特許第5786158号(P5786158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5786158
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】照明付昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/40 20060101AFI20150910BHJP
   B60P 1/06 20060101ALI20150910BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20150910BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150910BHJP
   F21V 21/14 20060101ALI20150910BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20150910BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20150910BHJP
   B60P 1/32 20060101ALI20150910BHJP
   F21Y 101/00 20060101ALN20150910BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150910BHJP
【FI】
   B60P3/40 A
   B60P1/06
   B60P3/00 Z
   F21S2/00 365
   F21V21/14
   F21V21/30
   F21V21/34 300
   B60P1/32
   F21Y101:00 100
   F21Y101:00 300
   F21Y101:02
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-97454(P2014-97454)
(22)【出願日】2014年5月9日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】515158847
【氏名又は名称】薗 勝志
(73)【特許権者】
【識別番号】515158858
【氏名又は名称】眞庭 豪樹
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(72)【発明者】
【氏名】薗 勝志
(72)【発明者】
【氏名】真庭 豪樹
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−350016(JP,A)
【文献】 特開2012−224322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/40
B60P 1/06
B60P 1/32
B60P 3/00
F21S 2/00
F21V 21/14
F21V 21/30
F21V 21/34
F21Y 101/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上面に設置され長尺物を搭載する荷台と、
前記荷台をスライド可能に保持する支持体と、
前記荷台を前記支持体を支点にして傾けながら昇降動作させる昇降機構と、を有し、
さらに前記荷台の先側に照明灯を備え、
前記昇降動作に際して、前記照明灯の台座部が前記車両上面に対して略一定の角度を維持する照明付昇降装置において、
前記昇降機構が、
回転動作する駆動軸と、一端が前記駆動軸に接続し他端が荷台連結軸を介して前記荷台に接続するスイングアームと、を有し、
前記スイングアームが前記駆動軸を支点に回動することで前記荷台の昇降動作を行うとともに、
前記スイングアームの先側には前記荷台連結軸から所定の長さL1の間隔を取り、かつ前記スイングアームの長辺方向と角度θ1をなす位置に連結シャフトの一端が接続し、
前記台座部は角度θ2で屈曲した台座アーム部を有するとともに、前記台座アーム部の先側に設置されたアーム回転軸を介して前記荷台の先側に連結され、さらに前記台座部の屈曲部に前記連結シャフトの他端が接続し、前記連結シャフトの他端の接続部と前記アーム回転軸との間隔をL2としたときに、長さL1と長さL2とが略同等であり、角度θ1と角度θ2とが略同等であることを特徴とする照明付昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置を備えるとともに、車両上面に梯子や折畳式ボート等の長尺物を積載することが可能な照明付昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、消防用車両等の車体上面には、デッドスペースの有効活用のため梯子や折畳式ボート等の長尺物を積載し、それらを必要に応じて救助活動等に用いることが行われている。しかしながら、車体上面への長尺物の上げ降ろしは、人間がその都度車体上面にまで登って、上と下とで長尺物の受け渡しをする必要があり、迅速な上げ下ろしが難しく、また危険を伴うものでもあった。
【0003】
この問題点に対し本願発明者らは下記[特許文献1]に記載の昇降装置及び昇降装置付車両を発明した。この図8に示す[特許文献1]に記載の昇降装置2は、車両1の上面1Aに長尺物を搭載する荷台3を有し、この荷台3を駆動軸7を支点に回動するスイングアーム9と、荷台3をスライド可能に支持する支持体5とで保持している。そして、積載状態において荷台3は、図8中の実線に示すように車両1の上面1Aに沿って略水平の状態に保持される。また、長尺物の昇降時にはスイングアーム9が回動して、荷台3が図8中の一点鎖線で示すように車両1の上面1Aから支持体5を支点として傾きながら車両1の後方に降下する。よって、この[特許文献1]に記載の発明によれば、長尺物を簡単かつ迅速に昇降することができる。
【0004】
ところで、例えば夜間や暗所での作業では、作業場所を照らす照明灯が必要不可欠である。この際の照明は高所から照らすことが好ましい。ここで、下記[特許文献2]には昇降自在なアンテナ型照明体を備えた消防車に関する考案が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4217193号公報
【特許文献2】実開昭63−79951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら[特許文献2]のように高所照明の用途のためにアンテナ型照明体を設置することは費用の面からも省スペースの面からも好ましいものではない。また、クレーン装備車やはしご車には照明灯を備えたものも存在するが、高所照明のためにクレーン装備車やはしご車を常時出動させるのは現実的ではない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長尺物を積載する昇降装置の先側に照明灯を備え、高所からの照明灯としても利用可能な照明付昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)車両上面1Aに設置され長尺物Wを搭載する荷台3と、前記荷台3をスライド可能に保持する支持体5と、前記荷台3を前記支持体5を支点にして傾けながら昇降動作させる昇降機構と、を有し、
さらに前記荷台3の先側に照明灯50を備え
前記昇降動作に際して、前記照明灯50の台座部52が前記車両上面1Aに対して略一定の角度を維持す照明付昇降装置80において、
前記昇降機構が、回転動作する駆動軸7と、一端が前記駆動軸7に接続し他端が荷台連結軸62を介して前記荷台3に接続するスイングアーム9と、を有し、
前記スイングアーム9が前記駆動軸7を支点に回動することで前記荷台3の昇降動作を行うとともに、
前記スイングアーム9の先側には前記荷台連結軸62から所定の長さL1の間隔を取り、かつ前記スイングアーム9の長辺方向と角度θ1をなす位置に連結シャフト66の一端が接続し、
前記台座部52は角度θ2で屈曲した台座アーム部52aを有するとともに、前記台座アーム部52aの先側に設置されたアーム回転軸60を介して前記荷台3の先側に連結され、さらに前記台座部52の屈曲部に前記連結シャフト66の他端が接続し、前記連結シャフト66の他端の接続部と前記アーム回転軸60との間隔をL2としたときに、長さL1と長さL2とが略同等であり、角度θ1と角度θ2とが略同等であることを特徴とす照明付昇降装置80を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る照明付昇降装置は、長尺物を積載する昇降装置の先側に照明灯を備えているため、この照明灯を高所からの照明設備として利用することができる。これにより、低コスト且つ省スペースで昇降装置付車両に高所照明を設置することができる。
【0010】
また、本発明に係る照明付昇降装置は、昇降動作の際に照明灯の台座部が略一定の角度を維持する。このため、照明灯のX、Y、Z軸が常に略一定に保たれる。これにより、照明灯の照射方向を迅速に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る照明付昇降装置の積載状態を示す図である。
図2】本発明に係る照明付昇降装置の降下状態を示す図である。
図3】本発明に係る照明付昇降装置の荷台の好ましい一例の段面図である。
図4】本発明に係る照明付昇降装置の支持体の好ましい一例を示す図である。
図5】本発明に係る照明付昇降装置の概略構成を示す平面図である。
図6】本発明に係る照明付昇降装置の照明灯部分の拡大斜視図である。
図7】本発明に係る照明付昇降装置の照明灯の設置構成を説明する図である。
図8】従来の昇降装置の積載状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る照明付昇降装置80及びこれを備えた昇降装置付車両100の実施の形態について図面に基づいて説明する。尚、従来と同一の部材に関しては同符号を用いて表す。ここで、図1は本発明に係る照明付昇降装置80の積載状態を示す図である。また、図2は本発明に係る照明付昇降装置80の降下状態を示す図である。
【0013】
本発明に係る照明付昇降装置80は、車両100(昇降装置付車両100)の車両上面1Aに設置され長尺物Wをチェーンやベルトを用いて着脱自在に搭載する荷台3と、この荷台3をスライド可能に保持する支持体5と、荷台3を支持体5を支点にして傾けながら昇降動作させる昇降機構と、を有している。そして、荷台3の先側には、台座部52を介して照明灯50が設置されている。尚、ここでの昇降装置付車両100とは、消防車やポンプ車等の消防用車両を想定しているが、特にこれに限定されるわけではなく、工事用車両やキャンピングカー等に適用しても良い。また、ここでの長尺物Wとは主に梯子や折畳式ボートを想定しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0014】
照明付昇降装置80の荷台3はアングルプレートなどから成る長方形の枠体であり、その後端には接地用脚12を有している。ここで、荷台3の好ましい一例の段面図を図3(a)、(b)に示す。図3(a)、(b)に示す荷台3は、左右の側枠部材11に2つのアングルプレートを結合したものを用い、底面側に形成される幅狭な第1収納部13(13A、13B)と、上面側に形成される幅広な第2収納部14とを持つ二段構造としている。また、左右の側枠部材11は横リブ15により連結され、その横リブ15に直交して固定される縦リブ16にはL字形の仕切部材17がヒンジ18を介して設置されている。そして、仕切部材17は図3(a)に示す直立状態と、図3(b)に示す倒伏状態とに切換が可能である。この仕切部材17の構成によれば、第1収納部13は仕切部材17により左右2つの領域13A、13Bに区分され、仕切部材17の直立時には図3(a)に示すように、第2収納部14に折畳式ボート等の幅広の長尺物W1を積載可能としている。また、仕切部材17の倒伏時には図3(b)に示すように、第1収納部13の左右の領域13A、13Bに伸縮式の救助梯子等の長尺物W2、W3を2つ積載可能としている。尚、上記の例は荷台3の好ましい一例であるから、特にこの構成に限定されるものではなく、仕切部材17を設けずに単純に第1収納部13と第2収納部14の2段構造、もしくは収容部が1段の構造としても良い。
【0015】
尚、荷台3には側枠部材11より側方に突出する断面V字形のガイドレール20が設けられ、このガイドレール20が支持体5側と係合することで、昇降動作時における荷台3の移動案内が行われる。
【0016】
次に、支持体5の好ましい一例を図4(a)、(b)を用いて説明する。先ず、支持体5は車体上面1Aの後方、すなわち荷台3の昇降側に取り付けられ、図4(a)、(b)に示すように、昇降装置付車両100に設置される左右一対のブラケット21と、このブラケット21により回転自在に支持される回転軸22と、この回転軸22の両端に固定した揺動リンク23と、その揺動リンク23の先端部に回転自在に装着した圧接ローラ24とガイドローラ25と、を有している。
【0017】
そして、ガイドローラ25の溝に荷台3側のガイドレール20が嵌り、その状態でガイドレール20の底面に圧接ローラ24が接触することにより、荷台3の昇降動作に連動して揺動リンク23が回転軸22を支点に回転するとともに、荷台3は圧接ローラ24、ガイドローラ25によって支持されながら昇降装置付車両100の後方側へスライド移動する。
【0018】
次に、本発明に係る照明付昇降装置80の昇降機構を説明する。ここで、図5は本発明に係る照明付昇降装置80の概略構成を示す平面図である。本発明に係る照明付昇降装置80の昇降機構は、図5に示すように車両上面1Aに設置された駆動部6を有し、この駆動部6は昇降装置付車両100のバッテリを電源とする周知の電動モータ等の駆動手段と、この駆動手段の回転力を減速するとともにトルクの向上を図る周知の減速機と、この減速機と接続し昇降装置付車両100の車幅方向に延びた駆動軸7と、を有している。また、昇降装置付車両100には駆動部6を動作させるための図示しない操作ボックスが設置されており、この操作ボックス内に設置された昇降スイッチを操作することにより、駆動部6の駆動軸7は正方向、逆方向に回転動作する。
【0019】
また、駆動軸7には左右のスイングアーム9の一端がそれぞれ固定されている。よって、スイングアーム9は駆動軸7の回転に伴って、駆動軸7を支点に回動する。また、スイングアーム9の他端は、図1図2に示すように、荷台連結軸62を介して荷台3に接続される。尚、左右のスイングアーム9は駆動軸7と平行な横架バー41によって連結し、駆動軸7に過大な捩りモーメントが作用しないようにすることが好ましい。また、駆動軸7にはその回転力を調整するための調速機10を取り付け、駆動部6にかかる負荷を軽減しながらスイングアーム9を安定した速度で回動させることが好ましい。尚、スイングアーム9の長さは荷台3の半分程度とすることが好ましい。また、スイングアーム9と接地用脚12とには図示せぬセンサ(例えば、接触型のリミットスイッチ)が設けられ、スイングアーム9の原点位置及び終点位置を検知して駆動部6の停止動作を行う。ここで、スイングアーム9の原点位置とは、図1に示す荷台3が車両上面1A上で略水平に支持された積載状態での位置であり、終点位置とは図2に示す荷台3の降下が完了した降下状態での位置である。
【0020】
また、スイングアーム9の先側にはシャフトプレート63が設置され、このシャフトプレート63にはスイングアーム9と照明灯50の台座部52とを繋ぐ連結シャフト66の一端が回転可能に接続される。尚、本例では連結シャフト66の一端に第1シャフト軸64aを設け、この第1シャフト軸64aをシャフトプレート63の軸孔に回転可能に嵌入することでスイングアーム9と連結シャフト66とを接続している。尚、連結シャフト66の一端の接続位置、即ち本例における第1シャフト軸64aの位置は、後述の図7に示すように、スイングアーム9の長辺方向から回動側(終点側)に向かって角度θ1をなしている。
【0021】
次に、本発明に係る照明付昇降装置80の照明灯50の設置構成に関して、図6図7を用いて説明する。ここで、図6は本発明に係る照明付昇降装置80の照明灯部分の拡大斜視図である。また、図7は照明灯の設置構成を説明する図である。
【0022】
先ず、照明灯50はLEDやキセノンランプ、ハロゲンランプ等の周知の照明装置であり、昇降装置付車両100に搭載されたバッテリを電源として発光する。また、照明灯50は雲台部54a、54bを介して台座部52に設置される。ここで、雲台部54aは例えばコの字状のホルダにて照明灯50を回動可能に挟持し、照明灯50の照射角度を変化させるものである。また、雲台部54bは照明灯50を雲台部54aごと360°回転可能とし、照明灯50の照射方向を変化させるものである。尚、照明灯50のオン・オフ、及び雲台部54a、54bの操作は無線及び有線の照明コントローラを用いて行うことができる。例えば、照明灯50を使用する際には、照明コントローラの点灯ボタンを押下することで照明灯50が点灯する。また、照明コントローラの角度調整ボタンを押下することで雲台部54aに内蔵されたモータが駆動し、照明灯50の照射角度が上下方向に変化する。また、照明コントローラの回転ボタンを押下することで雲台部54bに内蔵されたモータが駆動して照明灯50が回転し、照明灯50の照射方向が変化する。この照明灯50の動作は、後述の荷台3の昇降動作とは別に独立して行うことができる。
【0023】
また、照明灯50(雲台部54b)が設置される台座部52は、図7に示すように、角度θ2で上方に屈曲した台座アーム部52aを有しており、この台座部52の屈曲部には連結シャフト66の他端が回転可能に接続する。尚、本例では台座部52の屈曲部に第2シャフト軸64bを設け、この第2シャフト軸64bに連結シャフト66の他端を回転可能に嵌入することで台座部52と連結シャフト66とを接続している。そして、台座アーム部52aの先側には荷台3の先側に設置されたアーム回転軸60が回転可能に嵌入し、これにより台座部52は荷台3の先側と連結する。尚このとき、雲台部54bのXY面が略水平となるよう各部の寸法を設計する。また、台座部52と荷台3との間には、図6に示すように、荷台3から台座部52に伝達する衝撃等を緩和するダンパ部材68を設けても良い。
【0024】
そして、図7に示すように、台座部52の屈曲部の角度θ2と前述の角度θ1とは略同等の値とする。また、スイングアーム9の荷台連結軸62から連結シャフト66の一端の接続位置(第1シャフト軸64aの位置)までの長さをL1とし、台座部52における連結シャフト66の接続位置(第2シャフト軸64bの位置)からアーム回転軸60までの長さをL2としたときに、長さL1と長さL2とは略同等の値とする。
【0025】
次に、本発明に係る照明付昇降装置80の昇降動作を説明する。先ず、照明付昇降装置80上に積載された長尺物Wを降ろす場合、昇降装置付車両100に設置された図示せぬ昇降スイッチを操作して駆動部6を正方向(図面中時計回り方向)に回転させる。これにより、駆動軸7が正方向に回転し、スイングアーム9が駆動軸7を支点として正方向に回動する。これにより、荷台3との連結部である荷台連結軸62は駆動軸7を中心としスイングアーム9を半径とした円軌道に沿って移動する。このとき、荷台3の後部側は支持体5でスライド可能に保持されているため、荷台3はスイングアーム9の回動に伴い支持体5を支点にして徐々に傾斜する。またこれと同時に荷台3の後部側は支持体5をスライドして昇降装置付車両100の後端から徐々に迫り出す。そして、スイングアーム9が終点位置近傍に達すると、接地用脚12が着地するとともに図示せぬセンサ等がこれを検知して駆動部6が停止し、図2に示す降下状態となる。そして、この降下状態において、長尺物Wを固定しているチェーンやベルト等を解除し長尺物Wを取り外して目的の用途に使用する。
【0026】
使用後の長尺物Wを昇降装置付車両100上へ積載する場合には、先ず、降下状態の荷台3の所定の位置に長尺物Wを配置し、チェーンやベルト等で固定する。次に、昇降スイッチを操作して駆動部6を逆方向に回転させる。これにより、スイングアーム9は逆方向(図面中反時計回り方向)に回動し、荷台3は車両上面1A方向に徐々に倒伏する。そして、スイングアーム9が原点位置に達すると、図示せぬセンサ等がこれを検知して駆動部6が停止し、図1に示す長尺物Wの積載状態となる。
【0027】
この昇降動作時のスイングアーム9の回動動作に伴い、スイングアーム9と連結シャフト66を介して繋がった台座部52もアーム回転軸60を支点に回動する。このとき、前述のようにスイングアーム9側のなす角θ1と台座部52側のなす角θ2とは略同等の値であり、スイングアーム9側の長さL1と台座部52側の長さL2とは略同等の値であるから、連結シャフト66の一端(第1シャフト軸64a)の荷台連結軸62に対する変位量と、連結シャフト66の他端(第2シャフト軸64b)のアーム回転軸60に対する変位量とは略同等となる。そして、荷台連結軸62とアーム回転軸60との位置関係は連結シャフト66を挟んで両側に位置するから、連結シャフト66の一端(第1シャフト軸64a)の荷台連結軸62を軸とした回動方向と、連結シャフト66の他端(第2シャフト軸64b)のアーム回転軸60を軸とした回動方向とは逆方向となる。これにより、台座部52は荷台3の角度によらず昇降装置付車両100の車両上面1Aに対して略一定の角度を維持する。これにより、雲台部54a、54b及び照明灯50のX、Y、Z軸は常に略一定の方向に保たれる。
【0028】
ここで仮に、台座部52が上記構成を備えていない場合、台座部52の角度は荷台3の傾斜角度によって変化し、照明灯50の雲台部54a、54bのX、Y、Z軸も荷台3の傾斜角度によって変化する。よって、荷台3の昇降動作中や、照明灯50のXY面が水平でない位置では、照射方向の調整を直感的な上下左右操作で行うことができない。このため、目的の方向に迅速な照明灯50の照射を行うことができない。また、荷台3の傾斜角度によっては雲台部54a、54bの有効動作範囲が制限され、目的の方向を照らすことができない可能性が有る。
【0029】
この点、本発明に係る照明付昇降装置80は、荷台3の傾斜角度によらず照明灯50のX、Y、Z軸が常に略一定の方向(通常はXY面が略水平方向)に保たれる。このため、荷台3がどのような角度にあっても照射方向の調整を直感的な上下左右操作で容易に行うことができる。また、荷台3が昇降動作中であっても照射方向の調整を直感的な上下左右操作で容易に行うことができる。これにより、照明灯50の目標方向への照射を極めて迅速に行うことができる。また、台座部52の角度が略一定に保たれるため、照明灯50の照射方向の調整を雲台部54a、54bの動作範囲内で制限無く行うことができる。
【0030】
以上のように、本発明に係る照明付昇降装置80は、長尺物Wを積載する荷台3の先側に照明灯50を備えている。そして、荷台3を降下状態とすることで照明灯50を高所に位置させ、高所からの効果的な照明を行うことができる。即ち、本発明に係る照明付昇降装置80は長尺物Wの昇降機能と高所照明機能を兼ね備えるものである。よって、本発明に係る照明付昇降装置80によれば、簡単、低コスト、省スペースで車両本体に高所照明灯を設置することができる。
【0031】
また、本発明の照明灯50の台座部52は、荷台3の角度によらず略一定の角度を維持する。これにより、荷台3がどのような角度にあっても、また昇降動作中であっても照射方向の調整を直感的な上下左右操作で容易に行うことができる。また、照明灯50の照射方向の調整を雲台部54a、54bの動作範囲内で制限無く行うことができる。これにより、照明灯50の目標方向への照射を極めて迅速に行うことができる。
【0032】
尚、本例で示した照明付昇降装置80の各部の形状、動作機構、寸法等は一例であり、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1A 車両上面
3 荷台
5 支持体
7 駆動軸
9 スイングアーム
50 照明灯
52 台座部
52a 台座アーム部
60 アーム回転軸
62 荷台連結軸
66 連結シャフト
80 昇降装置
100 昇降装置付車両
W 長尺物
【要約】
【課題】長尺物を積載する昇降装置の先側に照明灯を備え、高所からの照明灯としても利用可能な照明付昇降装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る照明付昇降装置80は、長尺物Wを積載する荷台3の先側に照明灯50を備えている。そして、荷台3を降下状態とすることで照明灯50を高所に位置させ、高所からの効果的な照明を行うことができる。よって、本発明に係る照明付昇降装置80によれば、簡単、低コスト、省スペースで車両本体に高所照明灯を設置することができる。また、本発明の照明灯50の台座部52は、荷台3の角度によらず略一定の角度を維持する。これにより、荷台3がどのような角度にあっても、照射方向の調整を直感的な上下左右操作で容易に行うことができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8