特許第5786219号(P5786219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786219
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】手洗いステーション
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/04 20060101AFI20150910BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A47K1/04 E
   A47K1/04 Z
   A47K1/00 K
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-289304(P2012-289304)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2013-121510(P2013-121510A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2013年2月12日
(31)【優先権主張番号】1121299.0
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ディヴィッド ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ベンジャミン コートニー
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−049924(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第04406971(DE,A1)
【文献】 実開昭60−126562(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00−1/14
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサと、
排水管を有する容器と、
前記排水管の上方に位置し、かつ前記流体ディスペンサが流体をその上に分配するように配置された熱交換器と、
前記熱交換器の内面に隣接して第2の流体を搬送するための手段と、
を含み、
前記第2の流体搬送するための手段は、少なくとも部分的に前記熱交換器の前記内面によって境界を定められた冷却ジャケットを含み、前記冷却ジャケットは、流体出口ポートを含み、前記冷却ジャケットは、ドーム状部を有し、前記流体出口ポートは、該冷却ジャケットの該ドーム状部の頂点に位置することを特徴とする手洗いステーション。
【請求項2】
前記熱交換器の、前記冷却ジャケットの前記ドーム状部を形成する一部が、凸状外面を有することを特徴とする請求項1に記載の手洗いステーション。
【請求項3】
前記熱交換器の、前記冷却ジャケットの前記ドーム状部を形成する記一部は、実質的に球面曲率を有する外面を有することを特徴とする請求項2に記載の手洗いステーション。
【請求項4】
前記流体ディスペンサは、前記熱交換器の外面上に直接に流体を分配するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の手洗いステーション。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記容器と一体化されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手洗いステーション。
【請求項6】
前記熱交換器は、前記容器の基部の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手洗いステーション。
【請求項7】
前記排水管は、前記熱交換器と前記容器の側壁との間に位置することを特徴とする請求項6に記載の手洗いステーション。
【請求項8】
前記熱交換器は、前記容器の側壁の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手洗いステーション。
【請求項9】
前記冷却ジャケットは、少なくとも1つの流体入口ポートを含むことを特徴とする請求項1に記載の手洗いステーション。
【請求項10】
前記第2の流体搬送するための手段から前記流体ディスペンサまで流体を搬送するための出口導管を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の手洗いステーション。
【請求項11】
前記出口導管から流体を受け入れるための第1の入口と、比較的熱い流体を受け入れるための第2の入口と、前記流体ディスペンサに接続された出口とを有する混合器を含むことを特徴とする請求項10に記載の手洗いステーション。
【請求項12】
流体ディスペンサと、
排水管を有する容器と、
前記排水管の上方に位置し、かつ前記流体ディスペンサが流体をその上に分配するように配置された熱交換器と、
前記熱交換器の内面に隣接して又はそれにわたって第2の流体を搬送するための手段と、
前記第2の流体搬送するための手段から前記流体ディスペンサまで流体を搬送するための出口導管と、
前記出口導管内に位置する流体を加熱するための加熱器を含むことを特徴とする手洗いステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗いステーションに関する。一例では、手洗いステーションは、洗面所に設置することができる流しユニットの形態である。
【背景技術】
【0002】
公知のように、流しユニットは、流体を容器の中に分配するために水を分配するための通常は蛇口の形態の少なくとも1つの流体ディスペンサと、分配された流体を容器から排水するための排水管とを含む。流しユニットには、異なる温度の範囲にわたって水を分配するための単一の蛇口、又はそれぞれの温度の水を各々分配する2つの蛇口を備えることができる。流体ディスペンサは、容器に隣接して位置するか、容器上に装着されるか、又は壁上に位置することができる。
【0003】
流しユニットに供給される水を加熱するのに1年当たり使用するエネルギの量は、かなりのものになる可能性がある。一例として、中くらいの利用率の公衆洗面所に位置する流しユニットは、1日当たり約200人のユーザが対象になる場合がある。流しユニットの各ユーザが、典型的には約40℃で分配された比較的熱い水で洗うこと、及び1回洗浄当たり約330mlの水(1分当たり2リットルの分配された流量及び10秒の洗浄時間から計算した)を使用することを選択する場合、年間を通して流しユニットに供給される水を約18℃の温度から40℃に加熱するのに必要なエネルギは、約625kWhになる場合がある。
【0004】
分配された水が、空気中を通り、次に、ユーザの手の上を通り、容器の外面を伝って排水管まで移動する時の分配された熱い水(以下、「熱水」という。)の温度低下は、一般的に約5℃である。その結果、熱水が、流しユニットの排水管を通して放出される時に浪費されるエネルギは、1年当たり約485kWhになる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,291,423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容器の排水管から放出された廃棄熱水からの熱を容器に供給すべき流入冷水に伝導するためのシステムを提供し、そこで、流入冷水が分配される前に流入冷水を加熱するのに必要なエネルギの量を低減することは公知である。例えば、米国特許第4,291,423号明細書は、廃棄熱水が、容器から容器の下に位置して流入冷水を含有するチューブを収容するチャンネルまで搬送される熱回収システムを説明している。熱は、廃棄熱水からチューブの本体を通して流入冷水に伝導する。しかし、チューブの外面上への石鹸、浮きかす、及び硬水あかの集積は、流入冷水への熱の移送を損なう可能性があるので、容器は、掃除するためにユーザが熱回収システムにアクセス可能であるように取外し可能である必要がある。これは、ユーザに対して不便である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、排水管を有する容器と容器の中に流体を分配するための流体ディスペンサとを含む手洗いステーション又はユニット、例えば、流しユニットを提供し、容器は、分配された流体と第2の流体との間で熱を移送するために容器の外面の少なくとも一部を形成する熱交換器を含む。
【0008】
熱交換器は、従って、流体が分配される容器の一部を形成する。熱交換器は、分配された流体と、容器内の分配された流体よりも低い温度にすることができる第2の流体との間で熱を移送させるように配置される。これは、分配された流体が排水管に入る前、従って、例えば、ユーザの手及び/又は空気との接触による分配された流体のごく僅かな温度の低下の後に熱交換器が分配された流体から熱を抽出することを可能にする。これは、米国特許第4,291,423号明細書で説明されているような排水管からの排水又は封入チャンネルの中への流入の後に、及び従ってその温度のより大きな低下の後に分配された流体から熱が移送される熱回収システムに比較して、分配された流体からの熱の回収を有意に改善することができる。本明細書で使用される場合、用語「容器の外面」は、分配された流体が容器の排水管に入る前に分配された流体に接触するあらゆる表面を含む。容器は、流体が分配されるボウル又は洗面器の形態にすることができる。
【0009】
熱交換器が、流体が分配される容器の外面の少なくとも一部を形成するような熱交換器の位置は、分配された流体と熱接触する熱交換器の外面をユーザによって容易に掃除することを可能にすることができる。通常、公衆洗面所で1日当たり少なくとも2回又は3回実施される容器の外面の定期的な掃除により、熱交換器の外面も清浄にしておくことができ、それによって熱交換器の効率を維持する。
【0010】
熱交換器のこの位置は、熱交換器の外面を周囲の雰囲気中の空気のような分配された流体以外の別の流体と接触状態に置く。周囲の雰囲気及び第2の流体の相対温度に応じて、熱交換器は、容器内に分配された流体がない時に、比較的熱い周囲の雰囲気から比較的冷たい第2の流体まで熱を移送することができる。例えば、洗面所のユーザ、熱風ハンドドライヤ、及びラジエータを含む第2の流体の温度を超える空気の加熱に寄与し得る公衆洗面所内に様々な熱源がある。代替的に、周囲の雰囲気が比較的冷たい時に、熱交換器は、熱を比較的熱い第2の流体から比較的冷たい周囲の雰囲気に伝導することができる。
【0011】
従って、第2の態様では、本発明は、第1の温度で流体と熱的に接触するための外面と第2の温度で流体と熱的に接触するための内面とを有する熱交換器を含む容器を含む手洗いステーションを提供し、熱交換器の外面は、容器の外面の少なくとも一部を形成する。
【0012】
上述のように、第1の温度の流体は、第2の温度の流体よりも熱い又は冷たい場合がある。第1の温度の流体は、分配された水又は分配された空気、又は周囲の雰囲気内の空気のような分配された流体とすることができる。
【0013】
例えば、空気は、洗面所で又は容器に局所的に隣接する空気を循環させるための扇風機から又はハンドドライヤから分配することができる。第1の温度のこの流体は、以下では「分配された流体」と称される。第2の温度の流体は、以下では「第2の流体」と称され、これは、給水本管から受け取った水又は空気とすることができる。例えば、空気は、外部源から又は手洗いステーションが設置された洗面所の外側に位置する空気から手洗いステーションまで圧送することができる。第2の流体をその後利用し、分配された流体を形成することができ、従って、分配された流体及び第2の流体は、単にそれらのそれぞれの温度によって互いに異なるとすることができる。
【0014】
熱交換器の外面は、あらゆる望ましい形状を有することができる。例えば、熱交換器の外面は、分配された流体及び/又は周囲の雰囲気と接触する容器の略平坦又は平面外面を形成することができる。しかし、熱交換器の外面の面積を増加させ、そこで所定の容器空間内の熱移送に利用することができる表面積を増加させるために、熱交換器は、好ましくは、容器の隆起外面の少なくとも一部を形成する。代替的に又は追加的に、熱交換器の外面は、分配された流体を排水管の方向に案内するために容器の凹状外面を形成することができる。
【0015】
第2の流体までの流体の移送を最適化するために、分配された流体が熱交換器の外面にわたって流れる方向と反対の方向に熱交換器の内面にわたって又はそれに隣接して第2の流体の流れを搬送することが好ましい。ドーム形又は凸状形状のような隆起形状を有する熱交換器の外面の少なくとも一部を設けることで、分配された流体が、共通方向に、すなわち、隆起面の頂点から離れるように熱交換器の外面にわたって流れるように、例えば、ディスペンサ及び熱交換器の相対位置、ディスペンサの形状、及び流体が分配される速度のうちの少なくとも1つの選択によって流しユニットを配置することを可能にすることができる。第2の流体は、次に、頂点の方向に熱交換器の凹状内面にわたって又はそれに隣接して搬送することができる。
【0016】
凸状外面を有する熱交換器を形成する恩典は、分配された流体が、凸状表面の上を流れる多くの水滴の表面積に比較して低減された表面積を有する凸状表面にわたって比較的薄いフィルムを形成する傾向がある可能性があることである。これは、分配された流体の蒸発冷却の程度を低下させるので、熱交換器を通る熱の移送を最大にすることができる。熱交換器の外面は、好ましくは、親水性材料から形成され、又はそれで被覆され、熱交換器にわたって分配された流体の広がりを容易にし、従って、(比較的絶縁性の)周囲の雰囲気ではなくて(比較的伝導性の)熱交換器を通る熱の移送を容易にする。
【0017】
熱交換器の隆起部は、あらゆる望ましい幾何学形状を有することができる。例えば、熱交換器の隆起部は、ドーム形、円筒形、円錐形、円錐台形、又は多面体形状を有することができる。熱交換器は、好ましくは、分配された流体が熱交換器にわたって均等に広がって層状フィルムを形成するように、実質的に球面曲率を有する容器の外面の少なくとも一部を形成する。半球体が、等しい半径の円形の平坦ディスクの2倍の表面積を有すると、このようにして熱交換器を成形することは、1秒当たりの熱交換器と熱接触した流体の容積を最大にし、従って、第2の流体への熱移送の比率を最大にすることができる。この形状により、熱交換器はまた、流体ディスペンサに対する熱交換器の設置角度に比較的無関係にすることができる。
【0018】
球体はまた、3次元形状の最強で堅牢なものうちの1つであり、これは、容器の外面のこの球面部分を形成する少なくとも熱交換器の部分が、5mm未満、好ましくは、2mm未満、より好ましくは、1mm未満の厚みを有する材料から形成することを可能にすることができる。これは、熱交換器を分配された流体の温度まで加熱するのにかかる時間を短縮することができ、流しユニットの使用中に熱交換器によって保持される熱の量を低減することができる。熱交換器及び従ってその材料の容積の厚みは、熱交換システムの熱慣性及び感受性に比例している。低慣性熱交換システムは、小さな温度の変化に急速に反応することができ、熱を周囲の雰囲気と第2の流体との間で移送することを可能にする。
【0019】
熱交換器は、従って、容器の平坦、ドーム形、凸状、円筒形、円錐形、円錐台形、多面体、半球体、回転楕円体、又は球体の部分を形成することができる。容器のこの部分は、容器の基部の外面の少なくとも一部から突出している場合がある。分配された流体は、次に、排水管を通して排出される前にこの容器の一部にわたって及び基部の方へ流れることができる。容器は、基部に接続された側壁を有することができ、これは、熱交換器の周りに延びる。代替的に、熱交換器は、容器の側壁の周りに位置することができる。
【0020】
熱交換器は、容器の基部とは別の構成要素とすることができる。例えば、熱交換器は、熱交換器が容器の排水管の上方に位置するように、容器の基部に接続することができる。熱交換器は、分配された流体が、熱交換器の縁部を溢れ出て、その後熱交換器の下を排水管まで移動することができるように、熱交換器の周囲に延びる複数の支持体によって容器の基部に接続することができる。熱交換器は、容器に取外し可能に接続し、容器のいずれかの他の一部を取り外す必要なく熱交換器を掃除、修理、又は交換することを可能にすることができる。
【0021】
好ましい実施形態では、熱交換器は、容器と一体化される。熱交換器は、好ましくは、容器の基部の外面の少なくとも一部を形成する。上述の理由により、熱交換器は、好ましくは、基部の隆起部の少なくとも一部を形成する。基部のこの隆起部は、好ましくは、凸状形状であり、好ましくは、実質的に球面曲率を有する。好ましい実施形態では、熱交換器は、容器の基部の外面の半球部分を形成する。流しユニットは、好ましくは、分配された流体の流れがユーザの手に当たらない時に、容器の隆起部の外面が、分配された流体が排水管の方向に流れる時に分配された流体で実質的に均等に被覆することができるように、流体が基部の隆起部に直接分配されるように配置される。例えば、流体ディスペンサは、分配された流体が、容器の隆起部の頂点に分配されるように配置することができる。
【0022】
好ましい実施形態では、容器は側壁を含む。熱交換器が容器の基部の一部を形成することの代替として又は追加的に、熱交換器は、容器の側壁の外面の少なくとも一部を形成することができる。これは、容器の側壁の外面にユーザの手から飛散した分配された流体から熱を抽出することを可能にすることができ、かつ周囲の雰囲気と第2の流体との間で熱を抽出することを可能にすることもできる。側壁は、好ましくは、基部の隆起部の周りに延び、排水管は、好ましくは、側壁と基部の隆起部の間に位置する。排水管は、単一流体ポート又は基部の隆起部の周りに離間した複数の流体ポートのいずれかを含むことができ、それを通して、流体は、容器から外部の廃棄パイプまで流れ出る。
【0023】
熱交換器は、容器の外面の少なくとも一部を形成するために成形された材料の単一シートを含むことができる。排水管は、材料のこのシートからの材料の打ち抜き又はそうでなければ取り除きから形成することができる。材料のシートは、好ましくは、熱交換器が比較的高い熱伝導性を有するように、金属材料、例えば、ステンレス鋼から形成される。親水性材料のコーティングが、材料のこのシート上に堆積されるか又はそうでなければ配置され、熱交換器の外面を形成することができる。代替的に、熱交換器は、材料の複数の層を含むことができ、材料の1つの層は、熱交換器の外面を形成し、材料の別の層は、熱交換器の内面を形成する。この場合には、熱交換器の層は、同じ材料から又は異なる材料から形成することができる。例えば、熱交換器の外面は、ステンレス鋼のシートから形成することができるのに対して、熱交換器の内面は、製造費用を節減するように異なる金属材料のシートから、又は水の安全性の理由のために異なる流体流れを更に分離するようにプラスチック材料のシートから形成することができる。
【0024】
容器は、好ましくは、第2の流体が、熱交換器と熱接触して置かれ、容器内で流体と熱を交換するように、熱交換器の内面に隣接して又はその上で第2の流体の流れを搬送するための手段を含む。流体搬送手段は、好ましくは、分配された流体が熱交換器の外面にわたって流れる方向と実質的に反対の方向に熱交換器の内面にわたって又はそれに隣接して第2の流体を搬送するように配置される。例えば、熱交換器が、分配された流体が流れる凸状外面を形成する凸状部を含む場合、流体搬送手段は、好ましくは、第2の流体を熱交換器の凸状部の頂点の方向に内部に搬送するように配置される。
【0025】
流体搬送手段は、熱交換器の内面に隣接する流体を搬送するために少なくとも1つの導管を含むことができる。例えば、流体搬送手段は、熱交換器の内面に隣接して配置され、第2の流体を熱交換器の内面と熱接触して置かれる1つ又はそれよりも多くのパイプ又はチューブを含むことができる。例えば、パイプは、パイプが熱交換器の外面とは反対側内に位置するように、容器が位置する本体又はケーシングの周りに巻くことができる。
【0026】
この場合には、分配された流体と第2の流体の間に移送された熱はまた、パイプを通過する必要があるので、この熱の一部を利用して、比較的冷たい流体の温度の上昇とは対照的にパイプの温度を上昇させることができる。この点から見て、好ましい実施形態では、容器は、比較的熱い流体から比較的冷たい流体まで熱を伝導するように加熱するのに付加的な熱質量が必要ないように、少なくとも部分的に熱交換器の内面によって境界を定められた冷却ジャケットの形態の封入流体通路を含む。冷却ジャケットは、実質的に熱交換器の内面にわたって延びることができ、従って、容器の基部の内面及び容器の側壁の内面の両方にわたって延びることができる。代替的に、冷却ジャケットは、容器の内面の選択部分にわたって延びることができる。
【0027】
容器は、好ましくは、熱交換器の周りに延びるケーシングを含み、冷却ジャケットは、好ましくは、熱交換器とケーシングの間に位置し、より好ましくは、それらによって境界を定められる。熱交換器の内面及びケーシングの内面は、好ましくは、冷却ジャケットが、熱交換器の周りで均一な厚みを有するように実質的に同じ形状を有する。ケーシングは、冷却ジャケット内の流体とケーシングの外面と熱接触した周囲の雰囲気との間で熱を移送するように配置することができる。扇風機のような空気ディスペンサは、熱を分配された空気と冷却ジャケット内の流体との間で移送することができるように、ケーシングの外面にわたって空気を分配するために設けることができる。この場合には、ケーシングはまた、容器の熱交換器を形成することができる。例えば、ケーシングは、ステンレス鋼のような金属材料から形成することができる。代替的に、ケーシングは、熱的に絶縁材料から形成され、ケーシングを通じた熱の損失を抑制することができる。
【0028】
ケーシングは、好ましくは、第2の流体が冷却ジャケットに入る少なくとも1つの流体入口ポートを含む側壁を有する。冷却ジャケットは、次に、熱交換器の側壁の内面にわたって流体を搬送することができる。冷却ジャケットは、熱交換器の内面にわたって第2の流体を均等に分配するためにケーシングの側壁の周りに配置された複数の流体入口ポートを含むことができる。環状配分ジャケットは、流体を流体入口ポートに供給するために設けることができる。熱交換器の基部が、凸状外面を有する隆起部を含む場合、冷却ジャケットの流体出口ポートは、好ましくは、凸状外面の頂点とは反対側に位置する。
【0029】
流しユニットは、好ましくは、冷却ジャケットに流体を供給するための入口導管を含む。入口導管は、給水本管に接続することができ、給水本管は、高い水圧、例えば、最大10バールを有することができる。容器が冷却ジャケットに対して高圧冷水供給に耐えることを可能にする熱交換器の厚みの増加が、熱交換器を通る熱の移送に悪影響をもたらす場合があるので、入口導管は、第2の流体が冷却ジャケットに入る前に第2の流体の静圧を低減するための減圧弁を含むことができる。これはまた、冷却ジャケット内の流体の圧力により熱交換器とケーシングの間のあらゆるシール又は接続部内に形成されたあらゆる漏れの可能性を低下させることにより、冷却ジャケットから流体のあらゆる漏れを抑制することができる。入口導管は、冷却ジャケットへの流体の流れを選択的に抑制するための電磁弁又は他の弁を含むことができる。
【0030】
流しユニットは、冷却ジャケットから流体ディスペンサまで流体を搬送するための出口導管を含むことができる。流体ディスペンサから流体の分配を抑制するために、第2の弁、好ましくは、電磁弁を冷却ジャケットと流体ディスペンサの間に設けることができる。この第2の弁は、出口導管に又は出口導管と流体ディスペンサの間に位置する別の導管に位置することができる。第2の導管は、ユーザによって手動で又は流体ディスペンサに近接するユーザの手の検出に応答してそのいずれかで選択的に開き、流体が分配されることを可能にすることができる。流体を流体ディスペンサから分配すべき時に、入口導管及び出口導管に位置する弁は、好ましくは、同時に開く。流体ディスペンサからの流体の分配を停止すべき時に、例えば、所定の時間後に又は所定の量の流体が分配された後に、入口導管に位置する弁は、好ましくは、出口導管に位置する弁の前に閉じる。それによって望ましくない高い静圧が冷却ジャケット内で発生するのを阻止する。
【0031】
加熱器は、出口導管内に位置する流体を加熱して流体ディスペンサから分配される流体を形成するために設けることができる。流体が容器を通過する時に流体の温度を上昇させる熱交換器により、必要な分配温度まで流体を更に加熱するのに必要な電力消費量は小さい。加熱器の少なくとも一部は、基部の隆起部によって取り囲まれ、ジャケットと加熱器の間に位置する出口導管のあらゆる露出部分の長さを縮小することができる。
【0032】
代替的に、出口導管は、出口導管から流体を受け入れるための第1の入口と、比較的熱い流体を受け入れるための第2の入口と、流体ディスペンサに接続された出口とを有する温度調節混合弁まで冷却ジャケットから流体を搬送することができる。比較的熱い流体は、ボイラー加熱流体とすることができ、これは、冷却ジャケットから受け取った流体と混合されて混合流体を提供し、これは、分配される流体を形成するために流体ディスペンサに供給される。この場合には、必要な分配温度で混合流体を提供するのに必要なボイラー加熱流体は少なく、それによってボイラーが消費するエネルギの量を低減する。この場合も、温度調節混合弁の少なくとも一部は、基部の隆起部によって取り囲まれ、ジャケットと温度調節混合弁の間に位置する外側導管のあらゆる露出部分の長さを縮小することができる。この場合には、流体ディスペンサから流体の分配を抑制するための弁は、温度調節混合弁と流体ディスペンサの間に位置することができる。
【0033】
容器の冷却ジャケットから流体を容器の中に分配するための流体ディスペンサまで流体を搬送する代替として、冷却ジャケットからの流体は、隣接する流しユニットの流体ディスペンサまで搬送することができる。別の代替として、流しユニットは、流しユニットの容器の冷却ジャケットに冷水を供給するための共通給水本管に接続された一連の流しユニットの一部を形成することができる。冷却ジャケットから排出された水は、次に、ボイラー又は他の加熱器から受け取った熱水と流しユニットの容器から受け取った水とを混合するために共通温度調節混合弁に搬送されて混合流体を提供することができ、これは、次に、流しユニットの流体ディスペンサに供給され、分配される流体を形成する。
【0034】
第3の態様では、本発明は、凸状外面を有する隆起部を有する容器と、凸状外面上に比較的熱い流体を分配するための流体ディスペンサと、容器の隆起部の内面に隣接して又はそれにわたって比較的冷たい流体を搬送するための手段とを含む手洗いステーション、例えば、流しユニットを提供する。
【0035】
第4の態様では、本発明は、基部及び基部に接続された側壁を有する容器と、容器の側壁の内面に隣接して又はそれにわたって比較的冷たい流体を搬送するための手段とを含む手洗いステーション、例えば、流しユニットを提供する。
【0036】
第5の態様では、本発明は、容器と、容器の中に比較的熱い流体を分配するための流体ディスペンサと、容器内の比較的熱い流体から比較的冷たい流体まで熱を移送するための熱交換器とを含む手洗いステーション、例えば、流しユニットを提供する。
【0037】
第6の態様では、本発明は、流体ディスペンサと、排水管を有する容器と、排水管の上方に位置し、かつその上に流体ディスペンサが流体を分配するように配置された熱交換器と、熱交換器の内面に隣接して又はそれにわたって第2の流体を搬送するための手段とを含む手洗いステーション、例えば、流しユニットを提供する。熱交換器は、好ましくは、容器の基部に接続される。熱交換器は、容器の側壁、及び/又は容器の基部の少なくとも一部を形成することができる。
【0038】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2から第6の態様の各々に等しく適用可能であり、その逆も同様である。
【0039】
本発明の好ましい特徴をここで単に一例として添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】流しユニットの上から見た斜視図である。
図2】流しユニットの上面図である。
図3】流しユニットの容器から流しユニットの流体ディスペンサまで流体を搬送するためのシステムを示す図2の線J−Jに沿った側面断面図である。
図4(a)】流しユニットの熱交換器の第1の実施例の詳細な断面図である。
図4(b)】流しユニットの熱交換器の第2の実施例の詳細な断面図である。
図5】流しユニットの容器から流しユニットの流体ディスペンサまで流体を搬送するための代替のシステムを示す図2の線J−Jに沿った別の側面断面図である。
図6】流しユニットの容器に隣接して空気を分配するための空気ディスペンサを示す図3に類似する図である。
図7】複数の流しユニットを含む洗面所の流路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から図3を参照すると、手洗いステーションの実施例は、流体ディスペンサ及び分配された流体を受け入れるための容器を含む。この実施例では、手洗いステーションは、流しユニット10の形態であり、流しユニット10は、ボウル又は洗面器12及び洗面器12の中に流体を分配するための流体ディスペンサ14の形態の容器を含む。この実施例では、洗面器12及び流体ディスペンサ14は、流し台16上に各々設置される。流体ディスペンサ14は、洗面器12に隣接して位置するが、流しユニット10の設計に応じて、流体ディスペンサ14は、洗面器12に直接又は洗面器12に隣接して位置する壁に接続することができる。流し台16は、洗面器12のリム20が、流し台16の上面によって支持されるように、洗面器12を挿入する第1の開口18を有する。代替的に、洗面器12は、第1の開口18のすぐ下に位置するように流し台16の下面に接続することができる。流し台16は、流体が流体ディスペンサ14に接続されたディスペンサ供給パイプ24によって流体ディスペンサ14に流体が搬送される第2の開口22を有する。
【0042】
この実施例では、流体ディスペンサ14は、熱水を洗面器12の中に分配するために蛇口の形態である。流体ディスペンサ14は、ディスペンサ供給パイプ24から熱水の流れを受け入れるための主本体26、及び熱水を洗面器12の中に分配する噴出口28を含む。必要に応じて、洗浄のための熱水は、供給パイプ24から主本体26まで供給される。熱水は、主本体26及び噴出口28の内側を通して噴出口28の端部に設けられた出口30に達する。流体ディスペンサ14は、洗浄位置でユーザの手の検出に応答してディスペンサ供給パイプ24の第1の停止弁31を自動的に開く従来のセンサ及び制御ループを使用する「ハンズフリー」操作用に構成される。代替的に、流体ディスペンサ14は、手動操作用に構成することができる。
【0043】
この実施例において、洗面器12は、ほぼ円形の外周を有するが、洗面器12は、分配された熱水を受け入れるためにあらゆる望ましいサイズ又は形状の容積を形成するために矩形又は正方形の周囲を有することができる。この容積は、基部32の外面及び側壁34の外面によって境界を定められる。洗面器12は、分配された熱水を廃棄水パイプ38に排出するための排水管36を含む。
【0044】
基部32は、中心隆起部40を有する。この実施例では、隆起部40は、凸状外面を有し、凸状外面は、好ましくは、実質的に半球の形状である。基部32の隆起部40の頂点42は、側壁34が、基部32の隆起部40を取り囲むように、洗面器12のリム20と略同じ高さである場合がある。流体ディスペンサ14の噴出口28の出口30は、基部32の隆起部40に熱水の流れを搬送するように配置される。この実施例では、流体ディスペンサ14の噴出口28の出口30は、噴出口28の下にユーザの手がない場合に、熱水が、基部32のドーム状部40の頂点42に直接分配されるように、基部32のドーム状部40の頂点42のすぐ上に位置する。しかし、流体ディスペンサ14は、基部32のドーム状部40の異なる部分に熱水を向けるように配置することができる。排水管36は、基部32に形成され、基部32の隆起部40の周りに離間した複数の廃棄出口ポートを含む。
【0045】
洗面器12は、洗面器12内の熱い分配された水から比較的冷たい流体、この実施例では冷水まで熱を移送するための熱交換器44を含む。熱交換器44は、基部32の外面及び洗面器12の側壁34を形成する。この実施例では、熱交換器44は、金属材料、好ましくは、ステンレス鋼のシートを含む。材料がシートから例えば型打ち又は切断によって除去され、廃棄熱水を廃棄水パイプ38まで搬送するために基部32に流体ポートを形成する。図4(a)を参照すると、熱交換器44は、シート材料の複数の層を含むことができる。例えば、ステンレス鋼の外側シート45aは、熱交換器44の外面44aを設けることができるのに対して、異なる材料、例えば、プラスチック材料の内側シート45bは、熱交換器44の内面44bを設けることができる。代替的に、図4(b)に示すように、熱交換器44は、熱交換器44の外面44a及び内面44bの両方を提供する材料、例えば、ステンレス鋼の単一シートを含むことができる。
【0046】
洗面器12は、熱交換器44の内面44bにわたって給水本管から冷水を搬送するための流体通路を含む。この実施例では、流体通路は、洗面器12内に位置し、熱交換器44の内面44bを取り囲む冷却ジャケット46の形態である。同じく図4(a)及び図4(b)を参照すると、冷却ジャケット46は、熱交換器44の内面44b及び熱交換器44が位置するケーシング48の内面48bによって境界を定められる。ケーシング48の内面48bは、冷却ジャケット46が、熱交換器44の周りに実質的に一定の厚みを有するように、実質的に熱交換器44の内面44bと同じ形状を有する。ケーシング48は、熱交換器44に類似する熱伝導性を有する材料から形成することができ、従って、ステンレス鋼から形成することができる。しかし、ケーシング48は、熱的に絶縁された材料から形成されるか又はそれで被覆した外面を有し、ケーシング48の外面48aからの熱の損失を抑制することができる。ケーシング48は、強度のためにかつ冷却ジャケット46の一定の厚みを維持するために、熱交換器44に基部32及び/又は側壁34で結合、溶接、又はそうでなければ接合することができる。
【0047】
ケーシング48は、洗面器12のリム20の下面を形成する。熱交換器44及びケーシング48は、好ましくは、洗面器12のリム20において、例えば、熱交換器44及びケーシング48が形成される材料に応じて溶接又は別の好ましい接合技術によって互いに接続される。ケーシング48の基部50は、洗面器12の組み立て中に熱交換器44の基部32の廃棄出口ポートと整列する複数の廃棄出口ポートで形成される。環状インサート52は、整列した廃棄出口ポートの中に挿入され、冷却ジャケット46から排水管36を絶縁する。
【0048】
冷却ジャケット46は、冷水を熱交換器44の内面44bの周りに均等に分配するために、ケーシング48の側壁56の上端に形成された複数の流体入口ポート54を含む。流体入口ポート54には、ケーシング48に形成されて冷却ジャケット46の周りに延びる環状配分ジャケット58によって冷水が供給される。配分ジャケット58は、冷却ジャケット46から熱的に絶縁することができる。配分ジャケット58は、冷水供給パイプ62に接続されたその下端の方向に位置する入口60を有する。冷水供給パイプ62は、給水本管に接続することができ、その場合には、冷水供給パイプ62は、冷水が配分ジャケット58に入る前に冷水の静圧を低減するための減圧弁を含むことができる。例えば、減圧弁は、約0.5バールまで冷水の静圧を低減し、熱交換器44とケーシング48の間のシール又は接続部内の漏れの発生を抑制するように配置することができる。冷水供給パイプ62はまた、配分ジャケット58への冷水の流れを選択的に抑制するために第2の停止弁63を収容することができる。冷却ジャケット46は、ケーシング48の基部50の隆起部66に位置する流体出口ポート64を含む。流体出口ポート64は、熱交換器44の基部32の隆起部40の頂点42とは反対側に位置する。
【0049】
流しユニット10は、洗面器12から流体ディスペンサ14まで冷水を搬送するためのシステムを含む。この実施例では、冷却ジャケット46の流体出口ポート64は、冷却ジャケット46から温度調節混合弁72の第1の入口70まで水を搬送するための出口パイプ68に接続される。混合弁72は、熱水供給パイプ76に接続された第2の入口74と、ディスペンサ供給パイプ24に接続された出口78とを有する。熱水供給パイプ76は、ボイラー又は他の熱水源に接続することができる。図示のように、温度調節混合弁72は、洗面器12の外部に位置するが、温度調節混合弁72は、それが、ケーシング48の基部50の隆起部66によって少なくとも部分的に取り囲まれるように、ケーシング48の下に位置することができる。これは、流しユニット10により小型の構成をもたらすことができる。
【0050】
配分ジャケット58の入口60が、冷水供給パイプ62に最初に接続される時に、第2の停止弁63は、配分ジャケット58が冷水で満たされるように開く。抽気弁は、洗面器12のリム60に位置し、配分ジャケット58が水で膨らむ時に置換した空気を放出する。冷水は、流体入口ポート54を通して冷却ジャケット46に入り、冷却ジャケット46を通して流体出口ポート64まで流れる。冷水は、出口パイプ68を通して温度調節混合弁72まで流れ、ここで冷水は、熱水供給パイプ76から受け取った熱水と混合する。温度調節混合弁72から排出された温水は、流体ディスペンサ14に接続されたディスペンサ供給パイプ24に入る。閉鎖位置の第1の停止弁31により、水は噴出口28から分配されない。それらの導管が冷水で膨れる時に冷却ジャケット46及び出口パイプ68から移動したあらゆる空気は、流体ディスペンサ14が最初に作動する時に噴出口28から放出される。冷却ジャケット46、配分ジャケット58、及び出口導管68が水で膨れた状態で、第2の停止弁63は閉じる。
【0051】
洗面器12は、従って、通常は冷却ジャケット46が冷水で満たされる状態にある。熱は、次に、冷却ジャケット46内の水と周囲の雰囲気中の空気との間で移送することができる。例えば、周囲の雰囲気の温度が冷却ジャケット46内の水の温度を超える場合には、熱は、熱交換器44を通して冷却ジャケット46内の水に伝導することになる。ケーシング48が形成される材料に応じて、熱はまた、ケーシング48を通して周囲の雰囲気から冷却ジャケット46内の水に伝導することができる。他方、周囲の雰囲気の温度が冷却ジャケット46内の水の温度よりも低いという場合には、熱は、熱交換器44を通して冷却ジャケット46内の水から周囲の雰囲気に伝導することになる。この場合も、ケーシング48が形成される材料に応じて、熱はまた、ケーシング48を通して周囲の雰囲気に伝導することができる。
【0052】
ユーザが第2の停止弁63を起動する時に、温水は、流体ディスペンサ14から分配される。第1の停止弁31は、例えば、第2の停止弁63を起動するための又はこの起動を検出するためのコントローラによって第2の停止弁63と同時に開く。温水が流体ディスペンサ14から分配される時に、流しユニット10内の水は補給される。冷水は、冷水供給パイプ62、分配ジャケット58、冷却ジャケット46、及び出口パイプ68を通して引き込まれ、熱水は、熱水供給パイプ76を通して引き込まれる。ユーザの手が噴出口28の下に位置しない時に、例えば、第1の停止弁31の起動直後に、分配された温水は、基部32の隆起部40の頂点42に当たる。分配された温水は、隆起部40の外面44aの下を流れ、側壁34と隆起部40の間に位置する溝の中に入る。隆起部40の形状は、分配された温水を隆起部40の周りに均等に分散させ、一般的に溝の方向に層流に向うようにする。溝内で、分配された温水は、排水管36の方向に流れ、そこから、温水は廃棄水パイプ38の中に排出される。
【0053】
分配された温水が、基部32の隆起部40の上を流れるので、熱は、分配された温水から頂点42とは反対側に位置する流体出口ポート64の方向に冷却ジャケット46内を流れる冷水まで、熱交換器44を通して移送される。熱はまた、排水管36まで溝内を流れる分配された温水から冷却ジャケット46内の冷水まで熱交換器44を通して移送される。
【0054】
ユーザの手が噴出口28の下に位置する時に、分配された水の殆どは、ユーザの手から基部32の隆起部40上に落ち続ける。ユーザの手から分配された水の中への石鹸の導入は、石鹸水の表面張力の減少により基部32の隆起部40にわたって分配された水の拡散を助けることができる。分配された温水の一部は、ユーザの手から側壁34に飛散する場合がある。この温水は、熱交換器44の外面44aの上を流れて溝の中に入る。温水が、熱交換器44の外面44aの上を流れるので、熱は、この温水から熱交換器44の内面44bにわたって冷却ジャケット46内を流れる冷水に伝導する。温水のある一定の量が、流体ディスペンサ14から分配された状態で、第2の停止弁63は、第1の停止弁31が閉じる前に閉じて、望ましくない高静圧が冷却ジャケット46内に発生するのを阻止する。
【0055】
洗面器12内に位置する分配された温水から、かつ同じく洗面器12を取り囲む周囲の雰囲気からの冷却ジャケット46内の冷水までの熱の移送は、冷水が温度調節混合弁72に供給される前に冷水の温度を上昇させる。例えば、40℃の温度の水が、10秒間1分当たり2リットルの流量で噴出口28から分配される場合、0.7mm厚のステンレス鋼の熱交換器44を通る熱の移送は、冷却ジャケット46内の冷水の温度を流体入口ポート54で約18℃の温度から流体出口ポート64で約28℃の温度まで上昇させることができる。温度調節混合弁72に搬送された冷水の温度のこの増加は、冷水と混合するのに必要な熱水の量を有意に低減し、必要な分配温度のこの実施例では噴出口28で約40℃の温水を生成することができる。分配された温水を生成するのに必要な熱水の量の減少は、水を加熱して熱水を生成するためのボイラー又は他の手段のエネルギ消費を低減することによってエネルギを節約することができる。
【0056】
図5は、洗面器12から流体ディスペンサ14まで水を供給するための代替のシステムを示している。このシステムは、ディスペンサ供給パイプ24が、冷却ジャケット46から排出された流体を加熱するための電気加熱器80を通じて冷却ジャケット46の流体出口ポート64に接続される限りにおいて、図3に示すシステムと異なる。加熱器80の少なくとも一部は、流体出口ポート64と加熱器80の間のあらゆる配管の長さを縮小するように、基部32の隆起部40によって取り囲まれる。流しユニット10は、冷却ジャケット46から排出された水の温度を検出するために熱電対86に第1の制御線84によって接続されたコントローラ82を含む。コントローラ82は、加熱器80を起動するために第2の制御線88によって加熱器80に接続され、冷却ジャケット46から排出される水の温度を望ましい分配温度、例えば、噴出口28で40℃まで上昇させる。水が冷却ジャケット46から排出される温度が、例えば、周囲の雰囲気及び流体ディスペンサ14の使用頻度のような変数に応じて変化する時に、コントローラ82は、温水が望ましい温度で流体ディスペンサ14から分配されるように、検出温度に応じて加熱器80に供給する電力を変化させることができる。
【0057】
この実施例では、流体入口ポート54で約18℃の温度から流体出口ポート64で約28℃の温度まで冷却ジャケット46内の冷水を加熱することによってもたらされる利点は、流体出口ポート64から排出された冷水を望ましい分配温度まで加熱するのに加熱器80においてあまりエネルギを必要としない点である。例えば、1分当たり2リットルの流量で40℃の温度で噴出口28から分配すべき18℃から水を加熱するのに、約3,000Wのエネルギを必要とする場合があるのに対して、40℃で噴出口28から分配するために28℃の温度から同じ流量の水を加熱するのに約1,680Wのエネルギのみを必要とするであろう。
【0058】
図6は、少なくとも1つの空気ディスペンサ88が、流しユニット10の周囲の雰囲気内の空気流を循環させるために洗面器12に隣接して位置する図3に示す配置の修正を示している。図5に示す配置は、同様に修正することができる。この実施例では、流しユニット10は、流し台16の上方に位置する第1の扇風機88を含む。第1の扇風機88は、流体ディスペンサ14上に位置することができ、第1の扇風機88は、他の位置、例えば、流体ディスペンサ14に隣接して位置することができる。冷却ジャケット46内の水及び周囲の雰囲気の相対温度に応じて、熱は、熱交換器44を通して冷却ジャケット46内の水又は周囲の雰囲気中の空気のいずれかに搬送することができる。図6に示すように、ケーシング48が熱的伝導材料から形成される時に、第2の扇風機89は、ケーシング48の外面48aにわたって又はそれに隣接して空気を搬送するように流し台16の下に位置することができ、ケーシング48は、次に、ケーシング48の外面と熱接触した空気と冷却ジャケット46内の水との間で熱を移送するための熱交換器として作用する。勿論、第2の扇風機89は、第1の扇風機88の代替形態として設けることができる。
【0059】
流しユニット10は、一連の流しユニットを含む公衆洗面所内に設置することができる。流しユニット10の各々は、各流しユニット10がそれぞれの加熱器80を有するような図4に示すように、又は各流しユニット10が、それぞれの熱水供給パイプ76から供給された熱水と冷却ジャケット46から受け取った冷水とを混合するためのそれぞれの温度調節混合弁72を含むような図3又は図6に示すように構成することができる。代替的に、各温度調節混合弁72は、共通熱水供給パイプ76に接続することができる。
【0060】
別の代替として、図7に概略的に示すように、各流しユニット10の出口パイプ68は、各流しユニット10から熱水供給パイプ76に接続された共通温度調節混合弁72まで水を搬送するための入口導管92に接続することができる。減圧弁94は、熱水が温度調節混合弁72に入る前に熱水の静圧を約1バールまで低減するために熱水供給パイプ76に設けることができる。出口導管96は、温度調節混合弁72から混合流体を受け入れ、混合流体を各流しユニット10のディスペンサ供給パイプ24まで搬送する。各流しユニット10の冷水供給パイプ62は、共通給水本管パイプ98に接続される。給水本管パイプ98はまた、冷水が流しユニット10の冷水供給パイプ62に入る前に、冷水の静圧を約1バールまで低減するための減圧弁100を含むことができる。
【符号の説明】
【0061】
12 洗面器
14 流体ディスペンサ
16 流し台
40 隆起部
62 冷水供給パイプ
76 熱水供給パイプ
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7