286を有する。画像消去装置100は、上記搬送路により搬送されたシートを収容するために、装置筐体下部に設けられた第1トレイ165及び第2トレイ170、並びに第1及び第2トレイ165、170にそれぞれ対応して設けられた排出部材180を有する。さらに、画像消去装置100は、本実施形態でのシートの画像消去を行う為、第1搬送路190に配置された読取部130、第2搬送路195に配置された消色部150、及び装置筐体上部に設けられた操作部240を有する。
【0012】
給紙トレイ110は、再利用するシートを積載する。再利用するシートは、例えば、記録材料で画像形成されたシートである。尚、シートはA3、A4、B5等、様々なサイズであって良い。給紙部材120は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、及びシート供給ローラに対向配置される分離ローラ等を有する。給紙部材120は、給紙トレイ110上のシートを1枚ずつ画像消去装置100内部の第1搬送路190へ搬送する。
【0013】
給紙トレイ110は、給紙トレイ110上のシートの有無を検知する検知センサ112を有する。検知センサ112は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。
【0014】
第1搬送路190は、複数の搬送ローラ286を有し、給紙トレイ110から分岐点220へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路190は、読取部130を介して給紙されたシートを分岐点220へ搬送する。
【0015】
読取部130は、第1搬送路190に沿って給紙トレイ110及び第2搬送路195の合流点225の下流に配置される。読取部130は、例えば、第1搬送路190を挟んで対向して位置する第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bを有する。第1及び第2読取ユニット132a、132bは、搬送されるシートの第1面の画像及び裏面である第2面の画像を読み取る。すなわち読取部130は、第1及び第2読取ユニット132a、132bにより、第1搬送路190を搬送されるシートの両面の画像を読み取る。
【0016】
第1分岐部材210は、読取部130の下流で第1搬送路190と第2搬送路195の分岐点220に配置される。第1分岐部材210は、読取部130を出て分岐点220へ搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材210は、第1搬送路190を搬送されるシートを第2搬送路195又は第3搬送路200へ選択的に振り分ける。第1分岐部材210は、例えば、通常の状態(非駆動状態)では、第1搬送路190から第3搬送路200へのシートの搬送を許容する。他方、駆動状態では、シートの第1搬送路190から第3の搬送路200への搬送を阻止する。従って、シートは、第2搬送路195へ搬送される。
【0017】
第2搬送路195は複数の搬送ローラ286を有し、分岐点220において第1搬送路190より分岐する。さらに、第2搬送路195は、読取部130よりも上流に位置する合流点225へ向かって湾曲部を有している。このため、第2搬送路195は、合流点225において、第1搬送路190と合流する。すなわち、第1搬送路190と第2搬送路195は、分岐点220及び合流点225を介して循環する搬送路を形成する。前述のように第2搬送路195には、後述する消色部150が配置されている。従って、循環する搬送路は、読取部130から搬送されてきたシートを、消色部150を経由して、再び、読取部130へ搬送することを可能とする。詳述すれば、本実施形態の画像消去装置100は、給紙部材120から供給されたシートを、第1搬送路190により合流点225を経由して読取部130へ導き、読取部130で処理されたシートを、第1分岐部材210を制御して分岐点220で第2搬送路195へ導き、消色部150、更に合流点225を経由して読取部130の順に搬送する。
【0018】
消色部150は、例えば、第1消色ユニット152a及び第2消色ユニット152bを有し、この両ユニットは、図1に示すように第2搬送路195に沿って対向して配置され、搬送されるシート両面の画像の色を消す消色処理を行う。消色部150は、例えば、搬送されるシートへ接触した状態でシートを消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。消色部150の第1消色ユニット152aは、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。第2消色ユニット152bは、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消色部150は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。
【0019】
図1に示す第3搬送路200は分岐点220を介して第1搬送路190と繋がっており、分岐点220を通過したシートを第2分岐部材215へ搬送する。第2分岐部材215を介して搬送されるシートは、図1に示すように、上下に配置される第1トレイ165又は第2トレイ170のいずれかに収容される。例えば、第2分岐部材215は、第1トレイ165の後述する排出部材180の近傍に配置され、第1分岐部材210を介して搬送されたシートを第1トレイ165又は、第3搬送路200に第2分岐部材215を介して接続された第4搬送路205へ搬送する。第2分岐部材215は、例えば、通常の状態(非駆動状態)では、第3搬送路200から第4搬送路205へのシートの搬送を阻止し、シートは第1トレイ165に排紙される。他方、駆動状態では、シートの第3搬送路200から第1トレイ165への搬送を阻止し、シートは、第4搬送路205に搬送される。第4搬送路205は搬送ローラ286を有し、シートを第2トレイ170へ搬送する。
【0020】
排出部材180は、詳述すると、画像消去装置100の下部に上下に配置された第1トレイ165、第2トレイ170にそれぞれ備えられる。排出部材180は、それぞれ第1トレイ165又は第2トレイ170へシートを排紙する。例えば、第1トレイ165は、シートの画像が消色され、再利用可能となったシートを収容する。第2トレイ170は、再利用不可能と判断されたシートを収容する。以下、第1トレイ165をリユーストレイと呼び、第2トレイ170をリジェクトトレイと呼ぶ。尚、第1トレイ165及び第2トレイ170は、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。従って、受け入れるシートの属性によってその呼称は変更される。それぞれのトレイがどのようなシートを収容するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部240から可能である。
【0021】
画像消去装置100は、第1乃至第4搬送路190,195、200、205を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサを有する。シート検知センサは、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。シート検知センサは、搬送路の適切な位置に配置される。
【0022】
操作部240は、例えば、タッチパネル式の表示部245と各種の操作キーとを有し、画像消去装置100本体の上部に配置される。操作キーは、例えば、テンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、操作部240を介して、消色処理の開始又は消色するシートの画像の読み込み等の画像消去装置100の機能動作を指示する。表示部245は、画像消去装置100の設定情報や動作ステータスやログ情報等を表示する。
【0023】
尚、操作部240は、例えば、ネットワークを介して外部装置の操作装置と接続され、外部の操作装置から操作出来る構成であっても良い。又は、操作部240は、画像消去装置100本体から独立した形態で、有線又は無線通信によって画像消去装置100を操作する構成であっても良い。すなわち、本実施形態の操作部240は、画像消去装置100に対して処理の指示や情報の閲覧等が出来るものであれば良い。
【0024】
以下に、上述の構成を有する画像消去装置100の制御について説明する。
【0025】
図2は、図1に示す画像消去装置100のハードウェア構成の制御ブロック図である。画像消去装置100は、読取部130、消色部150、操作部240、制御部250、記憶部260、検知部270、搬送部280、及び通信インターフェース(I/F)部290を有する。画像消去装置100の各部は、バスライン300を介して接続される。
【0026】
制御部250は、CPU(Central Processing Unit)或いはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ252とメモリ254を有する。メモリ254は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)256と、プロセッサ252に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)258を有する。例えば、ROM256は、再利用可否の閾値とするシートの印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM258は、読取部130で読み取った画像を一時的に保存しても良い。制御部250は、ROM256又は記憶部260に格納された各種プログラム等に基づいて、画像消去装置100の各部を制御する。
【0027】
記憶部260は、読取部130が読み取った画像を保存する。記憶部260は、例えば、ハードディスクドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、若しくはフラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置、又はこれらの任意の組み合わせであって良い。例えば、消色部150が消色処理する前に、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像を記憶部260へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することが出来る。
【0028】
検知部270は、図1に示す検知センサ112及び前述した各搬送路において搬送されるシートを検知するシート検知センサ(図示せず)を有する。制御部250は、検知センサ112からの信号に基づいて給紙トレイ110上のシートの有無、及びジャムの有無等を判断する。
【0029】
搬送部280は、図1に示す第1乃至第4搬送路190、195、200、205、上記搬送路に配置される複数の搬送ローラ286、排出部材180、及びこれら各ローラを駆動する複数の搬送モータを有する。
【0030】
通信I/F部290は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F部290は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線又は有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F部290は、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインターフェース等を含んでも良い。制御部250は、通信I/F部290を介して複合機、その他外部機器と通信する。尚、読取部130、消色部150、及び操作部240については、既に説明済みであるのでその説明については省略する。
【0031】
以下に、本実施形態の画像消去装置100が実行する各処理について説明する。
【0032】
画像消去装置100は、例えば、以下の各処理モードを有する。前述のシートの搬送経路は、画像消去装置100が実行する各処理モードに基づいて第1又は第2分岐部材210、215を制御して適宜変更される。以下に参照される分別処理は、読取部130が読み取ったシートの表面状態を示す画像を基に、シートが再利用可能か否かを制御部250が判定し、判定結果に応じてリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170へ選択的に振り分ける処理である。保存処理は、読取部130が読み取ったシート上の画像を記憶部260へ保存する処理である。尚、分別処理及び保存処理については詳細を後述する。
(1)第1消色モード:保存処理を行わず、消色処理のみを行う。
(2)第2消色モード:保存処理後、消色処理を行う。
(3)第3消色モード:保存処理を行わず、消色処理後、分別処理を行う。
(4)第4消色モード:保存処理後、消色処理を行い、さらに分別処理を行う。
(5)第5消色モード:分別処理後、必要に応じて消色処理を行い、さらに分別処理を行う。
(6)読取モード:消色処理を行わず、保存処理を行う。
上述の各処理モードは、画像消去装置100の操作部240で選択出来る。また、各処理モードの選択は、画像消去装置100の操作部240に限らず、外部の端末から設定しても良い。第1乃至第5消色モードでは、シートは必ず消色部150へ搬送される。一方、読取モードでは、画像消去装置100は、第1搬送路190を搬送されるシートを、第2搬送路195を介して消色部150へ搬送することなく、読取部130から分岐点220及び第3搬送路200を経由して排紙する。この場合、前述のように、第1分岐部材210は非駆動状態にあり、第1搬送路190と第3搬送路200は連通状態にある。
【0033】
制御部250は、例えば、操作部240で設定された上述の各処理モードに応じて、読取部130、消色部150、及びその他の構成を制御する。例えば、第1乃至第5消色モードが選択された場合には、制御部250は、消色部150にシートの画像を消色させる。
【0034】
消色部150がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部130が読み取る場合(第3消色モード、第4消色モード、第5消色モード)、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに消し残りの割合を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先をリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170に決定する(分別処理)。
【0035】
尚、第5消色モードにおける1回目の分別処理においては、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに印字率を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を消色部150又はリジェクトトレイ170に決定する。また、この分別処理は、後述する保存処理を兼ねても良い。すなわち制御部250は、読み取った画像を基に再利用可能か否かの判定をするとともに、この画像を記憶部260へ保存する。
【0036】
他方、消色部150へシートが搬送される前に、読取部130がシートの画像を読み取る場合(第2消色モード、第4消色モード)、制御部250は、読取部130で読み取った画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。ここで、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定しても良い。
【0037】
消色処理を行わずに、シートの画像を読み取る読取モードが設定された場合、読取部130がシートの画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。制御部250は、第1分岐部材210を駆動せず、従って読み取りが終了したシートを、消色部150へ搬送せず、第2分岐部材215を制御してリジェクトトレイ170へ排紙する。尚、この読取モードにおいて、制御部250は保存処理ではなく分別処理又は、保存処理と分別処理の両方を行っても良い。すなわち制御部250は、読取モードにおいて読取部130がシートの画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存した上で、当該画像を基に、例えばシートの再利用可否を判定することにより、シートをリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170へ分別しても良い。
【0038】
以下、第1の実施形態の保存処理について詳しく説明する。本実施形態では、例として、複数枚のシートからなる書類を複数部数集めたシート束に対して消色処理を施す。このシート束のうち、最初の1部目の書類を構成するシートに対しては、シート上に形成された消色処理前の画像を読み取り、記憶部260へ保存する(保存処理)。保存処理が施されたシートは、消色部150により消色処理を施される。他方、2部目の書類以降を構成するシートに対しては、保存処理を施すことなく消色処理を施す。
【0039】
尚、保存処理の対象となる最初の1部目の書類が何枚のシートにより構成されているかは、取得部より取得する。取得部は、例えば、ユーザからの入力を受け付ける操作部240、又は外部機器からの入力を受け付ける通信I/F部290等である。以下では、操作部240を取得部として説明する。また、取得部より取得した枚数情報(閾値P)は、RAM258又は記憶部260へ保存される。以下では、閾値PをRAM258へ保存することとする。
【0040】
以上まとめると、制御部250がシートを給紙する場合に、それまでの累計枚数Nが1部目の書類を構成するシートの枚数である閾値P以下である場合には、当該シート上の画像は保存処理が施されていないため、読取部130で読み取られ、記憶部260へ保存される。他方、累計枚数Nが閾値Pを超える場合、当該シート上の画像と同一の画像が1部目の書類を構成するシートの画像として既に保存処理されているため、これらのシートは読取部130で読み取られることなく分岐点220へ搬送される。
【0041】
図3は、第1の実施形態における第2消色モードの制御フローである。本実施形態では、シートに対して保存処理後に消色処理を施す第2消色モードを例にとって説明する。
【0042】
ユーザが、操作部240より書類の1部目を構成するシートの枚数、すなわち閾値Pを入力する。制御部250は、取得した閾値PをRAM258へ格納する(ACT101)。次に、ユーザが第2消色モードを指定し処理をスタートさせると、制御部250は、給紙部材120を駆動させ、シートを第1搬送路190へ搬送する(ACT102)。ここで制御部250は、搬送するシートの累計枚数Nを1加算する(ACT103)。尚、図3に示す処理フローの場合には、累計枚数Nの初期値は0である。加算後の累計枚数Nが閾値P以下の場合(ACT104、Yes)、制御部250は、シートを読取部130へ搬送する。読取部130は、第1搬送路190に沿って搬送されるシートに対して読取処理を行う(ACT105)。次に制御部250は、読取部130が読み取った画像に対して保存処理を行う(ACT106)。制御部250は、保存処理が終了したシートを分岐点220へ搬送する。他方、ACT104において給紙トレイ110から給紙したシートの累計枚数Nが閾値Pを超えている場合(ACT104、No)、制御部250は、読取部130を通過させてシートを分岐点220へ搬送する。この場合、図3に示すように、読取処理および保存処理は実行されない。次に制御部250は、第1分岐部材210を駆動させることで、シートへの読取処理および保存処理が実行されているかどうかに拘わらず、第2搬送路195を介してシートを分岐点220から消色部150へ搬送する。消色部150は、搬送されるシートに対して消色処理を施す(ACT107)。制御部250は、第2搬送路195、合流点225、及び第1搬送路190を介して消色処理が施されたシートを再び分岐点220へ搬送する。制御部250は、第1分岐部材210を駆動させずに、シートを第3搬送路200へ搬送する。制御部250は、リユーストレイ165へシートを排紙する(ACT108)。ここで制御部250は、給紙トレイ110上の全てのシートに対して処理が完了したか否かを確認する(ACT109)。制御部250は、給紙トレイ110上のシートの有無を検知センサ112からの入力により確認出来る。給紙トレイ110上にシートが存在する場合(ACT109、No)、制御部250は、最上部に位置するシートに対して上記フローに沿った処理を開始する(ACT102)。他方、全てのシートに対して処理が完了した場合(ACT109、Yes)、制御部250は、RAM258に保存される累計枚数N及び閾値Pをリセットし(ACT110)、処理を終了する。累計枚数Nと閾値Pのうち閾値Pは、次の入力があれば、上書き可能なので必ずしも処理終了毎にリセットする必要は無い。
【0043】
上述した第1の実施形態によれば、ユーザが操作部240より指定した枚数のシート以外は保存処理を行わないため、重複する画像を保存しない。すなわち、記憶部260のメモリの消費量を抑制することが可能である。
(第2の実施形態)
【0044】
以下、第2の実施形態の画像消去装置100の構成及び動作について説明する。本実施形態の画像消去装置100は、例えば、第1の実施形態と同様に、複数枚のシートからなる書類を複数部数集めたシート束が対象となる。例えばシート上の画像のうち、ページ番号を読み取り、既に保存処理が施された画像のページ番号であった場合には、当該画像に対して保存処理を行わない。尚、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0045】
本実施形態の画像消去装置の保存処理において、制御部250は、読取部130が読み取った画像からページ番号を抽出する。制御部250は、抽出したページ番号及び当該画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。尚、ページ番号の保存先は記憶部260ではなくRAM258でも良い。既に当該ページ番号が保存されている場合、読み取った画像は保存せずに破棄する。1つのジョブ、すなわち給紙トレイ110へ積載されたシート束全てに対して処理が終了すると、記憶部260又はRAM258に保存されたページ番号はリセットされる。上記の構成により、重複したページ番号の画像に対しては保存処理を行わないため、メモリの消費を抑制することが出来る。
【0046】
また、例えば、ページ番号を読み取れなかった等により当該ページ番号が保存されているか否かを判断できない場合、制御部250は、シートの画像を記憶部260へ保存せず、消色処理も施さない。すなわち制御部250は、シートに対して保存処理も消色処理も施さずに例えばリジェクトトレイ170(図4参照)へ排紙する。排紙されたシートは、ユーザによって保存処理及び消色処理の要否を確認される。このように、保存処理の要否をユーザに確認させることで不用意な保存によるメモリの消費及び安易な消色処理による画像の破棄を防ぐことが出来る。この時に、判断不能なシートが搬送されたことを表示部245に表示させても良い。その上で、保存処理及び消色処理の要否を、操作部240を通じてユーザから入力させても良い。制御部250は、入力に従って処理を施す。
【0047】
図4は、第2の実施形態における第2消色モードの制御フローである。本実施形態では、シートに対して保存処理後に消色処理を施す第2消色モードを例にとって説明する。以下の説明においては、読み取ったページ番号は、RAM258に保存されるものとする。
【0048】
ユーザが第2消色モードをスタートさせると、制御部250は、給紙部材120を駆動させ、シートを第1搬送路190へ搬送する(ACT201)。読取部130は、第1搬送路190に沿って搬送されるシートに対して読取処理を行う(ACT202)。次に制御部250は、読取部130が読み取った画像からページ番号を抽出する(ACT203)。ここでページ番号が抽出不可能であった場合(ACT204、No)、制御部250は、シートを例えばリジェクトトレイ170へ排紙する(ACT205)。他方、ページ番号を抽出した場合(ACT204、Yes)、制御部250は、当該ページ番号がRAM258に格納されているか否かを判断する(ACT206)。RAM258に当該ページ番号が格納されていない場合(ACT206、No)、制御部250は、当該画像の保存処理を行う(ACT207)。保存処理において制御部250は、当該ページ番号をRAM258に保存し、当該画像を記憶部260へ保存する。制御部250は、保存処理が終了したシートを分岐点220へ搬送する。他方、ACT206において、当該ページ番号がRAM258に格納されている場合(ACT206、Yes)、制御部250は、保存処理を行うことなくシートを分岐点220へ搬送する。制御部250は、第1分岐部材210を駆動させることで、シートを分岐点220から第2搬送路195を介して消色部150へ搬送する。消色部150は、搬送されるシートに対して消色処理を施す(ACT208)。制御部250は、第2搬送路195、合流点225、及び第1搬送路190を介して消色処理が施されたシートを再び分岐点220へ搬送する。制御部250は、第1分岐部材210を駆動させずに、シートを第3搬送路200へ搬送する。制御部250は、リユーストレイ165へシートを排紙する(ACT209)。ここで制御部250は、給紙トレイ110上の全てのシートに対して処理が完了したか否かを確認する(ACT210)。制御部250は、給紙トレイ110上のシートの有無を検知センサ112からの入力により確認出来る。給紙トレイ110上にシートが存在する場合(ACT210、No)、制御部250は、最上部に位置するシートに対して上記フローに沿った処理を開始する(ACT201)。他方、全てのシートに対して処理が完了した場合(ACT210、Yes)、制御部250は、RAM258に保存されるページ番号をリセットし(ACT211)、処理を終了する。
【0049】
上述した第2の実施形態によれば、読取部がシート上のページ番号を読み取り、既に読み取られたページ番号の画像については保存処理を行わないことで、第1の実施形態と同様に、記憶部のメモリの消費量を抑制することが出来る。また、ページ数を自動で読み取って保存処理の判別を行うため、ユーザが予め保存処理となるシートの枚数を入力しなくて良い。
【0050】
第2の実施形態においては、シート上の画像に印字されたページ番号を比較する事で、画像を記憶部へ保存するか否かを判断していたが、例えば、ヘッダー、フッダー、又はその他の画像等を抽出し、記憶部に保存される画像と比較を行っても良い。尚、画像全体で比較するよりも一部の画像により比較を行う方が比較する時間が短縮されるため望ましい。
【0051】
尚、判別不可能なシートの排紙先をリジェクトトレイとしたが、リユーストレイ又は保留シートの排紙先として新しくトレイを設けてもよい。
【0052】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、同一の画像を複数保存しないことで記憶部のメモリの消費を抑制することが可能である。
【0053】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。「消色処理」は、画像の色を消すと記述したが、画像を消去するという意味を含んで良い。すなわち、本実施の形態に記載の画像消去装置は、熱により画像の色を消す装置に限定されるものではない。例えば、光の照射によってシート上の画像の色を消す装置でも、特殊シートに形成された画像の消す装置でもよい。或いは、画像消去装置は、シート上の画像を除去(消去)する装置であっても良い。画像消去装置は、シートを再利用可能にするために、シート上の画像を見えなくする構成であれば良い。
【0054】
また、記憶部は上記各実施形態に記載するような、画像消去装置内部に限定して構成されるものではない。保存処理により画像を保存する場所は、例えば、ネットワークで接続されたサーバの記憶部又はその他外部機器の記憶部でも良い。また、USB接続部に接続されたUSBメモリに保存しても良い。
【0055】
上述の実施形態において、図3図4のプロセスを具現化するプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0056】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
100…画像消去装置
110…給紙トレイ
130…読取部
150…消色部
190…第1搬送路
195…第2搬送路
245…表示部
250…制御部
260…記憶部
280…搬送部
図1
図2
図3
図4