特許第5786150号(P5786150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786150
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】パチンコ遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   A63F7/02 310C
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-173473(P2011-173473)
(22)【出願日】2011年8月8日
(65)【公開番号】特開2013-34684(P2013-34684A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2013年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000121693
【氏名又は名称】奥村遊機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 稔
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−158378(JP,A)
【文献】 特開2002−186711(JP,A)
【文献】 特開2002−143418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の表面に遊技釘が立設されて遊技領域が構成されると共に、遊技者側から順に、透明な保護層と、着色により装飾が描かれる装飾層と、遊技者側から入射し、前記保護層及び装飾層を透過した光を反射する金属製の反射層とが前記遊技盤の表面に積層配置されるパチンコ遊技機において、
前記遊技釘は、第一遊技釘群と、該第一遊技釘群に比して調整頻度が高い第二遊技釘群と、
を有し、
前記装飾層は、第一着色領域と、該第一着色領域に比して透光性が低い第二着色領域と、を有し、前記第二遊技釘群に対応する領域が前記第二着色領域となるように着色され、前記第一遊技釘群に対応する領域の少なくとも一部が前記第一着色領域となるように着色されることを特徴とするパチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の表面に金属製の反射層を配置したパチンコ遊技機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤の表面を輝かせて煌びやかに見せる化粧シートを備えたパチンコ遊技機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1又は特許文献2に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のパチンコ遊技機に備えられる化粧シートは、遊技者側から順に、保護層としての透明樹脂シートと、着色インクにより文字、キャラクタ、背景画等の装飾が描かれる装飾層と、アルミ等の光沢を有する金属により形成され、遊技者側から入射した光を反射する反射層と、シート基台としての台紙と、を積層させたものである。この化粧シートでは、正面から入射される光(例えば、ホールの照明光)を反射層によって反射し、遊技盤の表面を輝かせて煌びやかに見せるようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の化粧シートにおいては、反射層と装飾層との間に、透明樹脂製のレンズ層が設けられている。この化粧シートでは、正面から見て小型のレンズが行列状に多数並ぶようにレンズ層を形成し、個々のレンズと、その下方の反射層と、によって複数の反射鏡を構成している。これによって、遊技盤の表面に複数の光像(照明光の反射像)を映し出し、遊技盤をより煌びやかに見せるようにしている。
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、以下のような問題点があった。
すなわち、化粧シートが貼着された遊技盤の表面に遊技釘が立設されるが、特許文献1及び特許文献2に記載のように、反射層を設けて光を反射させる化粧シートを用いた場合、化粧シートが鏡のように作用して当該化粧シートの表面に遊技釘が映り込むようになる。このため、遊技釘を調整する際に、作業者から見て当該遊技釘が何重にも見えるようになり、釘調整が行い難くなるという問題点があった。
【0006】
上記問題点を解決する一つの方法として、化粧シートの装飾層を、遊技盤の表面全体を覆うように濃色系の着色インクで着色し、反射層に光を到達し難くして遊技釘の映り込みを軽減することが考えられる。しかし、この場合、遊技盤の煌びやかさが低下し、反射層を設ける意義が減少するという問題点が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−107364号公報
【特許文献2】特開2010−158378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、遊技盤の表面に金属製の反射層を配置したパチンコ遊技機において、煌びやかさを維持しつつ、遊技釘の釘調整の作業性の悪化を抑制することができるパチンコ遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、遊技盤の表面に遊技釘が立設されて遊技領域が構成されると共に、遊技者側から順に、透明な保護層と、着色により装飾が描かれる装飾層と、遊技者側から入射し、前記保護層及び装飾層を透過した光を反射する金属製の反射層とが前記遊技盤の表面に積層配置されるパチンコ遊技機において、前記遊技釘は、第一遊技釘群と、該第一遊技釘群に比して調整頻度が高い第二遊技釘群と、を有し、前記装飾層は、第一着色領域と、該第一着色領域に比して透光性が低い第二着色領域と、を有し、前記第二遊技釘群に対応する領域が前記第二着色領域となるように着色され、前記第一遊技釘群に対応する領域の少なくとも一部が前記第一着色領域となるように着色されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、調整頻度の高い第二遊技釘群に対応する領域は、透光性が低い第二着色領域となるため、遊技釘の映り込みが抑制され、釘調整の作業性の悪化を抑制することができる。
一方、調整頻度の低い第一遊技釘群に対応する領域の少なくとも一部は、透光性が高い第一着色領域となるため、当該領域では、積極的に反射層へ光が導かれて光の反射が促され、遊技盤の表面に輝く領域が形成されて煌びやかさが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図。
図2】同じく、パチンコ遊技機の窓枠が開放された状態を示した前方斜視図。
図3】同じく、遊技盤を示した正面図。
図4】遊技板及び化粧シートを示した前方分解斜視図。
図5】化粧シートの断面模式図。
図6】遊技盤における第一遊技釘群及び第二遊技釘群を示した正面図。
図7】同じく、第二遊技釘群の詳細を示した正面図。
図8】化粧シートの第一着色領域及び第二着色領域を示した正面図。
図9】化粧シートの他の実施形態を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係るパチンコ遊技機の一実施形態であるパチンコ遊技機1の全体的な構成について、図1から図3までを用いて説明する。
なお、以下の説明では、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側をパチンコ遊技機1の左側とし、右手側をパチンコ遊技機1の右側として、左右方向を規定する。
また、説明の便宜上、図3では遊技釘の図示を省略している。
【0015】
パチンコ遊技機1は、図1から図3が示すように、主として、外枠2と、中枠3と、窓枠4と、により構成される枠体に、各種の遊技部品が取り付けられて形成される。
【0016】
外枠2は、パチンコ遊技機1の外郭を成し、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられた台島に設置される。外枠2には、中枠3が設けられる。
【0017】
中枠3は、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。中枠3は、外枠2の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、窓枠4と、下皿ユニット5と、遊技盤6と、が設けられる。
【0018】
窓枠4は、中央が開口された略平板状に形成される枠体である。窓枠4は、正面視で中枠3の下部を除く略全面に亘って配置される。窓枠4は、中枠3の前側の開口部にヒンジ部材を介して回動可能に支持される。窓枠4の中央には、正面視で略円形状の窓枠開口部7が形成される。窓枠開口部7は、透明板19により被覆される。窓枠開口部7の下部には、発射前の遊技球が貯溜される上皿8が配設される。窓枠開口部7の左右上方には、スピーカ9がそれぞれ配設される。
【0019】
下皿ユニット5は、中枠3の下部であって窓枠4の下方に取り付けられる。下皿ユニット5の中央には、上皿8から溢れた遊技球が貯溜される下皿17が配設される。下皿ユニット5の右部であって下皿17の右方には、発射ハンドル18が配設される。発射ハンドル18は、上皿8に貯溜された遊技球を発射可能に構成される。
【0020】
遊技盤6は、遊技球が転動する領域である遊技領域25が形成される部材である。遊技盤6は、窓枠4の後方であって、正面視で中枠3の下部を除く略全面に亘って配置される。遊技盤6は、中枠3に着脱可能に取り付けられる。なお、遊技盤6の遊技領域25は、窓枠4の窓枠開口部7の後方に配置され、前方から透明板19を介して視認可能に構成される。
【0021】
次に、遊技盤6の構成について、図3及び図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0022】
図3及び図4に示すように、遊技盤6は、遊技板10と、化粧シート30と、ガイドレール11と、センター役物12と、図柄表示装置13と、風車21と、始動入賞装置14と、大入賞装置15と、アウト口16等により構成される。
【0023】
遊技板10は、四隅が適宜に切り欠かれた略平板状に形成される部材である。遊技板10には、当該遊技板10を前後方向に貫通するように当該遊技板10の中央から上部に亘って孔10aが形成される。遊技板10には、遊技盤6を構成する各種の遊技部品が取り付けられる。
【0024】
化粧シート30は、文字、キャラクタ、背景画等の装飾が描かれるとともに、パチンコ遊技機1の正面からの光を適宜反射することで、遊技盤6の表面を輝かせて煌びやかに見せるものである。化粧シート30は、正面視において遊技板10と略同一形状となるように形成される薄板(シート)状の部材である。化粧シート30には、遊技板10の孔10aと対向する位置に、当該化粧シート30を前後方向に貫通するような孔30aが形成される。化粧シート30は、遊技板10の前面(表面)に貼着される。
【0025】
図3に示すガイドレール11は、略円弧帯状に形成される部材である。ガイドレール11は、遊技板10に、前方へ向けて立ち上がり状に取り付けられる。ガイドレール11は、正面視で略円形状を形成するように配置される。なお、遊技板10においてガイドレール11によって略円形状に形成された内側の領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域25として構成される。
【0026】
センター役物12は、その外観により遊技板10を装飾する部材である。センター役物12は正面視で略環状であって、その中央にセンター開口部27が前後方向に貫通して形成される。センター役物12は、遊技板10に形成された孔10a(図4参照)に前方から挿入され、ボルト等によって取り付けられる。
【0027】
また、センター役物12には、ワープ入口22及びワープ出口23が形成される。ワープ入口22は、センター役物12の左側面に開口するように形成される。当該ワープ入口22は、センター役物12の左右中央下部に形成されるワープ出口23と連通されている。遊技球がワープ入口22内に入球すると(図3中の矢印参照)、当該遊技球はワープ出口23へと導かれ、当該ワープ出口23から後述する始動入賞装置14の上部へと案内される(図3中の矢印参照)。
【0028】
図柄表示装置13は、前方を臨むように配設された液晶画面26に図柄や数字等の変動(図柄遊技)を表示するように構成される装置である。図柄表示装置13は、遊技板10の後方に配置される。より詳細には、図柄表示装置13の液晶画面26が、遊技板10に取り付けられたセンター役物12のセンター開口部27の後方に配置される。これによって、前方からセンター開口部27を介して液晶画面26に表示される図柄遊技を視認することができる。
【0029】
風車21は、遊技球の落下方向及び落下速度に変化を与えるためのものである。風車21は、遊技領域25の左部であってセンター役物12のワープ入口22の下方に配置される。風車21は、軸線を前後方向に向けた回動軸を中心に回動可能であり、遊技球が落下してくると当該遊技球と当接することによって左右いずれかに回動し、当該回動によって当該遊技球を左右に振り分けて落下させる。
【0030】
始動入賞装置14は、上面が開口されたポケット状に形成され、始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)可能に形成される装置である。始動入賞装置14は、遊技領域25の左右中央部であってセンター役物12の下方(より詳細には、ワープ出口23の真下)に配置される。始動入賞装置14は、始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるとともに、所定の大当たり抽選が行われるように構成される。
【0031】
大入賞装置15は、所定の大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口15aを開放して遊技球が入球(入賞)可能に構成される装置である。大入賞装置15は、遊技領域25の下部であって始動入賞装置14の右下方に配置される。大入賞装置15は、開放した大入賞口15aに遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0032】
アウト口16は、遊技領域25を転動する遊技球が、大入賞口15aや始動入賞口14a等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域25の最下部に配置される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、パチンコ遊技機1が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。
【0033】
次に、図5を用いて、遊技板10の前面(表面)に貼着される化粧シート30の構成について詳細に説明する。
【0034】
図5の断面図に示すように、化粧シート30は、前方(遊技者側)から順に保護層31、装飾層32、下地層33、接着層34、レンズ層35、反射層36、接着層37及び台板38が積層されて構成される。
【0035】
保護層31は、光学的に透明な樹脂製のシートであり、化粧シート30の表面(前面)を保護するためのものである。保護層31の材質としては、セルロイド、セルロースアセテートブチレート樹脂等が用いられる。
【0036】
装飾層32は、着色インクにより文字、キャラクタ、背景画等の装飾が描かれる層である。印刷方法としては、UVオフセット印刷やグラビア印刷等によるドット印刷を用い、保護層31の後面(裏面)に前記装飾を印刷する。また、当該印刷は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)及びK(スミ)の4色印刷(無着色の領域を含んでも良い)であり、インク材料としては、各種樹脂からなるベヒクルに染料、顔料等の着色剤を加え、必要に応じて溶剤、安定剤、硬化剤等を適宜混合したものが用いられる。
【0037】
下地層33は、白色に着色された遮光性を有する層である。下地層33は、装飾層32に描かれる文字やキャラクタ等の下地となる(下地層33による白い下地の上に文字やキャラクタ等を載せることで、当該文字等を際立たせる)。下地層33は、正面から見て化粧シート30の一部のみに形成される。印刷方法としては、スクリーン印刷(遮光のための厚塗りに適した印刷方法)が用いられ、インク材料としては、各種樹脂からなるベヒクルに白色染料、白色無機顔料等の着色剤を加え、必要に応じて溶剤、安定剤、硬化剤等を適宜混合したものが用いられる。
なお、下地層33は白色に限るものではなく、他の色(例えば、黒色等)であっても良い。例えば、装飾層32に描かれる文字やキャラクタ等の主となる色が黄色である場合、下地層33を黒色とする方が当該文字やキャラクタ等の画像が映えることになる。
【0038】
接着層34は、下地層33(下地層33が存在しない領域においては装飾層32)の後面(裏面)に後述するレンズ層35を接着するための層である。透明な樹脂製の接着剤を下地層33(下地層33が存在しない領域においては装飾層32)の後面(裏面)に塗布することにより、接着層34が形成される。
【0039】
レンズ層35は、正面から見て小型のレンズが行列状に並ぶように形成されたものである。レンズ層35は、透明な樹脂(例えば、PET等)により形成される。なお、レンズ層35のレンズは、小型のレンズが行列状に多数配列されたものだけでなく、1つの大きなレンズが配置されたものであっても良い。
【0040】
反射層36は、遊技者側(前方)から化粧シート30に入射する光(例えば、ホールの照明光や向かい合うパチンコ遊技機1の発光演出による光等)を反射するための層である。反射層36は、表面(前面)に光沢を有する金属の層であり、金属としてはアルミニウム、銀、金等を用いることが可能である。反射層36は、金属を薄く打ち延ばした金属箔だけでなく、当該金属箔を紙やプラスチック等のシートに貼着したものを用いることも可能である。また、光を反射することができるのであれば、当該金属箔の表面に塗料を塗布して着色することも可能である。
【0041】
接着層37は、反射層36の後面(裏面)に後述する台板38を接着するための層である。透明な樹脂製の接着剤を反射層36の後面(裏面)に塗布することにより、接着層37が形成される。
【0042】
台板38は、化粧シート30の基台となる薄板(シート)状の部材である。台板38は、紙やプラスチック等の種々の素材により形成することが可能である。また、台板38の色は限定するものではない。
【0043】
このように構成された化粧シート30において、正面(前方)から入射した光は、保護層31、装飾層32、接着層34及びレンズ層35を透過して反射層36で反射され、再び正面(前方)へと放出される。この際、レンズ層35を通過することにより、正面から見る遊技者に奥行き(立体感)を感じさせることができる。
また、正面(前方)から入射した光のうち、保護層31及び装飾層32を透過して下地層33に照射された光は、当該下地層33において遮光され、反射することがない。このため、装飾層32のうち当該下地層33に対応する部分にキャラクタ等の装飾を描くことで、当該装飾を際立たせることができる。
【0044】
次に、図6及び図7を用いて、遊技盤6に立設される遊技釘について説明する。
なお、説明の便宜上、図6に示すように、遊技釘は、第一遊技釘群40と、第二遊技釘群50と、に分けて説明する。
【0045】
まず、第二遊技釘群50について説明する。
【0046】
図6に示した第二遊技釘群50は、遊技球の始動入賞装置14への入賞し易さに特に影響を及ぼす釘である。このため、第二遊技釘群50は、その他の釘(具体的には、第一遊技釘群40)に比して調整頻度が高い。第二遊技釘群50は、図7に示すような釘51、釘52、釘53、釘54及び釘55に分けられる。
【0047】
釘51は、ワープ入口22の周辺に(本実施形態においては、ワープ入口22の左方から左上方に亘って)配置されるものである。釘51は、遊技球がワープ入口22に入球する難易度を決めるものであるため、釘調整の頻度が高くなる。
【0048】
釘52は、風車21の上方に配置されるものである。釘52は、遊技球が風車21に対してどのように落下するか(具体的には、風車21の回動軸より右側に落下するか、左側に落下するか)を決めるものであり、これによって、当該遊技球の始動入賞装置14への入賞し易さが変わるため、釘調整の頻度が高くなる。
【0049】
釘53は、液晶画面26の左下方に並べて(具体的には、風車21の右下方から、右下方へ向かって、始動入賞装置14の近傍(左上方)まで略一直線上に)配置される、いわゆる「道釘」と呼ばれるものである。釘53は、風車21を通過した遊技球が始動入賞装置14の近傍まで案内される難易度を決めるものであるため、釘調整の頻度が高くなる。
【0050】
釘54は、始動入賞装置14の上部に左右に2つ並べて配置される、いわゆる「命釘」と呼ばれるものである。釘54は、始動入賞装置14の上面に形成された開口部に遊技球が入球する難易度を決めるものであるため、釘調整の頻度が高くなる。
【0051】
釘55は、釘54の左右やや下方にそれぞれ配置される、いわゆる「ジャンプ釘」と呼ばれるものである。釘55は、釘53(道釘)によって案内されてきた遊技球等を、釘54へ(ひいては、始動入賞装置14へ)と案内するものであるため、釘調整の頻度が高くなる。
【0052】
以上説明した第二遊技釘群50の釘の中で、遊技球の始動入賞装置14への入賞し易さに及ぼす影響を考慮した場合、最も釘調整の重要度(優先順位)が高いものは釘54(命釘)及び釘55(ジャンプ釘)であり、その次に重要度が高いものは釘52(風車21上方の釘)であり、その次に重要度が高いものは釘51(ワープ入口22周辺の釘)であり、その次に重要度が高いものは釘53(道釘)である。
【0053】
次に、第一遊技釘群40について説明する。
【0054】
図6に示した第一遊技釘群40は、遊技板10に立設される釘のうち、第二遊技釘群50以外の釘である。第一遊技釘群40は、遊技球の始動入賞装置14への入賞し易さに及ぼす影響が、第二遊技釘群50に比して小さい釘である。このため、第一遊技釘群40は、第二遊技釘群50に比して調整頻度が低い。
【0055】
次に、図5から図8までを用いて、釘(第一遊技釘群40及び第二遊技釘群50)の配置と化粧シート30の装飾層32における着色との関係について説明する。
【0056】
図8に示す化粧シート30の装飾層32(図5参照)において、第二遊技釘群50が立設される部分に対応する領域(以下、単に「第二着色領域」と記す)X2(図6及び図7を併せて参照)では、その他の領域(以下、単に「第一着色領域」と記す)X1に比して濃い着色を施す。具体的には、装飾層32における着色インクのドットの密度を高くすることにより、濃い着色を施すことができる。
【0057】
第二着色領域X2においては、着色インクのドットの密度を高くしている(着色されていない領域(着色インクのドットが載っていない領域)の面積が小さくなる)ため、正面(前方)から入射してきた光が化粧シート30の反射層36まで届き難くなることから、透光性が低くなる。このように反射層36へ到達する光の量が少なくなり、光の反射が抑制されるため、当該第二着色領域X2では、化粧シート30への第二遊技釘群50(釘51、釘52、釘53、釘54及び釘55)の映り込みが軽減され、釘調整の作業性の悪化を抑制することができる。
【0058】
一方、第一着色領域X1では、何ら着色を施さないか、第二着色領域X2よりも薄い着色を施して、当該第二着色領域よりも透光性を高くする。これによって反射層36へ光を積極的に導き、光の反射を促して化粧シート30の表面(前面)の煌びやかさを演出する。
【0059】
以上の如く、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技盤6の表面に遊技釘が立設されて遊技領域25が構成されると共に、遊技者側から順に、透明な保護層31と、着色により装飾が描かれる装飾層32と、遊技者側から入射し、前記保護層31及び装飾層32を透過した光を反射する金属製の反射層36とが前記遊技盤6の表面に積層配置されるパチンコ遊技機1において、前記遊技釘は、第一遊技釘群40と、該第一遊技釘群40に比して調整頻度が高い第二遊技釘群50と、を有し、前記装飾層32は、第一着色領域X1と、該第一着色領域X1に比して透光性が低い第二着色領域X2と、を有し、前記第二遊技釘群50に対応する領域が前記第二着色領域X2となるように着色され、前記第一遊技釘群40に対応する領域の少なくとも一部が前記第一着色領域X1となるように着色されることを特徴とするものである。
【0060】
このように構成することにより、化粧シート30の装飾層32において、調整頻度の高い第二遊技釘群50に対応する領域は、透光性が低い第二着色領域X2となるように着色される。このため、第二着色領域X2では、反射層36に光が到達し難くなり、反射層36による光の反射が抑えられる。これにより、遊技釘(第二遊技釘群50)の化粧シート30への映り込みが抑制され、釘調整の作業性の悪化を抑制することができる。
一方、化粧シート30の装飾層32において、調整頻度の低い第一遊技釘群40に対応する領域は、第二着色領域X2よりも透光性が高い第一着色領域X1となるように着色される。このため、第一着色領域X1では、積極的に反射層36へ光が導かれて光の反射が促され、これにより、遊技盤6の表面に輝く領域が形成されて煌びやかさが確保される。
【0061】
なお、本実施形態に係るワープ入口22は、センター役物12の左側面に形成されるものとしたが、その他の部分(例えば、センター役物12の上側面等)に形成しても良い。この場合、第二遊技釘群50を構成する釘51とは、当該ワープ入口22の周辺に配置されるものとする。
【0062】
また、本実施形態においては、化粧シート30は薄板(シート)状の部材であり、台板38の遊技者側の面に保護層31、装飾層32、レンズ層35及び反射層36等が形成され、当該台板38を遊技板10(遊技盤6)の前面(表面)に貼着することで当該遊技板10(遊技盤6)の表面に化粧シート30を形成するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、遊技板10(遊技盤6)の前面(表面)に、保護層31、装飾層32、レンズ層35及び反射層36を直接形成することも可能である。この場合、台板38は省略することが可能である。
【0063】
また、第二着色領域X2に濃い着色を施す(透光性を低くする)方法としては、着色インクの明度を下げて(暗い色を用いて)光の吸収率を上げる方法であっても良い。例えば、色を合成して着色する場合は、色数を増やすことで明度を下げることができる(減色法の場合、合成する色数が増えるほど黒色に近づいていくため)。
また、第二着色領域X2に濃い着色を施す(透光性を低くする)方法として、着色インクのドットの密度を高くする方法(本実施形態に係る方法)と着色インクの明度を下げる方法の双方を用いても良い。
【0064】
また、第一着色領域X1の着色は、第二着色領域X2の着色より薄い着色であれば良く、その濃さは1種類だけでなく、装飾に応じて複数種類の濃さを使い分けることも可能である。例えば、(第二着色領域X2の着色より薄いが、第一着色領域X1の中では)濃い着色、薄い着色、無着色等を組み合わせて第一着色領域X1を構成することも可能である。
【0065】
また、第二着色領域X2の着色は、遊技釘の化粧シート30への映り込みが抑制できる程度に濃い着色であれば良く、その濃さは1種類だけでなく、装飾に応じて複数種類の濃さを使い分けることも可能である。
【0066】
また、図8に示す第一着色領域X1の一部において、第二着色領域X2と同様の濃い着色を施しても良い。すなわち、第一遊技釘群40が立設される領域の少なくとも一部が第一着色領域X1(第二着色領域X2に比して薄い着色)となるように構成されていれば良い。これは、装飾層32に描く装飾によっては、第一遊技釘群30が立設される領域であっても、第二着色領域X2と同程度の濃い(透光性の低い)着色を施したい場合があるためである。
【0067】
また、遊技盤6の表面の煌びやかさをより広い領域で確保したい場合、第二遊技釘群50の中でも最も釘調整の重要度(優先順位)が低い釘53(道釘)が立設される領域を第一着色領域X1(第二着色領域X2よりも薄い着色の領域)としても良い。
遊技盤6の表面の煌びやかさをさらに広い領域で確保したい場合、釘53(道釘)が立設される領域に加えて、第二遊技釘群50の中で釘53(道釘)の次に釘調整の重要度が低い釘51(ワープ入口22周辺の釘)が立設される領域を第一着色領域X1としても良い。
遊技盤6の表面の煌びやかさをさらに広い領域で確保したい場合、釘53(道釘)及び釘51(ワープ入口22周辺の釘)が立設される領域に加えて、第二遊技釘群50の中で釘51(ワープ入口22周辺の釘)の次に釘調整の重要度が低い釘52(風車21上方の釘)が立設される領域を第一着色領域X1としても良い。この場合、少なくとも、第二遊技釘群50の中で最も釘調整の重要度が高い釘54(命釘)及び釘55(ジャンプ釘)が立設される領域は第二着色領域X2とする。
【0068】
また、図9に示すように、第二遊技釘群50が立設される部分に対応する領域(図6を併せて参照)と重なる領域に下地層33(図5参照)が配置されている場合(当該下地層33が配置されている領域を、以下では単に「下地配置領域Y」と記す)、当該下地配置領域Yにおいては光は遮光され、反射層36まで到達しないため、遊技釘の化粧シート30への映り込みが抑制される。従って、少なくとも第二遊技釘群50が立設される部分に対応する領域のうち下地配置領域Yと重ならない領域X3に濃い着色を施せば良い。
【符号の説明】
【0069】
1:パチンコ遊技機,6:遊技盤,25:遊技領域,30:化粧シート,31:保護層,32:装飾層,36:反射層,38:台板,40:第一遊技釘群,50:第二遊技釘群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9