特許第5786095号(P5786095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786095
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】車両シート用調整システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/225 20060101AFI20150910BHJP
   B60N 2/235 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B60N2/225
   B60N2/235
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-530124(P2014-530124)
(86)(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公表番号】特表2014-530140(P2014-530140A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012064182
(87)【国際公開番号】WO2013037550
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】102011113747.9
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ユング、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ、 ダーク
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009056396(DE,A1)
【文献】 特表2009−532144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/225
B60N 2/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートの調整システムであって
連動させ且つ軸(A)を中心に互いに対して回転させることができる第1取付部品(11)及び第2取付部品(12)含む少なくとも1つの取付具(10)と、
その回転が前記取付具(10)のロックを解除する伝動棒(7)と、
の作動が前記伝動棒(7)の回転をもたらす少なくとも1つの操作要素(5,8)と
差動歯車として構成され、前記軸(A)と同心に配置され、且つ、前記取付部品(11,12)の回転及び前記伝動棒(7)の回転を互いから切り離す予め取り付けられたサブアセンブリとして構成されるギアモジュール(70)であって、手動で作動される前記操作要素(5,8)によって機械的に作動される前記ギアモジュール(70)の構成要素は、前記少なくとも1つの取付具(10)の第1取付部品11又は第2取付部品(12)に作用するギアモジュール(70)と
を備え、
前記ギアモジュール(70)は、半分閉じられたリングギアである第1リングギア(71)及び第2リングギア(75)を有し、前記第1リングギア(71)及び前記第2リングギア(75)は、それらの開放側で互いに向かい合い、且つ前記ギアモジュール(70)のハウジングを形成するように互いに組み立てられる、調整システム。
【請求項2】
前記ギアモジュール(70)は、2つの遊星歯車装置を有し、前記2つの遊星歯車装置は、幾何学的に同一であり、軸方向に隣接して配置され、共通の遊星キャリア(73)によって運動学的に相互に連結される請求項1に記載の調整システム。
【請求項3】
前記第1リングギア(71)は、前記第1取付部品(11)に回転に関して固定して接続され、
前記ギアモジュール(70)は前記第1リングギア(71)と噛み合う少なくとも1つの第1遊星歯車(72)と、前記少なくとも1つの第1遊星歯車(72)を回転可能に取り付ける遊星キャリア(73)と、前記少なくとも1つの第1遊星歯車(72)と噛み合い且つ前記第2取付部品(12)に回転に関して固定して接続された第1太陽歯車(74)と前記第2リングギア(75)と噛み合い且つ前記遊星キャリア(73)が回転可能に取り付ける少なくとも1つの第2遊星歯車(76)と、前記少なくとも1つの第2遊星歯車(76)と噛み合う第2太陽歯車(78)とを有し
前記操作要素(5,8)は、前記ギアモジュール(70)を作動させるために前記第2リングギア(75)及び/又は前記第2太陽歯車(78)と機械的に協働し、
前記第2太陽歯車(78)は前記少なくとも1つの取付具(10)に作用するために前記伝動棒(7)に回転に関して固定して接続され又は同伴するように連結される請求項2に記載の調整システム。
【請求項4】
前記操作要素(5,8)は、前記第2リングギア(75)に設けられたシフトアーム(75a)に接続されたシフトケーブル(81)と機械的に協働する請求項1から3のいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項5】
前記ギアモジュール(70)は前記少なくとも1つの取付具(10)の締付リング(24)と前記ギアモジュール(70)の太陽歯車(78)の間のクリップ接続部によって、前記少なくとも1つの取付具(10)に軸方向に固定される請求項1からのいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項6】
前記ギアモジュール(70)の構成要素を互いに軸方向に保持するため前記ギアモジュール(70)を前記取付具(10)に固定するクリップ接続部が設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項7】
前記ギアモジュール(70)は締結及び/又は前記操作要素(5,8)を用いた作動のため半径方向に突出するアーム(71a,74a,75a)を有する請求項1からのいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項8】
前記第1取付部品(11)に歯車(17)が形成され、前記第2取付部品(12)は前記取付具(10)をロックするために前記歯車(17)と協働する半径方向に変位可能なロッキングバー(16)を案内し、駆動要素(21)によって回転可能なばね付勢偏心器(27)が前記ロッキングバー(16)に作用し、前記伝動棒(7)は、回転させる前記駆動要素(21)を回転させ、前記駆動要素(21)は、結果とし前記偏心器(27)を回転させる請求項1からのいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項9】
座部(3)と、前記座部(3)に取り付けられ、前記座部(3)に対して旋回可能であり、且つ請求項1からのいずれか1項に記載の調整システム(5,7,10,47,70)によって前記座部(3)にロックされることができる背もたれ(4)とを備える、車両シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する車両シートの調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの調整システムは、特許文献1に開示されている。第1操作要素の作動は、伝動棒の回転をもたらし、その結果2つの取付具のロックを解除する。前記調整システムによって、車両シートの背もたれは、異なる傾きに調節するために、車両シートの座部に対して旋回される。前記背もたれを非使用位置に変えることがさらに必要な場合、伝動棒の初期位置に対する第2操作要素の取付部品への割り当てによっては、操作要素の1つが旋回運動によって不注意に作動されるという問題が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202010015171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの調整システムを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する調整システムによる本発明に従って達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0006】
本発明に係るギアモジュールは、取付具のロックを解除するために、好ましくは車両シートの背もたれ及び座部に接続された取付部品の回転を伝送棒の回転から切り離す。このようにして、操作要素と伝動棒が空間的に異なって取付部品に配置される初期位置を採る場合であっても、取付具のロック状態を維持することができる。このことは、特に、取付部品の回転に起因してロック状態に影響を与える複数の操作要素を備えた調整システムにおいて、又は、例えば傾きを調節するため及び自由な旋回のための複数のロック解除オプションを備えた取付具を使用する場合に有利である。
【0007】
切り離し機能のために、ギアモジュールは、好ましくは2つの遊星歯車装置を有し、2つの遊星歯車装置は、幾何学的に同一であり、且つ共通の遊星キャリアによって運動学的に相互に連結される。したがって、2つのリングギアと2つの太陽歯車と複数の遊星歯車とが好ましくは設けられる。リングギアと太陽歯車は、調整システムの4つの異なる構成要素、すなわち、2つの取付部品と伝動棒と操作要素とに動作可能に接続される。リングギア間のそれぞれの角度差は、取付具のロック解除及び/又はロックにつながり、一方、両リングギアの共通の運動は、太陽歯車間の角度差には、従って取付具のロック状態には影響せず、前記ロック状態を維持する。
【0008】
幾何学的に同一である2つの遊星歯車装置の組み合わせは、例えば、独国特許出願公開第102009056396号明細書に開示されている。しかしながら、前記遊星歯車装置は、駆動システムの不可欠な構成要素であり、駆動システムのハウジング内に取り付けられる。駆動システムは、電気モータと、モータによって駆動される駆動ディスクと、引きずるように駆動ディスクと連結された制御ディスクとによって電気機械的に制御される。制御ディスクは、リングギアの一方に作用する。付加的な手動の緊急作動が可能である。
【0009】
しかしながら、本発明に係るギアモジュールは、構成要素、すなわち、異なる協働する構成要素で構成された予め取り付けられたサブアセンブリであり、サブアセンブリは、好ましくは本質的に閉じられ、すなわち、詳細には別個の保護ハウジングを有し、且つ調整システムの他の構成要素とモジュール式に組み合わせることができ、詳細には遡及的に取り付けることもできる。好ましくは、ハウジングは2つのリングギアにより形成され、2つのリングギアは、互いに対して回転させることができ、且つ半分閉じられて開放側で互いに向かい合うように構成され、それによりハウジングには細長い穴が設けられる。
【0010】
ギアモジュール、すなわち、詳細にはその構成要素を相互に軸方向に保持するために、好ましくは、容易に閉じることができるクリップ接続部が設けられる。前記クリップ接続部が同時に、ギアモジュールを取付具に軸方向に固定することが特に好ましい。従って、取り付け時の予備位置決めとは別に、取付具の同心の回転も許され得る。軸方向の構造空間が小さく保たれるように、好ましくは半径方向に突出するアームが、回転に関して固定された取付部品への接続及び操作要素への動作接続のために設けられる。
【0011】
本発明に係る調整システムは、好ましくは背もたれの傾きを調節するために車両シートで使用されるが、異なる場所に使用されることもできる。ディスク状ユニットとして取付具のデザインは、軸を中心とする相対的な回転によって取付部品間の任意の角度の変更を可能にする。取付部品の軸方向の保持は、クリップリングによって行われる。
【0012】
図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明を以下でより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ギアモジュールの部分断面斜視図を示す。
図2】取付具が模式的に示された、ギアモジュールを通る軸方向断面を示す。
図3】ギアモジュールの分解図を示す。
図4】ロックされた使用位置における例示的な実施形態の部分断面側面図を示す。
図5】ロック解除された使用位置における図4に記載の図を示す。
図6】ロック解除された非使用位置における図4に記載の図を示す。
図7】ロックされた非使用位置における図4に記載の図を示す。
図8図9のVIII−VIII線に沿って取付具を通る半径方向断面を示す。
図9】取付具を通る軸方向断面を示す。
図10】取付具の分解図を示す。
図11】車両シートの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
自動車用の車両シート1は、座部3と、座部3に対して旋回可能であり且つ座部3に対してロックされることができる背もたれ4とを有する。背もたれ4は、傾きを調節されることができ、すなわち、背もたれ4は、異なる使用位置の間で調節されることができる。また、背もたれ4は、使用位置から非使用位置、例えば、後部座席列へ入ることを容易にするための自由旋回位置(乗車位置)、又は積載空間を増大させるためのテーブル位置へと前方に旋回させることができる。背もたれ4の傾き調節と(中央の)自由旋回は、共通の軸Aを中心に行われ、軸Aは以下で使用される円筒座標系を定める。
【0015】
背もたれ4の傾き調節は、第1操作要素5、例えばハンドレバーの手動作動によって行われる。軸Aと位置合わせされ且つ前記軸を中心に回転可能な(剛体の、好ましくは中空の、又はオプションで中実の)伝動棒7が設けられ、前記伝動棒は、座部3と背もたれ4の間の遷移領域に水平に配置される。第1操作要素5は、好ましくは、輪郭形成された伝動棒7上に、前記伝動棒を回転させるために、回転に関して固定して配置される。特定の角度、例えば30°までの伝動棒7の回転は、背もたれ4のロックを解除する。
【0016】
背もたれ4の非使用位置への移行は、第2操作要素8、例えば背もたれ4側の追加的なレバーの手動作動によって行われ、第2操作要素8もまた背もたれ4のロックを解除する。好ましくは、車両シート1は、座部3の両側にそれぞれ1対のシートレール9を有し、シートレール9を用いて全体として前後方向に調節することができる(すなわち、その前後方向の座席の位置を調節することができる)。非使用位置が自由旋回位置であるならば、自由旋回位置で車両シート1が後部座席列に入るのをさらに容易にする前方の前後方向座席位置を採るように、前記自由旋回位置への移行の間にシートレール9もロック解除され、車両シート1は全体として前方に押し出される。背もたれ4は、クッションの圧縮によって又は車両シート1を押し戻す際に背もたれ4が途中で逆に旋回しないように、オプションで前記自由旋回位置にロックされることができる。同じことがテーブル位置にも当てはまる。
【0017】
手動作動の代わりに又は手動作動に加えて、第2操作要素8は、例えば車両の荷室から作動させることができる、機械的に、電気的に、空気圧で及び/又は油圧で操作される遠隔のロック解除システムとして構成されることができる。
【0018】
車両シート1の両側で、伝動棒7は、回転に関して固定された(又は所定の遊びを有して連れ回るよう連結された)接続部で取付具10に係合する。
【0019】
各取付具10は、軸Aを中心に互いに対して回転可能な、第1取付部品11と第2取付部品12とを有する。2つの取付部品11及び12は、いずれもほぼ円形ディスク形状を有することができる。取付部品11及び12の両方が、少なくとも部分的に硬化させることができる金属、特に鋼で好ましくは構成される。軸方向に作用する力を受けるため、すなわち、取付部品11及び12を互いに軸方向に保持するために、クリップリング13が設けられる。クリップリング13は好ましくは未硬化である金属、特に鋼で好ましくは構成される。クリップリング13は、実質的に平坦な環状形状を好ましくは有するが、代替的な実施形態では、シリンダ部分とその前面に平坦な環状部分とを備えたL字形状に輪郭形成されることができる。
【0020】
クリップリング13は、2つの取付部品11,12の一方に、この例では第2取付部品12に外側環状部分で、例えばレーザ溶接によって又はそれ自体既知のさらなる締結方法によって、固定的に接続される。軸方向に対して垂直な平面に配置された内側環状部分によって、クリップリング13は、オプションで滑りリングが介在することにより、2つの取付部品11,12の相対運動を妨げることなく、第1取付部品11をその半径方向外縁領域において取り囲む。また、互いに向かい合う2つの取付部品11,12の内側面は、異物の侵入、汚れ及び破損から保護される。
【0021】
クリップリング13、及びクリップリング13に固定的に接続された取付部品11又は12は、このようにして、これらに対して移動可能な2つの取付部品11,12の他方をクランプする。設計の観点から、2つの取付部品11,12は、共に(クリップリング13と)ディスク状ユニットを形成する。
【0022】
取付具10を取り付ける際、第1取付部品11は、例えば、背もたれ4の構造体に固定的に接続され、すなわち背もたれに固定される。第2取付部品12は、その場合は、座部3の構造体に固定的に接続され、すなわち座部に固定される。しかしながら、取付部品11及び12の割り当ては、逆にすることもでき、すなわち、その場合は、第1取付部品11は座部に固定され、第2取付部品12は背もたれに固定される。取付具10は、背もたれ4と座部3の間の力の流れに位置する。
【0023】
取付具10はラッチング型取付具として構成され、ラッチング型取付具では、第1取付部品11と第2取付部品12は、例えば独国実用新案出願公開第202009016989号明細書(その関連する開示は本発明に明示的に組み込まれるもととする)に記載されるように、連動させることができる。
【0024】
第2取付部品12は、(この例では4つの)ガイドセグメント14を有し、ガイドセグメント14は、2つ1組で1つのロッキングバー16を真っ直ぐなガイド面によって半径方向の横方向にガイドする。ロッキングバー16(この例では合計4つ)は、2つの取付部品11と12の間に定められた構造空間内に、相互に(本例ではいずれも90°)ずれて配置される。ロッキングバー16は、それらの半径方向外側の端部に歯部が設けられ、歯部は、リングギアとして構成された第1取付部品11の歯車17と係合させられる(係合するようになる)ことができる。歯車17とロッキングバー16が協働した場合に、取付具10はロックされる。
【0025】
第1取付部品11は、第2取付部品12の凹部に配置され且つ第2取付部品12によって半径方向外側を取り囲まれ、それによって2つの取付部品11,12は相互に支持する。この場合、第1取付部品11の半径方向外縁領域は、歯車17が半径方向においてガイドセグメント14と(第1取付部品11を支えるのに役立つ)第2取付部品12の半径方向外縁領域との間にある状態で配置される。高負荷の場合、例えば衝突の場合、(変形後の)第1取付部品11は、その歯車17が荷重方向寄りに位置するガイドセグメント14に当接するようになることができ、ガイドセグメント14はそれに対応して(同心円状に)湾曲した面を歯車17の方向に有する。これにより、取付具10の強度が高められる。
【0026】
第1取付部品11は第2取付部品12内に装着することができる。しかしながら、状況を全く逆にすることができ、すなわち、第2取付部品12を第1取付部品11内に装着することができる。しかしながら、原則として、両方の構成は同等である。
【0027】
取付具10の中央に駆動要素21が配置され、前記駆動要素は、例えばプラスチック材料で作られ、2つの取付部品11,12の少なくとも一方に、この例では第1取付部品11に、より詳細にはその中央開口部に回転可能に取り付けられる。車両シートの両側で、駆動要素21は、中空駆動要素21の穴23内に挿入された伝動棒7に、回転に関して固定して接続され又は少なくとも同伴するように連結される。駆動要素21の少なくとも一方の端部には締付リング24が設けられ、前記締付リングは、本例ではプラスチック材料から構成され、好ましくは超音波溶接によって駆動要素21に固定される。第1操作要素5は、締付リング24に確実に且つ回転に関して固定してクリップ留めされることができる。
【0028】
偏心器27が、駆動要素21に回転に関して固定して配置され又は少なくとも同伴するように連結され、前記偏心器は、取付部品11と12の間に定められた構造空間内に配置される。ばね装置35、例えば1つの又は互いに入れ子にされた2つの渦巻きばねが、2つの取付部品11,12の一方の、本例では第2取付部品12の中央受け部に配置され、この場合は外部から支持されている。ばね装置35は、本例では内部で駆動要素21に回転に関して固定して配置されていることにより、偏心器27に作用する。このようなばね装置35は、例えば、既に先に引用した独国実用新案出願公開第202009016989号明細書又は独国特許発明第102005046807明細書に記載されており、これらの関連する開示は本発明に明示的に含まれるものとする。ばね装置35によって作用された偏心器27は、半径方向に移動可能なロッキングバー16に作用し、ロッキングバー16が歯車17に係合するように半径方向外側に押し出され、それによって取付具10がロックされるように、前記ロッキングバーに衝突する。
【0029】
制御ディスク36は、ロッキングバー16と第1取付部品11の間の構造空間に軸方向に配置され、本例では、偏心器27に回転に関して固定して配置される。制御ディスク36は、(この例では4つの)制御トラックを有し、制御トラックはいずれも各ロッキングバー16の突出部38と協働する。突出部38は、この場合、突出部38に割り当てられたロッキングバー16から軸方向に突出する。ばね装置35の力に抗した駆動要素21(と、駆動要素21により駆動される偏心器27と、制御ディスク36と)の(数度の)回転によって、制御ディスク36は、ロッキングバー16を半径方向内側に、すなわち歯車17の範囲外に引っ張り、それにより取付具10のロックが解除され、2つの取付部品11,12は、軸Aを中心に互いに対して回転されることができる背もたれ4は、今や、その傾きを調節するために、すなわち、別の使用位置を採るために、軸Aを中心に旋回させることができる。
【0030】
2ドア自動車では、背もたれ4を自由に旋回させることによって後部座席列へのアクセスを容易にすることが意図され、そのために、ロック解除された背もたれ4は、使用位置の1つから座席の使用に適さない自由旋回位置へと前方に旋回される。第1操作要素5(又は第2操作要素8)が、全自由旋回移動中に保持される必要がなく、取付具を自由旋回位置にロックするだけであれば、操作快適性は向上する。この目的のために、オプションで、取付具10には、制御ディスク36と第1取付部品11との間に、例えば独国特許発明第102006015560号明細書(その関連する開示は、明示的に本発明に組み込まれるものとする)に記載されるように軸Aの周りに、環状の自由旋回制御要素45が設けられる。
【0031】
2つの取付具10と、伝動棒7と、2つの操作要素5,8は、調整システムの一部であり、一般に少なくとも1つの背もたれ補償ばね47、好ましくは2つの背もたれ補償ばね47を含む。設けられた背もたれ補償ばね47は、一方で座部3に、他方で背もたれ4に支持され、好ましくは、軸Aを取り囲む渦巻きばねとして構成される。2つの取付具10の一方への配置が好ましいが、2つの支持体の一方を、割り当てられた取付具10にある(好ましくは取付具10に溶接された)支持ブッシングに設けることができる。使用位置から出発して、取付具10のロックが解除されると、背もたれ補償ばね47は、後方にわずかに傾斜した背もたれ4の重量を少なくとも部分的に相殺し、すなわち、それは背もたれ4の前方への旋回運動を補助し、操作快適性を向上させる。
【0032】
ギアモジュール70はまた、本発明に係る調整システムの一部を形成し、一方では、座部3に対する背もたれ4の相対旋回運動(すなわち、取付部品11及び12の回転)と伝動棒7の回転とを互いに切り離し(補償し)、他方では、取付具10に作用するように操作要素5,8によって作動される。ギアモジュール70は、予め装着されサブアセンブリとして構成され、また既存の調整システムに遡及的に加えることができる。ギアモジュール70は、本質的に閉じられ、すなわち、ギアモジュール70は、内部に配置された構成要素を保護するハウジングを有する。ギアモジュール70は、本例では、2つの取付具10の一方に隣接して(すなわち、空間的にすぐ近くに)、且つ、前記取付具10に対して軸方向にずれて、例えば、第1操作要素5に対向する車両シート側に、又は第1操作要素5から離れた取付具10の側に配置される。ギアモジュール70は、非使用位置、詳細には乗車位置又はテーブル位置を有する背もたれ4のために、詳細にはこの目的のために背もたれ4が伝動棒7の回転角度よりも大きい角度範囲を通って旋回する場合に、特に設計される。しかしながら、ギアモジュール70は、他の背もたれ4にも使用することができる。
【0033】
ギアモジュール70の設計は、図1から3により詳細に示される。ギアモジュール70は、差動歯車として機能し、軸Aと同心に配置される。ギアモジュール70は、2つの遊星歯車装置から構成され、2つの遊星歯車装置は、幾何学的に同一であり(すなわち、特に直径及び歯数に関して同一であり)、軸方向に隣接する平面内に配置される。ギアモジュール70は、好ましくは回転に関して固定して背もたれ4に(すなわち、本例では第1取付部品11に)接続された、軸Aを中心に湾曲した第1リングギア71と、第1リングギア71の内歯と噛み合い且つ遊星キャリア73に回転可能に取り付けられた少なくとも1つ(好ましくは3つ)の第1遊星歯車72と、軸Aを中心に湾曲し且つ好ましくは回転に関して固定して座部3に(すなわち、本例では第2取付部品12に)、より詳細には座部に固定された取付具10の下部に接続された第1太陽歯車74とを有する。ギアモジュール70はまた、第2操作要素8に動作可能に接続された第2リングギア75と、第2リングギア75の内歯と噛み合い且つ前述の遊星キャリア73に回転可能に取り付けられ(且つ隣接する第1遊星歯車72とは無関係に回転可能な)少なくとも1つ(好ましくは3つ)の第2遊星歯車76と、軸Aを中心に湾曲し且つ(少なくとも1つの回転方向において)回転に関して固定して伝動棒7に接続された(又は連れ回るように連結された)第2太陽歯車78とを備える。遊星キャリア73は、2つの遊星歯車装置を運動学的に連結する。リングギア71及び75と太陽歯車74及び78は、ギアモジュール70の使用に全周が必要とされないならば、歯車セグメントとして構成されることができる。
【0034】
遊星キャリア73は、好ましくは多部品の形態であり、例示的な実施形態では、環状の車軸キャリア73aと、いずれも第1遊星歯車72の1つ及び第2遊星歯車76の1つを取り付ける、車軸キャリア73a上で軸方向に突出する遊星歯車車軸73bと、車軸キャリア73aに対して平行にずれた環状の車軸支持体73cとから構成される。
【0035】
第1リングギア71は、好ましくは、ギアモジュール70のハウジングの構成要素を形成することができるように、半分閉じたように構成される。回転に関して固定された背もたれ4への接続のために、好ましくは、第1リングギア71から半径方向外側に、第1アーム71aが突出している。第1アーム71aは、その自由端に、背もたれ4の構造体の開口部に係合するピンを有するか、又は代わりに背もたれに固定されたボルトに押し付けられる開口部を有する。あるいは、さらなるタイプの締結、例えば、溶接、リベット結合、ネジ留め又は接着が設けられる。
【0036】
回転に関して固定された接続のために、好ましくは、第1太陽歯車74から第2アーム74aが突出し、第2アーム74aは、2つのリングギア71と75の間で半径方向外側に(屈曲部によって)軸方向に突出している。第2アーム74aは、その自由端に開口部74bを有し、座部に固定された締結手段B、好ましくはネジが開口部74bを貫通する。開口部74bは、好ましくは、公差を補償することができるように細長い穴として構成される。開口部74bに代わる手段として、第2アーム74aの自由端にピンが設けられ、前記ピンは座部3の構造体の開口部に係合する。別の代替手段として、さらなるタイプの締結、例えば、溶接、リベット結合、ネジ留め又は接着が設けられる。
【0037】
回転に関して固定された伝動棒7への接続のために、第2太陽歯車78は、適切に輪郭形成された棒受け部78aを有する。ギアモジュール70をすぐ近くに配置された取付具10に軸方向に固定するために、第2太陽歯車78は、駆動要素21上にある2つの締付リング24の一方と協働する。この目的のために、太陽歯車78は、好ましくはクリップフック78cを有し、クリップフック78cは、締付リング24の後方に係合し、クリップ接続部を提供する。クリップ接続部はまた、ギアモジュール70の構成要素の軸方向の保持を確実にする。
【0038】
シフトケーブル81、好ましくはボーデンケーブルは、第2操作要素8への動作可能な接続のために設けられ、前記ボーデンケーブルのシースは、背もたれ4のブラケット84に支持される。ブラケット84は直接、背もたれ4又は第1アーム71a又は第1リングギア71上に支持され、固定され又は一体形成されることができる。シフトケーブル81をギアモジュール70に吊るすために、第2リングギア75は、シフトアーム75a、例えばシフトケーブル81のニップル用の受け部を備えた半径方向に突出するカムを有する。シフトケーブル81は、異なる方法で第2リングギア75及び/又はシフトアーム75aに接続されることもできる。また、第2リングギア75は、第1リングギア71と共にギアモジュール70の(穴のある)ハウジングを形成することができるように、好ましくは、半分閉じたように構成される。シフトアーム75aに遊びを有して(例えば、細長い穴で)連結されたバーを、シフトケーブル81の代わりの手段として使用することもできる。
【0039】
ギアモジュール70の動作モードが、図4から7により詳細に示され、非使用位置としてテーブル位置が選択されている。ロックされた使用位置(図4)では、すべての構成要素がそれらの初期位置にある。
【0040】
ロックされた取付具10は、背もたれに固定され且つ第1取付部品11に回転に関して固定して接続された第1リングギア71と、座部に固定され且つ第2取付部品12に回転に関して固定して接続された第1太陽歯車74とを相互に固定し、また(歯車相互の係合により)第1遊星歯車72と遊星キャリア73をも固定する。ギアモジュール70の構成要素の動きは、アーム71a,74a及び75aによって、及びホルダ84とシフトアーム75aの間の空間によって、最も明確に示すことができる。
【0041】
ロックされた使用位置(図4)からロック解除された使用位置(図5)への移行のために、2つの同等のオプションがある。第2操作要素8の作動(非使用位置への移動)が、シフトケーブル81に牽引力を生じ、その結果、シフトケーブル81がシフトアーム75aに作用し、結果として、第2リングギア75を軸Aの周りで(図4で反時計回りに)回転させる。遊星キャリア73が固定されているので、第2リングギア75は、第2遊星歯車76を遊星歯車車軸73bの周りで同じ方向に(ただし高速で)回転させるように駆動し、同様に第2太陽歯車78を反対方向に(ただし低速で)(図4で時計回りに)回転させるように駆動する。第2太陽歯車78のこの回転は、伝動棒7の回転と、結果として取付具10のロック解除とをもたらし、それにより、ロック解除された使用位置が達成される。
【0042】
代替方法として、第1操作要素5の作動(傾き調節)もまた、(図4で時計回りの)伝動棒7の回転と、結果として取付具10のロック解除とをもたらす。伝動棒7が同時に第2太陽歯車78を同じ方向に回転させるので、これによって、固定された第2遊星歯車76と第2リングギア75の反対方向の回転がもたらされ、(シフトケーブル81のたるみを除けば)ロック解除された使用位置の同じ画像(図5)の結果となる。
【0043】
ロック解除された使用位置(図5)からロック解除された非使用位置(図6)への移行のために、背もたれ4は座部3に対して前方に旋回される。その結果、背もたれに固定され且つ第1取付部品11に回転に関して固定して接続された第1リングギア71は、座部に固定され且つ第2取付部品12に回転に関して固定して接続された第1太陽歯車74に対して、軸Aの周りで(図5で反時計回りに)回転する。第1太陽歯車74が固定されているので、第1リングギア71は、第1遊星歯車72を遊星歯車車軸73bの周りで同じ方向に(ただし、高速で)回転させ、且つ遊星キャリア73を軸Aの周りで同じ方向に(ただし、低速で)回転させる。遊星キャリア73の動きはまた、第2遊星歯車76を遊星歯車車軸73bの周りで回転させる。依然として第2操作要素8を作動させたままならば、第2太陽歯車78(とひいては伝動棒7)が非回転のままであるように、すなわち、取付具10がロック解除されたままであるように、第2リングギア75は第1リングギア71と同期して回転する。
【0044】
第2操作要素8が解放されると、復帰ばね、例えば、ばね装置35又はホルダ84とシフトアーム75aの間で作用する圧縮ばねが、第1リングギア71に対する第2リングギア75の(反対方向への)相対的な回転を引き起こし、結果として、第2遊星歯車76によって、第2太陽歯車78(及び伝動棒7)の割り当てられた初期位置への回転、すなわち、取付具10のロックを引き起こす。これを防止するために、上記の自由旋回制御要素45が設けられる。制御要素は、その場合、伝動棒7と第2太陽歯車78の回転並びに第2リング歯車75の相対的な回転を防止することができる。同一の動作モードは第1操作要素5が作動されたときに生じ、すなわち、別の使用位置への移行が行われる。
【0045】
ロック解除された非使用位置(図6)に達すると、第2操作要素8が解放されることができ、又は自由旋回制御要素45が伝動棒7の回転を解放する。固定された背もたれ4は、第1リングギア71とひいては第1遊星歯車72と遊星キャリア73とを固定する。結果として、前述の復帰ばねは、第2リングギア75と第2太陽歯車78の反対方向の回転を保証し、第2遊星歯車76が固定された遊星歯車車軸73bの周りで回転する。初期位置に戻る第2太陽歯車78の回転が、(伝動棒7によって)取付具10のロックを引き起こす。また、シフトケーブル81がきつく引っ張られる。このようにして、ロックされた非使用位置(図7)が達成される。元の使用位置への復帰は、第2操作要素8のさらなる作動と、ギアモジュール70の構成要素の逆の動きと、背もたれ4の逆旋回とによって行われる。
【0046】
第2操作要素8を作動させるときに第1操作要素5の移動を防止するために、独国特許出願公開第102008026176号明細書又は独国特許出願公開第102006041917号明細書に従って、伝動棒7と第2太陽歯車78の間の駆動要素は一方の回転方向に制限される。これらの関連する開示は、明示的に本発明に組み込まれるものとする。
【0047】
変形実施形態では、操作要素5又は8の一方が省略される。しかしながら、ギアモジュール70の潜在的な利用及びその動作モードは同じままである。第1リングギア71と第1太陽歯車74の取付部品11,12への割り当ては逆にすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車両シート
3 座部
4 背もたれ
5 第1操作要素
7 伝動棒
8 第2操作要素
9 シートレール
10 取付具
11 第1取付部品
12 第2取付部品
13 クリップリング
14 ガイドセグメント
16 ロッキングバー
17 歯車
21 駆動要素
23 穴
24 締付リング
27 偏心器
35 ばね装置
36 制御ディスク
38 突出部
45 自由旋回制御要素
47 背もたれ補償ばね
70 ギアモジュール
71 第1リングギア
71a 第1アーム
72 第1遊星歯車
73 遊星キャリア
73a 車軸キャリア
73b 遊星歯車車軸
73c 車軸支持体
74 第1太陽歯車
74a 第2アーム
74b 開口部
75 第2リングギア
75a シフトアーム
76 第2遊星歯車
78 第2太陽歯車
78a 棒受け部
78c クリップフック
81 シフトケーブル
84 ブラケット
A 車軸
B 締結手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11