【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0073】
〔実施例1〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−1)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、酢酸ナトリウムを含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0074】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、酢酸ナトリウム〔関東化学社〕を0mM、250mM、500mM及び1000mMの濃度となるように添加し、酢酸ナトリウム濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0075】
(2)第2試薬の調製
(a)抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
平均粒径0.192μmのラテックス粒子の10%懸濁液0.094mLに、抗ヒトCRPモノクローナル抗体を0.04g/dLの濃度で6.7mM
HEPES緩衝液〔pH7.0(20℃)〕に混和した液0.5098mLを加え、5℃にて一晩静置した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に1.0%BSAを含む5mMグリシン緩衝液〔pH9.5(20℃)〕を加え懸濁し、37℃で7日間静置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液で波長585nmにおける吸光度が25.0ODとなるように懸濁した。
そして、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液により希釈して、抗CRP抗体を固定化したラテックス粒子の0.800%懸濁液として調製した。
これを抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
なお、抗CRPモノクローナル抗体としては、市販のマウス抗CRPモノクローナル抗体(日本バイオテスト研究所社;クローン:CRB−019)を使用した。
【0076】
(b)第2試薬の調製
前記(a)で調製した抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の1mLと、0.05%アジ化ナトリウム水溶液の9mLとを混合し、0.080%の「抗CRP抗体固定化ラテックス粒子」を含有する懸濁液を調製した。
これを第2試薬とした。
【0077】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
4%(w/v)BSA、2.7mM塩化カルシウム・2水和物、100mM塩化ナトリウム及び15mMアジ化ナトリウムを含有する50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH7.6〕を調製して、試料希釈液とした。
【0078】
(2)試料の調製
遺伝子組み換え体CRP(オリエンタル酵母工業社製)を、前記(1)の試料希釈液で希釈することにより、次のCRP濃度の試料をそれぞれ調製した。
また、前記(1)で調製した試料希釈液を、CRP濃度0mg/dLの試料とした。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0079】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
(a)測定は、日立−7180形自動分析装置(日立製作所社製)を使用して行った。
まず、測定用セル(キュベット)に、前記2の(2)の試料1〜7の3μLを添加した。
次に、これらの測定用セル(キュベット)に、前記1の(1)の第1試薬の100μLを添加し、混合した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置した。
【0080】
(b)前記の第1試薬の添加後4分34秒目(16ポイント目)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液に、更に、前記1の(2)の(b)の第2試薬の100μLを添加し、混合した。
【0081】
(c)前記の第1試薬の添加後5分09秒目(18ポイント目)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液の吸光度(主波長570nm、副波長800nm)を試料盲検として測定した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置して、反応を行わせた。
これにより、前記のラテックス粒子に固定化された抗CRP抗体と、前記の試料に含まれていたCRPとの抗原抗体反応を行わせ、ラテックス粒子の凝集塊を生成させた。
【0082】
(d)前記の第1試薬の添加後9分54秒目(34ポイント目)に、この測定用セル(キュベット)内の反応混合液の吸光度(主波長570nm、副波長800nm)を、前記試料の測定値として測定した。
【0083】
(e)前記(d)において測定した吸光度(測定値)から前記(c)において測定した吸光度(試料盲検)を差し引き、吸光度差を得た。
なお、この吸光度差は試料に含まれるCRPの量(濃度)に比例したものである。
【0084】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図1に示した。
なお、この
図1において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0085】
4.考察
図1から明らかなように、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0086】
これに対して、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させた場合(250mM、500mM及び1000mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0087】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、酢酸ナトリウム(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0088】
〔実施例2〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−2)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、プロピオン酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0089】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、プロピオン酸〔和光純薬社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、プロピオン酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0090】
(2)第2試薬の調製
前記実施例1の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0091】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0092】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0093】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0094】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図2に示した。
なお、この
図2において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0095】
4.考察
図2から明らかなように、第1試薬にプロピオン酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度50mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にプロピオン酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0096】
これに対して、第1試薬にプロピオン酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が50mg/dLを超えても吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にプロピオン酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0097】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、プロピオン酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0098】
〔実施例3〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−3)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、酪酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0099】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、酪酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、酪酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0100】
(2)第2試薬の調製
前記実施例1の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0101】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0102】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0103】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0104】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図3に示した。
なお、この
図3において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0105】
4.考察
図3から明らかなように、第1試薬に酪酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に酪酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0106】
これに対して、第1試薬に酪酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が50mg/dLを超えても吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬に酪酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0107】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、酪酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0108】
〔実施例4〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−4)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、乳酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0109】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、乳酸〔和光純薬社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、乳酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0110】
(2)第2試薬の調製
前記実施例1の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0111】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0112】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0113】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0114】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図4に示した。
なお、この
図4において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0115】
4.考察
図4から明らかなように、第1試薬に乳酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に乳酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0116】
これに対して、第1試薬に乳酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬に乳酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0117】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、乳酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0118】
〔実施例5〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−5)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、アクリル酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0119】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、アクリル酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、アクリル酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0120】
(2)第2試薬の調製
前記実施例1の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0121】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0122】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0123】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0124】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図5に示した。
なお、この
図5において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0125】
4.考察
図5から明らかなように、第1試薬にアクリル酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にアクリル酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0126】
これに対して、第1試薬にアクリル酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にアクリル酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0127】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、アクリル酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0128】
〔実施例6〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−6)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、メタクリル酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0129】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、メタクリル酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、メタクリル酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0130】
(2)第2試薬の調製
前記実施例1の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0131】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0132】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0133】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0134】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図6に示した。
なお、この
図6において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0135】
4.考察
図6から明らかなように、第1試薬にメタクリル酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にメタクリル酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0136】
これに対して、第1試薬にメタクリル酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にメタクリル酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0137】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、メタクリル酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0138】
〔実施例7〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−7)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、酢酸ナトリウムを含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0139】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、酢酸ナトリウム〔関東化学社〕を0mM、250mM、500mM及び1000mMの濃度となるように添加し、酢酸ナトリウム濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0140】
(2)第2試薬の調製
(a)抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Aの調製
平均粒径0.192μmのラテックス粒子の10%懸濁液0.094mLに、抗ヒトCRPモノクローナル抗体を0.05g/dLの濃度で6.7mM
MMES緩衝液〔pH5.0(20℃)〕に混和した液0.5098mLを加え、5℃にて一晩静置した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に1.0%BSAを含む5mMグリシン緩衝液〔pH9.5(20℃)〕を加え懸濁し、37℃で7日間静置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液で波長585nmにおける吸光度が25.0ODとなるように懸濁した。
そして、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液により希釈して、抗CRP抗体を固定化したラテックス粒子の0.80%懸濁液として調製した。
これを抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Aとした。
なお、抗CRPモノクローナル抗体としては、カルシウムイオン非依存的にCRPに結合する抗体である、市販のマウス抗CRPモノクローナル抗体(日本バイオテスト研究所社;クローン:CRB−030)を使用した。
【0141】
(b)抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Bの調製
平均粒径0.192μmのラテックス粒子の10%懸濁液0.094mLに、抗ヒトCRPモノクローナル抗体を0.04g/dLの濃度で6.7mM
HEPES緩衝液〔pH7.0(20℃)〕に混和した液0.5098mLを加え、5℃にて一晩静置した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に1.0%BSAを含む5mMグリシン緩衝液〔pH9.5(20℃)〕を加え懸濁し、37℃で7日間静置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液で波長585nmにおける吸光度が25.0ODとなるように懸濁した。
そして、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液により希釈して、抗CRP抗体を固定化したラテックス粒子の0.80%懸濁液として調製した。
これを抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Bとした。
なお、抗CRPモノクローナル抗体としては、カルシウムイオン依存的にCRPに結合する抗体である、市販のマウス抗CRPモノクローナル抗体(日本バイオテスト研究所社;クローン:CRB−019)を使用した。
【0142】
(c)第2試薬の調製
前記(a)で調製した抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Aの0.25mLと、前記(b)で調製した抗CRP抗体固定化ラテックス粒子懸濁液Bの1.0mLとを0.05%アジ化ナトリウム水溶液の8.75mLと混合した。
これを第2試薬とした。
【0143】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0144】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0145】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、第2試薬として前記1の(2)の第2試薬を用い、前記実施例2の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0146】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図7に示した。
なお、この
図7において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0147】
4.考察
図7から明らかなように、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0148】
これに対して、第1試薬に酢酸ナトリウムを含有させた場合(250mM、500mM及び1000mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にメタクリル酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0149】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、酢酸ナトリウム(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0150】
〔実施例8〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−8)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、プロピオン酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0151】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、プロピオン酸〔和光純薬社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、プロピオン酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0152】
(2)第2試薬の調製
前記実施例7の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0153】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0154】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0155】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例7の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0156】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図8に示した。
なお、この
図8において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0157】
4.考察
図8から明らかなように、第1試薬にプロピオン酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にプロピオン酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0158】
これに対して、第1試薬にプロピオン酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にプロピオン酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0159】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、プロピオン酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0160】
〔実施例9〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−9)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、酪酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0161】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、酪酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、酪酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0162】
(2)第2試薬の調製
前記実施例7の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0163】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0164】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0165】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例7の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0166】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図9に示した。
なお、この
図9において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0167】
4.考察
図9から明らかなように、第1試薬に酪酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に酪酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0168】
これに対して、第1試薬に酪酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬に酪酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0169】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、酪酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0170】
〔実施例10〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−10)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、乳酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0171】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、乳酸〔和光純薬社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、乳酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0172】
(2)第2試薬の調製
前記実施例7の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0173】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0174】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0175】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例7の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0176】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図10に示した。
なお、この
図10において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0177】
4.考察
図10から明らかなように、第1試薬に乳酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬に乳酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0178】
これに対して、第1試薬に乳酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬に乳酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0179】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、乳酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0180】
〔実施例11〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−11)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、アクリル酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0181】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、アクリル酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、アクリル酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0182】
(2)第2試薬の調製
前記実施例7の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0183】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0184】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0185】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例7の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0186】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図11に示した。
なお、この
図11において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0187】
4.考察
図11から明らかなように、第1試薬にアクリル酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にアクリル酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0188】
これに対して、第1試薬にアクリル酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が直線的に上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にアクリル酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が直線的に上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0189】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、アクリル酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
【0190】
〔実施例12〕
(本願発明の試料中のCRPの測定試薬及び測定方法の効果の確認−12)
モノカルボン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩として、メタクリル酸を含有する本願発明のCRPの測定試薬を用いて試料中のCRPの測定を行い、その効果を確認した。
【0191】
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
1%(w/v)BSA、250mM塩化ナトリウム、20mM塩化カルシウム・2水和物及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕を調製した。ここに、メタクリル酸〔ナカライ社〕を0mM、50mM、100mM及び200mMの濃度となるように添加し、メタクリル酸濃度の異なる4種類の第1試薬とした。
【0192】
(2)第2試薬の調製
前記実施例7の1の(2)の記載の通りに、第2試薬を調製した。
【0193】
2.試料
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の2の(1)の記載の通りに、試料希釈液を調製した。
【0194】
(2)試料の調製
前記実施例1の2の(2)の記載の通りに、次の各試料を調製した。
(a)試料1: 0mg/dL
(b)試料2: 0.08mg/dL
(c)試料3: 0.4mg/dL
(d)試料4: 2.0mg/dL
(e)試料5: 10.0mg/dL
(f)試料6: 50.0mg/dL
【0195】
3.試料中のCRPの測定
(1)測定手順
第1試薬として、前記1の(1)の第1試薬を用い、前記実施例7の3の(1)の記載の通りに試料中のCRPの測定を行い、各試料における測定値(吸光度差)を得た。
【0196】
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のCRPの測定を行って得られた吸光度差を、
図12に示した。
なお、この
図12において、横軸は試料中のCRP濃度(mg/dL)を、縦軸は測定により得られた吸光度差の値〔吸光度差×10,000〕(主波長570nm、副波長800nm)を表す。
【0197】
4.考察
図12から明らかなように、第1試薬にメタクリル酸を含有させない場合(0mM)には、試料中のCRP濃度10mg/dLまでしか測定できていないことが分かる。つまり、第1試薬にメタクリル酸を含有させない場合には、試料中のCRP濃度が10mg/dL以上となると、それ以上濃度が上昇しても吸光度が直線的に上昇していかないため、検量線等を用いても測定を行うことができないことが分かる。
【0198】
これに対して、第1試薬にメタクリル酸を含有させた場合(50mM、100mM及び200mM)は、試料中のCRP濃度が10mg/dLを超えても更に吸光度が上昇し、CRP濃度50mg/dLまで測定できていることが分かる。すなわち、第1試薬にメタクリル酸を含有させた場合には、CRP濃度が10mg/dL以上となった場合でも、CRP濃度の上昇に応じて吸光度が上昇するため、CRPを測定することが可能であることが分かる。
【0199】
これらのことより、試料中のCRPを測定する測定試薬及び測定方法において、メタクリル酸(モノカルボン酸又はその誘導体あるいはそれらの塩)を含有又は存在させることにより、CRPの測定において、低濃度から高濃度まで測定範囲を拡げることができることが分かる。
すなわち、本発明は、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度のCRPを正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。