(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786191
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】温度感応体、光学式温度センサ、温度計測装置及び熱流束計測装置
(51)【国際特許分類】
G01K 11/12 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
G01K11/12 H
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-534342(P2011-534342)
(86)(22)【出願日】2010年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2010067186
(87)【国際公開番号】WO2011040588
(87)【国際公開日】20110407
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2009-229089(P2009-229089)
(32)【優先日】2009年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504293528
【氏名又は名称】イマジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕二
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−111437(JP,A)
【文献】
実開昭56−77739(JP,U)
【文献】
特開昭57−52835(JP,A)
【文献】
特開平3−156332(JP,A)
【文献】
特開2004−212193(JP,A)
【文献】
特開2000−29541(JP,A)
【文献】
特開平6−91880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する内包物と、
上記内包物を包み、光が通過可能かつ熱膨張率が上記内包物の熱膨張率未満であり、体積弾性率が上記内包物の体積弾性率より高く、固体から液体への相転移温度が上記内包物の相転移温度より高く、計測対象物質の想定温度範囲において固形を維持する物質である外殻部材とを備え、
光学的温度計測の対象物として用いられる
ことを特徴とする温度感応体。
【請求項2】
請求項1において、
上記内包物は、光透過性を有し、温度の変化に応じて照射光に対する透過特性が変化する
ことを特徴とする温度感応体。
【請求項3】
請求項1又は2の何れか1つにおいて、
上記外殻部材は、概ね球状の中空粒子である
ことを特徴とする温度感応体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の温度感応体と、
上記温度感応体に接続され、該温度感応体の内包物に照射する光を伝達する入射側導光路と、
上記温度感応体に接続され、上記内包物から出射された光を伝達する出射側導光路とを備えている
ことを特徴とする光学式温度センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式温度センサと、
上記入射側導光路の入口へ向けて光を出射する光源と、
上記出射側導光路の出射光を受光し、該出射光を分析して上記温度感応体の温度を検出する光分析装置とを備えている
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光学式温度センサと、
上記入射側導光路の入口へ向けて光を出射する光源と、
上記出射側導光路の出射光を受光し、該出射光を分析して温度感応体の温度の変化量を検出し、該変化量から温度感応体の熱流束を検出する光分析装置とを備えている
ことを特徴とする熱流束計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度に依存する光学的性質の変化を利用する温度計測のための温度感応体と、その温度感応体を用いた光学式温度センサ、温度計測装置及び熱流束計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度や熱流束を計測する手法として、計測位置に熱電対やサーミスタを取り付ける電気的手法が広く用いられてきた。例えば特許文献1には、タービン本体から排出される排ガスの温度を計測する温度計測装置が開示されている。この温度計測装置では、ディフューザ内部に設置された保護管に熱電対の先端が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−206023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の温度計測装置では、熱電対に応答遅れがあることから、高い時間応答性を得ることが困難であった。
【0005】
本発明は上述の実情に鑑みなされたものであって、その目的は、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する物質を利用して、時間応答性の高い温度計測を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する内包物と、上記内包物を包み、光が通過可能
かつ赤外域の光に対して透過特性を有する外殻部材とを備え、光学的温度計測の対象物として用いられる温度感応体。
【0007】
第1の発明では、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する内包物が、
光が通過可能かつ赤外域の光に対して透過特性を有する外殻部材に包まれている。温度感応体は、光学的温度計測の対象物として用いられる。温度計測では、内包物に光が照射される。その結果、内包物から光が出射される。温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化するので、出射光を分析することで、内包物の温度が検出される。内包物の温度により、温度感応体を設けた位置の温度が検出される。このように、第1の発明では、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する物質を利用した温度計測が行われる。
また、外殻部材が赤外域の光に対して透過特性を有することにより外殻部材の輻射熱による変形を低減できる。さらに、輻射熱の内包物への伝達性が増すので、温度感応体の輻射熱に対する応答性が増す。
【0008】
第2の発明は、
温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する内包物と、上記内包物を包み、光が通過可能かつ膨張率が上記内包物の熱膨張率未満であり、体積弾性率が上記内包物の体積弾性率より高く、固体から液体への相転移温度が上記内包物の相転移温度より高く、計測対象物質の想定温度範囲において固形を維持する物質である外殻部材とを備え、光学的温度計測の対象物として用いられることを特徴とする温度感応体。
【0009】
第2の発明では、
外殻部材が膨張率が上記内包物の熱膨張率未満であり、体積弾性率が上記内包物の体積弾性率より高く、固体から液体への相転移温度が上記内包物の相転移温度より高く、計測対象物質の想定温度範囲において固形を維持する物質であることにより、外殻部材及び内包物の形状が、想定温度範囲で安定するとともに、内包物の変形が抑制される。
【0010】
第3の発明は、
第1又は第2の発明において、上記内包物が、
光透過性を有し、温度の変化に応じて照射光に対する透過特性が変化する。
【0011】
第3の発明では、
内包物に光を照射した場合に、光が内包物を透過する。そして、内包物が温度の変化に応じて照射光に対する透過特性が変化するので、例えば光の透過率を分析することで内包物の温度が検出される。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3の何れか1つの発明において、上記外殻部材が、概ね球状の中空粒子である。
【0013】
第4の発明では、外殻部材が概ね球状の中空粒子であるため、外殻部材とそれに包まれる内包物が変形しにくい。
【0014】
第5の発明は、第1乃至4の何れか1つの発明の温度感応体と、該温度感応体に接続され、該温度感応体の内包物に照射する光を伝達する入射側導光路と、上記温度感応体に接続され、上記内包物から出射された光を伝達する出射側導光路とを備えている光学式温度センサ。
【0015】
第5の発明では、温度感応体に対して入射側導光路から光が照射され、温度感応体から戻る光が出射側導光路から出射される。
【0016】
第6の発明は、第5の発明の光学式温度センサと、上記入射側導光路の入口へ向けて光を出射する光源と、上記出射側導光路の出射光を受光し、該出射光を分析して上記温度感応体の温度を検出する光分析装置とを備えている温度計測装置。
【0017】
第6の発明では、光学式温度センサに対して、出射側導光路の出射光を分析して温度感応体の温度を検出する光分析装置が設けられている。
【0018】
第7の発明は、第5の発明の光学式温度センサと、上記入射側導光路の入口へ向けて光を出射する光源と、上記出射側導光路の出射光を受光し、該出射光を分析して温度感応体の温度の変化量を検出し、該変化量から温度感応体の熱流束を検出する光分析装置とを備えている熱流束計測装置。
【0019】
第7の発明では、光学式温度センサに対して、出射側導光路の出射光を分析して温度感応体の温度の変化量を検出し、該変化量から温度感応体の熱流束を検出する光分析装置が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する物質を利用した温度計測が行われる。従って、熱電対のような応答遅れがなく、時間応答性の高い温度計測を実現することができる。
【0021】
上記第4の発明では、外殻部材が概ね球状の中空粒子であるため、外殻部材とそれに包まれる内包物が変形しにくい。そのため、内包物を光が透過する場合に光路長の変化量が抑制されるので、温度計測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】実施形態の光学式温度センサの概略構成図である。
【
図3】実施形態の変形例1の光学式温度センサの概略構成図である。
【
図4】実施形態の変形例2の光学式温度センサの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1に示すように、温度計測装置100は、光学式温度センサ110と光源装置120と光計測装置130と演算装置140とを備えている。光学式温度センサ110は、概ね球状の温度感応体102と、該温度感応体102から延びる第1及び第2の光ファイバー104,106とを備えている。光源装置120は、光学式温度センサ110から延びる第1光ファイバー104に接続されている。光計測装置130は、光学式温度センサ110から延びる第2光ファイバー106に接続されている。演算装置140は、光計測装置130に接続され、光計測装置130の出力信号を受信する。
【0025】
図2に示すように、温度感応体102は、概ね球状の中空粒子からなる外殻部材200と、外殻部材200の中に封入された内包物202とを有する。外殻部材200は、光透過性を有している。従って、外殻部材200の外側からの光は、外殻部材200を透過して内包物202に到達する。また、内包物202の表面から出射される光は、外殻部材200を透過して外殻部材200の外側に出射される。
【0026】
内包物202は、外殻部材200に包まれ、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する。内包物202としては、温度感応性の蛍光剤を用いることができる。この場合、内包物202は、光が照射されると、そのときの自身の温度に応じた蛍光を発する。
【0027】
なお、内包物202は、温度変化に伴って透過率が変化する透過性の物質であってもよいし、温度変化に伴って吸収スペクトルが変化する光透過性の物質であってもよい。この場合、内包物202では、光が照射されると、照射光が内包物202の温度に応じた屈折率で屈折しつつ内包物202内に入射する。内包物202内に入射した光は、内包物202の温度に応じて散乱しつつ内包物202内を進行し、最終的に内包物202から出射される。内包物202から出射する蛍光、反射光、透過光、または散乱光(以下、これらを「応答光」と呼ぶ)には、内包物202の温度が反映されている。
【0028】
内包物202には、その光学的性質の温度依存性が高い物質を選ぶとよいが、このような物質が、熱や外力に対して堅牢であるとは限らない。内包物202としては、二酸化炭素や水など常温常圧で気相または液相にある物質を用いることも可能である。このような物質は、位置や大きさを一定に保つことが難しい。そこで、温度感応体102の熱や外力に対する幾何学的な安定性を得るために、外殻部材200として、計測対象物質の想定温度範囲において固形を維持し、その熱膨張率が内包物202の熱膨張率未満であり、その体積弾性率が内包物202の体積弾性率より高く、固体から液体への相転移温度が内包物202の相転移温度より高い物質が用いられる。このような物質を選ぶことにより、外殻部材200及び内包物202の形状が、想定温度範囲で安定するとともに、内包物202の変形が抑制される。
【0029】
外殻部材200は、計測に支障が無い範囲において小径のものであることが望ましい。外殻部材200が小径であるほど温度感応体102の熱容量が小さくなるため、温度変化に対する応答性が向上する。また、外殻部材200が小径であるほど外力に対する形状安定性が増す。内包物202が想定温度範囲において流体である場合は、外殻部材200が小径であるほど内包物202の対流が抑制される。
【0030】
外殻部材200は、赤外域の光に対して透過特性を有していることが望ましい。赤外域の光に対して透過特性を有していれば、外殻部材200の輻射熱による変形を低減できる。さらに、輻射熱の内包物202への伝達性が増すので、温度感応体102の輻射熱に対する応答性が増す。
【0031】
温度変化に対する感度が高い応答光が内包物202を透過する場合は、外殻部材200として、その絶対屈折率が内包物202の絶対屈折率未満のものを選んでもよい。このようにすれば、照射光を内包物202において再帰反射させることができる。従って、照射光の照射方向と応答光の受光方向を一致させることができる。再帰反射させる場合は、内包物202を透過する光の光路長を長く取ることができる。
【0032】
ここで、温度感応体102を製造する際には、例えば相転移温度の違いを利用してもよい。外殻部材200の相転移温度が内包物202の相転移温度より高ければ、外殻部材200の原料(液体)と内包物202の原料(液体)との高温の混合物を準備し、これを冷却する際に外殻部材200の原料の相転移温度付近の温度帯を所定時間維持すれば、内包物202が外殻部材200に包まれた温度感応体102を得ることができる。
【0033】
第1光ファイバー104は、そのコアからの出射光を内包物202に照射する位置に接続される。第2光ファイバー106は、そのコアに内包物202からの応答光が入射するように接続される。
図2においては、第1光ファイバー104及び第2光ファイバー106は、外殻部材200に直接接合されている。このようにすれば、第1及び第2光ファイバー104,106と温度感応体102との間に介在物がなくなるため、介在物の温度変化に伴う計測誤差の発生を排除できる。温度感応体102が照射光を再帰反射するものであれば、
図2に示すように、第1光ファイバー104からの光の入射方向と第2光ファイバー106への応答光の入射方向とが球状の内包物202の中心に対して対称になるように、第1光ファイバー104及び第2光ファイバー106を接続する。
【0034】
光源装置120は、第1光ファイバー104の入口へ向けて光を出射する。光源装置120には、光学式温度センサ110より良好な応答光が得られるよう、種々の一般的な光学式温度計測に用いられる光源装置から選ばれる。光源装置120は、内包物202及び計測方式に応じて適宜選ばれる。光源装置120は、例えばパルスレーザ装置であってもよいし、発光ダイオード、電球、ランプであってもよい。
【0035】
光計測装置130は、演算装置140と共に、温度感応体200の出射光を受光し、該出射光を分析して上記内包物202の温度を検出する光分析装置を構成している。光計測装置130は、光学式温度センサ110からの応答光を良好に計測できるよう、種々の一般的な光学式温度計測に用いられる光計測装置から選ばれる。光計測装置130は、内容物202及び計測方式に応じて適宜選ばれる。光計測装置130は、例えば応答光の強度が温度と相関する場合は、光度計を用いることができるし、例えば応答光のスペクトルが温度と相関する場合は、分光光度計を用いることができる。
【0036】
演算装置140は、一般的なコンピュータハードウェアと、そのハードウェア上で動作するプログラム及びデータとにより実現される。コンピュータ自体の動作及び機能については周知であり、ここでは説明を省略する。
【0037】
演算装置140は、次の2つの機能モジュールを備える。具体的に、演算装置140は、予め記憶しておいた内包物202の光学的性質と温度との関係式に基づいて、光計測装置130が出力する応答光の計測結果(例えば、光の強度)を温度に換算する第1機能モジュールと、温度算出機能により得られた温度の変化量に基づいて内包物
202の熱流束を算出する第2機能モジュールとを有する。第1機能モジュールは、内包物
202の温度、つまり温度感応体102が配置された位置の温度を検出する。第2機能モジュールは、温度感応体102の体積V(m
3)及び伝熱面積S(m
2)、並びに内包物202の比熱Cv(T)(J/m
3・K)、並びに第1機能モジュールによる温度の計測結果の単位時間あたりの変化量ΔT(K/sec)から、温度感応体102の配置された領域における熱流束q(W/m
2)を算出する。
【0038】
第1機能モジュールにおける演算手法は、内容物202及び計測方式に応じて、種々の一般的な光学式温度計測に用いられる換算手法から適宜選ばれる。第1機能モジュールにおける演算は、プログラムによる数値計算であってもよく、予め用意した換算表による換算であってもよい。
【0039】
第2機能モジュールにおける熱流束q(W/m
2)の算出には、式1が用いられる。なお、式1にさらに、第1及び第2光ファイバー104,106の温度補正項を加味した式を用いてもよい。
式1:q=Cv(T)・V・ΔT/S
−実施形態の効果−
【0040】
本実施形態では、温度の変化に応じて照射光に対する光学的性質が変化する物質を利用した温度計測が行われる。従って、熱電対のような応答遅れがなく、時間応答性の高い温度計測を実現することができる。また、外殻部材200が概ね球状の中空粒子であるため、外殻部材200とそれに包まれる内包物202が変形しにくい。そのため、内包物202を光が透過する場合に光路長の変化量が抑制されるので、温度計測の精度を向上させることができる。また、外殻部材200が光透過性を有するので、光の照射及び内包物202からの光の計測が容易である。また、赤外輻射を内包物202まで伝えるため、この温度感応体102は、輻射熱に対しても良好に応答する。また、光ファイバー104,106と温度感応体102との間に介在物はないので、介在物の温度変化に伴う誤差が回避される。
−実施形態の変形例1−
【0041】
変形例1では、
図3に示すように、第1及び第2光ファイバー104,106のクラッドと外殻部材200とが一体成型されている。外殻部材200には、内包物202に照射する光を外殻部材200内へ入射させるための入射部と、内包物202から戻る光りを外殻部材200外へ出射させるための出射部とが設けられている。第1光ファイバー104は入射部に接続されている。第2光ファイバー106は出射部に接続されている。第1及び第2光ファイバー104,106のコアは、内包物202の表面に当接している。第1及び第2光ファイバー104,106のクラッドと外殻部材200とは、同一の材料から構成されている。
−実施形態の変形例2−
【0042】
変形例2では、
図4に示すように、1本の光ファイバー108が、入射側導光路と出射側導光路とを兼ねている。光源装置120、光ファイバー108、及び光計測装置130の間には、入射光と応答光とを分けるための分岐光学系が設けられている。
−実施形態の変形例3−
【0043】
変形例3では、応答光の集光用に複数の光ファイバーが設けられている。この場合、透過光、反射光、及び散乱光のうち選ばれた1種類の光を全ての光ファイバーが集光するようにしてもよいし、光ファイバーがそれぞれ別の種類の光を集光するようにしてもよい。
−実施形態の変形例4−
【0044】
変形例4では、温度感応体102が配置された空間(例えばエンジンの燃焼室)の発光状態が、温度及び熱流束の計測と併せて行われる。その場合、外殻部材
200には光透過性のものが用いられる。温度感応体102の外側の発光は、外殻部材
200及び内包物202を介して第2光ファイバー106に導かれ、第2光ファイバー106の出射光を用いて、対象とする発光の強度が分析される。ただし、外部からの光の波長成分と応答光との波長成分とが重複しないよう、
内包物202の成分や光学的特性を適切に選択することが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、温度に依存する光学的性質の変化を利用する温度計測のための温度感応体と、その温度感応体を用いた光学式温度センサ、温度計測装置及び熱流束計測装置について有用である。
【符号の説明】
【0046】
100 温度計測装置
102 温度感応体
104 第1光ファイバー(入射側導光路)
106 第2光ファイバー(出射側導光路)
110 光学式温度センサ
120 光源装置(光源)
130 光計測装置(光分析装置)
140 演算装置(光分析装置)
200
外殻部材
202
内包物